国際結婚相談所TJM主宰
「恋」はできても「愛」が見つからないニューヨークの現実、などと聞くと思い当たる人は「そうそう」と頷くことが結構多いのではないだろうか。松本直子さんは、国際結婚&海外結婚相談所TJMを2009年にメリーランド州で会社を登記し、お見合いビジネスをスタートした。
米国人男性で日本人女性との結婚を希望する人、日本に住んでいて海外で家庭を持ち国際結婚を希望する人、米国に住んでいて日本人の生涯の伴侶を探そうとしている男女の大きく分けて3つのカテゴリーがある。見渡せば独身男女だらけのこのニューヨークで出会いがないはずはないが、出会いがないのではなく、「結婚に繋がるようなご縁には出会えていない」というのが現状のようだ。出会い系のアプリが主流の昨今、スマホを片手に指でスワイプすれば高い確率で誰かに出会える。オンライン上には恋人を探している男女が星の数ほど存在する。マンハッタンで今日デートをする相手を見つけるのはそれほど難しいことではない。ニューヨークで「恋」はできる。では、「愛」はどうだろうか? 華やかなこの街で、真剣に生涯を一緒に歩めるパートナーと出会うことの難しさを、多くの人が感じているようだ。
松本さんは、武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科卒でデザイン関連会社を経て自身の国際結婚の夢を叶える目的もあって1999年、港区南青山にて国際結婚に特化した結婚相談所をスタートした。米国式コミュニケーションスキルを磨くため2004年、単身渡米。ラスベガス大学に学ぶ。2005年、ロサンゼルスの短大へ転校し、本格的にビジネスの可能性を模索する。2006年、ロサンゼルス留学中に縁がありドイツ系米国人男性で現在のご主人と念願の国際結婚して現在に至る。
松本さんは「スペック検索では見つけられない結婚の価値というものが大切なんです」と話す。相手の顔の印象、年収や学歴といった条件ありき。フィルターを通して出会うのは一見、効率が良いが、しかし俗に言う「タイパ」「コスパ」といった効率重視の出会いは表面的過ぎて、結婚に繋がるようなご縁の本質を遠ざけてしまうそうだ。
「結婚とは、単なる条件の一致ではなく、お互いの価値観を深く理解し、喜びを分かち合い、困難を共に乗り越える「人生のチームづくり」。誠実に向き合い、お互いの真摯な愛情があってこそだから、効率良く短期間で見つけるというよりは、じっくりと時間をかけて成熟してゆく。「育む」時間や忍耐強さは絶対必要なんです」と話す。
特に多様な文化や価値観が交錯するニューヨークという環境では、小手先のテクニックや条件ではなく、人間性に基づいた確かな繋がりこそが、結婚生活を支える基盤となるそうだ。
では、どうすれば「本気の愛」に出会えるのか。当たり前だが、結婚相談所に登録する独身男女の目的は、「遊び」ではなく「結婚」。アプリとは決定的に違う。最初から結婚を目的とし、身元がはっきりした独身男女と出会える安心感がある。仲人の伴走は専門的な助言があるから、単なる「出会い」のではなく「人生のサポート」という役割を担うというのが日本の結婚相談所。だが、米国における初婚の離婚率はかなり高く、2度目が本番と考える層も多い。松本さんは、まずは出会いの機会を、再婚も含めて気軽に出会える場の提供の必要性も感じているいう。出会いの可能性が無限にあるニューヨークで孤独を感じているのであれば、結婚相談所のように「結婚」という明確な目的を持った独身男女が集まる場所に身を置いてみるのはひとつの方法か。
(三浦良一記者、写真は本人提供)

