日本の夏と1000年の歴史をもつかき氷 縁の下の力持ち 週刊やさしいにほんご生活

この連載は、日本語を勉強している人を読者対象としたコーナーです。日本文化やマナー、タイムリーな日本に関する話題などを簡単な日本語で毎月第3週号に掲載します。アメリカ人の友人などにご案内ください。また、漢字をまだ習っていないお子様にとっても社会を知り、漢字に接するよい機会になります。


日本の夏と1000年の歴史をもつかき氷

 7月になると、日本ではかき氷を販売するお店の目印として、大きく「氷」と書かれた旗が店先に飾られます。この旗を見ると、日本人は「夏が来た」と感じます。

 かき氷の歴史は1000年以上前の平安時代から。当時は、宮廷で暮らす貴族だけが味わえる特別な食べ物でした。日本のかき氷は、アメリカで見かけるフローズンドリンクとは異なります。雪のように細かく削った氷を、飲まずにスプーンで食べるのがマナー。抹茶やいちご、練乳をかけたかき氷も人気があります。

 暑い日に「氷」の旗を見つけ、ふんわりとした新雪のようなかき氷を味わうことは、日本ならではの夏の楽しみの一つです。

(長久保美奈、マナー講師)

わくわくことわざ(23)
文とイラスト 平田恵子

縁の下の力持ち

 目立たないところで、他人のために苦労や努力をする人のこと。語源は大阪の四天王寺でかつて非公開で舞われた「縁の下の舞」であり、現代の「エッセンシャルワーカー」のように、社会を陰で支える働きをする人々を指しています。

 この言葉には、見返りを求めずに力を尽くす人に対する敬意と感謝が込められています。使用時の注意は、「陰の苦労人」という意味があるため、目上の人に直接使うと失礼です。先輩や先生をほめるときは「陰ながら支えてくださり…」と言い換えるのが一般的です。

《言葉の意味(ことばのいみ)》

・目印(めじるし):sign

・氷(こおり):ice

・雪(ゆき):snow

・旗(はた):banner

・平安時代(へいあんじだい):the Heian period

・宮廷(きゅうてい):imperial court

・練乳 (れんにゅう) :sweetened condensed milk

・縁の下(えんのした):the space under the floor

・非公開(ひこうかい):private 

・四天王寺(してんのうじ):Shitennoji Temple in Osaka is 

   one of Japan’s oldest Buddhist temples 

依田寿久60年の画業  第2章「都市の自然」

 1967年からニューヨークを拠点に活動する画家・依田寿久の約60年にわたる創作活動を振り返る展覧会「Continuum, 1967–Today」の第2章「Selected Works, 2000–Today」が、7月9日から8月7日まで新規移転したナウヒア・ギャラリー(リスペナード通り40番地)で開催されている。

 本展は、依田の芸術の変遷を2部構成で紹介する企画。第1章では1990年頃までの幾何学的抽象絵画を中心に展示したのに対し、第2章では2000年代以降の代表作を取り上げる。平面作品から立体的なレリーフへと表現が広がり、植物や拾い集めた素材を取り入れた独自の造形世界が紹介されている。

 制作の転機となったのは、2000年代初頭に家族で訪れたコニーアイランドでの出来事だった。妻・順子が見つけた野生植物カヤツリグサの茎を切り開いた際、三角形の断面に自身の作品との共通性を見いだしたことが、新たな創作の出発点となったという。この「三角形」は、その後20年以上にわたり制作を貫く重要なモチーフとなり、依田が「都市の自然」と呼ぶ、季節や植物、時間の移ろいへの鋭い観察眼を象徴している。依田の執拗に描き続けるプラッシュストロークの原点は、武蔵野美術大学時代の恩師である山口長男教授からの教えにあると画廊ディレクターの戸塚憲太郎氏は解説する。

 1980年に藤枝晃雄構成による「Atr Today ’80」展が東京の西武美術館で開催され、辰野登恵子、根岸芳郎、依田寿久の3人が選ばれて展示され、そこに山口教授が見に来てくれて依田に「君の絵は動きがあっていい」と言った言葉がその後の依田の作品に大きく影響することになる。カヤツリグサの膨大な三角形は見つめているうちに不連動に振動する錯覚を覚える。1940年静岡県生まれ。   

          (三浦良一記者、写真も)

広瀬すずさんに カット・アバウブ賞

 北米最大の日本映画祭、第19回「ジャパン・カッツ」が開催されているジャパン・ソサエティー(JS)で13日夕、2025年公開の映画『遠い山なみの光(A Pale View of Hills)』の上映会が行われた。同映画は、ノーベル賞作家カズオ・イシグロ氏のデビュー小説の映画化で、1980年代のイギリスと戦後間もない1950年代の長崎を舞台に、母娘の記憶の交錯を描いたヒューマンミステリー。石川慶監督が映画化し、広瀬すずさんが主演を務めたNYプレミア上映。

 上映前に「カット・アバウブ賞」に選ばれた広瀬さんの授賞式が行われ、サーモンピンクのロングドレスを纏った広瀬さんが登壇すると、美しく輝く姿に場内はため息と拍手が湧き起こった。「今回はこんな素敵な賞をいただき嬉しく思います。昨日、上映された『海街ダイアリー』以来、色々な方から映画の世界に導かれ、日本映画が大好きで日本人の感性や生き方を特に大切に演じさせていただいたのが『遠い山なみの光』です。長崎で生き抜いた女性をニューヨークで上映され皆様に届くことを本当に心から嬉しく思います」と語った。上映後はNY州立大学ビンガムトン校で映画研究について教鞭を執るジョエル・ネヴィル・アンダーソン氏による質疑応答が行われた。石川監督からの出演オファーは「今大きな題材に立ち向かっていて、ぜひご一緒に」という手紙だったことや共演の二階堂ふみさんのファンだったこと、同じ人物を演じた吉田羊さんについてのエピソードを語った。

  (菊楽めぐみ、写真も)

帰国前に知っておきたい 日本の相続・税務事情

内藤税理士がJAAで講演

 ニューヨーク日系人会で8日、「変わりゆく日本の相続税・贈与税〜日本へ帰国して困らないために〜」と題した講演会が開かれ、一般社団法人日米帰国支援センター代表理事(税理士法人アーク&パートナーズ代表の内藤克税理士)が、米国在住者が日本へ帰国する際に注意すべき相続・税務の最新制度について解説した。

 内藤氏は、相続対策は単なる節税ではなく、「納税資金の確保」「円満な遺産分割」「適正な節税」の三つを柱として考えることが重要だと説明。高齢化や国際結婚、海外資産の増加などにより相続の形態が多様化し、国際相続やデジタル資産を含めた新たな課題への備えが求められていると指摘した。

 講演では、2024年以降の贈与税改正にも触れ、暦年贈与では相続財産への持ち戻し期間が7年に延長された一方、相続時精算課税制度には年間110万円の基礎控除が新設され、従来より利用しやすくなったことを紹介。制度の特徴を理解し、家族の状況に応じて使い分けることが重要だと述べた。

 また、日本へ帰国するタイミングによって、米国不動産の売却益や為替差益、日本での相続税・所得税の扱いが大きく変わる点についても具体例を挙げて説明。米国市民権やグリーンカードの有無、家族の国籍や居住地、保有資産の所在などによって税務が異なるため、「帰国後では手遅れになるケースもある」とし、帰国前から専門家へ相談する重要性を強調した。

 さらに、米国の401(k)やIRA、トラスト、共同名義口座、TODD(死亡時譲渡制度)など、米国特有の資産管理制度についても、日本の相続制度との違いを理解しておく必要があると説明。日米双方で申告が必要となるケースや外国税額控除の仕組みなども紹介され、参加者は熱心に耳を傾けていた。

 内藤氏は「まずは国籍、居住地、資産の所在を整理することが国際相続対策の第一歩」と述べ、帰国を予定する人だけでなく、将来日本での生活を考える在米邦人にとっても早めの準備が大切だと呼び掛けた。

 内藤氏は、昨年11月に日本で設立された一般社団法人日米帰国支援センター(東京都千代田区有楽町、電話03・6551・2535)に日米税務の専門家として代表理事に名前を連ねている。このほか、遺言・相続には弁護士の長家広明氏、信託・登記には司法書士の西田誠氏、年金相談には社会保険労務士碓井健一氏、帰化申請・国籍取得には行政書士の名坂恵美子氏が理事として参画している。当日は、ズーム聴講者も含め約80人が参加した。

アイヌの伝統文化紹介 北海道平取町から7月と8月

ジャパン・ソサエティー

 ジャパン・ソサエティーは7月22、23日と8月12、13日の4日間、「アイヌ・サマー・フェスティバル—アイヌの物語、文化、そして伝統」を開催する。北海道平取町との共催で、日本北部の先住民族・アイヌの歴史や文化を多角的に紹介する催しとなる。

 会場には北海道・平取町から25人を超える工芸家や文化継承者、教育関係者が来米。アイヌ古式舞踊の公演をはじめ、木彫りや刺繍、アイヌ語のワークショップ、アイヌ料理のデモンストレーションと試食、映画上映、講演などを通して、言語や生活文化、精神文化に触れる機会を提供する。ニューヨークで本格的なアイヌ文化を総合的に紹介する催しは極めて珍しく、一般市民をはじめ日本の文化に関心を持つ幅広い層の来場が期待されている。

 今回のフェスティバルは、アイヌ文化の保存と継承に生涯を捧げた平取町の故・萱野茂さん(1926〜2006)の生誕100周年を記念して企画された。萱野さんは平取町二風谷地区を拠点にアイヌ文化の復興運動に尽力し、日本でアイヌ民族として初めて国会議員となった政治家としても知られる。アイヌ語や民具、口承文芸の記録保存の他、100を越える著書を残すなど、アイヌ民族への理解を広めるうえで大きな役割を果たした。

 アイヌ民族は北海道を中心に古くから暮らしてきた先住民族で、独自の言語や信仰、文化を持つ。しかし明治時代以降の同化政策によって多くの伝統や言語が失われ始めた。その後2019年に、日本の国会がアイヌ民族を先住民族として認める法案を可決した。ユネスコが「極めて消滅危機にある言語」に指定するアイヌ語を含め、文化復興への取り組みが進められている。

 平取町の遠藤圭一町長は「アイヌ文化をニューヨークで紹介できることを光栄に思う。アイヌの人々が誇りを持って暮らせる社会を目指し、次世代へ伝統を継承していきたい」とコメントしている。

 また会期中には、エミー賞受賞歴を持つ映像作家の溝口尚美さんが10年以上かけてアイヌのコミュニティを訪れて信頼関係を築き、製作したドキュメンタリー映画「Ainu ーひと」の上映も予定されており、アイヌの現在と未来について理解を深める貴重な機会となりそうだ。

アイヌ・サマー・フェスティバル スケジュール

■7月22日(水)▽午後5時30分〜6時45分・映画「Ainuーひと」無料上映会・監督の質疑応答▽午後7時〜8時30分「Sinot 沙流川流域の踊り」公演(レセプション有り)

■7月23日(木)▽午後4時〜5時30分「Inuye=an ro!」木彫りワークショップ▽午後5時30分〜6時45分・映画「Ainuーひと」無料上映会・監督の質疑応答▽午後7時〜8時30分「Ipe  アイヌの食文化」(レセプション有り)

       ◇

■8月12日(水)▽午後4時〜5時30分「Ikarkar=an ro!」刺繍ワークショップ午後5時30分〜6時45分「Itak=an ro!」アイヌ語ワークショップ▽午後7時〜8時30分「Sinot 沙流川流域の踊り」公演(レセプション有り)

■8月13日(木)▽午後4時〜5時30分「Sinot=an ro!」アイヌ古式舞踊ワークショップ午後5時30分〜6時45分・映画「Ainuー ひと」無料上映会・監督の質疑応答▽午後7時〜8時30分「Ikarkar & Itak: 」アイヌの刺繍と言語。(レセプション有り)入場料・一般20ドル、学生とシニア17ドル、会員15ドル。詳細とチケットの申し込みはウェブサイトhttps://japansociety.org/ainufestival/

山久漆工のウォールパネル  NY日本クラブ5階に常設

幾何学模様のデザイン

 越前漆器を製造販売する山久漆工の山本泰三社長が14日、6月に開館したニューヨークの日本クラブを訪れ、同社が手がけた「漆ウォールパネル」を寄贈した。作品は、五番街の中心に移転したばかりの日本クラブ5階ギャラリーのエレベーターフロアの壁に設置された。

 幾何学模様の格子を組み合わせたモダンな作品は、造形作家の鈴木尚和氏によるデザインで、山本社長によると「世界の中心であるニューヨークのしかも五番街の最も華やかな場所で、日本の伝統工芸である漆をモダンなライフスタイルの生活様式の一環として提案できて嬉しい。漆工芸をグローバルアートとして展開していくための大きな一歩になった」と話した。

 1930年に創業し、今年で96年の歴史を持つ同社三代目の社長の山本氏は、日本の食卓を彩る同社の箸が日本の通信販売ランキングで常にベストセラーとなっているほか、今年は同社の漆カバーを使ったカシオ計算機が爆発的にヒットするなど勢いを見せている。

(写真上)5階エレベーターホールに設置された作品の前に立つ山本社長(左)と前田正明日本クラブ事務局長

沖縄食文化を世界発信 ブルックリンのYUUで

フレンチとの融合8品

 ブルックリン・グリーンポイントのミシュラン一つ星フレンチレストランRestaurant YUUで12日、沖縄県が主催する食文化の世界発信特別イベント「Okinawa Across The World」が開催された。同店のオーナーシェフYUU氏が、沖縄から直送された最高級食材にフレンチの技法を融合させた計8品の特別メニューを披露。全品が沖縄産陶器に美しく盛り付けられ、薄切り牛肉にコンソメを注ぐ「フレンチしゃぶしゃぶ」や、揚げ時間わずか30秒で外側のパリパリ感と生のままの旨味を融合させた「マグロカツレツ」=写真上=に招待客から絶賛の声が上がった。NYへ駆けつけた沖縄のシェフ髙良盛将氏が伝統の「冬瓜漬」を用いたデザートを沖縄産紅茶と共にサーブ。同じく沖縄からのソムリエの兒玉一樹氏も泡盛ベースのカクテルなどでペアリングを振る舞い、招待客は贅沢な沖縄の食材と時間を堪能した。同イベントは今後、パリやシンガポール、香港、台北、東京、大阪など世界各地の一流シェフ・レストランとコラボを展開し、最終的に沖縄で開催される予定だ。

  (菊楽めぐみ、写真も)

日本での医師経験を米医療AIに生かす  石井京さん

医療AI企業で臨床戦略担当

 日本で乳腺外科医として働いていた石井京(いしい・けい)さん(30)は、2年前に来米し、サンフランシスコ州立大学でビジネスを学びながら、医療AI分野への挑戦を開始した。臨床現場では患者側の課題だけでなく、医療従事者が抱える業務負担や人手不足といった課題も数多く経験してきた。そうした背景から、AIは医療従事者に取って代わるものではなく、より良い医療を実現するための重要なツールになると考えるようになったという。

 開業医である父が、地域に根差した患者ファーストの医療を提供する姿を間近で見て育ち、自然と医師を志すようになった。2021年に岩手医科大学を卒業後、初期臨床研修を修了し、乳腺外科医として乳がん診療に従事した。多くの患者と向き合う中で、「忙しくて受診の機会を逃してしまった」「病院で長時間待たされることが負担だった」「受診そのものに不安や恐怖を感じていた」といった声を数多く耳にした。この経験から、医療アクセスの改善と早期診断の重要性を強く実感するようになった。

 海外に目を向けるきっかけとなったのは、岩手県立中央病院勤務時代に、横浜市で開催された乳がん学会に参加したことだ。講義した米国の医師が医師免許だけでなくMBA、ビジネス分野での修士号も持っていたこと、そして米国では複数の修士号やダブルライセンスで働いている多くの医師がいることも知った。 

 そんな頃、ヨーロッパでは、家庭で取り扱える小型の超音波検査機が開発されたことも知る。発見が遅れたから治療も大変になる。もう少し、身近なところで自分の病気に気が付く方法はないものかと思っていた矢先だったこともあり、医療AI分野での知識と結びつくことによって、必ず自分の将来の医師としての職業を側面、というより、むしろ真正面から支えてくれる大きな力になると確信した。

 現在は、米国の医療AI企業であるUbieのニューヨーク支社で、Medical Strategyの一員として勤務し、AIを活用した症状評価・トリアージシステムや患者向け医療サービスの品質向上に取り組んでいる。

 また、米国最大級の医療機関の一つであるメイヨー・クリニックとの共同プロジェクトにも参画し、AIによる適切な受診先案内の精度検証を担当している。現在は米国医師免許取得に向けた準備も進めている。(三浦良一記者、写真も)

編集後記

編集後記

 みなさん、こんにちは。シンガーソングライターのあがた森魚さんがこのほど来米し、ニューヨークのイーストビレッジにある教会でソロコンサートを行いました。もとまろの「サルビアの花」をアレンジして歌ったあと稲垣タルホの世界観も語りで披露しながら、1972年の自身のデビュー曲「赤色エレジー」を熱唱しました。「赤色エレジー」は、今から半世紀以上も前にアニメーターのような画家を目指して上京した若き幸子と一郎の同棲生活を描いた林静一の漫画で、月刊漫画雑誌「ガロ」に連載された作品です。あがたさんはその二人のエレジーな生活に感動してこの曲を作ったそうです。


 そしてボブ・ディランに憧れて若き日にニューヨークに来たあがたさんは、ニューヨークにも幸子と一郎のような若き日本人の画家やアーテイストたちがいることを知ることになります。コンサート当日は、かつてニューヨークで幸子や一郎を地で生きたような在留邦人のアーティストたちが今もなお健在とばかりに大勢詰めかけました。聞き入っていた人からは「まるで同窓会やね」と言った声も聞かれたほどでした。そしてあがたさんは北海道小樽市で育った少年時代の担任教師、佐藤啓子先生を敬う歌を披露することも忘れませんでした。1972年といえば、私も同じく北海道の北見市にいて当時は16歳。小学校4年生の時から「ガロ」を自宅で定期購読していた私は、もちろん林静一も、同時代の佐々木マキ、つげ義春や忠男のファンでしたからあがたさんのデビュー当時の歌声もしっかり覚えていますし、あれから50年以上経っても同じ歌声でNYで数年ぶりに聞けた「赤色エレジー」はアメリカに居ながらの原点回帰のような体験でした。


 あがたさんは「僕がニューヨークにひかれるのは、やはり強くて大きな、錯綜する近代がそこにぎっしりあるからです。僕の感受性では、自分が小学校時代に過ごした小樽の街と同じなのです。近代の栄光と錯綜を強く内包し、それでもそれは、未来への強い希望を秘めていることが強く感じ取れるからです。こんなに魅力的な場所は僕にはそうそうないのです。ですので、今後とも様々なトライをしていきたいです」と熱く語ります。黄昏時の少し影を落としたイーストビレッジに70年代の東京がオーバーラップしたコンサートでした。今週号の16面で掲載しています。ちなみに、あがたさんが歌った「サルビアの花」で1972年にデビューしたもとまろは、私の青学大の少し先輩お姉さんトリオになります。お目にかかったことはありませんが、ご健在だといいのですが。それではみなさん良い週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2026年7月11日号)

(1)不法移民1万人を拘束

(2)海上自衛隊練習艦がNY寄港 イントレピッド研修見学

(3)防衛医科大卒のバレエ教育者 菊池理園さん

(4)八神純子が旅するルート66    「今を大事に」の言葉に涙

(5)建国250年で岐路に立つ米国文明 冷泉彰彦

(6)建国250年祝う海と空 NY両岸で花火

(7)NYで日本食材の底力 ファンシーフードショー

(8)「わたしの仕事を増やさないで」 田村麻子のカーテンコール

(9)海外結婚相談室 直感を信じて一歩踏み出そう

(10)イーストビレッジで「赤色エレジー」あがた森魚

不法移民1万人を拘束

ICE5日間で
合法滞在者にも不安広がる

 米移民・関税執行局(ICE)が6月最後の5日間で1万人を超える移民を拘束したことが、ニューヨーク・タイムズ紙の独自取材で明らかになった(7月1日付電子版)。同紙が入手した内部文書や連邦当局者への取材によると、ICE幹部は国外退去対象者の摘発を大幅に増やすよう指示を受け、1日あたりの拘束者数は年初の約1000人から倍増した。ホワイトハウスは、1日2000人の拘束を新たな基準として求めているという。

 今回の摘発強化は、昨年のシカゴやロサンゼルスでの大規模作戦のような派手な事前発表を伴わず、より静かに進められている。ICE職員は移民当局への定期出頭時、交通取り締まり、路上などで拘束を行っている。内部文書によれば、拘束者数は6月27日に2400人を超え、ICE施設収容者は6万3000人超に達した。

 トランプ政権は大量強制送還を公約に掲げ、国土安全保障省は「不法に入国すれば、見つけ出し、逮捕し、送還する」と強調している。一方で、各地の移民弁護士や支援団体からは、通常の出頭手続き中に拘束された例や、教会に向かう途中の修道女、サッカー観戦に向かう父親が拘束された例も報告されている。

 摘発強化は政権支持層には評価される一方、犯罪歴のない移民や家族を持つ労働者にも不安を広げている。移民弁護士は「人々は買い物に行くために運転することさえ怖がっている」と話している。

 摘発対象は主に不法滞在者とされるが、在米日本人にとっても無関係とは言い切れない。ビザ更新中、永住権申請中、過去の滞在記録に不備がある人、家族に非移民ビザ保持者がいる家庭などは、交通違反や定期出頭をきっかけに移民当局との接点が生じる可能性がある。移民法の運用が厳格化する中、身分証明書、滞在資格を示す書類、弁護士や家族の連絡先を確認しておくことが、これまで以上に重要になっている。

 また、米国の永住者は18歳以上の場合、法律上、有効なグリーンカードを常時携帯する義務がある。とはいえ、紛失を恐れて家に保管し、通常は運転免許証などだけで日常生活を送る人が少なくないとみられる。しかし移民取締りが強化される中、交通取り締まりや空港、国境付近などで身分確認される可能性を考えると、滞在資格を示す書類の管理と携帯には改めて注意を払う必要がある。コピーやスマホ写真は紛失時の確認には役立つが、法律上の「携帯義務」を完全に満たすものではない。

 また現状では、ニューヨーク、コネチカット、ニュージャージー各州は、連邦政府が地方自治体の警察に連携を進めるICE業務の委託には反対の意向を示しているが、助成金交付などにより多くの州が地元警察に不法移民の取り締まり業務を進める方向で拡大している。

海上自衛隊練習艦がNY寄港 イントレピッド研修見学

「かしま」と「やまぎり」の2隻


 米国建国250周年を記念し、世界30か国以上から大型帆船が集結して帆船パレードを繰り広げたが、日本の海上自衛隊の令和8年度遠洋航海練習艦「かしま」と「やまぎり」(東良子司令官、乗艦総勢530人)もNYに来航し、ジャージーシティーに寄港した。5日夕には日米招待客120人が参加した艦上レセプションが開かれたほか、練習生たちは3日昼には下船し、研修の一環で米航空母艦イントレピッド航空宇宙博物館を見学した。今回は70回目の航海にあたり、5月16日から10月24日までの161日間でパナマ、メキシコなど5か国11港に寄港予定だ。(写真・三浦良一)