【今週の紙面の主なニュース】(2025年10月11日号)

(1)女性初首相へ期待感 高市自民総裁に米主要紙の論調

(2)自由の女神島上陸は可能 政府機関閉鎖でも

(3)第13回カジキズショー カーネギーホール満席

(4)矢野顕子歌う ソニーホールで熱唱

(5)高市総裁は現実路線にシフトして本格政権目指せ

(6)オルガニスト敦賀明子さん逝く 米ジャズ界で独自の地位

(7)三味線奏者の史佳さん死去 カーネギーに2度立つ

(8)SAKE DAYS!  ブルックリン相次いで開催

(9)日本からJAAで開設 老後、整理術、万葉集 (カラー写真あり)

(10)芸術と健康の融合を目指すギャラリー HACO オーナー 末次庸子さん

女性初首相へ期待感 高市自民総裁に米主要紙の論調

 自民党は10月4日、保守強硬派の高市早苗氏(64)=写真=を新総裁に選出し、米主要メディアは一斉に「史上初の女性首相誕生が確実に」と速報する一方、その政策色と国際的影響を強調する論調が目立った(以下各紙はロイターを除き4日付け電子版)。

 CNNは速報性を重視し、高市氏の当選を「女性初の指導者誕生」として大きく扱うと同時に、対中国姿勢の強硬化や移民政策の厳格化といった国内外での波紋に触れた。

 ニューヨーク・タイムズは「マーガレット・サッチャーに影響を受けたと語る保守派議員」として紹介した。日本初の女性首相となる予定だが、「男女平等の推進に十分な努力をしていないと一部から批判されている」と指摘した。高市氏の台頭は、「自民党は過去1年間の選挙での敗北を経て変革を求められており、また、拡大している右翼勢力に対抗しようとする試み」でもあると分析。中国の軍事的・経済的影響力拡大への取り組みを強く批判し、日本に対し防衛力強化を強く求めてきたとした。ただし、毎年行っていた靖国神社参拝については、総裁選勝利後の会見で「今後適切に判断していきたい」と慎重姿勢になったことを報じた。経済政策では低金利と広範な政府支出を組み合わせた政策「アベノミクス」への回帰を強く支持してきたことを紹介した。

 ワシントン・ポストは、高市氏が「男性優位で家父長制が根強い日本で初の女性リーダーとなり、公職における最も高いガラスの天井を打ち破った」と報じた。高市氏を「保守強硬派」「ナショナリスト」とした上で、「高市氏は日本の政治を右傾化させるだろう」と予測。「『ジャパン・ファースト』の外交政策を強調しており、米国との関税交渉について合意に不平等な面もあると批判している」と指摘した。

 ウォール・ストリート・ジャーナルは「貿易・安全保障をめぐる米国との摩擦の中、日本初の女性首相誕生へ」との見出しで、経済・金融面に注目し、高市氏の積極的な財政拡大志向や日銀の金融政策との軋轢の可能性を指摘。米国の投資家が政策の不確実性をどう評価するかが焦点になると伝えた。 

 ロイターは5日付けで「サッチャーに触発され、日本の次期首相の高市氏がガラスの天井を打ち破る」と報じた。彼女の新内閣人事や幹部起用の動きを速報し、党内結束と対外姿勢の整理を次期課題に挙げつつ「女性初の首相」という歴史的意義と実務上のハードルを両面から伝えた。市場は即座に反応し、円安・株高という“タカイチ相場”の動きも報じた。

 総じて、米主要紙は「歴史的な一歩」を評価しつつ、高市氏の経済・安全保障政策が日米関係や地域の安定に与える影響、そして国内での実行力に懸念を示す報道が目立った。トランプ大統領は6日、自民党総裁に選出された高市早苗氏について、自身のSNS、トゥルース・ソーシャルに「日本は初の女性首相(原文のまま)を選出した。彼女は非常に尊敬される人物であり、深い知恵と強さを兼ね備えている。これは素晴らしい日本の国民にとって、大変喜ばしい知らせである。皆さん、おめでとうございます!」と投稿した。 

自由の女神島上陸は可能 政府機関閉鎖でも

 連邦政府の閉鎖により、全米の国立公園などで閉鎖が相次いでいるが、ニューヨークの自由の女神と移民記念博物館のエリス島は、ニューヨーク州政府が費用を負担する形で二つの島への上陸フェリーが現在も運行されている。

 フェリー乗船料金は25ドル50セント。普段は長蛇の列ができるチケット売り場も閑散としている。フェリーは20分毎にバッテリーパークから出発しており、最終乗船時刻は午後4時。

(写真)胴体や頭部王冠の展望台の中には入れない(3日午後3時、撮影・三浦良一)

連邦政府の閉鎖観光施設に影響

職員の3分の2が一時帰休

 連邦政府の閉鎖が続いている。全米の国立公園や観光施設で影響が広がっている。原則として公園は開園を継続するが、職員の約3分の2が一時帰休となり、ビジターセンターやトイレ清掃、入園料徴収などの業務が停止または縮小されている。安全管理や山火事監視などの最低限の機能は維持されるものの、地域によって対応が異なり、旅行者は不確実な状況に直面している。

 ワシントンDCでは、議会図書館や国立公文書館、ワシントン記念塔、国立樹木園などが閉鎖され、国会議事堂やペンタゴンの見学ツアーも中止。スミソニアン協会の博物館や国立動物園は10月11日まで開館予定だが、その後は閉鎖の可能性もある。屋外のナショナル・モールは原則として一般公開が続く。

 各地の国立公園でも対応は分かれている。アリゾナ州のグランドキャニオン国立公園は入園可能だが、建物は閉鎖され入園料も徴収されない。ユタ州の5つの国立公園(ザイオン、アーチーズなど)は開園を継続し、コロラド州は入園料収入を活用して暫定的に運営を維持している。

 カリフォルニア州では多くの公園が観光客を受け入れる一方、ジョシュアツリーやミュアウッズの一部施設は閉鎖。アルカトラズ島は一時閉鎖後に再開した。

 一方、ニューメキシコ州のカールズバッド洞窟群国立公園やホワイトサンズ国立公園は全面閉鎖。メイン州のアカディア国立公園やテネシー州のグレートスモーキーマウンテンズ国立公園は地元政府の支援で開園を続けている。

 米国立公園局も閉鎖が決定したが、同局が管理及び運営する自由の女神とエリス島は、ニューヨーク州が費用を拠出し、閉鎖期間中も引き続き開園されることになった。

第13回カジキズショー カーネギーホール満席

 第13回「カジキズショー」が10月2日夜、カーネギーホール・ワイルリサイタルホールで開催された。毎年日本からの新しい才能がニューヨークの晴れ舞台で披露されるとあって、当日はほぼ満席の盛況となった。日本古来の着物を切ることなく美しいドレスに変化させて会場を魅了した着物ショーがステージの華やかさを盛り上げ、迫力ある和太鼓のTAKERU、お馴染みのヒーリング歌手のココリ、魂の書家、西山嘉克のダイナミックな書のパフォーマンス、歌手・青山ひかるの歌声が響き、ベティ・アロンジェ・ベラのバレエが会場を沸かせた。そして大喝采を受けたのが司会を務めたミュージカル俳優の西岡舞とゲスト出演した元「オペラ座の怪人」の怪人役を務めた歌手で作曲家のパトリック・マイケル・ウイッカムが「オペラ座の怪人」のメドレーを披露し、カーネギーホールを魅了した。同ショーは来年から年2回の開催となり、次回は2月に予定している。

 今公演の出演者は次の通り。梶木敏巳・西岡舞(MC&シンガー)、響(ヒーリング音楽&太極拳)大嶧圭己・光恵・小鮒婦貴子・vivi 水の声・やまはる(フルート奏者)・やまだひろこ(太極拳)、岩田みゆき(シンガー)、Waka Bloom (着物百人一首舞)桐山佐緒里・勘孫奈・浅田裕子・入本明日香・髙草木美江・佐々木径子・日髙正恵・菊池美郁・大木志乃・森川里美・菅原裕美・犬飼えみこ・浦田美波、ANGEL WINGS Produced by Cokori(コーラス)ここり・田中寿美子・古田暁子・石川容子・藤本英子、丸田元光&TAKERU(禅宗御詠歌・和太鼓)、碧 crew (ダンス)辛川碧・髙田珠菜・太田羽美・鬼木衣祢・中村歩夢・谷口麻里衣・麻生叶愛・今村咲奈・山口ひより・足立徠菜、Lumiere doree (ピアノ&着物)白石美麗・清水由紀子、唐津エンヤー体操(ダンス)九鬼泰子・九鬼静子・重香織・内山明子・大庭三佳・中村由紀、Petit Allonge Bella NY(バレエ)。

高市総裁は現実路線にシフトして本格政権目指せ

 高市早苗氏が自民党総裁に決まった。当選の経緯については、自陣営の活動が熱心で、慢心のあった小泉陣営を圧倒したとか、麻生氏の支持が大きかったなどという解説がされている。こうした見方は、あくまで噂として見ておくのがいいと思うが、一つだけ指摘できるのはやがて組閣されるであろう高市政権は、ウルトラ保守にはならないということだ。

 一つには、高市氏が師と仰ぐ故安倍晋三氏の政治手法がある。安倍氏は、国会の論戦や街頭演説では、強い調子でリベラル派を批判して、保守票の喝采を引き出していた。この手法で何度も国政選挙に勝利して長期政権を実現していたのである。だが、実際の政治に当たっては保守票を味方にしていることもあって、かなり自在に中道政策を実現していった。

 例えば、上皇さまが譲位の意向を漏らされた際には、頑固な保守派からは天皇は終身制であり、だから現職の天皇として崩御することが「神上がり」になるのだとして、お元気なうちの譲位に反対する声があった。また、日韓合意については、保守派の嫌う国費からの支出をして、個々人の慰安婦に補償をする内容が入っていた。オバマ氏との相互献花外交も、現職総理が真珠湾で献花することには保守派は複雑な思いを抱いていたはずだ。だが、こうした政策を、安倍氏は淡々と進めていった。

 高市氏も、この安倍マジックを踏襲するであろうし、その気配は既に出ている。当選を受けて「自分は馬車馬のように働き、ワークライフバランスは無視する」と述べた一方で、記者たちには「皆さんのワークライフバランスは尊重する」として、硬軟のレトリックを使い分けているあたりに、安倍流のマジックを再現しそうな気配を感じる。

 二つ目には、極端な保守政党の存在がある。欧米で流行している陰謀論など新世代の右派ポピュリズムを参考にした政党や、極端なまでに小さな政府を志向する政党が日本でも存在感を持ってきている。そんな中で、自民党には「彼らに保守票を取られている」という危機感は大きい。だからこそ、今回「高市早苗」という旗印を選んだわけで、そこには「保守票を奪還する」ためという意味合いはある。

 けれども、実際の高市氏はベテランの自由民主党議員であり、歴代内閣に閣僚として関与してきた人物である。従って、陰謀論や極端なイデオロギーではなく、実現可能な狭い範囲の中で政策を選択してゆくこととなろう。その際に、この人は独特の政治勘というか、世論への嗅覚から言動には細心の注意を払うのではないかと思われる。

 その上で、やや希望的観測にはなるが「新興保守政党より穏健でつまらない」と言われるのではなく、「保守だが、現実的で信頼に足る」というイメージを演出することはできるかもしれない。それは別に特殊なことではない。保守世論にしても、現状不満の「はけ口」として、今回参院選では新興保守政党に投票したとしても、あくまで「自民党にお灸をすえる」という心理での投票であった可能性は高い。であるならば、中身のよく見えない新興勢力ではなく、「高市自民党」には安心感を抱く可能性はある。

 三点目は、これは懸念材料としてであるが、例えば小泉進次郎陣営と比較した際に、必要な改革を実施できるのか、悪く言えば地方の保守勢力に引きずられて、必要な政策が実施できない可能性があるのは否めない。特に米価の問題については、消費者の強い危機感に呼応して米価抑制に動いた小泉氏への地方票の嫌悪感はかなり強く、今回の総裁選の結果にも影響したと見られている。そこに、20数年前の小泉純一郎政権が徹底して特定郵便局という地方利権を潰しにかかったことへの記憶が重なった可能性はある。

 けれども、高齢兼業農家の廃業が加速する中で、農業改革は待ったなしの状況だ。農業だけではない。デジタル化も、教育改革も、雇用改革も実は今ここで本腰を入れないと、経済も社会も維持できない瀬戸際でもある。そして、高市氏とその周囲はそのことは理解しているであろう。もしかしたら、冒頭指摘したように保守派を味方にすることで、かえって中道政策を進む可能性があるように、同じく守旧派の票をまとめたことで、かえって構造改革を前進させることが可能かもしれないのだ。

 総裁選までは高みの見物を決め込んでいた国民民主党などが高市氏との連携に動いているのには、このような「本格政権」が出来上がる可能性を計算してのことと思われる。首班指名までにはまだ一週間を残しており、政界ゆえに一寸先は闇という要素はあるが、現時点では安定多数を確保した新連立による現実主義の政権が発足することで、日本の政治が安定化することを期待したい。

(れいぜい・あきひこ/作家・プリンストン在住)

矢野顕子歌う ソニーホールで熱唱

 タイムズ・スクエアのソニー・ホールで5日、矢野顕子トリオのライブが行われた。ベース、シンセサイザー、ボーカルはウィル・リー、そして、ドラムはクリス・パーカー。矢野と2人とは10年以上にわたり活動を共にしている仲間。演目は、「ごはんができたよ」「David」「ひとつだけ」ほか、故坂本龍一氏を忍んでYMOの「RYDEEN」も演奏。また、矢野は宇宙に興味があると話し、宇宙飛行士の野口聡一さんとその家族からインスパイアされて作った楽曲「Three Rockets」も披露、約2時間で13曲を演奏した。

 公演後、矢野は「たくさんの方に来ていただき、皆さんがエンジョイしてくれて、こちらも楽しかった」と話した。矢野のコンサートに毎回訪れているというニュージャージー州在住のマイケル・カニストさんは「彼女の声が好き、今年1回しかないコンサートに来れてよかった。大満足だ」と笑顔。

 例年Joe’s Pubで公演を行っていたが、同ホールでの公演は今回が初めて。来場者が増えたのでキャパシティの大きいソニー・ホールでの公演となり、ホールは満席だった。日本での公演を終え、ニューヨークでは今年はこの日1日だけの公演だった。

  (石黒かおる・写真も)

オルガニスト敦賀さん逝く 米ジャズ界で独自の地位 

日本人女性JAZZ演奏家

 ハモンドB3オルガンで多様な音響テクスチャーを創り出すことで知られるジャズの名手、敦賀明子さんが9月13日、ブルックリンの病院で死去した。58歳だった。敦賀さんの公式インスタグラムにより明らかになった。それによると敦賀さんは半年にわたり闘病していたが、13日午前3時57分に永眠した。近親者の間で葬儀を済ませた。9月24日付NYタイムズ紙は、敦賀さんの死去について次のように報じた。

 幅広い音色で知られ、サックスの巨匠ルー・ドナルドソンとの共演で名を馳せ、ソロ活動でも精力的に活躍した。夫でジャズトランペッターのジョー・マグナレリ氏によると、短期間の闘病の末、病院で息を引き取ったという。四半世紀にわたり、雄大なB3オルガン(61鍵盤×2段のキーボード、ベースペダル、音色変化用のドローバーを備える)を用いて広域な音色パレットを創出し、男性中心のアメリカン・ジャズ界で独自の地位を築いた。 

 敦賀さんは1967年9月1日、大阪で生まれた。彼女は幼い頃から、ジャズファンだった祖母からの音楽教育を受け、3歳で地元のヤマハ音楽教室で学び始めた。初めてオルガンを手にした彼女は、すぐに夢中になったという。昨年ホットハウス誌のインタビューで「ペダルに足が届かなかったので、左手で低音を、右手で和音とメロディーを弾いていた」と語っていた。

 ニューヨークで一緒に演奏をしたジャズピアニストの大江千里さんは、「つるりんは分け隔てなくジャズの現場に僕を入れてくれて、いろんな音楽家を紹介してくれたし、一緒にたくさん曲を演奏しました。連弾をしたこともあります。同じ関西出身なので会話はいつもボケとツッコミで楽しい思い出ばかりです。一緒に行ったフォートリーの韓国料理、この秋には1人で行ってみます。彼女の「さくら」というアルバムが好きで、ジャケットで着用する着物を一緒にルーズベルトアイランドへ探しに行った思い出もあります。あのアルバムは僕にとっても印象深いです。僕にできることは、まさに彼女の素晴らしいソロの後と同じように、手のひらが腫れるくらい大きな拍手で送りたいです。つるりん! また会おう!」と話した。

三味線奏者の史佳さん死去 カーネギーに2度立つ

 新潟市を拠点に活躍した三味線奏者の「史佳Fumiyoshi(ふみよし)」さんが、病気のため9月26日亡くなった。51歳だった。史佳さんは、9歳から母・高橋竹育(ちくいく)さんから津軽三味線を習い始め2000年からプロとして活動。2019年と2021年の2度にわたりニューヨークのカーネギーホールで公演し、21年には世界的ジャズベーシストのロン・カーターさんと共演を果たしている。

 遺族のSNSによると、2年前、難病の「免疫介在性壊死性ミオパチー」(めんえきかいざいせい・えしせいミオパチー)と診断され、ことし2月に活動休止を発表していた。通夜、葬儀は近親者でいとなまれ、後日お別れの会が開かれる。

 遺族は「ここに生前賜りましたご厚誼とご支援に、心より深く感謝申し上、ますとともに、謹んでご報告申し上げます」と述べ、ファンの皆様へとして「生前、三味線プレイヤー史佳Fumiyoshi は多くの皆様に支えられ、皆様からの温かい応援を大きな励みとして歩んでまいりました。 そのご厚情に深く感謝申し上げます。 突然のご報告となりましたことを心よりお詫び申し上げますとともに、故人が生前にいただきましたご声援に、改めて厚く御礼申し上げます」としている。

 初代高橋竹山流の魂を引き継いだ三味線プレイヤーの史佳は、2019年の初カーネギーでは、世界初演の「タイトロープ」を披露。ピンと張り詰めた三味線系が聴衆の琴線に触れた。また、21年10月の公演では、ジャズベースの神様と言われるロン・カーターが共演した。公演タイトル「ブレークスルー」は、コロナ禍で演奏家としての存続の危機に直面した時に困難を打破する、常識を突き破るという意味でつけたもので、当時「新しい未来を作り出して前に進むためには、ここから再び歩き始めることが必要だった。ニューヨークから音楽でいいニュースを届けたい」という願いを込めた演奏で観客を魅了した。

 史佳のニューヨーク公演をプロデュースした当時のニューヨーク新潟県人会会長の大坪賢次さんは「2年程前、筋肉の難病にかかったと我が家に報告に来た時、私も長い間重症筋無力症に悩まされているが、病気は気持ちの持ち方次第だと元気付けましたが、しかし力尽きた様です。芸術家なら誰でも憧れるニューヨークのカーネギー・ホールで、これまで二回総合プロデューサーとして、史佳君のコンサートを手伝いました。史佳君にはもう一度、カーネギーの舞台に立って欲しかったです。昨年10月開催したニューヨーク新潟県人会創立35周年記念式典では、元気な姿で演奏してくれました」と話す。

SAKE DAYS!  ブルックリン相次いで開催

挨拶する森大使(3日)

 10月1日の「日本酒の日」にちなんで、ニューヨークでもSAKEイベントが各地で開かれた。3日にはブルックリンのウィリアムズ・バーグのザ・W ロフト で「ワールド・サケ・デー NYC2025」が行われ約300人の来場者があった。同イベントは今年で5年目を迎えた。日本とニューヨークの約30銘柄が、ずらりとならんだほか、地元レストランの料理や、地元アーティストの作品も展示販売された。森美樹夫大使も駆け付け「ここにいる皆さんが酒アンバサダーです」とエールを送った=写真=。主催者の古矢美花さんは「5年前から築いてきた、人とのつながりを大切にして開催できた。来年も継続して行く」と意欲を語った。来場者の一人マリーナ・フリッドさんは「いろいろな酒が並び、どの酒が自分の好みに合うか発見できた」と話した。入場料は日本酒グラスとオリジナルのトートバックが付いて一人65ドルだった。

加藤SAKEワークスの新商品「NY地酒」(4日)

(写真上)「ワールド・SAKE・デー2025」に参加した出店者のみなさん(3日、Photo:Ayoub Yechou)

 4日には、ブッシュウィックのKato Sake Worksで新商品のお披露目があった。ニューヨーク州アップステイトのパイン・ブッシュの農場「グレート・ジョイ・ファミリー・ファーム」で栽培された食用米の「あきた小町」で醸造したSAKEで銘柄は「NY地酒」。10月1日から販売している。オーナーで杜氏の加藤忍さんは「以前から、地元の米を使ってローカルなSAKEを造りたいと考えていた」と話した。価格はボトル42ドル。

ブルックリン・クラ(5日)

 そして、5日はブルックリンのインダストリー・シティのブルックリン・クラでも「サケ・デー」のイベントが開かれた。ブルックリン・クラの代表のブライアン・ポーレンさんは「サケ・デーのイベントは今後も毎年開催したい」。参加費は一人50ドルだった。

        (石黒かおる・写真も)

日本からJAAで解説 老後、整理術、万葉集

 ニューヨーク日系人会(JAA)が主催する第19回秋のヘルスフェアで、NY日系ライオンズクラブが企画する「ライオンズ大学大人の教養講座シリーズ」第10弾が10月4日、NY日系人会館で開催された。講師はファーストブランド(本社大阪市、河本扶美子社長)が運営するマイベストプロ登録メンバーの人気講師陣で、各1時間半にわたり、在米生活に役立つセミナーをじっくりと解説した。

 第1時限は、一般社団法人日本リレーションサポート協会代表理事の山口里美さんによるニューヨークで考える日本の老後・相続対策「安心の未来への第一歩」。相続対策のタイミングは、必要な時はすでに遅いことが多い。親が突然亡くなった時に、銀行口座、パソコンのパスワード、有価証券の処理など、元気なうちに項目別にまとめてノートに記載しておくことが大切だ。山口さんが現在の仕事をするきっかけとなったのも、父親の死亡時に相続関係の問題で苦労したことがきっかけだった。特に米国から帰国する邦人の場合、日本に自宅があれば問題ないが、高齢者になってからのおひとり様の帰国の場合は、様々なことで身元保証人が必要になり、親族がいない場合は、公的、民間のサポートがあるが、有料になるため事前の準備をしっかりする必要があることを具体的に解説した。

 昼食時に軽食と飲み物を挟んで、第2時限は、整理収納アドバイザー・時短家事コーディネーターの井上ひろみさんが、モノと心の整理術「第二の人生を軽やかに自分らしく楽しむ」と題し、室内を整理整頓してスッキリまとめるための秘訣を紹介した。「捨てる」のではなく、自分にとって大切なもの、日常生活に必要なものを「あなたのとっての一軍」にして、自分の手の届く場所に配置していくようにしておくこと、「お得は大損の入り口」「もったいないの心で保存しているものも実はいまは必要ではなくなった不要なモノが意外と多い」などと指摘し、自分にとって癒される空間づくりが大切だと指摘した。

 第3時限は、作曲家の橋詰智博さんが、「制作者が語る万葉集の魅力と歌曲解説」と題し、会場の参加者と一緒に歌いながら「大和歌曲、万葉集」を解説した。橋詰さんは、ふくだむらさき音楽事務所所属。当日は日本最古の「万葉集」の歌に出てくる古事来歴、天皇家の家系図を紐解きながら万葉の歌に込められた人間らしい男女の心の機微や感情の歌に託した交流を解説して会場の参加者と古典文学と音楽の融合を楽しんだ。本講演の詳細は、後日、本紙上で各講師が当日の内容を踏まえてシリーズ連載で解説する。

(写真)左から登壇した山口氏、井上氏、河本氏(主催者)、橋詰氏

芸術と健康の融合を目指すギャラリー HACO オーナー 末次庸子さん

 ニューヨークのブルックリンでアートギャラリー兼セレクトショップHACOを経営するアーティストの末次庸子さんは、1998年に、芸術家を目指して来米し、ニューヨークのラガーディア・コミュニティー・カレッジ(CUNY)に編入した。当時、学費が格安だったCUNYは移民の集積地の様相を呈しており、学生の大半が英語を話せなかったという。しかも、育児を終えてから復学する道を選んだ親子ほども年齢の離れたクラスメイトたちがクラスの半数以上を占めていた。学生のF1ビザでの就労には制限があったが、同級生の誰もが放課後になると食べていくために仕事に向かい、そのために友達ができず、英語を話す相手も見つからずに途方に暮れる毎日だった。

 しかし、振り返れば「この学生時代の3年間にニューヨークから受けた洗礼は、何物にも代え難い貴重な人生の経験になりました」と明るい店内のギャラリースペースで笑顔で語る。

 大学では主に白黒写真を学んだ。卒業後に進学したアートスクールでは、鉄の彫刻に出会い、思いがけずに彫刻家としての道を歩み始めることになる。ニューヨークの移民として、あらゆるアルバイトをして作品制作と発表を続けながらサウス・ブロンクスの避難民高校生のためのアートプロジェクトに教師として加わり、収集したゴミのリサイクルによるコミュニティーガーデンの作品を指揮してCUNYで写実的ドローイングの講師を務めるなど幅広い経験を積んだ。その努力が報われ2010年にヨーロッパ研修の奨学金を受けてパリやベルリンに滞在し、これを機にニューヨークを活動拠点とすることを決意した。

 ニューヨークでは、アーティストとして活動しながら、美術館、ギャラリー、アートフェアなどに展示設営を行うアートテクニシャンとして働く。その傍らで、製紙用機械の工場で溶接工のバイトをしながら彫刻作品の制作を続けた。

 しかし、2017年10月、アートテクニシャンとして関わった美術館やギャラリーの商業主義的なあり方にアーティストとして疑問を持ち、誰もが気軽に芸術と触れ合う場を目指してHACO(Human Art Core Odysesey )ギャラリーを日本在住の兄とともにブルックリンに設立、2024年にリニューアルオープンした。

 同ギャラリーでは、美しいものに触れるための心の豊かさと健康をテーマに芸術家や音楽家による展示パフォーマンスイベントを企画している。今年春には日本で活動するアーティスト、坂口恭平&家族展を企画開催して好評を得た。

 現在は、オーガニック食品や無農薬の有機栽培茶、自然発酵のプロバイオティクス飲料、味噌や出汁の販売も行うセレクトショップとしての機能に重点を置いている。陶芸や版画、コラージュなどアートワークショップや健康に関するクラスも開催。

 「健康な体と美しいものに触れる健やかな心があれば、幸せは無限に広がる」をコンセプトにこの多文化環境のNYで芸術と健康の融合を実現するのが夢だ。福島県出身。

 (三浦良一記者、写真も)

10月4日号 編集後記  2025

 編集後記

  みなさん、こんにちは。1975年にニューヨークにおける寿司専門店の第1号としてマンハッタン48丁目のマジソン街と五番街の間に開店した竹寿司。その後、グランドセントラル駅に近いパークアベニューに移転して、81年から96年まで高度経済成長の波に乗って海外進出した日本企業の活況とバブル経済でニューヨークに一大寿司ブームが巻き起こり、その看板店として一世を風靡しました。その栄華は、共同経営した松本紘宇さん(故人)の著書『ニューヨーク竹寿司物語』(朝日新聞社・刊)に詳しい。21年の歴史に1度はピリオドを打ったが、オーナーのロビン川田さん(78)が同店復活を決意してクイーンズのサニーサイド(クイーンズ大通り4131番地、電話347-601-4141)で看板を掲げ、最後は喫茶店のコーナーを借りてまで寿司を握り続けました。川田さん、長い間ご苦労様でした。今後は寿司職人を引退して大手食品会社のコンサルタントとしてもう少し経験を活かしてお仕事をされるそうです。昨日、お寿司一人前を握っていただきました。ウニが入って44ドルでした。今時良心的なお値段だと思います。今月5日(日)が最後の営業となります。今週号5面で紹介しています。それでは、みなさんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)