編集後記

編集後記


 みなさん、こんにちは。ニューヨーク市のマムダニ市長は7月27日、市が新設する公営食料品店「NYCグローサリーズ(N.Y.C. Groceries)」で、生鮮食品や肉類など主要食料品を一般的な小売価格より30%安く販売すると発表しました。物価高で増大する市民の食費負担を軽減する狙いで、所得にかかわらず全利用者が割引の対象となるという画期的なものです。


 割り引きされるのは、野菜と果物の全品、肉、魚介類のほか、牛乳、卵、チーズ、パンなど約20種類の主要な保存食品や冷蔵食品。これで市は、利用世帯の食費全体を平均15%削減し、月約90ドル、年間約1000ドルの節約につながると試算しています。


 一方、既存のスーパーや小規模小売店からは、税金で支えられる店舗との価格競争は不公平で利益が侵害されるとの懸念の声が出ています。また、記者会見では、大量買い占めによる転売にどう対応するのかという質問も出ました。

 一律公平に富を分配するという一見公平に見える共産主義的施策ですが、消費者を優先するあまり、業者をないがしろにする組み立てに実施までに歪みが出ないか心配です。世の中得する人がいれば、損する人が必ず反対側の天秤の皿に乗っかっています。あちらを立てれば、こちらが立たず、世の中ゼロサム社会で連通管の水みたいなものです。資本主義の骨組みを無視した発想に、旧ソ連時代のコルホーズ、ソフホーズという社会科で教わった言葉を連想しました。トランプ大統領がマムダニ市長を共産主義者呼ばわりした理由がなんとなくコレかと思った次第。

 日本で仮に東京都が経営する公営スーパーが池袋や新宿にダイエーやイトーヨーカドーより3割安く売る食料品店を出店したらどうなるでしょう。なんとなく複雑な混乱が起こるのは、議員でなくとも小学生でも想像できます。国が生協を経営するようなものです。やってみてダメだったらなかったことにしてもらうという簡単なものではないですが、マムダニ市長は張り切っています。こういうのをAIは、活力とでも訳すのでしょうか。まあ、蓋を開けてみないと分からないこともあるので、一消費者としてはまずはお手並み拝見といったところです。それではみなさん良い週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2026年8月8日号)

(1)NY市営食料品店  主要食品3割引き  

(2)悪霊追い払う  アイヌの刺繍

(3)新潟県南魚沼から海外派遣  ワシントンDCとNY 

(4)八神純子が旅する ルート66  (第5回)

(5)国家的悲劇としての熊本地震

(6)スマホで旅券 申請可能に

(7)日本の職人技を売る 地方の物産にも特色

(8)海外結婚相談室 行動が変わると、景色が変わる

(9)NYで夢に挑む 日本人女性たち


(10)「AI時代の今、NYで生きる」  Polyphony展覧会

NY市営食料品店 主要食品3割引き

来年末に1号店

物価高対策で食費負担軽減

 ニューヨーク市のゾーラン・マムダニ市長は7月27日、市が新設する公営食料品店「NYCグローサリーズ(N.Y.C. Groceries)」で、生鮮食品や肉類など主要食料品を一般的な小売価格より30%安く販売すると発表した。物価高で増大する市民の食費負担を軽減する狙いで、所得にかかわらず全利用者が割引の対象となる。

 割引されるのは、野菜と果物の全品、肉、魚介類のほか、牛乳、卵、チーズ、パンなど約20種類の主要な保存食品や冷蔵食品。対象商品の価格は月ごとに決め、1か月間固定する。市は、利用世帯の食費全体を平均15%削減し、月約90ドル、年間約1000ドルの節約につながると試算している。

 市は5行政区に1店舗ずつ設置する計画で、第1号店は2027年末までにブロンクス区ハンツポイントで開店する。マンハッタン区では、イーストハーレムにある市営市場「ラ・マルケタ」の敷地内に、新たな店舗を建設する。全5店舗を2029年末までに開く予定で、整備費として市の資本予算から7000万ドルを充てる。

 店舗や土地は市が所有し、家賃や建設費などの負担を抑える一方、日常の店舗運営は公募で選ぶ民間事業者に委ねる。たばこ、酒類、宝くじ、温かい調理済み食品は販売せず、地域の小規模食料品店との競合を抑えるとしている。同市営食料品店は身分証明書の提示は求めず、同市民でなくても割安の商品を購入できるとしている。無料のメンバーシップ・カードも提供するが任意のため義務ではなく、在住する住所を記入する必要もないという。

 一方、既存のスーパーやボデガからは、税金で支えられる店舗との価格競争は不公平で利益が侵害されるとの懸念も出ている。市内全体に対して5店舗にとどまるため、食料品価格の抑制効果や、継続的な運営費をどう確保するか、大量買い占めによる転売にどう対応するのかも課題となる。5区に1店舗だが、その店に行きさえすれば、誰でも隔てなく平等に生鮮食品や肉類など主要食料品を一般的な小売価格より30%安く買えるだけに、地下鉄などの交通費をかけてでも元が取れるほどの割安となるため、多くの市民が殺到することが予想される。徒歩圏内にある食料品店だけでなく市外の食料品店でも客足が遠のく可能性もあり、既存商店の不安をどう払拭するかが今後の懸案事項だ。

悪霊追い払う アイヌの刺繍

ジャパン・ソサエティーで
第二弾! 12日と13日開催

 ジャパン・ソサエティー(東47丁目333番地)は7月に続き、8月12日(水)と13日(木)の両日、「アイヌ・サマー・フェスティバル—アイヌの物語、文化、そして伝統」の第二弾を開催する。

 アイヌの人々は、工芸の伝統で知られており、刺繍やアップリケによって生み出される精巧な模様や、世代を超えて家族に受け継がれてきた独自のデザインが特徴だ。アイヌの伝統的な衣装の背中、襟、裾によく見られるこれらの模様は、単に美的な目的だけでなく、悪霊を追い払うお守りとしての精神的な意味も持っている。

 アイヌの工芸伝統の保存に積極的に取り組んでいる北海道の「ニブタニ工芸協同組合」が来米し、12日 午後4時から午後5時30分までアイヌの刺繍の風習を紹介し、少人数制のワークショップ「イカルカル=アン・ロ!」を開催する。参加者全員が自分で制作したアイヌ刺繍を持ち帰ることができる。参加費は一般20ドル、学生・シニア17ドル、ジャパン・ソサエティー会員15ドル。

 またその後アイヌ語ワークショップや「Sinot 沙流川流域の踊り」公演(レセプション有り)を開催。13日は午後4時から5時30分「Sinot=an ro!」アイヌ古式舞踊ワークショップ、午後5時30分〜6時45分・映画「Ainuー ひと」無料上映会・溝口尚美監督の質疑応答、午後7時〜8時30分「Ikarkar & Itak: アイヌの刺繍と言語」(レセプション有り)を開催する。チケットの申し込みはウェブサイトhttps://japansociety.org/ainufestival/

新潟県南魚沼から海外派遣  ワシントンDCとNY


 新潟県南魚沼市の中学生と高校生を合わせた12人がワシントンDCとニューヨークを訪問し、ホームステイなども含め7月28日から8月3日まで来米した。市が主催する「南魚沼市中学生高校生海外派遣事業」の一環で来米したもので今年で4回目。一行には岡村秀康南魚沼市教育長はじめ、市教育委員会職員が同行した。   

 ニューヨークでは、ニューヨーク日本総領事公邸と日本政府国連代表部を表敬訪問した。一行は、7月31日午前11時にニューヨーク総領事の片平聡大使公邸を訪問した。片平大使は歓迎の挨拶の中で、現在の公邸が2年間の改修工事の移転中の仮公邸であることを紹介した上で、アメリカと新潟との関係について述べた。この中で大使は、ペリー提督が江戸幕府に開国を迫り1858年に日米間で結ばれた日米修好通商条約で、日本は函館、横浜、神戸、長崎、そして日本海側で唯一となる新潟の港を米国の希望で開けたことについて触れた。「アメリカと日本の関係の中で、最初のところから新潟は重要なところだった。みなさんはその歴史を引き継いでいる」と話した。

 続いて、在留邦人が安全に生活できるように当地の日本人を守ること、日本企業のビジネス活動を支援すること、日米関係がさらに進化して良い関係を築けるように草の根レベルの人間関係の構築を大切にしていると述べた。このあと総領事館の職員から在外公館の仕組みや仕事内容について説明を受けた。

  午後に訪問した国連代表部では、山﨑和之国連大使と面会した。山﨑大使は、生徒たちに3つの点について語った。「一つは国連は協力も対立も扱っている場所であり、国と国との関係は人間と人間との関係に似ている、それはすごくもろい関係にある。人と人との関係をどう担保するのかが重要。日本は世界から恵まれたところと見られることが多いが、どうか世界に目を向けてほしい。2番目は、天然資源の限られた日本は世界との結びつきで生存しているということを意識してほしい、3つ目は、現場に行って自分の目で見てその場の状況がどうだったのかを感じてほしい。現場に行って実物を見ることにより、情報を正しくキャッチすることができる、それが成功する秘訣だ」と述べた。

 生徒たちは、NY総領事館公邸、国連代表部訪問という公式行事を終えたあと、NY滞在中は、セントラルパークやNY公立図書館、国連本部、9・11メモリアル博物館を見学したほか、最終日はニューヨーク新潟県人会が迎えるホストファミリー宅に宿泊し、海外で生活する同郷の先輩たち家族とも交流した。

 この海外派遣事業は、大坪賢次ニューヨーク新潟県人会名誉会長が2022年に亡くなった妻の理恵さんの「故郷が発展するには人材の育成が大事。それには進路がまだ決まっていない中学生のうちが良いと思う」との夢を叶えてあげたいと何度も故郷新潟に足を運んで実現に漕ぎ着けたものだ。(三浦)   

南魚沼市の将来担う人材に
南魚沼市長 林 茂男

 今年で4回目となる南魚沼市中学生高校生海外派遣研修事業を無事に実施することができましたことを大変嬉しく思っております。本事業はニューヨーク新潟県人会の大坪賢次名誉会長のご尽力をはじめ、会員の方々の献身的なご協力により実現したものであり、この場をお借りして皆様方に心から感謝を申し上げます。

 在ニューヨーク総領事館公邸や国連本部への訪問、温かく迎えてくださったホストファミリーの皆様との交流など、国際的な価値観や現地の暮らしぶりに触れる極めて貴重な経験を積むことができました。生徒たちは、この経験を糧に、国際感覚を持ち南魚沼市の将来を担う人材に育ってくれるものと心から期待しています。     

世界に挑戦する新たな一歩
南魚沼市教育長 岡村秀康

 派遣生12名は、世界とつながる確かな手応えをニューヨークで感じました。摩天楼が連なる街並み、多様な文化が交差するエネルギー、そして現地で活躍する日本人との出会いによって、新たな視野が広がりました。 

 山﨑和之国連大使、片平聡総領事との面会では、国際社会の最前線で活躍する姿に大きな刺激を受け、さらにホストファミリーとの交流を通して、ニューヨークならではの暮らしや文化、人と人とのつながりの温かさを実感しました。そして、「自分も世界に挑戦したい」という思いを胸に、新たな一歩を踏み出そうとしています。この貴重な研修を支えてくださった大坪賢次様をはじめ、ホストファミリー、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。    

新潟への大きな貢献に

NY新潟県人会名誉会長
大坪賢次

 故郷新潟県南魚沼市が活性化するには、国際的な感覚を持つ人材を育てることが大切だという事から始めたプロジェクトも、今年で4年になります。

 ワシントンDCとニューヨーク市を訪れた今年度の派遣生徒たち12人は市内観光のみならず、山﨑和之国連大使、片平聡ニューヨーク総領事を訪問して、国際社会における日本の活動と立場について講義を受けました。また全員がNY新潟県人会有志のホストファミリー宅に宿泊して、アメリカの家庭生活を体験しました。

 これらの経験が、国際感覚を持つ人間を育て、将来必ずや故郷新潟に大きな貢献をもたらすものと思います。

NY総領事館と国連代表部で山﨑大使と片平総領事から日米関係や勉強の仕方聞く

 新潟県南魚沼市の中学生と高校生を合わせた12人がワシントンDCとニューヨークを訪問し、ホームステイなども含め7月28日から8月3日まで来米した。(2面に関連記事)

 生徒たちは7月31日午前、ニューヨーク総領事の片平聡大使を表敬訪問し、改修工事のため移転中の総領事公邸を訪れた。職員が在外公館についてまず説明した。世界には275か所に在外公館があり、そのうち、大使館は195、総領事館は67、日本政府代表部は13あり、外務省本省に約3000人、海外に3800人の職員がいること、総領事館は、邦人保護、安否確認、政治、経済、広報文化活動の主な4つの仕事をしていると紹介した。

 大使は1858年に日米間で結ばれた日米修好通商条約で、日本は函館、横浜、神戸、長崎、そして日本海側で唯一となる新潟の港を米国の希望で開けたことについて触れ「日米の関係の中で、最初から新潟は重要なところだった。みなさんはその歴史を引き継いでいる」と話した。

 続いて、在留邦人が安全に生活できるように当地の日本人を守ること、日本企業のビジネス活動を支援すること、日米関係がさらに進化して良い関係を築けるように草の根レベルでの人間関係の構築を大切にしていると述べた。生徒たちからは外交官の生活やどのような勉強が必要なのかといった質問が出され、大使が丁寧に答えていた。生徒を代表して阿部蓮希さんがお礼の挨拶をした。

 午後に訪問した国連代表部では、山﨑国連大使が3つのテーマを語り、生徒たちにアドバイスした。一つは、国連に加盟している193か国の中でも、日本と協力し合える国と対立関係にある国があるとした上で「国連は協力も対立も扱っている場所であり、国と国との関係は人間と人間との関係に似ている、それはすごくもろい関係にある。人と人との関係をどう担保するのかが重要。日本の中にいるとあまり感じないが、世界から見ると日本は恵まれているところと見られることが多い。一定水準の教育が国民に浸透し、安全で社会制度が確立している。どうか世界に目を向けてほしい。2番目は、天然資源の限られた日本は世界との結びつきで生存しているということを意識してほしい、3つ目は、現場に行って自分の目で見てその場の状況がどうだったのかを感じてほしい。今回皆さんが米国を訪問されているように現場に行って実物を見ることにより、情報を正しくキャッチできることができる、それが成功する秘訣だ」などと述べた。

 生徒からは世界から見た日本のイメージについて質問が出た。山﨑大使は、「日本は国際法を守る国。長年発展途上国や低所得の世界の開発に、自らの発展の経験をいかし貢献している。今その支援を受けた多く国が国連内での選挙の時に日本に票を入れてくれたり支持してくれている、日本は技術力、文化、文学、和食など世界から文化的にいいイメージを持たれている。ただし、いいことずくめではない。日本はこのところ元気がない、留学生が少ないと思われている。日本人は発想が受け身なところがある。自分は外務省に入った頃、上司から「これどうしましょうかとは言うな」と言われた。妙案でなくとも「自分だったらこうするという提案を持つことが大事だ。自分で考えることで、競争に勝つチャンスが生まれる。能動的に考えてほしい」とアドバイスした。生徒を代表して加藤優学さんがお礼の挨拶をした。

八神純子が旅する ルート66  (第5回)

青空に魅せられて

 私がアメリカ、それもカリフォルニアに住みたいと思ったのは、雨の降らない夏の雲一つない青空が、見ているだけで私を幸せにしてくれたからだ。そんな話を聞いた親友はかつて「だったらセドナを見ないで人生を終えちゃダメよ」と言っていた。

 そのセドナがルート66からちょっと離れたところにあるのだから、これまた立ち寄らないわけにはいかない。セドナはご存知の通り、グランドキャニオンと並ぶ西部の一大観光地。地磁気が強く、vortexと呼ばれるパワースポットの街として世界中から人が集まってくる。地磁気が脳に良い刺激をもたらすなんて言われたら、スピリチャルな世界を信じるタイプではない私でさえ、パワーチャージができるような気になる。

 でも私の目的は「青空」だ。本当に美しかった。カリフォルニアとは青さの深みが違う。その青が浮かぶ雲を白ではなく、真珠色に輝せる。青をさらに引き立てるのはそびえ立つ赤い岩・レッドロック。グランドキャニオンで感じた「地球の底力」を、また別の角度から、別の風景から教えられた気分になった。確かに「見ないで人生を終えてはいけない」青空だった。

 ルート66に戻り、セドナとともに観光地となっているフラッグスタッフに向かう。ルート66沿いの街々には、ゴーストタウンのようになってしまった街と、フラッグスタッフのように洗練されたトレンディーな街もある。その日がちょうどアメリカの建国記念日だったので街中は観光客であふれていた。観光の案内人によると「ショーが行われる」とか。それも山火事の危険を減らすため、花火ではなくドローンによるショー、だという。

 夜9時近く。小高い丘に立っていると「ブーン」というちょっと不快な音と共に約百機のドローンが飛んできた。その姿はまるで巨大な蜂の大群のよう。ドローンが光を放つと人々の歓声が上がり、「USA」とか「60年台のクラッシックカー」とか「ルート66 100周年」などと文字や絵を描くと、拍手が湧いた。

 それぞれの街には、先住民族から作り上げてきた歴史がある。人が作る光景もある。一方で、地球が人類など一顧だにしない自然がある。ルート66を旅する中で、アメリカという国の大きさや深さをあらためて感じ、もっとアメリカを知りたくなっていった。

(やがみ・じゅんこ、シンガーソングライター、ロサンゼルス在住)

国家的悲劇としての熊本地震

 1995年の阪神淡路大震災は多くの人命を奪い、大規模なインフラを破壊した。けれども、当時の日本の経済力は被災全域の復興を迅速に実現した。2011年の東日本大震災においては、特に津波の被災地域においては嵩上げと巨大堤防という巨額投資がされた。結果的に人口減を加速させたが、少なくとも現場の政財界が求めたインフラ復興は実現した。

 けれども、2024年の能登震災では状況は暗転した。過疎地への復興投資を疑って都会の有権者に媚びる言動が野党勢力から飛び出したのを良いことに、政府の動きは鈍かった。主要幹線道の修復も上水道インフラの回復も信じられないほど遅かったのである。

 そして、今回の熊本地震である。2016年に2回の震度7を経験したほぼ同じ地域を、改めて強烈な揺れが襲った。10年前の教訓は確かに生きており、この間の耐震投資の成果はあったと見られる。けれども、震災の被害と復興への見通しを考えると、今回の事態は10年前の震災とは比較にならないものを感じる。今回動いた断層以外にも、日本列島には危険な「Sクラス」の断層が多く走る。これが、俗に言う直下型震災の危険につながっている。それとは別に、南海トラフのリスクがある。そんな中で、今回の熊本の事態は改めて地震の可能性というのが国家的な危機であり、いったん被災してしまうと危機は悲劇に転じるということを否が応でも感じさせている。東日本や能登の震災は過疎高齢化と震災の二重被災という悲劇であったのは間違いない。けれども、今回の26年熊本地震が示すものは、日本列島の全ての地域、全ての国民に危機を突きつけているということで、過去のいずれの震災とも意味合いが異なる。

 3点指摘しておきたい。

 1点目は、震災と酷暑のダブル被災という問題だ。夏季限定のリスクではあるものの、このリスクについては全国一律に直面しているのは間違いない。例えば、南海トラフにしても首都直下型にしても、酷暑の時期に発生した場合、今のままでは膨大な関連死が発生する。日本の夏は高温多湿だから風通しの良い建築で対応というのは過去の話であり、現在のような摂氏40度で湿度75%という中では、電力が途絶えてエアコンが停止した場合には多くの人口が死に直面してしまう。対策は可能だが巨額の投資を必要とする中で、社会的な合意形成が必要だ。

 2点目は、誤った社会的心理である。東日本から能登にかけてネット社会では、多くの誤った意見が幅を利かせるようになってしまった。まずボランティアについては、「受け入れ態勢が整わない以前に現地入りするのは悪」だとして摘発、また政治家については「被災地入りは売名行為」だとして徹底非難、更には「マスコミの取材活動は被災者に迷惑」だとして批判という三点セットである。どれも個別には正しい場合もあるだろうが、一般論としては暴論であり弊害ばかりである。けれども残念ながらこの種の指摘が横行する中で、関係者が効果的に動けていない。

 3点目は、耐震性の問題だ。前述したように、今回は10年前の震災と比較すると、倒壊家屋の数から見られるように耐震建築の効果は歴然としている。けれども、局所的には非常に大きな揺れに襲われて甚大な被害が出ているのは否定できない。

 例えば、九州新幹線については事故につながるような脱線は避けられたが、設備の破壊は10年前より深刻である。軌道の断裂や高架橋のズレなどを生じており、復旧には数カ月単位以上を要すると見られている。高速道も同様であり、要衝の部分で高架橋の損傷が激しい。

 製紙工場の煙突倒壊にについても、ショッピングモールのガス漏れにしても、詳細は調査を待つしかないが、どうやら想定外の激しい揺れが耐震性能を上回ってしまったようだ。八代市役所の免震構造破壊も同様である。日本の震度基準では最高を震度7として、揺れの加速度と周期を中心に定義がされている。また、この数値を前提に免震・耐震技術を積み上げてきた。けれども、震度7の数値をはるかに上回る揺れが起きるとなると、免震・耐震への投資をどこまで追加するのかは、国家的判断となる。現状では足りないとしても、国力の問題として無限に投資はできない。

 今回震災への対応は、こうした意味で全国民を当事者とした深刻な課題を提起していると言える。

(れいぜい・あきひこ/作家・プリンストン在住)

スマホで旅券 申請可能に

スマホで旅券 申請可能に

マイナンバーカード所持者限定

外務省 8月25日以降に操作方法を発表

 ニューヨーク日本総領事館は4日、【お知らせ】としてマイナポータルからのパスポートのオンライン申請の運用開始について次の通り発表した。(原文まま)

◇ 

 本年8月25日以降、国外転出者向けマイナンバーカードをお持ちの方は、マイナポータルからパスポートのオンライン申請が可能となる予定です。

 マイナポータルからの申請方法の詳細については、8月25日以降に外務省ウェブサイトに掲載予定の操作説明動画やマイナポータルの操作マニュアルをご参照ください。

 なお、オンライン在留届(ORRネット)からのオンライン申請も引き続きご利用いただけます。

申請方法(抜粋)

 マイナポータルからパスポートを申請される際は、事前にスマートフォンにマイナアプリ(8月25日提供開始予定)をインストールの上、ご利用ください。マイナポータルからの申請方法の詳細については、8月25日以降に外務省ウェブサイトに掲載予定の操作説明動画やマイナポータルの操作マニュアルをご参照ください。

外務省ウェブサイト:

https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/index.html

マイナポータル操作マニュアルウェブサイト:

https://img.myna.go.jp/manual/03-10/0225.html

  オンライン在留届(ORRネット)との相違点

 マイナポータル申請と従来のORRネット申請の主な相違点は次の通り。

(1)マイナポータルからパスポートを申請する場合は、「国外転出」と記載されたマイナンバーカードが必要。

(2)マイナポータルからのパスポート申請では、戸籍情報がシステム連携により自動的に取得されます。したがって、有効なパスポートをお持ちでない方や氏名や本籍地等に変更があった方がパスポート申請する場合に、別途戸籍謄本や電子戸籍パス(戸籍電子証明書提供用識別符号)をご用意いただく必要はありません。ただし、未成年者などのパスポート申請を法定代理人が代理提出する場合であって申請者と法定代理人の戸籍が異なる場合等には、電子戸籍パスが必要。

(3)マイナポータルからは、在外公館等でパスポートを受け取る場合のほか、一時帰国中に日本国内の旅券事務所でパスポートを受け取りたい場合にもオンライン申請が可能です。

(4)マイナポータルから未成年者などのパスポート申請を法定代理人が代理提出する場合、法定代理人はマイナンバーカードを使って電子署名するため、別途署名画像をアップロードする必要はありません。

(なお、パスポートに記載する申請者の自署画像のアップロードは必要です。)

●国外転出者向けマイナンバーカードについて

https://www.ny.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/News_2024-05-27.html

●パスポート申請について

https://www.ny.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_00472.html

●電子戸籍パスについて

https://www.moj.go.jp/MINJI/denshikoseki/index.html

海外結婚相談室 行動が変わると、景色が変わる

〜いつもと違う週末にふたりの未来をイメージ〜 

 「出会いがないんですよね〜」世界でいちばんエネルギッシュな街、ニューヨークで奮闘するみなさんから、実はいちばんよく聞くセリフです。無理もありません。朝から晩までタフな交渉をこなし、気づけば週末も仕事。せっかくニューヨークに住んでいるのに、毎日が家と職場を往復するだけのルーティーンになっていませんか?

 夜遅くまで残業して帰宅した、ある独身男性がぽつりとこぼす。「真っ暗な部屋の電気をつける瞬間が、いちばん寂しい」。同僚たちは家族の待つ家へ帰っていく。自分だけがデリバリーの容器を片付けながら、静けさと向き合う孤独な夜。仕事の成果は誰よりも認められているのに、ドアを開けても「おかえり」の一言がない。ニューヨークという街の華やかさの裏側で、こんな夜を過ごしている駐在さんは、決して少なくないはずです。

 週末、少し時間ができたならば、いつもと違う行動を起こしてみてください?例えば、ゲット・ユア・ガイドのアプリを開いて、サミットワンのチケットを48ドルで入手しキラキラを体験してみる。ハドソンヤードへ行ってエッジに登り、マンハッタンを俯瞰して見る。ピアからクルーズ船に乗ってみる。観光客には定番でも、住人は意外と自由の女神さえ行ったことがなかったりします。

 「彼女とのデートはこんな感じで」「ランチはここのカフェで」。イメージを膨らませながら週末のプランを立ててみると、見慣れたマンハッタンが、二人で過ごす素敵な街に見えてきます。

 意識が変わると現実が変わる。行動が変われば出会いもある。とはいえ、忙しいあなたが婚活のためだけに割ける時間はそう多くないかもしれません。だからこそ身元が確かで本気度の高いお相手と出会える結婚相談所という選択肢が近道なのです。「パートナーがいたらな」と、ただ待つよりも、一歩を踏み出してください。電気をつけた瞬間に「おかえり」と言ってくれる人が、きっと見つかります。

松本直子

国際結婚相談所TJM代表。米国を拠点に、世界でパートナーを探す日本人女性と海外男性の良縁を繋ぐ。温かく丁寧な支援で成婚へ導く。  https://traditionaljapanesematchmaker.us/

日本の職人技を売る 地方の物産にも特色

NY NOW展示会

DECO BOKOが日本ブース出展

 日本のブランドと米国のバイヤーを繋ぐ展示会「DECO BOKO(ノース・レーン・インターナショナル、徳重真梨子代表主宰)」が、2日から4日までニューヨークのジェイコブ・ジャビッツ・コンベンション・センターで開催された米国最大規模のギフト・雑貨展示会「NY NOWサマー2026」に展示ブースを出展した。今年10回目で、今回は21ブランドが展示された。

(写真上) はんこ掘りの実演をする月野さん(右)とDECO BOKOを主宰する徳重さん

 今年は神奈川県内の企業がグループ参加したほか、日本全国の職人技を世界にアピールできる出店者が多かった。

 KAMAKURA SIGNET(鎌倉はんこ、代表取締役・月野允裕)は、鎌倉の歴史と職人技を礎に、日本の「はんこ」をラグジュアリーコレクターズアイテムとして再解釈した、現代的なシグネットブランドだ。鉄のフライパンを製造する株式会社ナウ産業(今寿義社長)は窒化黒染め加工で耐久性を高めた日本製鉄製調理器具を展示。今社長は、取手の接続部分の溶接は一発勝負でやり直しが効かない熟練の職人技が必要だという。絞りのファッションを手掛ける株式会社山上商店(本社・名古屋市、山上正晃社長)は、数百年の歴史を持つ「有松絞り」の技法と現代スタイルを融合したファッションブランドcucuriを実演紹介。組み木のジーンワークスの贈り手・池谷賢さんは精巧に組み上げられた商品を手に来場者に説明。Gojiaiは日常をちょっと豊かにするライフスタイルコレクションを紹介。代表の髙橋夏奈さんのジーンズのエプロンが来場者の目をひいた。

 DECO BOKOの徳重さんは「ここに来ればデザイン性の高い新しい日本ブランドが見つかるというバイヤーからの信頼と豊富な実績」を今年はさらに実感していると言う。

燕三条からは6社
SHOPPE OBJECT参加

 新潟県は、県内企業の米国への輸出拡大を図るため、ニューヨークでの販路開拓支援を実施し、2日から4日までチェルシーで開催された商品展示会SHOPPE OBJECTに燕三条の6社が参加した。浅野木工所(園芸用品、土農工具、レジャー用品)の副社長、浅野利栄子さんは「ブルックリンの園芸ショップなど、こだわりのあるお客様からの引き合いが多い。園芸バッグもサイズ感が珍しいと人気です」と話す。

 石﨑剣山の佐藤大輔社長は「アメリカ人の華道家の人などが買い求めてくれています」と特にミニサイズの剣山が人気とのこと。

 セネカはコーヨー・プロダクツ・ジャパンの名前で金属製のペーパータオルホルダーなどを並べた。金属おろし金メーカーのツボエの笠原伸司社長は手のひらに馴染む形状のおろし金のカラーバリエーションの美しさを手に取って説明した。とても軽い。

 高桑金属が作ったバナナの柄がついた食器はニューヨーク近代美術館(MoMA)の売店で売られているヒット商品。パケージもレトロな雰囲気で可愛い。

 製作工房武田は、スコップの形をしたスプーンが来場者の目を引いた。同社製作部の今井美穂さんはスパナの形をした柄のスプーンは、トヨタ自動車の博物館で販売されているという。

 燕三条ブランド推進部海外展開支援課課長の関川啓三さん=写真=は、燕三条の知名度は米国ではまだ浸透していない分、逆に伸び代があると見ている。「昨今の円安は、日本からの輸出には追い風で、昨年以上に海外からの引き合いが増している」と話している。

NYで夢に挑む 日本人女性たち


 本紙の今年のNY生活ウーマンのページで登場した日本人女性の中で、自らの夢を達成するために果敢にも単身でNYにやってきて夢を実現、または現実にしつつある10人を改めて紹介する。掲載号は本紙デジタル版(www.nyseikatsu.com)で読むことができる。

ダンサー 藤井千聖さん

https://nyseikatsu.com/editions/1036/pdf/page55.pdf

自分らしい音楽を奏でたい フルート奏者 佐伯麻由さん

https://www.nyseikatsu.com/featured-article/02/2026/45924/

歌って踊れるエンターテイナー raTera (ラテラ)さん

https://www.nyseikatsu.com/featured-article/03/2026/46071/

世界中を飛び回るピアニスト目指して  結束真琴さん

https://www.nyseikatsu.com/featured-article/04/2026/46278/

海外で9回目のカルメン踊る 柏木みどりさん

https://www.nyseikatsu.com/featured-article/04/2026/46393/

デザインは国境越える深夜特急 髙坂美桜さん

https://www.nyseikatsu.com/featured-article/04/2026/46454/

オーディションに夢託す  鵜飼優波さん

https://www.nyseikatsu.com/featured-article/05/2026/46608/

短歌とジャズの融合で新世界 及川陽菜さん

https://www.nyseikatsu.com/featured-article/07/2026/46953/

防衛医科大卒のバレエ教育者 菊池理園さん

https://www.nyseikatsu.com/interview/07/2026/47008/

日本での医師経験を米医療AIに生かす  石井京さん

https://www.nyseikatsu.com/featured-article/07/2026/47044/

「AI時代の今、NYで生きる」 Polyphony展覧会

ギャラリー60で27日から

 多声性を意味する音楽用語から命名したアーティストグループ「ポリフォニー」の、4人による企画展「いきる/Being」が8月27日から31日まで、ギャラリー60 NYC(東60丁目208番地,電話・347・601・4323)で開催される。入場無料。

 異なるバックグラウンドを持つ4人の作家が、「いきる/Being」を共通テーマに、各自の制作スタイルを「起承転結」のストーリーへと昇華させそれぞれの視点から表現する。

 副題の「巡・瞬・知・伝」は、命の「巡り」をテーマに制作をする越山由唯から始まり、いきる「瞬間」を捉える山口蒼平、いきる上で必要な「知恵・知識」を提示する落合晶代、人が培ってきた確かな技術・文化を継承し「伝える」ことを主軸に活動する戸髙綾乃が、一つの輪となる構成で作品を発表。

 日本画、書、パステル画、アクリル画、ミクストメディアなど、多様な技法の作品大小合わせておよそ約85点を展示。異なる表現が響き合い、「いきる」という普遍的なテーマを多角的に問いかける内容となる。

 29日は、午後1時から3時まで参加型ライブ制作を実施。同日午後5時から7時までレセプションパーティーも開かれる。

 開催時間は正午から午後5時までで、最終日は午後3時終了。詳細はギャラリー公式ホームページhttps://www.gallery60nyc.com/を参照のこと。

 企画協力株式会社美音。