消えた子どもたち Weapons

 ある夜、同じクラスの17人の生徒が失踪した。予告編を見る限り、UFO、宇宙人による集団拉致をほのめかすSF調ストーリー。タイトルの「Weapons」も一種の宇宙兵器をにおわせる。「Barbarian」(2022年)のザック・クレガー監督・脚本が仕掛けるスリル満点のミステリーホラーだ。

 人気俳優を目玉にしているわけでもないが、謎が謎を呼ぶ物語だけに公開1週目の興行成績は断トツ1位。

 何人かのキャラクターに焦点を当て、彼らの視点から物語の流れ、事件との関わりが語られ、謎を秘めたまま観客はぐいぐいとプロットに引き込まれていく。

  ペンシルベニアの小さなコミュニティである晩、17人の生徒が一度に失踪した。ジャスティーン教師が担当する3年生のクラスで1人を除く全生徒が消えたのだ。いくつかの監視カメラには子どもが玄関から出て両腕をわずかに広げ、闇の中に走り去る様子が映っている。何者かに連れ去られたのではなく自発的な行為だ。保護者はパニックになり警察は総動員で捜索を始めるが行方は分からない。

 当然のように担任のジャスティーンが関わっているのではと追及されるが本人はおろおろするばかりだ。ブロンドのカーリーヘアに大きなフレームの眼鏡をかけた若い女性教師は見るからに事件とは関係なさそうだ。しかし、人は見かけだけではわからない。保護者の一人、アーチャーはジャスティンがアルコール依存症の気があり、職場不倫でもめたことを調べ上げ、疑惑の念を深めている。

 もう一つの手がかりはクラスで1人だけ失踪しなかった生徒アレックスだ。彼はクラスメイトがいなくなったことに驚くばかりで何も知る様子はない。ただ、アーチャーの息子マシューがアレックスをいじめていたという事実は親も学校も知らない。

 物語はアーチャーに続きジャスティーンと不倫関係にある警官ポール、ポールに追われているホームレスのジェームス、校長のマーカスらが次々と登場し彼らのユニバースを展開させる。

 一体、子どもたちはどこに。クレガー監督得意のコメディタッチのホラー全開で観客は一気にエンディングへと押し流される。2時間8分。R指定。  (明)

クラスで一人だけ残ったアレックス Photo : Warner Bros. Pictures


■上映館■

Regal Times Square

247 W. 42nd St.

AMC Empire 25

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312 W. 34th St.