八神純子が旅する ルート66  (第5回)

青空に魅せられて

 私がアメリカ、それもカリフォルニアに住みたいと思ったのは、雨の降らない夏の雲一つない青空が、見ているだけで私を幸せにしてくれたからだ。そんな話を聞いた親友はかつて「だったらセドナを見ないで人生を終えちゃダメよ」と言っていた。

 そのセドナがルート66からちょっと離れたところにあるのだから、これまた立ち寄らないわけにはいかない。セドナはご存知の通り、グランドキャニオンと並ぶ西部の一大観光地。地磁気が強く、vortexと呼ばれるパワースポットの街として世界中から人が集まってくる。地磁気が脳に良い刺激をもたらすなんて言われたら、スピリチャルな世界を信じるタイプではない私でさえ、パワーチャージができるような気になる。

 でも私の目的は「青空」だ。本当に美しかった。カリフォルニアとは青さの深みが違う。その青が浮かぶ雲を白ではなく、真珠色に輝せる。青をさらに引き立てるのはそびえ立つ赤い岩・レッドロック。グランドキャニオンで感じた「地球の底力」を、また別の角度から、別の風景から教えられた気分になった。確かに「見ないで人生を終えてはいけない」青空だった。

 ルート66に戻り、セドナとともに観光地となっているフラッグスタッフに向かう。ルート66沿いの街々には、ゴーストタウンのようになってしまった街と、フラッグスタッフのように洗練されたトレンディーな街もある。その日がちょうどアメリカの建国記念日だったので街中は観光客であふれていた。観光の案内人によると「ショーが行われる」とか。それも山火事の危険を減らすため、花火ではなくドローンによるショー、だという。

 夜9時近く。小高い丘に立っていると「ブーン」というちょっと不快な音と共に約百機のドローンが飛んできた。その姿はまるで巨大な蜂の大群のよう。ドローンが光を放つと人々の歓声が上がり、「USA」とか「60年台のクラッシックカー」とか「ルート66 100周年」などと文字や絵を描くと、拍手が湧いた。

 それぞれの街には、先住民族から作り上げてきた歴史がある。人が作る光景もある。一方で、地球が人類など一顧だにしない自然がある。ルート66を旅する中で、アメリカという国の大きさや深さをあらためて感じ、もっとアメリカを知りたくなっていった。

(やがみ・じゅんこ、シンガーソングライター、ロサンゼルス在住)

国家的悲劇としての熊本地震

 1995年の阪神淡路大震災は多くの人命を奪い、大規模なインフラを破壊した。けれども、当時の日本の経済力は被災全域の復興を迅速に実現した。2011年の東日本大震災においては、特に津波の被災地域においては嵩上げと巨大堤防という巨額投資がされた。結果的に人口減を加速させたが、少なくとも現場の政財界が求めたインフラ復興は実現した。

 けれども、2024年の能登震災では状況は暗転した。過疎地への復興投資を疑って都会の有権者に媚びる言動が野党勢力から飛び出したのを良いことに、政府の動きは鈍かった。主要幹線道の修復も上水道インフラの回復も信じられないほど遅かったのである。

 そして、今回の熊本地震である。2016年に2回の震度7を経験したほぼ同じ地域を、改めて強烈な揺れが襲った。10年前の教訓は確かに生きており、この間の耐震投資の成果はあったと見られる。けれども、震災の被害と復興への見通しを考えると、今回の事態は10年前の震災とは比較にならないものを感じる。今回動いた断層以外にも、日本列島には危険な「Sクラス」の断層が多く走る。これが、俗に言う直下型震災の危険につながっている。それとは別に、南海トラフのリスクがある。そんな中で、今回の熊本の事態は改めて地震の可能性というのが国家的な危機であり、いったん被災してしまうと危機は悲劇に転じるということを否が応でも感じさせている。東日本や能登の震災は過疎高齢化と震災の二重被災という悲劇であったのは間違いない。けれども、今回の26年熊本地震が示すものは、日本列島の全ての地域、全ての国民に危機を突きつけているということで、過去のいずれの震災とも意味合いが異なる。

 3点指摘しておきたい。

 1点目は、震災と酷暑のダブル被災という問題だ。夏季限定のリスクではあるものの、このリスクについては全国一律に直面しているのは間違いない。例えば、南海トラフにしても首都直下型にしても、酷暑の時期に発生した場合、今のままでは膨大な関連死が発生する。日本の夏は高温多湿だから風通しの良い建築で対応というのは過去の話であり、現在のような摂氏40度で湿度75%という中では、電力が途絶えてエアコンが停止した場合には多くの人口が死に直面してしまう。対策は可能だが巨額の投資を必要とする中で、社会的な合意形成が必要だ。

 2点目は、誤った社会的心理である。東日本から能登にかけてネット社会では、多くの誤った意見が幅を利かせるようになってしまった。まずボランティアについては、「受け入れ態勢が整わない以前に現地入りするのは悪」だとして摘発、また政治家については「被災地入りは売名行為」だとして徹底非難、更には「マスコミの取材活動は被災者に迷惑」だとして批判という三点セットである。どれも個別には正しい場合もあるだろうが、一般論としては暴論であり弊害ばかりである。けれども残念ながらこの種の指摘が横行する中で、関係者が効果的に動けていない。

 3点目は、耐震性の問題だ。前述したように、今回は10年前の震災と比較すると、倒壊家屋の数から見られるように耐震建築の効果は歴然としている。けれども、局所的には非常に大きな揺れに襲われて甚大な被害が出ているのは否定できない。

 例えば、九州新幹線については事故につながるような脱線は避けられたが、設備の破壊は10年前より深刻である。軌道の断裂や高架橋のズレなどを生じており、復旧には数カ月単位以上を要すると見られている。高速道も同様であり、要衝の部分で高架橋の損傷が激しい。

 製紙工場の煙突倒壊にについても、ショッピングモールのガス漏れにしても、詳細は調査を待つしかないが、どうやら想定外の激しい揺れが耐震性能を上回ってしまったようだ。八代市役所の免震構造破壊も同様である。日本の震度基準では最高を震度7として、揺れの加速度と周期を中心に定義がされている。また、この数値を前提に免震・耐震技術を積み上げてきた。けれども、震度7の数値をはるかに上回る揺れが起きるとなると、免震・耐震への投資をどこまで追加するのかは、国家的判断となる。現状では足りないとしても、国力の問題として無限に投資はできない。

 今回震災への対応は、こうした意味で全国民を当事者とした深刻な課題を提起していると言える。

(れいぜい・あきひこ/作家・プリンストン在住)

スマホで旅券 申請可能に

スマホで旅券 申請可能に

マイナンバーカード所持者限定

外務省 8月25日以降に操作方法を発表

 ニューヨーク日本総領事館は4日、【お知らせ】としてマイナポータルからのパスポートのオンライン申請の運用開始について次の通り発表した。(原文まま)

◇ 

 本年8月25日以降、国外転出者向けマイナンバーカードをお持ちの方は、マイナポータルからパスポートのオンライン申請が可能となる予定です。

 マイナポータルからの申請方法の詳細については、8月25日以降に外務省ウェブサイトに掲載予定の操作説明動画やマイナポータルの操作マニュアルをご参照ください。

 なお、オンライン在留届(ORRネット)からのオンライン申請も引き続きご利用いただけます。

申請方法(抜粋)

 マイナポータルからパスポートを申請される際は、事前にスマートフォンにマイナアプリ(8月25日提供開始予定)をインストールの上、ご利用ください。マイナポータルからの申請方法の詳細については、8月25日以降に外務省ウェブサイトに掲載予定の操作説明動画やマイナポータルの操作マニュアルをご参照ください。

外務省ウェブサイト:

https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/index.html

マイナポータル操作マニュアルウェブサイト:

https://img.myna.go.jp/manual/03-10/0225.html

  オンライン在留届(ORRネット)との相違点

 マイナポータル申請と従来のORRネット申請の主な相違点は次の通り。

(1)マイナポータルからパスポートを申請する場合は、「国外転出」と記載されたマイナンバーカードが必要。

(2)マイナポータルからのパスポート申請では、戸籍情報がシステム連携により自動的に取得されます。したがって、有効なパスポートをお持ちでない方や氏名や本籍地等に変更があった方がパスポート申請する場合に、別途戸籍謄本や電子戸籍パス(戸籍電子証明書提供用識別符号)をご用意いただく必要はありません。ただし、未成年者などのパスポート申請を法定代理人が代理提出する場合であって申請者と法定代理人の戸籍が異なる場合等には、電子戸籍パスが必要。

(3)マイナポータルからは、在外公館等でパスポートを受け取る場合のほか、一時帰国中に日本国内の旅券事務所でパスポートを受け取りたい場合にもオンライン申請が可能です。

(4)マイナポータルから未成年者などのパスポート申請を法定代理人が代理提出する場合、法定代理人はマイナンバーカードを使って電子署名するため、別途署名画像をアップロードする必要はありません。

(なお、パスポートに記載する申請者の自署画像のアップロードは必要です。)

●国外転出者向けマイナンバーカードについて

https://www.ny.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/News_2024-05-27.html

●パスポート申請について

https://www.ny.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_00472.html

●電子戸籍パスについて

https://www.moj.go.jp/MINJI/denshikoseki/index.html

海外結婚相談室 行動が変わると、景色が変わる

〜いつもと違う週末にふたりの未来をイメージ〜 

 「出会いがないんですよね〜」世界でいちばんエネルギッシュな街、ニューヨークで奮闘するみなさんから、実はいちばんよく聞くセリフです。無理もありません。朝から晩までタフな交渉をこなし、気づけば週末も仕事。せっかくニューヨークに住んでいるのに、毎日が家と職場を往復するだけのルーティーンになっていませんか?

 夜遅くまで残業して帰宅した、ある独身男性がぽつりとこぼす。「真っ暗な部屋の電気をつける瞬間が、いちばん寂しい」。同僚たちは家族の待つ家へ帰っていく。自分だけがデリバリーの容器を片付けながら、静けさと向き合う孤独な夜。仕事の成果は誰よりも認められているのに、ドアを開けても「おかえり」の一言がない。ニューヨークという街の華やかさの裏側で、こんな夜を過ごしている駐在さんは、決して少なくないはずです。

 週末、少し時間ができたならば、いつもと違う行動を起こしてみてください?例えば、ゲット・ユア・ガイドのアプリを開いて、サミットワンのチケットを48ドルで入手しキラキラを体験してみる。ハドソンヤードへ行ってエッジに登り、マンハッタンを俯瞰して見る。ピアからクルーズ船に乗ってみる。観光客には定番でも、住人は意外と自由の女神さえ行ったことがなかったりします。

 「彼女とのデートはこんな感じで」「ランチはここのカフェで」。イメージを膨らませながら週末のプランを立ててみると、見慣れたマンハッタンが、二人で過ごす素敵な街に見えてきます。

 意識が変わると現実が変わる。行動が変われば出会いもある。とはいえ、忙しいあなたが婚活のためだけに割ける時間はそう多くないかもしれません。だからこそ身元が確かで本気度の高いお相手と出会える結婚相談所という選択肢が近道なのです。「パートナーがいたらな」と、ただ待つよりも、一歩を踏み出してください。電気をつけた瞬間に「おかえり」と言ってくれる人が、きっと見つかります。

松本直子

国際結婚相談所TJM代表。米国を拠点に、世界でパートナーを探す日本人女性と海外男性の良縁を繋ぐ。温かく丁寧な支援で成婚へ導く。  https://traditionaljapanesematchmaker.us/

日本の職人技を売る 地方の物産にも特色

NY NOW展示会

DECO BOKOが日本ブース出展

 日本のブランドと米国のバイヤーを繋ぐ展示会「DECO BOKO(ノース・レーン・インターナショナル、徳重真梨子代表主宰)」が、2日から4日までニューヨークのジェイコブ・ジャビッツ・コンベンション・センターで開催された米国最大規模のギフト・雑貨展示会「NY NOWサマー2026」に展示ブースを出展した。今年10回目で、今回は21ブランドが展示された。

(写真上) はんこ掘りの実演をする月野さん(右)とDECO BOKOを主宰する徳重さん

 今年は神奈川県内の企業がグループ参加したほか、日本全国の職人技を世界にアピールできる出店者が多かった。

 KAMAKURA SIGNET(鎌倉はんこ、代表取締役・月野允裕)は、鎌倉の歴史と職人技を礎に、日本の「はんこ」をラグジュアリーコレクターズアイテムとして再解釈した、現代的なシグネットブランドだ。鉄のフライパンを製造する株式会社ナウ産業(今寿義社長)は窒化黒染め加工で耐久性を高めた日本製鉄製調理器具を展示。今社長は、取手の接続部分の溶接は一発勝負でやり直しが効かない熟練の職人技が必要だという。絞りのファッションを手掛ける株式会社山上商店(本社・名古屋市、山上正晃社長)は、数百年の歴史を持つ「有松絞り」の技法と現代スタイルを融合したファッションブランドcucuriを実演紹介。組み木のジーンワークスの贈り手・池谷賢さんは精巧に組み上げられた商品を手に来場者に説明。Gojiaiは日常をちょっと豊かにするライフスタイルコレクションを紹介。代表の髙橋夏奈さんのジーンズのエプロンが来場者の目をひいた。

 DECO BOKOの徳重さんは「ここに来ればデザイン性の高い新しい日本ブランドが見つかるというバイヤーからの信頼と豊富な実績」を今年はさらに実感していると言う。

燕三条からは6社
SHOPPE OBJECT参加

 新潟県は、県内企業の米国への輸出拡大を図るため、ニューヨークでの販路開拓支援を実施し、2日から4日までチェルシーで開催された商品展示会SHOPPE OBJECTに燕三条の6社が参加した。浅野木工所(園芸用品、土農工具、レジャー用品)の副社長、浅野利栄子さんは「ブルックリンの園芸ショップなど、こだわりのあるお客様からの引き合いが多い。園芸バッグもサイズ感が珍しいと人気です」と話す。

 石﨑剣山の佐藤大輔社長は「アメリカ人の華道家の人などが買い求めてくれています」と特にミニサイズの剣山が人気とのこと。

 セネカはコーヨー・プロダクツ・ジャパンの名前で金属製のペーパータオルホルダーなどを並べた。金属おろし金メーカーのツボエの笠原伸司社長は手のひらに馴染む形状のおろし金のカラーバリエーションの美しさを手に取って説明した。とても軽い。

 高桑金属が作ったバナナの柄がついた食器はニューヨーク近代美術館(MoMA)の売店で売られているヒット商品。パケージもレトロな雰囲気で可愛い。

 製作工房武田は、スコップの形をしたスプーンが来場者の目を引いた。同社製作部の今井美穂さんはスパナの形をした柄のスプーンは、トヨタ自動車の博物館で販売されているという。

 燕三条ブランド推進部海外展開支援課課長の関川啓三さん=写真=は、燕三条の知名度は米国ではまだ浸透していない分、逆に伸び代があると見ている。「昨今の円安は、日本からの輸出には追い風で、昨年以上に海外からの引き合いが増している」と話している。

NYで夢に挑む 日本人女性たち


 本紙の今年のNY生活ウーマンのページで登場した日本人女性の中で、自らの夢を達成するために果敢にも単身でNYにやってきて夢を実現、または現実にしつつある10人を改めて紹介する。掲載号は本紙デジタル版(www.nyseikatsu.com)で読むことができる。

ダンサー 藤井千聖さん

https://nyseikatsu.com/editions/1036/pdf/page55.pdf

自分らしい音楽を奏でたい フルート奏者 佐伯麻由さん

https://www.nyseikatsu.com/featured-article/02/2026/45924/

歌って踊れるエンターテイナー raTera (ラテラ)さん

https://www.nyseikatsu.com/featured-article/03/2026/46071/

世界中を飛び回るピアニスト目指して  結束真琴さん

https://www.nyseikatsu.com/featured-article/04/2026/46278/

海外で9回目のカルメン踊る 柏木みどりさん

https://www.nyseikatsu.com/featured-article/04/2026/46393/

デザインは国境越える深夜特急 髙坂美桜さん

https://www.nyseikatsu.com/featured-article/04/2026/46454/

オーディションに夢託す  鵜飼優波さん

https://www.nyseikatsu.com/featured-article/05/2026/46608/

短歌とジャズの融合で新世界 及川陽菜さん

https://www.nyseikatsu.com/featured-article/07/2026/46953/

防衛医科大卒のバレエ教育者 菊池理園さん

https://www.nyseikatsu.com/interview/07/2026/47008/

日本での医師経験を米医療AIに生かす  石井京さん

https://www.nyseikatsu.com/featured-article/07/2026/47044/

「AI時代の今、NYで生きる」 Polyphony展覧会

ギャラリー60で27日から

 多声性を意味する音楽用語から命名したアーティストグループ「ポリフォニー」の、4人による企画展「いきる/Being」が8月27日から31日まで、ギャラリー60 NYC(東60丁目208番地,電話・347・601・4323)で開催される。入場無料。

 異なるバックグラウンドを持つ4人の作家が、「いきる/Being」を共通テーマに、各自の制作スタイルを「起承転結」のストーリーへと昇華させそれぞれの視点から表現する。

 副題の「巡・瞬・知・伝」は、命の「巡り」をテーマに制作をする越山由唯から始まり、いきる「瞬間」を捉える山口蒼平、いきる上で必要な「知恵・知識」を提示する落合晶代、人が培ってきた確かな技術・文化を継承し「伝える」ことを主軸に活動する戸髙綾乃が、一つの輪となる構成で作品を発表。

 日本画、書、パステル画、アクリル画、ミクストメディアなど、多様な技法の作品大小合わせておよそ約85点を展示。異なる表現が響き合い、「いきる」という普遍的なテーマを多角的に問いかける内容となる。

 29日は、午後1時から3時まで参加型ライブ制作を実施。同日午後5時から7時までレセプションパーティーも開かれる。

 開催時間は正午から午後5時までで、最終日は午後3時終了。詳細はギャラリー公式ホームページhttps://www.gallery60nyc.com/を参照のこと。

 企画協力株式会社美音。

編集後記

編集後記

 みなさん、こんにちは。まずは、この度の熊本地方を中心とする九州、西日本全体の地震災害に際しまして、被災された皆様とそのご家族、アメリカに在住するご親族、ご友人の皆様に心よりお見舞い申し上げます。そして亡くなられた犠牲者の皆様のご冥福を祈ると共に、今なお、瓦礫の下で救助を待たれている人々が一刻も早く救出されることを祈っております。私がプライベートで所属するニューヨーク日本人美術家協会も、8月末から9月10日まで開催される第54回年次展覧会のチャリティー小作品の寄付先を急遽全会一致で今回の地震被災者支援に充てることを決めました。被害の規模の全容はまだわかっていませんが、連続的な地震が続いているとのこと、ニューヨークの日系社会も支援に乗り出すものと見られます。

 今週号では、いろいろなニュースやトピックを取り上げていますが、トランプ大統領の移民政策や交渉の出口が見えないイランとの戦争によるガソリン価格、物価の高騰などの記事も並んでいます。トランプ政権になって間もなく2年目の秋がやってきますが、私たちの生活は果たして豊かになったのでしょうか。アメリカ第一主義で進んできた政策によって、移民に対する規制が強化され、合法滞在であっても、このまま外国人として住み続けることの安泰が保証されるのかに疑問符がつく場面も少なくないです。与党政権がもし民主党だったら、ここまで無慈悲な排外政策はしなかったでしょう。市内に難民が溢れて路上や有名ホテルがシェルターになってしまうのも嫌ですが、その人がちが一掃されて、刑務所や国外の隔離施設に護送される姿は、私がまだ幼稚園児くらいの小さい時に東映動画で観た漫画映画(まだアニメなどという言葉が存在しなかった時代)jの「安寿と厨子王丸」の姉と弟の小舟での絶叫の別れを思い出します。子供心に可哀想で泣いてしまった記憶があります。

 コロナ禍前まではウクライナ戦争も、イラン戦争も、トランプ課税もない、割と平和なアメリカでした。この6年で、アメリカは様変わりしました。マンハッタンには超高層マンションが一室5億円でバンバン売られています。お金持ちだけが幸せを享受する政治は、優しさがない社会を生み出しそうです。まあ、全てがうまくいく人生なんてないんでしょうが、自分が不幸だと思い始めたらキリがありません。病気知らずで健康で、ご飯が美味しく食べられたらそれだけで幸せなんでしょうね。お金持ちだって、お金で買えないものがあることを知った時はただの人ですからね。それではみなさん良い週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2026年8月1日号)

(1)一部移民に巨額制裁金 自主出国へ経済的圧力

(2)夏こそキャンプ 週末に喧騒逃れて 

(3)アイヌの伝統文化次世代が ジャパン・ソサエティーで魂を披露

(4)日英両国首脳の任期は約2年 海外日本人サポート

(5)日系一世の肖像公開 NY日本人歴史デジタル博物館

(6)マムダニが変える? 視座点描

(7)沖縄和牛 マンハッタンで試食会

(8)オンライン補習校開校へ 海外子女教育振興財団

(9)日本酒の作り手の思いを米国に伝えて  古矢美花さん

(10)五感で味わう日本の涼 SUMIYOの和心歳時記 

一部移民に巨額制裁金 自主出国へ経済的圧力

 トランプ米政権が、国外退去命令に従わず米国内にとどまる一部の移民に対し、1日998ドル(約16万3千円)の民事制裁金を科し、「自主出国」を迫っている。国土安全保障省(DHS)によると、2025年1月の政権発足後、10万3000件を超す通知を出し、請求総額は840億ドル(約13兆7500億円)以上。法律上5年分までさかのぼれば、1人当たり約182万ドル(約2億9800万円)に達する。

 7月24日付ニューヨーク・タイムズ紙によると通知には短い異議申し立て期限が設けられ、支払わなければ民間回収会社への移管、信用情報機関への報告、給与差し押さえ、税還付金の没収、連邦訴訟などの可能性が示される。メキシコ出身で米国に17年間暮らし、人道ビザを申請中の女性には約182万ドル(約2億9800万円)が請求された。封筒には、政府の「CBPホーム」アプリを使って自ら出国すれば制裁金を免除するとの案内も同封されていた。

 また、米軍人と結婚し、米国生まれの子ども4人を育てるトーゴ出身女性は130万ドル超(約2億1300万円)を請求され、夫婦の税還付金1万662ドル(約174万円)が差し押さえられたという。移民側の弁護士や支援団体は、在留資格取得の手続き中の人や、当局が退去を一時停止した人まで対象になる例があるとして、適正手続きや「過大な罰金」を禁じる合衆国憲法修正8条に反すると提訴している。

 制度自体は1996年の移民法で認められたが、実際の大規模運用はトランプ政権が初めて。バイデン前政権はいったん撤回したが、トランプ氏は再就任初日に復活させた。政府は、別の救済措置を申請中でも退去命令違反の責任は消えないと主張。DHSは7月16日までに120万ドル(約1億9600万円)超を回収しており、強制送還とは別の経済的圧力として運用を強めている。

夏こそキャンプ 週末に喧騒逃れて

 ニューヨークの夏は短い。その貴重な季節を満喫するなら、都会の喧騒を離れて自然の中で過ごすキャンプがおすすめだ。観光客でにぎわうマンハッタンとは一味違う、ゆったりと流れる時間を味わえる。テント設営が苦手な人は、予めテントが用意されたサイトを利用すれば、気軽にアウトドア気分を楽しめる。

 ホワイトプレーンズから車で約2時間、スワンレイク近郊にある「ビーバーウッド・ファーム」=写真=は、15エーカーの農場を活用した大人限定のキャンプ場。区画ごとのサイトは設けられていないが、温水シャワーやピクニックテーブル、焚き火スペースが整備され、薪は1束20ドルで購入できる。予約者には、農場案内に加え、近隣のウォルナット・マウンテンのハイキングコースや渓谷の穴場の水遊びスポットなど、周辺の見どころをまとめたオリジナルマップが提供されるのも魅力だ。動物を追い回さないしつけができた犬は同伴可能だが、16歳以下の子どもは利用できない。チェックインは午前9時から午後9時まで。料金は1泊30ドルから。車がなくても運転免許があればレンタカーで気軽に行ける。週末の一泊キャンプならリーズナブルな価格で収まり、静かなキャンプを楽しみたい大人にはぴったりのレジャーだ。

(写真上)ビーバーウッド・ファーム・キャンプ場Photo courtesy Beaver wood farm:www.instagram.com/beaverwoodfarmers/

ハドソンバレーのキャンプ場で夏を満喫!

 NYの短い夏を楽しむのにおすすめなのがキャンプ。観光客で混雑する街を離れて、豊かな自然の中でのんびり時間を過ごす、これこそ贅沢の極みと言えよう。

■ドミニオン・ハウス・ファーム&トレイル

 ホワイトプレーンズから車で1時間、オレンジ郡ブルーミング・グローブにある40エーカーの農場にあるキャンプ場で、農場は州と国の史跡登録簿に記載されている。農場内のB&Bで成功したオーナー夫婦が数年前にオープンしたキャンプ場は「Hipcamp」などのサイトで高評価を得ている。農場内には歴史ある納屋や昔ながらの手押しポンプ、古風な風車など、見どころがたくさんあり、のんびり草を喰む馬を見ながら散策するのが楽しい。また、「シャワンガンク・ワイン・トレイル」の中間に位置し、半径20マイル以内には数多くのワイナリーやクラフトビール醸造所が点在しているほか、北東部屈指のバードウォッチング・スポットである「バシャキル自然保護区」へも5マイルの距離。キャンプ場は4つに区分けされていて、サイト1は舗装された私道から容易にアクセスできる平坦な石敷きの区画で、30アンペアの電源とピクニックテーブルが利用可能。サイト2、3、4は野原エリアにあり(電源等の設備なし)、各サイトにピクニックテーブルと焚き火用リングが備わっている。1泊35ドルから。

https://www.hipcamp.com/en-US/land/new-york-dominion-house-farm-and-trails-nelhl8j8?searchSource=land-autocomplete&adults=1&children=0

■レッド・フォックス・メドウ・キャンプサイト

 ホワイトプレーンズから車で約1時間半、ニューパルツのストーン・マウンテン・ファーム内にあるテント専用のキャンプ場で、森に覆われた尾根と自転車と歩行者専用のトレイル(Wallkill Valley Rail Trail)の間に位置し、ハイカーやサイクリストにとって理想的な拠点となっている。こぢんまりとしたプライベートな空間を楽しめるよう、4つのテントサイトしかない。水道、温水シャワー、トイレを完備。5つのファイヤーピットがあり、敷地内には焚き火用の薪も豊富に用意されている。近所にはピザが美味しい「ローゼンデール・レイル・トレイル・カフェ」や、古い鉄道の高架線路が遊歩道に姿を変えた「ローゼンデール・トレッスル橋」が徒歩圏にある。遠距離ドライブをせずに静かなキャンプ場で自然を満喫したい人におすすめ。ペットの同伴可。1泊35ドルから。

www.hipcamp.com/en-US/land/new-york-red-fox-meadow-campsite-v1qhvzmj?adults=1&children=0

■マウンテン・トップ@ライト・ファーム

 前述のニューパルツのすぐ南の街、ガーディナーにある1904年創業の農場内にあるキャンプサイトで、なだらかな丘に広がる果樹園やシャワンガンク山脈の美しい景色を望む。敷地内では池や農場の風景を眺めながら、サイクリングやハイキング、ジョギングなどが楽しめる。農場として運営しているため、キャンプサイトの近くをトラクターが通り過ぎたり、果樹園の手入れをするスタッフの姿を目にすることもある。農場内にあるファームストアでは、チーズ、採れたて野菜と果物、地元産の肉類を販売している。古い酪農用納屋を改装したビール醸造所もあり、午後3時から7時まで営業している。ファームストアで仕入れた食材でBBQしながら、作りたてのビールを飲む、ワイルドでグルメなキャンプを楽しもう。1泊54ドルから。

www.hipcamp.com/en-US/land/new-york-the-mountain-top-wright-s-farm-47rvh8yk?adults=1&children=0

■ローカスト・グローブ・ウォーターフォール

 ホワイトプレーンズから車で2時間、キャッツキル山地にあるオーク・ヒルという小さな集落の川沿いに位置するキャンプ場で、すぐそばにある滝の音をBGMに眠ることができる。敷地内には3つのテントサイトがあり、そのうち2つは滝を見下ろす小川沿いにある。テントには2人用クイーンサイズベッドがあり、シーツと枕はあるが、予備の毛布や暖かい服装を多めに持参すること。テント前にはピクニックテーブル、屋外トイレ、ファイヤーピットを整備。テント内では電気を利用できるが、悪天候時には電力の供給が保証されない場合がある。長靴やハイキングブーツ必須。私道は整備されているが、天候によっては四輪駆動の車が必要。敷地内に点在するハンモックでくつろいだり、滝のふもとの水遊びスポットで遊んだり、ハイキング派には車で数分の所にウィンダム・マウンテンなどさまざまなトレイルがある。テントを張る手間がいらない楽ちんキャンプ。1泊90ドルから。=写真上=

www.hipcamp.com/en-US/land/new-york-locust-grove-waterfall-mxvhxy97?adults=1&children=0

アイヌの伝統文化次世代が ジャパン・ソサエティーで魂を披露

 ジャパン・ソサエティーは7月22、23日、「アイヌ・サマー・フェスティバル—アイヌの物語、文化、そして伝統」を開催した。北海道平取町との共催で、日本北部の先住民族・アイヌの歴史や文化を多角的に紹介する催し。会場には北海道・平取町から15人の工芸家や文化継承者、教育関係者が来米した。アイヌ古式舞踊の公演をはじめ、木彫りのワークショップ、アイヌ料理のデモンストレーションと試食、映画上映、講演などを通して、言語や生活文化、精神文化に触れる機会を提供した。両日ともに完売の大人気となった。

 今回のフェスティバルは、アイヌ文化の保存と継承に生涯を捧げた平取町の故・萱野茂さん(1926〜2006)の生誕100周年を記念して企画された。萱野さんは平取町二風谷地区を拠点にアイヌ文化の復興運動に尽力し、日本でアイヌ民族として初めて国会議員となった政治家としても知られる。

 一行を率い来米した平取町の遠藤桂一町長は「アイヌ文化をニューヨークで紹介できることを光栄に思う。アイヌの人々が誇りを持って暮らせる社会を目指し、次世代へ伝統を継承していきたい」とコメントした。国会でアイヌ文化振興法が制定されたのをきっかけに平取町は8年前、アイヌ文化振興公社を作り、遠藤町長自らが社長となって伝統文化の継承事業を推進している。

 それまでコミュニティ活動として継承され続けてきた日本のアイヌ文化が今、会社組織となって所得保障がなされたことで、アイヌ文化を広める会社の社員としての誇りと未来への希望が、来米したアイヌの若者たちの顔に溢れていた。明るく快活で、会場でも大勢のアメリカ人観客と積極的に会話して交流を深める姿が印象的だった。アイヌ魂(スピリット)が見事に次世代に伝承されバトンタッチされていることを強く印象付けた2日間だった。

 会期中には、エミー賞受賞歴を持つ映像作家の溝口尚美さんが10年以上かけてアイヌのコミュニティを訪れて信頼関係を築き、製作したドキュメンタリー映画「Ainu ーひと」が上映された。また、イベント前夜に北海道ゆかりの会(竹田勝男代表幹事)による歓迎会がマンハッタンの日本食レストラン「つくし」で開催され、道産子同士の交流の話に花を咲かせた。今回に続き、平取町から8月12、13日に第二陣のグループが来米してアイヌ文化の紹介を行う。次回は独特のアイヌの刺繍や言語のワークショップが予定されている。

 (三浦良一記者、写真も)


「アイヌ・サマー・フェスティバル—アイヌの物語、文化、そして伝統」8月12日(水)▷午後4時〜5時30分「Ikarkar=an ro!」刺繍ワークショップ午後5時30分〜6時45分「Itak=an ro!」アイヌ語ワークショップ▷午後7時〜8時30分「Sinot 沙流川流域の踊り」公演(レセプション有り)■8月13日(木)▷午後4時〜5時30分「Sinot=an ro!」アイヌ古式舞踊ワークショップ午後5時30分〜6時45分・映画「Ainuー ひと」無料上映会・監督の質疑応答▷午後7時〜8時30分「Ikarkar & Itak: 」アイヌの刺繍と言語。(レセプション有り)入場料・一般20ドル、学生とシニア17ドル、会員15ドル。詳細とチケットの申し込みはウェブサイトhttps://japansociety.org/ainufestival/