弾劾裁判で無罪

次期大統領選挙狙うトランプ氏

 米連邦議会上院で13日、連邦議事堂の「暴動を扇動した罪」で問われていたトランプ前大統領に対する弾劾裁判が行われ、57対43で無罪評決が下された。50人の民主党系議員と7人の共和党議員の合計57人が有罪と判断したが、有罪判決に必要な3分の2の67人には達しなかった。 

 審理は9日に始まり、5日間で終結した。トランプ氏は昨年の「ウクライナ疑惑」を巡る弾劾裁判に続く無罪評決で、次期大統領選挙など再び公職に立候補する資格がある。

 トランプ氏は昨年11月の大統領選挙では「自分の票が盗まれた」としてバイデン氏の勝利を認めなかった。連邦議会で選挙人投票を確定させる日である1月6日にワシントンDCで集会を開き、「死にものぐるいで戦え」と支持者らに訴えた。支持者らは議事堂まで行進し侵入、暴動を起こした。ペンス副大統領や連邦議員、連邦職員、警察官などが危険にさらされ、5人が死亡する惨事となった。民主党が多数派である下院では1月13日、弾劾訴追が232対197で決議され、上院に送られた。この時は10人の共和党下院議員が賛成に回った。

 上院での弾劾裁判でトランプ氏の弁護士は、トランプ氏の発言は「文字通りの戦いの意味ではない」として、「扇動」を否定した。また弾劾裁判とは現職大統領などの罷免であり、退任しているトランプ氏を裁くのは「違憲」とし無罪を主張した。

 暴動直後は多くの共和党の上院議員がトランプ氏を非難したものの弾劾裁判には否定的だった。弾劾裁判の初日に、共和党議員の44人が「弾劾裁判は違憲」という弁護側の主張に賛同した。評決前、検察官役となる弾劾管理人を務めた民主党のジョー・ネグース下院議員は「有罪にしないと1月6日に起きた出来事は再び起こり得る」と訴えた。

 ツイッターの使用停止措置を受けているトランプ氏は評決後にすぐに声明を出し、今回の弾劾を「我が国の歴史のなかで最大の魔女狩りのさらに別の段階だ」と激しく批判した上で、「『米国を再び偉大にする』ための私たちの素晴らしい旅を一緒に続けられることを楽しみにしている」と表明。トランプ氏は2024年大統領選への再出馬を模索しているとされる。