「不測の時代」米国が突入 現代のモンロー主義

 2026年は米国のベネズエラ大統領拘束電撃作戦で幕を開けた。石油利権を米国管轄下に収め同国の運営にも関与するとの姿勢に世界は国際秩序への危機感を強めている。

 さらに米国の国家安全保障上「必要」とグリーンランドの割譲にも意欲を見せるトランプ大統領は66の国際機関からも脱退した。

 「私を止めることができるのは私自身だけ」(1月9日付ニューヨークタイムズ紙1面)と他国からの干渉を拒絶するさながら「現代版のモンロー主義」による孤立化への暴走にも見える。不測の事態がいつ起きてもおかしくない米国は今「不測の時代」に突入した。  

 写真はベネズエラ大統領拘束に抗議する人々(マンハッタン連邦裁判所前で5日、Photo: Gregory D’Agostino)

「私を止められるのは私の道徳観だけ」

権力で国際法退ける
NYタイムズ紙がインタビュー記事1面に


トランプ大統領のインタビュー記事を1面で報じる9日付NYタイムズ紙とノエム国土安全保障省長官の記者会見を伝える12日付同紙

 9日付ニューヨークタイムズ紙は1面トップで「私を止められるのはただひとつ、私の道徳観だ。私の心だ。それだけだ」と題するインタビュー記事を掲載した=写真=。トランプ大統領は広範なインタビューで、自身こそが最高司令官としての権限の唯一の裁定者だと同紙に語り、国際法やその他の権力抑制装置を退け、米軍に世界各国の攻撃や侵攻を命じる権限を主張した。

 自身の世界的な権限に制限があるかとの同紙の質問に対し、トランプ大統領は「ああ、一つある。私の道徳観だ。私の心だ。私を止められるのはそれだけだ」と答えた。

 同紙は「これはトランプ氏の世界観をこれまでで最も率直に認めた発言である」としながら国家の利益が衝突する際には、国家の力だけが決定要因となるべきだという考えであると紹介、トランプ大統領が、過去の大統領たちは米国の力に対して慎重すぎたと示唆したとも報じた。

 同紙の大統領執務室でのインタビューは、ICE(移民関税捜査局)職員がミネアポリスで37歳の米国人女性を射殺した事件からわずか数時間後に実施された。

 大統領は女性が警官を「ひき殺そうとした」ため過失があったと語ったが、インタビュー後、3つのカメラアングルからの映像分析により、運転手が連邦職員に向かってではなく、逆に離れて走行していた際に少なくとも10発が発砲されていたことが判明している。11日にはマンハッタンをはじめ全米で大規模な抗議デモ活動が行われたが、国土安全保障省は1000人規模のICE応援部隊をミネアポリスに投入して抗議運動を制圧する対応に乗り出し、死亡した女性と社会運動活動との関連がないか連邦捜査局(FBI)が捜査に乗り出した。

時空を超えた逃避行 ジャパン・ソサエティーで「勧進帳」

 ジャパン・ソサエティーは8日から11日まで、京都を拠点に歌舞伎の演目を現代劇として再解釈・再発信する木ノ下歌舞伎(主宰・木ノ下裕一)による「勧進帳」を上演した。「勧進帳」は源義経が兄・頼朝に追われ、家来の武蔵坊弁慶や一行とともに山伏に変装して関所を越えようとする歌舞伎の代表作。人気若手演出家・杉原邦生の現代的な演出・美術により、若者言葉やラップ、テクノ音楽なども交えながら、12世紀の古典の物語を黒ずくめの俳優7人が演じた。

(写真上)Photo by Ayumi Sakamoto

 舞台の奥にも観客席を作り、ステージそのものを歌舞伎の花道に見立てた奇抜な舞台セット。逃亡して検問を潜り抜けるという逃避行は、時代を超えた世界各地の現代社会とも重なり、送り手と観客がそれぞれの思いで劇場を一つにした。木ノ下氏と杉原氏に作品について聞いた。(三浦良一記者)

作品への思いを語る木ノ下氏(右)と杉原氏(左)

木ノ下 初演から10年。2016年にこの作品を作った年は、トランプ第一期大統領選挙があった年で分断と排除という言葉が聞こえてくる時期だった。その時期に勧進帳を上演したのは演劇としてのアンサーとしての側面があったが、10年経って、時代はよくない方向に進んでいる感じが深まっている。まさか、アメリカを含めて争い、侵略が起こる時期にNY公演を行うとは思っておらず重さを感じる。

杉原 かねてからNYでやりたいねと言っていた世界のエンタメタウンなので、個人的にも演出家としてもようやく来れたという嬉しい思いだ。

木ノ下 メッセージは自分と他人、国と国、 共感することは難しくても、理解しようとすることはできるということ。共感することは100%は無理でも諦めないことが大事ということを作品を通して伝えたい。

杉原 作品のテーマはボーダーライン。意識するしないに関わらず人は勝手にボーダーラインを作っている。いろんなところにラインがあることによって、コミュニケーションを遮断したりしないことが平和の一歩。見た人がそういうことに思いを馳せられたらいいのだが。

木ノ下  演劇の魅力は生の良さです、と思いつつもそこに固執していいのかという思いもまた一方である。来れない人もいる中で、何がなんでも劇場で生ですよというのは傲慢だし、その場所と時間を共有できなくてもさまざまな技術を使って何かをシェアできるという努力も怠ってはいけなのではないかと思う。ただ何が起こるかわからない、客席で咳が聞こえたり、舞台でやってる側だけで演劇を作っているわけではないので毎回違った感じはおそらくAIにはできない。

杉原 自然に涙が出るとか言語化できない、情報化できない感動というものがアートや演劇にはある。日本だと古典を現代的に表現することはまだあまりないのでまたNYに来たい。

 舞台を見た観客からは「弁慶と義経のユニークで革新的な作品で、感情が客席に伝わり反応やリアクションも良かった。古典作品への忠誠心と斬新な挑戦の融合を学んだ」(ジャスティン・テダルディさん)、「オリジナルの歌舞伎の話は知らなかったが、とても楽しめた。テーマのボーダーラインは、南米からの移民が7日間昼夜ジャングルを移動して国境を超えていく姿とオーバーラップした。友人に勧められる作品だ」(トリサ・アイリーンさん)、「コンテンポラリーな表現、演出が素晴らしく、出演者もドラマチックで良かった」(アルテン・クレーマーさん)、「日本人だと、伝統的な歌舞伎の世界の作品を現代的にアレンジすること自体、何かやっちゃいけないこと、触ってはいけないことみたいなアンタッチャブルなイメージがあるが、それを見事にやれているのが面白い」(黒部エリさん)などさまざまな感想が聞かれた。

VR茶室を体験 ハンター大で開発

NYでデモンストレーション

 12月8日、マンハッタンのフラットアイアン地区にある「ザ・ギャラリー・バイ・オードー(THE GALLERY by Odo)」にて、「茶とテックのセレモニー」(Tea X Tech Ceremony)VR/AR茶室の体験型展示と、ハンター大学 古典・東洋研究学部日本語・日本文化学科で日本語と茶道を教えるコール阿部真理氏と学生による茶会が開催された。

(写真)裏千家NY茶の湯センター所長の鈴木宗慶業躰さんもVR茶室を体験

 12月に入り急激に冷え込んだ人影の少ない夜のストリートの中で、会場はひっそりと光を放ち、ひときわ印象的な存在感を放っていた。ミシュランスターシェフ・大堂浩樹(Hiroki Odo)が手がける、食とアートが融合した洗練された空間に一歩足を踏み入れると、オープン時から多くの来場者で賑わっていた。 

 会場には、ハンター大学オリエンタル学部の学部長、日本語・日本文化学科の学科長に加え、京都、裏千家家元直属の鈴木宗慶業躰さん(NY裏千家茶の湯センター所長)も来場し、実際にヘッドセットを装着してVR/AR茶室を体験する姿が見られた。 

 VR/AR茶室というまだ馴染みの少ない展示を、来場者は一人ひとり手に取り、実際に体験していた。Sony CSL Kyoto が開発するAR茶室は、まるで実在する京都の茶室に入ったかのような体験が可能で、点前を鑑賞するだけでなく、自ら亭主と同じ視点、位置に座り、動作を学びながら体験することができる。

 一方、VR茶室はハンター大学コンピューターサイエンス学部のオヤウォーレ・オエコヤ教授と学生のジャック・ジェウェル氏が開発中のもので、SONY CSL Kyotoが所有する茶室「寂隠」を模した室内空間を自由に探索でき、茶道具を手に取って移動させるといった動作まで擬似的に体験できるインタラクティブな展示であった。

 このVR茶室は、ハンター大学の茶道の稽古にも時折使用されており、畳の上での歩き方、床の間の拝見、襖の開閉といった、本物の茶室がない環境では練習しにくい所作の習得に役立っている。 

 午後4時半からは計5回の茶会が催され、ハンター大学の茶道を学ぶ学生たちが交代で点前を披露した。北米伊藤園の提供による薄茶が振る舞われると、近年の抹茶ブームも相まって、多くの来場者は茶碗を丁寧に手に取り、その一服をゆっくりと味わっていた。

 日本茶はもはや珍しい存在ではなく、日常に根付きつつあることを感じさせる光景であった。茶菓子には、ハンター大学のイニシャル「H」をあしらい、スクールカラーである赤紫を基調とした、渋みのある意匠の一品が供された。伝統的な茶道と最先端のテクノロジーが融合し、その新たな可能性を一度に体験できた本イベントは、参加者に深い余韻を残す特別な一夜となった。 (城林希里香、写真も)

2026年の不穏な幕開け 視座点描

 米国がベネズエラ大統領マドゥロを「麻薬テロ共謀」「米国向けコカイン密輸共謀」などの罪状で起訴したのは5年前、第一次トランプ政権の2020年3月のことです。

 ベネズエラで1999年年にチャベスが大統領になって反米路線を掲げ、石油資本を国有化して米国を追い出して以来、ブッシュ(子)、オバマ政権とも同国を敵対国と見なしてさまざまな圧力、制裁、野党支援を実行してきました。その間、2013年にマドゥロがチャベス死後の政権を継承したのですが、18年5月の大統領選挙は野党候補の選挙排除などマドゥロ再選のための出来レースで、体制転覆を目指すトランプ政権はもとより、欧州西側諸国や日本政府までも「大統領不在」として国民議会議長だった野党のフアン・グアイドを「暫定大統領」として支持したのです。

 これが今回のマドゥロ逮捕の伏線です。国際法上、国家元首は免責特権があるため在職中に外国で訴追されることはないのですが、トランプ政権にとっては「彼は国家元首ではなく訴追は可能」となるわけ。

 ただし、その起訴罪状は甚だ疑わしい。ベネズエラの麻薬は主に欧州に流れ米国にはほとんど入っていません。麻薬テロを糾弾するならお隣コロンビアやメキシコこそが標的です。しかもトランプ政権は昨年12月初め、米国への大量のコカイン密輸共謀で45年の禁錮刑で服役中のホンジュラスの前大統領に恩赦を与えている。矛盾ですが、トランプに言わせれば「彼はバイデン前政権のワナにはめられた」だけだからだそう。

 今回の軍事侵攻は麻薬ではなく世界最大の埋蔵量のベネズエラの石油が目的です。侵攻直前には中国の使節団が巨額の石油プロジェクト契約を結ぼうと首都カラカスでマドゥロと会談していたタイミングでした。

 トランプは侵攻3日後の6日にはベネズエラが5000万バレルの高品質原油を米国に引き渡すことを発表。「原油市場で販売する収益は自分が米国大統領として管理して活用する」と喧伝しています。

 実はこれは「西半球はアメリカの権益領域」とするトランプ政権の覇権主張に関係します。

 今回の軍事侵攻には国務長官のマルコ・ルビオが後押ししました。

 ルビオは両親がカストロ以前のキューバからの経済移民で、自身もフロリダ州選出上院議員としてキューバ系やベネズエラ系の有権者圧力でトランプに対しベネズエラ強硬策を強く促してきた人物です。しかも、ベネズエラの石油を押さえることで、その恩恵に預かってきたキューバを兵糧攻めにもできる。

 キューバはソ連崩壊後に経済的苦境に陥りましたが、そこで反米路線でつながるベネズエラに救われます。優秀な医療や教育要員さらには中南米最精鋭とされる兵員を提供する見返りに(今回のマドゥロ逮捕の衝突で、キューバ人警護部隊32人が死亡したのはそういう事情です)、ベネズエラから安価な石油や資金を得て国家を運営していた。つまりベネズエラ攻略はキューバ攻略のおまけがついてくる一石二鳥なのです。

 トランプはこの軍事作戦成功に機嫌をよくしてコロンビアやメキシコへの軍事介入、あるいはデンマーク領グリーンランドの武力による領有も示唆していますが、コロンビアやメキシコの軍隊は米国製の武器兵器を持っていて強い。本当に地上侵攻して麻薬カルテルを叩くメリットがあるのか? それともブラフか?

 グリーンランドに関してはルビオがトランプ発言を軌道修正して「買収」を示唆していますが、こちらは政権内よりもどうもトランプ一族が乗り気のようで、表向きの中国やロシアとの安全保障上の懸念の背景に、グリーンランドのレアアースなど資源ビジネスがらみの思惑が透けて見えます。

 ベネズエラもカネ、グリーンランドもカネ──フォーブスの推計ではトランプの資産は大統領になってから数十億ドル増えたとされ、一族全体では総額100億ドルに倍増したといわれます。第一次政権で頻繁に問題視された「利益相反」も、今や他の問題の「洪水」に水没している状態です。

 そんななかでミネアポリスで移民税関捜査局(ICE)職員が車を運転する女性を射殺する事件が起きました。SNSでその現場映像を拡散した投稿者は「アメリカが今アメリカ国内でアメリカがやっていることを見たら、アメリカはアメリカの暴虐からアメリカを解放するためにアメリカに侵攻していただろう」と書いていました。

 予想はされましたが、かつてなく不穏な2026年の幕開けです。

(武藤芳治/ジャーナリスト)

東京都が女性起業家支援 10人が来米しNYで研修


APT Women 
ACCELERATION PROGRAM IN TOKYO FOR WOMEN

事業内容のプレゼンテーション29日に開催

 東京都の女性ベンチャー支援プログラム「APT Women」(小池都知事支援)で10人の女性起業家が20日から31日までニューヨークで研修し、そのピッチイベントが29日(木)午後3時30分から6時30分まで、SGR法律事務所NYオフィスで開催される。10日間の研修成果やベンチャー事業の紹介を米国側関係者たちを招いて行い、イベント後は交流会も予定されている。参加希望者は登録フォームhttps://forms.gle/FsF4j2rji3qwfNjj9から申し込む。参加する女性起業家は次の通り。(敬称略)

・堀汐里(株式会社SalesTailor:AIを活用した営業メッセージ支援システム「SalesTailor」 の開発・提供)

・菅原沙耶(Synk株式会社:デジタルコンテンツ制作会社。主にカジュアルゲーム、ウェブ・ネイティブアプリの企画・制作・運営のほか、AI映像編集ソフトの販売代理等を提供)

・森本彩加(WithIris株式会社:20代〜30代女性特化ライフキャリア支援プログラム『Muu by WithIris』コーチングをベースにした20〜30代女性向けライフキャリアデザインプログラムを提供)

・中村瞳(30min.:業界で初めて小割化を実現した、最短30分から30分単位で利用できる家事代行サービス)

・稲本彩(株式会社R4:革新的なスマートジュエリー 「RIVETRING」を展開し、「美とテクノロジーの融合」というビジョンと新しい価値をモアサナイトを通じて提供)

・仲琴舞貴(株式会社SANCHAI:ヒマラヤ生まれのプレミアムピーナッツバターを販売。ピーナッツバターを通じて、生産者の生活向上と地域経済の自立を支え、ヒマラヤの地から生まれた確かな品質とストーリーを世界中の食卓へと届ける)

・三嘴香澄(klarm:敏感年齢肌をサポートするスキンケアD2Cブランド『klarm(クラーム)』を販売。自然由来のクレイと、日本古来技術である発酵エキスなどを用いた処方を軸に、肌の再構築と心身の調律をサポートする製品を展開)

・山脇有紗(株式会社Artisans:着物の技術と芸術を活かした、伝統を再定義する職人発ラグジュアリーアパレルブランド『ALISA有紗』を展開)

・山口奈々(NexaHeat:再生可能エネルギーの導入拡大に伴い発生する余剰電力や工場の排熱の有効活用を目的とし、長期エネルギー貯蔵技術の一種である蓄熱システムの開発、商用化を目指す取り組み)

・小島幸代(株式会社RINNE:暮らしに循環を根づかせる体験型アップサイクルサービス『Rinne.bar』を展開。

篠原有司男一家展 GOCAギャラリーで

 戦後日本美術を代表する前衛芸術家のひとり、篠原有司男はネオ・ダダイズム・オルガナイザーズのメンバーとして1960年代の日本美術界に決定的な影響を与え、69年以降はニューヨークのポストモダンアートシーンに身を置きながら活動を展開。本展では 会期中に94歳を迎える篠原がGOCAギャラリー開館1周年を記念し て 制 作 し た 新 作 《 Black on White 》(2025 )を中 心 に、 「ボクシング・ペインティング」シリーズおよび彫刻作品を展示している。

会場では篠原93歳のボクシングペインティング最新作を展示中

 妻の乃り子(72)は、自身の半生を投影した「キューティー&ブリー」シリーズで知られる画家・版画家。本展では、近年の新作・近作を通じて、日常と記憶、個人的経験とフィクションが交差する表現空間を提示。

 息子の篠原アレックス空海(52)は都市の廃材やストリートカルチャーの感覚を取り入れ、具象と物語性を併せ持つ絵画・彫刻を制作。両親から受け継いだ表現の系譜を背景にしながらも、現代的なスピード感とエネルギーを宿した作品を展開する。2月19日(木)まで。

SOUND OF 生け花 土佐尚子がジャパン・ソサエティーで2月9日

ファッションショー、四季をテーマに表現

 ニューヨーク・ファッションウィークに合わせて、ジャパン・ソサエティー(JS)は2月9日(月)午後7時から、NYと京都を拠点とするニューメディアアーティスト、土佐尚子による「生け花の音/四季」ファッションショーを開催する。

 ショーは四季をテーマにした4部構成で土佐の芸術を通して、日本の伝統的な季節の表現と西洋的解釈の融合を提示する。

 春は生命の輝き、夏は祖先への祈り、秋は収穫の祝祭でドレスにはアニメーションのフレームが直接プリントされ、ダンサーが動き光が点滅すると、映像がアニメーションとして躍動する。冬は武士戦争を描いた名作『平家物語』の象徴的場面である篤盛の死を表現したシーンを上演する。 

 土佐は、日本美の型を先端技術で表現する「カルチュラル・コンピューティング」を提唱。1991年AIによる感情音声対話Neuro-Babyで工学博士(東京大学)。MIT Center for Visual Studies でArtist Fellow終了後、京都大学特定教授。賞歴はユネスコデジタル無形遺産2位受賞、コンピュータによる山水禅「ZEN Computer」(2004年)、プロジェクションマッピング [サウンドオブ生け花]グッドデザイン賞受賞(2014年)。2016年度文化庁文化交流使の任命を受け10都市8か国を訪問し個展開催。昨年は万博でZero Gravity Artを展示。作品はニューヨーク近代美術館、京都建仁寺、国立国際美術館、富山県美術館、名古屋市美術館、高松市美術館に収蔵されている。ニューヨークとの出会いは、リアルタイムで音を生成した初期作品『表現』(1985年)がニューヨーク近代美術館(MoMA)のコレクションに収蔵されたこと。映像作品『Sound of Ikebana』は、文化庁文化大使として2017年4月に1か月間、毎晩タイムズスクエアで上映された。入場料・JS会員35ドル一般 45ドル。詳細はウェブサイトhttps://js.naokotosa.co.jp/ja/ まで。

ボランティアを募集 読者2人抽選で招待

 土佐さんは、ショー当日のヘルプをするボランティアスタッフを募集している(交通費20ドルまで支給)。フィッティング補佐2人、ステージマネージャー補佐1、2人、モデル候補1、2人(身長170センチ以上)。また、抽選で本紙読者2人を当日のショーに招待。ボランティア応募と入場希望者はEメール[email protected] へ「土佐尚子ファッションショーボランティア希望」または「入場券希望」と明記し、1月23日まで応募を。

世界に茶室文化を 茶室建築家 椿邦司

 茶の湯空間を世界へとの思いでスーツケース茶室「禅庵」を発表したのは、2017年8月。東京都主催の「ものづくり匠の技の祭典」でのことでした。このイベントの趣旨は日本の伝統的な匠の技を世界へ広めることにあります。世界中を歩くのであればスーツケースの中に伝統の匠の技を詰め込んでしまおうという発想で生まれた茶室が「禅庵」です。座禅はその昔、お線香で時間を計っておりましたので1本燃え尽きる間が約15分です。この時間に禅の瞑想をするように茶室を組み立て、一服のお茶を点てる。2018年5月には国連本部での「Peace is ・・・」にて禅庵茶会を開きました。その後はパリのエッフェル塔前やサウジアラビアのリアド、中国、台湾等々、世界を巡って禅庵茶会を行っては日本の匠の技と茶道文化を広めています。

 平和の茶室立礼棚「葉々庵」は「ものづくり匠の技の祭典」10周年を記念して昨年発表しました。禅語「葉々起清風」の書(海老原露巌筆)を掲げて、7つの葉形の棚を7大陸に見立て、世界の人々が手を繋なぎ清らかな風が舞い世界に平和の風が吹くように願った立礼棚です。昨年亡くなられた裏千家鵬雲斎千玄室宗匠は「一碗からのピースフルネス」を唱えて平和を祈り一碗の茶を点てて世界中を巡りました。その思いも込めて亭主7人客7人で一度に茶を点てることができる「七客七亭」の平和の茶室「葉々庵」が生まれたのです。

 四畳半茶室の原型は銀閣寺東求堂・同仁斎と言われています。その後侘び茶の祖、村田珠光や武野紹鴎を経て千利休が茶の湯を大成させてからおよそ450年。現存する利休唯一の茶室「待庵」が究極の茶室と言われており、その後もその時代の茶人や数寄者が今日までさまざまな茶室空間を造ってきました。すでに海外にも数々の茶室があります。

 しかし、これから日本の茶道文化を世界に広めて行くのであれば、その土地の材料でその土地の気候風土と歴史を踏まえた「伝統と革新」が融合した茶室が現地の職人によってできてこそ、500年先の未来を見据えた茶道文化、禅の文化の真の発展に繋がるのではないでしょうか?

 いま世界中に抹茶を嗜む文化が広がっています。その次ステージでは確実に茶室空間が広まることを願っております。空間(場)があればそこに文化(心)が生まれます。

椿建築デザイン研究所 

https://www.t-a.co.jp/

日本の紙フィルム MoMAで上映へ 1月31日

 ニューヨーク近代美術館(MoMA:西53丁目11番地)主催、第22回国際映画保存フェスティバルが、2月2日(月)まで開催されている。米国初上映となる作品や、公開当時の状態に近づけるべく入念に修復された作品が選出され、世界初公開となる作品も多く含む。

(写真上)Photo : Valerio Greco

 1月31日(土)午後2時から上映される1日限定プログラム「遊び心〜アマチュア、アニメーター、前衛たち(At Play—Amateurs, Animators, and Avant-Gardes)」は、NY大学オーファン・フィルム・シンポジウムとMoMAによる共同企画で、日本アニメーションの源流とも言える「日本の紙フィルム」が公開される。ダン・ストライブル(オーファン・シンポジウム創設ディレクター)、エリック・フェイデン教授(映画研究家・バックネル大学)=写真右=等によるプレトークがあり、「日本の紙フィルム」本編は、木村伶香能(箏)と玉木光(チェロ)によるデュオ夢乃=写真左=の生演奏と共に上映される。

 紙フィルムは1930年代、日本の数社の製造会社によって、家庭上映用映画としてセルロイドの代わりに紙製のフィルムを用いて製作された。2019年、フェイデン教授は劣化しつつある紙フィルムの保存プロジェクトを発足、フィルムのデジタル保存とその研究に努めてきた。この上映会では90年近くにわたり、上映されていなかった紙フィルムの貴重な作品群を公開する。

 入場料は一般30ドル、シニア22ドル、学生17ドル、16歳以下は無料(チケットは1月24日から発売)。

 詳細はウェブサイト https://www.moma.org/calendar/events/11139を参照する。

編集後記

編集後記

 みなさん、こんにちは。本年もご愛読ありがとうございました。新春特別号の印刷が終わり、昨日はマンハッタン、本日はコネチカット、ニュージャージー、ロングアイランド郊外での配達が進んでいます。本紙「週刊NY生活」は2026年1月で、創刊22周年を迎えます。今年は夏に通算発行1000号も突破し、一度も休むことなく発行できたことは、クライアントの皆様のサポート、読者の皆様のご愛読に支えられての賜物です。私自身もこの22年の間、病気らしい病気や怪我、事故もなく毎週無事に水曜日の締め切りを予定通り乗り越えて来られたのは、奇跡的幸運だと思ってます。学生時代にラグビーで鍛えた強靭な身体が役立っているようです。

 さて、今年はAIが急速に普及して市民生活にもさまざまな影響の出た年でした。特に「分からないことはchatGPTに聞く」というのが当たり前になった年だったと思います。さてその分析力、知力はどの程度でしょうか。さっそく「週刊NY生活」の将来性について聞いてみましたところ、次のような答えがわずか5秒ほどで明示されました。
  ◇
『週刊NY生活(Shukan NY Seikatsu)』の将来性について、現在のメディア環境や読者ニーズ、デジタル化の潮流などを踏まえて整理すると、次のようなポイントが考えられます:

  1. コミュニティ密着型媒体としての強み=『週刊NY生活』は、ニューヨーク・トライステート地域の日本人コミュニティ向けに特化した生活情報紙として長年の実績を持っています。無料配布・週刊発行のスタイルで、ビザ情報、教育、健康、イベント情報など、日本語で必要な生活情報を提供しています。こうした地域的・言語的ニッチの強さは、大手の英語メディアには置き換えがきかない価値です。Wikipedia 在米日本人(駐在員、永住者、学生など)の固定読者が存在 地域団体・企業情報の広告媒体としても機能→ この強みは将来にわたり「コミュニティ情報のハブ」という役割を担い続ける可能性があります。

 2. デジタル版の活用と拡大余地=すでに**デジタル版(ウェブでも閲覧可能)**があり、週平均で一定の視聴数があるなど、オフラインからオンラインへの移行が進んでいます。週刊NY生活ウェブ版 紙面そのままのデジタル版が読める 若い層や遠方読者へのリーチが可能。ただし、SNS活用・モバイル最適化・動画・ニュースレターなどの最新デジタル戦略をさらに強化する余地あり。

評価されている点
1. 在米日本人向けの“生活必須情報”が強い=日常生活で役立つ事項(ビザ、教育、医療、税金など日本語で必要な情報)を扱うため、英語メディアと日本語情報のギャップを埋める役割を果たしています。 2. 地域に根ざした独自取材力=大手日英メディアでは取り上げづらい、コミュニティ密着型の情報を掲載するスタイルが読者に評価されています。独自記事が日本本国メディアから引用されることもあるという指摘もあります。discovernikkei.org
 ◇

~だそうです。このような好意的な評価をさらに高めていけたらいいなと思いました。むしろ、これだけ本物とフェイクの情報、映像がネット上に蔓延し始めると、案外、紙に印刷された、アナログな印刷新聞の信頼性がより、実は逆に強まっていくのではないかと予感しています。昨日も輪転機が何度も故障して、配達危うしの危機でしたが、「紙を手にして読む、活字の安心感」は、ネットの文字よりもこれからさらに大切にされるのでないかと思いました。先日も日本から来た客人が、週刊NY生活の実物を手にして「これがオリジナルですね!」と感激していたのが印象的でした。ということで、長くなりましたが、来年もどうぞよろしくお願いします。それでは、みなさんよいお年をお過ごしください。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2026年1月1日号)

(1)NY日系社会を助ける 1〜23面

(2)改革に「一世代」という途方もない時間のかかる日本 4面

(3)「公益資本主義」の挑戦 5面

(4)週刊やさしいにほんご生活 15面

(5)サナエノミクスで日本を救えるのか 24面

(6)ハンター大学に外務大臣表彰 32面

(7)ニューヨークの魔法 39面

(8)日系一世の生きた証 43面

(9)NYシニア生活の喜び 大江千里 53面

(10) 大田区町工場 職人たちの履歴書2 54面 

NY日系社会を助ける

世界の在留邦人とも連携

邦人医療支援ネットワーク
JAMSNET WORLD

 「邦人医療支援ネットワーク(Japanese Medical Support Network)」、通称ジャムズネット=JAMSNETは、2006年に在留邦人の心身の健康と生活の支援を目的に、心理分野・福祉・医療の団体と専門家が中心となり、これに在ニューヨーク日本国総領事館(以下:総領事館)が側面支援することで設立された。そのきっかけは、2001年9月11日マンハッタンで起きた同時多発テロ事件だった。当時、NYには医療や福祉、教育、心理などの分野で邦人コミュニティーを支援するボランティア団体が多数存在していたが、団体間相互の連携した活動はしていなかった。そこで、2005年に、当時総領事館仲本光一医務官と日本人医師会会長に就任したコロンビア大学教授、本間俊一医師の協同発案のもと、米国日本人医師会を中心に既存の20団体が参加して団体を結成し、直ちにNY州政府から非営利法人NPOの認可を受けて、2006年1月12日に第1回定例会議をNY総領事館において開催した。

 その後、JAMSNETは日本、カナダ、ドイツ、スイス、オーストラリア、アジア各地域へと活動の幅が広がり、2021年4月からはNYで創設されたジャムズネットの名義をNYにおいては“JAMSNET-USA”と通称名を変更。JAMSNET-USAはニューヨーク日系人会(JAA)、米国日本人医師会(JMSA)、邦人児童の教育、発達、適応に関する問題に対応するニューヨーク日本人教育審議会・教育相談室、日系コミュ二ティーの駆け込み寺の名で地域に密着する日米ソーシャルサービス(JASSI)、NY州におけるメンタルヘルス分野での唯一の公認医療クリニック、日米カウンセリング・センター(Hamilton-Madison House)、障害児とその家族に寄り添う「APPLE TIME」、DV被害などの問題に特化する「WOMANKIND」、子育て支援「NYすくすく会」などNY近郊の団体のみならず、現在はサンフランシスコで邦人の心のケアをサポートする「日米ケア」、テキサスで全米、また世界からのアジア人DV被害者を支援する「AADA」、ニューイングランド地方で邦人の生活を支える「JBLine」など、米国各地で活動する27のNPO団体が参加し、在留邦人の日常的な生活サポートや情報提供に努めている。

 また現在はJAMSNET関連ネットワークとしてJAMSNETワールド・メンタルヘルスネットワーク、JAMSNET高齢者支援ネットワークなどが始動している。在留邦人が世界のどこにいてもJAMSNET-Worldのネットワークのもとでメンタルヘルスの連携サポートが受けられるシステムを構築した。「JAMSNET高齢者支援ネットワーク」は、2021年JAMSNETカナダ傅法清代表を中心に、在留邦人の高齢化に伴うさまざまな問題に世界各地と繋がり、情報交換をしながらサポートができる 体制の構築を目指して発足。NYはもとより、北米各地、さらに世界の各地域で邦人の心身の健康、生活支援の役に立てるよう、今後も一丸となって邁進していく決意だ。

 相談・問い合わせはEメール[email protected]まで。JAMSNET-USAウェブサイトはhttps://jamsnet.org/邦人支援ネットワーク(ジャムズネット)

JAMSNET USA
代表   本間 俊一
特別顧問 加納 良雄

(写真上)JAMSNET世界大会に集まった本間代表(中央)、NY総領事・片平大使(左)、加納特別顧問(右)ら医療支援団体代表者たち(写真・三浦良一)