連邦政府の停止命令
ニューヨーク市が今年1月5日より導入した渋滞税について、連邦政府が4月20日までに廃止するよう求めていたが、ニューヨーク州のホウクル知事の広報担当者は期限に関する声明の中で、「このプログラムは効果を上げている。交通量は減少し、ビジネスは拡大し、カメラは作動し続けている」と述べ、従わない意向を表明、渋滞税徴収は20日以降も継続している。
ニューヨーク都市圏の公共輸送を運営するメトロポリタン交通局(MTA)は、渋滞税は渋滞緩和、大気の改善、公共交通機関への資金提供を目的したものであり、トランプ政権の廃止命令は不当として提訴している。ホウクル知事およびMTAは、裁判所が別段の指示を出さない限り、カメラと料金徴収はそのまま維持されると述べている。
渋滞税はマンハッタンの60丁目以南に入る車両に、例えば乗用車で平日は午前5時から午後9時まで、週末は午前9時から午後9時まで、ピーク料金として9ドルを課すもの。
トランプ大統領は渋滞税を廃止すると大統領就任前から述べていた。ショーン・ダフィー米運輸長官は2月19日、渋滞税は市民や通勤者、企業の重荷になっているなどと指摘し、認可を取り消すと表明。ホワイトハウスは「渋滞税は終わった。マンハッタンとニューヨーク全体が救われた。国王万歳」というメッセージとともに、王冠をかぶったトランプ大統領のイラストをSNSに投稿した。
ダフィー長官はマンハッタンに入る高速道路は連邦政府の管轄でもあり、3月21日までに廃止するよう求めたがニューヨーク州は法的手段を取るとして応じず、長官は期限を30日間延期した。しかし今回もNY州は応じなかった。
渋滞税をめぐってはほかにも複数の訴訟が起されている。ニューヨーク州連邦地裁のルイス・リマン判事は4月17日、4件の訴訟における渋滞税反対の主張20件のうち、連邦環境法違反を主張するものなど5件を除き棄却、導入賛成に有利な情勢となっている。なお、ニュージャージー州が渋滞料金廃止を求めた訴訟では、同州の連邦判事がNJ州側に不利な判決を下し、渋滞税導入が認められている。