ニューヨークのとけた魔法

 ジョン・F・ケネディ国際空港からマンハッタンまで、珍しく乗り合いのバンに乗ることにした。空港の建物を出ると、スーパーシャトルと書かれた青い車が停まっていた。そちらへ向かって、名札を付けた白人の男の人が歩いていたので、あなたがドライバーですか、と声をかけると、黙って胸の名札を見せる。どうやら、そうらしい。

 バンの後ろにスーツケースを入れろ、と顎をしゃくって合図する。言われたとおりに、ショルダーバッグだけ持って乗り込んだ。

 私が最初の乗客らしく、まだ誰も乗っていない。座席は運転席の後ろに三列あり、私は最前列にすわった。

 Sit in the middle!

 真ん中にすわれ!

 ドライバーが怒鳴った。乗り込もうとしたとき、彼がそう指示したらしいが、私には聞こえていなかった。バンに指定席があるわけでもないのに、ドライバーに乗る場所まで決められる。

 あとから、三十代ほどの女の人がやってきて、最後列にすわろうとすると、再びドライバーが、真ん中にすわれ、と高飛車な口調で言った。

 なんで、あなたにいちいち、指図されなきゃいけないのよ、といった顔を一瞬したが、何も言わずにドライバーに従い、私の隣に少し間を空けて落ち着いた。

 別の女の人が、大小のスーツケースを引いてやってくる。大きいほうを後ろに入れ、もうひとつはバンに持ち込み、最前列にすわって、脚の間に立てて固定した。荷物の高さは、女の人のおなか辺りまであり、その上にショルダーバッグを乗せた。

 スーツケースは、後ろに乗せろ、とドライバーが命令した。

 どうして? 何がいけないって、いうわけ?

 大き過ぎる。

 飛行機の機内持ち込み荷物は、バンの中に乗せていいって、前もって電話で確認したら、そう言われたわ。

 それは機内持ち込みの大きさじゃない。

 これは機内持ち込みの大きさよ。現にさっきの飛行機だって、機内に持ち込めたわ。

 おれの車はジャンボジェットじゃない!

 私は、これを一緒に、ここに、置きます! だって、この荷物のせいで、ほかの人がすわれないわけじゃないでしょ。

 後ろに入れろ!

 いいえ、ここに置きます!

 ふたりの声はどんどん大きく、とげとげしくなっていく。

 結局、女の人は一歩も譲らず、問題のスーツケースを脚の間にはさんだまま、ふてくされてすわっている。ドライバーはついにあきらめ、勢いよくドアを閉めると、思い切りアクセルを踏んだ。

 しばらくすると、女の人は吐き捨てるように言った。

 I didn’t want to come back! The moment I got here, I knew why I didn’t want to come back! I’m not doing this again!

 戻ってきたくなんか、なかったのよ! ここに着いた瞬間、こんなところに戻ってきたくなかった理由を思い出したわ! もう二度としないわ!

 (次回へ続く)

 このエッセイは、「ニューヨークの魔法」シリーズ第5弾『ニューヨークの魔法のじかん』に収録されています。

https://www.amazon.co.jp/dp/4167717220

ハンター大で茶会 日本についての研究発表も

日本語プログラムの学生

 ニューヨーク市立大学ハンターカレッジの日本語プログラムを履修している学生たちによる「茶会」が14日、同校の西校舎603号室で開催された。このイベントは、同プログラムの今季の授業で茶道を受講した学生たちが、自分たちが学んだお点前を一般に披露する目的で行われたもので、約120人の参加者が集いお茶会を楽しんだ。 

 訪れた参加者に対し、茶道クラスの生徒たちが、茶道の作法のみならずその歴史や心得、精神性なども交えて詳しく説明をし、実際にお茶と和菓子を提供して茶道という日本の伝統文化を紹介した。 

 今季に茶道クラスを受講し、この日参加者にお手前を振舞った同校4年のエイミー・ターさんは「もともと日本の音楽など日本文化が好きで、友人に誘われてクラスを受講した。お茶会の一連の動作は一つ一つに意味がありとても興味深く、『一期一会』という日本の独特の精神を学び興味深かった。近い将来に日本を訪れて実際に日本文化を体験してみたい」と話し、今後も茶道を通してより深い日本文化を勉強していく意欲を見せた。 

 同クラスは、裏千家茶の湯センターの協力を得て開講されており、米国で9校ほどしか認められていない茶道で単位が取得できる履修科目となっている。ニューヨークで茶の湯の良さを知ってもらうため、講師を務める阿部真理宗真氏やフィリップ・ハファティ宗建氏らが生徒への指導を行っている。

 また、茶会に先立つ12日には、ハンター大大学生たちによる日本に関する研究パネル発表会が開催された。これはニューヨーク地区で活動する日本の文化に関係する仕事をしている人を訪ねて、仕事の内容や仕組み、社会との関わりについて対面インタビューして調べたことをパネルにまとめて、発表するもので、毎年卒業シーズンに開催されている。

 今年は、日本の茶室の設計や殺陣による武士道精神、ニューヨークでのソシアルワーカーの仕事、NY日本総領事館の文化担当、アニメ、漫画翻訳・通訳者、画家、テレビキャスター、日本の大学との交流、ハンターカレッジ内の日本語クラブについての12人が展示発表し、来場者に学習したことを説明した。

 中国系のジンフェン・ザンさんは日本の茶室デザイナーの遠山典男氏と連絡をとってインタビューした。「茶室は入り口が小さくて、どんなに偉い人も頭を下げて入るところに日本の精神性を感じた」という。バングラディシュから来て在米9年のカジ・クブラさんは大阪メトロポリタン大学と週5回の日米オンライン会話の活動内容を報告した。同大日本語クラブの会長を務めるだけあって流暢な日本語で来場者を驚かせた。

なぜ、あの人との会話は噛み合わないのか  BOOKS

米澤創一・著
プレジデント社・刊

 かいつまんで言うと人間社会のコミュニケーションのあり様を分析して解説している本だ。コミュニケーションを噛み合うものにするためには、話の目的・全体を捉える「抽象的な視点」と、話の詳細を捉える「具体的な視点」の両面が必要だと説く。この「具体と抽象」をキーワードにコミュニケーションの本質に迫っていく。例えばこんな具合だ。

Aさん「ねえ、ちょっといい? 最近毎日夜中まで残業して正直かなりしんどいんだよね。先週なんて一度も日付が変わる前に帰れなかったし」

Bさん「そっか、夜中までかあ。夜ごはんとかどうしてるの?」

Aさん「うん、もう疲れが溜まりすぎているのか、昨日なんてコンビニのおにぎり1個しか食べれなくて」

Bさん「おにぎり? そういえばね、この前すっごく美味しいおにぎり屋さんを見つけたんだ! 具が鮭とか梅とかいろいろ選べるし、海苔もめっちゃパリパリ。最近ハマっちゃって、しょっちゅう行っているんだよね!」

Aさん「・・・へえ、そうなんだ」

Bさん「とにかくそのお店、本当に美味しいから、今度絶対行こうよ! お店のおばあちゃんがすっごく優しくて、なんか昭和の雰囲気を感じるのがまたよくてさ・・・」

   ◇

 Aさんは、「いやいや、それが話したかったんじゃないんだけど」と思いながら、途中で話を遮るのも悪いし、と苦笑いをするしかなかった。この会話を読んで「なんだかBさんは空気が読めない人」「Aさんがかわいそう」という感想が浮かぶか、あるいは、「Bさんなりの気遣いが裏目に出ただけでは?」と感じる人もいるかもしれない。実はこんなふうに「噛み合わない会話」が起きるとき、それぞれの思考の過程にヒントが隠れているという。Aさんはおそらく誰かに共感や労いの言葉をかけてもらいたい、愚痴を聞いてもらいたいというそれだけだったのだろう。疲れていて食欲がないことの例としてたまたまおにぎりを出したのに、Bさんは「おにぎり」という言葉に食いついてしまったわけだ。Bさんを無邪気なキャラとして描いているので、AさんはBさんのことを不快になってないが、もし別の性格だったら「なんかあの人の反応、気に入らない」と険悪になってしまうかもしれない状況なわけだ。

 本書では「具体的知識」と「抽象化能力」が引き起こす誤解やすれ違いについて深掘りしている。二つの要素は一見対立する概念に見えるが、どちらもコミュニケーションの本質を捉える上で欠かせない車の両輪のようなものだという。世の中にはいろんな人がいるが、その人と会話をする時に、相手とどの程度のレベル感で話せば通じやすいかを意識するだけで噛み合う度合いが変わってくると説く。本紙読者のように海外で日本人以外の人とコミュニケーションしていく場合にはもっと「相手の立場を重んじ、慎重にかつフレンドリー」になっていくことが国際コミュニケーションの要諦なのだとなんとなく理解できる本だ。 (三浦)

ブルースに魅せられて Sinners シネマ映写室

  

1930年代のミシシッピ・デルタを舞台に黒人の文化、慣習、歴史に光を当てながら彼らコミュニティを抹殺しようとする敵対集団との抗争を描く物語。といっても人種差別を盛り込んだシリアス系とは異なり、娯楽性の高いホラー・ミュージカルともいえる珍しいジャンルだ。南部ならではのブルースのパフォーマンスがふんだんに盛り込まれ、それだけでも十分堪能できる音楽ファンにとっては必見作品。

 歴史、文化などは史実に基づいているが物語はまったくのフィクションで脚本・監督はライアン・クーグラー。双子の兄弟スモークとスタックを演じるのは「Creed」「Black Panther」などクーグラーお気に入りのマイケル・B・ジョーダン。ジョーダンの演技力には定評があり、本作品でもキャラクターの異なる兄弟を絶妙のスタイルで演じる。

 スモークとスタックはミシシッピ州クラークスデール出身だが、第一次大戦後シカゴに移りマフィアの手先として働いていた。そこで手に入れた金を元手にジュークジョイントを開くために故郷に戻ってきた。音楽、ダンス、酒、ギャンブルが楽しめるジュークジョイントならきっとビジネスは成功する。それが彼らのアメリカンドリームだった。

 すぐにギターの上手い従弟のサミーとピアノ弾きをメインキャストにし、酒の調達は商店を営む中国系のチョウ夫婦から、また、長い間離れていたスモークの妻アニーがキッチンを切り盛りした。こうして、兄弟のクラブは盛大なオープニングを迎える。

 ジム・クロウ時代のディープ・サウスでブルースに酔いしれ、ぴったりと身体をくつけてダンスのステップを踏む人々。それぞれが思い思いの幻想にふけるときでもある。

 しかし、快楽のこの時間は奇妙な訪問者の出現で異様な展開を見せる。黒人コミュニティを潰そうとする敵対集団は単なるKKKではなく超自然現象からの使者だった。

 映画のクレジット開始後に物語を締めくくるとっておきのシーンが挿入されているのでお見逃しなく。2時間7分。R。(明)


■上映館■

Regal Times Square

247 W. 42nd St.

AMC Empire 25

234 West 42nd St.

AMC 34th Street 14

312 W. 34th St.

編集後記

編集後記

みなさん、こんにちは。心配された天候は見事な日本晴れとなった5月10日のジャパンパレードが盛大にセントラルパークウエストで開催され、日系団体110組、2800人以上が行進し、沿道とジャパンフェス合わせて約6万人の人出となりました。今年で4回目となり、昨年より11団体増えて年々規模が拡大しています。開会式で僧太鼓が鳴り響き、午後1時にセントラルパークウエスト81丁目からパレードがスタート、NYPD騎馬警官と音楽隊に続き、日米の大国旗が参加者の手で動き始めました。日本人が多いハリソンの消防車も出動。退役軍人を代表してベトナム戦争に日系米兵として出征した古本武司さんが行進。女性太鼓ダンス鼓舞、奄美大島の踊りの中には女子プロボクシング王者の吉田実代さんの姿も。バンダイナムコ、アニメNYCなど現代日本文化もにぎやかに行進、この夏訪日するヤング・ピープルズコーラスが美しい歌声を披露。コミュニティーリーダー佐藤貢司氏の後にはNY日系人会が続き、NY日系ライオンズクラブとジャパン・コーラルハーモニー、大人気のよさこいダンス、落語家の桂三輝ら噺家チーム、ジャパニーズ・ハーレム・ゴスペルコーラスが合唱、NY日本人美術家協会のアーティストらも歩き、今年20周年を迎えるハリヤマバレエがフロートでバレエを披露、ジャパン・パフォーミングアーツは阿波踊り、民舞座はカラフルな衣装、NY着物アカデミーと京都倶楽部は美しい着物姿で沿道を魅了し、伊藤さちよ舞踊団、誠道空手がデモンストレーション、イケバナ・インターナショナルが手を振り、参加120人の最大陣容で行進したセイ・トモコ・ヘアサロンが沿道の声援に応えていました。メインゲスト、進撃の巨人ザ・ミュージカルの主演俳優の一人、ハンジ・ゾエ役の立道梨緒奈さんは「歓声と物凄く喜んでくれるのが伝わってきました。普段はいろんな日本の文化に一度に触れる機会がないので、改めてこんなに素敵な文化が日本にあるんだなと思いました。進撃の巨人という偉大な作品を背負って、こういう素敵なイベントに参加できてすごく嬉しい一日になりました。胸アツです。NYは進化し続ける街という印象です」と熱く語っていました。今年もジャパンパレードは日本の良さをアメリカ人に伝える絶好の機会となりました。今週号の1面、3面、20面で特集しています。それでは、みなさんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2025年5月17日号)

(1)沿道に6万人 ジャパンパレード

(2)明石鯛 久保修ワールド 春

(3)やさしい日本語 靴のマナー 勝って兜の緒を絞めよ

(4)外務省医務官として海外邦人を支援 仲本光一さんオンライン講演

(5)海外有権者ネットワーク第1回オンライン会議

(6)「ザマァみろ!」が支配する政治 視座点描

(7)BCネットワーク見逃し動画配信を開始 

(8)DEEPなQ UEENS ジャマイカ

(9)40代からのラスベガス事情  40+プラス女の人生

(10)サクラサク!優勝 日本人ゴスペル快挙

沿道に6万人 ジャパンパレード

NY薫風日本晴れ

(写真上)演技を披露する進撃の巨人メンバー

森本さん観衆に笑顔
山本さんNYに感激

 ニューヨークへの感謝と日本文化の紹介、日系社会の連帯を目的に10日、マンハッタンのセントラルパークウエストでジャパンパレードが盛大に開催された。今年で4回目となるこのパレードは参加団体110と昨年より11団体増え2800人以上が行進する大規模なものとなった。今年のグランド・マーシャルに選ばれたアイアンシェフで知られる森本正治さんがパレード先頭グループでオープンカーに乗り沿道に詰めかけた約6万人の観衆に手を振って応えた。前日のジャパンナイトで会場から大きな拍手を受けた歌手の山本彩さんは「想像以上の規模で、さすがニューヨークだと思いました。アメリカで私のことを知らなかった人も多いと思いますが、それでも笑顔で手を振ってくれてとてもありがたい気持ちになりました」とパレードの感想を語った。

森大使は日米交流の原点衣装で
藤井富山市長は観光誘致PR

摩天楼に響いた「おわら風の盆」

 パレード名誉会長を務めるニューヨーク総領事の森美樹夫大使は「たくさんの人に集まってもらって、いろんなことを売り込むことができた。こういう時代だからこそ日本とアメリカが近いところにいるということを、お互いに文化、経済、人となりを尊重しあってお互い助け合って生きていくということをこういう形で皆さんに広く示せてよかった」と話し、注目された今年の衣装については「日米関係を初心に返って考え直してみるという意味で、1860年に日本の最初の遣米使節団がブロードウエーをパレードした時に、おそらくこんな格好をしていたんじゃないかなということで初心に戻る出で立ちにした」と話した。

 またニューヨーク・タイムズ紙に今年の訪れるべき52都市の一つに選ばれた富山市もパレードに参加し、来米した藤井裕久市長が富山城の城主だった「佐々成政」の甲冑を模した衣装で登場。「富山県富山市を直接PRできてよかった。『おわら風の盆』は、300数十年の歴史がある。台風から稲を守るという精神文化も伝えていきたいと同時に、ぜひ富山に来て、白えび、ぶり、ホタルイカ、お米、お酒など美味しいものをどんどん召し上がってもらいたい」とPRした。

日本文化多彩に紹介

 ジャパンパレードを運営するジャパンデーインクの岡本慎一プレジデント兼チェアマン(日本生命保険相互会社常務執行役員)は「この一か月間ずっと今日の天気を見ていたが、今日は、まさにNYの日本晴れになって本当によかった。年々参加団体も増えて規模も大きくなり、アメリカ人の友人も日本を尊敬してくれていることを日々感じ、ビジネスだけでなく日本企業の良さをこういう形で知ってもらうことにつながれば嬉しい」と話した。岡本氏は開会式展に出席したエリック・アダムス市長から市の感謝状を受け取った。

 コミュニティーリーダーとしてパレードした佐藤貢司氏(NY日系人会会長)は「日本食やアニメなどアメリカ社会に浸透している日本が、こういうパレードを通してもっともっと知られるようになると良いと思う。23日にはシティフィールドでジャパン・ヘリテージ・ナイトもあり、日本人選手が4人出る。日本人対決になれば最高の試合になるので日本をますます盛り上げていきたい」と語った。

 ジャパンパレードのエグゼクティブ・プロデューサーを務めるゴージャスエンターテイメントの吉井久美子事務局長は、進撃の巨人ザ・ミュージカルをパレード110組中109番と最後の目玉にしたのは「大勢の皆さんにパレードを見ていただけるように配慮した」と語った。

 当日はニューヨーク日本人学校、ニュージャージー日本人学校、育英インターナショナルスクール、あおぞらコミュニティー、ブルックリン日本語学園、慶應義塾NY学院など日本人教育機関の児童生徒もパレードした。補習授業校に通う子どもたちも放課後に駆けつけてお目当ての進撃の巨人を見ることができたようだ。アメリカ人見物客からは「日本文化がこんなに多様性に富んだ豊かなカルチャーなのに驚いた」「伝統的なものから現代的な色々な踊りがあって楽しめた」という声が聞かれた。

進撃の巨人談話
それぞれの思い

Photo: MASAKI HORI

 エルヴィン・スミス(大野拓朗)「昨年10月のNY公演では進撃の巨人が大好きな人がミュージカルを見に来てくれたわけですが、今回はさまざまな日本文化の何かに興味を持った人たちの前で日本のアニメ文化を代表して伝えることができたのはすごく光栄です。2019年に語学留学していたことがあり、以来チキンオーバーライスが大好きになった」と話した。

 リヴァイ(松田凌)「自分にとっても人生において忘れられない一日になるのかなと思う。進撃の巨人という世界を通して我々の自由の翼をNYで日本の文化が持つ可能性を熱狂的に迎えてくれた。誰かの光になれたら素晴らしい。前回見ることができなかった自由の女神を今回夕日の中で見ることができて感動した」

 ハンジ・ゾエ(立道梨緒奈)「歓声と物凄く喜んでくれるのが伝わった。いろんな日本の文化に触れる機会がないので、改めてこんなに素敵な文化が日本にあるんだなと思った。進撃の巨人という偉大な作品を背負ってこういう素敵なイベントに参加できてすごく嬉しい一日になった。胸アツでした。NYは進化し続ける街という印象だ」。そして4人の剣士、下尾浩章、橋渡竜馬、松本ユキ子、加藤貴彦が演舞した。

110団体が参加
2800人が行進


 開会式で僧太鼓が鳴り響き、午後1時にセントラルパークウエスト81丁目からパレードがスタート、NYPD騎馬警官と音楽隊に続き、日米の大国旗が参加者の手で動き始める。日本人が多いハリソンの消防車も出動。退役軍人を代表してベトナム戦争に日系米兵として出征した古本武司さんが行進する。女性太鼓ダンス鼓舞、奄美大島の踊りの中には女子プロボクシング王者の吉田実代の姿も。バンダイナムコ、アニメNYCなど現代日本文化もにぎやかに行進、この夏訪日するヤング・ピープルズコーラスが美しい歌声を披露。コミュニティーリーダー佐藤貢司氏の後にはNY日系人会が続き、NY日系ライオンズクラブとジャパン・コーラルハーモニー、大人気のよさこいダンス、落語家の桂三輝ら噺家チーム、ジャパニーズ・ハーレム・ゴスペルコーラスが合唱、NY日本人美術家協会のアーティストらも歩き、今年20周年を迎えるハリヤマバレエがフロートでバレエを披露、ジャパン・パフォーミングアーツは阿波踊り、民舞座はカラフルな衣装、NY着物アカデミーと京都倶楽部は美しい着物姿で沿道を魅了、伊藤さちよ舞踊団、誠道空手がデモンストレーション、イケバナ・インターナショナルが手を振り、参加120人の最大陣容で行進のセイ・トモコ・ヘアサロンが沿道の声援に応えた。当日は110団体、2800人以上が参加する過去最大の規模となった。

やさしい日本語 靴のマナー 勝って兜の緒を絞めよ

この連載は、日本語を勉強している人を読者対象としたコーナーです。日本文化やマナー、タイムリーな日本に関する話題などを簡単な日本語で毎月第3週号に掲載します。アメリカ人の友人などにご案内ください。また、漢字をまだ習っていないお子様にとっても社会を知り、漢字に接するよい機会になります。

靴のマナーを学ぼう

 日本では、家に入る前に玄関で靴を脱ぎます。靴のまま家に入るのは、よくないとされています。脱いだ靴は左右をそろえ、つま先を外に向けて置きましょう。

 玄関は「外」と「中」を分ける特別な場所です。日本では、畳や布団を清潔に使うため、外の汚れを家の中に持ち込まないことが大切にされています。

 また、学校や旅館などでも靴を脱ぐ習慣があります。スリッパや上ばきに履きかえることがあるので、脱いだ時に恥ずかしくないように靴下をきれいにしておくのもマナーのひとつです。(マナー講師・長久保美奈)

わくわくことわざ(9)
文とイラスト 平田恵子

勝って兜の緒を締めよ


 成功した後でも、気をゆるめてはいけないという戒めです。兜は戦いのときに武士が頭にかぶる防具で、その兜を顎で止めるためのひもを「緒」といいます。もともとは「兜をかぶる」とは、戦闘準備に入ることでした。戦いに勝って油断していると敵の反撃があって、「兜を脱ぐ(降参するの意味)」ことになることもあるので、気を引き締めよということ。なお、兜は防具だけでなく武威を示しており、鍬形、獅子、龍、角などの装飾が施されていました。

明石鯛 久保修ワールド 春

祝い事に登場する魚といえば「鯛」を思い浮かべる人が多いだろう。

兵庫県明石市周辺で水揚げされる「明石鯛」は有名な鯛の一つ。

明石鯛は、明石海峡という場所の潮の流れやエサとなるエビやカニなどの甲殻類が豊富に育つので、旨味が強くなって格別の美味しさになるそうだ。

尚且つ、早い潮流を泳ぐことから身が引き締まるという。

スケッチをしながら細かく観察する。

背びれを広げたりウロコの形や数を数えたりする。

描いていると新鮮さがなくなるので料理していただく。

後日、新しく買い求める。作品になるまでには三匹の鯛を観察する。

数日後、夢中になって下絵に描かれているウロコを一枚一枚切り抜いていく。

切り上がると染めた和紙やパステルなどを使って、鯛の色に染めていく。

それは、まるで料理をしているかのようだ。

    (くぼ・しゅう/切り絵画家/東京都在住)

海外有権者ネットワーク第1回オンライン会議

投票率2%の 在外選挙

 日本では春の大型連休、ゴールデンウィーク明けの5月7日に、海外有権者ネットワークの初のオンライン会議が開かれた。参加者は、ドイツ・フランス・イタリアなどのヨーロッパ、アメリカからはNY、LA日本などから10人が参加した。海外有権者ネットワークとは、日本国籍を有する海外在住者や日系人の有権者が「在外投票の普及」の為にネットワークを組んで、在外投票の投票率向上のために意見交換を行っている会である。

  私は1981年に渡米したが、海外に住んでみて「日本国内から見る日本」と「海外から見える日本」

が違って見えることに驚いた。国土を比べると、日本はカリフォルニア州にも及ばない。天然資源は少なく、生きて行くには貿易に頼るしかない。母国の繁栄を祈る気持ちは、国内の日本人よりも強い。日本の存続には、世界中が平和で自由に交易が出来る「自由貿易」が続くことが大切なのである。

  その意味で、海外からの視点を日本の国政に反映するには、国会議員の選挙を通じて海外有権者の意思を表すことのできる「在外投票の実現」が望まれると、1995年から「海外から一票を!」という運動が始まり、2005年に最高裁での勝訴によって在外投票制度が実現した。ところが投票率はなかなか上がらない。制度が海外の実態に沿ってないのが主要な原因だと考えられる。2010年に「在外投票を推進する議員連盟」が結成され、様々な働きかけで少しずつ改善されているものの、投票率は2%前後と低迷している。

 これでは「海外からの視点を国政に反映させる」という目標は達成されない。さて、どうするかと海外有権者ネットワークは今年の活動目標を具体化して、意見交換のオンライン会議を開いたのである。

  7月には参院選が行われる。世界の仲間が意見交換し、現地情報や問題点・改善点などを出し合って現地公館や日系メディアに協力を求め、議連を通じて総務省や外務省に働きかけるというのが今回のオンライン会議の目的である。当面は「在外投票のネット投票制の実現」が目標である。

 今回の会議では、海外有権者ネットワーク主催の「模擬投票の実施」も話題に上った。日本の実証実験で実績のあるシステム構築会社の支援も受けられそうだ。今後、年に数回のオンライン会議を開き更に知恵を出し合おうと盛り上がった。具体的な行動目標が明らかになり、推進力が加速することを願っている。

(海外有権者ネットワーク・日本代表 若尾龍彦)

海外の有権者が初めて意見交換


海外有権者ネットワーク 第1回オンライン会議出席者

◇ドイツ:トルン紀美子

◇フランス:ピレー千代美

◇イタリア:茜ケ久保徹郎

◇NY:竹永浩之、竹田勝男

◇ロサンゼルス:朝倉巨瑞

◇日本:若尾龍彦、住山弘、

スパイラル社(模擬投票のシステム構築の会社)

◇メディア:三浦良一(週刊NY生活)


 日本時間5月7日夜、海外有権者ネットワークのオンライン会議が開催され、日本、ニューヨーク、ロサンゼルス、フランス、ドイツ、イタリアからの参加があった。

 若尾氏(日本):今回は初めての在外日本人のオンラインミーティングで、時間を合わせるのは難しく参加できない方もいたが、世界の在外日本人が意見を交わす場は大変有意義である。また4月に「在外投票を推進する議員連盟」(以後、議連)に参加し、議連に名を連ねる議員は90名を超えていると報告された。

 竹永氏(NY):今回4月の日本渡航で、議連の逢沢会長と西村事務局長と面会した。今回は、次回の議連のテーマを決めることと、在外ネット投票、遠隔地のビデオ通話による本人確認の方法の問題点や投票数などの調査報告を総務省に求めた。また投票率の向上のためには出国時申請が有効とし、外務省がチラシを作って自治体で配っている。また、国会での「在外ネット投票の議案」を出すようにとの陳情も行ったことを報告。

 竹田氏(NY):日本からの出国時登録が投票率アップには有効で必要ではないか、と提案。

 朝倉氏(LA):在外での投票ができるようになっているにも関わらず、在外の投票率は2%以下となっており、危機的な状況にあると考えている。LA総領事館での選挙担当領事との面会に際し、投票所の増設とネット模擬投票の承認を求めたが、いずれも外務省からは難しいとの返答を受けたと報告。またLAの日本語メディアに「選挙に行くこと」「選挙人登録をすること」を宣伝してもらうように協力を求めた。

 市ノ澤氏(スパイラル社):これまでの民主党からの法案提出や、つくば市とマイナンバーカードを使った投票システムの取り組みに関しての説明があり、議連の取り組みも間接的に関わっていることで、ネット模擬投票のシステムの提供に賛同している。在外日本人は2015年より以前に出国した人にはマイナンバーカードが取得できないというルールがあるため、マイナンバーカード以外でも本人確認できるように対応する。パスポートでの本人確認は可能だが、在住者カードなどの様々な身分証明書でも広く有効にできるシステムは可能。

 ピレー氏(フランス):長年に渡り、日本での多重国籍を認めるよう国籍法改正を訴えている。フランスには外国人登録証があるので、これで本人認証をすることを提案。

 トルン氏(ドイツ):海外の日本語メディアは、更なる広報推進で注目度は上がり、効果が徐々に広がると期待する。

 茜ヶ久保(イタリア):意見交換の場で、選挙候補者の政策や取り組み姿勢の情報を伝える方法が必要。総務省のHPで、一定のスペースや広報ルールに従った「候補者の情報発信ができないか」を議連を通じて総務省に打診する。

 竹永氏(NY):現在選挙に関してはさまざまな取り組みがあるが、最終的には全てをネット化することが解決になると提案。

 住山氏(日本):長年に渡り選挙ができるように活動をしてきたので、もっと選挙しやすい環境が整うことを願う。総領事館でしか選挙ができないのは、その場所が治外法権としてその国に登録をしてあるからではないか。LAの日米文化会館の一室も同様に登録がしてある。(現在は不明)また、在外選挙のことを次回の海外日系人大会で発表するのはどうかと提案。(公益財団法人海外日系人協会の評議員である若尾氏に依頼)

 若尾氏(日本):初めてのオンライン会議だったが世界中から集まってもらったことに感謝している。この会議に関しては議連にも報告する。今後も年に数回はこのような会議を行なっていきたい。

「ザマァみろ!」が支配する政治

 喜怒哀楽などの人間感情の中で最も強いものは何か? その一つは間違いなく報復感情でしょう。仕返し、復讐、やられたらやり返せ、目には目を……カッとなる負の感情の強さは、愛のような正の感情のように長持ちはしないので、負の感情を燃やし続けさせるには次から次へと油を注ぐ必要があります。おそらく、トランプ政権の強さはこの負の感情の強さなのでしょう。「報復」が二期目の彼の新たな原動力の一つです。

 そんな典型が、彼の弾劾や訴追に関わった敵対者への攻撃です。彼はこれまで91件もの刑事訴追を受けましたが、それを「自分への政治的迫害」と位置付け、訴追に関係した司法省の検察官や民間の法律事務所の全てを標的に解雇や経済的・法的締め付けを進めています。特に連邦議会襲撃事件や選挙不正疑惑に関して反トランプの立場で無償(プロボノ)で業務を提供した弁護士たちを、無償であるがゆえに「不適切な法的介入」「公益を装った政治活動」と断じ、所属する法律事務所の連邦政府契約を打ち切ったり、資格剥奪を示唆しています。

 自分に忠実でないとする連邦官僚への逆襲もそうです。国防総省では最大7万人以上が解雇対象。教育省では50%、国土安全保障省でも100人以上が解雇されました。連邦政府全体では解雇リスクのある人の数は100万人とも言われます。表向きは例のDOGE(政府効率化省)による「合理化」の対象ですが、実際は第一次政権時に官僚による抵抗で大統領の意向が阻まれたことへの報復の要素も強い。

 移民問題も然り。バイデン政権のオープンな国境政策を自身の第一次政権への当てつけと見て、無届移民を保護する民主党主導の「聖域都市」への連邦助成金を凍結するなどの措置に出ています。

 自身を批判するメディアを「フェイクニュース」「国家の敵」と呼んで記者会見や取材アクセスから排除しているのも報復です。

 「DEI(多様性・公正性・包摂性)路線は左翼のイデオロギーだ」と批判するのも、敵対する民主党の価値観だからでしょう。DEIは現在、白人多数派への逆差別だという論理に使われてしまっています。

 前回本欄で触れた政権によるハーバードへの要求には、反ユダヤ主義とDEI路線の排除の他に「学生・教職員の政治傾向の審査」という思想調査も入っていました。「米国の価値観や制度に敵対的な大学人の報告体制を構築せよ」というこの新たなマッカーシズム(赤狩り)をハーバードは当然ながら蹴った。だから22億㌦(3千億円)もの助成金を凍結されたわけ。

 問題は、彼個人のそうした報復感情が、支持基盤であるMAGA派の報復感情を共振させることです。世界経済を揺るがす思いつきでしかないような報復関税や数百人が解雇されたUSAID(国際開発局)も含め、全てが彼らの「敵(リベラル派、知的エリート、官僚、性的少数者、女性、移民労働者、外国)」への敵意を煽っています。トランプの連邦政府はトランプ個人とトランプ支持者個人の「ザマァみろ!」の道具になりつつある。

 いや、この「ザマァみろ!」という「報復の快感」は、右派も左派も関係ないですね。人間の業のなんと深いことよ……。

 「ザマァみろ!」ではダメなのだと愛を説くカトリックの新教皇に、初のアメリカ人が選ばれました。このレオ14世がどんな教皇を具現するかは未知ですが、これでトランプは「世界で最も影響力を持つアメリカ人」の2位に転落?──それがすでにSNS上で話題になっています。報復感情に加え自己顕示欲も肥大している彼のこと、まさかここでも教皇を見返そうなんて……いやいや、それは。

(武藤芳治/ジャーナリスト)

外務省医務官として海外邦人を支援 仲本光一さんオンライン講演

JAAサクラ・ヘルス・フェアで

横田めぐみさんの娘と面会

 ニューヨーク日系人会が開催するサクラ・ヘルス・フェアのプログラムとして5月2日、オンラインで、元在ニューヨーク日本国総領事館医務官で現岩手県保健所長会会長の仲本光一さんが「感染症・大規模災害・テロ対応、医療事情ー外務省、自治体での経験からー」と題して講演した。

(写真上) 平城空港での曽我ひとみさんと横田めぐみさんの娘キム・ヘギョンさんの別れの場面。後方左に仲本さんが立っている(ANNのニュース映像/写真・仲本さん提供)

講演要旨次の通り。

盛岡の執務室にて

 私は横浜で10年余り外科医として病院勤務をしていましたが、その後、外務省医務官となり在外公館に勤務、最後は霞が関の外務省診療所で診療所長、現在は岩手県で保健所長をしています。保健所の職務は、地域住民への医療福祉環境問題についてのよろず相談です。外務省医務官も、その国においては唯一の日本人医師というケースもあり、よろず医療相談を受けています。特に最初に赴任したミャンマーは、日本人の使用に耐える病院は一つもないこともあり、在留邦人・旅行者も大使館の医務室に日常的に相談に来ていました。専門外の診療科、特に精神科事例には大変苦労しました。ネットの無い時代であり、国際電話回線も使用が限定されていたため、日本の先輩に対応方法を聞こうと思っても、つながるまで5〜6時間待たされる状況でした。それでも在留邦人の皆様に助けられ育てていただき、何とか“総合診療医”になっていったように思います。その後、インドネシア、東京、インド、ニューヨーク、タンザニア、カナダでそれぞれ3年程度ずつ勤務させていただきました。東京時代には北朝鮮に行き、帰国後も拉致被害者への医療対応を行っていました。えひめ丸海難事故、邦人外交官殺害事件等々、邦人支援では外務省内で大変評価され、大臣から賞をいただく栄誉も得ました。昨年は『想像を絶する難事の日々』を世論時報社で出版させていただき、咢堂ブックオブザイヤー(2024年外交部門)を受賞するという栄誉もいただきました。

 安全・安心な日本ですが、安倍総理暗殺事件、岸田総理への爆弾投下事件、北朝鮮によるミサイル発射等々、最近は日本の治安も不安定になっており、災害・テロ対策について講演会などでお話させていただいています。コロナ禍は世界中が団結して対応すべきという教訓を残したはずでしたが、世界は、団結には程遠い状況になっています。米国WHO脱退、途上国支援中止、長引く局地戦争など、心配な状況が続いています。

 日本のパスポートは世界最強(査証不要)であり、これは、NYの皆様を含む、世界で活躍されておられる先人の皆様のおかげ、と感謝しています。若い日本人には、ぜひ、海外に出て、今後も世界団結のためのリーダーになっていただきたいと思っています。