日米企業の協創と投資 スタートアップ支援

東京都とNY総領事館共済

ジャパン・ソサエティーでフォーラム

 日米間の協創と投資の促進イベント「ジャパン・イノベーション・フォーラム(The Cities Meet Up for “Tokyo SusHi Night”)」(東京都、NY日本総領事館共催)が26日、ジャパン・ソサエティーで開催された。同イベントは、日米間の協創と投資をテーマに、企業、スタートアップ、投資家、アクセラレーターが一堂に会する場として企画された。ディープテック分野における連携を深化させることで、都市の未来に向けた持続可能なイノベーションを加速させることを目指している。

(写真上)対日投資環境などを語る左から梅原氏、田川氏、西川氏、笠置氏

 開会宣言を東京都スタートアップ戦略推進本部長の吉村恵一氏が行い、基調講演にジェトロニューヨーク事務所の伊津野智久次長が日本におけるスタートアップ事業に対する支援態勢などについて解説し、日本全国に設備されたサービス支援拠点などを紹介し、海外からの投資を呼びかけた。

 続くパネルディスカッション1では、スクエア・アップ・ニューヨーク代表取締役の梅原静香氏が総合司会を務め、田川理映子東京都スタートアップ戦略推進本部プロモーション推進部推進課長、西川勝裕横浜市米州事務所副所長、笠置淳信神戸市シリコンバレーオフィス・イノベーション専門官が、日米イノベーションの加速に向けた戦略について意見を交わした。パネルディスカッション2では、トヨタ・ベンチャーの創立者のジム・アドラー氏らが登壇した。そのあと、対日進出したスタートアップ企業主たちからの未来都市への提案に関する短時間のプレゼンテーションが行われ、最後は日米スタートアップ関係者を寿司でもてなす交流会が行われた。

米国で結婚への出会い応援 松本直子さん

国際結婚相談所TJM主宰

 「恋」はできても「愛」が見つからないニューヨークの現実、などと聞くと思い当たる人は「そうそう」と頷くことが結構多いのではないだろうか。松本直子さんは、国際結婚&海外結婚相談所TJMを2009年にメリーランド州で会社を登記し、お見合いビジネスをスタートした。

 米国人男性で日本人女性との結婚を希望する人、日本に住んでいて海外で家庭を持ち国際結婚を希望する人、米国に住んでいて日本人の生涯の伴侶を探そうとしている男女の大きく分けて3つのカテゴリーがある。見渡せば独身男女だらけのこのニューヨークで出会いがないはずはないが、出会いがないのではなく、「結婚に繋がるようなご縁には出会えていない」というのが現状のようだ。出会い系のアプリが主流の昨今、スマホを片手に指でスワイプすれば高い確率で誰かに出会える。オンライン上には恋人を探している男女が星の数ほど存在する。マンハッタンで今日デートをする相手を見つけるのはそれほど難しいことではない。ニューヨークで「恋」はできる。では、「愛」はどうだろうか? 華やかなこの街で、真剣に生涯を一緒に歩めるパートナーと出会うことの難しさを、多くの人が感じているようだ。

 松本さんは、武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科卒でデザイン関連会社を経て自身の国際結婚の夢を叶える目的もあって1999年、港区南青山にて国際結婚に特化した結婚相談所をスタートした。米国式コミュニケーションスキルを磨くため2004年、単身渡米。ラスベガス大学に学ぶ。2005年、ロサンゼルスの短大へ転校し、本格的にビジネスの可能性を模索する。2006年、ロサンゼルス留学中に縁がありドイツ系米国人男性で現在のご主人と念願の国際結婚して現在に至る。

 松本さんは「スペック検索では見つけられない結婚の価値というものが大切なんです」と話す。相手の顔の印象、年収や学歴といった条件ありき。フィルターを通して出会うのは一見、効率が良いが、しかし俗に言う「タイパ」「コスパ」といった効率重視の出会いは表面的過ぎて、結婚に繋がるようなご縁の本質を遠ざけてしまうそうだ。

 「結婚とは、単なる条件の一致ではなく、お互いの価値観を深く理解し、喜びを分かち合い、困難を共に乗り越える「人生のチームづくり」。誠実に向き合い、お互いの真摯な愛情があってこそだから、効率良く短期間で見つけるというよりは、じっくりと時間をかけて成熟してゆく。「育む」時間や忍耐強さは絶対必要なんです」と話す。

 特に多様な文化や価値観が交錯するニューヨークという環境では、小手先のテクニックや条件ではなく、人間性に基づいた確かな繋がりこそが、結婚生活を支える基盤となるそうだ。

 では、どうすれば「本気の愛」に出会えるのか。当たり前だが、結婚相談所に登録する独身男女の目的は、「遊び」ではなく「結婚」。アプリとは決定的に違う。最初から結婚を目的とし、身元がはっきりした独身男女と出会える安心感がある。仲人の伴走は専門的な助言があるから、単なる「出会い」のではなく「人生のサポート」という役割を担うというのが日本の結婚相談所。だが、米国における初婚の離婚率はかなり高く、2度目が本番と考える層も多い。松本さんは、まずは出会いの機会を、再婚も含めて気軽に出会える場の提供の必要性も感じているいう。出会いの可能性が無限にあるニューヨークで孤独を感じているのであれば、結婚相談所のように「結婚」という明確な目的を持った独身男女が集まる場所に身を置いてみるのはひとつの方法か。

 (三浦良一記者、写真は本人提供)

米東部に寒波と大雪直撃

空の便や交通に影響、停電も

 米国東部は1月25日から26日にかけて、北極由来の強い寒気と低気圧の連携で大規模な冬の嵐(通称「Winter Storm Fern」)に見舞われた。ニューヨーク都市圏では25日終日、雪が激しく降り、セントラルパークで約25〜28センチ の積雪となり、郊外やハドソンバレーでは40センチ近い大雪を記録した。これは近年でも著しい降雪量で、都市部では10〜15インチ級の積雪が報告された。

(写真上)大通りを閉鎖して除雪車が走るソーホーと市役所周辺(25日昼過ぎ 写真・植山慎太郎)

 この寒波は降雪だけでなく、気温の極端な低下も特徴で、26日朝には広範囲で氷点下10℃以下の厳寒となり、南部や中西部でも危険な低温を記録した。ニューヨーク州内の一部では、氷点下40℃台に迫る地点もあり、平年値を大きく下回る冷え込みが継続している。

交通・社会生活への影響も深刻だ。雪と氷結により道路は走行困難となり、ニューヨークの主要空港ではラガーディアやジョン・F・ケネディ国際空港を中心に数千便の欠航・遅延が発生し、米国全体では1万機以上の航空便がキャンセルされたとの報告もある。公共交通機関の遅延や運休、学校の遠隔授業への切り替えといった混乱が続いている。

 また、寒波は広域での停電や電力需給ひっ迫を招き、数十万〜100万戸規模の停電が発生した地域もある。路面の凍結は再融解・再凍結を繰り返し、歩行や運転の安全にも大きなリスクをもたらしている。

 死者も報告されており、極寒・雪絡みの事故や低体温症による死亡例が複数件確認されている。気象当局は引き続き冬季警報・厳寒注意報を発出し、危険な低温・積雪への警戒を呼びかけている。

時代と国を超えて歌う 東京ダウンタウン

 24日、ブルックリンのショーケース、ザ・レッドパビリオンで、シティポップバンド「TOKYOダウンタウン」によるコンサート「トウキョウ・ダウンタウン・ジャパニーズ・シティポップ」が開催された。

 バンドマスターのクニ三上(キーボード)を中心に、小川トモヤ(ギター)、MJカング(ベース)、三上麟太郎(ドラムス)と、さまざまな音楽シーンで活躍する実力派プレイヤーが集結。さらに、田井中千裕、伊東友子、有川久美子、西野ル子の4人のシンガーが、それぞれの個性を生かした魅力的なパフォーマンスを披露した。

 近年アメリカでもムーブメントの一つとなっているシティポップや歌謡曲など、1980年代を彩ったヒットソングの数々が演奏され、会場では終始華やかなステージが繰り広げられた。観客層も幅広く、世代やバックグラウンドを越えて楽曲を口ずさむ姿が見られ、客席からは自然と合唱が生まれる場面もあった。

 シンガーは4人編成で、今回のステージから新たに参加したメンバーも含まれている。それぞれのソロによる表情豊かな歌唱に加え、4人が織りなす迫力あるハーモニーは、客席を大いに沸かせた。

 今後も2月27日(金)、3月21日(土)に同会場での公演が予定されており、今後の活動からも目が離せないバンドだ。バンドのインスタグラムはhttps://www.instagram.com/tokyodowntownnyc?igsh=MW0yZ281MWhsOW9hZQ%3D%3D今後のイベント詳細はwww.theredpavilion.com/events(あすみ、写真も)

同盟の危機 BOOKS

日本の立ち位置を示唆

ジョシュア・W・ウォーカー・著
日本経済新聞出版・刊

 トランプ再選から1年。アメリカ・ファーストを推し進める大国のもと、第二次世界大戦後から長らく続く日米関係はいま新たなフェーズに入っている。

 日本とアメリカの関係を再構築し、国際社会でのプレゼンスを高めるためにはどうすればいいのか。新時代のリーダーに向けて、知日派の著者が提言する。

 著者でジャパン・ソサエティー理事長・プレジデントのジョシュア・W・ウォーカーさん(44)は、1歳の時に宣教師の親と共に訪日し、18歳まで北海道の札幌市で育った自称「道産子」だ。米国で世界的に知られる政治分析会社ユーラシア・グループにおいてイアン・ブレマー社長直属の戦略イニシアティブ担当として日本での事業を担当し、民間に移る前には米国務省、国防総省といった米連邦政府のさまざまな部署で勤務、2019年に100年以上の歴史を持つジャパン・ソサエティーの理事長に歴代最年少で就任した。  

 「日本が今日の分裂と不確実性に満ちた世界において、より大きな役割を担うためにも、私は日本のソフトパワーや強固な経済力、そして明確な目的意識が、これまで以上に重要になると感じている。本書を通じて、日本の幅広い読者が、これまで自分たちがアメリカや日本に対して抱いていたイメージを考え直し、日米のパートナーシップについて、より大胆な発想で考えるきっかけとなればと願っている」と語る。

 さらに本書を執筆したのは、「日米同盟が重大な岐路に立っていると確信したからだ。当初は英語で世界に向けて日本の強み、教訓、豊かさを説明するために書き始めたが、すぐに自分の中に別の本が生まれたことに気づいた。それは、家族の歴史が直近80年の日米関係と直接結びつく私自身の体験と視点に基づき、歴史の転換点に立つ故郷・日本への想いを綴り、日本の友人たちのために特別に執筆したものだ」と執筆の動機を同書で綴っている。

 「周囲の地政学や政治情勢にもかかわらず、私はこの分岐点を明確な視座と、日本および日米関係に対する真摯な楽観をもって迎えている。本書は愛を込めて執筆した労作であり、翻訳者である石垣友明氏の尽力により、言語的にも確実に伝わるものになったと確信している」と話している。

 序章でトランプ大統領の昨年秋の訪日で、高市首相が最大のおもてなしの心で接遇したソフトパワーこそ、日米関係の黄金時代をこの不確実な世界情勢の中で築くことができ得た源泉であると著者は説く。

 年が明けてわずか1か月、トランプ第二期政権発足から1年でこれほどまでに世界が不確実性の様相を色濃く呈するとは誰もが思っていなかった中でも、日本にとって、確固たる日米同盟の枠組みは日本の現在そして未来にとっての必須項目であることに変わりはないだろう。

 では「転機」とは、その中身について今、日本は自分たちが持っているソフトパワーを自覚し、それに自信を持てと日本育ちの米国人である著者が日本人の目と心で「愛の外圧」をかけているとも読める。(三浦、インタビュー記事本紙1面に)

(写真左)2月2日に日本で発売になる『同盟の転機』
(写真右)出版の動機を語るウォーカー氏(1月22日)

日米同盟の転機語る
米国の変貌と日本の戦略

ジャパン・ソサエティー理事長・プレジデント
ジョシュア・W・ウォーカー氏に聞く

 ジャパン・ソサエティー理事長のジョシュア・W・ウォーカー氏が執筆した『同盟の転機』、「アメリカの変貌と日本の戦略」と題した新著が、日本経済新聞出版から2月2日に出版される。出版の動機と意図を聞いた。  (聞き手・本紙・三浦良一、写真も。書評19面に)

 ウォーカー氏の発言内容は次の通り。

 この本の出版時期がタイミング的に良かったかどうか予断はできないが、本書に書かれたことについてはその予断は確信と自信がある。大統領一期だけで予測することはできないが、私は最初の彼の第一期で過去80年間の戦後の枠組みが大きく変わったことを感じた。そして日本人はそれに大きな関心を払わなかったことにも気がついた。日本は米国を信用し過ぎたのだ。本のタイトル『同盟の転機』は、何かが変わったことを示唆している。2026年を予測したものではないが、ベネズエラ、グリーンランド、日本の解散衆議院選挙をレッスンとして日本は今学ぶべきことがある。私が言いたいのは日本が自ら日米同盟を変えろということではなく、日米同盟そのものがいまターニングポイント、転換点に差し掛かっているという現実を認識しなくてはならないということだ。

 日本はこれまでのように米国に依存しっぱなしではいけない。なぜなら、日米同盟を築いた時のアメリカと今のアメリカとでは明らかに違うからだ。私たちが生きている世界は常に強い力(ハードパワー)によって形成されている。アメリカがベネズエラの大統領を拘束した時、アメリカでは誰も問題視しなかった。トランプ大統領がグリーンランドの割譲を口にした時、ヨーロッパは一斉に反発して欧米は分断された。日本はその中間にいる。転換期を迎えている世界の中で日本には今、役割がある。

 日本は変化を望まない。現状維持が居心地がいいからだ。アメリカが中国を監視する警察官であると日本がまだ見ているならそれは現実的ではない。日本育ちのアメリカ人の私の目から見て、今の日米同盟に欠如しているのは「社会と人間」だ。今年は大きく変貌する1年になるだろう。新年を迎えてまだ21日しか経っていない今日、昨日や明日の変化を誰が昨年末に予想できただろうか。高市首相は3月に来米する前にこの本を読むべきだ。私のような日米マフィアは、日本に心地のよい耳障りのよいうまいことを普段言うが、建前でなく本音をここに書いている。日本語で書いたのには意味がある。私が見たものをそのまま書いているから英語で読めば怒り心頭に発するアメリカ人が多くいるし、おそらくトランプ大統領は賛同はしてくれないだろう。だが、私はこの本で政治論を展開しているのでなく、アメリカに生きる愛すべき人間を書いている。日米関係はもっと大きく拡大すべきで、そうでなければ私や私の子供の世代は、第二次世界大戦で日本と戦った祖父たちの世代が戦後築いた80年の日米関係を理解することが難しくなるからだ。本書執筆の動機はまさにここにある。

 私は1歳から18歳まで日本で育ったが、日本に居たときは、常に自分がアメリカ人であることを意識していた。だが今、ジャパン・ソサエティーの理事長として自分の中に日本人的なるものを感じることがあるだけでなく、このアメリカの地で日本人が尊敬され、日本文化と伝統に対する憧憬と畏敬の念を多くのアメリカ人が抱いていることを痛切に感じている。

 日本人は他の人の気持ちを考えて発言する「おもてなしの心」があるが、アメリカ人は全く相手のことは考えないでストレートに主張して説得して要求する。昔の日米関係は、中曽根とレーガンのロンヤス関係や、安倍晋三首相のシンゾウアベがうまくできたのも相手とのバランスをうまく取れたからだが、もし、安倍首相が生きていても今のドナルド・トランプを止めることはできない。日本がアメリカとうまくやるためには、アメリカ人と一緒に何かやらないとだめだ。トランプの考え方はNYリアルエステートエージェント(不動産業者)だから、どうやってアメリカとうまく与(くみ)するかは、安全保障だけでなく、経済、文化、食などのソフトパワーでアメリカの悪夢と立ち向かわなくてはならない。 

 私は合気道を長い期間習っている。相手の力を利用して反撃することができる技だ。日本がアメリカにパンチを喰らわしてもアメリカを怒らせるだけなので、日本は米国との戦いを極力回避し、静かにそして熟考してアメリカ人が納得する方法でサポートすることを考える方が得策だ。

 そこでアメリカとの関係で日本の立ち振る舞い方が大切だ。今の日米関係をアメリカが兄で日本が弟の兄弟に例えると、兄の言動をハラハラと見守っている弟の状況に近い。それでも自分は兄弟だからたとえ兄が周りから責められても兄のことをちゃんと守ってやらなくてはならない。お兄ちゃんの言動を真正面から攻撃したり非難するのではなく「柔よく剛を制する」合気道のような柔軟なしなやかさが必要だ。

 アメリカ人として私はアメリカファーストが日本人の関心を呼ぶとは思わない。どの国も自国のことを第一と思うのは当たり前のことだからだ。「アメリカ・ファースト」は「アメリカ・アローン」だ。米国の大統領は日本の犠牲に感謝はしないだろう。米国が国際機関から脱退している中で、もし米国が国際秩序を大きく壊したら、その時は日本は真剣に考えなくてはならない。日本は中国のようなスーパーパワーの国ではない。日本は国際的な安定秩序のシステムの上に成り立っている国だからだ。もし米国が力まかせで国際秩序を破壊したら日本は大きな不利益と逆境に陥ることになる。多くのアメリカ人はトランプ大統領を支持していない。残りの3年は、大統領のエゴとファミリーのために使われるかもしれないが、日本はなんとしても生き延びなくてはならない。新しい日本の首相はうまくマネージしてサバイブしなくてはならない。外務省ではなく、官邸ではなく、首相本人だ。石破前首相は安倍晋三のように対峙せずに失敗した。インパーソンのワン・オン・ワンが大切だ。転機を迎えた日米同盟のキーワードは人だ。トランプ大統領にいかに日本が米国に多大なる投資をしているか、していくかを力説すること、日本と米国は親友であることを訴えることだ。日本は国際社会でリーダーシップをとることに消極的すぎる。日本企業のプライベートセクターがアメリカ社会で活躍して成功しているのを見習って、もっと積極的に世界の表舞台で発言し、アピールして顔の見える日本になってプレゼンス、存在感を高めてほしい。それがこの本を書いた最大の動機であり、愛する日本への私からの「お願い」でもある。

編集後記

編集後記

 高市総理大臣は19日記者会見を行い、諸条件が整えば、1月23日(金)に衆議院を解散し、1月27日(火)公示、2月8日(日)国内投票日の日程で第51回衆議院議員総選挙を行うと正式に発表しました。通常、衆議院の選挙日程は、解散後の臨時閣議において決定されますが、これまでの例に倣えば、1月27日に公示の場合、在ニューヨーク日本国総領事館(パーク街299番地)における在外選挙投票期間は、1月28日(水)から2月1日(日)の5日間となる予定(投票時間は午前9時半から午後5時。週末も実施)です。投票には、①パスポート、米国の自動車運転免許証などの写真付き身分証明書、②在外選挙人証が必要です。

 海外に在住する日本人総数は129万8170人で、在外選挙における有権者となる成人数は105万2403人で、海外在留邦人全体の約80%を占めています。この数字は、日本国内の富山県の人口106万人(2025年推定値)にほぼ匹敵し、秋田、宮城、山形県の人口よりも多いのです。

郵便投票もできますが、今から日本国内の自分の最後に住んでいた土地の選挙管理委員会に、在外選挙人証を添えて郵送して、投票用紙が在外投票最終日の2月1日の前日までに手元に届くかははなはだ疑問なので公館投票が唯一現実的な投票方法になりそうです。

 海外有権者ネットワークが昨年12月にまとめた資料によると、令和6年衆院選在外郵便投票(比例代表)数は246票でこれまで最も少ない票数で過去最低だった平成26年衆院選時の524票の半分以下でした。締め切り後に選挙管理委員会に届いた票数は49票あり、全体の16・65%が締め切り後に到着。交付された在外郵便投票用紙は532票で、日本に未返送は237票。全体の44・5%が返送できなかったとのことです。

 在外インターネット投票は、有識者会議が日本政府に対し2018年に在外ネット投票の導入を提言したにもかかわらず、未だに放置したままです。ネット投票に正面から反対する政治家の声は聞こえてきませんが、必要性が7年も8年も放置されているのにはおそらくそれなりの理由があるのでしょう。AIが進み、人間の管理の範囲を超えた不具合や不作動などが起こった場合のリスク管理態勢ができていないというのも懸念の一つなのは疑う余地はないでしょうが、では技術的な問題が解決されれば、ネット投票に一気呵成に進むのでしょうか。与党の支持基盤である高齢者が全員スマホで投票できる時代がくれば話は別です。いろいろ思うところはあれど、ニューヨーク近郊在住で投票できる人は、とにかく今回も総領事館に足を運んで政治に参加することが大切ですね。1票を投じることが、モノを語る上での「行動」の第一歩です。



【今週の紙面の主なニュース】(2026年1月24日号)

(1)在外選挙28日から投票 衆議院23日解散受け

(2)厳冬の一丁目一番地

(3)土曜日の朝のカフェ ニューヨークの魔法

(4)文化と自然の思いがけない同居描く中川直人

(5)やさしいにほんご

(6)賀詞名刺交換会を開催

(7)移民政策に抗議デモ行進

(8)あめりか時評

(9)トランプ大統領記念名称相次ぐ

(10)DEEPなQUEENS

厳冬の一丁目一番地歩くニューヨーカー

 ニューヨーク、ニュージャージー、コネチカットの3州にまたがるトライステートエリアで17日、午前中から小雪が降り出し、一時は視界が遮られるほどのまとまった雪が観測された。ニューヨークでは1月中旬に入り、気温が氷点下前後で推移するなど、雪やみぞれをともなう典型的な冬の気候が続いている。この日は朝から湿った雲が流れ込んだ影響で、数時間にわたり雪が降り続き、道路や歩道は白く覆われた。

 新春とはいえまだ1月。厳冬の季節の一丁目一番地をニューヨーカーが足早に歩く。

(トライベッカで午後、植山慎太郎撮影)

在外選挙28日から投票 衆議院23日解散受け

 高市総理大臣は19日記者会見を行い、諸条件が整えば、1月23日(金)に衆議院を解散し、1月27日(火)公示、2月8日(日)国内投票日の日程で第51回衆議院議員総選挙を行うと正式に発表した。通常、衆議院の選挙日程は、解散後の臨時閣議において決定されるが、これまでの例に倣えば、1月27日に公示の場合、在ニューヨーク日本国総領事館(パーク街299番地)における在外選挙投票期間は、1月28日(水)から2月1日(日)の5日間となる予定(投票時間は午前9時半から午後5時。週末も実施)。また、第27回最高裁判所裁判官国民審査も同一日程で行われる。

 在外公館における投票には、①パスポート、米国の自動車運転免許証などの写真付き身分証明書、②在外選挙人証が必要。また、衆議院議員総選挙小選挙区選挙については、自身の選挙区を今一度確認する必要がある。

海外有権者約105万人
富山県の人口にほぼ匹敵

 外務省領事局政策課が昨年10月1日にまとめた海外在留邦人数統計によると、海外に在住する日本人総数は129万8170人で、前年の129万3097人とほぼ同数。在外選挙における有権者となる成人数は105万2403人で、海外在留邦人全体の81・1%を占めている。この数字は、日本国内の富山県の人口106万人(2025年推定値)にほぼ匹敵し、秋田、宮城、山形県の人口よりも多い。

 長期滞在者は70万9684人で全体の54・7%を占め、永住者は58万8486人。地域別では、北米が海外在留邦人全体の37・9%の49万1701人を占め、1985年以降一貫して首位。国別では、米国に海外在留邦人全体の32・1%の41万6380人が在留しもっとも多く、都市別では、ロサンゼルス都市圏に海外在留邦人全体の4・9%にあたる6万3972人、バンコクに4%の5万1297人、ニューヨーク都市圏に2・9%の3万8251人が住む。

前回の衆院郵便投票
交付半数以上が無効

 海外有権者ネットワークが昨年12月にまとめた資料によると、令和6年衆院選在外郵便投票(比例代表)数は246票でこれまで最も少ない票数で過去最低だった平成26年衆院選時の524票の半分以下だった。締め切り後に選挙管理委員会に届いた票数は49票あり、全体の16・65%が締め切り後に到着。交付された在外郵便投票用紙は532票で、日本に未返送は237票。全体の44・5%が返送できなかった。交付された在外郵便投票用紙532票のうち、無効となった用紙の数は286票で、全体の53・8%が無効になった。

進まないネット投票
議案7年間放置状態


 海外有権者ネットワークNY共同代表の竹永浩之さんは「今回の解散総選挙は2000年に在外投票が始まって以来、これまでで最悪の投票環境になる。解散から投開票日までが戦後最短で在外郵便投票が間に合わない有権者が続出するだろう。また在外選挙にとって初めての真冬の選挙であるため、在外公館へのアクセスが困難になる。これらの問題は在外ネット投票を導入すればすべて解決するが、有識者会議が日本政府に対し2018年に在外ネット投票の導入を提言したにもかかわらず、未だに放置したままだ。そんな在外投票の現状を知りながら解散総選挙をやるのであれば、限りなく違憲状態に近く、選挙後訴訟を起こす海外有権者も出るのではないか」と話す。

公示27日
NY日本総領事館に投票所

1月28日(水)から2月1日(日)午前9時30分から午後5時まで。予約はいらない。在外選挙人証、写真付身分証明書の持参が必要。

土曜日の朝のカフェ ニューヨークの魔法

 ドアを開けると、すでに店内は朝食をとる人で活気にあふれていた。土曜日の朝、アッパーウエストサイドでブロードウエイを、「ゼイバーズ・カフェ」(Zabar’s Cafè) に向かって私は歩いてきた。

 カフェのショーウインドウの前に立ちはだかるように、七、八人がレジの順番を待っている。焼きたてのべーグルやマフィンがぎっしりと収まっているショーウインドウを、一列に並んだ人の間からのぞき込み、ブルーベリーにしようか、と少し悩んでから、バナナのマフィンとコーヒーを頼む。

 カフェの真ん中に長いテーブルがあり、九人ずつ、向かい合ってすわれるようになっている。私はカウンターのほうを向いて、中央の右寄りの席に落ち着く。斜め前でカウンターを背に、六十代後半くらいの男の人ふたりが、大きな声で世界経済について語っているようだ。ひとりが話しているのに、相手がさえぎって話し始めると、さえぎられたほうが抗議する。

 Hey, let me finish my thought.

 おい、話の腰を折らないでくれよ。

 高齢の女の人が、私の右斜め前の席に腰を下ろす。黒のウールのコートに茶色の帽子を身につけている。運んできたトレイには、全粒粉パンのようなものにスモークサーモンとクリームチーズをはさんだサンドイッチと、ダイエット・スナップルのジュースがのっている。

 彼女はサンドイッチをひと口ひと口、ゆっくりと食べ始める。やがて、食べかけのサンドイッチを皿の上に戻すと、空いた手でジュースの瓶の蓋を開けようとしている。力を入れて、何度もやってみるが、なかなかうまくいかない。

 その人の前にすわっている四十歳くらいの男の人が、黙って手を差し出す。そして、女の人から瓶を受け取ると、いとも簡単に蓋を開け、これも黙って、彼女に返す。知り合いではないのに、ごく自然に、まるでその人の母親であるかのごとく。女の人もごく当たり前のように、何も言わずにただほほ笑み、瓶を受け取る。

 その男性と私の間に、ヒスパニック系らしき女の人がすわった。コーヒーを飲みながら、マフィンを食べている。帰りに食料品を買いたかったので、この辺りに「ホールフーズ」はありますか、と尋ねてみる。

 この辺りにはありませんよ。前はあったけれど、もう今はないわ。

 彼女の目の前にすわっている男の人が、私たちの会話を聞いていたようだ。話に加わってくる。

 What do you want to know?

 何が知りたいんだい。

 そして、近くではないけれど、と別の二店舗の場所を、まるで私がこの街を初めて訪れた観光客であるかのように、事細かに説明し始める。

 私たちがやりとりしている間に、高校生だろうか、十五歳くらいの少女五、六人の集団が入ってきて、右手奥に固まって立ち話をしている。

 カフェの中ほどにすわっている別の男の人が、高校生たちに向かって声をかける。

 Would you please pass me some napkins?

 そこのナプキンを、取ってもらえるかい。

 Sure.

 もちろん。

 高校生のひとりが答え、ナプキンを手渡す。

 しばらくすると、その男の人が、食事を終えて立ち上がった。

 エクスキューズ・ミー(Excuse me.)と言いながら、高校生の脇を通り過ぎるとき、 彼女たちに声をかける。

 Thank you for the napkins.

 さっきはナプキンをありがとう。

 マンハッタンの片隅で、朝から他人同士が関わり合っている。

 このエッセイは、シリーズ第6弾『ニューヨークの魔法をさがして』に収録されています。40万部突破の「ニューヨークの魔法」シリーズ(全9巻)は文春文庫から刊行されています。

https://www.amazon.co.jp/dp/4167717220

文化と自然の思いがけない同居描く中川直人

 ニューヨークの現代アートシーンで60年以上活動を続けている画家の中川直人が23日(金)から2月22日(日)まで、ダウンタウンのカポウ・ギャラリー(Kapow Gallery:モンロー通り23番地)にて個展「Naoto Nakagawa 2026」を開催する。同展では、40×43インチの大作2点と、20×21インチの中作6点(いずれもアクリル画)ほかドローイングやスケッチ等、今年の新作を展示する。

 開催前のアトリエで追い込み作業中の同氏を訪ねた。今回の目玉作品「キャナル・ストリート」では、大通りの交差点で巨大なトカゲが信号機を丸呑みにする光景に目を奪われる。「僕は絶えず現代社会の問題や世界情勢に関心を持ちつつ絵を描いてきました。今の最大の関心事は限りなく進化する科学文明(カルチャー)と地球環境や自然の営み(ネイチャー)の接点です。このままゆくとAIの進化等で滅びるかもしれない人類。でもその人類は地球の自然のごく一部。たかだか6万年前に誕生した新種の生物です。トカゲは、そんな人類よりはるかに長い時間生き延びてきた生き物の代表なのです」

 1962年に18歳でニューヨークに渡って以来、中川氏は若い頃から、ペンチやワインオープナーやハサミなど人間の創造物である道具と、人体の器官の直結を幾度も描いている。そのシュールな異化作用は観るものに人間本来の生物としての「感覚」を呼び覚ます。出展作「バスストップ」では、肥大化したトカゲが人間の集団を貪り食う傍で、通行人は一瞥するだけ。背景にはトライベッカのごく普通な日常生活が淡々と流れている。怪獣映画のような恐怖はない反面、生命史と宇宙の包容力がキャンバスを覆う。文化と自然の思いがけない同居と、そこで生まれる地球礼賛。それを宇宙的な距離にまで引いて私たちに見せてくれるのが、アーティスト中川直人の神業だろう。

 オープニング・レセプションは23日(金)午後6時から。詳細はウェブサイトhttps://kapowgallery.comを参照する。 (中村英雄)

週刊やさしいにほんご生活 おすしをたのしもう 千里の道も一歩から

この連載は、日本語を勉強している人を読者対象としたコーナーです。日本文化やマナー、タイムリーな日本に関する話題などを簡単な日本語で毎月第3週号に掲載します。アメリカ人の友人などにご案内ください。また、漢字をまだ習っていないお子様にとっても社会を知り、漢字に接するよい機会になります。


おすしをたのしもう


 おすしは一口で食べるのが基本です。おはしを使ってもいいですが、カウンター席では手で食べる人も多く、マナー違反ではありません。

 しょうゆは、ごはんではなく、魚の身に少しだけつけます。

 わさびは、しょうゆにとかさず、魚の身の上に少しのせて食べます。苦手な人は、

「わさびなしでお願いします」と伝えましょう。

 すしに添えてあるガリは、口の中をさっぱりさせるために食べます。

 また、日本のすし店では、どんなおすしを出すかを職人に任せる「おまかせ」というスタイルがあります。その日仕入れた魚や季節に合わせた味を楽しむことができます。

(長久保美奈、マナー講師)

わくわくことわざ(17)
文とイラスト 平田恵子

千里の道も一歩から

 「どんなに大きな目標であっても、まずは一歩を踏み出すことからすべてが始まる」という教えです。千里の「里」は、昔の距離の単位で約4km

(2・5マイル)ですが、ここでは遥か遠い道のりのこと。今できる小さな努力を続けて行く大切さを、納得させてくれることわざです。日本では1月は新年の始まりであり、新しい挑戦を始めるにはベストタイミング!「心配ご無用。源氏物語を読むことも、千里の道も一歩から。最初は英訳サイトを見て内容を理解してからでもOKよ」などと使います。


《言葉の意味(ことばのいみ)》

・おはし:chopsticks

・カウンター席:counter seat

・わさび:wasabi

・ガリ:pickled ginger

・おまかせ:omakase / chef’s choice

・教え lesson

・努力 effort

・「千里の道も一歩から」と同じ意味の英語のことわざ Every journey begins with a single step.

・英訳サイトEnglish translation site( example/The Tale of Genji)