ニューヨークの現代アートシーンで60年以上活動を続けている画家の中川直人が23日(金)から2月22日(日)まで、ダウンタウンのカポウ・ギャラリー(Kapow Gallery:モンロー通り23番地)にて個展「Naoto Nakagawa 2026」を開催する。同展では、40×43インチの大作2点と、20×21インチの中作6点(いずれもアクリル画)ほかドローイングやスケッチ等、今年の新作を展示する。
開催前のアトリエで追い込み作業中の同氏を訪ねた。今回の目玉作品「キャナル・ストリート」では、大通りの交差点で巨大なトカゲが信号機を丸呑みにする光景に目を奪われる。「僕は絶えず現代社会の問題や世界情勢に関心を持ちつつ絵を描いてきました。今の最大の関心事は限りなく進化する科学文明(カルチャー)と地球環境や自然の営み(ネイチャー)の接点です。このままゆくとAIの進化等で滅びるかもしれない人類。でもその人類は地球の自然のごく一部。たかだか6万年前に誕生した新種の生物です。トカゲは、そんな人類よりはるかに長い時間生き延びてきた生き物の代表なのです」
1962年に18歳でニューヨークに渡って以来、中川氏は若い頃から、ペンチやワインオープナーやハサミなど人間の創造物である道具と、人体の器官の直結を幾度も描いている。そのシュールな異化作用は観るものに人間本来の生物としての「感覚」を呼び覚ます。出展作「バスストップ」では、肥大化したトカゲが人間の集団を貪り食う傍で、通行人は一瞥するだけ。背景にはトライベッカのごく普通な日常生活が淡々と流れている。怪獣映画のような恐怖はない反面、生命史と宇宙の包容力がキャンバスを覆う。文化と自然の思いがけない同居と、そこで生まれる地球礼賛。それを宇宙的な距離にまで引いて私たちに見せてくれるのが、アーティスト中川直人の神業だろう。
オープニング・レセプションは23日(金)午後6時から。詳細はウェブサイトhttps://kapowgallery.comを参照する。 (中村英雄)

