乳がんシンポジウム 上野貴之医師が講演

BCネットワークが開催

免疫作用について解説

 乳がんに関する最新の治療情報や早期発見の啓発活動を行う非営利団体「BCネットワーク」は26日午後1時から3時30分まで、NY日系人会で、第6回乳がんシンポジウム@イーストコースト・サウスを会場とオンラインのハイブリッド形式で開催した。 会場参加者10人、オンライン参加者27人の計37人が聴講した。

 このシンポジウムは、日本人女性の罹患率が高い乳がんについて正しい知識を深め、万が一罹患した場合に適切な対処ができるよう、基本的な情報と最新の医療情報を提供することを目的としている。今回は、がん研有明病院乳腺センター長・乳腺外科部長の上野貴之医師(57)が「乳がん患者さんひとりひとりに最適な治療を〜最新のデータが導く明るい未来〜」というテーマで基調講演した。次いで、聖マリアンナ医科大学病院放射線科IVR研究グループ・放射線科医のフォックス岡本聡子医師が「日米の乳がん画像診断の違い〜乳がん手術前、術後検診まで〜」と題して講演した。最後にBCネットワーク創立者・代表の山本眞基子さんが「転移性乳がんと共に20年〜それでも人生は輝く〜」と題した経験者トークを行った。ニューヨーク日本総領事館の松永直樹領事部長が後援団体を代表で挨拶した。司会はフジサンケイコミュニケーションズ・インターナショナル(FCI)キャスターの久下香織子さんが担当した。当日の講演内容は、BCネットワークのウェブサイトhttp://bcnetwork.orgでも視聴可能。

 講演の中で上野医師は乳がんと免疫の関係について説明した。「治りやすいと言われながら、いつ治るのか、治らないのか分からないのが乳がんの特徴だ」として、体内に異物が出現した時にそれを認知して排除するよう働く免疫が、自分の体内にもともとあったものからできるがんに効くのかという疑問に対して、「変異した蛋白質はもともと自分の体の中にあったものではないので免疫治療効果がある。がん細胞のスピードにブレーキをかけるのが免疫だ」と説明し、乳がんのタイプなどについて解説した。抗がん剤と免疫療法と手術が現実的に広く使われている日本の現状を紹介した。続いてフォックス岡本聡子医師が、40歳以上になったら奨励されているマンモグラフィについて解説し、トランプ政権になってケネディ保健相になりマンモグラフィの将来の保険適用が不透明になってきているとしながらも、自分から早期発見に努めることは大事で、仮に追加検査となっても、実際に生体検査となる率は2%なのでそれイコールがんになったことではないということ理解しておくと良いなどアドバイスがあった。

 会場からは日米の保険制度の違いや、治療に対するスピードの違いなどについての質問が出された。上野医師は、日本でもすぐ検査をした方が良い場合はすぐ再検査となるが、たとえば半年様子を見て、それからもし治療が必要と判断しても現状なんらその後に変化がない場合は、様子を見ることが多いと言う。BCネットワークの山本代表は、「乳がんが再発して20年以上になるが常に次の治療薬がどんなものなのかを調べて、新しい治療薬を使い続けることで今日まで元気で暮らしている。がんと関係ないことを考える時間を持つことが、明るい未来を導いてくれると思う」と体験談を語った。上野医師も「30年前と現在とでは治療薬の開発が大きく進んでおり、2018年に医学・生理学賞でノーベル賞を取られた京都大学特別教授の本庶佑さんの免疫の働きを抑えるブレーキ役となる物質の発見が、がんに対して免疫が働くようにする新たな治療薬の開発などに貢献した功績が大きい」と話した。

NYの訪日合唱団を支える  小野山弘子さん

Young People’s Chorus of New York City
訪日公演実行委員会代表

 ニューヨークから少年少女合唱団「ヤングピープルズ・コーラス(YPC)」が創立37周年記念日本公演を7月に軽井沢、大阪、東京の3都市で開催する。同コーラス団体は「8歳から18歳まで人種や宗教、貧富に関係なく子どもが集まって歌えるコーラス」を目指して1988年に設立され、その優れた歌唱力と芸術性で世界的に高い評価を得ている。通算2000人近い青少年たちが参加している。今回は7度目の訪日公演となる。コンサートに向けて、合唱団が練習を重ねている。リンカーンセンターに近い65丁目にある音楽スタジオで創設者・音楽監督:フランシスコ・J・ヌニェスさんが合唱団メンバーたちに指導する。その横に、日本人女性、小野山弘子さんがいる。毎年、日本へ向けて公演実行委員会代表として同合唱団を率いて日本公演を数多く実施している人だ。

 小野山さんは、日本で生まれ、1968年留学のため来米、71年ソニー共同創立者・会長盛田昭夫氏に招かれ就職、同氏および大賀典雄会長の秘書、米国ソニーディレクター、バイスプレジデント、顧問を歴任し、2011年退職後、フィランソロピー活動に専念、多数の非営利民間団体の理事や終身顧問を務めている。同合唱団の理事を務める小野山さんは、2005年に京都で開催された世界合唱祭にアメリカ代表で参加したのをきっかけに以降6回に渡りYPCの日本公演に同行、日本各地の演奏会のために日本語、日本文化を子どもたちに指導している。2019年にNY日系人会からJAA功労者アワードを受賞している。

 小野山さんは、毎年50人近い合唱団メンバー全員に、訪日時に日本の白い木綿のハンカチを一人一人手渡すのだという。日本はアメリカのようにペーパータオルがないので、いつでも手を洗ってハンカチで手を拭けるようにという心遣いだ。ハンカチを日常的に使う習慣のないアメリカの子どもたちにとっては新鮮な日本文化体験の入り口になっているようだ。今年の夏の訪日は、7月25日が軽井沢大賀ホール、29日が大阪いずみホール、31日が東京文京シビックホールでの開催だ。チケットは6月1日からネットで販売開始予定だ。「今年は大阪で万国博覧会があるので、せっかく大阪で公演するので、万博のアメリカ館で合唱を披露する機会があればと合唱団事務局が交渉しているようです」という。合唱団の子供たちにとっても格別の訪日公演になりそうだ。

  (三浦良一記者、写真も)

こどものくに幼稚園創立50周年祝う

かつての教え子たちと数十年ぶりに再会して喜ぶ早津園長(中央)

幼児教育に半世紀
卒園生ら300人集う

 ニューヨークで1975年に設立されたこどものくに幼稚園(ホワイトプレーンズ、早津邑子園長)が創立50周年を迎え、その記念式典が4月27日午後、同幼稚園講堂で開催された。卒園者、保護者、招待客ら約300人が出席して半世紀に渡った同幼稚園の足跡と歴史を振り返った。同園はプレイグループとして市内クイーンズ区でスタート後81年に非営利団体「こどものくに幼稚園」を設立。96年に現在地のホワイトプレーンズに移転し、NY州教育長認可の学校としてこれまでに数千人の児童が園から巣立っている。

   ニューヨーク日本総領事館の松永直樹領事部長が祝辞を述べた。森本恵作ニューヨーク日本人学校校長、

小島昇ニューヨーク補習授業校校長、倉西美由紀ニューヨーク日本人教育審議会事務局長、NY州認定スクールサイコロジストのバーンズ亀山静子同審議会・教育相談員が来賓として出席した。

 式典では、1970年代にクイーンズのこどものくに幼稚園の同級生同士で結婚した川田健一さん(53)と理恵さん=写真=が紹介され、二人並んで挨拶した。早津園長は「子どもたちが皆大きくなって立派に成長された姿を見て感無量です」と喜んでいた。東京は8月23日(土)市ヶ谷私学会館で行われる予定。

オペラ降板〜断腸の思いの先の未来

 皆様、少しご無沙汰してしまいました。先月体調を大きく崩し、原稿を間に合わせる事が出来なかったばかりか、月末に予定されていた日本での2つのコンサートも、やむなくキャンセルせざるを得ない状態でした。更に、5月初頭に当地ニューヨークで予定されているオペラ「白狐」のタイトルロール(題名主役)も、断腸の思いで降板する事となりました。残念ですが、やはり健康あってこその舞台であり、今自分にとって必要な決断でした。思えば、20代でオペラ公演の初舞台を踏んで以来、これまで1度たりともオペラやコンサートを降板した事はなく、今初めての新たな感情に向き合っています。30代の頃、アメリカのあるオペラカンパニーで、ある公演の主役を務めた事がありました。米初演だった事もあり、入念な準備の末舞台に臨み、幸いにも良い評価を頂きましたが、公演最終日の朝、突然原因不明の体調不良に見舞われ、ベッドから起き上がれない事態に陥りました。オーディションでやっと掴んだ大役を、全公演やり切りたいと言う思いと、大きな責任感に突き動かされ、気力と若さで何とか舞台に立ちましたが、舞台に出る直前までトイレで吐き気に苦しみ、舞台袖の椅子にぐったりと寝込み、幕が降りたと同時に気絶するような状態だったことを覚えています。幸い体調は悪くとも、声の調子は悪くなかったので勝負に出ましたが、もし出来が良くなかったとしたら、事情を知らない観客や批評家は当然、その舞台のみで評価したことでしょう。そのようなリスクを負いながらも私が歌う選択をしたのは、たとえ1公演でも、主役を務める事が、どれほど貴重かと言うバリューをわかっていたからでした。舞台芸術の世界は、競争も激しく厳しく、過酷な世界です。どのオペラ歌手にとっても、主役を務める事は一世一代の大きな経験です。全身全霊で取り組む準備を重ねた上での、舞台の成功は、尋常ならぬ達成感を与えてくれますし、人生の最後に思い出すような体験となる反面、途方もないプレッシャーや莫大な不安と闘わなくてはいけない事もあります。加えて、スター歌手でもない限り、役を掴むためには舞台で成功し続ける必要があり、たとえ経験を積んだ後でもオーディションを受け続ける努力など、途切れることがありません。そんな世界の中で今回、初めて降板という選択をした事で、私はまた別の角度から舞台に立つことの尊さを学びました。

 健康であること、声と心が整っていること、そして何より、舞台に立つという奇跡のような機会への感謝ーこれまでも当たり前などと思った事はありませんが、それは努力だけでなく、タイミングや人の縁と言ったものが合わさって、漸く叶うと言う事も深く実感しています。

 今は静かに体を整えつつ、自分自身と向き合う時間を過ごしていますが、必ず又舞台に戻るつもりです。この経験が、未来の自分を支えてくれるでしょう。皆様にもいつか又お目にかかれる日を心から願っています。

田村麻子=ニューヨークタイムズからも「輝くソプラノ」として高い評価を受ける声楽家。NYを拠点にカーネギーホール、リンカーンセンター、ロイヤルアルバートホールなど世界一流のオペラ舞台で主役を歌う。W杯決勝戦前夜コンサートにて3大テノールと共演、ヤンキース試合前に国歌斉唱など活躍は多岐に渡る。2021年に公共放送網(PBS)にて全米放映デビュー。国立音大、東京藝大、マネス音楽院卒業。京都城陽大使。

編集後記

【編集後記】

 みなさん、こんにちは。「ニューヨークの朝はコーヒーで始まる」というTVコマーシャルが日本で昔ありました。インスタントコーヒーメーカーのCMだったか、鳩の群れがビルの谷間から飛び立っていく映像と共になんだかやけに記憶に残ってます。数十年経ってそれと同じ光景が毎朝の日課になっているのがおかしいです。会社の近くのベンダーでドーナツとコーヒーとゆで卵を買って、オフィスでPCを立ち上げながらの1日が始まります。いろんなドーナツがあって目移りしますが、私は中にカスタードクリームが入って表面にチョコレートが塗ってある「ボストンクリーム」か、ねじった揚げパンの「ボウタイ」というのが好きでどちらかを買っていつも食べています。朝の炭水化物はエネルギーの瞬間補充にいいです。値段は1ドル50セントからで、コーヒー(大)とゆで卵を入れて5ドルでお釣りがきます。今週、タイムズスクエアに、日本の人気ドーナツ店「I’m donut ?」が出店しました。日本では2時間待ちでなかなかお店に入れないそうですが、NYでも早くも長蛇の行列ができています。NY店ではシグネチャー商品でもある生ドーナツ「アイムドーナツ?」をはじめ、ビーガンなどNY店限定の9商品を含めた全15種類を展開。価格は1個4ドルから13ドルとやや高めです。代表の平子良太シェフは「ドーナツの本場はアメリカ、その中でも常に人が集まり、活気と多様性あふれる街であるニューヨークを海外初出店の場所として選びました。ニューヨークと言えばやっぱりタイムズスクエアじゃないですか。感無量です。世界の中心であるこの場所でドーナツを届け、たくさんの人に美味しいと思っていただけるよう頑張りたいです」と話していました。生ドーナツの食感は、保湿感を維持するためにかぼちゃを使っているのが特徴だそうで、確かに柔らかくて美味しかったです。お店はマンハッタンの45丁目、6番街と7番街の間です。住所は 154 W45th Streetm NYC. 月曜、火曜は定休日。今週号の3面で紹介しています。それでは、みなさんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2025年4月26日号)

(1)渋滞税継続 連邦政府にNY州従わず

(2)イースターサンデー 春

(3)I’m donut ?  タイムズスクエアに出店

(4)ジャパンパレード 日本文化満載

(5)トランプ vs ハーバード 視座点描

(6)日本の実家、空き家対策を 山口里美さん解説

(7)春キャベツを使った美容食3品 生き生きEATS

(8)岡倉天心百年の夢実現 幻のオペラ 白狐

(9)Jmeでキッズちゃんねる 1日6回配信中

(10)日本語を学ぶ学生たち ハンター大学で長久保さん講義

渋滞税継続 連邦政府にNY州従わず

連邦政府の停止命令

 ニューヨーク市が今年1月5日より導入した渋滞税について、連邦政府が4月20日までに廃止するよう求めていたが、ニューヨーク州のホウクル知事の広報担当者は期限に関する声明の中で、「このプログラムは効果を上げている。交通量は減少し、ビジネスは拡大し、カメラは作動し続けている」と述べ、従わない意向を表明、渋滞税徴収は20日以降も継続している。

 ニューヨーク都市圏の公共輸送を運営するメトロポリタン交通局(MTA)は、渋滞税は渋滞緩和、大気の改善、公共交通機関への資金提供を目的したものであり、トランプ政権の廃止命令は不当として提訴している。ホウクル知事およびMTAは、裁判所が別段の指示を出さない限り、カメラと料金徴収はそのまま維持されると述べている。

 渋滞税はマンハッタンの60丁目以南に入る車両に、例えば乗用車で平日は午前5時から午後9時まで、週末は午前9時から午後9時まで、ピーク料金として9ドルを課すもの。

 トランプ大統領は渋滞税を廃止すると大統領就任前から述べていた。ショーン・ダフィー米運輸長官は2月19日、渋滞税は市民や通勤者、企業の重荷になっているなどと指摘し、認可を取り消すと表明。ホワイトハウスは「渋滞税は終わった。マンハッタンとニューヨーク全体が救われた。国王万歳」というメッセージとともに、王冠をかぶったトランプ大統領のイラストをSNSに投稿した。

 ダフィー長官はマンハッタンに入る高速道路は連邦政府の管轄でもあり、3月21日までに廃止するよう求めたがニューヨーク州は法的手段を取るとして応じず、長官は期限を30日間延期した。しかし今回もNY州は応じなかった。

 渋滞税をめぐってはほかにも複数の訴訟が起されている。ニューヨーク州連邦地裁のルイス・リマン判事は4月17日、4件の訴訟における渋滞税反対の主張20件のうち、連邦環境法違反を主張するものなど5件を除き棄却、導入賛成に有利な情勢となっている。なお、ニュージャージー州が渋滞料金廃止を求めた訴訟では、同州の連邦判事がNJ州側に不利な判決を下し、渋滞税導入が認められている。

イースターサンデー 春

 イースター(復活祭)はキリスト教徒が祝う最も重要な日。NY五番街のセント・パトリック寺院前ではこの日午前、華やかな春を告げるボンネット・パレードが行われた。死は決してそれでおしまいではないと祝うその日、神は教皇フランシスコを迎えに来た。 (20日午前11時、写真・三浦良一)

I’m donut ?  大人気の生ドーナツ店、タイムズスクエアに出店

代表の平子さん

 日本発の生ドーナツ専門店「アイムドーナツ?」などを展開する株式会社peace put(代表取締役・平子良太/福岡県福岡市)は、海外1号店となるタイムズスクエア店(西45丁目154番地、6番街と7番街の間)を4月22日にオープンした。

 日本では6店舗を展開しているが、どこも2時間待ちの行列ができる人気。NYでもすでに連日行列ができていて行列最後尾にいた日本人女性は「日本ではなかなか入れないのでニューヨークに住んでいてよかったです」と喜んでいた。

 NY店ではシグネチャー商品でもある生ドーナツ「アイムドーナツ?」をはじめ、ビーガンなどNY店限定の9商品を含めた全15種類を展開。価格は4ドルから13ドル。代表の平子さんは「ドーナツの本場はアメリカ、その中でも常に人が集まり、活気と多様性あふれる街であるニューヨークを海外初出店の場所として選びました。ニューヨークと言えばやっぱりタイムズスクエアじゃないですか。感無量です。世界の中心であるこの場所でドーナツを届け、たくさんの人に美味しいと思っていただけるよう頑張りたいです」と話す。生ドーナツの食感は保湿感を維持するためにかぼちゃを使っているのが特徴。店内は作る工程を一望できる製造工場のような階段状になっている。NYの山奥から運んできた6トンの岩石テーブルも迫力だ。


154 W45th  Street

New York, NY 10036

営業時間 8:00-16:00

ソフトオープン期間中は10:00〜

定休日:月曜、火曜

ジャパンパレード 日本文化満載

5月10日開催へ

 第4回ジャパンパレードが、5月10日(土)午後1時からセントラルパークウエストの81丁目から68丁目まで開催される。併せて文化とフードを提供するストリートフェアが午前11時から午後5時まで72丁目のコロンバス街とセントラルパークウエストの間で行われる。日本からの特別ゲストとして「進撃の巨人 ザ・ミュージカル」のキャストを迎えることが決定している。パレードを前に17日午前、ニューヨーク総領事公邸で報道関係者向けのプレビューイベントがあり、パレード名誉会長のニューヨーク総領事、森美樹夫大使、ジャパンデーインク・プレジデント兼チェアマンの岡本慎一日本生命保険相互会社常務執行役員、今年から新設されたジャパンパレード・コミュニティ・リーダーに選ばれた佐藤貢司氏NY日系人会会長、運営を行うゴージャスエンターテイメントの吉井久美子事務局長が記者会見した。

(写真上)記者会見した左から吉井氏、岡本氏、森大使、佐藤JAA会長

 会見ではパレードの正式な概要について発表された。また当日はパレードに参加するハーレム・ジャパニーズゴスペルクワイアーと僧太鼓のメンバーが演奏を披露した。今年のジャパンパレード・アート・コンテストの結果も発表され、ビジュアル・デザイナー、ミングチェン・リーさんの作品が選ばれ、今年の公式ポスターとして採用された。

 同パレードは、日本文化の紹介を通じて日米市民の交流と相互理解を促進するとともに、日系コミュニティの連帯強化の場として、また我々日本人を温かく迎えてくれているニューヨークへの感謝の表意として毎年開催されている。今年はパレードに113の団体・個人、企業が参加して行進する(5面の表参照)。

前夜祭チケット・詳細は

https://www.eventbrite.com/e/japan-night-reception-concert-celebrating-japan-parade-tickets-1258680751009?aff=oddtdtcreator1258680751009?aff=oddtdtcreator

特別ゲストに進撃の巨人 ザ・ミュージカル

 パレード特別ゲストの原作は諫山創による『進撃の巨人』で、2009年から21年まで、「別冊少年マガジン」(講談社)で連載され、コミックス累計発行部数1億4000万部を突破した大人気漫画だ。同作を舞台化した「進撃の巨人 ザ・ミュージカル」(植木豪演出)は 23年に日本初演、音楽・ダンス・アクションを交えた表現やクオリティの高さが大きな話題を呼んだ。24年10月には初の海外公演となるNY公演を行い、全米各地だけでなく世界20か国以上からファンが集結した。

 ジャパンパレードには、舞台版のキャストより、エルヴィン・スミス(大野拓朗)、リヴァイ(松田凌)、ハンジ・ゾエ(立道梨緒奈)と4人の Blade Attackers(下尾浩章、橋渡竜馬、松本ユキ子、加藤貴彦)を迎える。
 また、パレードの前夜祭として 5 月 9 日(金)午後5時30分から、エジソンボールルーム(西47丁目240番地)にて「ジャパンナイト・レセプション&コンサート・セレブレーション・ジャパンパレード」を開催する。日本酒試飲会と和風オードブルが楽しめ3組のアーティストによる90分間のコンサートが行われる。出演者は「進撃の巨人」のキャスト、琴・三味線演奏家の石榑雅代、NMB48の元キャプテンで現在はシンガーソングライターとして活躍する山本彩。入場料は75ドル〜125ドル(4面に入場券サイト)。


行進参加者・企業・団体・(予定)(4月16日現在)

1 森本正治

2 佐藤貢司

3 岡本慎一

4 進撃の巨人  ザ・ミュージカル

5 山本彩

6 ハローキティ

7 マイメロディー

8 クロミ

9 全日本空輸株式会社

10 Bandai Namco Toys & Collectibles America Inc.

11 Hisamitsu America, Inc

12 日本航空

13 伊藤忠インターナショナル

14 KDDI America,Inc

15 丸紅米国会社

16 米国三井物産

17 日本生命保健相互会社

18 Nomura Holdings America Inc.

19 双日日米国会社

20 米州住友商事

21 三井住友信託銀行

22 在ニューヨーク日本国総領事館

23 日本生命保険相互会社

24 野村ホールディングアメリカインク

25 三井住友信託銀行

26 アメリカン仏教スタディーセンター

27 Anime NYC

28 青山学院校友会ニューヨーク支部

29 あおぞらコミュニティ基金

30 阿波踊りニューヨーク

31 美和鼓

32 Brooklyn de Kosodate

33 ブルックリン日本語学園

34 白虎館

35 Coalitiion of Asian Pacific Americans(CAPA)

36 鼓舞

37 Edamovement Lab

38 FDNY Phoenix Society

39 森の家NYC

40 江州音頭チーム

41 Gravis

42 大紐育なぎなた連盟

43 ハーレム・ジャパニーズ・ゴスペル・クワイヤー

44 ハリソン市消防署

45 ハンター大学日本語・日本文化学科

46 いけばなインターナショナル

47 国際空手道連盟 極真会館

48 日米合同教会

49 ニューヨーク日本人美術家協会

w/サライカムーブメントコレクティブ

50 日米ソーシャルサービス

51 Japanese American Veteran Association

52 ニューヨーク育英学園

53 アメリカ日本人医師会

54 日本空手協会ニューヨーク道場

55 ジャザサイズ スカースデール

56 JCCファンド/ニューヨーク日本商工会議所

(JCCI)/日本クラブ

57 桂三輝

58 慶應義塾ニューヨーク学院

59 剣禅道場

60 紅玉よさこい

61 廣武館剣道 of NY

62 ロングアイランド ジャパニーズカルチャーセンター

63 ニューヨーク市のメイドカフェコラボ

64 明治大学ニューヨーク紫紺会

65 Music for SDGs

66 小倉直也バンド

67 NY奄美会

68 ニューヨーク武道協会

69 ニューヨーク群馬県人会

70 ニューヨーク石川県人会

71 ニューヨーク日系ライオンズクラブ

72 ニューヨーク剣心会

73 ニューヨークきものアカデミー

74 ニューヨーク京都倶楽部

75 New York Lolitas

76 New York Mets

77 ニューヨーク長崎県人会

78 紐育太鼓愛好会

79 ニューヨーク富山県人会

80 ニューヨーク大学東アジア研究日本語プログラム

81 ニューヨーク和歌山県人会

82 ニューヨーク/ニュージャージー 弓道会

83 NYC Area Judo Community

84 NYC日本ファッション

85 ニューヨークオタククワイヤ

86 ハリヤマバレエ

87 ニューヨークでボランティア

88 NY広島会&NY愛知県人会

89 ニューヨーク宮崎県人会

90 NYPDカラーガード

91 NYPDマーチングバンド

92 ニューヨーク沖縄県人会

93 パッセイックカウンティー日本語クラス

94 レインボージャパン

95 伊藤さちよ舞踊団

96 寒川神社

97 SeiTomoko Hair Group

98 studio NAO style & Mayumi Kuki

99 僧太鼓

100 太鼓マサラ道場

101 ニューヨーク日系人会

102 ニューヨーク日本民俗舞踊研究所

103 国際交流基金ニューヨーク日本文化センター

104 ニューヨーク日本人学校

105 ニュージャージー日本人学校

106 東京ブロンクスACG

107 東京ーフロストバレーYMCAパートナーシップ

108 トリプルディダンス  アンリミテッド

109 米日カウンシル

110 早稲田大学ニューヨーク稲門会

111 世界誠道空手道連盟  誠道塾

112 よさこいダンスプロジェクト天手古舞/華鎖波

113  Young People’s Chorus of New York City


トランプ vs ハーバード 視座点描

 発足100日を前に、約200本もの大統領令・覚書・布告でやりたい放題の第二次トランプ政権に思わぬ伏兵が現れました。議会も異論を挟めず、司法も後手に回り、ジャーナリズムも脅される中、第五の権力たるアカデミズムの頂点ハーバード大学が、反ユダヤ主義やDEI(多様性・公正性・包摂性)教育を放棄せよという政権の要求を公式に突っぱねたのです。

 ハーバード大の創設はアメリカ建国より140年も前の1636年。8人のアメリカ大統領を輩出し、資金力も世界最大級。トランプ政権は即座に22億ドルの複数年助成金と6000万ドルの政府契約を凍結する「報復」に出ましたが、同大は寄付金やその運用益で現在530億ドル以上の基金を保有しており、これは世界の下位100か国の資金を上回る額です。なので短期的には政権に抗し得る財政基盤がある。スタンフォードやプリンストン大も学問の独立をめぐってハーバード大支持を表明しました。

 もっとも、財政的に弱い大学は違います。コロンビア大やミシガン大は政権の一部要求を受け入れたり、他にも全米60もの大学が反DEI要求の対象になっていて、アカデミアの動揺は広がっています。

 実はハーバードの基金にしても80%ほどは寄付者による使途制限があり、凍結が続けば特に連邦助成金の依存率の高い医療や科学技術の研究に影響が出てきます。それはひいてはアメリカという国家の衰退に直結して政府の失政にもなると思うのですが、現政権は大学は「左翼エリート」の「WOKE(意識高い系)思想」に染まったアメリカの分断の元凶だと宣伝していて、それが支持層のMAGAの人たちの結束を強めるものだから後戻りできない。だからさらに行政権限を駆使して圧力を強め、留学生の受け入れ資格や税制優遇の取り消しさえ示唆しているのです。

 それにしてもなぜこんなことになったのでしょう?

 多様性、公正性、包摂性は実は1960年代のケネディ時代以降、公民権運動や多文化主義の進歩主義的価値観としてアメリカ社会に根付きました。黒人のシドニー・ポワチエがハリウッド映画で主演した『招かれざる客』は1967年ですし、西部劇が騎兵隊視点から先住アメリカ人視点に変わった『ソルジャー・ブルー』や『小さな巨人』もこの頃の映画です。

 それから半世紀以上が経過し、「行き過ぎた政治的正しさ」が人種やジェンダーなどマイノリティ集団のアイデンティティを尊重するあまり、「古き良きアメリカ」の伝統的価値だった個人主義や自由競争原理が蔑ろにされていると保守派に訴えている。

 今回の反DEI施策の数々は、トランプ第一期の見果てぬ夢を用意周到に本格再起動させたものです。

 布石は第一次政権で始めた大学入試のアファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)への攻撃でした。連邦最高裁は2023年6月、トランプの送り込んだ保守派判事の数的優越どおり6対3で、入試でのアファーマティブ・アクションは憲法の平等保護条項と公民権法に違反するとの判断を下しました。これまで黒人など社会的弱者を保護してきた法が、今度は「逆差別」として白人や男性を保護する根拠として解釈可能になったのです。

 民主政治とは、自分の自由と他人の自由を等価とし、その兼ね合いで運営される政治制度です。多様性と公正性と包摂性はそこから生まれたスローガンでした。それを否定する大統領令の適格性をめぐって、そろそろ司法が動き出すころです。第二次トランプ政権の法的な足場がガタつき始めるかどうか。あと2か月ほどでアメリカの運命の分岐点が見えてくると思います。

(武藤芳治、ジャーナリスト)