米国連邦最高裁はトランプ大統領の関税措置を違憲と裁定しました。これに対し大統領は裁判や捜査に対する批判や、政治的敵対者などへの威圧姿勢を高めています。極めつけが、イラン空爆による最高指導者ハメネイ師の殺害です。報復の循環と第三次世界大戦を阻止することが世界の最重要課題です。国際法違反とも指摘されたベネズエラ攻撃も含め、大統領の好戦的政治は自らの支持基盤強化が目的のように見え、それが年頭教書演説でも明らかでした。
英独仏首脳は、イランへの参戦を否定しました。各国首脳による政治決断の正当性(理念)と政治責任の検証が必要な時です。
その英国では、アンドリュー元王子がエプスタイン氏への機密情報の漏洩疑惑で逮捕されました。王室への畏敬が高い国での司法当局の独立性と道義性の高さを示すものです。また、昨年アンジェラ・レイナー副首相が辞任しました。不動産購入時の印紙土地税の納入不足が閣僚規範の「最高水準の適切な行動」を満たしていないとの理由です。
英国では、利益相反の回避、公私の分離が厳格で、与党内からの辞任圧力も含め、法律違反がなくても道義的、政治的責任で辞任する例が数多くあります。
日本の高市早苗首相は総選挙で歴史的大勝利を収めた後、当選した自民党議員315人に約3万円のギフトを配りました。首相個人でなく首相が代表する自民党総支部からの支出で違法ではないとの見解です。閣僚規範が存在しないことに加え、accountabilityが「説明責任」と意訳され、記者会見などで説明すれば責任を果たしたと済まされるのが日本です。この英語は「行為の結果を報告し、検証を受け、必要なら制裁を受ける」を意味すると思います。首相によるギフト配りは正当性と政治責任を曖昧にする日本政治を象徴しています。
以上の3例はレベルは異なるものの、政治決断の正当性と政治責任は共通です。第二次大戦後の世界秩序を構築したルーズベルト、チャーチル、ドゴール。日本の復興と平和を構築した吉田茂、鳩山一郎などは、正当性と政治責任を有していたと思います。戦後だからこれらの首脳が輩出したのではなく、第三次大戦を起こさないために輩出することが必要です。世界平和への舵取りを担える首脳が各国で必要です。そして、そうした首脳を選ぶ国民も。
ふじた・ゆきひさ=オックスフォード大政治国際問題学部客員研究フェロー(英国在)。慶大卒。国際MRA(現IC)や難民を助ける会等の和解・人道援助活動を経て国会議員、財務副大臣、民主党国際局長、等を歴任。現在、国際IC日本協会長、岐阜女子大特別客員教授も兼任。

