日英両国首脳の任期は約2年 海外日本人サポート

 7月20日英国のスターマー首相に代わり、バーナム首相が誕生しました。10年間で7人の首相の平均任期は約1・7年です。日本の戦後首相の平均任期約2・2年は世界の最短命首相と言われます。しかし短命である理由は大きく異なります。

 一、英国では与党議員が支持を変えての首相交代が多いのです。4月の地方選挙で、与党労働党が改革党に大敗したことが発端です。次に、マンチェスター市長のバーナム氏が6月の補欠選挙で改革党に圧勝して「改革党に勝てる首相」と映り雪崩現象が起きました。

 日本の与党議員は、首相の人気が下落しても公認権や人事の縛りなどで首相交代を言えません。英国の議員は有権者の意見を尊重して首相を選びますが、それには以下の前提があります。①候補者の公認は、選挙区の党員投票で決定する。②選挙区内の有権者の個人相談が第一の職務である。

 二、英国の政治家には、法的決着以前に政治的・倫理的責任を取る風土があります。次期首相の可能性もある改革党のファラージ党首が7月に議員辞職して、彼への信任を問う補欠選挙に出馬します。資産家からの違法な住宅提供との報道への切り返し策です。

 英国では議会常任特別委員会、国家監査院、メディアなどが調査を行います。閣僚辞任後も調査は続くため、コロナ禍での飲食会出席で辞任したジョンソン首相は、更なる事案の発覚で議員辞職に至りました。

 日本の国会では、高市早苗首相の米国時の肩書や中傷動画対応に関して、関係者招致や資料提出を巡る対立が起きました。米国や英国の議会は証人喚問や文書の提出権限を有するのに対し、日本の国会は有しないのです。

 日英間のより大きな違いは、英国では首相が交代しても議会を解散しないことです。2024年の総選挙で大勝した労働党の公約を継承する限り、首相が交代しても政権の正統性は変わらないとの認識です。日本では、首相が頻繁に解散を行ってきました。「英国の首相は自由な解散権をもつ」という学説が根拠ですが、英国の首相が解散権を多用しないことが明白です。トランプ大統領は、議会の承認を得ずに対イラン戦争を開始し、閣僚や最高裁判事などを罷免しましたが、議会だけは解散できません。その大統領以上の権力を日本の首相が行使しているのです。

 激動の世界で各国首脳との緊密な連携を要する今、日英両国首相の任期拡大は世界全体に必要です。

ふじた・ゆきひさ=オックスフォード大政治国際問題学部客員研究フェロー。慶大卒。国際ICや難民を助ける会等の民間外交活動を経て国会議員、民主党国際局長、財務副大臣等を歴任。現在、国際IC日本協会理事、岐阜女子大特別客員教授、東アジア共同体研究所特別研究員。英国在。

日系一世の肖像公開 NY日本人歴史デジタル博物館

名前特定まだ15人

写真家・井上博行氏が撮影

 NY日系1世のポートレートと聞き書きが「ニューヨーク日本人歴史デジタル博物館」で公開された。1980年頃に写真家・井上博行さん(故人)が撮影・記録したもので、日本語と英語でオンラインで無料閲覧できる。肖像をクリックすると聞き書きの内容を読むことができ、約百年前の日系人の足跡を辿る貴重な資料となっている。

 井上さんはグラフィックデザイナーの斎藤央火さんと2人で「パイオニアともいえる方々の記憶を残そう」と、新移民法(アジアからの移民を全面的に禁止する条項あり)が交付された1924年以前にいた日本人を約1年余りかけて訪ね歩いた。

 昨秋、ニューヨーク日系人会ボランティアの竹田あけみさんと青野栄子さんが文字おこしをした聞き書きがポートレートとともに同会で展示され、本紙新年号でも特集で紹介したが、時間が経過したために、現在15人しか名前を特定できていない。未特定39人、計54人の肖像が掲載されている。

 今回、同館学芸員の横山由香さんにより、その作品群の大部分がオンラインで閲覧できるようになったことで、さらなる情報が集まることが期待されている。同博物館は、NY地域における日本人・日系人の歴史を記録・保存することを目的に、5年前に在ニューヨーク日本国総領事館の支援を受けてJAA内に設立された。運営はニューヨーク日本人歴史評議会が担っており、コロンビア大学教授で邦人医療支援ネットワーク(JAMSNET)代表でもある本間俊一さんとJAA名誉会長のスーザン・J・大沼さんを中心に行われている。

www.historyofjapaneseinny.org/jp/issei/

マムダニが変える? 視座点描

 9月の国連総会にニューヨークにやってくるネタニヤフを逮捕するなんて話が無理なのはすぐにわかります。逮捕状発行の国際刑事裁判所(ICC)に米国は非加盟だし、しかもその一地方都市に逮捕状執行の法的権限はあるはずもない。外交は専権的に連邦政府の管轄ですし、おまけに国家元首や首相には不逮捕特権もあります。ただし、そんなことは重々承知の上での「逮捕検討」とのゾーラン・マムダニ市長のメッセージは強力に世界に伝わりました。

 政治はメッセージ。パレスチナ・ガザ地区への無分別なネタニヤフ政権の軍事行動は、米国内でのイスラエルそのものへの信頼を確実に毀損しています。7月15日に下院で採決された「イスラエルへの軍事支援を打ち切る修正案」は、イスラエルに対する33億ドル(約5350億円)規模の外国軍事資金援助を停止・削除する内容でした。そこに民主党議員の103人が賛成票を投じたのです。

 最終的に同案は共和党の反対で104対314で否決されましたが、これまでイスラエル支援案はほぼ満場一致で可決されるのが常態でした。それが民主党内だけとはいえ、投票した同党201人の過半数が「イスラエル切り」を行った。議員の1人は「ネタニヤフの戦争と戦争犯罪に対し、無責任に白紙小切手を発行する時代は、少なくとも民主党内では終わった」と話しました。

 中間選挙を3カ月後に控え、民主党が変わりつつあります。反トランプ路線としていわゆる「急進左派」「共産主義」と攻撃される勢力が民主党内部で力を持ち、「党内で深刻な分断」とまで言われています。でもその「顔」となりつつあるマムダニの政策を見ていると、むしろそれは庶民感情に沿った「生活者重視」路線でしかないように見えます。

 ボコボコだった市内の舗装道路の穴はすでに17万カ所近く修繕され、幽霊住民の多い超高級アパートの所有富裕層に別宅税をかけるなどの例はすでに知られていますが、その後も「小規模ビジネス支援」として余計な許可手続きを廃止・迅速化したり新規事業者にコンサルタントをつけて許認可や検査申請を一括支援したり低利融資をしたり登録料を無料化したり、はたまた24時間公衆衛生医療品(生理用品や避妊具、衛生キット、薬品過剰摂取解毒剤など)の無料自販機の設置拡大や、果てはW杯のチケット超高額化に対抗して50ドルチケットを市民向けに抽選で1千枚用意したりお隣ニュージャージー州の会場スタジアムへの無料往復バスを用意したりセントラルパークでの5万人規模の無料観戦パーティーを企画したり100以上のパブリック・ビューイング会場を設けたり、おまけにマムダニ自身はライカーズ島の刑務所で模範囚100人と一緒にテレビ観戦して盛り上がったり、と八面六臂の仕事ぶり。ライカーズでの彼のメッセージは「(服役中の)彼らも出所すればニューヨーカーだから」。そんなこと言われたら再犯なんかしないで頑張ろうと思うわね。

 反トランプの一指標として、そのマムダニが称揚する「民主社会主義」って「なんかいいじゃないの」と「社会主義アレルギー」の米国が受け入れ始めています。CNBCの最新調査では選挙で「民主社会主義者」の候補に投票するという人は、MAGA候補に投票するという27%より多い32%に達しています。

 政治はメッセージ。「働いて働いて働いて」と言いながら「仕事が大変で睡眠時間は0〜3時間」なんてボヤいて同情を買うなんてことは絶対にしないだろうし、仕事が楽しくてしょうがないというふうな満面の笑顔の使い方も実に上手い──そういや、こんな面白い34歳の姉妹都市の市長に、7月中旬に5泊6日でニューヨーク視察を行った小池百合子東京都知事は会っていないんですよね。都庁関係者によれば、会談を画策したがどうも叶わなかったようです。市政の実務に忙しいからでしょうね。

(武藤芳治/ジャーナリスト)

沖縄和牛 マンハッタンで試食会

「霜降りは濃く、後味は軽く」

 沖縄県「高付加価値・グローバル展開加速化事業」の一環で、沖縄の優れた県産品を世界へ発 信する「OKINAWA ACROSS THE WORLD 2026」沖縄県産和牛試食会が7月17日にマンハッタ ンの焼肉専門店「TORAJI NYC AN」で開かれた。

(写真上)左から知花さん、池田さん、シェフのラミレスさん、井上さん

 主催は沖縄県。事業統括プロデューサーのTHE CROSS・井上翔輝氏と、事業推進責任者の沖縄JTB・池田善宣氏が事業全体の企画・運営を担い、沖縄米国ビジネス促進協会の知花真斗会長も来場してイベントを支援した。

 今回提供された石垣牛は、沖縄県石垣島の温暖な気候と豊かな自然の中で育てられた希少な黒毛和牛。最高等級のA5に格付けされ、脂肪交雑を示すBMS11 を記録した。個体識別番号や枝肉格付証明書も提示され、生産地や品種、格付けまで確認できる高いトレーサビリティーも紹 介された。

石垣牛(最高等級A5)

 肉にはきめ細かな霜降りが入り、焼くと脂がゆっくりと溶け出す。口に含むと柔らかな肉質と上品な甘みが広がる一方、脂の後味は軽く、赤身本来のうま味もしっかりと感じられた。会場では沖縄の工芸や自然を表現した器も使用され、食材だけでなく、島の文化や生産背景も一体として伝えた。

 参加者からは「これほど霜降りが豊かなのに脂がくどくなく食べやすい」「部位ごとに香りや甘 み、柔らかさが異なり、料理の幅が広がる」との声が聞かれた。米国市場では味だけでなく、 生産背景やトレーサビリティーも重視されるため、沖縄和牛の強みが評価されそうだ。

 井上氏は「沖縄和牛を単なる高級食材ではなく、沖縄の自然や文化、サステナビリティーを体現するアイランドブランドとして世界へ届けたい」と強調。知花会長も、今回の試食会を契機に高級飲食店などへの販路拡大につなげたいとの期待感を示した。沖縄和牛はニューヨーク市場 で新たな存在感を示し始めている。 

■古市裕子

サステナビリティ・ジャーナリスト。国連サステナビリティ (ABD: Ph.D.) 。著書・新潮社『欧米企業に学 ぶ・SDGs 転換戦略:サステナブル×これからの企業価値』。『パーパス: 何の ために存在しどんな価値を提供するのか』

オンライン補習校開校へ 海外子女教育振興財団

補習校通えない子供対象

 海外子女教育振興財団(JOES)は、遠隔地等で補習授業校などに通えない子供たちのために、オンラインの補習校「JOES Global Online Academy LEAD(GOAL)」を開校する。子どもを対象とした同期型(ライブ)と非同期型(アーカイブ)の授業等に加え、保護者向けのセミナーや特別講義も提供。デジタルを活用し、さまざまな企業や大学、世界の有識者、教育関係者とつながることで最先端の「学び」の提供を目指す。授業はZoom、Google Meet、Microsoft Teams などの一般的なビデオ会議ツールを使用する。 

 実際の授業は時差の関係もあり、世界各地の参画スクールが行う。9月からスタートする参画スクールは、西大和学園オンライン補習校(カリフォルニア州)、グアム国際日本人学校(グアム準州)、ブルーミントン日本語補習校(インディアナ州)、 ブリスベン国際日本語学校(オーストラリア・ブリスベン)、ニューヨーク育英学園(ニュージャージー州)、日本映像翻訳アカデミー(JVTA、カリフォルニア州)の6校。

 申し込み・詳細は公式サイトhttps://www.joes.or.jp/kojin/goalを参照する。

解説 在外教育施設とは

 外務省によると、在外教育施設は、主に現地の日本人会などにより設置・運営されているが、日本国憲法の精神及び2022年に成立・施行された「在外教育施設における教育の振興に関する法律」に基づき、外務省としては、文部科学省や、公益財団法人海外子女教育振興財団など関係機関と協力しつつ支援を行っている。(1)日本人学校=日本人学校は、文部科学大臣から国内の小学校、中学校、若しくは高等学校と同等の教育課程を有する旨の認定を受けており、日本人学校中学部卒業者は、国内の高等学校の入学資格を、高等部卒業者は、国内の大学の入学資格をそれぞれ有する。教育課程は、原則的に国内の学習指導要領に基づき、教科書も国内で使用されているものが用いられている。(2)補習授業校=補習授業校は、現地校、インターナショナル・スクールなどに通学している日本人の児童生徒に対して、授業のない土曜日、日曜日や放課後等の授業のない時間に、国内の教科書を用いつつ小・中学校の国語、算数など一部の教科について授業を行い、「在外教育施設に対する支援に係る指定等に関する規程」の第1条に規定する各号の基準に適合し、外務大臣の指定を受けた在外教育施設。(3)私立在外教育施設= 私立在外教育施設は、国内の学校法人等が母体となり海外に設置した、全日制教育施設であり、文部科学大臣から、国内の小学校、中学校、若しくは高等学校と同等の課程を有する旨の認定又は相当の課程を有する旨の指定を受けている。私立在外教育施設の中学部の卒業者は国内の高等学校の入学資格を、高等部卒業者は国内の大学の入学資格をそれぞれ有している。

日本酒の作り手の思いを米国に伝えて  古矢美花さん

ワールド・サケ・デーNYCを主催するイラストレーター

 今年も 日本酒をニューヨークで紹介するワールド・サケ・デー(World Sake Day NYC)が 9月にブルックリンの会場で大々的に開催される。毎年300人から400人ものアメリカ人の日本酒愛好家で賑わい、日本酒30銘柄以上が一堂に集まる珍しい機会だ。

 今年で開催6回目を迎える同イベントは、日本酒を通じて日本文化の魅力をニューヨークで発信することを目的に2021年10月1日の「日本酒の日」にちなんでブルックリンのバー「MIKA」でスタートした。古矢さんが当時経営していたそのバーで扱っていた加藤酒ワークスのオーナーで杜氏の加藤忍さんから「日本酒をカジュアルにアメリカ人に紹介できるような何かイベントをできないか」と相談され、サポートローカル、サポートアーティストのモットーで経営していた古矢さんのバーが倉庫を改造した巨大な場所だったこともあり、酒蔵やディストリビューターの協力を取り付け、実現できたのがこのイベントの始まりだ。それまでニューヨークには、酒蔵と飲食店、ディトリビューターを対象にしたBtoBのイベントは数多くあったが、酒蔵が一般の日本酒愛好家などと直に接触して交流できるようなイベントが少なかったこともあり、予想外の大成功を納めた。

 2年後に会場を移転したその後も古矢さんが引き続き「ワールド・サケ・デーNYC」の仕掛け人として主催している。日本全国の酒蔵やディストリビューターによる試飲に加え、和食や日本のアート・クラフトなども楽しめる文化イベントとして毎年盛況なイベントに成長した。

 飲食・ホスピタリティ業界での活動も、イラストレーター、クリエイティブディレクターとして培ってきた経験の延長線上にある。2001年に来米して、アップステートのコミュニティ大学で2年間を過ごしたのち、FIT(ファッション工科大学)イラストレーション学科を2006年に卒業、アートの道に進んだ。在学中も雑誌ヴォーグなどのファッションイラストで活躍していた田辺ヒロシ氏や当時の大学教授にメンターになってもらった。卒業後はイラストレーターとして活動し、現在はクリエイティブディレクターとしてもレストランやホテルなど幅広いプロジェクトを手掛けている。クリエイティブなものを発信する一環として「日本酒の作り手の思いを一般のアメリカ人に理解してもらえるような場を作る」 きっかけに繋がった。「私は日本酒の専門家ではありません。酒蔵やソムリエ、インポーターなど、多くの専門家の皆さんに支えていただいています。私の役割は、その皆さんがニューヨークの人々と出会い、日本酒を通じてその魅力、文化を伝えられる舞台をつくることだと思っています。5年間、人とのつながりを大切に続けてきました。続けることで、人がつながり、コミュニティが育っていく。それこそが、このイベントの魅力だと思っています」と語る。日本酒の作り手たちを「アートの担い手」として温かい眼差しで見守る。

 (三浦良一記者、写真も)

日本酒通じて日本文化紹介
ワールド・サケ・デーNYC

ブルックリンで9月27日

 今年も ワールド・サケ・デーNYC(World Sake Day NYC)が 9月27日(日)午後4時から9時まで、ブルックリンにあるThe W Loft Rooftop240(Kent Ave)で開催される。日本酒を通じて日本文化の魅力をニューヨークで発信することを目的に2021年にMIKA bushwick でスタートしたイベントで、今年で6回目を迎える。毎年300〜400人が来場し、日本全国の酒蔵やディストリビューターによる試飲に加え、和食や日本のアート・クラフトなども楽しめる文化イベント。昨年は前NY総領事の森大使も来場し、スピーチを行った。

 入場料は一般77ドル53セント(15杯分の試飲チケットと酒グラス付き)、VIP112ドル39セント(試飲無制限、ギフトバッグ他付き)。チケット・詳細はウェブサイトhttps://www.worldsakedaynyc.comを参照する。

五感で味わう日本の涼 SUMIYOの和心歳時記

 はじめまして、ニューヨークの皆様。すみ代です。

 美容・健康分野での長年の経験をもとに、裏千家茶道・煎茶道などを広く学び、日本文化と禅の精神を現代のライフスタイルに融合させる活動を行っています。

「美しさは外見だけでなく、心の在り方に宿る」という理念のもと、茶道・禅・ヨガ・ウェルビーイングの共通性を探究し、日本の美意識を国内外へ発信しています。

本コラムでは、茶道、着物、和モダンのテーブルコーディネート、季節のしつらえ、食と五感を大切にする暮らし、美容とウェルビーイングなど、日本ならではの美意識を紹介したいと思います。

 夏…日本の夏は暑さが厳しい季節です。しかし、日本人は昔から冷房だけに頼るのではなく、「涼を感じる工夫」を暮らしの中に取り入れてきました。目で、耳で、香りで、肌で、そして味わいで。今回は、日本ならではの「涼」をご紹介します。

① 五感で涼を楽しむ

「心が涼しければ、身体も涼しくなる」

 日本人は昔から五感を使って夏を楽しんできました。「視覚」…風鈴、水盤、青もみじ、朝顔 「聴覚」…風鈴の音、風に揺れる竹の葉、せせらぎ、蝉の声 「嗅覚」…白檀、檜、薄荷(ミント)、柚子 「味覚」…冷たい抹茶、和菓子、西瓜、そうめん 「触覚」…竹、麻、い草、団扇、打ち水 どれも自然を感じさせ、心を穏やかにしてくれます。

 暑さを「我慢する」のではなく、季節を「楽しむ」のが暮らしの知恵です。忙しい毎日の中でも、一輪の花を飾る。ガラスの器に料理を盛る。風鈴の音に耳を澄ませる。そんな小さな工夫が、心に涼を届けてくれます。日本には、四季を慈しみながら暮らす文化があります。今年の夏は、ぜひNYでも五感を使って「涼」を感じてみませんか。

② 浴衣に学ぶ日本の知恵

「着物で涼をまとう」

 浴衣は綿や麻など天然素材でできており、風を通し、汗を吸い、肌に優しく、日本の蒸し暑い気候に合わせて作られています。また、帯を締めることで背筋が自然と伸び、袖口や裾から風が通り抜けるため、実はとても機能的な衣服です。さらに、浴衣には花火大会や夏祭りだけではなく、「夏を楽しむ心」が込められています。洋服では味わえない、季節をまとう豊かさがあります。海外でも簡単に着れるのが浴衣の良いところ。ぜひ気軽に浴衣を着てお出かけください。

③ 夏の食卓の演出

「目から涼を感じる」

 日本の美意識には”見た目で温度を変える”という考えがあります。例えば、ガラスの器・青磁や白磁の器・竹のランチョンマット・笹の葉・朝顔や紫陽花・ガラスの花器など、これらを取り入れるだけで、食卓は一気に涼やかな印象になります。食卓の演出を考えることは、料理を美しく飾ることではなく、季節を迎え入れる空間づくりなのです。

     

プロフィール

すみ代

 SUMIYO WELLNESS JAPAN Founder、美容家・茶道家。岩手県盛岡市を拠点に国内外で活動。エステサロン「ホロニックベルサンテ」を主宰し、ペットエステ事業も展開。一般社団法人国際シンセリティセラピスト協会理事、基礎医学士。ISTA認定講師・小顔/美顔矯正セラピスト、日本痩身医学協会認定ダイエットセラピスト、全米ヨガアライアンス認定YOGAインストラクター、一般財団法人民族衣裳文化普及協会認定講師。裏千家茶道・煎茶道などを広く学び、日本文化を通して、心・身体・暮らしを整えるウェルビーイングを発信中。

編集後記

編集後記


 みなさん、こんにちは。ニューヨーク市議会で、セントラルパーク名物の観光馬車を禁止する法案が成立する公算が強まっています。法案は、6月の馬車事故で死亡したインド人観光客ロマンチ・マハジャンさん(18)にちなみ「ロマンチ法」と呼ばれ、営業許可の新規発行や更新を段階的に停止し、2028年6月1日までに馬車を全面廃止するという内容です。動物愛護団体は、交通量の多いマンハッタンで馬を働かせることは危険で非人道的だと主張しています。


 一方、馬車御者や運輸労組は、主に移民からなる約200人の雇用が失われるとして反対。馬は定期的な検査を受け、適切に飼育されているとし、事故を理由に伝統産業そのものを廃止するのは行き過ぎだと反論しています。馬車は1863年ごろから公園で観光客を乗せ、映画や広告を通じて「ロマンチックなニューヨーク」の象徴とななりましたが、ペット保護団体として知られる米動物虐待防止協会(ASPCA)は、馬への虐待を目撃したヘンリー・バーグが1866年に設立したもので、規制を求める運動も馬車とほぼ同じ歴史を持つ長い争点です。

現在は68台が営業許可を受けていて1年間に4週間の休暇が義務付けられているそうです。法案が成立すれば、約165年続いたニューヨークの風景が幕を閉じることになります。40年以上馬車の御者をしている男性は、3人の子供を大学に行かせ、2人は弁護士になったと誇らしげに語りました。また7月15日の公聴会に参加したという別の御者は、「馬車の営業が停止になれば、御者には再就職の道や補償があるが、馬は、馬術愛好家などに売られることはあっても、その多くは市に引き取られて殺処分となる運命だ。それが動物愛護団体が希望していたことだとは思わない」と話しました。馬も人間と同じなら、働くことに喜びを感じている馬もいるのではないでしょうか。今週号の17面で掲載しています。 それではみなさん良い週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2026年7月25日号)

(1)ネタニヤフ首相NYで逮捕か マムダニ市長が検討表明

(2)夏の野外映画上映 ブライアントパーク

(3)テーブル小物で広がるペーパーエンボスの魅力

(4)カナダの山火事で大気汚染

(5)「映画づくりはAIなしで」是枝監督NYで語る

(6)宇宙空間で「糖」検出 生命の起源に必要

(7)AIのトリセツ

(8)花束を抱えた者同士 ニューヨークの魔法

(9)日米野球交流描く 村上雅則さん登壇

(10)写真家の植山さん 8月に大阪で日本発個展

ネタニヤフ首相NYで逮捕か マムダニ市長が検討表明

国連総会来たら

 ニューヨーク市のゾーラン・マムダニ市長は18日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が9月の国連総会に出席するためニューヨークを訪れた場合、国際刑事裁判所(ICC、本部:オランダ・ハーグ)の逮捕状に基づいて拘束できるか、市法務部やニューヨーク市警と協議していることを明らかにした。

 マムダニ氏はニューヨーク・タイムズの18日付「ザ・インタビュー」で、「ネタニヤフ氏は訴追された戦争犯罪人で、ハーグにいるべきだ」と述べ、逮捕の可能性をめぐり市の法務部などと「活発な協議」を続けていると語った。一方、逮捕を可能にするため市の法律を改正する考えはないとし、現行法の範囲内で対応すると強調した。

 マムダニ氏は昨年の市長選挙中から、ネタニヤフ氏がニューヨークを訪問すれば逮捕すると表明していた。今回の発言は、就任後も方針を維持しながら、実際に市長やニューヨーク市警に権限があるかを検討していることを示したものだ。ICCは2024年11月、パレスチナ自治区ガザでの戦争犯罪と人道に対する罪の疑いで、ネタニヤフ氏に逮捕状を出した。ネタニヤフ氏とイスラエル政府は容疑を否定し、ICCには管轄権がないと反発している。米国はICCの設立条約に加盟しておらず、ICCの逮捕状が米国内で直接執行できるかは不透明だ。外国政府首脳の免責や国連総会出席者の扱いも関係するため、元検察官らからは、市長や市警が単独で逮捕することは困難との指摘が出ている。ちなみにトランプ大統領は20日「逮捕されることはないだろう」とコメントしている。

テーブル小物で広がるペーパーエンボスの魅力

◆ニューヨークで親しんだモダンシノワズリ

 皆さま、いかがお過ごしでしょうか。今回は、私がニューヨークで長年親しん

できたモダンシノワズリのエッセンスを取り入れた、夏のおもてなしをご紹介します。

◆モダンシノワズリを彩る

テーブル

 ベースには、私がレッスンやディスプレイでも愛用しているフランス製ジャカード織のテーブルクロスを使用しました。織りが生み出す上品な表情は、ロイヤル コペンハーゲンのブルー&ホワイトや古伊万里とも美しく調和し、モダンシノワズリならではの奥行きを演出します。

 センターピースには竹の二段重をあえて一段ずつに分け、ブルーベリーとブ

ラックベリーの実を添えたグリーンとチンツ柄の浮き玉を飾りました。テーブルにも浮き玉をあしらい、夏らしい涼感を演出。中央には唐獅子の香炉をオブジェとして配し、龍のモチーフを取り入れたナプキンがアクセントになっています。ニューヨークで培った感性を大切にしながら、国やジャンルにとらわれず、それぞれの魅力を調和させ一つの世界観にまとめました。

◆テーブル小物で広がるおもてなし

 近年、日本ではペーパーエンボスを取り入れたカードやテーブル小物づくりが人気を集めています。多くのリクエストをいただいたことをきっかけに、「NY 流のおもてなし」の番外編として、テーブル小物編のレッスンもスタートしました。

 今回は、LUTERU DESIGN 

シノワズリエンボステンプレート(試作品)と SIZZIX JAPAN 正規代理店(株)Chapstablook によるマシンエンボスやダイカットを組み合わせ、「福」や「寿」の吉祥文様を取り入れたメニューカードや箸袋、席札、バースデーカードなどを様々なものを制作しています。紙が生み出す繊細な立体感は、テーブル全体の世界観をより豊かに演出してくれます。

 テーブルコーディネートは、食器だけでなく、小さなテーブル小物までテーマを統一することで、おもてなしの印象がより深まります。季節を感じる食卓づくりのヒントとして、楽しんでいただけたら嬉しく思います。

大石育子(Ikuko Oishi)

 インテリアコーディネーター、食空間プランナー、日本クラブカルチャー講座講師。東京ドームテーブルウェアフェスティバル 2019年入選、2020 年 2 部門で入選&奨励賞受賞。2023 年 2 部門で入選&佳作受賞。atelierdeikukonewyork.themedia.jp