すし匠が三つ星獲得 2025年ミシュラン

複数のNY和食店を表彰

「無垢」「Yamada」

 ミシュランガイドは18日、フィラデルフィアのキンメル劇場芸術センターで北東部のレストランやホテルを表彰する授賞式を開催し、3つ星に昇格したマンハッタンの「すし匠」(東41丁目3番地)を含むニューヨークの複数の和食店が選ばれた。

 北東部で今回唯一3つ星を取得した「すし匠」について同ガイドは「NY公立図書館の影で営む同店で、中澤圭二氏が最上級の熟練の技を実証する。この上なくユニークなおまかせは、多種多彩な魚介や野菜などの素材を日本の発酵技術を多く活用した料理で進行する。中澤氏のチームは柔軟性と進化を尊重しながらも常に伝統技術を誇りとし、完璧なチームワークに目を見張る。流れのペース、こだわりの幅と継承に、どれほどの寿司愛好家も感銘するだろう」と評価している。

 和食店に関してはそのほか、NY市内では懐石の「無垢」(グリニッチ通り412番地)、「Yamada」(エリザベス通り16番地)、そしてボストンのおまかせ寿司「スリーワン」(トレモント・ストリート605番地)が一つ星を獲得した。そのほか北東部の受賞店、ホテルの詳細はhttps://www.michelin.com/en/publications/products-and-services/michelin-guide-reveals-2025-northeast-cities-selectionを参照する。

救世軍社会鍋

 ニューヨーク歳末の風物詩とも言えるサルベーション・アーミー(救世軍)の「社会鍋(Red Kettle Campaign)」募金運動。感謝祭の11月末からクリスマスまで全米各地の街角で行われる恒例行事。赤い募金ポットとベルを鳴らすボランティアは100年以上続く歴史があり、ニューヨーカーには馴染みが深い冬の風景だ。

 NYの社会鍋は、ほかの街よりもパフォーマンス性が高いことでも知られる。ダンスをしながらベルを鳴らしたり、ラップやゴスペル調で募金を呼びかけたりとさまざまだが、とにかく明るくて楽しいのがNY流だ。特にロックフェラーセンター界隈では写真を撮る観光客が途切れない。

 (22日午後3時、6番街48丁目で、写真・三浦良一)

留学の地、NYで能舞台を演じる

能楽師 関 直美さん

Performance of Aya no Tsuzumi © Courtesy of Hosho-ryu School

 ジャパン・ソサエティーで12月4日から6日まで宝生流による能公演『三島の愛した能(英題:Mishima’s Muse – Noh Theater)』が開催される。能や歌舞伎などの古典芸能に精通し、伝統的な日本の美を称賛した三島は、能の代表的な作品の数々を彼と同時代の物語に移し変え『近代能楽集』として八つの戯曲を残した。同公演では、米国デビューとなる第20代宗家・宝生和英率いる能楽宝生流が、それらの元となった『綾鼓』と『葵上』を披露する。関直美さんは、5日に上演される「綾鼓(あやのつづみ)」のツレの女御の役で出演するため今回来米した。茶道の家に生まれ、ニューヨークに学び、帰国後、34歳で東京藝大に入り能楽師となった人だ。

 能の世界に入るきっかけは、喜寿の祝いで舞った百歳の老女小野小町の能『関寺小町』を見たこと。その舞台でシテ(主役)が倒れた。神に捧げる能は、途中で止めることは許されない。シテを舞台袖に寝かせたまま舞台は続く。命を懸けた能舞台を見た関さんは一切を捨てて34歳で能の世界へ飛び込んだ。能とは何か。生きるとは何か。それを問い続ける毎日だった。

 ビジネスの専門学校卒業後、大手ゼネコン会社に入社し、ロスに行った先輩の影響を受けて渡米したが、生活のリズムが東部の方が合っていると思い一旦帰国して今度はNYへ。ロングアイランド、ブルックリンハイツに住んで、セントフランシス大心理学部を卒業後、大学院修了目前に母親から呼び戻され、ビジネス経営コンサルタントの道を断念して帰国した。もしあの時日本に帰っていなければ、今頃マンハッタンのミッドタウンのどこかで仕事をしていたかもしれない。

 人の人生は、常に理不尽で不公平な環境との闘いでもある。能や歌舞伎の世界もそうだ。世襲と世襲でない者とにはっきりと分かれているが、どちらもなくてはならない存在で、お互いに支え合っている立場だ。どんな理不尽なことにも不公平なことにも我慢。「嫌だったらいつでもやめていいですよ」と言われる立場に身を置き続けた。

 ニューヨークから帰国後、母の死により、茶家を継ぐため京都の裏千家学園に行った。そして1999年東京藝大の音楽部邦楽科を能楽専攻にて受験し見事に現役合格する。宝生流宗家より楽屋入りを許される職分となり(公社)能楽協会に入会する。芸大での9年間の研究を終え、音楽博士の学位を得た。

 能楽師として舞台に立つ傍ら、研究者としての能楽の研究をして玄人としては初めての音楽博士となる。また茶道においては1990年パリのルーブル美術館でのシラク大統領夫妻臨席の献茶式渡仏代表団の一員に選抜されている。

 「どんなに辛いことがあっても、自分を支えてこれたのは、ニューヨーク時代の留学生活があったから。自分の置かれている立場を常に客観視できて、追い詰められることがなかったのが救い」。留学体験は関さんにとって大いなる幸運であり人生のリワード(ご褒美)だったのかもしれない。

 今年、著書『Yes, Noh』をKULA SCIP社から出版している(本紙2月1日号の書評欄で紹介)。そこには女性能楽師で重要無形文化財総合指定保持者でもある関直美さんの「YESな半生」が綴られている。1964年、北海道帯広市生まれ。

 (三浦良一記者、写真も)

『窓ぎわのトットちゃん続編』英語版を米で発行

翻訳者の手嶋さんNYで語る

講談社USA

 講談社USAは黒柳徹子のベストセラー『窓ぎわのトットちゃん続編』の英語版発行に合わせニューヨークで3つの記念イベントを開催した。22日には翻訳者・手嶋優紀さんによるトークイベントがニューヨーク公共図書館(53丁目分館)で午前11時30分から開催された。当日は、講談社USAの編集者アレクサンドラ・マカロー=ガルシアさんと手嶋さんが続編について来場者からの質問にも答えながら英語版を紹介した。

 手嶋さんは冒頭で、「自分の母親が大のトットちゃんファンだったので、翻訳者として関わることができて本当に親孝行ができました」と述べた。

 会場の読者から「続編から読者が発見する最大のものは何か」という質問に対し、手嶋さんは「人生であった一つの出来事が、自分の人生のすべてではないということ、どんどん自分を前進させていくことだと思います」と述べた。

 続編では、戦後から現在に至るまでのその後について描かれているが、アメリカ人女性から「戦争の表現や平和についてどんなふうに書かれているのか、英語版に翻訳する上で難しいところはなかったか」という質問もあった。

 手嶋さんは「本の中身に難しい政治的表現はなかったし、私は黒柳さんの表現をそのまま忠実に翻訳しただけなので、翻訳すること自体には難しいことはなかった。疎開先での話や彼女の声と彼女の経験をいかに英語で伝えるのかということに専念した」と述べた。

 24日には、紀伊國屋書店NY本店1階の特設会場で手嶋さんのブックトークとサイン会が午後6時から行われ大勢のファンが詰めかけた。

 手嶋さんは4歳から24歳までロサンゼルスで過ごした後、東京とロサンゼルスを行き来する生活を送り、2011年から15年まではニューヨークで暮らしていたことがあるという。

 「アメリカで育ったので英訳する際に(アメリカの)読者目線で表現できた部分はあったかもしれない」と振り返った。会場から「フェミニストとしての日本での存在感」について参加者から問われ「日本女性で初めて自分のテレビトーク番組を持ち、その長寿番組を通じて今でも大きな社会的影響力を持っている」と答えた。25日夕にはジャパン・ソサエティーでアニメ映画『窓ぎわのトットちゃん』が上映され、パネルディスカッションとサイン会が行われた。

 続編の英語版発行にあたり著者の黒柳徹子さんは「皆さんこんにちは、黒柳徹子です。このたび、『窓ぎわのトットちゃん続編』の英語版が発売されることになりました。40年も経ってしまいましたが、一生懸命書きました。みなさん、楽しんでくださいね」とコメントしている。 (三浦良一、写真も)

(写真右)黒柳徹子さん Photo/Kazuyoshi SHIMOMURA

米国の台湾、沖縄、尖閣に対する曖昧戦略

 高市早苗首相は国会で、いわゆる台湾有事で、(中国が)「戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、『存立危機事態』になり得る」と答弁しました。これは、日本が直接攻撃を受けていなくても、友好国が攻撃を受け、政府が存立危機事態と認定すれば、自衛隊が海外で武力行使を行えるという意味です。

 台湾を国の一部とする中国は、内政干渉として猛反発し、レアアース輸出規制、日本産水産物の輸入停止、日本への渡航制限などの強硬策を拡大させています。

 安倍晋三首相を含む歴代首相は、何が存立危機事態にあたるかを明言せぬ曖昧戦略で対応してきました。

 米国も台湾に関する曖昧戦略を取っています。トランプ大統領は、今年2月「米国は中国の台湾への武力制圧を許すのか」との質問に対し「コメントしない。その立場に自分を置きたくない」と答えました。

 11月24日に電話会談した習近平国家主席が「中国と米国は肩を並べてファシズムと軍国主義と戦った」と述べたのに対し、大統領は「中国にとっての台湾問題の重要性を米国は理解している」と述べています。

 米国の尖閣諸島に対する対応も二面的です。日本の施政権は認める一方で、日本の領有権(主権)は認めないという使い分けで、中国にも一定の配慮を示しています。

 米国と沖縄との特別な関係はペリー提督に始まります。彼は1853年に黒船で日本開国を迫る前に沖縄に立ち寄り、琉球王国と国交を樹立しました。第2次大戦後も1972年の日本への返還までは、米国が施政権を保持していました。

 これらの米国の台湾、沖縄、尖閣などに対する曖昧戦略は、外交の知恵である一方で、中国や朝鮮半島の分断構造を支えてきた側面もあります。

 他方、トランプ現政権は米国本土への攻撃能力を持つロシア、中国、北朝鮮との関係維持も重視しているように見え、注視が必要です。万が一台湾を巡り米国と中国が戦う場合、米軍基地は台湾にはなく日本にあるという事実も重要です。

 今回の日中対立を、東アジアの分断構造に代わる新体制作りへの好機としたいものです。鉄と石炭を9か国が共同管理して独仏両国が「戦争できない仕組み」として設立された欧州石炭鉄鋼共同体が今日のEUの原点です。東アジアでも「戦争できない仕組み」を目指す時です。独仏両国ともに譲り合った歴史に学びながら。

 ふじた・ゆきひさ=オックスフォード大政治国際問題学部客員研究フェロー(英国在)。慶大卒。国際MRA(現IC)や難民を助ける会等の和解・人道援助活動を経て国会議員、財務副大臣、民主党国際局長、等を歴任。現在、国際IC日本協会長、岐阜女子大特別客員教授も兼任。

合同県人会若返り作戦 17道県33人が参加

じゃんけんゲームで盛り上がる会場

 ニューヨークで2025年度秋の合同県人会が20日夜、ニューヨーク日系人会(JAA)で開催され、15道県と団体合わせ17団体から33人が参加した。同会はこれまで県人会の代表が集まる会合だったが、「今回からは各団体の活性化を考えて代表者だけでなく、次世代を担う若手スタッフにも声がけを行い、新たに執行部を作って各県人会の会員メンバーにも参加してもらった」と幹事の木下信義さんは話す。当日はお茶の景品が当たるじゃんけんゲームなども実施されて大いに盛り上がった。

 参加したのは北海道、青森、岩手、茨城、群馬、埼玉、石川、和歌山、鳥取、岡山、広島、徳島、香川、長崎、鹿児島とそのほかの団体(奄美会、地球)など合計17団体。自治体国際化協会(クレア)、ジャパン・パレード実行委員会、ジャパンビレッジ夏祭り運営関係者、JETプログラム同窓会スタッフなども参加し、お馴染みの年配諸氏と若い人たちが食事や日本酒をかわしながら意見交換し、和気藹々のネットワーキング、交流会を楽しんだ。

工芸菓子NY五番街に 源吉兆庵で展示

職人が作る芸術

 和菓子の源吉兆庵ニューヨーク五番街店で現在、工芸菓子「花美麗鳥(かびれいちょう)」の作品が展示され、買い物客だけでなく、フロントウインドウからも街行くニューヨーカーたちの目を楽しませている。

 この作品は、今年5月に日本で開催された「第28回全国菓子大博覧会・北海道あさひかわ菓子博」で最高賞である名誉総裁賞を受賞したもので、その名の通り、花々に囲まれた麗しき鳥の姿を表現している。

 工芸菓子作り20年のベテランで同社ゼネラルマネージャーの横田幸久さんが来米し、厳重に梱包された箱から菓子で作られた花一輪ずつを慎重に取り出して飾り付けた。「ニューヨークの皆さんに見ていただけて嬉しいです」と話す。展示は来年1月末まで。

石川県からRhy Zooが来米公演

 石川県から音楽、囲碁、書道を紹介する文化イベント「ハーモニー・オブ・ジャパン」が22日マンハッタンで開催され、東京藝大卒の3人組ユニットRhyZoo(リズー)の演奏で会場が沸いた。

 バイオリンの加藤光貴、宮川清一郎、サポートメンバーのコントラバス奏者・杉本望海(NY在住)がビバルディの夏、ハンガリアンダンス、ミッション・インポッシブルなど7曲を演奏した。

 その後、囲碁サロン石心席主の佃優子による囲碁将棋の紹介やワークショップ、金沢市在住の書道家・宇多青莎による大筆パフォーマンスが行われ、石田寛人全国石川県人会連合会会長も来米してニューヨーカーらと一緒に楽しんだ。

第41回JCCI年次晩餐会 日米経済界から600人

 ニューヨーク日本商工会議所(JCCI、松井透会頭)は19日夜、マンハッタンのジグフィールド劇場で第41回年次晩餐会を開催し、日米経済界から600人が参加して盛大に開催された。

 今年のイーグル・オン・ザ・ワールド受賞者は、オードリー・ヤマモト米日協会会長兼CEOとプロゴルファーで全米女子オープンで2度優勝したユカ・サソさんに贈られた。記念受賞者にはジョセフ・S・ナイ・ジュニア・ハーバード大学名誉教授に贈られた。同氏は、近著に『リーダーシップの力』『権力の未来』『大統領リーダーシップとアメリカ時代の創造』『アメリカ世紀は終わったのか』がある。国務次官補(安全保障支援・科学技術担当)を歴任した。アメリカ芸術科学アカデミー会員。

Andrew Levine Photography / website: andrewlevine.com  

 特別賞受賞者生涯功績賞は、ダニー・ウェグマン・ウェグマンズ・フード・マーケット社会長に贈られた。ウェグマン氏は1976年に3代目の社長に就任し、2005年に最高経営責任者(CEO)となり、現在は会長を務めている。また、ウェグマンズ・ファミリー慈善財団の理事会も率いている。ウェグマンの日本料理と文化への敬意は、同社の日本食品部門の拡大と、日本市場における同社の成功に大きく寄与している。1916年に創業したウェグマンズは現在、114店舗を運営し5万4000人以上を雇用している。同社はフォーチュン誌の「働きがいのある企業トップ100」に28年連続で選出されている。今年のディナーチェアはダイキンUSコーポレーションの植村義之社長が務めた。

パワー・オブ・マネー 新・貨幣入門

お金が持つ権力を解析

ポール・シェアード・著
早川書房・刊

 為替相場の変動が暮らしの実感として迫る都市・ニューヨークにいると、日々のニュースの背後で働く「貨幣の仕組み」を改めて考えたくなる。円安が長期化するなか、その感覚は一段と強まっている。『パワー・オブ・マネー 新・貨幣入門』は、こうした疑問に応える貨幣の基礎教養書である。経済の専門知識を前提とせず、貨幣を歴史・制度・政治の接点として捉える姿勢が本書の特徴だ。

 著者が示す中心的な視点は、「貨幣は中立的な交換手段ではなく、社会を動かす制度そのものだ」というものである。米ドルが依然として国際金融の中心にあり、FRBの発表一つで世界が揺れ動く。その仕組みを間近に見るニューヨークの読者には、本書の議論はより実感を伴って響くだろう。税制度、中央銀行の独立性、国家の信用といった要素がどのように貨幣価値を支えてきたのか——豊富な事例を通じて整理されていく。

 興味深いのは、貨幣の信頼を「国家という枠組みへの信任」として位置づける視点だ。市場の期待や金利差だけでは説明できない、制度的な裏側があることを丁寧に描き出す。円安・円高の報道を数字の上げ下げとして消費するだけでは見えてこない背景が、本書によって立ち上がる。情報があふれるニューヨークの環境にあっても、その根底にある構造を学ぶ機会は案外限られており、本書は視野を整える助けとなる。

 文章は平明で、専門用語も慎重に噛み砕かれているため、経済書に抵抗のある読者でも読みやすい。一方、深い議論を求める向きには物足りなさもあるだろう。しかし、入門書としての役割を踏まえれば、複雑な貨幣の世界へ向かうための「基盤」を提供するという点で、十分に意義のある構成となっている。本書日本語版の発行に際し、オリックス・シニア・チェアマンである宮内義彦氏が本の帯でこう書いている。「お金、貨幣の底知れぬ機能。ビジネスに関わる誰もがその力を再認識できる新教科書だ」と。

 貨幣の成り立ちを理解することは、世界の動きを読み解く力を得ることでもある。国際金融都市NYで暮らす私たちにとって、本書はニュースの背後にある構造を捉えるための確かな道しるべとなる。日常の前提となっている「お金」の正体を見直すきっかけとして、手に取る価値のある一冊である。著者は若き日に大阪大学に1年間客員研究員として滞在し、1992年には日本銀行で外国人客員研究員として過ごした知日派でもある。  (三浦)

話題の映画「国宝」監督と俳優が来米 アカデミー賞を狙う

  映画「国宝」が11月22日と23日、ニューヨークで限定上映され、李相日(りさんいる)監督(51)と主演俳優の吉沢亮さん(31)が舞台挨拶した。

 同作は、吉田修一の同名小説を映画化。任侠の一門に生まれながらも歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げた主人公・喜久雄の50年を描く。日本では6月公開以来、観客動員数1207万人、興行収入170億円を突破し、邦画史上に記録を残す勢いの話題作だ。8月に第98回アカデミー賞国際長編映画部門の日本代表作品に決定、これを受けてロサンゼルスとともに同上映が行われた。

 22日の映画関係者向け上映会には約100人が参加。李監督は、15年ぐらい前からある女形の役者のストーリーを映画にしたいと構想を練っていたと明かし、「歌舞伎というより一人の芸術家の生き方を感じ取ってもらいたい」と語った。吉沢さんは1年半ほど歌舞伎の所作を練習して役づくりに臨んだと言い、「喜久雄として歌舞伎を踊ってくれという監督のリクエストがあった。本当の歌舞伎は、舞台で涙を流すなど、あそこまで感情的ではないと思う。舞台が日常にも沁み込んでいく感覚で、何十年もの人生を演じ分けた」と役づくりについて説明、「役者として、嫉妬や到達できないものは僕自身もある。そして、明確な評価ができないなかで良し悪しは自分の感覚で決める。そういう点は、喜久雄に共感できた」と語った。

 レセプションでは鑑賞者が次々に二人と会話を交わし、「映像、演技、音楽、何をとっても美しかった」「俳優がこのように伝統芸能の技に挑み、身体を鍛えたことに感動した」などの称賛の声が聞かれた。二人は、22日夜はアンジェリカ・フィルム・センター、23日はジャパンソサエティーでの上映にも立ち会った。

 李監督の作品がアカデミー賞への日本代表作品に選ばれたのは「フラガール」(06年)以来。アカデミー賞は予選を経て授賞式は3月15日。映画「国宝」はニューヨーク市では来年早々に劇場公開予定。(小味かおる、写真も)

(写真上)kokuhou_109_20240503_1679_ret_t_copyright_1920