編集後記

編集後記

 みなさん、こんにちは。まずは、この度の熊本地方を中心とする九州、西日本全体の地震災害に際しまして、被災された皆様とそのご家族、アメリカに在住するご親族、ご友人の皆様に心よりお見舞い申し上げます。そして亡くなられた犠牲者の皆様のご冥福を祈ると共に、今なお、瓦礫の下で救助を待たれている人々が一刻も早く救出されることを祈っております。私がプライベートで所属するニューヨーク日本人美術家協会も、8月末から9月10日まで開催される第54回年次展覧会のチャリティー小作品の寄付先を急遽全会一致で今回の地震被災者支援に充てることを決めました。被害の規模の全容はまだわかっていませんが、連続的な地震が続いているとのこと、ニューヨークの日系社会も支援に乗り出すものと見られます。

 今週号では、いろいろなニュースやトピックを取り上げていますが、トランプ大統領の移民政策や交渉の出口が見えないイランとの戦争によるガソリン価格、物価の高騰などの記事も並んでいます。トランプ政権になって間もなく2年目の秋がやってきますが、私たちの生活は果たして豊かになったのでしょうか。アメリカ第一主義で進んできた政策によって、移民に対する規制が強化され、合法滞在であっても、このまま外国人として住み続けることの安泰が保証されるのかに疑問符がつく場面も少なくないです。与党政権がもし民主党だったら、ここまで無慈悲な排外政策はしなかったでしょう。市内に難民が溢れて路上や有名ホテルがシェルターになってしまうのも嫌ですが、その人がちが一掃されて、刑務所や国外の隔離施設に護送される姿は、私がまだ幼稚園児くらいの小さい時に東映動画で観た漫画映画(まだアニメなどという言葉が存在しなかった時代)jの「安寿と厨子王丸」の姉と弟の小舟での絶叫の別れを思い出します。子供心に可哀想で泣いてしまった記憶があります。

 コロナ禍前まではウクライナ戦争も、イラン戦争も、トランプ課税もない、割と平和なアメリカでした。この6年で、アメリカは様変わりしました。マンハッタンには超高層マンションが一室5億円でバンバン売られています。お金持ちだけが幸せを享受する政治は、優しさがない社会を生み出しそうです。まあ、全てがうまくいく人生なんてないんでしょうが、自分が不幸だと思い始めたらキリがありません。病気知らずで健康で、ご飯が美味しく食べられたらそれだけで幸せなんでしょうね。お金持ちだって、お金で買えないものがあることを知った時はただの人ですからね。それではみなさん良い週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2026年8月1日号)

(1)一部移民に巨額制裁金 自主出国へ経済的圧力

(2)夏こそキャンプ 週末に喧騒逃れて 

(3)アイヌの伝統文化次世代が ジャパン・ソサエティーで魂を披露

(4)日英両国首脳の任期は約2年 海外日本人サポート

(5)日系一世の肖像公開 NY日本人歴史デジタル博物館

(6)マムダニが変える? 視座点描

(7)沖縄和牛 マンハッタンで試食会

(8)オンライン補習校開校へ 海外子女教育振興財団

(9)日本酒の作り手の思いを米国に伝えて  古矢美花さん

(10)五感で味わう日本の涼 SUMIYOの和心歳時記 

一部移民に巨額制裁金 自主出国へ経済的圧力

 トランプ米政権が、国外退去命令に従わず米国内にとどまる一部の移民に対し、1日998ドル(約16万3千円)の民事制裁金を科し、「自主出国」を迫っている。国土安全保障省(DHS)によると、2025年1月の政権発足後、10万3000件を超す通知を出し、請求総額は840億ドル(約13兆7500億円)以上。法律上5年分までさかのぼれば、1人当たり約182万ドル(約2億9800万円)に達する。

 7月24日付ニューヨーク・タイムズ紙によると通知には短い異議申し立て期限が設けられ、支払わなければ民間回収会社への移管、信用情報機関への報告、給与差し押さえ、税還付金の没収、連邦訴訟などの可能性が示される。メキシコ出身で米国に17年間暮らし、人道ビザを申請中の女性には約182万ドル(約2億9800万円)が請求された。封筒には、政府の「CBPホーム」アプリを使って自ら出国すれば制裁金を免除するとの案内も同封されていた。

 また、米軍人と結婚し、米国生まれの子ども4人を育てるトーゴ出身女性は130万ドル超(約2億1300万円)を請求され、夫婦の税還付金1万662ドル(約174万円)が差し押さえられたという。移民側の弁護士や支援団体は、在留資格取得の手続き中の人や、当局が退去を一時停止した人まで対象になる例があるとして、適正手続きや「過大な罰金」を禁じる合衆国憲法修正8条に反すると提訴している。

 制度自体は1996年の移民法で認められたが、実際の大規模運用はトランプ政権が初めて。バイデン前政権はいったん撤回したが、トランプ氏は再就任初日に復活させた。政府は、別の救済措置を申請中でも退去命令違反の責任は消えないと主張。DHSは7月16日までに120万ドル(約1億9600万円)超を回収しており、強制送還とは別の経済的圧力として運用を強めている。

夏こそキャンプ 週末に喧騒逃れて

 ニューヨークの夏は短い。その貴重な季節を満喫するなら、都会の喧騒を離れて自然の中で過ごすキャンプがおすすめだ。観光客でにぎわうマンハッタンとは一味違う、ゆったりと流れる時間を味わえる。テント設営が苦手な人は、予めテントが用意されたサイトを利用すれば、気軽にアウトドア気分を楽しめる。

 ホワイトプレーンズから車で約2時間、スワンレイク近郊にある「ビーバーウッド・ファーム」=写真=は、15エーカーの農場を活用した大人限定のキャンプ場。区画ごとのサイトは設けられていないが、温水シャワーやピクニックテーブル、焚き火スペースが整備され、薪は1束20ドルで購入できる。予約者には、農場案内に加え、近隣のウォルナット・マウンテンのハイキングコースや渓谷の穴場の水遊びスポットなど、周辺の見どころをまとめたオリジナルマップが提供されるのも魅力だ。動物を追い回さないしつけができた犬は同伴可能だが、16歳以下の子どもは利用できない。チェックインは午前9時から午後9時まで。料金は1泊30ドルから。車がなくても運転免許があればレンタカーで気軽に行ける。週末の一泊キャンプならリーズナブルな価格で収まり、静かなキャンプを楽しみたい大人にはぴったりのレジャーだ。

(写真上)ビーバーウッド・ファーム・キャンプ場Photo courtesy Beaver wood farm:www.instagram.com/beaverwoodfarmers/

ハドソンバレーのキャンプ場で夏を満喫!

 NYの短い夏を楽しむのにおすすめなのがキャンプ。観光客で混雑する街を離れて、豊かな自然の中でのんびり時間を過ごす、これこそ贅沢の極みと言えよう。

■ドミニオン・ハウス・ファーム&トレイル

 ホワイトプレーンズから車で1時間、オレンジ郡ブルーミング・グローブにある40エーカーの農場にあるキャンプ場で、農場は州と国の史跡登録簿に記載されている。農場内のB&Bで成功したオーナー夫婦が数年前にオープンしたキャンプ場は「Hipcamp」などのサイトで高評価を得ている。農場内には歴史ある納屋や昔ながらの手押しポンプ、古風な風車など、見どころがたくさんあり、のんびり草を喰む馬を見ながら散策するのが楽しい。また、「シャワンガンク・ワイン・トレイル」の中間に位置し、半径20マイル以内には数多くのワイナリーやクラフトビール醸造所が点在しているほか、北東部屈指のバードウォッチング・スポットである「バシャキル自然保護区」へも5マイルの距離。キャンプ場は4つに区分けされていて、サイト1は舗装された私道から容易にアクセスできる平坦な石敷きの区画で、30アンペアの電源とピクニックテーブルが利用可能。サイト2、3、4は野原エリアにあり(電源等の設備なし)、各サイトにピクニックテーブルと焚き火用リングが備わっている。1泊35ドルから。

https://www.hipcamp.com/en-US/land/new-york-dominion-house-farm-and-trails-nelhl8j8?searchSource=land-autocomplete&adults=1&children=0

■レッド・フォックス・メドウ・キャンプサイト

 ホワイトプレーンズから車で約1時間半、ニューパルツのストーン・マウンテン・ファーム内にあるテント専用のキャンプ場で、森に覆われた尾根と自転車と歩行者専用のトレイル(Wallkill Valley Rail Trail)の間に位置し、ハイカーやサイクリストにとって理想的な拠点となっている。こぢんまりとしたプライベートな空間を楽しめるよう、4つのテントサイトしかない。水道、温水シャワー、トイレを完備。5つのファイヤーピットがあり、敷地内には焚き火用の薪も豊富に用意されている。近所にはピザが美味しい「ローゼンデール・レイル・トレイル・カフェ」や、古い鉄道の高架線路が遊歩道に姿を変えた「ローゼンデール・トレッスル橋」が徒歩圏にある。遠距離ドライブをせずに静かなキャンプ場で自然を満喫したい人におすすめ。ペットの同伴可。1泊35ドルから。

www.hipcamp.com/en-US/land/new-york-red-fox-meadow-campsite-v1qhvzmj?adults=1&children=0

■マウンテン・トップ@ライト・ファーム

 前述のニューパルツのすぐ南の街、ガーディナーにある1904年創業の農場内にあるキャンプサイトで、なだらかな丘に広がる果樹園やシャワンガンク山脈の美しい景色を望む。敷地内では池や農場の風景を眺めながら、サイクリングやハイキング、ジョギングなどが楽しめる。農場として運営しているため、キャンプサイトの近くをトラクターが通り過ぎたり、果樹園の手入れをするスタッフの姿を目にすることもある。農場内にあるファームストアでは、チーズ、採れたて野菜と果物、地元産の肉類を販売している。古い酪農用納屋を改装したビール醸造所もあり、午後3時から7時まで営業している。ファームストアで仕入れた食材でBBQしながら、作りたてのビールを飲む、ワイルドでグルメなキャンプを楽しもう。1泊54ドルから。

www.hipcamp.com/en-US/land/new-york-the-mountain-top-wright-s-farm-47rvh8yk?adults=1&children=0

■ローカスト・グローブ・ウォーターフォール

 ホワイトプレーンズから車で2時間、キャッツキル山地にあるオーク・ヒルという小さな集落の川沿いに位置するキャンプ場で、すぐそばにある滝の音をBGMに眠ることができる。敷地内には3つのテントサイトがあり、そのうち2つは滝を見下ろす小川沿いにある。テントには2人用クイーンサイズベッドがあり、シーツと枕はあるが、予備の毛布や暖かい服装を多めに持参すること。テント前にはピクニックテーブル、屋外トイレ、ファイヤーピットを整備。テント内では電気を利用できるが、悪天候時には電力の供給が保証されない場合がある。長靴やハイキングブーツ必須。私道は整備されているが、天候によっては四輪駆動の車が必要。敷地内に点在するハンモックでくつろいだり、滝のふもとの水遊びスポットで遊んだり、ハイキング派には車で数分の所にウィンダム・マウンテンなどさまざまなトレイルがある。テントを張る手間がいらない楽ちんキャンプ。1泊90ドルから。=写真上=

www.hipcamp.com/en-US/land/new-york-locust-grove-waterfall-mxvhxy97?adults=1&children=0

アイヌの伝統文化次世代が ジャパン・ソサエティーで魂を披露

 ジャパン・ソサエティーは7月22、23日、「アイヌ・サマー・フェスティバル—アイヌの物語、文化、そして伝統」を開催した。北海道平取町との共催で、日本北部の先住民族・アイヌの歴史や文化を多角的に紹介する催し。会場には北海道・平取町から15人の工芸家や文化継承者、教育関係者が来米した。アイヌ古式舞踊の公演をはじめ、木彫りのワークショップ、アイヌ料理のデモンストレーションと試食、映画上映、講演などを通して、言語や生活文化、精神文化に触れる機会を提供した。両日ともに完売の大人気となった。

 今回のフェスティバルは、アイヌ文化の保存と継承に生涯を捧げた平取町の故・萱野茂さん(1926〜2006)の生誕100周年を記念して企画された。萱野さんは平取町二風谷地区を拠点にアイヌ文化の復興運動に尽力し、日本でアイヌ民族として初めて国会議員となった政治家としても知られる。

 一行を率い来米した平取町の遠藤桂一町長は「アイヌ文化をニューヨークで紹介できることを光栄に思う。アイヌの人々が誇りを持って暮らせる社会を目指し、次世代へ伝統を継承していきたい」とコメントした。国会でアイヌ文化振興法が制定されたのをきっかけに平取町は8年前、アイヌ文化振興公社を作り、遠藤町長自らが社長となって伝統文化の継承事業を推進している。

 それまでコミュニティ活動として継承され続けてきた日本のアイヌ文化が今、会社組織となって所得保障がなされたことで、アイヌ文化を広める会社の社員としての誇りと未来への希望が、来米したアイヌの若者たちの顔に溢れていた。明るく快活で、会場でも大勢のアメリカ人観客と積極的に会話して交流を深める姿が印象的だった。アイヌ魂(スピリット)が見事に次世代に伝承されバトンタッチされていることを強く印象付けた2日間だった。

 会期中には、エミー賞受賞歴を持つ映像作家の溝口尚美さんが10年以上かけてアイヌのコミュニティを訪れて信頼関係を築き、製作したドキュメンタリー映画「Ainu ーひと」が上映された。また、イベント前夜に北海道ゆかりの会(竹田勝男代表幹事)による歓迎会がマンハッタンの日本食レストラン「つくし」で開催され、道産子同士の交流の話に花を咲かせた。今回に続き、平取町から8月12、13日に第二陣のグループが来米してアイヌ文化の紹介を行う。次回は独特のアイヌの刺繍や言語のワークショップが予定されている。

 (三浦良一記者、写真も)


「アイヌ・サマー・フェスティバル—アイヌの物語、文化、そして伝統」8月12日(水)▷午後4時〜5時30分「Ikarkar=an ro!」刺繍ワークショップ午後5時30分〜6時45分「Itak=an ro!」アイヌ語ワークショップ▷午後7時〜8時30分「Sinot 沙流川流域の踊り」公演(レセプション有り)■8月13日(木)▷午後4時〜5時30分「Sinot=an ro!」アイヌ古式舞踊ワークショップ午後5時30分〜6時45分・映画「Ainuー ひと」無料上映会・監督の質疑応答▷午後7時〜8時30分「Ikarkar & Itak: 」アイヌの刺繍と言語。(レセプション有り)入場料・一般20ドル、学生とシニア17ドル、会員15ドル。詳細とチケットの申し込みはウェブサイトhttps://japansociety.org/ainufestival/

日英両国首脳の任期は約2年 海外日本人サポート

 7月20日英国のスターマー首相に代わり、バーナム首相が誕生しました。10年間で7人の首相の平均任期は約1・7年です。日本の戦後首相の平均任期約2・2年は世界の最短命首相と言われます。しかし短命である理由は大きく異なります。

 一、英国では与党議員が支持を変えての首相交代が多いのです。4月の地方選挙で、与党労働党が改革党に大敗したことが発端です。次に、マンチェスター市長のバーナム氏が6月の補欠選挙で改革党に圧勝して「改革党に勝てる首相」と映り雪崩現象が起きました。

 日本の与党議員は、首相の人気が下落しても公認権や人事の縛りなどで首相交代を言えません。英国の議員は有権者の意見を尊重して首相を選びますが、それには以下の前提があります。①候補者の公認は、選挙区の党員投票で決定する。②選挙区内の有権者の個人相談が第一の職務である。

 二、英国の政治家には、法的決着以前に政治的・倫理的責任を取る風土があります。次期首相の可能性もある改革党のファラージ党首が7月に議員辞職して、彼への信任を問う補欠選挙に出馬します。資産家からの違法な住宅提供との報道への切り返し策です。

 英国では議会常任特別委員会、国家監査院、メディアなどが調査を行います。閣僚辞任後も調査は続くため、コロナ禍での飲食会出席で辞任したジョンソン首相は、更なる事案の発覚で議員辞職に至りました。

 日本の国会では、高市早苗首相の米国時の肩書や中傷動画対応に関して、関係者招致や資料提出を巡る対立が起きました。米国や英国の議会は証人喚問や文書の提出権限を有するのに対し、日本の国会は有しないのです。

 日英間のより大きな違いは、英国では首相が交代しても議会を解散しないことです。2024年の総選挙で大勝した労働党の公約を継承する限り、首相が交代しても政権の正統性は変わらないとの認識です。日本では、首相が頻繁に解散を行ってきました。「英国の首相は自由な解散権をもつ」という学説が根拠ですが、英国の首相が解散権を多用しないことが明白です。トランプ大統領は、議会の承認を得ずに対イラン戦争を開始し、閣僚や最高裁判事などを罷免しましたが、議会だけは解散できません。その大統領以上の権力を日本の首相が行使しているのです。

 激動の世界で各国首脳との緊密な連携を要する今、日英両国首相の任期拡大は世界全体に必要です。

ふじた・ゆきひさ=オックスフォード大政治国際問題学部客員研究フェロー。慶大卒。国際ICや難民を助ける会等の民間外交活動を経て国会議員、民主党国際局長、財務副大臣等を歴任。現在、国際IC日本協会理事、岐阜女子大特別客員教授、東アジア共同体研究所特別研究員。英国在。

日系一世の肖像公開 NY日本人歴史デジタル博物館

名前特定まだ15人

写真家・井上博行氏が撮影

 NY日系1世のポートレートと聞き書きが「ニューヨーク日本人歴史デジタル博物館」で公開された。1980年頃に写真家・井上博行さん(故人)が撮影・記録したもので、日本語と英語でオンラインで無料閲覧できる。肖像をクリックすると聞き書きの内容を読むことができ、約百年前の日系人の足跡を辿る貴重な資料となっている。

 井上さんはグラフィックデザイナーの斎藤央火さんと2人で「パイオニアともいえる方々の記憶を残そう」と、新移民法(アジアからの移民を全面的に禁止する条項あり)が交付された1924年以前にいた日本人を約1年余りかけて訪ね歩いた。

 昨秋、ニューヨーク日系人会ボランティアの竹田あけみさんと青野栄子さんが文字おこしをした聞き書きがポートレートとともに同会で展示され、本紙新年号でも特集で紹介したが、時間が経過したために、現在15人しか名前を特定できていない。未特定39人、計54人の肖像が掲載されている。

 今回、同館学芸員の横山由香さんにより、その作品群の大部分がオンラインで閲覧できるようになったことで、さらなる情報が集まることが期待されている。同博物館は、NY地域における日本人・日系人の歴史を記録・保存することを目的に、5年前に在ニューヨーク日本国総領事館の支援を受けてJAA内に設立された。運営はニューヨーク日本人歴史評議会が担っており、コロンビア大学教授で邦人医療支援ネットワーク(JAMSNET)代表でもある本間俊一さんとJAA名誉会長のスーザン・J・大沼さんを中心に行われている。

www.historyofjapaneseinny.org/jp/issei/

マムダニが変える? 視座点描

 9月の国連総会にニューヨークにやってくるネタニヤフを逮捕するなんて話が無理なのはすぐにわかります。逮捕状発行の国際刑事裁判所(ICC)に米国は非加盟だし、しかもその一地方都市に逮捕状執行の法的権限はあるはずもない。外交は専権的に連邦政府の管轄ですし、おまけに国家元首や首相には不逮捕特権もあります。ただし、そんなことは重々承知の上での「逮捕検討」とのゾーラン・マムダニ市長のメッセージは強力に世界に伝わりました。

 政治はメッセージ。パレスチナ・ガザ地区への無分別なネタニヤフ政権の軍事行動は、米国内でのイスラエルそのものへの信頼を確実に毀損しています。7月15日に下院で採決された「イスラエルへの軍事支援を打ち切る修正案」は、イスラエルに対する33億ドル(約5350億円)規模の外国軍事資金援助を停止・削除する内容でした。そこに民主党議員の103人が賛成票を投じたのです。

 最終的に同案は共和党の反対で104対314で否決されましたが、これまでイスラエル支援案はほぼ満場一致で可決されるのが常態でした。それが民主党内だけとはいえ、投票した同党201人の過半数が「イスラエル切り」を行った。議員の1人は「ネタニヤフの戦争と戦争犯罪に対し、無責任に白紙小切手を発行する時代は、少なくとも民主党内では終わった」と話しました。

 中間選挙を3カ月後に控え、民主党が変わりつつあります。反トランプ路線としていわゆる「急進左派」「共産主義」と攻撃される勢力が民主党内部で力を持ち、「党内で深刻な分断」とまで言われています。でもその「顔」となりつつあるマムダニの政策を見ていると、むしろそれは庶民感情に沿った「生活者重視」路線でしかないように見えます。

 ボコボコだった市内の舗装道路の穴はすでに17万カ所近く修繕され、幽霊住民の多い超高級アパートの所有富裕層に別宅税をかけるなどの例はすでに知られていますが、その後も「小規模ビジネス支援」として余計な許可手続きを廃止・迅速化したり新規事業者にコンサルタントをつけて許認可や検査申請を一括支援したり低利融資をしたり登録料を無料化したり、はたまた24時間公衆衛生医療品(生理用品や避妊具、衛生キット、薬品過剰摂取解毒剤など)の無料自販機の設置拡大や、果てはW杯のチケット超高額化に対抗して50ドルチケットを市民向けに抽選で1千枚用意したりお隣ニュージャージー州の会場スタジアムへの無料往復バスを用意したりセントラルパークでの5万人規模の無料観戦パーティーを企画したり100以上のパブリック・ビューイング会場を設けたり、おまけにマムダニ自身はライカーズ島の刑務所で模範囚100人と一緒にテレビ観戦して盛り上がったり、と八面六臂の仕事ぶり。ライカーズでの彼のメッセージは「(服役中の)彼らも出所すればニューヨーカーだから」。そんなこと言われたら再犯なんかしないで頑張ろうと思うわね。

 反トランプの一指標として、そのマムダニが称揚する「民主社会主義」って「なんかいいじゃないの」と「社会主義アレルギー」の米国が受け入れ始めています。CNBCの最新調査では選挙で「民主社会主義者」の候補に投票するという人は、MAGA候補に投票するという27%より多い32%に達しています。

 政治はメッセージ。「働いて働いて働いて」と言いながら「仕事が大変で睡眠時間は0〜3時間」なんてボヤいて同情を買うなんてことは絶対にしないだろうし、仕事が楽しくてしょうがないというふうな満面の笑顔の使い方も実に上手い──そういや、こんな面白い34歳の姉妹都市の市長に、7月中旬に5泊6日でニューヨーク視察を行った小池百合子東京都知事は会っていないんですよね。都庁関係者によれば、会談を画策したがどうも叶わなかったようです。市政の実務に忙しいからでしょうね。

(武藤芳治/ジャーナリスト)

沖縄和牛 マンハッタンで試食会

「霜降りは濃く、後味は軽く」

 沖縄県「高付加価値・グローバル展開加速化事業」の一環で、沖縄の優れた県産品を世界へ発 信する「OKINAWA ACROSS THE WORLD 2026」沖縄県産和牛試食会が7月17日にマンハッタ ンの焼肉専門店「TORAJI NYC AN」で開かれた。

(写真上)左から知花さん、池田さん、シェフのラミレスさん、井上さん

 主催は沖縄県。事業統括プロデューサーのTHE CROSS・井上翔輝氏と、事業推進責任者の沖縄JTB・池田善宣氏が事業全体の企画・運営を担い、沖縄米国ビジネス促進協会の知花真斗会長も来場してイベントを支援した。

 今回提供された石垣牛は、沖縄県石垣島の温暖な気候と豊かな自然の中で育てられた希少な黒毛和牛。最高等級のA5に格付けされ、脂肪交雑を示すBMS11 を記録した。個体識別番号や枝肉格付証明書も提示され、生産地や品種、格付けまで確認できる高いトレーサビリティーも紹 介された。

石垣牛(最高等級A5)

 肉にはきめ細かな霜降りが入り、焼くと脂がゆっくりと溶け出す。口に含むと柔らかな肉質と上品な甘みが広がる一方、脂の後味は軽く、赤身本来のうま味もしっかりと感じられた。会場では沖縄の工芸や自然を表現した器も使用され、食材だけでなく、島の文化や生産背景も一体として伝えた。

 参加者からは「これほど霜降りが豊かなのに脂がくどくなく食べやすい」「部位ごとに香りや甘 み、柔らかさが異なり、料理の幅が広がる」との声が聞かれた。米国市場では味だけでなく、 生産背景やトレーサビリティーも重視されるため、沖縄和牛の強みが評価されそうだ。

 井上氏は「沖縄和牛を単なる高級食材ではなく、沖縄の自然や文化、サステナビリティーを体現するアイランドブランドとして世界へ届けたい」と強調。知花会長も、今回の試食会を契機に高級飲食店などへの販路拡大につなげたいとの期待感を示した。沖縄和牛はニューヨーク市場 で新たな存在感を示し始めている。 

■古市裕子

サステナビリティ・ジャーナリスト。国連サステナビリティ (ABD: Ph.D.) 。著書・新潮社『欧米企業に学 ぶ・SDGs 転換戦略:サステナブル×これからの企業価値』。『パーパス: 何の ために存在しどんな価値を提供するのか』

オンライン補習校開校へ 海外子女教育振興財団

補習校通えない子供対象

 海外子女教育振興財団(JOES)は、遠隔地等で補習授業校などに通えない子供たちのために、オンラインの補習校「JOES Global Online Academy LEAD(GOAL)」を開校する。子どもを対象とした同期型(ライブ)と非同期型(アーカイブ)の授業等に加え、保護者向けのセミナーや特別講義も提供。デジタルを活用し、さまざまな企業や大学、世界の有識者、教育関係者とつながることで最先端の「学び」の提供を目指す。授業はZoom、Google Meet、Microsoft Teams などの一般的なビデオ会議ツールを使用する。 

 実際の授業は時差の関係もあり、世界各地の参画スクールが行う。9月からスタートする参画スクールは、西大和学園オンライン補習校(カリフォルニア州)、グアム国際日本人学校(グアム準州)、ブルーミントン日本語補習校(インディアナ州)、 ブリスベン国際日本語学校(オーストラリア・ブリスベン)、ニューヨーク育英学園(ニュージャージー州)、日本映像翻訳アカデミー(JVTA、カリフォルニア州)の6校。

 申し込み・詳細は公式サイトhttps://www.joes.or.jp/kojin/goalを参照する。

解説 在外教育施設とは

 外務省によると、在外教育施設は、主に現地の日本人会などにより設置・運営されているが、日本国憲法の精神及び2022年に成立・施行された「在外教育施設における教育の振興に関する法律」に基づき、外務省としては、文部科学省や、公益財団法人海外子女教育振興財団など関係機関と協力しつつ支援を行っている。(1)日本人学校=日本人学校は、文部科学大臣から国内の小学校、中学校、若しくは高等学校と同等の教育課程を有する旨の認定を受けており、日本人学校中学部卒業者は、国内の高等学校の入学資格を、高等部卒業者は、国内の大学の入学資格をそれぞれ有する。教育課程は、原則的に国内の学習指導要領に基づき、教科書も国内で使用されているものが用いられている。(2)補習授業校=補習授業校は、現地校、インターナショナル・スクールなどに通学している日本人の児童生徒に対して、授業のない土曜日、日曜日や放課後等の授業のない時間に、国内の教科書を用いつつ小・中学校の国語、算数など一部の教科について授業を行い、「在外教育施設に対する支援に係る指定等に関する規程」の第1条に規定する各号の基準に適合し、外務大臣の指定を受けた在外教育施設。(3)私立在外教育施設= 私立在外教育施設は、国内の学校法人等が母体となり海外に設置した、全日制教育施設であり、文部科学大臣から、国内の小学校、中学校、若しくは高等学校と同等の課程を有する旨の認定又は相当の課程を有する旨の指定を受けている。私立在外教育施設の中学部の卒業者は国内の高等学校の入学資格を、高等部卒業者は国内の大学の入学資格をそれぞれ有している。

日本酒の作り手の思いを米国に伝えて  古矢美花さん

ワールド・サケ・デーNYCを主催するイラストレーター

 今年も 日本酒をニューヨークで紹介するワールド・サケ・デー(World Sake Day NYC)が 9月にブルックリンの会場で大々的に開催される。毎年300人から400人ものアメリカ人の日本酒愛好家で賑わい、日本酒30銘柄以上が一堂に集まる珍しい機会だ。

 今年で開催6回目を迎える同イベントは、日本酒を通じて日本文化の魅力をニューヨークで発信することを目的に2021年10月1日の「日本酒の日」にちなんでブルックリンのバー「MIKA」でスタートした。古矢さんが当時経営していたそのバーで扱っていた加藤酒ワークスのオーナーで杜氏の加藤忍さんから「日本酒をカジュアルにアメリカ人に紹介できるような何かイベントをできないか」と相談され、サポートローカル、サポートアーティストのモットーで経営していた古矢さんのバーが倉庫を改造した巨大な場所だったこともあり、酒蔵やディストリビューターの協力を取り付け、実現できたのがこのイベントの始まりだ。それまでニューヨークには、酒蔵と飲食店、ディトリビューターを対象にしたBtoBのイベントは数多くあったが、酒蔵が一般の日本酒愛好家などと直に接触して交流できるようなイベントが少なかったこともあり、予想外の大成功を納めた。

 2年後に会場を移転したその後も古矢さんが引き続き「ワールド・サケ・デーNYC」の仕掛け人として主催している。日本全国の酒蔵やディストリビューターによる試飲に加え、和食や日本のアート・クラフトなども楽しめる文化イベントとして毎年盛況なイベントに成長した。

 飲食・ホスピタリティ業界での活動も、イラストレーター、クリエイティブディレクターとして培ってきた経験の延長線上にある。2001年に来米して、アップステートのコミュニティ大学で2年間を過ごしたのち、FIT(ファッション工科大学)イラストレーション学科を2006年に卒業、アートの道に進んだ。在学中も雑誌ヴォーグなどのファッションイラストで活躍していた田辺ヒロシ氏や当時の大学教授にメンターになってもらった。卒業後はイラストレーターとして活動し、現在はクリエイティブディレクターとしてもレストランやホテルなど幅広いプロジェクトを手掛けている。クリエイティブなものを発信する一環として「日本酒の作り手の思いを一般のアメリカ人に理解してもらえるような場を作る」 きっかけに繋がった。「私は日本酒の専門家ではありません。酒蔵やソムリエ、インポーターなど、多くの専門家の皆さんに支えていただいています。私の役割は、その皆さんがニューヨークの人々と出会い、日本酒を通じてその魅力、文化を伝えられる舞台をつくることだと思っています。5年間、人とのつながりを大切に続けてきました。続けることで、人がつながり、コミュニティが育っていく。それこそが、このイベントの魅力だと思っています」と語る。日本酒の作り手たちを「アートの担い手」として温かい眼差しで見守る。

 (三浦良一記者、写真も)

日本酒通じて日本文化紹介
ワールド・サケ・デーNYC

ブルックリンで9月27日

 今年も ワールド・サケ・デーNYC(World Sake Day NYC)が 9月27日(日)午後4時から9時まで、ブルックリンにあるThe W Loft Rooftop240(Kent Ave)で開催される。日本酒を通じて日本文化の魅力をニューヨークで発信することを目的に2021年にMIKA bushwick でスタートしたイベントで、今年で6回目を迎える。毎年300〜400人が来場し、日本全国の酒蔵やディストリビューターによる試飲に加え、和食や日本のアート・クラフトなども楽しめる文化イベント。昨年は前NY総領事の森大使も来場し、スピーチを行った。

 入場料は一般77ドル53セント(15杯分の試飲チケットと酒グラス付き)、VIP112ドル39セント(試飲無制限、ギフトバッグ他付き)。チケット・詳細はウェブサイトhttps://www.worldsakedaynyc.comを参照する。

五感で味わう日本の涼 SUMIYOの和心歳時記

 はじめまして、ニューヨークの皆様。すみ代です。

 美容・健康分野での長年の経験をもとに、裏千家茶道・煎茶道などを広く学び、日本文化と禅の精神を現代のライフスタイルに融合させる活動を行っています。

「美しさは外見だけでなく、心の在り方に宿る」という理念のもと、茶道・禅・ヨガ・ウェルビーイングの共通性を探究し、日本の美意識を国内外へ発信しています。

本コラムでは、茶道、着物、和モダンのテーブルコーディネート、季節のしつらえ、食と五感を大切にする暮らし、美容とウェルビーイングなど、日本ならではの美意識を紹介したいと思います。

 夏…日本の夏は暑さが厳しい季節です。しかし、日本人は昔から冷房だけに頼るのではなく、「涼を感じる工夫」を暮らしの中に取り入れてきました。目で、耳で、香りで、肌で、そして味わいで。今回は、日本ならではの「涼」をご紹介します。

① 五感で涼を楽しむ

「心が涼しければ、身体も涼しくなる」

 日本人は昔から五感を使って夏を楽しんできました。「視覚」…風鈴、水盤、青もみじ、朝顔 「聴覚」…風鈴の音、風に揺れる竹の葉、せせらぎ、蝉の声 「嗅覚」…白檀、檜、薄荷(ミント)、柚子 「味覚」…冷たい抹茶、和菓子、西瓜、そうめん 「触覚」…竹、麻、い草、団扇、打ち水 どれも自然を感じさせ、心を穏やかにしてくれます。

 暑さを「我慢する」のではなく、季節を「楽しむ」のが暮らしの知恵です。忙しい毎日の中でも、一輪の花を飾る。ガラスの器に料理を盛る。風鈴の音に耳を澄ませる。そんな小さな工夫が、心に涼を届けてくれます。日本には、四季を慈しみながら暮らす文化があります。今年の夏は、ぜひNYでも五感を使って「涼」を感じてみませんか。

② 浴衣に学ぶ日本の知恵

「着物で涼をまとう」

 浴衣は綿や麻など天然素材でできており、風を通し、汗を吸い、肌に優しく、日本の蒸し暑い気候に合わせて作られています。また、帯を締めることで背筋が自然と伸び、袖口や裾から風が通り抜けるため、実はとても機能的な衣服です。さらに、浴衣には花火大会や夏祭りだけではなく、「夏を楽しむ心」が込められています。洋服では味わえない、季節をまとう豊かさがあります。海外でも簡単に着れるのが浴衣の良いところ。ぜひ気軽に浴衣を着てお出かけください。

③ 夏の食卓の演出

「目から涼を感じる」

 日本の美意識には”見た目で温度を変える”という考えがあります。例えば、ガラスの器・青磁や白磁の器・竹のランチョンマット・笹の葉・朝顔や紫陽花・ガラスの花器など、これらを取り入れるだけで、食卓は一気に涼やかな印象になります。食卓の演出を考えることは、料理を美しく飾ることではなく、季節を迎え入れる空間づくりなのです。

     

プロフィール

すみ代

 SUMIYO WELLNESS JAPAN Founder、美容家・茶道家。岩手県盛岡市を拠点に国内外で活動。エステサロン「ホロニックベルサンテ」を主宰し、ペットエステ事業も展開。一般社団法人国際シンセリティセラピスト協会理事、基礎医学士。ISTA認定講師・小顔/美顔矯正セラピスト、日本痩身医学協会認定ダイエットセラピスト、全米ヨガアライアンス認定YOGAインストラクター、一般財団法人民族衣裳文化普及協会認定講師。裏千家茶道・煎茶道などを広く学び、日本文化を通して、心・身体・暮らしを整えるウェルビーイングを発信中。