編集後記

編集後記

 みなさん、こんにちは。日本の力士たちによる「相撲」と「日本の食文化である寿司」を紹介するイベント「SUMO+SUSHI(相撲+寿司)」イベントがニューヨーク市ブルックリンのネイビーヤードにあるダガル・グリーンハウスで13日から15日まで開催されました。日本の国技である相撲と寿司とをセットににした文化紹介型イベントで、ホストは日本相撲界のレジェンド、小錦八十吉さん(62)。イベントは1,100人余り満席を動員する大盛況となりました。

冒頭は、小錦さんの相撲英語解説により、会場中央の特設土俵で力士たちが、押し出し、上手投げ、寄り切りなど84種類ある相撲技の代表的な必勝技や、禁じ手を実演披露したほか、相撲部屋でのまた割など日常の稽古方法が紹介され、相撲文化の歴史を丁寧に紹介しました。出演した力士6人は全員、プロ相撲経験を持ち、日本から来日しました。


小錦さんの初土俵は1982年7月場所。最高位は東大関。優勝は幕内最高優勝3回、十両優勝2回、序二段優勝1回、序の口優勝1回。殊勲賞4回、敢闘賞5回、技能賞1回。97年11月に引退。ハワイからやって来た若者が、200キロを超える巨体から放つ圧倒的なパワーで番付を駆け上がり、横綱・大関も吹っ飛ばす大活躍をした名力士です。


小錦さんは「私は日本と相撲のおかげで今の人生を送ることができて感謝している。だからこそ、相撲が世界中で正しく理解されるようにすることに情熱を注いでいる。これが私の使命であり、残りの人生を日本に、大相撲を代表することに捧げたい。エンターテインメント王国の米国で相撲は、番付で言えばまだまだ序の口。教育を交えたエンターテインメントは他にはないので今やっていることを少しずつ前に進めていきたい」と語ってくれました。


「自分にできることをコツコツとやっていくだけ」という彼のひたむきなキャラクターは変わらず、きっとこれからも変わらないでしょう。SOMOがアメリカのエンターテインメントの世界で小錦さんが言う「序の口」からどこまで番付を上げていけるのか、アメリカで見守っていきたいと思いました。今週号3面に記事と写真で紹介しています。それでは、みなさんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2026年2月21日号)

(1)撤去の旗復活 LGBTQの象徴 ストーンウオールに

(2)メトロポリタン美術館で日本の陶磁器展

(3)相撲と寿司で日本文化紹介  小錦さんの挑戦

(4)週刊やさしいにほんご生活

(5)トランプ政権の行動原理 視座点描

(6)KAZUMA NYライブで熱唱! 共演者も大ノリ

(7)Jプレス 伝説の写真集のスタイル再現

(8)自分らしい音楽を奏でたい フルート奏者 佐伯麻由さん

(9)ONE STOIRY AWARD JAPAN  NYからカイルさん特別大使で訪日

(10)新潟の大嶋屋がMIYOKO ブランド NYファッションウイークで発表

鉄橋の旗復活 LGBTQの象徴 ストーンウオールに

 ドナルド・トランプ大統領令でストーンウォール国立記念碑の大判のプライド・フラッグ(レインボーフラッグ)が撤去された数日後の5日、マンハッタン区のブラッド・ホイルマン-シーガル区長をはじめとする複数の政治家の手で新たなプライド・フラッグがポールに上げられた。

(写真上)トランプ大統領令で撤去されたプライドフラッグが一斉に復活した公園(14日、ストーン・ウォールで 写真・三浦良一)

 米内務省は1月、米国立公園局(NPS)が管理する施設のポールには例外を除き、星条旗及び連邦議会が承認した旗のみ掲げることを認めると指示した。同記念碑は2016年に国定文化遺産保護地に指定された後、プライド・フラッグは当時のジョー・バイデン大統領が常設を認めた。ジュリー・メニンNY市議会議長が5日の記者会見で、事前の告知や警告なく「真夜中に旗が撤去された」と伝えると、同市議会LGBTQ+幹部会のチ・オッセ共同議長をはじめ地元の指導者たちが行動に出た。NY市議会は連邦政府の撤去を強く批判し、国立公園、特にストーンウォール記念碑とLGBTQ+の人権の存在と「真の歴史、需要性を尊重するよう」内務省に要求した。

 ソーシャルメディアで旗の掲揚を知った大勢の支援者や活動家たちが見守るなか、ホイルマン-シーガル区長に賛同したダン・ゴールドマン下院議員(民主党)とジェリー・ナドラー下院議員(民主党)も掲揚に参加した。

メトロポリタン美術館で日本の陶磁器展

1万3000年以上の歴史
約350点の作品を展示

 メトロポリタン美術館は、1万3000年以上にわたる日本の陶芸史における約350点を展示した「日本陶磁器 — 無限の芸術性(The Infinite Artistry of Japanese Ceramics)」 を、同美術館の所蔵品を中心に5回の展示替えを経ながら8月8日まで開催している。

(写真上)5〜6世紀の埴輪(左)とイサム・ノグチの「マスク」(1952年)

 会場に入ってまず目を引くのが15世紀の信楽焼き「大壷」=写真上=。キュレーターのモニカ・ビンチク氏(ダイアン&アーサー・アビー日本工芸担当学芸員)=写真左=は、この「大壷」は中国や韓国の焼き物とは違う、わびさびの美しさを代表した作品だと説明する。その横には5〜6世紀の埴輪と並んだイサム・ノグチが1952年に制作した作品「マスク」が違和感なく並んでいる。珍しいものに、緻密な修復技術がうかがえる信楽焼茶壺がある。17世紀の作品だが壊れたりヒビが入った場所を漆や金銀で丁寧に修復されている。これは練り合わせた信楽の土を焼き上げ、深みのある赤褐色に仕上げる高度な職人技とされる。焼成によって生じた「石割れ」は、滑らかな表面に斑点状に現れ、口部と胴部は金継ぎ技巧で補修され、金色の「風景」を描き出しているとされる。

 「着物型掛け布団(ヨギ) 獅子と牡丹」は17世紀後半の着物の形をした厚手の綿入りの寝具。この掛け布団は、高級な衣に用いられる高価な織物である繻子絹で作られ、高位の武家の女性の嫁入り道具として作られたと考えられている。

 ビンチク氏は「日本のわびさびと民芸との繋がりを並べて展示した」と話す。10のテーマで構成された展示会場は陶磁器を中心に日本の食文化から見られる階級、生活、文化などの歴史をたどっていく。日本の焼き物をさまざまな視点から楽しむことを目的とした展示品の多くは同館の重要収蔵で、50周年を迎えるハリー・G・C・パッカード・コレクションから選ばれたもの。(ワインスタイン今井絹江、写真も)

15世紀の信楽焼き「大壷」

相撲と寿司で日本文化紹介 小錦さんの挑戦

ニューヨーク公演 満員御礼

 日本の力士たちによる「相撲」と「日本の食文化である寿司」を紹介するイベント「SUMO+SUSHI(相撲+寿司)」イベントがニューヨーク市ブルックリンのネイビーヤードにあるダガル・グリーンハウスで13日から15日まで開催された。日本の国技である相撲と寿司とをセットににした文化紹介型イベントで、ホストは日本相撲界のレジェンド、小錦八十吉さん(62)。イベントは1100人余り満席を動員する大盛況となった。NY公演は2024年7月以来2年ぶり4回目。

 冒頭は、小錦さんの相撲英語解説により、会場中央の特設土俵で力士たちが、押し出し、上手投げ、寄り切りなど84種類ある相撲技の代表的な必勝技や、禁じ手を実演披露したほか、相撲部屋でのまた割など日常の稽古方法が紹介され、相撲文化の歴史を丁寧に紹介した。

 また、力士たちが観客の質問に答える質疑応答のコーナーや観客が土俵入りして力士と対戦するバラエティに富んだ日本の地方巡業での市民交流さながらのエンターテインメントとなった。

 会場は観覧席から土俵前の食事テーブル観覧席とVIP席まで4種類が設けられ、チケットとセットになっている寿司弁当=写真=を楽しみながらショーを見るスタイル。

 「相撲+寿司」はエンターテインメントと教育が融合したイベントでショーの終盤には実演試合も行われた。小錦氏による直接の体験談や、相撲競技全般に関する知識の共有にも重点を置いているショーは約90分間、3幕構成で進行し、出演する力士6人は全員、プロ相撲経験を持ち、日本から来日した。

 同イベントは、シアトルを拠点とするイベント制作会社SEプロダクションズが、小錦さんとの提携により実施している。今季はマイアミ、NY公演の後サンディエゴ公演がある。

 小錦さんは開場前に本紙のインタビューに応じ「私は日本と相撲のおかげで今の人生を送ることができて感謝している。だからこそ、相撲が世界中で正しく理解されるようにすることに情熱を注いでいる。これが私の使命であり、残りの人生を日本に、大相撲を代表することに捧げたい。会場は99%がアメリカ人で、とても相撲を大切にしてくれているのを感じている。自分は日本が大好きで、相撲を心から愛している。2019年からこのイベントを続けている。相撲も実社会も勝負の世界だ。どちらも勝たなくてはならないのが当たり前だ。エンターテインメント王国の米国で相撲は、番付で言えばまだまだ序の口。教育を交えたエンターテインメントは他にはないので今やっていることを少しずつ前に進めていきたい」と力強く語った。  (三浦良一記者、写真も)

ファンと記念撮影に応じる小錦さん(中央)


小錦 八十吉(こにしき・やそきち)=アメリカ合衆国ハワイ州ホノルル出身。高砂部屋に所属した元大相撲力士。本名同じ。ハワイからやって来た若者が、200キロを超える巨体から放つ圧倒的なパワーで番付を駆け上がり、横綱・大関も吹っ飛ばす大活躍をした。昭和時代末の土俵に現れ、その衝撃的な登場から「黒船」と恐れられた小錦は、やがて訪れた試練を乗り越えて外国出身力士として初めて大関の座をつかみ、平成時代には、独特のキャラクターで存在感を放つ人気力士として多くのファンに愛され、現在に至る。初土俵は1982年7月場所。1984年7月場所で入幕。最高位は東大関。優勝は幕内最高優勝3回、十両優勝2回、序二段優勝1回、序の口優勝1回。殊勲賞4回、敢闘賞5回、技能賞1回。97年11月に引退。62歳。

 

日本のトイレを楽しもう 二兎追うものは一兎をも得ず 週刊やさしいにほんご生活

この連載は、日本語を勉強している人を読者対象としたコーナーです。日本文化やマナー、タイムリーな日本に関する話題などを簡単な日本語で毎月第3週号に掲載します。アメリカ人の友人などにご案内ください。また、漢字をまだ習っていないお子様にとっても社会を知り、漢字に接するよい機会になります。


日本のトイレを楽しもう


 日本のトイレは、とても清潔です。

 駅や公園でも、ていねいに掃除されています。「ホテルのようだ」と驚く人もいます。また、高い技術があります。あたたかくなる便座、ウォシュレット、自動で開くふた、自動で流れる水などです。使用中の音に配慮する流水音のボタンも一般的です。世界的に有名なTOTOは、日本の代表的なメーカーです。また、日本ではトイレを綺麗に使うことも大切なマナーです。

 次の人のために、水をきちんと流し、トイレを汚さないように小さな頃からしつけられます。綺麗で心地よく使える空間を、みんなで守っています。日本の文化と技術が見える場所です。

(長久保美奈、マナー講師)

わくわくことわざ(18)
文とイラスト 平田恵子

二兎追うものは一兎をも得ず

 「欲ばって二つのことを同時にやろうとすれば、結局はどちらも成功しない」という教訓です。「兎」の漢字は訓読みでは「うさぎ」、音読みでは「と」になります。跳躍力ある大きな後足であちこちに飛び跳ねるうさぎを2匹一度に捕まえようとしても、それは無理な話。そのような状況から、何かの目標を立てるときには、優先順位と集中が大切であることを伝えています。「2冊のミステリー小説を同時に読み始めたら、混乱しちゃったよ。巧妙なトリックを見破って真犯人を追い詰めたいならまずは一冊に全神経を注ぐべきだったね」などと使えます。


《言葉の意味(ことばのいみ)》

・清潔(せいけつ) clean 

・掃除(そうじ) cleaning

・技術(ぎじゅつ)technology

・便座(べんざ) toilet seat

・自動(じどう) automatic

・配慮(はいりょ) consideration

・流水音(りゅうすいおん)sound of running water

・一般的(いっぱんてき)  widely used

・代表的(だいひょうてき)representative 

・メーカー manufacturer

・欲ばる(よく=ばる): Be greedy get too greedy 

・訓読み(くんよ=み):Native Japanese-derived reading

・音読み(おんよ=み):Chinese-derived reading

・「二兎追うものは一兎をも得ず」の元になった英語のことわざ :If you chase two rabbits, you will catch neither. 

トランプ政権の行動原理 視座点描

 2月に入ってすぐマンハッタン・ダウンタウンはちょっとした騒ぎに見舞われました。ウエストビレッジにあるストーンウォール記念史跡の公園からレインボーフラッグが一斉に撤去されたのです。トランプ政権による執行でした。1月21日に発出された内務省メモランダム(行政覚書)で、「国立公園サービス(NPS)が管理する施設では原則としてアメリカ国旗や内務省旗などのみが掲揚可能で、それ以外はダメ」ということになったからです。

 この「ストーンウォール記念史跡」が何のことかご存知ない読者もいると思います。

 現代アメリカには3種の人権運動がありました。黒人、女性、ゲイ(性的少数者)の解放運動です。1950年代に黒人差別撤廃のために公民権運動が始まり、女性解放は60年代後半から性差別や男性への従属からの解放と社会参加を進めました。そして最後にゲイ(今で言うLGBTQ+の人たち)の人権運動が起こりました。このゲイ解放運動の嚆矢とされるのが69年6月末にストーンウォール・インというゲイバーへの警察摘発で起きた暴動事件でした。このゲイバーは主を何度か代えて今もその公園の隣で(かなり観光化していますが)営業しています。レインボーフラッグはその性的少数者たちの運動のシンボル。そしてこの3つの人権運動はそれぞれに関連し影響を与え合っています。

 つまりレインボーフラッグ撤去は、トランプ政権による「DEI(多様性、公平性、包摂性)」と「WOKE(意識高い系)」へのシンボル的な攻撃であり、「文化戦争」の一環なのです。レインボーフラッグは先週12日にリベラルなニューヨークらしく再掲揚されましたが、連邦政府が再攻撃してくるのは目に見えています。ストーンウォールは再び権力との攻防の象徴になるでしょう。なぜなら、政権の目的が簡単に言えば「キリスト教」に基づく「男性」が中心の「伝統的白人家族」の「復権」だからです。その世界観にはトランスジェンダーの人々など存在しないし同性愛者も余計者です。女性は家庭内にとどまり、黒人などの異人種はコミュニティから排除されます。

 そんな極端な逆行が、と信じられないかもしれませんが、キリスト教右派福音派の教えをトランプ式にドロドロになるまで煮詰めるとそうなる。ICEは力尽くのノルマ制で正規/非正規お構いなしの移民排除を強行し、学校ではジェンダー教育を制限し、軍隊からは黒人幹部を「DEI昇進だ」として排除し、トランスジェンダーは全ての公的空間や活動から追放され、図書館ではDEI関連本が廃棄されています。

 これらの背後には第1次トランプ政権の時からMAGA政策の立案者で「トランプの頭脳」といわれる次席補佐官スティーブン・ミラーがいます。現在40才。高校時代から強硬なリバタリアン思想の持ち主で、当時の若者たちの「WOKE」な風潮にかなりの疎外感を味わった人物です。

 もう1人、このミラーのデザインの執行者が行政管理予算局長ラッセル・ヴォートです。こちらは3月で50歳の自称キリスト教ナショナリスト。ヘリテージ財団がまとめた政策提言書「プロジェクト2025」の重要メンバーで、これまでの「WOKE」な行政機構を解体しアメリカを「神の下の国家」として再編することを目指しています。

 トランプ政権発足の1年1カ月であまりにも多くのことが起き、その1つ1つに振り回されて全体像がよく見えていないかもしれませんが、そのすべては周到に計画され、密接につながっています。トランプは実はそのエンジンでしかありません。

 そしてそのエンジンを動かしているもう1人は、「選ばれた者だけが神の国に行ける」という「終末」に向けて加速する天才テックビリオネアのピーター・ティールです。ヨハネの黙示録にはハルマゲドン(世界の終末の善悪の戦争と世界の破滅)が登場しますが、ティールは「平和と安全」こそが反キリストのスローガンだとして、「自由と民主主義は両立しない」と断言しているのです。

 平等や再配分や規制など、政府権力の介入を徹底して排除する「自由」。それがトランプ政権の行動原理です。(武藤芳治、ジャーナリスト)

  

KAZUMA NYライブで熱唱! 共演者も大ノリ

 JポップアーティストのKAZUMAが来米し、12日夜、ニューヨークの名門ライブハウス「アーリーンズ・グローサリー」で無​​料ライブ公演をした。

 KAZUMAは2024年、ファースト・アルバム『〜KOKUU〜』をリリース。国内外から評価を得たが日本での活動中に突然深刻な発声障害を患い歌うことが困難になった。

 「どん底にいたニューヨークで多様性を受け入れ、声の調子が芳しくない時でさえも励ましてくれたアーティストコミュニティへの今回は恩返しライブ」となった一夜。当日はグラマラススカイ、表裏の狭間、残酷な天使のテーゼ、アニソンメドレーなどをトークも交えて歌った。 

 共演したラ・テラは竹内まりやのプラスチック・ラヴ、ケセラセラほかを澄んだ歌声で披露し、アサヒノトはスタンド・バイ・ミーなど4曲を熱唱、司会もしたトシ・カプチーノはソロミュージカル「大器晩成」から辛子明太子の歌など6曲を歌って会場を盛り上げた。バックバンドのギタリストの腕前も見事だった。公演では大勢の観客がステージ間近で熱心に聞き入っていた。(三)

Jプレス 伝説の写真集のスタイル再現

 メンズ・ファッションの老舗、Jプレスは16日、アイビーファッションのバイブルとも言われる日本の写真集『TAKE IVY』をニューヨーク歴史博物館で開催された2026年春のコレクション・ランウエーで再現した。

 1965年刊行の本書は、全盛期のアイビースタイルを捉え、アイビーリーグをはじめとするキャンパスで実際に着用されていた姿をノンフィクションで記録した名著で、同書ではJプレスをこのスタイルの創始者と称えている。

 ショーでは、マドラスチェックのスポーツコートや、ブランドの象徴であるオックスフォードボタンダウンシャツなどを紹介した。会場で特製ハードカバーに入れられた同写真集の英語版=写真=が招待客に贈られた。 

(写真右)特製カバーに入った写真集が会場で招待客に贈呈された

IVYスタイルの聖書

林田昭慶、くろす としゆき 、長谷川 元 、 石津祥介 ・共著
(英語版)POWERHOUSE BOOKS・刊

 1965年、日本で刊行された写真集『TAKE IVY』は、日本におけるアイビールック受容の原点を刻んだ伝説的な一冊だ。撮影を担当したのは写真家の林田昭慶氏。企画・編集の中心となったのが本紙でもお馴染みのくろすとしゆき氏であり、彼の視点が本書の骨格を形作った。メンズクラブ編集長だった長谷川元氏、VANジャケットの石津祥介氏の4人の共著だ。

 本書は1960年代半ば、アメリカ東海岸の名門大学群、いわゆるアイビーリーグの学生たちの装いを克明に記録した写真集だ。キャンパスに立つ若者たちの自然なポートレートは、単なるファッション紹介を超え、生活文化の息遣いまで伝える。ブレザー、ボタンダウンシャツ、チノパンツといった定番アイテムはもちろん、足元のローファーやソックスの丈に至るまで、ディテールへの執念が光る。

 紙面には、当時からアメリカントラディショナルを象徴する存在だったJプレスやブルックスブラザーズのアイテムも登場する。これらのブランドは単なる衣服の提供者ではなく、東海岸的価値観——質実、知性、節度——の象徴として描かれている。その空気感を、過度な演出を排したストレートな写真で切り取った点に、本書の独自性がある。

 刊行から半世紀以上を経たいまも評価は高く、英語版も出版され、海外のファッション関係者から再発見されている。日本で生まれた一冊が、逆輸入のかたちで世界的資料となったことは興味深い。

 『TAKE IVY』の魅力は、流行の記録でありながら、時代を超える普遍性を宿している点にある。そこに写る若者たちの姿は、1965年の空気を閉じ込めつつも、今なお新鮮だ。

 ジャック・カールソン氏(Jプレス クリエイティブディレクター兼社長)は「今シーズン、Jプレスは『テイク・アイビー』を現代に蘇らせる。1965年に初版が刊行されたこのカルト的な日本の写真集は、世界中のアイビー・ルックを定義し、世代を超えて影響を与え続けてきたスタイルの旗手としてのJプレスを確固たるものにした。『テイク・アイビー』の素晴らしい点は、学生たちのありのままの姿をとらえていることだ。演出もセットも一切ない。本物である。まさにJプレスそのものだ」と称賛している。   (三浦)

自分らしい音楽を奏でたい フルート奏者 佐伯麻由さん

 2009年、来米してまだ1か月も経たないある日の夜、恐る恐る一人でNYのジャズクラブへ出かけた。そこのジャムセッションでフルートを演奏した。「キミ上手いね。明日ジャムセッションが別のところでもあるんだけど来ない?」とニックと名乗るそのギタリストは言った。

 翌日行ってみるとそこは、国連横にあるマイルス・デイビスとも共演していたNEA (National Endowment for the Arts) のジャズマスターでドラムスの巨匠、チコ・ハミルトンのペントハウスAだった。チコの自宅の初めて参加したジャムセッションが終わるや否や、チコはマネージャーのジェフリーに電話をかけた。「次のショーからフルーティストが参加するよ」と。それがニューヨークでの演奏活動のすべての始まりだった。

 佐伯麻由さん。島根県出身。1998年に広島のエリザベト音楽大学大学院修士課程修了後、日本での演奏活動を経て来米。現在ニューヨークを拠点にクラシック、ジャズ、舞台音楽の分野を横断し、オーケストラ、オフ・ブロードウエー 公演、ラテングラミーアーティストのアルトゥーロ・オファリルのジャズアンサンブル、フォー・ケルティック・ヴォイセズのアメリカ国内ツアーにもメンバーとして参加するなど国際的に活動している音楽家だ。

 フルート、ピッコロも製造するTrevor James Flutesのアルトフルート・エンドース契約アーティスト。篠笛、ピアニスト、伴奏者、教会パイプオルガン奏者としても活動する。同時に教育者としてもジャズ・ハウス・キッズ協会の教師としてピアノアンサンブルクラスを担当。また長年、米国の大学、高校、小学校などで音楽教師として指導。来月から国連国際学校(UNIS)の非常勤音楽教師(代理講師)に採用される。

 「ニューヨークは、自分にとっては、ベストな土地です。多様性に富み、みんなこのニューヨークの街に来たくて来ている。出会う音楽家、生徒もニューヨークに対する期待値が高いところを見て来ていることが分かるんです。私の場合は、これまで一つのジャンルにいないように分野を超えて、常に自分のやりたい音楽をやってきたので、これからもその生き方は貫いていきたいです。タイトルとか分野ではなくて自分が納得できる音楽に集中していたいということです。地域社会に喜んでもらいたいという気持ちがここまで演奏してきて最近思うようになりました」とも話す。誰が演奏しているのか音を聴けば分かる。そんな境地だ。

 自身のアルバム『HOPE』(ブルックリン・ジャズ・アンダーグラウンド・レコーズ2018)をリリース。アメリカ全土のリリースツアーが成功し、ダウンビート・マガジンに掲載され、多くのアーティストのレコーディングや、MAYA・ザ・ミュージカルのキャストアルバムにも参加した。4月末にはブルックリン植物園で自身のグループで出演する。

 「チコ・ハミルトンと出会ったとき彼は90歳でした。4年間彼のバンドに在籍して演奏して、最後のレコーディングから1か月後に死去しましたが、スピリットは90代のものではなく演奏はエネルギッシュでした。アーティストという職業は、最後まで現役ということかもしれませんね」。

 4年前、気にかける存在が家にやって来た。ココという愛犬と過ごす時間が、多忙な日常をリセットしてくれるのだという。

 (三浦良一記者、写真も)

ONE STOIRY AWARD JAPAN  NYからカイルさん特別大使で訪日

スピーチコンテスト優勝のハンター大生

 今回で3回目となる「ワン・ストーリー・アワード・ジャパン(ONE STORY AWARD JAPAN)」(代表・鶴田一磨)日本大会が16日、東京都千代田区の神田明神ホールで開催された。

 一人一人の人生の物語を讃える同アワードには、全国各地の地方大会を経て選ばれた20代から70代以上のファイナリストが集結。今年秋にニューヨークで開催予定のNYアワードを目指しウォーキングやスピーチを披露した。

 昨年9月のNYアワードで選出されたモデル部門のヘセド・クリスティン・シッドさんと、学生スピーチ部門で選ばれたハンター大学日本語・日本文化学科のカイル・フラーさんは、特別アンバサダーとして日本に招かれた。

 カイルさんは日英両語でスピーチを行い、「子どもの頃から日本語に興味を持ち、学べる環境に感謝しています」と語ったほか、日本のことわざ「塵も積もれば山となる」を引用し、努力を重ねることの大切さを伝えた。会場からは大きな拍手が送られた。

 当日はアンバサダー11名が選出され、トップアンバサダー1名のニューヨーク招待も決定。本アワードは、日本とニューヨーク、世界を結びながら、日本文化の発信と国際交流の深化を目指している。

(写真上)訪日招待を受けスピーチするカイルさん

新潟の大嶋屋がMIYOKO ブランド NYファッションウイークで発表

 ニューヨーク・ファッション・ウイークの14日夜、聖バーツ教会で新潟市の大嶋屋が「きもの生地から仕立てる洋服 MIYOKO」ブランドを披露した。

 デザイナーの大嶋美代子さんは、洋服ブランド出身で、呉服の現場に入り、着物を着たい気持ちがありながら難しい状況にある顧客へ向けて、ライフスタイルに合わせた一点物を数多く手がけてきた。たとえば、車椅子でも結婚式で着物を着たいという人など、それぞれの人生の場面に寄り添うための洋服を制作してきた。これまでは発表を目的とせず、個別オーダー中心の活動だったものを
今回ブランドとして海外に発表した。当日は娘の美樹子さん=写真下=がプロデューサー兼サポートデザイナーとして母・美代子さんの作品を携えてニューヨーク入りし、発表した。