夏の野外映画上映 ブライアントパーク

 ミッドタウンにあるプライアントパークで毎夏恒例の無料映画上映会「ムービーナイト」が、9月14日までの毎週月曜夜に開催されている。公園内の芝生エリアにレジャーシートやブランケットを敷き、寝転んだり持参したフードやドリンクを食べながら映画を観るピクニックスタイルで、ハリウッドの往年の名作から比較的新しいヒット作まで、幅広い年代の映画が楽しめる。芝生開放は午後5時、映画上映は8時から。

 上映作品は、27日『トゥルーマン・ショー(The Truman Show)』 、8月3日『ブリジット・ジョーンズの日記 (Bridget Jones’s Diary)』、10日『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(Catch Me If You Can)』、17日『シティ・オブ・ゴッド( City of God)』、24日『闇に響く声(King Creole)』 、31日 『ノーカントリー(No Country for Old Men)』、9月7日 『ギャラクシー・クエスト(Galaxy Quest)』、14日『恋におちたシェイクスピア(Shakespeare in Love)』。詳細は公式サイトhttps://bryantpark.org/activities/movie-nightsを参照する。

カナダの山火事で大気汚染

 カナダで発生している大規模な山火事の煙が米国北東部へ広がり、ニューヨーク市では16日、猛暑と重なる形で空がかすむ状況となった。ニューヨーク州当局は市内とロングアイランドを対象に大気質健康注意報を出し、住民に注意を呼びかけている。

 米国立気象局(NWS)によると、この週で市内の最高気温は華氏99度(摂氏約37度)まで上昇し、煙の影響により日中にかけて大気の状態が悪化する可能性が高くなった。

 煙はカナダ・オンタリオ州などで続く山火事によるもので、カナダ森林火災情報センターによると、国内では50件以上の山火事が発生しており、西部・中部オンタリオ州を中心に延焼が続いている。ニューヨーク市保健局のアリスター・F・マーティン局長は、「今週のニューヨーカーは、猛暑と山火事の煙という二つの環境上の健康リスクに直面している」と述べ、「できるだけ冷房の効いた屋内で過ごすことが最も安全」と呼びかけた。

 米国立気象局はニューヨーク市を含む広い地域に熱中症警報を発令、全米で約1億人が危険な暑さの影響を受けた。(Milana Pavlova、写真・植山慎太郎)

「映画づくりはAIなしで」是枝監督NYで語る

ジャパン・カッツ最終日

 ジャパン・ソサエティ—が開催した日本映画祭「ジャパン・カッツ」で最終日の19日、是枝裕和監督の最新作「箱の中の羊」が北米プレミア上映され、是枝監督が来米して質疑応答に登壇した。

 同映画は「万引き家族」以来8年ぶりの是枝監督オリジナル脚本。息子を亡くした建築家の夫婦(綾瀬はるか、大悟)が息子の姿をしたヒューマノイド(桒木理夢)を迎え、「家族」をやりなおそうとするが、本当の息子ではないことから様々な感情が露わになっていく。

 是枝監督は、「人とAI、自然と建築など、別のものをどう共存させるか。それは映画づくりにも似ている」と言い、映画の題名を「星の王子様」から得たことについては「母親が夜の読み聞かせをするシーンで、ヒューマノイドと人との違いがわかるお話がいいと考えた。人間なら箱の中に羊がいるとわかる、それは想像力。そこから、これをタイトルにすることにした」と説明した。テクノロジーに関しては「実は今回初めてプロデューサーと相談して生成AIに脚本を読んでもらったら、すごくほめられた。でも、好みの偏りもない。映画によって救われたというような、そこまでの経験もAIにはない。自分の求めている感想はこれじゃない、人生と密接に結びついた感想が嬉しい。だから、映画づくりに関してはAIなしで行こうと思っている」と話し、満席の会場には大拍手が鳴り響いた。同映画祭は今年で19回目、約2週間で30作品以上が上映された。

 同映画は24日(金)、ニューヨーク市AMC数か所で上映予定。詳細はウェブサイトwww.amctheatres.comでSheet in the Boxで検索。(小味かおる、写真も)

宇宙空間で「糖」検出 生命の起源に必要

地球上の生命誕生の手がかりに

 科学者たちは初めて、星間空間(せいかんくうかん)で糖(とう)の一種を検出し、地球上の糖の起源や生命誕生の謎を解く重要な手がかりを得た。この発見は7月13日、科学誌『ネイチャー・アストロノミー(Nature Astronomy)』に掲載され、生命の材料となる化学物質が地球誕生よりはるか以前に宇宙で形成された可能性を示している。7月13日付ニューヨーク・タイムズ紙が報じた。

 発見された分子は「エリスルロース(erythrulose)」と呼ばれる糖の一種で、天の川銀河の中心付近にある巨大なガスとちりの雲「いて座B2(Sagittarius B2)」で確認された。研究チームは、チリ北部にある世界最大級の電波望遠鏡「アタカマ大型ミリ波・サブミリ波干渉計(ALMA)」を使い、分子が発する特徴的な信号を分析した。

 これまでにも宇宙ではアルコールやアミノ酸に関連する有機分子が発見されていたが、天然に存在する4つの炭素原子を持つ糖が星間空間で確認されたのは今回が初めてだ。糖は生命に必要な化学反応に関わる重要な物質であり、今回の発見は生命がどのように始まったのかを探る新たな手が

かりとなる。

 地球上の糖の起源は、長年科学者を悩ませてきた謎の一つだ。生命の誕生には糖が必要であるため、地球の初期から存在していたと考えられているが、初期の地球環境を再現する実験では、これらの分子を作り出すことは難しかった。

 現在、有力な説の一つは、数十億年前に小惑星や彗星が衝突した際、宇宙に存在していた糖が地球へ運ばれたというものだ。実際に、グルコースやリボースなどの糖は隕石や小惑星からも発見されており、生命の基本的な材料が宇宙からもたらされた可能性を示している。

 研究者によると、エリスルロースは氷に覆われた宇宙塵の表面で、紫外線や宇宙線による化学反応を通じて形成された可能性がある。こうした分子は、やがて彗星や小惑星に取り込まれ、惑星へ運ばれたと考えられている。

 今回の発見は、生命に必要な条件が地球以外の場所にも存在する可能性を高めるものだ。科学者たちは今後、さらに複雑な有機分子を発見することで、「生命はどのように始まったのか」という宇宙最大の謎の解明に近づくことを期待している。(Milana Pavlova、写真は合成イメージ)

AIのトリセツ

黒川伊保子・著

扶桑社新書・刊

  

たとえば、新聞記者は、現場に駆けつけて見たこと、そこに居合わせた人の話を聞いて、記者自身が知らなかったことをメモする。それはまだ、世の中の誰もが知らない言葉だったり、現象だったりする。つまりその瞬間だけは、AIはまだ知らないのだ。記事が公開された瞬間、それはAIの学習対象となり、社会全体の知識へと組み込まれていく。AI時代とは、人間が新しい経験を生み出し、AIがそれを蓄積していく時代でもある。

 生成AIが仕事や生活のあらゆる場面に浸透する中、「AIとどう付き合えばいいのか」という問いは、誰にとっても身近なものになった。人工知能研究の第一人者であり、感性アナリストとしても知られる黒川伊保子氏の新著『AIのトリセツ』は、AIの使い方を解説する技術書ではなく、人間がAI時代をどう生きるべきかを考えるための一冊である。

 著者は富士通でAI研究に携わった経験を持ち、長年にわたり脳機能論や言葉の持つ感性について研究を続けてきた。その知見をもとに、本書ではAIの長所だけでなく、見落とされがちな弱点にも光を当てる。 

 印象的なのは、「AIは人間の感情を増幅する存在である」という視点だ。AIは膨大な情報をもとにもっともらしい答えを返すが、それが必ずしも正しいとは限らない。ときには極端な意見や誤った情報をもっとも自然な文章として提示することもある。そのため著者は、AIを悩み相談の相手として全面的に信頼することや、最初に提示された答えをそのまま受け入れることに警鐘を鳴らしている。

 さらに本書では、「AIには身体性がない」という独自の考え方が示される。人間は経験や五感、身体感覚を通して物事を理解するが、AIにはその感覚がない。だからこそ、最終的な判断や価値の創造は人間の役割であり続けるという主張には説得力がある。

 子どもとAIの関係についても多くのページが割かれている。前頭前野が発達途上にある13歳未満の子どものAI利用には慎重であるべきとし、現実世界での体験や人との対話を重ねることが、将来AIを使いこなす土台になると説く。AI教育が注目される今だからこそ、保護者や教育関係者にも参考になる内容だ。

 タイトルからはAI活用のハウツー本を想像しがちだが、本書の本質は、人間が持つ感性や身体感覚の価値を改めて見つめ直すことにある。「AIに勝たない、媚びない、平気でいる」という著者の言葉は、AIを過度に恐れることも、過信することもなく、冷静に付き合う姿勢を象徴している。

 AIが日常の道具となった今、必要なのは新しい技術を知ることだけではなく、人間にしかできないことを見つめ直すことなのかもしれない。本書は、そのヒントを与えてくれる一冊として、多くの読者の関心を集めそうだ。AIを便利な道具として使う一方で、人間にしかない経験や身体感覚の大切さを改めて考えさせられた。

 AIは過去を学ぶことはできる。しかし未来を最初に見つけるのは、いつの時代も現場に立つ人間である。AIは現場には行かない。本書は、その当たり前の事実を改めて思い出させてくれる。(三浦)

日米野球交流描く 村上雅則さん登壇

ジャパン・カッツで上映

日本人初の大リーガー

 ジャパン・ソサエティー(JS)は15日夕、北米最大の日本映画祭、第19回「ジャパン・カッツ」にて、日米の150年以上にわたる野球交流を描いた長編ドキュメンタリー映画『Diamond Diplomacy(ダイヤモンド・ディプロマシー)』を上映した。日系米国人のユリコ・ガモウ・ロマー監督が手掛け、ロバート・フィッツ氏の著書を原作とした本作は、球場の内野を意味する「ダイヤモンド」と「外交」を掛け合わせたタイトル。

(写真上)左から司会のスモール氏、村上氏、ロマー監督、原作のフィッツ氏

 今や当たり前となった日本人大リーガーの扉を開いたのは、昭和39(1964)年に日本人初の大リーガーとなった村上雅則氏(82歳)だ。作中ではベーブ・ルース、ジョー・ディマジオ、野茂英雄、イチロー、大谷翔平ら新旧レジェンドが登場。明治維新後の野球を受け入れた背景や戦前の米球界の人種差別、第二次世界大戦中の日本人強制収容所での野球事情など、歴史の知られざる真実を浮き彫りにする。

 上映後の質疑応答には村上氏、ロマー監督、フィッツ氏が登壇。監督は資金繰りの苦労やスポーツの国際交流の重要性を力強く語り、村上氏はヤンキースタジアムでイチロー氏に会った際のエピソードを披露して会場の笑いを誘った。終盤にはクイーンズ在住のマイケル・キーニー氏が登壇するサプライズもあった。18歳の時にシェイスタジアムで村上投手が放ったファウルボールをキャッチし、長年保管していた現物を本人へ手渡すと、場内は大きな拍手と声援に包まれた。

 本作は今後、米国内での配給をはじめ、日本での劇場公開やオンライン配信が予定されている。(菊楽めぐみ、写真も)

花束を抱えた者同士 ニューヨークの魔法

 真紅のバラの花束を抱えて、友人のアパートメントのエレベーターに乗る。中には男の人が三人いて、ひとりがリボンの付いた色とりどりの花束を抱えて立っていた。 

 まあ、偶然ね。なんてきれいな花、と私が声をかけると、私の花に手を向け、君のもね、とその人がほほ笑んだ。 

 これはフラワー・ディストリクトで買ったんだよ。あそこはすばらしいんだ。

 フラワー・ディストリクトは、マンハッタンの六番街と七番街の間の二十八丁目を中心とする一帯だ。観葉植物、鉢植え、切り花、ドライフラワー、造花、資材など、花に関連するものなら何でも扱う店が、軒を並べている。 

 ジャングルのように造花だけで埋めつくされた店もあれば、店そのものが冷蔵庫になっている、切り花の専門店もある。 

 結婚式のとき、私たちもあそこで大量に花を買ってきたわ。もうずいぶん前のことだけど、と私が思い出話を語る。 

 ウエディングドレスの色に合わせて、オフホワイトや淡いピンクのバラをたくさん買い込んだ。フラワーアレンジメントを習っていた友人が、私が持つブーケや夫の胸に刺すブートニアなどを作ってくれた。   

 教会の結婚式では、証人が男女三人ずつ、前に立った。彼らのブートニアやブーケも用意しなければならない。 

 式の日まで花が新鮮であるようにと、友人はアパートメントで冷房をかけ続け、彼女の夫は風邪を引いてしまった。ニューヨークの緯度は青森と同じで、五月上旬でもまだ肌寒い日がある。

 それは大変だったね、と男の人が笑った。

で、と彼が続ける。 

 Are you still married to the same man? 

 今も同じ男と結婚してるのかい?

 みんなが笑った。二組に一組が離婚する、アメリカ人らしい質問だ。 

 そうよ。 

 Then it was worth it, right? 

 じゃあ、友だちもその甲斐があった、ってことだろ?

 君たち夫婦が今も一緒なら、友だちの夫も風邪を引いた甲斐があったね、ということだろう。 

 彼はそう言うと、エレベーターを降りていった。 

 自分の思い出ばかり話して、彼の花束について聞くのを忘れてしまった。 

 ユーモアたっぷりの紳士から、あの花束を贈られる人は、想像するしかない。 

 このエッセイは、「ニューヨークの魔法」シリーズ第8弾『ニューヨークの魔法のかかり方』に収録されています。 https://www.amazon.co.jp/dp/4167717220

写真家の植山さん 8月に大阪で日本発個展

 ニューヨーク在住写真家・植山慎太郎による日本での初個展「Moon in New York」が、年8月19日(水)から23日(日)まで大阪のギャラリー・SIO(大阪市中央区南船場1丁目3ー26)で開催される。2011年から15年間、ニューヨークの街並みと月をテーマに、都市の中で生まれる一瞬の光景を追い続けてきた「Supermoon」シリーズ。

 本展では、エンパイアステートビルをはじめとするNYの象徴的な風景と月の記憶を通して、都市で暮らす人々の心に残る時間を表現する。コロナ禍による延期を経て、ニューヨークで生まれた15年間の月の物語を日本で初めて紹介する。 

 植山さんは「開催期間中、一時帰国などで日本にいらっしゃる方、また大阪へお越しいただける方は、ぜひ作品をご覧いただければ嬉しいです。皆さまとお会いできることを楽しみにしています」と話している。入場無料。回廊時間は午前10時から午後7時。19日と23日は午後4時まで。

編集後記

編集後記

 みなさん、こんにちは。海外在住の日本人4人が7月10日、在外投票制度が実質的に選挙権を保障していないのは憲法違反として、国を相手取る訴訟を東京地裁に起こしました。原告はドイツ、フランス、オーストラリア、カナダ在住で、昨年の衆院選では郵便投票を利用したものの、投票用紙が選挙管理委員会に期限まで届かず無効となるなど、一票を投じることができなかったと言うのが訴えた理由です。


 在外投票は在外公館での投票と郵便投票の2方式がありますが、郵便投票では投票用紙の請求から返送まで時間を要し、国際郵便事情によっては期限に間に合わないケースが相次いでいます。また、公館投票も、ニューヨークのような大都会近郊に住んでいる人ばかりではなく、世界には領事館まで数百キロ以上移動しなければならない地域も多く、多額の交通費や宿泊費が必要となる場合があるとのこと。


 訴訟では、国が長年にわたり制度改善の立法措置を講じなかった「立法不作為」に対する損害賠償と、海外在住者が特別な負担なく投票できる制度を整備していない現状が違憲であることの確認を求めています。約30年前の在外投票制度創設にも携わり、現在は海外有権者ネットワークNY共同代表として在外インターネット投票の実現を訴える竹永浩之さんは、「目指すのは『投票したい人が投票できる在外投票制度』です。司法と立法の両面から制度改革を進めることが重要」と話します。今週号1面で「一票が届かない」という記事で報じています。


 日本のパスポートを所持している日本人なら、世界のどこに住んでいたとしても、どこまで行っても日本人です。二重課税にならない範囲で納税義務を在住国で果たしていれば、参政する権利もまた主張できるでしょう。ただ、海外在住の日本人の声を代弁する国会議員がいないのです。海外に住んでいる人の不便さ、苦しみは、海外に住んでいる人でないとなかなか実感として湧かないのは仕方がないことかもしれませんが、国会議員が国民の代表なら、海外にいる日本国民の代表は誰なのか。国会議員には全員、地元があります。地元で選挙で選ばれた地方の代表者です。でも、海外有権者には、超党派で考えてくれている日本国内の国会議員はいても、自分ごととして、その思いを国会で声を大にして訴えてくれる議員はいないように感じます、というか、実際にいません。


 海外にはいろんな事情で、国外で暮らしている人が大勢居ます。日本の法律は海外では通用しないので、選挙違反があっても日本の公職選挙法で取り締まることができません。なので、海外での政治活動にも今の法制度では自ずと限界があります。原告が海外在住のままで民事訴訟を起こせるのか、日本の弁護士が起こすと言っているのだから起こせるんでしょうねきっと。海外有権者の一人として成り行きを見守っていきたいですが、小さいながらもメディアの一角を占める媒体としては、政治運動の旗振り役はせずに、あくまで、傍観者として冷静に見ていくというのが正しい立ち位置のように思います。


 誰かが何かを言ったり、したりしたことは書くが、自分から率先して何か行動を起こすということはしないところがメディアの卑怯なところでありずるいところ。しかし、利害に与しないからこそ「他人事」として自由にモノが言える立場の職業と地位にいることを保証されている国で生活できていることは、実は、参政権と同じくらい大切な生きる権利だとも思います。それではみなさん良い週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2026年7月18日号)

(1)一票が届かない 4か国の邦人が国を提訴

(2)世界の頂点へ FIFA W杯2026

(3)やさしいにほんご

(4)広瀬すずさんに カット・アバウブ賞

(5)依田寿久60年の画業  第2章「都市の自然」

(6)帰国前に知っておきたい 日本の相続・税務事情

(7)アイヌの伝統文化紹介 北海道平取町から7月と8月

(8)山久漆工のウォールパネル  NY日本クラブ5階に常設

(9)沖縄食文化を世界発信 ブルックリンのYUUで

(10)日本での医師経験を米医療AIに生かす  石井京さん

一票が届かない 4か国の邦人が国を提訴

 海外在住の日本人4人が7月10日、在外投票制度が実質的に選挙権を保障していないのは憲法違反として、国を相手取る訴訟を東京地裁に起こした。原告はドイツ、フランス、オーストラリア、カナダ在住で、昨年の衆院選では郵便投票を利用したものの、投票用紙が選挙管理委員会に期限まで届かず無効となるなど、一票を投じることができなかった。

 在外投票は在外公館での投票と郵便投票の2方式があるが、郵便投票では投票用紙の請求から返送まで時間を要し、国際郵便事情によっては期限に間に合わないケースが相次ぐ。また、公館投票も領事館まで数百キロ以上移動しなければならない地域も多く、多額の交通費や宿泊費が必要となる場合がある。

 訴訟では、国が長年にわたり制度改善の立法措置を講じなかった「立法不作為」に対する損害賠償と、海外在住者が特別な負担なく投票できる制度を整備していない現状が違憲であることの確認を求めている。

 約30年前の在外投票制度創設にも携わり、現在は海外有権者ネットワークNY共同代表として在外インターネット投票の実現を訴える竹永浩之さんは、「目指すのは『投票したい人が投票できる在外投票制度』です。今年の衆院選は在外邦人にとって過去最悪の投票環境だった。このまま終わらせず、二度と同じことを繰り返さないためにも、司法と立法の両面から制度改革を進めることが重要だ。また今回の訴訟への有権者側の支援も必要。弁護団では寄付も集めているのでぜひ協力を」と話している。 国会では在外インターネット投票導入に向けた検討も始まっており、今回の訴訟が海外約130万人の有権者の選挙権保障を見直す契機となるか注目される。支援サイトのリンクは以下の通り。https://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000179

世界の頂点へ FIFA W杯2026


 世界最大のサッカー大会、FIFAワールドカップ2026(W杯)は19日午後3時、ニュージャージー州イーストラザフォードのニューヨーク・ニュージャージー会場で決勝を迎える。普段はNFLの試合などが行われるメットライフ・スタジアムが、世界一を決める舞台となる。今回はFIFA世界ランキング上位4チームが、そのままベスト4に進んだ。これはランク制度を始めた1992年以降で初めてで、4か国とも優勝経験がある。14日の準決勝ではスペイン(ランキング3位)がフランス(同1位)に2ー0で勝利、15日のイングランド(同4位)対アルゼンチン(同2位)戦の勝者と19日に世界の頂点を争う。今大会は米国、カナダ、メキシコ共催で過去最多の48か国が参加。6月11日に開幕し、39日間の日程で行われてきた。ニューヨーク・ニュージャージー地域では、決勝を含む最多の8試合を開催。決勝は世界中の視線がメットライフ・スタジアムに注がれる。また、同じ都市圏に再び巡ってくる保証はなく、地元住民にとっては一生に一度あるかどうかの歴史的な一日となる。大会組織委員会は、両州への来訪者を120万人以上、経済効果を約33億ドルと予測している。さまざまな国にルーツを持つ人々が暮らすこの地域では、出身国やゆかりのある国を応援しようと、街のレストランや広場では1か月以上にわたり熱気ある試合観戦が行われてきたが、いよいよクライマックスを迎える。