在外選挙28日から投票 衆議院23日解散受け

 高市総理大臣は19日記者会見を行い、諸条件が整えば、1月23日(金)に衆議院を解散し、1月27日(火)公示、2月8日(日)国内投票日の日程で第51回衆議院議員総選挙を行うと正式に発表した。通常、衆議院の選挙日程は、解散後の臨時閣議において決定されるが、これまでの例に倣えば、1月27日に公示の場合、在ニューヨーク日本国総領事館(パーク街299番地)における在外選挙投票期間は、1月28日(水)から2月1日(日)の5日間となる予定(投票時間は午前9時半から午後5時。週末も実施)。また、第27回最高裁判所裁判官国民審査も同一日程で行われる。

 在外公館における投票には、①パスポート、米国の自動車運転免許証などの写真付き身分証明書、②在外選挙人証が必要。また、衆議院議員総選挙小選挙区選挙については、自身の選挙区を今一度確認する必要がある。

海外有権者約105万人
富山県の人口にほぼ匹敵

 外務省領事局政策課が昨年10月1日にまとめた海外在留邦人数統計によると、海外に在住する日本人総数は129万8170人で、前年の129万3097人とほぼ同数。在外選挙における有権者となる成人数は105万2403人で、海外在留邦人全体の81・1%を占めている。この数字は、日本国内の富山県の人口106万人(2025年推定値)にほぼ匹敵し、秋田、宮城、山形県の人口よりも多い。

 長期滞在者は70万9684人で全体の54・7%を占め、永住者は58万8486人。地域別では、北米が海外在留邦人全体の37・9%の49万1701人を占め、1985年以降一貫して首位。国別では、米国に海外在留邦人全体の32・1%の41万6380人が在留しもっとも多く、都市別では、ロサンゼルス都市圏に海外在留邦人全体の4・9%にあたる6万3972人、バンコクに4%の5万1297人、ニューヨーク都市圏に2・9%の3万8251人が住む。

前回の衆院郵便投票
交付半数以上が無効

 海外有権者ネットワークが昨年12月にまとめた資料によると、令和6年衆院選在外郵便投票(比例代表)数は246票でこれまで最も少ない票数で過去最低だった平成26年衆院選時の524票の半分以下だった。締め切り後に選挙管理委員会に届いた票数は49票あり、全体の16・65%が締め切り後に到着。交付された在外郵便投票用紙は532票で、日本に未返送は237票。全体の44・5%が返送できなかった。交付された在外郵便投票用紙532票のうち、無効となった用紙の数は286票で、全体の53・8%が無効になった。

進まないネット投票
議案7年間放置状態


 海外有権者ネットワークNY共同代表の竹永浩之さんは「今回の解散総選挙は2000年に在外投票が始まって以来、これまでで最悪の投票環境になる。解散から投開票日までが戦後最短で在外郵便投票が間に合わない有権者が続出するだろう。また在外選挙にとって初めての真冬の選挙であるため、在外公館へのアクセスが困難になる。これらの問題は在外ネット投票を導入すればすべて解決するが、有識者会議が日本政府に対し2018年に在外ネット投票の導入を提言したにもかかわらず、未だに放置したままだ。そんな在外投票の現状を知りながら解散総選挙をやるのであれば、限りなく違憲状態に近く、選挙後訴訟を起こす海外有権者も出るのではないか」と話す。

公示27日
NY日本総領事館に投票所

1月28日(水)から2月1日(日)午前9時30分から午後5時まで。予約はいらない。在外選挙人証、写真付身分証明書の持参が必要。

土曜日の朝のカフェ ニューヨークの魔法

 ドアを開けると、すでに店内は朝食をとる人で活気にあふれていた。土曜日の朝、アッパーウエストサイドでブロードウエイを、「ゼイバーズ・カフェ」(Zabar’s Cafè) に向かって私は歩いてきた。

 カフェのショーウインドウの前に立ちはだかるように、七、八人がレジの順番を待っている。焼きたてのべーグルやマフィンがぎっしりと収まっているショーウインドウを、一列に並んだ人の間からのぞき込み、ブルーベリーにしようか、と少し悩んでから、バナナのマフィンとコーヒーを頼む。

 カフェの真ん中に長いテーブルがあり、九人ずつ、向かい合ってすわれるようになっている。私はカウンターのほうを向いて、中央の右寄りの席に落ち着く。斜め前でカウンターを背に、六十代後半くらいの男の人ふたりが、大きな声で世界経済について語っているようだ。ひとりが話しているのに、相手がさえぎって話し始めると、さえぎられたほうが抗議する。

 Hey, let me finish my thought.

 おい、話の腰を折らないでくれよ。

 高齢の女の人が、私の右斜め前の席に腰を下ろす。黒のウールのコートに茶色の帽子を身につけている。運んできたトレイには、全粒粉パンのようなものにスモークサーモンとクリームチーズをはさんだサンドイッチと、ダイエット・スナップルのジュースがのっている。

 彼女はサンドイッチをひと口ひと口、ゆっくりと食べ始める。やがて、食べかけのサンドイッチを皿の上に戻すと、空いた手でジュースの瓶の蓋を開けようとしている。力を入れて、何度もやってみるが、なかなかうまくいかない。

 その人の前にすわっている四十歳くらいの男の人が、黙って手を差し出す。そして、女の人から瓶を受け取ると、いとも簡単に蓋を開け、これも黙って、彼女に返す。知り合いではないのに、ごく自然に、まるでその人の母親であるかのごとく。女の人もごく当たり前のように、何も言わずにただほほ笑み、瓶を受け取る。

 その男性と私の間に、ヒスパニック系らしき女の人がすわった。コーヒーを飲みながら、マフィンを食べている。帰りに食料品を買いたかったので、この辺りに「ホールフーズ」はありますか、と尋ねてみる。

 この辺りにはありませんよ。前はあったけれど、もう今はないわ。

 彼女の目の前にすわっている男の人が、私たちの会話を聞いていたようだ。話に加わってくる。

 What do you want to know?

 何が知りたいんだい。

 そして、近くではないけれど、と別の二店舗の場所を、まるで私がこの街を初めて訪れた観光客であるかのように、事細かに説明し始める。

 私たちがやりとりしている間に、高校生だろうか、十五歳くらいの少女五、六人の集団が入ってきて、右手奥に固まって立ち話をしている。

 カフェの中ほどにすわっている別の男の人が、高校生たちに向かって声をかける。

 Would you please pass me some napkins?

 そこのナプキンを、取ってもらえるかい。

 Sure.

 もちろん。

 高校生のひとりが答え、ナプキンを手渡す。

 しばらくすると、その男の人が、食事を終えて立ち上がった。

 エクスキューズ・ミー(Excuse me.)と言いながら、高校生の脇を通り過ぎるとき、 彼女たちに声をかける。

 Thank you for the napkins.

 さっきはナプキンをありがとう。

 マンハッタンの片隅で、朝から他人同士が関わり合っている。

 このエッセイは、シリーズ第6弾『ニューヨークの魔法をさがして』に収録されています。40万部突破の「ニューヨークの魔法」シリーズ(全9巻)は文春文庫から刊行されています。

https://www.amazon.co.jp/dp/4167717220

文化と自然の思いがけない同居描く中川直人

 ニューヨークの現代アートシーンで60年以上活動を続けている画家の中川直人が23日(金)から2月22日(日)まで、ダウンタウンのカポウ・ギャラリー(Kapow Gallery:モンロー通り23番地)にて個展「Naoto Nakagawa 2026」を開催する。同展では、40×43インチの大作2点と、20×21インチの中作6点(いずれもアクリル画)ほかドローイングやスケッチ等、今年の新作を展示する。

 開催前のアトリエで追い込み作業中の同氏を訪ねた。今回の目玉作品「キャナル・ストリート」では、大通りの交差点で巨大なトカゲが信号機を丸呑みにする光景に目を奪われる。「僕は絶えず現代社会の問題や世界情勢に関心を持ちつつ絵を描いてきました。今の最大の関心事は限りなく進化する科学文明(カルチャー)と地球環境や自然の営み(ネイチャー)の接点です。このままゆくとAIの進化等で滅びるかもしれない人類。でもその人類は地球の自然のごく一部。たかだか6万年前に誕生した新種の生物です。トカゲは、そんな人類よりはるかに長い時間生き延びてきた生き物の代表なのです」

 1962年に18歳でニューヨークに渡って以来、中川氏は若い頃から、ペンチやワインオープナーやハサミなど人間の創造物である道具と、人体の器官の直結を幾度も描いている。そのシュールな異化作用は観るものに人間本来の生物としての「感覚」を呼び覚ます。出展作「バスストップ」では、肥大化したトカゲが人間の集団を貪り食う傍で、通行人は一瞥するだけ。背景にはトライベッカのごく普通な日常生活が淡々と流れている。怪獣映画のような恐怖はない反面、生命史と宇宙の包容力がキャンバスを覆う。文化と自然の思いがけない同居と、そこで生まれる地球礼賛。それを宇宙的な距離にまで引いて私たちに見せてくれるのが、アーティスト中川直人の神業だろう。

 オープニング・レセプションは23日(金)午後6時から。詳細はウェブサイトhttps://kapowgallery.comを参照する。 (中村英雄)

週刊やさしいにほんご生活 おすしをたのしもう 千里の道も一歩から

この連載は、日本語を勉強している人を読者対象としたコーナーです。日本文化やマナー、タイムリーな日本に関する話題などを簡単な日本語で毎月第3週号に掲載します。アメリカ人の友人などにご案内ください。また、漢字をまだ習っていないお子様にとっても社会を知り、漢字に接するよい機会になります。


おすしをたのしもう


 おすしは一口で食べるのが基本です。おはしを使ってもいいですが、カウンター席では手で食べる人も多く、マナー違反ではありません。

 しょうゆは、ごはんではなく、魚の身に少しだけつけます。

 わさびは、しょうゆにとかさず、魚の身の上に少しのせて食べます。苦手な人は、

「わさびなしでお願いします」と伝えましょう。

 すしに添えてあるガリは、口の中をさっぱりさせるために食べます。

 また、日本のすし店では、どんなおすしを出すかを職人に任せる「おまかせ」というスタイルがあります。その日仕入れた魚や季節に合わせた味を楽しむことができます。

(長久保美奈、マナー講師)

わくわくことわざ(17)
文とイラスト 平田恵子

千里の道も一歩から

 「どんなに大きな目標であっても、まずは一歩を踏み出すことからすべてが始まる」という教えです。千里の「里」は、昔の距離の単位で約4km

(2・5マイル)ですが、ここでは遥か遠い道のりのこと。今できる小さな努力を続けて行く大切さを、納得させてくれることわざです。日本では1月は新年の始まりであり、新しい挑戦を始めるにはベストタイミング!「心配ご無用。源氏物語を読むことも、千里の道も一歩から。最初は英訳サイトを見て内容を理解してからでもOKよ」などと使います。


《言葉の意味(ことばのいみ)》

・おはし:chopsticks

・カウンター席:counter seat

・わさび:wasabi

・ガリ:pickled ginger

・おまかせ:omakase / chef’s choice

・教え lesson

・努力 effort

・「千里の道も一歩から」と同じ意味の英語のことわざ Every journey begins with a single step.

・英訳サイトEnglish translation site( example/The Tale of Genji)

賀詞名刺交換会を開催

NY総領事館主催・日系3団体共催で

 ニューヨーク日本総領事館主催、日系3団体共催による新年賀詞名刺交換会が20日開催された。例年会場となる日本クラブが現在移転中のため、西44丁目のペンシルベニア大学クラブで開催され、100人余りの参加者で賑わった。

 緊急公務のため欠席となった片平聡大使の代理で間瀬博幸首席領事が年頭の挨拶を行った。片平大使一家が年越しの瞬間をセントラルパークでミッドナイトランを見ながら迎え、今年NYシティマラソン出場を決意したことも紹介した。ベネズエラ情勢の緊迫化で幕を開けた新年は、地政学的なリスク、不確実性が高まりつつある中、強固な日米関係は揺るぎない柱であり、国際秩序の安定に不可欠の存在となっていると述べ、その重要性を胸に刻み、未来に向けて一層の努力を続けていかなくてはならないと述べた。

 またニューヨーク総領事館は、3つの大切な使命を持っており、在留邦人の安全と安心を守り抜くこと、日本企業の活動を力強く支えること、人と人との絆を深め、理想的な日米関係を重層的に築くこと。その3つ目のシンボルが5月9日、土曜日に開催される第5回ジャパンパレードだ。ニューヨークの街並みに彩りを添える恒例行事としてニューヨーカーに認識されることを切に願っている。2026年はさまざまな意味で節目の年。米国建国250周年、同時多発テロから25年、32年ぶりにサッカーワールド大会がニューヨークに戻ってくる。これらは日米の絆をさらに深め、未来を共に切り開く絶好の機会と考えていると挨拶した。

 松井透NY商工会議所(JCCI)会頭は、昨年1月20日に第二次トランプ政権が発足、年明け早々ベネズエラの大統領拘束、イランの反政府デモという世界が緊迫化している中で、日系社会がこうして一堂に会し新年を祝えることができて嬉しい。昨年は関税政策に翻弄された面があるが日本政府関係者の尽力により一旦落ち着きを見せており、日米関係も非常に良好だと感じている。日米ビジネスの連携も増しており、この1年は非常に良い年になるのではないかという予感と期待をしている。今年はスポーツも含めて明るいニュースがたくさんあるのではないかと思って、この1年に臨んでいる。今年は干支が丙午。丙は太陽の明るさや情熱、午は走る馬の力強さやスピードを象徴すると言われるように、経済の中心地であるNYで日本を明るく元気づけたい。

 為田耕太郎日本クラブ会長は、現在行われている日本クラブの移転について、単に場所が変わるということではなく、日本クラブが新しい章、チャプターに入るということだと述べた。ニューヨークというダイナミックな街において、今後50年、100年という組織を作り直していく基盤を構築していく重要なタイミングだと語った。

 佐藤貢司NY日系人会会長は、世界が極めてチャレンジングな年明けとなったと前置きしながら、ニューヨーク日系人会は、年間を通してさまざまなプログラム、敬老会、東日本大震災メモリアル、スカラシップ奨学金授与、親睦ゴルフ大会、外務大臣杯野球大会、ヘルスケアイベント、ジャパンパレード参加、シティーフィールドでのジャパンナイト協賛などの活動を今年も行っていくと語り総領事館、日系企業のサポートによって支えられていることに感謝の意を表した。

(写真)乾杯する左から間瀬首席領事、佐藤会長、為田会長、松井会頭

高市総理はなぜ解散に踏み切ったのか? あめりか時評

 それにしても異例である。昨年中は気配すらなかったのが、年明けになると読売のスクープから始まって、アッという間に「風」を吹かせ、気づいたら解散が既成事実となっていた。この内閣の評価はまだまだ未知数ではあるが、現時点では決断と実行の力を見せることには成功している。では、高市総理はどうして、このタイミングで解散したのか、5点ほど理由を挙げることができる。

 1点目は、これが最大の理由だが、やはり多くの世論調査が78%前後という高い支持率を叩き出しているということだ。これは千載一遇のチャンスであり、この支持率を背景に解散し、仮に勝利すれば党内外における権力基盤が固まる。こうしたチャンスは二度と巡ってこないと考えれば、伝家の宝刀を抜くのに躊躇はなかったのであろう。

 2点目は、これは非常に大事な点だが、予算審議を中断して通常国会の冒頭に解散する、この内閣にはこの手法が絶対に必要だったということだ。理由は簡単で、高市氏の政治姿勢は積極財政と財政規律という水と油、炎と氷を両立させるという矛盾に満ちたものだからだ。現時点では積極財政の姿勢だけが目立ち、円も下げている。だが、政権を支える麻生太郎、片山さつきの両氏は、それでも日本という国家が存続するための最低限の財政規律を守る決死の姿勢で内閣に協力しており、総理もこれを理解していると見る。

 その場合に、予算審議が進めば給付や減税の「財源」がどうしても出てくることになる。だが、予算審議前の現時点なら、そのような「複雑な数合わせ」は話題にしないことが可能だ。給付のたびにバカ正直なまでに財源として増税を示してきた岸田文雄氏が、「増税メガネ」と言われて世論に憎まれたミスを繰り返さないという、固い決意がそこにはありそうだ。勿論、政治手法としては邪道だが、このタイミングであれば、辛うじて成立する話であり、選挙に勝った後にもっと有利に予算審議を進めるための手段の問題とも言える。

 3番目は、これは憶測だが、立憲と公明の提携ということは、昨年内に気配として察知しており、先手を打ったことが考えられる。時事通信社が数字を公開して話題になったが、前回総選挙における公明票が自民から立憲に動いた場合の議席数に与えるインパクトは意外と大きそうだ。高市氏は、これに対する策として相手の準備不足を突くという判断をしたのだろう。

 4番目は、これに対して与党の一角を占める維新の会が、社保スキャンダルで炎上中ということだ。一見すると、そんな時に選挙なんてという判断になりそうだが、維新は大阪のダブル選に命運をかけつつ、スキャンダルを選挙で強行突破する構えである。早晩維新が崩壊するのであれば、ここで勝手にさせつつ、政策面では大きなことを言わせないということで、手を打ったのだろう。結果的に副首都の話も、定数削減の話も曖昧にできている。

 最後の5番目は、参政党との関係だ。昨年の参院選では、自民党から参政党が「保守票」を奪ったことが結果を大きく左右した。けれども、高市氏については、対中外交などを含めて、現時点では「保守票が満足する」ような言動をしており、参政から票を奪還できそうという見通しが立ったのであろう。

 この問題も賞味期限の短い話であり、総理として実現可能な政策を続けていけば、いずれ中道実務路線であることが露見して「保守票」が離れるかもしれない。その前に選挙をして勝って政権基盤を固めたいということであれば、そこには合理性はある。

 では、選挙戦の行方はどうなるか。こちらは、国民民主の動き、立憲と公明が財政規律を主張するのか、それとも、全政党が財源抜きの政策論議に陥るのか、論戦の可能性は様々なことが考えられる。旧清和会の「裏金議員」に対して総理が厚遇することの得失も未知数だ。そうした点は、展開を見ながら別途議論することとして、現時点では少なくとも高市氏の側から見た場合には、解散には一定程度の合理性は認められると考える。(れいぜい・あきひこ/作家・プリンストン在住)

トランプ大統領記念名称相次ぐ

史上例のない在任中の拡大

 トランプ大統領の名を冠した政府関連施設や制度が、在任中にもかかわらず相次いで誕生している。ジョン・F・ケネディ記念舞台芸術センターを「ドナルド・J・トランプ・アンド・ジョン・F・ケネディ舞台芸術センター」にしたり、米国平和研究所を「ドナルド・J・トランプ米国平和研究所」にしたりするのに留まらず、海軍の新クラスの戦艦の呼称を「トランプ級」とする構想や、さらには米国建国記念1ドル硬貨や医薬品割引サイト「TrumpRx」まで、その範囲は多岐にわたる。

 政府支援の貯蓄制度「トランプ・アカウンツ」のほか、「トランプ・ゴールドカード」といった民間寄りの政府プログラムまでも登場しており、従来の政府プログラムとの境界が曖昧になりつつあるとの指摘もある。

 歴代の米大統領は通常、退任後あるいは死後に図書館や記念館、道路、学校などの名称に名前が付けられてきた。しかしトランプ大統領の場合、現職のうちから連邦機関や主要なインフラ、政府支援プロジェクトに自身の名前を冠する事例が相次いでいる。これについて歴史家たちは「在職中の自己名付けは前例がなく、西洋政治史でも異例だ」と指摘する。

 トランプ政権内では、これらの名称は「国民への貢献や成果の象徴」であると説明されているが、一部の反対論者は「権力とブランドを結びつける危険な傾向」と批判している。歴史家の中には、「国家的記念が自己称揚的なブランド戦略に変わっている」と警鐘を鳴らす声もある。南メソジスト大学の歴史家ジェフリー・エンゲル氏は「自らを記念し称揚する行為は、西洋政治文化では下品とみなされてきた」と指摘する。実際、国立公園の年間パスに大統領の肖像を用いる決定や、存命中の人物を描いた1ドル硬貨発行計画には、法令違反の可能性を巡る訴訟や批判が起きている。

 共和党議員のなかからは大統領誕生日を国民の祝日とする法案や、ワシントン近郊の高速鉄道システム「メトロ」を「トランプトレイン」に、ワシントン・ダレス国際空港をドナルド・J・トランプ国際空港に改名する提案なども出ている。支持層ではこうした動きが支持される一方、バーニー・サンダース上院議員(無所属、バーモント州選出)が現職の大統領にちなんで連邦政府の建物や土地に命名、改名することを禁止する法案を提出するなど、批判派は「権力私物化」との批判を強めている。

DEEPなQUEENS ジャマイカ・エステーツ

トランプ大統領の元実家がある出身地

 ジャマイカ・エステーツ地区は、ジャマイカ地区の北東に位置し、不動産開発業者によって1907年に設立された富裕層の住む閑静な高級住宅地。アパートや集合住宅は少なく、広々とした敷地にチューダー様式、アメリカ建築様式や地中海様式などの家が建つアッパー・ミドルクラスが暮らす地域。氷河期に形成された丘陵を活かし、可能な限り木々など自然を残しているため、曲がりくねった道がほとんどで平らで真っすぐな道はほんのわずか。また、高級感を出すためか通りの名もイギリスの街の名が多くついています。

 2000年の国勢調査によると人口は1万4000人で45%が外国生まれ。白人が43%ですが、少数ながらも南アジア系、カリブ系、ロシア系の人々が住む地区です。伝統的にユダヤ系住民が多く、ユダヤ教学校やシナゴーグがあります。また、祖国での迫害から逃れてきたイラク系やアフガン系ユダヤ教の人々の新天地での再出発を助ける場となっている、一軒家を利用したシナゴーグもあります。

 この街で出身の最も有名な元住民はトランプ大統領。父のフレッド・トランプはこの地域で不動産開発を手がけていたそうで、出生証明書にも記載され4歳頃まで住んでいたチューダー様式の家と、10代前半まで住んだもっと大きい家があります。

 街の西側に隣接して、強豪で全米トップクラスのバスケットチームを持つカソリック系私立大学セント・ジョンズ大学キャンパスがあります。大学敷地内にはアジア研究所でギャラリーが併設されている孫文ホールの建物が目を引きます。

 この区域は広くはありませんが、食料品店や飲食店等がなく、最寄り駅の地下鉄F線終点179通り 駅までは若干距離があります。そのため、喧騒から離れた静寂さがあり、手入れが行き届いた個性的な邸宅が並ぶ地区です。東隣町ホリスウッドも同様に静かで美しい街並みの住宅地だそうです。 

明石鯛:兵庫県明石市出身、ウエストチェスター在住。

週末の街歩きグループと共に、未知なるNY市内を元気に探索中。

ブログ  kkykm-m.com 

編集後記

編集後記

 みなさん、こんにちは。 2026年は、米国のベネズエラ大統領拘束電撃作戦で幕を開けました。石油利権を米国管轄下に収め同国の運営にも関与するとの姿勢に世界は国際秩序への危機感を強めています。さらに米国の国家安全保障上「必要」とグリーンランドの割譲にも意欲を見せるトランプ大統領は66の国際機関からも脱退。「私を止めることができるのは私の道徳観だけ」(1月9日付ニューヨークタイムズ紙1面)と他国からの干渉を拒絶するさながら「現代版のモンロー主義」による孤立化への暴走にも見えます。「不測の事態」がいつ起きてもおかしくない米国の置かれている今の現状を本紙ではあえて「不測の時代」と呼びました。

 就任前の選挙戦でトランプ大統領が掲げた「アメリカ第一主義」とは、アメリカ国民を再び元気付け、失われた白人労働者階級の復権を下支えするアメリカ国民に向けたメッセージだったはず。今、そのスローガンは、ベネズエラ、キューバ、コロンビア、メキシコ、グリーンランドへの外に向けた「アメリカ帝国主義」に置き換えられてしまってはいないでしょうか。

 確かに国際法と名付けられた法律こそありませんが、国際的秩序の枠組みの中で培われたルールはあるはず。かつてジャパン・アズ・ナンバーワンなどと持ち上げられていた日本のバブル助走時代、「ジャパニーズ YES ミーンズ NO」「ジャパニーズ DEEP コンシダレーション(検討します)ミーンズ  forget it 」「日本の常識は世界の非常識」とまで揶揄されフルボッコにされた時代がありましたが「大統領令」に署名して何でもかんでも決められる「王様」こそ「はだかの王様」になってはいないか他人ごとながら心配になります。

 「私を止められるのは私自身だけ」などと本人に真顔で言われると、今、不法移民に向けられているICEのキバが、民主主義やリベラルな思想への弾圧に姿を変えた独裁政治になっていかないことを願うばかりです。中国や北朝鮮とは違う、自由にものが言えるのがアメリカの素晴らしさなので。アメリカ人の常識と良識と良心をアメリカに住む外国人の一人として信じたい、そんな一縷(いちる)の気持ちだけは持っていたいと思います。それでは、みなさんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2026年1月17日号)

(1)国際機関へ就職を 外務省が募集要項を発表

(2)「不測の時代」米国が突入 現代のモンロー主義

(3)時空を超えた逃避行 ジャパン・ソサエティーで「勧進帳」

(4)VR茶室を体験 ハンター大で開発

(5)2026年の不穏な幕開け 視座点描

(6)東京都が女性起業家支援 10人が来米しNYで研修

(7)篠原有司男一家展 GOCAギャラリーで

(8)SOUND OF 生け花  土佐尚子がジャパン・ソサエティーで2月9日

(9)世界に茶室文化を 茶室建築家 椿邦司

(10)日本の紙フィルム MoMAで上映へ 1月31日

国際機関へ就職を 外務省が募集要項を発表

説明会オンラインで実施

 外務省は、2026年度ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)派遣候補者選考(2026年度JPO選考)を実施することとし、今月、募集要項を公表した。応募受け付け開始は2月2日(月)、締切は3月3日(火)。日本時間1月18日(日)及び1月22日(木)に「2026年度JPO選考説明会」をオンラインで開催する。

 JPO派遣制度は、国連を始めとした国際機関への就職を支援する目的で、各国政府の費用負担を条件に、国際機関が若手人材を受け入れる制度。35歳以下の若手の日本人に対し、2年間、国際機関で勤務経験を積む機会を提供することで日本人の国際機関への就職を後押ししている。外務省では1974年から同制度による派遣を開始し、これまでの累計派遣者数は約2000人に上る。

 2024年末・時点の最新の調査では、979人の日本人職員が国連関係機関の専門職以上のポストに就いており、このうち半数近くの476人がJPO出身者だ。幹部職員についても、94人中45人がJPO出身者で、国連事務次長・軍縮担当上級代表を務める中満泉(なかみつ・いずみ)氏を始めとして、多くがJPO出身者だ(いずれも2024年末・時点の人数)。このように、現在、国際機関で活躍する日本人職員の多くがJPOからそのキャリアを開始している。

 JPOは、派遣期間中に国際機関職員として必要な経験を積み知識を得て、派遣期間中または終了後に正規ポストを得ること、ひいては各分野のスペシャリストとして、また国際機関を代表する幹部となって活躍し、日本と国際機関との連携を一層強める役割を担っていくことも期待されている。

 説明会では、応募方法の詳細に加えて、応募書類作成に当たっての留意点や、派遣までのプロセスについても説明する。参加には事前の予約が必要で、説明会はいずれも同一の内容。説明会に出席したか否かは、選考結果に一切影響しない。

選考はオンライン実施
海外からの応募も多数

 選考は全面的にオンラインで実施しており、海外在住者の応募も多数ある。外務省では、「世界中で活躍している意欲ある若手日本人の国際機関への挑戦を支援している」と海外在住者の応募も歓迎している。

 応募資格は、今年2月1日現在35歳以下(生年月日が1990年2月2日以降)であること、修士号を有すること、関連分野において2年以上の職務経験を有することなど。説明会の申し込みと応募資格の詳細は、外務省国際機関人事センターウェブサイトのJPOページ(https://www.mofa-irc.go.jp/jpo/index.html)に記載されている。(本紙20面全面広告参照