編集後記

編集後記

 みなさん、こんにちは。 ニューヨークのナイトライフはオペラやミュージカルと華やかですが、ジャズもまたNYならではのエンタメアートです。イーストビレッジに蘇った伝説のジャズクラブ、ファイブ・スポット・ジャズ(東9丁目231番地)もそれの一つで、2日夜、ゴールデンウイーク日本週間特集としてボーカリストのMonday満ちるとそのトリオがライブ公演しました。2部構成で一部では母で世界的なジャズピアニストの秋吉敏子と夫のサックス奏者ルー・タバキン夫妻が客席で見守る中、秋吉が最後に弾く定番のHIROSHIMAを披露し、秋吉が涙する姿もありました。満ちるは、自身のアルバムから「ミステリー・オブ・ザ・ライフ」などを熱唱しました。

 同店は、1950年代後半にNYダウンタウンにあったジャズクラブ、ファイブ・スポット・カフェを甦らせたいと、市内で手広くレストランを経営するTICグループの八木ボン社長が、普段は同社が営業する「ハイカラー(Hi-Collar)」を特定の夜に照明を落としてライブ音楽を響かせてジャズクラブとして復活させたものです。スタイリッシュでコンパクトな和風カフェで、最高級のコーヒー、オムライス、厳選された日本酒やウイスキーを提供しています。


 ジャズベーシストの中村照夫やトランペットの日野皓正、日本を代表するジャズ・ギタリストの川崎燎らが演奏したかつてのジャズスポットを再現した店で演奏を聴くのもよし、演奏をするのもよし、歌うのもよし。ビレッジ・バンガード、ブルーノート、スモールズはじめ、特にニューヨークで活躍している多くのジャズミュージシャンにとっては演奏披露できるベニューがまた一つ加わったと言えるでしょう。 それでは、みなさんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2026年5月9日号)

(1)NY飲食業界が悲鳴 保険料の急激な高騰

(2)土曜日にまってるぜ! 9日にジャパンパレード 

(3)一風堂が最上級店「五行」をNYに

(4)アメリカの原風景に出会う 八神純子が旅するルート66 (2)

(5)円と国債は守れるのか、静かに進む経済非常事態

(6)鈴木長崎市長 NYタイムズに感謝伝える

(7)ゆるめて整う、母の時間 山並絵美さん

(8)ハリソンで日本祭り 6月7日(日)開催へ

(9)ファイブ・スポット・ジャズ Monday満ちるトリオがライブ

(10)スケバン女子プロレス 世界王者決定戦

NY飲食業界が悲鳴 保険料の急激な高騰

説明責任求める法案も

 ニューヨーク日本食ホスピタリティ協会(JFHANY、木下直樹会長)は4月30日、加盟するニューヨーク市ホスピタリティ協会(NYCHA)が市議会公聴会で、保険業界の説明責任強化に関する法案「Introduction 0685-2026」を支持したと発表した。

 これは、ニューヨーク市のレストラン、バー、ナイトライフ業態は、急激に上昇する保険コストに直面しており、事業継続そのものが脅かされていることを受けての対応。

 ジュリー・メニン市議会議長、複数の市議会議員、および業界関係者とともに、NYCHAは市庁舎にて、法案「Introduction 0685-2026」を支持するため、公聴会に先立ち記者会見に参加した。

 同法案は、DCWP(消費者・労働者保護局)内に「保険説明責任オフィス(Office of Insurance Accountability)」を設立し、保険料の高騰に関する調査、透明性の向上、小規模事業者へのガイダンス提供、そして市場の安定化に向けた政策提言の策定を目的としている。近年、ニューヨーク市のホスピタリティ業界では、保険料の大幅な上昇に加え、免責額の引き上げ、補償内容の制限、さらには契約更新の拒否といった問題が発生しており、最新の業界調査でも最も大きな懸念事項の一つとして挙げられている。

 発表によると、ニューヨーク市内の一部事業者では賠償責任保険のコストが急激に上昇しており、事業者の例として月額保険料が約2000ドルから4000ドルへと倍増した事例も紹介している。本法案は保険料を直接引き下げるものではないが、コスト上昇の要因を明確にし、より広範な制度改革に向けた基盤を築くための重要な一歩となるとしている。JFHAの木下会長は「協会としては今回の保険代高騰のみならず、業界としての問題の共有、解決に向け、随時メンバー向けにセミナーを開催している。ぜひ協会に加入して頂き、共通の悩みの解決に向けて一緒に取り組んでいきたい」と話している。現在会員は70社。詳細はhttps://forms.gle/yzbyqkyeU5LoUafZ8

土曜日にまってるぜ! 9日にジャパンパレード

『舞台「呪術廻戦」-壊玉・玉折-』キャスト登場

 芥見下々による『呪術廻戦』は、2018〜2024年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて連載され、コミックスのシリーズ累計発行部数1億5000万部(電子版含む)を突破した、大人気漫画。5月9日にマンハッタンのセントラルパークウエストで開催されるジャパンパレードに『舞台「呪術廻戦」-壊玉・玉折-』のキャストが登場する。

 2020年10月にはTVアニメ第1期が放送され、初の映画化となる『劇場版 呪術廻戦0』は、全世界興行収入265億円の大ヒットを記録した。2023年7月に放送されたTVアニメ第2期は、クランチーロールのアニメアワード2024の最優秀作品賞にあたるアニメ・オブ・ザ・イヤーを含む全9部門を制覇する大反響となった。TVアニメ第3期となる「死滅回游 前編」が2026年1月から放送されるなど、今後の展開にますますの盛り上がりをみせている作品だ。

 同作の舞台化シリーズ第4弾の『舞台「呪術廻戦」-壊玉・玉折-』は2025年に日本初演、映像や光を駆使した多彩な表現に加え、迫力ある人力でのアクションや臨場感が大きな話題を呼んだ。

 ジャパンパレードには、舞台版のキャストより、五条 悟(三浦涼介)、夏油 傑(藤田 玲)、伏黒甚爾(久保田悠来)、3名の呪詛師(森貞文則、南 誉士広、北村 海)を迎える。『舞台「呪術廻戦」-壊玉・玉折-』のキャストは日本国外では初お披露目となり、見逃せないハイライトだ。

さあジャパン・パレードへ!

106団体、2700人が参加

 過去4年間の成功を受け、第5回目となる 『ジャパンパレード&ストリートフェア』 が5月9日(土)にニューヨーク市で開催される。パレードのグランドマーシャルには日米をつなぐ文化交流の担い手として国際的な活躍を展開してきた漫画アーティスト・イラストレーターのアッキー・ブライト氏が務める。

 今年のパレードの特別ゲストとして、『舞台「呪術廻戦」-壊玉(かいぎょく)・玉折(ぎょくせつ)-』のキャストが日本から参加する。(1面に記事と写真)

  パレードには、迫力ある太鼓グループの「僧太鼓」「鼓舞」「太鼓マサラ道場」「紐育太鼓愛好会」をはじめ、児童合唱団「ヤング・ピープルズ・コーラス・オブ・NYC」、日本伝統舞踊団体「伊藤さちよ舞踊団」「阿波踊り NY連」、武道団体「日本空手協会ニューヨーク道場」「ニューヨーク・エリア・柔道コミュニティ」などが参加予定。また、「ニューヨーク日本人学校」「ニュージャージー日本人学校」「ニューヨーク育英学園」「ブルックリン日本語学園」「慶應義塾ニューヨーク学院」「ニューヨーク大学」「ハンター大学」など、多くの学校・教育機関から、次世代の日米交流を担う子どもたちや学生が参加する。

 また、ニューヨーク・タイムズの「2026年に行きたい52の場所」に選ばれた長崎県の代表団がパレードとストリートフェアに参加し、同様に選出された沖縄県もストリートフェアに出店する。総勢106団体、2700名以上の参加者による、パレードとなる予定だ。

 さらに、第5回の開催を記念し、アッキー・ブライト氏デザインによる公式マスコット「Happi」が誕生した。「Happi」をデザインしたオリジナルグッズは、公式ウェブサイトにてオンライン販売(Tシャツのみ)を行うほか、イベント当日にはStreet Fairのテントにて販売する。さらに、4月17日より紀伊國屋書店およびジャパンビレッジにおいても、Tシャツおよびステッカーを販売中。

【Japan Parade】

時間:午後1時〜

ルート:セントラルパークウエストの81丁目から67丁目を南下 

【Japan Street Fair】

時間:午前11時〜午後5時 (予定)

場所:72丁目(セントラルパークウエストとコロンバスアベニューの間)

ご注意・参加団名の番号は、業種別アイウエオ順の表記で、パレード行進の順番ではありません。

1アッキー・ブライト Grand Marshal

2片平 聡Honorary Chairman 

of the Board of Directors of Japan Day Inc.

3大石 聡Chairman of the Board of

 Directors and President of Japan Day Inc.

4『舞台「呪術廻戦」-壊玉・玉折-』

5Happi Mascot/Character

6全日本空輸株式会社 

7Bandai Namco Toys & Collectibles America Inc.

8 Daiwa Capital Markets America Inc.

9Hisamitsu America, Inc

10 伊藤忠インターナショナル

11 日本航空株式会社

12KDDI America, Inc.

13丸紅米国会社

14北米三菱商事

15米国三井物産

16日本生命保険相互会社

17ノムラ・ホールディング・アメリカ・インク

18双日株式会社

19米州住友商事

20在ニューヨーク日本国総領事館

21KDDIアメリカ株式会社

22日本生命保険相互会社

23ノムラ・ホールディング・アメリカ・インク

24A.T. Dance Company

25ニューヨークソフィア会

26アメリカン仏教スタディーセンター

27青山学院校友会ニューヨーク支部

28あおぞらコミュニティ基金

29阿波踊り NY連

30美和鼓

31Brooklyn de Kosodate

Children’s Group31

32ブルックリン日本語学園

34白虎館

35Coalition of Asian Pacific Americans

36COBU鼓舞

37Edamovement Lab

38FC Japan

39FDNY PHOENIX SOCIETY

40森の家NYC

41ニューヨーク育英学園フレンズアカデミー

42グラヴィス

43大紐育なぎなた連盟

44ハーレム・ジャパニーズ・ゴスペル・クワイヤー

45ハリソン市消防署

46ハンター大学日本語・日本文化学科

47いけばなインターナショナル本部

48国際空手道連盟 極真会館

49日本空手協会ニューヨーク道場

50ジャパンビレッジ神輿

51ニューヨーク日系人会

52ジャパニーズ・アメリカン・ソーシャル・サービス(ジャシー)

53日米合同教会

54Japanese American Veteran’s Association

55ニューヨーク日本人美術家協会

56ニューヨーク育英学園

57米国日本人医師会

58ジャザサイズ スカースデイル

59JCCファンド/NY本商工会議所(JCCI)/日本クラブ

60Katsura Sunshine’s Rakugo

61慶應義塾ニューヨーク学院

62剣禅道場

63紅玉よさこい

64リーハイバレーJAJAJA & 

ベツレヘム・富田林姉妹都市委員会

65ニューヨーク市のメイドカフェコラボ

66明治大学ニューヨーク紫紺会

67Mr. & Mrs Mets. (New York Mets)

68Music for SDGs

69Naoya Ogura Band

70NY奄美会

71New York Budo Association

72ニューヨーク群馬県人会

73ニューヨーク石川県人会

74ニューヨーク日系ライオンズクラブ

75ニューヨーク剣心会

76ニューヨークきものアカデミー

77ニューヨーク京都倶楽部

78New York Lolitas

79ニューヨーク長崎県人会

80紐育太鼓愛好会

81ニューヨーク大学東アジア研究日本語プログラム

82ニューヨーク和歌山県人会

83ニューヨーク/ニュージャージー 弓道会

84NY広島会&NY愛知県人会

85NY茨城県人会

86ニューヨーク宮崎県人会

87NY・折り紙ボランティアーズ

88NYC Area Judo Community

89ニューヨーク オタク クワイヤ

90NYC- J Fashion

91NYPD Police Band

92ニューヨーク沖縄県人会

93伊藤さちよ舞踊団

94寒川神社

95僧太鼓

96NY グルテンフリーママ

97太鼓マサラ道場

98国際交流基金ニューヨーク日本文化センター

99ニューヨーク日本民俗舞踊研究所

100ニューヨーク日本人学校

101ニューヨーク男声合唱団

102ニュージャージー日本人学校

103東京フロストバレーYMCAパートナーシップ

104トリプル ディ ダンス アンリミテッド

105早稲田大学ニューヨーク稲門会

106世界誠道空手道連盟 誠道塾

107よさこいダンスプロジェクト

天手古舞 / 華鎖波

108Young People’s Chorus of 

New York City

一風堂が最上級店「五行」をNYに

 ラーメンの一風堂が高級ラーメンと寿司の店「五行」をマンハッタンのグラマシー地区の20丁目のパーク街とブロードウエーの間に出店した。4月28日、招待客対象のオープニングレセプションがあり、メディア関係者、インフルエンサーらが大勢集まった。

 プロデュースするのは、NYの1号店からシンガポール、中国、タイ、香港など一風堂の海外出店を担当してきた一風堂USAホールディングス・インクの矢野亮太社長だ。矢野社長がこの店でしか食べることのできない一風堂の最もハイエンドなラーメンを提供している。

 シグネチャーの一杯は「焦がし味噌」(28ドル)で、5種類の味噌を油で300度で焦がしたスモーキーな風味で味噌漬けの焼き豚、旨み卵がついたインパクトのあるラーメンだ。

 「極みとんこつ」(29ドル)は一風堂のお家芸である豚骨にトリュフを入れたコッテリの贅沢な味が楽しめる。一風堂の豚骨ラーメンの最上級バージョンだ。

 「海鮮塩ラーメン」(29ドル)はイカ、蛸、海老、ムール貝、イクラが乗ったラーメンでブイヤベースのような豊かさを味わえる逸品。このほかにも、「醤油つけ麺」(32ドル)、「スパイシー」(27ドル)、「ゆず海苔」(26ドル)があり、どれも一度は味わってみたいラーメンだ。

 味にうるさい食通のグルメな人はもちろん、セレブな来客や取引先の米国人エグゼから「日本のラーメンがアメリカで人気になっているようだが、どこか美味しいお薦めの店に案内してもらえないだろうか」と聞かれた時に、連れて行って全く遜色のない、接待の店としても立派な味、ゴージャスな店内だ。

 もともとは日本で庶民の食べ物だったはずのラーメン。今では20ドルでお釣りが来ればリーズナブルという感覚になった時代の中で、ならば値段に見合った、値段以上の味を追求した結果のラーメンがここに紹介する「五行」の味と言える。

 ラーメンのほか、お任せクオリティーの寿司・刺身がマンハッタンで最もリーズナブルで、平日ランチ限定のスペシャルの海鮮丼(24ドル)、北海道産のウニとイクラがてんこ盛りのデラックス海鮮丼(34ドル)も、かなりのバリューだ。  (三浦)


Gogyo Gramercy

45 E 20th St, New York, NY 10003

Tel:646-454-0057

https://www.ippudous.com/welcome-to-gogyo-gramercy

平日:月ー金 Lunch 12:00-15:00 

                        Dinner 17:00-22:00

週末:土日祝 12:00-22:00     定休日なし

アメリカの原風景に出会う 八神純子が旅するルート66 (2)

 モハーヴェ砂漠にあるモーテルを早朝に出発した。砂漠を抜け、ブラック山脈の山道にかかると、ベージュやグレーに近いモノトーンだった風景は、深い赤やオレンジ帯びる切り立ち、とがった岩峰に囲まれていく。巨大なサワロ・サボテンのシルエットが朝陽に浮かび上がるとアリゾナ州に入ったことを実感する。西部劇の映画の世界そのものだ。 

 しばらく走ると、広い道路を塞ぐようにウロウロする動物達がいる。ロバだった。車が近づいてもどく様子もなく、まるで「よけるべきはあなたたちでしょ」と言わんばかり。そこでこちらが徐行すると、車に近づいてきて窓から頭を突っ込んでくる。なんて愛嬌のあるロバ達なんだ!!とびっくりしてしまう。

 ここはオートマン。その昔ゴールドラッシュで栄えた街だ。ロバ達は金鉱山採掘で運搬などに使われていたが、今は野生化し、昼は街に降りてきて観光客を楽しませては食べ物をもらい、夜は山に帰るのだそうだ。賢い。

 突然、発砲音がした。振り返ってみるとカウボーイ二人が銃を向け睨み合っていた。何やらその一人が相手の奥さんにちょっかいを出したらしい。言い争う声のボリュームが上がるやいなや「バーン」という音とともに一人が地面に倒れる。観光客向けのガンファイトショーとは知っていても、やはりどきっとしてしまう。ショーが終わってチップを渡すと撃たれて倒れたカウボーイもムックリ起き上がり、満面のスマイル。記念写真に納まってくれた。

 オートマンからの峠道は、ディズニー映画「カーズ」の中で、主役のライトニング・マックィーンがレースをした山道のモデルとされた道。険しいくねくね曲がった道を走り抜けるとルート66全盛期に賑わったクールスプリングスに着いた。旅人達が「魔の山越え」を控えた最終給水、給油所となっていたガソリンスタンド、クールスプリングススタンドは今でもその頃の景観が保たれ、観光スポットになっている。

 「マザーロード」の風景や当時の雰囲気、施設を守りながら、一緒に生きている人たちを見ていると、私が「アメリカってこういうところかな」と抱いていた原風景に出会えている気になる。この旅は私がアメリカをもう一度知る大切な時間になりそうだと思えた。(やがみ・じゅんこ、シンガーソングライター、カリフォルニア州ロサンゼルス在住)

円と国債は守れるのか、静かに進む経済非常事態

 日本の国家債務はGDPの2倍強といわれ、先進国中でも突出している。だが、国の借金である国債残高は全て日本人の個人金融資産と相殺され、国際市場の洗礼を受けない、これが長い間の財務省の説明であり、国民もこれを信じてきた。これを神話の第一としておこう。

 第二の神話は、仮に日本の国家債務が危険水域であったとしても、日本はIMF(国際通貨機関)への世界第二位の出資国という信用があるというものだ。もっと言えば、日本という国は大きすぎて潰せないという神話である。確かに、日本の国家債務はドル建てで8兆ドルという途方もない規模であり、IMFの準備している基金のほぼ10倍ある。ギリシャやアルゼンチンのように、IMFに救済できる規模ではない。

 バブル崩壊から36年、国家債務は膨張こそすれ改善には向かっていない。けれども、日本円や日本国債への信認が揺らぐ局面は少なかった。反対に、2008年のリーマン・ショックにおいては、日本の動揺は限定的であったため、様々な対策で債務を増やした主要各国と比較すると、日本の財政規律は「比較優位」に見えていた。このため、放っておけば円高となる中で、アベノミクスと日銀の「異次元緩和」により円安誘導がされた。当時は、原油安のために副作用が少なかったこともあり、輸出産業が空洞化する中でも多国籍企業の海外業績が膨張する効果はあり、株高や賃上げにはつながった。

 安倍政権が終わって、菅、岸田、石破と内閣が続いた中では、ウクライナ戦争による原油高、資材高、更にはコロナ禍後の各国のインフレなどにより、円安のデメリットが出てきた。だが、日米に金利差のある中では、円安に歯止めをかけるのは難しかった。やがて物価高が顕著となる中では、国民は財政規律を緩めてでも減税を望み、これに財務省が抵抗する中で自民党政治への批判が強くなっていった。

 高市早苗氏が総理総裁として登場したのは、こうした流れの中であった。国民は積極経済を掲げる高市氏に高い支持を与えたが、これは「減税」を望む世論と、できないとする財務省の間で無責任な言動を繰り返す野党の「敵失」があったことも大きい。けれども、高市氏の「積極経済論」というのは、国際市場からは「財政規律を大幅に緩めるのでは」という懸念をもって受け止められた。これにイラン情勢による原油の一段高が加わることで、日本経済ならびに日本国債、そして日本円への信認が揺れている。

 この問題であるが、高市総理や片山財務相としては、心外の思いであろう。真の財政規律は緊縮ではなく経済成長によってのみ実現できるはずであり、高市政権の積極経済という姿勢は誤解を受けている、そのような主張には十分な根拠はある。

 けれども、直近の情勢としてはズルズルとドル円は160円の大台を越えようとし、同時に10年もの国債の金利は2・5%に乗った。やむを得ず、4月末に政府日銀は5兆円規模の為替介入を行ったようだが、155円台に上げた後は、円は再び静かに売られている。一部には、投機的な「円売り」が発生しているという見方も出ているが、その底流にはもっと深刻な問題を感じる。それは冒頭申し上げた神話の消滅ということだ。

 まず個人金融資産であるが、確かに国家債務の倍近くの2000兆円はあるようだ。だが、年金基金ですら50%が海外で運用されている時代、個人金融資産も相当額が海外投資に向かっていると考えられる。そうなれば、国債残高との相殺というストーリーは成立しない。

 一方で、日本円と日本国債は大きすぎて潰せないというのは今も変わらない。けれども、日本の国家債務の負のスパイラルが加速した場合として、別のシナリオが多く語られるようになった。それは、ある時点で日本が保有する米国債を売らざるを得なくなり、そうなると日本発の信用不安の連鎖になるという説だ。これが、日本円と日本国債への警戒感を増幅している。

 つまり、2つの神話はどちらも効かなくなっているのである。注目すべきは日本の連休明けであり、何としても円と国債のジリ安を止めねばならない。徹底した行革による歳出抑制、教育や雇用に踏み込んだ産業構造改革など、痛みを伴う改革を断行できるか、高市氏には真の意味でサッチャー改革のような決意を見せていただきたい。

(れいぜい・あきひこ/作家・プリンストン在住)

鈴木長崎市長 NYタイムズに感謝伝える

「訪れるべき52か所」記事に

 国連本部で開催された第11回NPT再検討会議に合わせて来米した鈴木史朗長崎市長が1日、ニューヨーク・タイムズ紙の取材で同紙読者へのメッセージを問われる場面があった。

 鈴木市長は「被爆者の平均年齢が86歳を超えており、被爆というこれほど非人道的な被害を受けた被爆者による証言の声が聞けなくなってくる。今、次の世代が想いを発信していっている。そんな長崎の地に訪れ、自分の目、耳、心で感じてほしい。今回、ニューヨーク・タイムズ電子版の『2026年に訪れるべき52か所』に選んでもらった。その記事にも書いていただいたが、当時、長崎の街の中心部に雲がかかっており、見えなかったため、浦上の地に原爆は落とされた。結果として、街の中心部の魅力は失われなかった。長崎を訪れて、紙一重で残った長崎の街並みを見に来てほしい」という趣旨のメッセージを伝えた。

 長崎市は、今回の市長訪米に合わせ、ニューヨークのジャパン・ソサエティーで観光PRセミナーの開催や原爆に関するパネル展示、映画「NAGASAKI」の上映を行った。海外からの観光誘致に大きな影響のある「訪れるべき52か所」に選ばれたことに対する感謝の気持ちを渡米前からニューヨーク・タイムズ社へ直接伝えたいと願っていた鈴木市長にとって、同紙のインタビューを通してNYタイムズ社に感謝の気持ちを直接伝え、再度長崎の魅力をアピールすることができた格好となった。

 長崎市文化観光部の観光交流推進室室長の廣田公平さんは「私達としては、想いを伝えることができ、目的としていたところに行き着くことができました」と安堵の気持ちを語った。

(写真)国連本部傍聴席の鈴木長崎市長(写真提供・長崎市)

ゆるめて整う、母の時間 山並絵美さん

ニューヨーク州理学療法士

 産前産後の女性たちに人気のエクササイズ教室がある。講師は、理学療法士の山並絵美さん。ニューヨークで11年間、治療に携わってきた。自身の出産を機に、母親たちが自分の体に目を向けてほしい思いが強まり、去年の夏から無料で開いている。

 参加者は、妊娠初期から産後1年過ぎの女性まで幅広く、毎回会話や笑い声が絶えない。4月の回では、足のむくみに悩む妊娠中期の女性が、「心も軽くなった」と安堵の表情で教室を後にした。

 アメリカでは出産後の入院期間が短いうえ、家族のサポートを受けにくく、早い段階から自力で育児と家事を担うケースも少なくない。山並さんは理学療法の観点で、心身への負担を少しでも和らげる方法を多くの人たちに伝えている。

ーなぜ始めたのですか?

山並:「私自身も産後の不調を経験する中で、より患者さま一人一人の背景や気持ちに寄り添いながらサポートしたい思いが強くなりました。運動したいけど何から始めたらいいかわからない人たちのきっかけとなったり、自分の体と向き合う時間を作ることで、今後の不調の気づきや予防になったりしたらいいなと思って開催しています」

ー意識していることは?

山並:「一番は『安全性』と『その方の今の状態に合っているか』です。体の状態、回復の過程や感じ方は人それぞれだと改めて感じたので、基本の流れは作りつつも、強度やポジションは個別に調整できるようにしています。体の重心やコントロールを整えること、また、育児に必要な機能的な動きも取り入れています。育児からちょっと離れる時間とか他の人と出会える場になってほしいです」

 山並さんはミシガン州育ち。学生時代スポーツに打ち込み怪我をした際、リハビリに助けられ、理学療法士を志すようになった。多様な患者との出会いや学びの機会を求めてニューヨークへ移り、ファンクフィジオに就職。月経や閉経、産前産後、更年期などに悩む多くの患者を診る中で、ウィメンズヘルスの専門性を極めるようになった。

ー改めて、産前産後はどのようなケアが最も重要?

山並:「骨盤のケアの重要性は広く認識されていますが、妊娠による変化は、ホルモンの影響で目に見えない早い段階から筋肉や関節、内臓やメンタルも含めて全身に影響が及びます。産後も分娩や育児、生活の変化の影響を受けるため、特定の部位だけでなく、全身を統合的にみて、多方面からアプローチすることが大切です」

ーご自身も育児に励まれる中、母の日を前に頑張るお母さんたちへ贈る言葉は?

山並:「どうしても自分のことは後回しになりがちですが、体は思っている以上に日々の積み重ねの影響を受けます。ほんの少しでもいいので、呼吸を意識したり、体を動かしたりするだけで楽になることもあります。『今日はこれでいいか、よくやった!』くらいの気持ちでそれぞれのペースでいいのかなと思います。気軽に相談してほしいです」

 産前産後の状態は人それぞれと語る山並さん。理学療法士と母の経験が生みだす温かい教室は、忙しい母たちの心身がのびのびできる憩いの場となっている。

(川﨑理加、写真も。元NHKアナウンサー。報道番組や国際放送、インタビューなどを担当。米国出身)

ハリソンで日本祭り 6月7日(日)開催へ

地元高の日本人グループが企画

「地域と日本文化共有したい」

 ウエストチェスター郡ハリソン高校の日本人生徒団体「いちしぶ」主催の日本祭りが今年も6月7日(日)午前11時から午後5時までハリソン駅隣接の図書館前公園マ・リス・パークで開催される。

 このお祭りは、日本人の生徒士が文化的なつながりを深め、互いに学び合いながら、日本文化の奥深さや美しさを再認識できる場を提供している。こうした経験を通して、日本人コミュニティ内にとどまらず、地域全体に日本文化を共有したいという強い思いから同校の日本人グループが企画した。地元の日本食料品店「おいしんぼ」が協力して同店社長の高田英紀さんがアドバイザーを務めている。

 当日は、日本の祝日や夏祭りで親しまれている伝統的な遊びを体験できるゲームブースを設置し、子どもから大人まで楽しめる場を提供するほか、よさこいや空手の演武など、日本の舞踊、音楽、芸術のパフォーマンスを行う。

 また折り紙、習字、日本のおもちゃなど、歴史を通じて大切にされてきた日本文化を体験できる参加型ブースも設置される。

 このほかスタンプラリーやクイズ大会など、来場者全員が参加できる企画をフェスティバル全体を通して実施する予定だ。

 屋台による日本食の提供も行われ、収益は ハリソン町に寄付されるほか、2024年1月1日に発生した能登地震の被災地、東日本大震災への復興支援に使われるという。雨天の場合は予備日として6月13日(日)を予定している。

ファイブ・スポット・ジャズ Monday満ちるトリオがライブ

 イーストビレッジに蘇った伝説のジャズクラブ、ファイブ・スポット・ジャズ(東9丁目231番地)で2日夜、ゴールデンウイーク日本週間特集としてボーカリストのMonday満ちるとそのトリオがライブ公演した。2部構成で一部では母で世界的なジャズピアニストの秋吉敏子と夫のサックス奏者ルー・タバキン夫妻が客席で見守る中、秋吉が最後に弾く定番のHIROSHIMAを歌い、秋吉が涙する姿もあった。満ちるは、自身のアルバムから「ミステリー・オブ・ザ・ライフ」などを熱唱した。

 同店は、1950年代後半にNYダウンタウンにあったジャズクラブ、ファイブ・スポット・カフェを甦らせたいと、レストラングループTICの八木ボン社長が、普段は同社が営業する「ハイカラー(Hi-Collar)」を特定の夜に照明を落としてライブ音楽を響かせてジャズクラブとして復活させたものだ。スタイリッシュでコンパクトな和風カフェで、最高級のコーヒー、オムライス、厳選された日本酒やウイスキーを提供している。ジャズベーシストの中村照夫やトランペットの日野皓正、日本を代表するジャズ・ギタリストの川崎燎らが演奏したかつてのジャズスポットを再現した店で演奏を聴くのもよし、演奏をするのもよし、歌うのもよしのNYだ。 (三浦)

スケバン女子プロレス 世界王者決定戦

一夜限りの熱い戦い

 米国を拠点とする日本人の女子プロレス団体SUKEBAN(スケバン)が19日、ハマースタイン・ボールルーム(西34丁目311番地)で帰省イベント「スケバン・ワールド・チャンピオン・ファイト」を行う。

 SUKEBANは2023年9月21日にNYで旗揚げ戦を行い、チケットは発売開始わずか2時間で完売した。日本で活躍する女子プロレスラーで成り、コミッショナーは1980年代の女子プロ全盛期、極悪同盟で人気を博したブル中野が務める。昭和の女子の反抗期を象徴するスケバンのメイクとファッション、女子プロならではの技とパフォーマンスでロンドンやベルリンでも白熱する試合を展開し、SNS上でも世界的な話題となっている。当日は原宿スターズ、デンジェラス・リエゾンズ、チェリー・ボム・ガールズ、トーキョー・トーイズ、バンダルズの5チームが5試合で闘う。スター選手のタッグマッチでは、原宿スターズのイチゴ・サヤカ(ウナギ・サヤカ)がデンジェラス・リエゾンズのクイーン・オブ・ハーツ(高瀬みゆき)との対戦でチャンピオンベルトを防衛できるかが見どころとなる。

 そのほかサプライズ・ゲストの登場、東京を拠点とするクリエイティブ・ユニットのMargtがビジュアルと音楽で会場を盛り上げる。注目の女子プロたちの衣装は、Y2Kファッションで世界的に話題のデザイナー、ヴァナ・ヤングスティーンやミス・クレア・サリバンほか、メイクはパット・マクグラスのチーム、ネイルはNY拠点の川尻メイ、帽子はスティーブン・ジョーンズが手掛けるなど、ファッション・ウィークさながらの巨匠らが一夜限りのイベントを支える。チケットの購入はwww.ticketmaster.comでSukeban World Championship Fightを検索、そのほかの詳細は公式サイトhttps://www.sukeban.comを参照する。