「不測の時代」米国が突入 現代のモンロー主義

 2026年は米国のベネズエラ大統領拘束電撃作戦で幕を開けた。石油利権を米国管轄下に収め同国の運営にも関与するとの姿勢に世界は国際秩序への危機感を強めている。

 さらに米国の国家安全保障上「必要」とグリーンランドの割譲にも意欲を見せるトランプ大統領は66の国際機関からも脱退した。

 「私を止めることができるのは私自身だけ」(1月9日付ニューヨークタイムズ紙1面)と他国からの干渉を拒絶するさながら「現代版のモンロー主義」による孤立化への暴走にも見える。不測の事態がいつ起きてもおかしくない米国は今「不測の時代」に突入した。  

 写真はベネズエラ大統領拘束に抗議する人々(マンハッタン連邦裁判所前で5日、Photo: Gregory D’Agostino)

「私を止められるのは私の道徳観だけ」

権力で国際法退ける
NYタイムズ紙がインタビュー記事1面に


トランプ大統領のインタビュー記事を1面で報じる9日付NYタイムズ紙とノエム国土安全保障省長官の記者会見を伝える12日付同紙

 9日付ニューヨークタイムズ紙は1面トップで「私を止められるのはただひとつ、私の道徳観だ。私の心だ。それだけだ」と題するインタビュー記事を掲載した=写真=。トランプ大統領は広範なインタビューで、自身こそが最高司令官としての権限の唯一の裁定者だと同紙に語り、国際法やその他の権力抑制装置を退け、米軍に世界各国の攻撃や侵攻を命じる権限を主張した。

 自身の世界的な権限に制限があるかとの同紙の質問に対し、トランプ大統領は「ああ、一つある。私の道徳観だ。私の心だ。私を止められるのはそれだけだ」と答えた。

 同紙は「これはトランプ氏の世界観をこれまでで最も率直に認めた発言である」としながら国家の利益が衝突する際には、国家の力だけが決定要因となるべきだという考えであると紹介、トランプ大統領が、過去の大統領たちは米国の力に対して慎重すぎたと示唆したとも報じた。

 同紙の大統領執務室でのインタビューは、ICE(移民関税捜査局)職員がミネアポリスで37歳の米国人女性を射殺した事件からわずか数時間後に実施された。

 大統領は女性が警官を「ひき殺そうとした」ため過失があったと語ったが、インタビュー後、3つのカメラアングルからの映像分析により、運転手が連邦職員に向かってではなく、逆に離れて走行していた際に少なくとも10発が発砲されていたことが判明している。11日にはマンハッタンをはじめ全米で大規模な抗議デモ活動が行われたが、国土安全保障省は1000人規模のICE応援部隊をミネアポリスに投入して抗議運動を制圧する対応に乗り出し、死亡した女性と社会運動活動との関連がないか連邦捜査局(FBI)が捜査に乗り出した。