ニックス優勝パレード 18日にダウンタウン行進

 ニューヨーク市市長室は、53年ぶりにNBA王者となったニューヨーク・ニックスの優勝を祝う恒例のティッカーテープ・パレードを18日(木)午前10時からロウアー・マンハッタンで開催すると発表した。

 ニックスの優勝パレードは、熱狂的なファンが街を埋め尽くす一大イベントとなる見込みだ。パレードはバッテリーパーク(地図内番号1)を出発し、ブロードウエーを北上して「キャニオン・オブ・ヒーローズ」を進み、紙吹雪(同2)を経て市庁舎広場で終了する。911記念公園内に家族待機場所(同3)を設置。

パレード到着後にはマムダニ市長が公式祝賀式典を行い、チームへ「市の鍵」を授与する。当日はロウアー・マンハッタン一帯で大規模な交通規制が実施され、ブロードウエー沿いの地下鉄駅では出入口の一時閉鎖や迂回措置が予想される。観覧を予定する人は早朝の到着が奨励され、フルトン・ストリート駅やチェンバーズ・ストリート駅の利用が便利だ。

子どものリュックを背負った男 ニューヨークの魔法

 通りを歩いていると、信号の手前で体格のいい白人の中年男性が、両腕をバタバタさせて、何やら情けない顔であわてている。身動きできないようだ。よく見ると、キャラクターが描かれた、小さなピンクのリュックを背負っている。

 四、五歳の女の子がすぐそばに立ち、ぽかんと口を開け、男を見上げている。

 女の子のリュックをふざけて背負い、取れなくなっちゃったよ、とその子をからかっているのだろう。

 二十代くらいの黒人の女性が、ふたりに近づくと、一体全体、どうしてそんなふうにっちゃったのよ、と言いながら、大声で笑っている。どうやら、ふざけているのではなく、本当に腕が抜けなくなってしまったようだ。

 Let me show you a little trick.

 ちょっとしたトリックをお見せしましょう。

 黒人の女性は女の子にそう声をかけると、男性の腕の下に手をやって、ストラップを引っ張り、リュックをするりと男の人の肩から外した。

 ああ、よかった。助かったよ。一生、リュックを背負ったままかと思ったよ。

 自由の身になった男の人は、そう言って笑い、ほっとした表情で大きく肩を回す。

 白人と黒人の夫婦なのだろうか。女の子は白人のようだけれど。

 そう思って見ていると、彼らはゲラゲラ笑いながら別れを告げ、女の人だけ私のほうへ向かって歩いてきた。

 今、何をやっていたの?

 そう声をかけると、女の人が楽しそうに笑った。

 あの人、子ども用のリュックを背負ったら、外せなくなっちゃって、もがいていたのよ。だから、魔法をといてあげたの。ストラップを引っ張って、伸ばしただけよ。

 あなたたち、知り合いなのかと思ったわ。

 違うわ。赤の他人よ。そもそもどうやって、リュックに腕を通せたわけ? って思わず、聞いちゃったわよ。

 あとで六十代の友人ロブにこの話をすると、彼が真顔でつぶやいた。

 その男はたぶん、子どものときにリュックを背負ったまま、大人になっちゃったんだろう。

 そう話すロブも、リュックの男も、きっとそうに違いない。

 子どものときにリュックを背負ったまま、大人になった男たち。

 そんな大人が、ときにとても魅力的に見える。

このエッセイは、「ニューヨークの魔法」第8弾『ニューヨークの魔法のかかり方』に収録されています。

https://www.amazon.co.jp/dp/4167717220

ホールフーズNYC全店に SALTFIELDS BREWING


ブルックリンで起業の塩野さん夫妻

ビール醸造1周年祝う

 ニューヨーク初の日本人によるクラフトブリューワリー、「ソルトフィールズ・ブリューイング」が12日、創業1周年パーティーをブルックリンのパブリックレコード本社2階で開催した。再開発が進むブルックリンのゴワナスの醸造所で契約醸造し、カルロース米を使ったライスラガーの詰めたての缶ビールを自分たちでデリバリーしたのが始まり。発売から1年で市内のレストランやバー、小売店、そしてニューヨーク市内全店舗のホールフーズでの展開が決まり現在取引先は170社あまりに拡大している。

(写真上)共同創業者の塩野さんと妻の優美さん(写真・三浦良一)

 共同創業者の塩野裕樹さんは特に酒好きではなかったが、ビール好きの妻の優美さんに勧められて飲んだローカル産のビールの美味さに開眼、地元のブリューワリーに飛び込んで雇われる形で醸造を学んだという。

 「米麦酒」と缶に寄席文字で書かれたシグネチャーは、20世紀初頭にカリフォルニアに渡った日本人移民が広めた中粒種のジャポニカ米を使っている。ドイツ産のビルスナーモルトをベースに白麹を少量加えて醸造した。会社名のソルトフィールズは「塩野」を英語読みにして付けた。日本にも既に出荷し、売り切れ状態の人気ぶり。ほのかな酸味で爽やかな味わいだ。キンキンに冷やすことで本領を発揮するそうだ。来月から中国にも輸出を開始し、年内に新しいフレーバーもリリースするという。塩野さんは「今後の展開はゆっくり焦らず Saltfieldsを育てていき、近い未来自分の工場兼Tap roomをもつことです」と話している。

梅雨とあじさい 思い立ったが吉日 週刊やさしいにほんご生活

この連載は、日本語を勉強している人を読者対象としたコーナーです。日本文化やマナー、タイムリーな日本に関する話題などを簡単な日本語で毎月第3週号に掲載します。アメリカ人の友人などにご案内ください。また、漢字をまだ習っていないお子様にとっても社会を知り、漢字に接するよい機会になります。

梅雨とあじさい

 6月になると、日本は「梅雨」という雨の多い季節になります。雨の日が続くと、あじさいの花がきれいに咲きます。あじさいは日本原産の花で、昔から人々に親しまれてきました。

 あじさいには青や紫、ピンクなどいろいろな色があります。特に日本では青いあじさいをよく見かけます。これは雨が多く、土が酸性になりやすいためです。また、雨の日に人とすれ違うときは、相手に雨がかからないように傘を少し傾ける「傘かしげ」というマナーもあります。

 梅雨の季節にあじさいを楽しむことは、日本らしい初夏の文化の一つです。

(長久保美奈、マナー講師)

わくわくことわざ(22)
文とイラスト 平田恵子

思い立ったが吉日


 何かを始めようと思ったら、すぐに行動するのが一番よいという例えです。吉日とは暦に記された、大安(何でもうまく行く日)や天赦日(天が全てを許す日)など縁起のよい日、のこと。しかし、この言葉は、「たとえ暦が凶日(縁起のよくない日)でも、やる気が起きたときが最高のスタート日(吉日)になる!」という柔軟さを示しています。「来年は、日本旅行だ! 思い立ったが吉日、さっそく日程を決めて、お金を貯めよう!」などと使って、動き出せばひらめきが現実的に計画に変わります。



《言葉の意味(ことばのいみ)》

・梅雨(つゆ):the rainy season

・続く(つづく):continue

・咲く(さく):to bloom

・原産(げんさん):native to; originating from

・酸性(さんせい):acidic

・すれ違う(すれちがう):to pass by each other

・傾ける(かたむける):to tilt

・傘かしげ(かさかしげ):the custom of tilting an umbrella to avoid splashing others

・初夏(しょか):early summer

・吉日(きちじつ):Auspicious day

・暦(こよみ):calendar

・凶日(きょうじつ):Inauspicious day

・「思い立ったが吉日」と同意の英文:There is no time like the present.

北米最大の日本映画祭 ジャパンカッツ開幕へ

ジャパン・ソサエティーで7月8日から

 北米最大の日本映画祭第19回「ジャパン・カッツ」が7月8日(水)から18日(土)までの10日間にわたり、ジャパン・ソサエティー(東47丁目333番地)で開催される。今年はキヤノン(Canon)が初の冠スポンサーを務め、30作品以上の最新の日本映画(長編・インディーズ・アニメ・ドキュメンタリー等)を上映。

 映画界への優れた貢献を称える今年の「カット・アバウブ賞」は、女優の広瀬すずさんに授与される。7月13日(月)のセンターピース上映会には本人が登壇し、質疑応答やレセプションが行われるほか、彼女の出世作である是枝裕和監督の『海街ダイアリー』のリバイバル上映も予定。是枝監督は最終日18日(土)に登壇する。

 センターピース作品『遠い山なみの光(A Pale View of Hills)』は、ノーベル賞作家カズオ・イシグロのデビュー小説を石川慶監督が映画化し、広瀬すずさんが主演を務めた話題作のニューヨーク・プレミア上映。クロージング作品の『箱の中の羊(Sheep in the Box)』は、カンヌ国際映画祭の公式セレクションにも選ばれた、是枝裕和監督の最新作が北米プレミア上映される。主演は綾瀬はるかさん。入場料は作品によって異なる。詳細は公式サイトhttps://japansociety.org/film/japancutsを参照。

     ◇

【上映作品は次の通り】

▽7月8日(水)午後6時『TOKYOタクシー』Tokyo Taxi▽9日(木)『猫を放つ』Leave the Cat Alone▽9日(木)午後8時30分『白の花実』White Flowers and Fruits▽10日(金)午後6時『cocoon〜ある夏の少女たちより〜』Cocoon▽10日(金)午後7時30分『ホウセンカ』The Last Blossom▽10日(金)午後9時30分『REX 恐竜物語』Rex▽11日(土)正午12時『BRAND NEW LOVE』▽11日(土)午後2時30分『災 劇場版』SAI: Disaster▽11日(土)午後5時30分『シャッフル』『指圧王者』Shuffle & The Master of Shiatsu▽11日(土)午後7時『ジャンク ワールド』JUNK WORLD▽11日(土)午後9時30分『THE オリバーな犬、(Gosh!!) このヤロウ MOVIE』Gosh!! 

・12日(日)午後2時30分『リライト』Rewrite▽12日(日)午後5時30分『佐藤さんと佐藤さん』Sato and Sato▽12日(日)午後8時『海街diary』Our Little Sister▽13日(月)午後6時『遠い山なみの光』A Pale View of Hills 広瀬すずさんの登壇・質疑応答・授賞式あり。▽14日(火)午後6時 New Directions in Japanese Cinema 4つの新作短編作品。『うねうねとまっすぐ』『36万リットルのオーバーフロー』『巡り巡る果て』『繰り返す女』

▽14日(火)午後9時 『ジンジャーボーイ』『空回りする直美』▽15日(水)午後6時『Diamond Diplomacy』▽15日(水)午後9時『Wの悲劇』W’s Tragedy▽16日(木)午後6時『魂のきせき』In their Traces▽16日(木)午後午後9時『ナイトフラワー』Night Flower▽17日(金)午後6時『炎上』Burn▽17日(金)午後8時30分 『TIGER』▽18日(土)正午12時『しびれ』Numb▽18日(土)午後2時30分 『代々木ジョニーの憂鬱な放課後』Yoyogi Johnny▽18日(土)午後5時『爆弾』SUZUKI=BAKUDAN▽19日(日)午後8時『箱の中の羊』Sheep in the Box 是枝監督の登壇・質疑応答あり。

(写真)「箱の中の羊」SHEEP IN THE BOX Courtesy of NEON

この夏、NYで聴く往年の名曲続々

ドゥービー・ブラザーズ、シカゴ、ロッド・スチュワート
音楽の祭典が7月目白押し

 ニューヨークの夏は野外コンサートの季節。今年も1960〜70年代に活躍した往年のスターたちが続々と来演し、洋楽ファンには見逃せないシーズンとなりそうだ。

 ロングアイランドの海辺にある野外劇場、Northwell at Jones Beach Theaterでは、7月2日にドゥービー・ブラザーズとサンタナが共演する「ONENESS 2026TOUR」を開催。「Listen to the Music」「What a Fool Believes」など、アメリカン・ロックの名曲を生で楽しめる。チケットは67ドル前後から。

 続いて7月23日には、ブラスロックの代表格シカゴがスティクスと共演。「Hard to Say I’m Sorry(素直になれなくて)」「If You Leave Me Now(愛ある別れ)」など、日本でも親しまれてきたヒット曲が期待される。

 さらに7月31日にはロッド・スチュワートが登場。サポートアクトにリチャード・マークスを迎え、「Sailing」「Maggie May」など半世紀以上愛される名曲を披露する予定だ。今回のツアーは大規模ツアーとしては最後になる可能性も報じられている。チケット料金は75ドルから300ドル。

 また、先月号で報じたクイーンズのフォレストヒルズ・スタジアムでは、ポール・サイモン(7月8日)やボブ・ディラン(7月19日、チケット119ドルから)の公演も予定されており、ニューヨーク近郊はまさに往年のロックファンにとって夢のような夏となる。青春時代にラジオやレコードで親しんだ名曲を、本場アメリカの野外会場で直に味わえる絶好の機会となりそうだ。チケットはチケットマスターで。https://www.ticketmaster.com

小柄な体型を武器にステージに  網永真夏さん

ダンサー

 網永 真夏(あみなが まなつ)さんは、ニューヨーク在住ダンサーで、身長147センチという小柄な体を活かし、しなやかで繊細かつ力強い表現を武器に活動している。3歳から日本でクラシックバレエを始め、コンテンポラリー、ジャズなど幅広いジャンルを学んだ。

 ベルリン国立バレエ学校の短期留学に参加し、元同バレエ団プリンシパルのウラジーミル・マラーホフに師事。英国ロイヤルバレエ団プリンシパルのヤスミン・ナグディが主催するサマーインテンシブにて奨学金を受賞。国際ダンスカーニバルで2年連続優勝、日本国際バレエコンクール コンテンポラリー部門第1位を受賞。

 これを機にニューヨークのPeridance Centerよりスカラシップを受け来米した。イガール・ペリーやリチャード・チャンシーらに師事し、バレエ、コンテンポラリー、モダンダンスを中心に専門的なトレーニングを積んだ。

 しかし、身長の低さはバレリーナとしてプリマドンナとして舞台に立つためには大きく高いハードルであり、自分の力ではどうすることもできない現実を海外のダンサーの横に初めてドイツで立った瞬間に実感したという。

 それでも卒業後はニューヨークを拠点にパフォーマンス、振付、指導など多方面で活躍した。クルーズショー出演や、92NYにて上演されたミュージカル『The Little Mermaid』に出演、ウエストチェスター・バレエ・カンパニーのゲストダンサー出演など舞台経験を積んでいる。

 現在、5月15日から9月上旬まで上演されているイマーシブシアター型のオフ・ブロードウエー作品「THE CIRCUIT」でデビューし、さらなる飛躍を目指して活動中だ。イマーシブシアター型とは屋外のパブリックスペースなどの場所を移動しながら、出演者やスタッフ、観客が一緒になって作品を楽しめる移動体験型の上演スタイル。現在は、ブルックリンのダンボ地区の橋の下のアーケードなどで上演がスタートしている。

 将来の目標は、ブロードウエーの舞台に立つこと。「夢ですか? そうですね、ニューヨークという競争率の高い街で小柄な身体だからこそ生み出せる存在感と表現で、世界に挑戦し続けていくことですね」とラジオシティ・ミュージックホールの前で笑顔で将来の希望に向けて目を輝かせた。  

 (三浦良一記者、写真も)

日豪友好協力基本条約から半世紀  NYで記念座談会

インド太平洋地域の近代史で「最も重要な協定」確認

P・シェアード博士 マイケル・グリーン博士 対談

外交政策協会および米国オーストラリア協会は15日、「奈良条約」として知られる日豪友好協力基本条約締結50周年を記念する特別イベントをマンハッタンの 米国オーストラリア協会で開催した。

  1976年6月16日の条約調印から50周年を迎える前夜にニューヨークで開催された同イベントでは、インド太平洋地域の近代史において最も重要な協定が永続的な友好関係の基盤を築く一助となったことなどが触れられた。当日は、日本側から山﨑和之国連大使とNY総領事の片平聡大使が出席し、スティーブン・マーシャル米国オーストラリア協会理事長の歓迎スピーチに続いて山﨑大使が祝辞を述べた。基調講演は、シドニー大学米国研究センター最高経営責任者のマイケル・J・グリーン博士が行い、S&Pグローバル元副会長兼チーフエコノミストのポール・シェアード博士と対談形式の講演会となり、マーシャル理事長が司会を務めた。

 シェアード氏は「豪日友好協力条約が、戦後オーストラリアが世界における立ち位置が大きく変わったことを象徴している」と指摘した上で「オーストラリアはイギリスやヨーロッパとの結びつきが強い国から、アジア太平洋地域の一部として自国を認識する国へと変わった。1967年に、日本はオーストラリアの最大の輸出市場となり、鉄鉱石、石炭、液化天然ガス、羊毛、小麦、牛肉、砂糖などの重要な原料や農産物の輸出が、日本の戦後の急速な経済成長を支え、食料供給にも貢献した」と述べ、続いて国家安全保障の考慮が経済や貿易の協力を妨げる危険性について警告した。「アメリカの安全保障パートナーであり、中国との貿易で大きな恩恵を受けているオーストラリアと日本は、米中関係を良好にし、緊張を和らげる上で重要な役割を果たせる」と主張した。最後にオーストラリア国連常駐代表のジェームズ・ラーセン大使が今回の対談の意義とさらなる日豪米の緊密な関係の重要さを述べて幕を閉じた。当日は、日系企業幹部や報道関係者、日本とのビジネス関係を持つオーストラリア企業の幹部ら約50人余りが出席した。

編集後記

編集後記

 みなさん、こんにちは。アイヌ音楽の旗手、 OKI(加納沖氏)率いる「OKI DUB AINU BAND」のコンサートが4日、ジャパン・ソサエティーで開催されました。OKI氏は自らのルーツをたどり、アイヌ独特の楽器トンコリの奏法を掘り起こし可能性を追求しつつ、レゲエ、ダブ、 R&B、ジャズ、ワールドミュージックなど世界のルーツ音楽を織り交ぜた新しい音楽表現に挑戦し続けている音楽家です。今週号の3面で記事を掲載しています。


 OKI氏は、鎌倉で生まれ、自分がアイヌと知らずに幼少期に離婚した日本人の母親に育てられたそうです。20歳を過ぎてから自らの出生を知ることに。アート研究中の文献の中で、ビッキー・砂川の名前を見つけ実の父親と確信、冬の阿寒を訪ねて実父と会います。「よくきたな」と言った父親と抱き合って涙を流した。でも自分がアイヌであるということを受けいれることに抵抗があったOKI氏は、何者でもない誰かになることを探すため1987年にニューヨークに移住したのでした。そして1993年、帰国中に訪れた旭川で樺太アイヌの弦楽器、トンコリに出会い、サハリンロックの演奏家になることを決意したそうです。


 「アイヌの町にある酒場に初めて入った時にカウンターに座っていたアイヌの常連客たちが振り向いた時の目を忘れることはできない。それはまるでアメリカの西部劇の映画で、酒場に入って来たよそ者を排除する嫌悪の視線だった」と講演で話しました。彼は、北海道地方に縄文時代から住んでいたと言われるアイヌ民族のそのベールに包まれた生活様式や文化を現代の日本に音楽を通じて伝える文化の伝達者(correspondent of culture )と言えるでしょう。ジャパン・ソサエティーでのサハリンロックは、加納沖というごく普通の日本人青年が、ある日、自分のルーツの旅を経てたどり着いたアイヌ民族の魂と自らの魂「OKI」を共鳴させたステージでした。


 北海道の釧路市で生まれた私も、幼稚園の頃、親の会社の社員旅行で阿寒湖に行って、民族衣装を着て観光客相手の記念写真を撮った記憶があり、その写真も古いアルバムに今もまだ貼られています。マリモようかんが、爪楊枝でプチンと弾けるのが不思議だったことと、アイヌの民芸品店で見た熊の木彫りがどれも鮭を咥えているのが印象的でした。男性たちが男性ガイドさんからバスの中で「~さん鹿撃ちに行きましょう」などと話していたのを覚えています。実際に行ったのかどうかは知りませんし、記憶にありません。大学生になって帰郷した折に母親のドライブで再び阿寒湖に行ったのが最後です。いまは昔ですが、口の青い刺青と幾何学模様の衣装がいいですよね。8月にまた大勢のアイヌの人々がジャパン・ソサエティーで文化イベントをするそうです。先住民族と言う意味ではアメリカインディアンの人たちに通じるものがあります。文化人類学的な面でもっと知らなかったことが学べそうで今から楽しみです。また、紙面でご報告します。それではみなさん良い週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)


【今週の紙面の主なニュース】(2026年6月13日号)

(1)ペン駅で通行人刺される 6人負傷し構内騒然

(2)柏木みどり 魔性の女カルメン披露

(3)世界の子供の夢でNY絵画展  西側愛弓さん

(4)アイヌ文化の伝達者OKI ジャパンソサエティーでサハリンロック

(5)日本で静かに広がる排外感情   冷静彰彦

(6)日系3団体でW杯応援

(7)サッカー青年を発掘 米国で日本サッカー協会

(8)海外結婚相談室 バイリンガルな子供の未来と可能性

(9)ジャパン・カッツ30作品  広瀬すずさんを表彰

(10)トライベッカ映画祭 「メモリィズ」上演

ペン駅で通行人刺される 6人負傷し構内騒然

 マンハッタンのペンシルベニア駅で6月7日夜、複数の通行人が刃物で刺される事件が発生し、6人が負傷、一人が重傷を負った。容疑者は現場で拘束され、当局が動機などを調べている。 

 消防署の広報担当者によると、午後7時頃、ニュージャージー・トランジットのコンコースで複数の人が刺されたとの通報が911で寄せられた。駅構内の店で働く従業人らによれば、通行人があわてて逃げ出し、一時パニック状態になったという。ニューヨーク市消防局(FDNY)によると、負傷者のうち1人が重傷、2人が中程度のけがを負い、残る負傷者は比較的軽傷だった。負傷者の大半はマンハッタンのベルビュー病院へ搬送された。 

 捜査当局によると、容疑者はアムトラック警察によって身柄を確保された。軽傷でワイル・コーネル医療センターに搬送されたが、8日までに氏名や起訴内容は公表されておらず、被害者同士に関連があるのか、あるいは無差別的な犯行だったのかも明らかになっていない。複数の報道機関は、容疑者がホームレス状態にあった可能性や精神的な問題を抱えていた可能性を伝えている。 

 ペン駅は全米で最も利用者の多い鉄道ターミナルの一つで、マジソン・スクエア・ガーデン(MSG)の真下に位置する。事件発生の翌8日にはトランプ大統領とマムダニ・ニューヨーク市長も観戦するNBAファイナル第3戦がMSGで組まれており、その前夜に無差別刺傷事件が発生したことになる。このため周辺の警備体制強化にも注目が集まっていた。ただし、捜査当局は現時点で事件と試合との関連は確認されていないとしている。 

 マムダニ市長は声明で「負傷された方々、そのご家族、そしてこの許しがたい暴力によって動揺されたすべての方々に、心からお見舞い申し上げます」とSNSに投稿、被害者への見舞いを表明するとともに、迅速に対応した警察や救急隊員を称賛した。事件の詳しい経緯については引き続き捜査が進められている。

 FIFAワールドカップの球場への交通の要衝となる駅だけに治安当局は警備に神経を尖らせている。

 ニューヨーク日本総領事館は事件の夜、在留邦人に緊急メールで事件発生を伝達し「移動に際してはニュース等で最新の関連情報の収集に努めることをおすすめします」と警告した。 

(写真)事件があったアムトラック改札近く(8日午前、三浦良一撮影)

柏木みどり 魔性の女カルメン披露

 日本を代表する舞踊家・振付家の柏木みどりが3日、ニューヨークのフローレンス・グールド劇場で特別公演を開催し、日本舞踊、ジャズダンス、モダンダンスを融合した柏木みどり独自の舞踊世界を見せた。

 第一部の日舞「時は過ぎても」で妖艶な日本人形のような姿で会場を魅了した後、第二部の「魔性の女カルメン」では、男女の恋の駆け引きをデフォルメした強烈な演技で情熱的な恋愛の悲劇を表現。
 「カルメンは、荒くれで男を狂わせる魅力があり、そして男を破滅させる魔性の女なんです。自分にはないそんなところに強く惹かれて踊ってみたいという気持ちになりました」と話していた柏木だが、舞台ではカルメンが踵を返してツンと鼻を立てて男を振る仕草は、柏木の持って生まれた鼻高女そのものの気高さで魔性の女を見事に演じた。

 今回無料公演にしたのは、広く一般の日米の観客も見てもらいたいとの柏木本人の強い思いからで、9回目となったカルメンの舞台は、舞踊家の頂点を飾るのにふさわしい集大成となった。

 柏木は、6歳より日本舞踊を始め、15歳で柏木流名取を取得。その後、女優活動を経てニューヨークへ渡り、フレッド・ベンジャミン氏やジョジョ・スミス氏らにジャズダンスを師事。

 帰国後は独自の舞踊スタイルを確立し、日本舞踊の繊細な表現と現代ダンスの躍動感を融合させた作品を国内外で発表。これまでニューヨークやベルリンなど海外でも公演を成功させ、ニューヨーク・タイムズ紙をはじめとする各国メディアから高い評価を受けている。 (三浦良一、写真も)