分断の世界に平和の警鐘 国連本部で式典

 国連本部の日本庭園で9日午前、戦後日本から寄贈された「平和の鐘」が鳴り響いた。毎年国際平和デーを前に国連総会に合わせてこの鐘を鳴らすのが慣わしとなっている。当日はこの鐘を1954年に寄贈した日本人、愛媛県の中川千代治さん(故人)の娘、高瀬聖子さん(78)が来米し、グテーレス事務総長、山﨑和之大使夫妻らともに式典に参列した。国連創設80年、日本が国連に加盟して70年の節目の年、そしてグテーレス事務総長にとっては最後の平和の鐘の式典となった。「分断された世界は今なお続いているが、我々はこうして平和の鐘を鳴らすことができる。世界平和のためにいますぐ行動しなくてはならない」と述べて1回大きく鐘をついた。式典にはコートニー・ラトレー国連事務総長室官房長、コリルル・ラーマン第81会期国連総会議長、アントニオ・グテーレス国連事務総長、メリッサ・フレミング・グローバル・コミュニケーション担当国連事務次長が国連側から参列し、平和の鐘がある国連本部正面の日本庭園を設計したボストン在住の阿部紳一郎氏が高瀬さんと共に参列した。

(写真上)グテーレス事務総長(中央)の右隣に山﨑国連大使夫妻、高瀬さん、左端に阿部さん。(UNPhoto Mark Garten)

 式典では、垂水バイオリンの流麗な調べが流れる中、国連職員らも見守り、高瀬さんがグテーレス事務総長と手を添えて平和の鐘を鳴らす場面もあった。

 日本で国連平和の鐘を守る会の代表をしている高瀬さんは「平和というものをそれぞれの国の立場で語るのではなく、個人の立場で考えれば良いのではないかと思う。平和の鐘を世界各国のコインを溶かして作った父の国際平和への想いや遺志を、親族の立場からこれからも大切に継承していきたい」と述べた。

 国連本部地下1階にある書店、「国連ブックストア」では、高瀬さん原案の絵本『コインでつなぐ平和の鐘』(日米対訳)が売られている。