その1:おススメのモデルルート教えます!

さあ行こう! 魅惑のアメリカ旧国道「ルート66」

 ルート66ファンの皆さん、こんにちは!遅くなりましたが新年おめでとうございます! 今年もどうぞお付き合い、ならびにご支援宜しくお願い致します。皆さんは年末年始いかがお過ごしになりましたでしょうか。私は実家への帰省も避け基本「ステイホーム」。家から往復わずか2キロで行ける地元の神社へ参拝したのみで静かに過ごしました。一時的にせよ私が日本で生活する一番の理由が実家なのですが、そこに行けないような世相は本当に辛いものです。今年は全てのことが良い方へ向かう転換の年になることを切に願います。

 さて、先月号の最後の一行に「新シーズン④もお楽しみに!」と、どさくさに紛れるような形で宣伝しました。周りの友人知人から「今度はどうするのか」と少なからず聞かれたので、多少読んでくださっている方もいるのだなとちょっと嬉しい思いもしました。(笑)いつも読んでいただいている皆さん、本当にありがとうございます!

 「ルート66:魅惑の旧街道を行くシリーズ」は、2016年1月より始めさせてもらい、丸5年、毎月皆さんにルート66を知ってもらう機会を頂いてきました。シーズン①はルート66が通る合計8州をイリノイ州シカゴに始まって、ゴールのカリフォルア州サンタモニカまで、毎月少しずつ皆さんと一緒に旅をしました。 18年4月からは1年間に渡ってシーズン②「ルート66何でもベスト10」と銘打って私のおススメのモーテル、レストラン、そしてギフトショップなどを紹介しました。直近であるシーズン③は19年4月より「ルート66をフォーカス」と題し、ルート66の人々、街、イベントなど、固有のテーマに沿ってさらに深堀りしてお伝えしてきました。もちろんこれらでお伝え出来る情報が全部かと言えばそうではなく、もっともっと掘り下げて、または拡充してお話していくことは沢山あります。が、くどいようですが、丸5年、「5年です」例えば中学生であった子供が大学生になる期間です(笑)

 そんななか先月号を執筆している時、私がふと急に感じたのが「そうだ! ルート66へ行こう」という某鉄道会社のキャッチコピーに似た衝動でした。本来であれば少なくとも2度はルート66へ向けて旅に出るはずだった20年に、1度はおろかどこにも行けなかったのが理由ではないかと自己分析しています。その衝動はエスカレートします。私は週刊NY生活さんに相談もせずに勝手にシーズン③の打ち切りを決め、新たなシーズン④への移行を書き含んでしまいました。幸いにも快く受け入れてくださり、この日を迎えましたので、皆さん! ルート66へ行きましょう! 旅に出ましょう!

 とは言え、まだコロナ禍が収まっていないこの時期に旅に出ることを扇動するのは、どこかの大統領が国会議事堂へ行こうと呟いたのと大きく差はありません。もちろん「今」ではなく、来たるルート66のシーズンへ向けての準備です。

 前にも話しましたようにルート66のシーズンは4月ごろから徐々に始まり、5月に正式なスタートをします。今から5か月後、どんな状況になっているのかは想像できませんが、その時に向けて準備をしようではありませんか!

 前置きが長くなりましたが、月イチ連載コラム「アメリカ・ルート66 魅惑の旧街道を行くシリーズ」シーズン④は、「さあ行こう!魅惑のアメリカ旧国道 ルート66」と題しまして、私、後藤が独断で作り上げるルート66を旅するモデルプランを毎月1つずつ、行程解説も付けながら皆さんに紹介して行こうと思います。

 私が初めてルート66を本格的に走ってみたのが1990年代前半。それ以降シカゴを起点としサンタモニカまで全線走破をしたことが3回を数え、毎年必ずエリアごと、州ごと、町ごとと、時間が許す限りの旅をしました。目を閉じて頭の中で道を思い浮かべ、そのまま景色を思い出しながら走れる場所も少なくないほど、道の一本一本を記憶しているぐらいです。もはや「オタク」の領域ですよね(笑)

 とは言いながらも、皆さんの多くはお仕事や勉強を抱えており、なかなか全線走破をするような時間の余裕は(少なくともリタイアされるまでは)無いのが現状です。そこで来月より今年いっぱい、残り11回の連載がありますので、モデルルートを11パターンご用意しようと思います。

 最後に、さきほど「私の独断」と書きましたが、出来るのなら「読者参加型」のシリーズにしたいと考えています。今まで5年間ルート66関連記事を読んできて、ここに行ってみたい、このあたりを廻ってみたい、こんな体験をしてみたい、というご希望がございましたら、ぜひ週刊NY生活編集部(Eメール[email protected])までご連絡ください。可能な限り皆さんのご要望を吸い上げて紹介していきたいと思います。

 トラベル期間はどのくらいでも構いません。どの期間にも対応できる行程を探したいと思います。お住まいはどこでも構いません。行かれたい地域の最寄りの空港を起点にご提案します!

 それでは皆さん、今年1年良いお年をお過ごしください。また来月お目にかかります!

(後藤敏之/ルート66協会ジャパン・代表)

ロックフェラセンター、ラストスケート

日本人スケーターら出場

 フィギュアスケートコーチの島田美樹さんが主催するアイスショーが、12日にロックフェラーセンターで開催された。島田さんの生徒やオリンピックコーチが教える全米選手権出場者を含め、5歳から60歳までの、ソロ、 ミニグループ 、アイスダンス、ペアなど、30人のスケーターがそれぞれのプログラムを披露した。

 アメリカ人のほか、日本、中国、台湾、ロシア、エストニア、英国、フィンランド、南アフリカなどさまざまな国籍のスケーターが出場した。出場したのは、島田美樹(47) アダルト・シルバー =写真左=、地区大会入賞者、ISU国際大会出場者&C・アーロン・シングレタリー (27)シニア、全米選手権出場者、山中さくら (15)ジュブナイル 地区大会入賞者=写真左=、山本真由美(60)アダルト・ゴールド 全米選手権入賞者、ISU国際大会出場者=写真下=。

 島田さんは「この企画を行ったのは、パンデミックで競技会やアイスショーなどが全てキャンセルされ、日々トレーニングを頑張っているスケーター達がその努力を披露する機会が失われてモチベーションも下がっていたので、アイスショーの場を提供しようと決めた」という。ロックフェラーリンクは同週17日に営業を終了し、大規模な改築工事が始まったため、伝統的なリンクを見られるのは今シーズンが最後となった。

編集後記 1月16日

みなさん、こんにちは。日本は新型コロナウイルス緊急事態宣言の拡大、アメリカはプラス大統領弾劾と就任式暴動警戒で一色の週になってきました。弾劾に関しては昨日の夕方下院の決議で弾劾訴追が決まりペロシ下院議長がサインしましたが、マコーネル上院議長は昨日のうちにバイデン時期大統領の就任式前に弾劾裁判が開かれることはないとステイトメントを出してますので、実際に裁判が始まるのはまだ先になりそうです。就任100日目あたりからが焦点となりそうです。来週20日の大統領就任式に関わる暴動に関しては、全米で昨日現在82人、ニューヨークからもブルックリン判事の息子やMTAメトロノース職員など続々と逮捕者が出てますし、民間宿泊施設のAirBnBは就任式での更なる暴動をに向けて全米から人が集まるのを防ぐために就任式までぼDC近郊の全ての宿泊所の予約をキャンセルするとそうです。
 そしてコロナは、米国入国に陰性証明が必要になります。米疾病対策センター(CDC)が航空会社に12日通達を出しました。米国に入国する全ての航空会社に対して、搭乗する乗客が搭乗前3日以内に受けたPCR検査の陰性証明の提示を求めることと、テストを拒否する者の搭乗を拒否するように通達を出したもので今月26日から導入されます。一時帰国中で、近く米国に戻られる方、お早めに検査の予約を。なかなか予約が取りづらいようです。無症状の人は高額な料金を請求されるそうですので事前確認を。また、こちらに住んでいる日本人も日本帰国前に検査証明が必要になりました。日本に帰国する際、米国を出国する前に新型コロナウイルス検査証明の取得が必要で、日本政府は8日付で、新型コロナウイルス等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言発出に伴い、同解除宣言が発せられるまでの間、全ての日本入国者・再入国者・帰国者に対し、出国前72時間以内の検査証明の提出を求めるとともに、入国時の検査を実施することを決定しました。日米間の人の往来がますます遠のきます。暗いニュースばかりの中で、明るいニュースというか、まあ特段めでたい話ではないですが、バイデン次期大統領は8日、新型コロナ禍が依然として猛威をふるっており、さらなる経済支援策が必要とし、「(先日支給した)家計への直接給付は600ドルではまったく足りない、2000ドル給付に向けた取り組みをしなければならない」と語りました。就任後に各ご家庭に振り込まれることになるでしょう。14日の発表で、差額の1400ドル支給が決まりました。夫婦合算申告している世帯は倍額が給付になります。今週号はこんな内容でお届けしておりますので、詳細は紙面をご覧ください。それではみなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2021年1月16日号)

(1)バイデンが経済給付金2000ドル

(2)ペン駅復元し拡張工事終わる

(3)マスクデザインコンテスト開催

(4)春近き冬のころ 常盤新平

(5)逃げ出す警官、手薄な警備

(6)議事堂乱入者逮捕続々

(7)日米両国入国に検査証明

(8)視座点描 クーデターの衝撃

(9)コロナ禍ダンスで生き抜く

(10)ラトガース大の日米交流史

2000ドル給付再浮上

バイデン新政権経済支援策

 バイデン次期大統領は8日、新型コロナ禍が依然として猛威をふるっており、さらなる経済支援策が必要と訴えた。12月の雇用統計によると非農業部門雇用者数が前月比14万人減少、8か月ぶりに悪化に転じたことなどを引き合いに家計や中小企業へのさらなる直接投資が必要とし、「家計への直接給付は600ドルではまったく足りない、2000ドル給付に向けた取り組みをしなければならない」と語った。ワクチン配布の加速化も含めた経済支援策の詳細は14日に発表される予定だ。

 経済支援策については昨年12月末、直接給付一人当たり600ドルなど総額9000億ドルが議会で承認された。民主党は直接給付2000ドルを主張したが、上院の多数派を占める共和党の反対にあい断念した。しかし5日行われたジョージア州連邦上院の決戦投票で民主党が2議席とも獲得し共和50、民主50となった。同数だが議長はカマラ・ハリス次期副大統領が兼任するため民主党が上院でも多数派となった。

 民主党の大統領に上院、下院がともに民主党が多数派となり、民主党のイメージカラーから「トリプルブルー」と呼ぼれている。上院多数党の院内総務となるチャック・シューマー議員(民主、ニューヨーク州)は、優先課題として2000ドルの直接給付承認を挙げていることから実現性は極めて高い。

 直接給付は個人所得税を電子申告した者に昨年春に1200ドル、同年末に600ドルが支払われており今回が3度目。夫婦合算申告している世帯には倍額が支給される。ただし民主党内でも大幅支援策には疑問を呈している議員がおり、共和党にも同調者がいるとみられている。また、すでに600ドルが給付されていることから13日現在差額の1400ドルの追加給付となる可能性もある。

ペン駅復元拡張

モイニハン駅ホールが完成
オリジナルの駅舎半世紀ぶりに

 1日、マンハッタン8番街と31丁目から34丁目に囲まれたチェルシー地区にモイニハン駅ホールがオープンした。同地にあったジェームス・ファーレイ中央郵便局ビル内部を改修し、隣接するマジソンスクエアガーデン地下のペンシルベニア駅(通称・ペンステーション)と地下道でつなげ、引き込み線路を8本増やすなど駅としての設備を16億ドルかけて拡張した。1日あたり、およそ600本もの列車が発着している。アムトラックとロングアイランド鉄道のハブ駅となり、ミッドタウンのグランドセントラル駅と並ぶマンハッタンの表玄関となる。2017年から改修工事を進め同地で1963年に取り壊しとなったオリジナルのペンステーションを再現した。元々の駅舎はギリシア神殿のように列柱の並ぶ荘厳なボザール様式(歴史主義建築)の建物で、2街区分の敷地いっぱいに建てられ1910年に完成・開業した。外観は当時のままで、建物の内部を全面改築し、駅が最初に建設された当初と同じ鉄骨が高く天井を覆うデザインに復元された。

 隣接のメインターミナルビルは不動産ディベロッパーとの共同プロジェクトでマディソン・スクエア・ガーデンと共有の建物。マディソン・スクエア・ガーデンはリース契約が切れる2023年までに別の場所へ移転を余儀なくされていることから改修工事が急がれていた。商業施設やレストランなども入居し、ハドソンヤードと合わせ最大の開発発展地の中心となる。

マスクデザインコンテスト開催

国際交流基金NY

 国際交流基金ニューヨーク日本文化センターは、「日米関係」をテーマとした「日米マスクデザインコンテスト」を開催している。

 米国在住の子どもから大人まで(アマチュアのみ)が応募可能で、マスクのオリジナルデザインを競うもの。優秀作品はそのデザインが施されたマスクが実際に制作され、医療機関や日米関係NPO等に寄贈される。優秀作品の選考には、審査委員としてクーパー・ヒューイット国立デザイン博物館やユニクロ社、在ニューヨーク日本国総領事館、パーソンズ美術大学等が参加。また、デザイン申請者間による投票も行われる。応募締め切りは1月22日(金)午後6時。結果発表は3月1日に同センターからライブ配信予定。コンテスト詳細はウェブサイトwww.cgp.org/maskup2020を参照する。

春近き冬のころ

常盤新平 ニューヨーカー三昧 I LOVE NEW YORKER 8

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 朝から晴れてはいるが、外は寒い。春は名のみの、春近き冬のころだ。ウィンターセットというのだそうだ。

 新宿の紀伊國屋書店に行って、「ニューヨーカー」を二、三号まとめて買った。ひところは予約購読していたのであるが、購読期限が切れて、銀座の洋書店イエナで買いもとめるようになった。イエナが閉店して、新宿に行くようになった。

 最新号を手にとるたびに、ニューヨークの街角で水曜日の朝にホテルを出て、ニューススタンドでこの週刊誌を買い、コーヒーショップで朝めしを食べたのを思い出した。「ニューヨーカー」を発行する場所でこの週刊誌を買えるのが嬉しかった。

 いまやNYと私をつないでいるのは「ニューヨーカー」だけである。NYへ出かけるのも夢のまた夢になってしまった。

 朝食はいつも同じだ。朝家では七時に起きると、水をコップ一杯飲む。それから野菜ジュースを一杯。湯を沸かしてコーヒーを淹れる。

 毎朝ポットに、五、六杯つくる。味は濃くないから、いわば番茶がわり。コーヒーが好きになったのは、ニューヨークのコーヒーが自分のからだに合ったからだろう。

 コーヒーの味がいまだにわからない。が、外出したとき喫茶店で注文するのはコーヒーときまっている。夏でもホットコーヒーで、「ブレンドですか」と訊かれると、「コーヒー」と答える。コーヒーはコーヒーだ。

 子どものころはコーヒーという名前は知っていても、飲んでみたことはなかった。家庭にはない異国の飲物だった。

 父も母もおそらく一生コーヒーを味わってみたことはなかったろう。私が喫茶店らしきところでいとこ(同年)におごってもらったのは高校二年ごろのことだ。まずいと思った。コーヒーの味に馴れたのは大学二、三年になってなってからで、喫茶店が好きになった。

 どの喫茶店にもかわいらしい女の子がいて、何人かのクラスメートといっしょにしばしば行った。彼女に話しかける度胸はなく、彼女の動きを眺めるのにとどまった。

 東北の仙台に育った私は、東京にはきれいな女の子がいると思ったものだ。喫茶店にそんなウェイトレスが集まっていた。

 私は英文科の生徒で、将来はアメリカ文学を勉強するつもりでいたが、遊んでばかりいた。もっぱら麻雀やパチンコに時間をつぶした。

 安いところを狙って下宿を転々とした。高田馬場にはじまって、吉祥寺や杉並区大宮前、最後は父の知り合いの倉庫で、その中の八畳の和室に落ちついた。そこは下谷の竹町(現在の台東区)で、夜の九時ごろになると近くのパチンコ屋から「蛍の光」がうらがなしく流れてきた。

 生活はアメリカとはなんの関係もなかった。本をあまり読まなかったし、辞書もコンサイス英和と明解国語辞典しかなかった。ラテン語訳を勉強している長野出身のクラスメートがいたけれども、彼は結核になって在学中に亡くなった。

 二十四歳のころ、ペーパーバックで「愛と怖れの物語」というアンソロジーを洋書店のイエナで買い、そのなかで一番短い短編を読んだ。それがアーウィン・ショーの「夏服を着た女たち」である。いまなら「サマードレスの女たち」と訳すところだろう。

 この短編をいつか自分の手で訳してみたいと思った。それは十五年後に実現した。ショーはのちにベストセラーをつぎつぎに書いたが、通俗作家といわれて、本人もくさっていた。しかし、私にとってアメリカ文学はアーウィン・ショーしかいなかった。そのことが幸運でもあり不運でもあった。幸運を喜ぶべきだ。

 ニューヨークを舞台にしたショーの作品は都会小説ですごくしゃれている。(2009年3月21日号掲載)

(写真)朝日差し込むグランドセントラル駅(2009年3月13日) Photo Ryoichi Miura


常盤新平(ときわしんぺい、1931年〜2013年)=作家、翻訳家。岩手県水沢市(現・奥州市)生まれ。早稲田大学文学部英文科卒。同大学院修了。早川書房に入社し、『ハヤカワ・ミステリ・マガジン』の編集長を経てフリーの文筆生活に入る。86年に初の自伝的小説『遠いアメリカ』で第96回直木賞受賞。本紙「週刊NY生活」に2007年から2010年まで約3年余りコラム「ニューヨーカー三昧」に24作品を書き下ろし連載。13年『私の「ニューヨーカー」グラフィティ』(幻戯書房)に収録。本紙ではその中から12作品を復刻連載します。

逃げ出す警官、手薄警備

大統領が強化を拒否
副大統領が独断で出動要請

 4000人を超えるトランプ大統領支持者が議事堂に押しかけようとしている時、ムリウエル・バウザー・ワシントンDC市長は、スティーブン・サンド警察署長と国防総省(ペンタゴン)に電話して州兵(ナショナル・セキュリテイーガード)の警備増強派遣を要請した。「緊急だ」という要請に対して電話口で信じられない答えが返ってきた。「州兵の出動を求めているのですね。それには市庁舎・市警からの要請ではなく、キャピタルヒル(議事堂)からの要請が必要です」。議事堂はすでにパニック状態になっていて手続きの要請を議会にしたが電話を取り次いだだけで行動は起こらなかった。サンド警察署長は州兵にも抗議デモ隊側の手が回っていると理解した。トランプ大統領が州兵の出動を許可せず、暴徒が議会に押し寄せてからペンス副大統領が出動を要請した。要請には大統領の承諾が必要だが、ペンス副大統領は独断で要請した。極めて異例のことだ。警察官1人を含む5人の死者、82人の逮捕者を出した。11日付ニューヨークタイムズ紙は、6日起こった暴徒に対する事前警備態勢が不十分だったことを非難する記事を1面トップ記事で掲載した。そしてSNSや米ネットワークが映し出した暴徒乱入の光景は世界中を震撼させるのには十分だった。

 公開された動画の中には、普段は自動小銃を構えて子犬一匹通さない厳重なバリケードの警備隊が、なぜか抵抗することもなく暴徒らに自ら鉄柵を開けて敷地に通し入れる映像も流れた=写真左上/投稿動画サイトから=。

暴動死亡者五人発表
一人は阻止の警察官

 ワシントンDC警察は7日、前日6日に暴徒となって議会に乱入したトランプ支持者で死亡した4人の名前を公開した。

 死亡したのは議会建物内で警察に撃たれたアシリ・バビットさん(35、メリーランド州ハンティントン)、なんらかの理由で現場で倒れ意識を失って救急車で搬送されて救急病棟で亡くなったベンジャミン・フィリップさん(50、ペンシルベニア州リングタウン)、ケビン・グリーソンさん(55、アラバマ州アテネ)、ロザンヌ・ボイランドさん(34、ジョージア州ケンソー)。

 また、今回の騒動で警察官ブライアン・シクニク巡査(42、ニュージャージー州オールド。ニュージャージー)=写真=が暴徒に消火器で頭を殴られ、7日午後9時30分に搬送先の病院で死亡した。

(写真:暴徒を抑え切れず背を向けて逃げ出す警官(NBCのニュース画面から))

議事堂乱入者全米で続々と逮捕

 議会警察と連邦保安官事務所は11日、6日の連邦議事堂の暴徒乱入事件で82人を逮捕したと発表した。この中には、建物内のナンシー・ペロシ民主党下院議長の執務室からポディウム(演台)を持ち出したとして窃盗容疑で逮捕されたアダム・ジョンソン容疑者(36、フロリダ州パリッシュ在住)=写真右=や、同部屋の椅子に座って足を机の上に投げ出し、机の上のノートを引きちぎって持ち出したとして同容疑で逮捕されたリチャード・バーネット容疑者(60、アーカンソー州グラベット在住)=同左=が含まれる。

日米両国入国に検査証明

米国入国に陰性証明必要
CDCが航空会社に通達

 米疾病対策センター(CDC)は12日、米国に入国する全ての航空会社に対して、搭乗する乗客が搭乗前3日以内に受けたPCR検査の陰性証明の提示を求めることと、テストを拒否する者の搭乗を拒否するように通達を出した。今月26日から導入される。

日本帰国前に
検査証明必要

 日本に帰国する際、米国を出国する前に新型コロナウイルス検査証明の取得が必要となった。日本政府は8日付で、新型コロナウイルス等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言発出に伴い、同解除宣言が発せられるまでの間、全ての日本入国者・再入国者・帰国者に対し、出国前72時間以内の検査証明の提出を求めるとともに、入国時の検査を実施することを決定した。

クーデターの衝撃

 連邦議事堂突入事件で世論の風向きは完全に変わりました。民主制度の象徴たる議会を冒涜する映像は多くのトランプ支持者の目をも覚まさせました。この期に及んでもなおトランプを支持すると言う人間は、あれは左派アンティファの仕業だと信じたい人たちです。

 突入は自分らとは違う「敵」のやったことと言い張るのはつまり、乱入は「悪」だと認識しているということです。ならば「実行犯は左派」というその思い込みを解いてやれば、トランプへの熱狂が醒めるのは時間の問題です。残る支持者はガチの白人至上主義者/ネオナチくらい。さすがにそれだと少数派です。

 議事堂に向かった大多数はおそらく何かのお祭り気分で気勢を揚げたつもりだったのでしょう。なにせ大統領が「議事堂に歩け! 強さを見せつけるんだ!」と言ったんですから。しかしそれはバチェラーパーティーでのバカ騒ぎとはワケが違った││午後1時、最初のバリケードが破られます。午後1時半、民主党、共和党両方の全国委員会本部ビル前ではパイプ爆弾が発見されます。同2時、複数の入り口から議事堂突入が始まります。2時半、混乱はエスカレートし同45分、議事堂内で催涙ガスが発射されます。3時過ぎ、両党有力政治家たちがトランプに事態を収拾するよう呼びかけ始め、そして4時17分、突入から2時間以上経って、トランプは渋々暴徒たちに向けて「平和に帰宅せよ」という録画メッセージを送ります。「ウィー・ラブ・ユー」というねぎらいの言葉を忘れずに。

 けれどその間に消火器で頭部を殴打された議事堂警官1人は死亡。別の警官は3日後に自殺しました。暴徒側も4人が死に、侵入を防げなかった議事堂警察のトップは辞任してFBIが捜査を本格化します。突入暴徒の画像はテレビだけでなくネットや首都のバス停パネルまで使って公開され情報提供が求められています。なぜならあれは、参加者たちの認識はどうであれ紛れもなく国内テロ、前代未聞のクーデタ未遂だったからです。

 容疑者たちは続々と指名手配で捕まり始めました。「平和に帰宅」しようとした突入者たちはホテルで、空港で、帰った自宅で次々と逮捕され、「逮捕なんてひどすぎ」「大統領を支えただけ」と空港で泣きわめく白人男女の動画はネットで拡散されました。現場にいたネットセキュリティ会社代表は職を退き、教師や店員や保守メディアのライターや地方の共和党議員たちも一斉検挙の対象で、不正選挙を喧伝した共和党上院議員ジョシュ・ホーリーの本の出版は中止になりました。

 問題はトランプ本人です。SNSからはことごとく排除され、ホワイトハウスのスタッフも大量辞職、関連事業からは多社が撤退し、来年のPGA選手権の会場はトランプのゴルフクラブから変更になりました。何より自分自身が憲法の修正25条職務停止か2度目の弾劾かの瀬戸際です。

 あまりの世論の厳しさに翌日になって「円滑かつ確実な政権移行」を約束してしまい、いまそれを後悔中だともいわれます。けれどこうなると噂される自分への大統領恩赦も難しくなった。というのも弾劾を受けての上院での罷免裁判は、任期が終わった後も有効で時間切れがないからです。しかも罷免が決まれば再出馬も禁止できる。民主党が多数派の上院は、裁判は一連の政権発足作業を終える百日後から始める構え。そのころさらに世論のトランプ離れが進んでいれば、これまで復讐が怖くて言いなりだった共和党議員たちも遡及的な罷免に回るかもしれません。それが、政治家たちが風見鶏と言われるゆえんなのですから。(武藤芳治/ジャーナリスト)