高市首相が国連外交 国連改革と法の支配訴える

 高市早苗首相は22日、ニューヨークの国連本部で開かれた国連総会の一般討論演説に臨み、就任後初めて国際社会に向けて日本の外交姿勢を表明した。

 演説では、北朝鮮による日本人拉致問題について解決に向けた対話と行動の用意があると訴えたほか、世界各地で災害が相次ぐ中、気候変動対策の重要性を強調。国際社会の秩序を支える「法の支配」を重視する姿勢を示し、国連安全保障理事会の機能強化や国連憲章の「旧敵国条項」の削除など、国連改革の必要性を訴えた。

 また、中国などを念頭に、力や威圧による一方的な現状変更を認めない立場を表明。日本の防衛・安全保障や核軍縮、エネルギー供給網の強靱化、AIなど技術革新への対応についても言及した。

 演説に先立ち、グテーレス国連事務総長の出迎えを受け握手を交わした=写真=。高市首相はこの日、トランプ米大統領とも日米首脳会談を行い、中国を巡る情勢や安全保障、経済安全保障などについて意見を交わした。

(写真上)グテーレス国連事務総長(右)と握手する高市首相 (22日午後2時33分 UN Photo/Eskinder Debebe)

高市首相がNYで内外記者会見
多国間外交と国連改革訴える

 高市首相は23日午前零時からニューヨーク市内のホテルで内外記者会見を行った。高市首相の記者会見での発言要旨は次のとおり。

 先ほど国連の一般討論演説を行った。本年は、日本の国連加盟70周年の節目の年にあたる。いま国連を中心とする戦後の自由で開かれた国際秩序が大きく揺らいでいる。国連は世界の平和と安定のための役割を果たせていないのではないかという声も聞こえて来ている。そのような中であっても、そういう状況だからこそ、私は、今、日本の多国間主義、そして国連に対する姿勢は揺るがないと申し上げた。日本は力強い日本外交を推進してきた。国連の信頼を取り戻していくべく日本の責任を果たしていく。国際的な緊迫化に対する課題について、ホルムズ海峡における自由な航行が困難になっているが、日本はその沈静化のための外交努力を続けている。エネルギーの供給については、パワーアジアに加えて湾岸諸国との包括的な協力計画をまとめていることも打ち出した。核兵器のない世界に向けた国際社会を築くための北朝鮮の完全な非核化や拉致問題の一刻も早い解決を訴えた。力や威圧による一方的な現状変更の試みは、世界のどこであっても認めることはできないことを主張した。日本はいかなる紛争解決においても、法の支配を重視している。それは日本がICJ、ICC、 イトロスなどの国際裁判所を一貫して支持していることにも表れている。

 日本の国連を中心とする多国間主義に対するコミットメントについて、全ての国が気候変動対策に取り組まなくてはならないと訴えた。日本は世界一の防災大国を目指している。防災担当大臣を任命したことも伝えた。AIサミットを早期に日本で開催する。国連の課題を解決するためには、より強靭な国連に生まれ変わらなくてはならない。機能不全に陥っている安全保障理事会の改革の緊急性を訴えた。旧敵国条項の削除も求め、戦後70年国際社会の平和と繁栄に貢献してきたことは変わらないことを伝えた。グテーレス事務総長、各国首脳との会談で、国連改革の緊急性、邦人職員の増強も働きかけた。

 トランプ大統領とは日米同盟や自由で開かれたインド太平洋地域を含めた地域情勢についても率直に議論し、経済、安全保障、AI、半導体、重要鉱物といった経済安全保障における協力を一層強化していくことで一致した。このタイミングでの会談が、日米同盟の強さを世界に示すものになったと確信している。(抜粋)