【今週の紙面の主なニュース】(2026年2月14日号)

(1)自民圧勝、米の論調 トランプ大統領も支持表明

(2)「生け花の音」土佐尚子 ジャパン・ソサエティーで

(3)佐藤正明のサブウェイNo.24  ハーバード大学美術館が選ぶ

(4)ホームレス夫婦のバレンタインデー ニューヨークの魔法

(5)高市政権は、自民圧勝の民意を見誤るな  冷泉彰彦

(6)今度はダレス空港とペンステーションも  大統領が名前要求

(7)銃の攻撃から身を守る 海外安全対策セミナーNYで 

(8)青山学院校友会NY支部 新年会で箱根駅伝優勝祝う

(9)アーティストの交流と支援に乗り出す  伊藤聖沙さん

(10)大使公邸で音楽会 新進気鋭の3人

自民圧勝、米の論調 トランプ大統領も支持表明

地滑り的大勝利

日米関係にプラス、日本経済活性化に権限

 2月8日に投開票が行われた日本の衆院選について、米メディアも相次いで報じた(以下すべて8日付)。

 ニューヨーク・タイムズは、「日本の首相が地滑り的勝利、強硬路線への道を開く」とのタイトルで、高市首相は女性初の首相就任からわずか110日で総選挙を実施するという「大きな賭けに出て、その賭けは成功した」とした。有権者は高市首相の経済政策と移民・中国に対する強硬姿勢に圧倒的な支持を寄せたとしている。

(写真上)自民党大勝を報じる9日付NYタイムズ紙

 記事では、日本の政党が議席の3分の2以上を獲得したのは戦後初と紹介した上で、近年は手痛い敗北を重ね、国会の両院で少数派という異例の立場に立たされてきた自民党にとって「驚くべき運命の逆転だ」と報じている。これにより高市首相は防衛や社会問題に関して保守的な政策を実行し、国際舞台での立場を強化する道が開かれたとした。

 ウォール・ストリート・ジャーナルも「選挙の賭けで、地滑り的勝利を収めた」と速報し、「米国との関係を深め、日本経済を活性化させるという強い権限を与えられた」とし「防衛と産業政策への支出を増やすことができるようになる」とした。

 勝利の要因については、ワシントン・ポストは、選挙は日本初の女性首相である高市氏に対する若い有権者から熱烈な支持によって推進され、同氏の「日本第一主義」の姿勢に対する強い関心を裏付けるものだ、と報じた。AP通信は、10月に日本初の女性リーダーとして就任した高市氏は「『仕事、仕事、仕事』と語り、遊び心と厳しさの両方を兼ね備えたスタイルで、これまで政治に興味がなかったという若い世代のファンの共感を呼んだ」と指摘。野党は、「あまりにも分裂しており、真の挑戦者とはなり得なかった」と報じた。

 トランプ大統領が高市首相を支持したことはニューヨーク・タイムズはじめ多くの米メディアが触れた。投票前の5日にトランプ大統領が、高市首相を「強く、力強く、懸命な指導者」として「全面的な支持」をトゥルース・ソーシャルに投稿、高市首相がこれに感謝し、日米同盟の「可能性は無限」とXに投稿した。

 衆院選をめぐっては、フォックス・ニュースの番組「サンデー・モーニング・フューチャーズ」で8日、ベッセント米財務長官が「高市首相は素晴らしい同盟者であり、大統領とも素晴らしい関係を築いている。日本が強くなれば、米国もアジアで強くなる」と述べたことも注目を集め、ロイターなどが報じた。

「生け花の音/四季」土佐尚子 ジャパン・ソサエティーで

光と色が作り出す瞬間美をファッションに融合させた作品(写真・三浦良一)

サウンド・オブ・イケバナ

 ニューヨーク・ファッションウィークに合わせて、ジャパン・ソサエティー(JS)で9日、NYと京都を拠点とするニューメディアアーティスト、土佐尚子による「生け花の音/四季」ファッションショーが開催された。四季をテーマにした4部構成で 春は生命の輝き、夏は祖先への祈り、秋は収穫の祝祭でドレスを彩り、冬は武士戦争を描いた名作『平家物語』の象徴的場面である篤盛の死を表現したシーンを電飾演出も交えて上演した。 

 土佐は、日本美の形を先端技術の超高速シャッターで撮影した瞬間造形で表現する「カルチュラル・コンピューティング」の提唱者。肉眼では見ることができないリアルの姿と色をファッションに乗せた先駆者。1991年AIによる感情音声対話Neuro-Babyで工学博士(東京大学)。MIT Center for Visual Studies でArtist Fellow終了後、京都大学特定教授。ニューヨークとの出会いは、リアルタイムで音を生成した初期作品『表現』(1985年)がニューヨーク近代美術館(MoMA)のコレクションに収蔵されたこと。

佐藤正明のサブウェイNo.24  ハーバード大学美術館が選ぶ

印刷芸術の社会的意義

 「プリンティングという表現がいかに多くのものを社会にもたらしてきたかを改めて学び、深い感銘を受けている」(佐藤)

 ハーバード大学美術館で1月24日から5月10日まで開催されている『Critical Printing(クリティカル・プリンティング)』の告知作品にニューヨーク在住のアーティスト、佐藤正明の 作品「Subway No.24」が選ばれた。同大では以前からクリティカル・プリンティングの講座があり広範囲かつ歴史的観点から研究しており、今回はその一環の展覧会となる。クリティカル・プリンティングは、美術史やメディア研究の文脈で、印刷物を単なる複製技術としてではなく、社会的・政治的・文化的な意味を持つ表現形態として批判的・分析的に考察する概念を指し、ハーバード大学などで学術的な研究テーマとして扱われている。これは、印刷が知識の普及、権力の構造、芸術表現にどう影響を与えてきたかを探求するもので、デジタル時代における「印刷の批評」とも関連している。 

(写真上) CREDIT  Masaaki Sato, “Subway No.24,” 1978. Screenprint. Harvard Art Museums/Fogg Museum. Margaret Fisher Fund, M23683. (C) Masaaki Sato

https://harvardartmuseums.org/exhibitions

 主なポイントは、美術史的視点として活版印刷から現代のデジタル印刷まで、印刷技術の変遷が芸術作品や文化に与える影響を分析。メディア論的視点として印刷物が情報伝達、権力闘争、アイデンティティ形成にどのように機能してきたかを批判的に検討。学術研究として ハーバード大学の美術史・建築史学科などで「クリティカル・プリンティング」という名前の講義や研究テーマが存在。デジタル時代への関連としてはデジタル技術が進む中で、物理的な「印刷物」が持つ意味や、デジタルと印刷の関係性を再考する意味合いも含まれまれている。 つまり、「クリティカル・プリンティング」は、印刷の「なぜ」「どのように」を深く掘り下げ、その社会的・文化的意義を批判的に読み解くためのアプローチと言える。

 佐藤は「今回の展覧会『クリティカル プリンティング』は、ハーバード大学が長年にわたり社会的・歴史的視点から幅広く行ってきた研究成果を、視覚的に体験できる大変意義深い試みだ。その象徴として私の《Subway No.24》が選ばれたことを、心より光栄に感じている。展覧会の趣旨に触れるたび、プリンティングという表現がいかに多くのものを社会にもたらしてきたかを改めて学び、深い感銘を受けている。この歳になってなお新たな気づきを与えてくれる機会を得て、その代表として私の作品が取り上げられていることに、身の引き締まる思いだ」と本紙にコメントした。   (三浦)

佐藤正明

1941年 山梨県甲府市生れ。ニューヨーク在住。ニューヨークに住んでニューヨークを描く、アメリカ現代美術のアーティスト。制作テーマは、ニューススタンド、穴。マンハッタンの名門画廊OKハリスと30年ほどの長きにわたり専属契約をしているアーティスト。OKハリスのオーナー、アイヴァン・カープ氏は、かつてレオ・キャステリの右腕としても知られ、ともにアンディ・ウォホールやロイ・リキテンシュタインなどアメリカ現代美術の代表的な作家を世に送り出した人物。 甲府絵画研究所(山梨県、甲府市/1962-66)、ヘザリー美術学校(イギリス・ロンドン/1967-69)、ブルックリン美術館付属美術学校(ニューヨーク州、ブルックリン/1971-74)、ブラット大学、グラフィック・センター(ニューヨーク州、ニューヨーク/1974-76)に学ぶ。

ホームレス夫婦のバレンタインデー ニューヨークの魔法

 ホームレスの青年と出会ったすぐそばで、携帯電話会社が真紅のバラの花を配っていたので、一輪もらった。 

 その東側で、また地べたにすわり込んでいる人がいた。膝の上に段ボール紙を置き、 マジックで何か書いている。長い髪に顔が隠れてよくわからなかったが、女性のようだ。

 そこへホームレス仲間らしき男の人が近寄ってきた。

 何してるの? と私が声をかけた。 

 女性が顔を上げて答えた。この人、私のダンナなんだけど、字が汚いから、「ホーム レスです」っていうサインを書いてあげてんのよ。

 夫婦で路上生活をしているのか。 

 Happy Valentine’s Day. 

 そう言って、さっきもらった一輪のバラを、女性にあげた。 

 彼女の顔がパッと輝いた。Thank you. と受け取った花を胸に引き寄せる。 

 彼女の夫が花に顔を近づけて、バラの香りをかいだ。

 ああ、いい匂いだね。

 私はふたりのなれそめを聞いた。 

 教会で知り合った人に、彼を紹介されたの。そのときは、ふたりとも職があったのよ。 私は救急医療の仕事をしていて、祖父母と一緒に住んでいたの。 

 僕はコンピューター技師で、母親と住んでいたよ。母親の容態が悪くなって、その医療費やホスピス代で貯金を使い果たしたんだ。家も手放して、それから路上生活だよ。 

 シェルターには行きたくないの? 

 行ったわ。私たち夫婦で個室をもらえたけど、部屋に鍵はかけられないの。刑務所から出たばかりの人もいるし、怖くていられなかった。でも援助団体のおかげで、もうすぐアパートメントが借りられそうなの。 

 今も神を信じている?

 当たり前でしょ。なぜそんなことを聞くのかしらとでもいうように、すぐに答えた。 

 女性が髪をかき上げたとき、初めてホームレス特有の臭いがした。 

 今はこのすぐそばの教会に、夫婦で行ってるの。歌が素晴らしくて、彼がすごくそこが気に入ったから。いつもふたりで、後ろの席にすわってるわ。 

 周りの人たちに気をつかって、礼拝堂の後ろで、ふたり寄り添う様子が目に浮かぶ。 

 私は女性にそっと、チョコレートを差し出した。 

 わぁ、チョコなんて久しぶり。大好きなの。

 「X」と「O」を交互に見ながら、キスとハグ、どっちがいい? と彼女が夫に聞く。 

 え? どっちでもいいさ。恥ずかしそうに彼が答える。 

 じゃあ、あなたにキスをあげるわ。 

 女性と私に礼を言って、彼が「X」のチョコを受け取る。 

 ふたりはすぐに、包み紙を開けた。美味しそうにチョコレートをなめる彼を、妻がじっと見つめている。そして、書きかけの段ボール紙を手から離すと、彼に近寄った。 

 ふたりはぴったり抱き合い、キスを交わす。 

 本物のXとOに、私のチョコレートなどとてもかなわない。 

 Happy Valentine’s Day to you both. 

 おふたりへ、幸せなバレンタインデーを。 

 このエッセイは、「ニューヨークの魔法」シリーズ第9弾『ニューヨークの魔法は終わらない』に収録されています。

https://www.amazon.co.jp/dp/4167717220

高市政権は、自民圧勝の民意を見誤るな 冷泉彰彦

 それにしても鮮やかな勝利であった。西高東低の冬型の気圧配置でありながら関東まで雪が吹き出す、そんな過酷な気象条件となったが、有権者は期日前投票を含めて高い関心を寄せた。多少失礼ではあるが、厳寒ということで当日投票の年齢構成が「シルバー民主主義」とは逆に作用したという要素もあるかもしれない。

 しかしながら、ここまでの勝利は誰も予想しなかったわけで、この結果を受けるのであれば当面の政権運営は想定したものとは変わってくる。誤解を恐れずに言うのであれば、今回下された民意というのは、個々の有権者の想いを超えた大きな歴史の意思のようなものであり、高市総理としてはこれを見誤らないことが肝要である。3点指摘したい。

 まずは、総理自身が開票を見ながら語ったように、経済財政の問題である。高市自民党は今回の選挙公約にあたって「消費減税」をするとは一言も言っていない。あくまで「検討を加速する」という表現にとどめている。これによって、実質の購買力が低下しているという国民の苦しみは理解しているが、財政を考えると「できない」というメッセージを伝えようとした。仮に選挙結果が辛勝であれば、国民の減税要望と危機的な財政の間で立ち往生する危険もあった。けれども、結果は大勝であった。民意を無視することはできないが、政策の自由度は増すわけで、これで財政の観点から最善手を打つことは可能になったと言えるだろう。

 その最善手とは、ほかでもない「高市トレード」と言われる円安圧力、そして気がつくと崖っぷちに立たされていた長期金利を沈静化することだ。結果的に、選挙直後の市場動向としては、超円安は起きず債券も安定する中、日本株が成長戦略への期待で上がっただけで済んでいる。勿論、「減税の検討を加速」という公約は「減税しない」という意味だなどという面倒なことを国際金融市場が理解するはずはないのであって、高市=麻生=片山のラインが米国の財務省と連銀のウォーシュ次期議長などと緻密なコミュニケーションを行った結果であると考えられる。

 2点目は、そのアメリカを含む外交だ。日本の有権者は、トランプ氏の気難しい政策を警戒し、国益を守る存在としては高市氏の手腕に期待して投票したのは間違いない。そして、前述のように日米間では金融政策をめぐる緻密な意思疎通がされていると推察できる。加えて、来る3月19日の高市訪米は、他でもない4月のトランプ訪中へ向けての日米の準備会議という意味合いを持つ。その4月の米中首脳会談に関しては、恐らくは通商政策に関する相当程度の合意がされる可能性がある。

 その場合に、3月の総理訪米は、その米中合意への準備あるいは根回しという性格のものとなる。仮に、今回の選挙結果が辛勝であったならば、高市氏としてはそう簡単に対中国の妥協はできない。けれども、今回の結果は大勝であった。民意は高市氏にほぼ白紙の委任状を与えたわけで、政治的には日中関係を改善する条件が整ったとも言える。4月の米中合意と整合性を取るという意味でも、高市氏が神格化してやまない故安倍晋三氏の功績を継承するという意味でも、日中の首脳外交へと進む姿勢を見せることが可能となった。

 3点目は、国内政策だ。手取りだ減税だというのは、直近の問題であり、大局的には産業構造を改革して、少なくともDXを軸に日本の生産性を回復することが必要だ。けれども、自他ともに保守派を看板に掲げてきた高市氏には、河野太郎氏のように構造改革を打ち出すのは難しかった。反対に、選挙区事情などもあり、保守イデオロギーを掲げて存在感を示すしかなかったのである。

 安倍晋三氏にしても、アベノミクスの「3つの矢」のうち構造改革については未達成に終わった。保守イデオロギーを求心力に使う中では、社会構造や産業構造改革は難しくなるからだ。しかし、高市氏は今回歴史的勝利を手にした。穏健派や中道無党派に支えられての勝利だともいえるが、支持層の中核である保守派からの雑音もピシャリと止めるだけの大勝であった。この好機を逸することなく、国内の改革に取り組んでいただきたい。

(れいぜい・あきひこ/作家・プリンストン在住)

今度はダレス空港とペンステーションも 大統領が名前要求

ケネディーセンターに続き・・・
連邦資金支出と引き換えに

 トランプ大統領がワシントンDCのケネディーセンターに自分の名前をつけたばかりだが、NBCニュースは5日、トランプ政権が米東部の大規模鉄道整備事業「ゲートウェイ・トンネル計画」を巡り、連邦資金の支出と引き換えに、ワシントン近郊のダレス国際空港とニューヨークのペン・ステーションにトランプ大統領の名前を冠するよう求めていたと報じた。

(写真)連邦資金と引き換えに名称の変更が要求されたペン・ステーション

 関係者によると、この要請は昨年秋の連邦政府閉鎖に伴い、約161億ドル規模の同計画への資金支出が停止された後に持ち上がった。政府閉鎖は11月に終了し、関連予算も成立したが、資金は現在も支払われていない。事業自体は近く運転資金が底を突き、工事の一時停止や多数の建設労働者の解雇につながる恐れがあると訴えている。

 民主党議員からは、公共インフラを政治的取引に使う行為だとして強い批判が出ている。トランプ大統領の名を冠した政府関連施設や制度が、在任中にもかかわらず相次いで誕生している。ジョン・F・ケネディ記念舞台芸術センターを「ドナルド・J・トランプ・アンド・ジョン・F・ケネディ舞台芸術センター」にしたり、米国平和研究所を「ドナルド・J・トランプ米国平和研究所」にしたりするのに留まらず、海軍の新クラスの戦艦の呼称を「トランプ級」とする構想や、さらには米国建国記念1ドル硬貨や医薬品割引サイト「TrumpRx」まで、その範囲は多岐にわたる。

 また 政府支援の貯蓄制度「トランプ・アカウンツ」のほか、「トランプ・ゴールドカード」といった民間寄りの政府プログラムまでも登場しており、従来の政府プログラムとの境界が曖昧になりつつあるとの指摘もある。

 歴代の米大統領は通常、退任後あるいは死後に図書館や記念館、道路、学校などの名称に名前が付けられてきた。しかしトランプ大統領の場合、現職のうちから連邦機関や主要なインフラ、政府支援プロジェクトに自身の名前を冠する事例が相次いでいる。

 これについて歴史家たちは「在職中の自己名付けは前例がなく、西洋政治史でも異例だ」と指摘する。トランプ政権内では、これらの名称は「国民への貢献や成果の象徴」であると説明されているが、一部の反対論者は「権力とブランドを結びつける危険な傾向」と批判している。歴史家の中には、「国家的記念が自己称揚的なブランド戦略に変わっている」と警鐘を鳴らす声もある。南メソジスト大学の歴史家ジェフリー・エンゲル氏は「自らを記念し称揚する行為は、西洋政治文化では下品とみなされてきた」と指摘する。ワシントンDCのケネディーセンターは、自分の名前を冠につけたトランプ大統領に批判が出たあと、今月2日、大統領が同センターを改修工事を理由に2年間閉鎖すると発表した。

 ワシントン近郊の高速鉄道システム「メトロ」を「トランプトレイン」に改名する提案なども出ている。支持層ではこうした動きが支持される一方、バーニー・サンダース上院議員(無所属、バーモント州選出)が現職の大統領にちなんで連邦政府の建物や土地に命名、改名することを禁止する法案を提出するなど、批判派は「権力私物化」との批判を強めている。

銃の攻撃から身を守る 海外安全対策セミナーNYで

銃で撃たれながら逃げる時の訓練。頭と首を抑えてジグザクに走る

ICE拘束リスク回避も

 外務省では、テロ、誘拐、一般犯罪対策等で豊富な経験を有する危機管理専門家を日本から講師として派遣し、在留邦人向けに安全対策に関するセミナーを実施しているが、2月3日、ジャパン・ソサエティーで「ニューヨーク安全対策セミナー」が開題された。同セミナーでは、第一部としてコントロール・リスク・グループ株式会社(本社・東京都)のコンサルタント、星村聡史氏が一般犯罪やヘイトクライムを含む突発的な暴力・傷害事案、テロ対策や無差別攻撃事案に対する主に企業・団体向けのリスク管理を学ぶ座学形式の講義を行い、第二部では、同社コンサルタントの川満雄起氏が、実際に発生し得る緊急事態を想定し、その際の適切な対処行動を実践的に習得する実技訓練を行なった。

(写真上)銃の乱射から身を守る最善の方法は伏せること

 星村氏は、米国には3億9000万丁以上の銃器が出回っている「銃社会であること」の認識が必要だと述べた。平均すると100人あたり約120丁が出回っているという。多くは拳銃だがAR15など小銃も出回っているという。企業にとっての課題は、極右活動家や扇動家による標的となること。さらには「不法移民を雇っている」などのデマや誤った情報を流されたり「米国人の職を奪っている」といった扇動的なバッシングを受ける危険にも晒されているとした。

 第二部では、銃の乱射、狙撃から身を守る方法について実技訓練が行われた。近くで銃声が聞こえたらすぐしゃがむ。さらに地面に身を伏せることで被弾する確率が激減する。足の踵は開いて地面にぺったりとつける。自分を狙ったものではないことが分かった場合は、逃げてその場からすぐさま離れる。車の陰に身を隠しても、銃弾が貫通するのを防ぐことができるのはエンジンブロックだけ。銃で後から狙われながら逃げる場合は、首の後ろと頭部を両手で押さえてジグザグに走って4秒ごとに伏せる。これを繰り返して逃げることで被弾を回避することができると陸上自衛隊仕込みのテクニックを紹介し、実際に参加者も実践した。参加した学校関係者からは「学校でも避難訓練はやっているが、実際に今ここで訓練したことをどこまで子供たちにやれるかは分からないが、少なくとも持ち帰って教師たちとは共有したい」と話していた。 

 会場からは米移民関税執行局(ICE)の拘束リスクからの回避方法などについて質問が出た。これに対し「合法的な身分証明証を持つことでリスクは回避できる」と説明した。別の聴講者から「グリーンカードのオリジナルを持ち歩いていて紛失したら再発行が大変だ。コピーやデジタル情報でもいいと聞いたが本当か」との質問も出た。この点については共催したニューヨーク日本総領事館の松永直樹領事部長が解説に立ち「弁護士の中には確かにコピーで良いという人もいるが、自動車を運転する時に、免許証のコピーでは運転できないのと同じ考え方でいいのではないか」と述べた。「グリーンカードのオリジナルを常時所持していないと拘束されるのか否か」について星村氏は「これば現場の捜査官の裁量次第で、答えは出ないと思う」と答えるにとどめた。

会場で配られた海外安全対策マニュアル(書評10面に)

海外安全対策マニュアル

さいとうたかを・著
外務省・刊

 外務省が制作した『ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル』は、一見すると意外な組み合わせに映る。国民的ハードボイルド漫画『ゴルゴ13』と、日本政府による海外安全対策——。だがページを繰るにつれ、その必然性が静かに立ち上がってくる。

 主人公デューク東郷は、感情を排し、最悪の事態を常に想定して行動する「プロフェッショナル」として描かれてきた存在だ。本書ではそのキャラクター性が、海外での危機管理を考える上での象徴として巧みに活用されている。テロや誘拐といった極端な事例だけでなく、日常に潜む油断や判断ミスが、いかに深刻な結果を招くかが、漫画ならではの臨場感で示される。

 本マニュアルの主な対象は中堅・中小企業の海外進出関係者だが、その内容は海外に暮らす在外邦人全般にとっても示唆に富む。とりわけニューヨークをはじめとする北米都市では、治安状況の地域差や社会情勢の変化が生活に直結しやすく、「慣れ」が判断を鈍らせる場面も少なくない。そうした現実を踏まえると、本書が繰り返し説く事前準備と情報更新の重要性は、当地の在外邦人にとって決して他人事ではない。

 特筆すべきは、単なる注意喚起にとどまらず、「最悪を想定し、準備する思考」を読者に促している点だ。危険を過度に煽るのではなく、冷静に状況を把握し、選択肢を複数持つことの大切さが、繰り返し強調される。これは長期滞在者ほど「自分は大丈夫」と考えがちな海外生活に、あらためてブレーキをかける視点とも言える。

 一方で、漫画という形式上、描写がやや劇画的である点や、国・地域ごとの細かな事情までは踏み込まない点には留意が必要だ。とはいえ、それらを補って余りある読みやすさと到達力を備えていることは確かで、さいとうたかをならではの世界を十分に楽しめることも、今は亡き本人の名誉のためファンの一人として記しておきたい。

 海外生活が「日常」になったときこそ、安全意識は風化しやすい。本書は、そんな読者に静かな警鐘を鳴らす一冊だ。娯楽性を入り口にしながら、現実的な備えへと導くその構成は、ニューヨークを含む北米に暮らす在外邦人にとっても、改めて手に取る価値のある安全読本と言える。

 ニューヨークでは2月3日、テロ、誘拐、一般犯罪対策等で豊富な経験を有する危機管理専門家を日本から講師として外務省が派遣し、当地在留邦人向けに安全対策に関するセミナーをジャパン・ソサエティーで開催した=記事7面・経済面に=。同セミナーでは、第一部としてコントロール・リスク・グループ株式会社(本社・東京都)のコンサルタント、星村聡史氏が一般犯罪やヘイトクライムを含む突発的な暴力・傷害事案、テロ対策や無差別攻撃事案に対する主に企業・団体向けのリスク管理を学ぶ座学形式の講義を行い、第二部では、同社コンサルタントの川満雄起氏が、実際に発生し得る緊急事態を想定し、その際の適切な対処行動を実践的に習得する実技訓練を行なった。会場で、本書が来場者に配布されている。(三浦)

青山学院校友会NY支部 新年会で箱根駅伝優勝祝う

 青山学院校友会ニューヨーク支部(菊池慎一郎会長)は7日、市内レストランで新年会を開催し、体感温度氷点下摂氏マイナス25度の大寒波の中、文学部、経済学部、法学部、理工学部卒の同窓生13人が参加した。

 冒頭で、第102回箱根駅伝で母校が往路・復路を通じて3年連続・通算9回目の総合優勝を果たした快挙に一堂乾杯した。駅伝の模様はニューヨークでもオンラインで見ることができたため、お正月休みの各家庭での応援の話題で会場が盛り上がった。

 菊池会長からニューヨーク日本総領事館主導で今年5月に開催されるジャパンパレードに青山学院校友会NY支部として昨年に続き今年も参加することが発表され、多くの会員の参加を呼びかけた。

 また、海外で活躍する同窓生とのつながりや、ラインで発信されている校友会の広報誌『あなたと青山学院』など各種案内などの閲覧方法などについて説明があった。ニューヨークで起業して活躍している卒業生たちからも「青学本校の学生や関係者との交流の機会があればぜひ参加したい」などの声が聞かれた。

アーティストの交流と支援に乗り出す  伊藤聖沙さん

The Artist’s Stop 代表
パフォーマー兼プロデューサー

 舞台を中心にライブパフォーマンス、映像など多分野で活躍しているパフォーマー兼プロデューサーの伊藤聖沙さん(40)は、これまで自身が手がけたオリジナル作品やコラボレーション作品の制作の発表を続けるだけでなく、アーティスト同士の交流や支援を目的とした団体「ザ・アーティスト・ストップ( The Artist’s Stop )、TAS」を立ち上げた。 

 これはトレーニングやコーチングをするのではなく、さまざまなステージにいるアーティストに経験ベースの実践的な情報提供をする場を設ける取り組みだ。自身も含め現役で活躍するアーティストが経験をもとに支援する場となる。すでにブロードウエー「ハミルトン」の現ダンスキャプテン、クロエ・キャンベルさんや、ウェストエンド・キャバレーの現ダンスキャプテンを務めるエラ・リソンドラさん、ミュージカル「シカゴ」の全米ツアーでロキシー役を努めたモリー・ダウネスさんら錚々たる顔ぶれのプロフェッショナルを講師に招いたセミナーセッションをオンラインで開催している。今月20日(金)には劇団四季を経て米国の舞台で活躍する俳優の小野功司さんを講師に招く(申し込みサイトはhttps://www.theartistsstop.com/ja/service-page/guest-kojiono)。

 伊藤自身も昨年1月にブロードウエー地区のドント・テル・ママでキャバレショーを6公演行っている。観客をユニークな人生の旅へと誘ったこのショーは、伊藤が90年代の東京で過ごした青春時代からIT業界、舞台演技へとキャリアを転換した経歴まで、6つの章で構成、それぞれの章は独立した内容で、ユーモア、音楽、笑いと感動を提供して場内を沸かせた。

 これまで米国とオランダで舞台出演を重ねてきており、オランダでは『アベニューQ』、『ディスエンチャンテッド』、米国では『くるみ割り人形とマリー』などに出演。また、キャバレーでのパフォーマンスや一昨年コロンバスデーパレードでのタップダンス、デヴィッド・ゲッタのミュージックビデオ出演など幅広く活動している。  

 伊藤は東京で生まれ、3歳のときに家族と共に来米、幼少時はニューヨークで過ごした。「とにかく幼少期から歌うのが好きで、この時期にブロードウエー・ミュージカルを見始めたのが、パフォーマーになりたいきっかけとなりました。4歳児にして1番好きなミュージカルはオペラ座の怪人でした」と笑う。

 その後は日本、米国、ヨーロッパで過ごし、NYには本格的なダンストレーニングのために来米した。

 フルタイムでパフォーマーに切り替えるまではIT関連企業で働いていた職歴の持ち主。コーポレートの世界とパフォーミング・アーツの世界は報酬の面でもかなりの差がある。

 「アーティストは自分がプロダクトです。健康やコンディションなど日々の管理を全て自分でこなさなくてはならないにも関わらず報酬が少ないことも多々あります。そんな当たり前を変えたいという気持ちもあり立ち上げたのがTASです。アーティスト同士お互いを助けあいながら、報酬も得られるいいエコシステムを作るのが長期的な私のゴールです」と話した。当分はステージとプロデューサーの二足の草鞋を履くことになりそうだ。

 (三浦良一記者、写真も)

大使公邸で音楽会 新進気鋭の3人

公邸改修工事前最後の公演

 ニューヨーク総領事・片平聡大使公邸で6日夕、音楽会「コンサート・アット・アンバサダーズ・レジデンス」が開催された。

 出演アーティストのリーダーでチェリストの久保田ジェームス拳は、オハイオ州コロンバス出身、ジュリアード音楽院修士課程修了。8歳でチェロを始め、地元オーケストラに参加しながら著名チェリストに師事。ジュリアード音楽院修了後は、ニューヨークを拠点に活動中だ。

 共演者はチェリストのミッチェル・リヨンとマルチ楽器奏者のブランドン・イラウ。共に同じくジュリアード音楽院修士課程修了で、3人がアニメ主題歌「真夏の果実」や新曲「ミー&ユー」、スタンダードナンバーから「フライ・ミー・トウ・ザ・ムーン」「情熱大陸」のテーマなど10曲を披露した。

 この音楽会は、2020年に始まったパンデミックの最中、山野内元大使(当時)が日系芸術家を支援する主旨で開催されたのがきっかけ。総領事公邸が4月から改修工事に入るため、現状の公邸で開かれる同種音楽会としては最後の公演会となると片平大使が挨拶した。

 当日は、メトロポリタン美術館の日本美術関係者、ハンター大学の日本文化教育の関係者、出版、音楽関係者らが招かれ一夜の特別音楽を楽しんだ。演奏後は音楽家3人を囲むレセプションが開催され、参加者たちは和やかに歓談した。

左からイラウさん、久保田さん、片平大使、リヨンさん

第61回目春期【幼児の部】


作品の送付はできる限りEメール([email protected])でお送りください。作品の画像データをメールに添付して送信ください(スキャンしたPDFデータがが望ましい)。もしどうしても郵送になる場合は、事前に前述のEメールまでご連絡ください。


*ワンポイントアドバイス:

鉛筆をしっかり持ち、正しい姿勢で落ち着いて、ゆっくり大きな字を書きましょう。、ゆっくり柔らかい字を書いてみましょう。