奇襲作戦で真珠湾に言及 大統領がとんでもジョーク

高市首相びっくり仰天の眼差し

 トランプ大統領が3月19日、高市早苗首相との共同記者会見の場で、第二次世界大戦中の真珠湾攻撃に言及したジョークを飛ばしたことが波紋を広げ、相次いで米メディアが取り上げた。

 トランプ大統領は、イラン攻撃を日本のような同盟国にも事前に伝えなかった理由を記者から質問されると「サプライズにしたかったから、誰にも言わなかった」と答え、「サプライズ(奇襲)に関しては日本以上に詳しい国なんてないだろう? なぜ真珠湾攻撃のことを教えてくれなかった? そうだろ?」と付け加えた。

 ニューヨーク・タイムズ19日付は、この発言を聞いて「高市首相は大きく目を見開き、大きく息を吸いこんだように見えた。膝の上で合わせた手を動かさず、何も言葉を発しなかった」と書いた。「部屋に集まった関係者やジャーナリストたちから笑い声が漏れた」ことにも触れ、「君たちは、我々よりもずっとサプライズを信じているようだね」とトランプ氏が付け加えたことも書いた。同紙は「米国の大統領は真珠湾について厳しい発言は避けてきたが、それは日米の同盟関係強化に注力するためだった」とその経過を解説した上で、「トランプ氏はそうではない」とし、「外交上の儀礼を破った」と示唆している。

 ワシントン・ポスト19日付は「高市首相は目を見開き、それまで見せていた慎重な笑顔は消えた」と書いた。高市首相は明確なコメントを避け、場の空気は微妙なものとなったとした。同紙は、昨年夏の米独首脳会談でトランプ大統領がドイツのメルツ首相に「Dデー(ノルマンディー上陸作戦決行日)は、君たちにとっては不愉快な日だっただろう」と話しかけたのに対し、首相が「長い目で見れば、あれは我が国がナチスの独裁政権から解放された日なのです」と切り返したことを紹介。沈黙した高市首相との違いを対比している。

 CNNも20日、「トランプ米大統領、真珠湾をジョークのネタ」との見出しで報じ、イランに対する攻撃で、「中東地域の緊張は一気に高まり、同盟国からは連携や意思疎通に関する疑問の声が噴出している」と書いた。また、1941年の真珠湾攻撃で2400人以上の米国人が死亡し、第2次世界大戦へとつながったと解説、真珠湾をジョークのネタにすることを批判する論調で報じた。

(写真)日米首脳会談でのトランプ大統領による真珠湾攻撃ジョーク発言を報じた20日付NYタイムズ紙

現役引退して芸術に 地下鉄メトロカード

グランドセントラル駅内交通博物館売店で展示

カードを使ったドレスも展示

 NYトランジット博物館はグランドセントラル・ターミナル駅構内にあるギャラリー&ストアで昨年終了したメトロカードとアーティストやデザイナーなどとの多数の過去のコラボ企画を無料で閲覧できる特別展示「インスパイアード・バイ・メトロカード」を開催している。

 1994年に地下鉄トークンの代わりとして導入されたメトロカードは、ニューヨーカーの移動手段の効率性を高めただけでなく、アーティストやデザイナーとのコラボ、キャンペーン広告、アート企画などで限定カードが発売されるなど、NY文化のアイコンになった。

 同展は過去のコラボ企画の限定カードだけでなく、破棄や期限切れのカードを再利用したコラージュやスカルプチャーなどのアート作品、ウェディングドレスなどを展示している。同博物館ディレクター代理のレジーナ・シェパード氏は声明で「メトロカードはNY史上で最も身近なデザイン製品のひとつである。同展では、アーティストたちがメトロカードを通した経験を個人的、独創的、紛れもなくNYな作品でシェアする」と伝えている。展示は今年10月まで。同展の詳細はhttp://www.nytransitmuseum.org参照する。

ラガーディア空港 旅客機が消防車と衝突

 クイーンズにあるラガーディア空港で22日午後11時45分ごろ、着陸中の旅客機が滑走路上の消防車両と衝突する事故が発生し、機長と副操縦士の2人が死亡、多数の負傷者が出た。事故機はカナダ・モントリオール発のエア・カナダ・エクスプレス8646便(CRJ900型機)で、乗客72人と乗員4人が搭乗していた。

 衝突当時、消防車は別の航空機で発生した異臭トラブルに対応するため滑走路を横断しており、管制官が双方に進入・横断を許可した可能性が指摘されている。事故直前には停止を指示する交信も確認されているが、間に合わなかったとみられる。 

 この事故で乗客ら41人が病院に搬送され、32人はすぐ退院したが、9人は重傷と報じられている。消防車に乗っていた隊員も負傷した。機体前部は大きく損傷し、現場には破片が散乱した。事故を受けて同空港は全面閉鎖され、23日午後までに再開されたものの、600便以上が欠航するなど航空網に大きな影響が出た。ニューヨーク日本総領事館によると、25日現在、日本人乗客の怪我に関する情報には接していないという。航空管制官不足と出入国検査混乱の中で事故が発生した。

ラガーディア空港での衝突事故原因を調査

 今回の衝突事故は、航空管制官の慢性的な不足と、政府機関の一部閉鎖による運輸保安局職員の不足という別の問題に直面している中で発生した。米国家運輸安全委員会(NTSB)とカナダ当局が共同で原因調査を進めており、管制体制や人員不足、緊急時の対応手順に問題がなかったかが焦点となっている=写真NBC動画サイトより=。

 今回の事故は同空港で30年以上ぶりの死亡事故とされ、安全管理体制への懸念が広がっている。同空港では1992年3月22日、USエア(現・アメリカン航空)の405便が、ニューヨークのラガーディア空港から離陸直後に失速し、滑走路脇のフラッシング湾に墜落、乗客・乗員51人のうち27人が死亡する大事故が起きている。この時の事故原因は翼の除氷不足が主な原因とされている。

(写真)操縦席が大破した機体(NBCテレビ画像から)Photo courtesy:NBC NEWS  LIVE online 

NYでボクシング通して人間育成目指す  荒川泰次郎さん

 マンハッタンのソーホーにあるボクシングジムWTF。リングの上ではヘビー級のボクサーがスパーリングをしている。TRAIN HARD FIGHT EASY (練習は厳しく、勝負はたやすく)と書かれた看板のあるフロアに荒川泰次郎さん(40)の姿があった。プロデビューを目指す日本人ボクサーにトレーニング指導中だ。

 荒川さんは、14歳、中学2年の時に九州学院高校のボクシング部に入部した。高校時代に九州ライト級チャンピオンになり、福岡大学時代は同級2連覇を達成。30歳の頃、兄・真一さんが東京に開設したボクシングジムでトレーナーとしてのキャリアをスタートした。4年前、36歳の時にニューヨークへ渡り、マイク・タイソンを輩出したブルックリンにある名門ボクシングジム、グリーソンズジムでプロデビューした。

 しかし渡米前に自転車事故で骨折した右手首の2回の手術でドクターストップとなり、勝っても負けても1回限りの試合許可を医者からもらってライト級でデビュー戦。しかし1か月前に右利きと分かった対戦相手が本番では左利きだった。距離が噛み合わなくてヒットせず、3ラウンドKO負けで現役を引退した。以降はトレーナーとしての経験を活かし、ボクササイズを通じた日米文化交流に取り組んでいる毎日だ。

 ボクシングの師匠は兄だ。日本3位、九州チャンピオンの姿を見て中学時代から憧れてプロボクサーを目指したが、大学卒業後、一旦は地元九州の企業に就職した。縁があって24歳で上京し、俳優活動を開始した。27歳で映画『Her Mother』に準主演として出演し、スポーツ報知に掲載、全国で舞台挨拶を行う。28歳で舞台『円盤』にて初主演。その後、舞台『青の祓魔師』(志摩柔造役)に出演。35歳頃にはドラマ『相棒』に犯人役で出演、『ドロンジョ』、映画『オズランド』『アンダードッグ』など、映像作品にも多数出演し、俳優業でも頭角を表しつつあった。しかし同時に俳優の世界で生きていくしがらみの多さに、このままでは、役者としてもボクサーとしても自分を見失うかもしれないという不安に駆られた。「自分を変えたい。芝居している時に固定概念が強くて自由を得るのはNYに思えた。自分の人生を変えるために実際に来てみたら、本当に自分が変わった。全く周りの目も気にしなくなったし、今の自分は自信の方が不安よりも強いです」と笑顔を見せる。

 荒川さんが指導しているボクササイズクラス(Eメール[email protected])はいま生徒が50人ほどいて約半数が女性と子供だ。「ボクシングでチャンピオンを育てるより人間を育てる方に気持ちは向いてます。ボクシングってどうしてもハードルが高いと思うかもしれないですけど僕のは楽しくてハードルは低いです。遊びながらやれるボクササイズ、笑いながらゲーム感覚で楽しんでくれてます。みんなが思っている以上に怖くないし、達成感もあり、ちょっときついくらいが気持ちよくて、それが僕のTYボクシングスタイルです」と「拳闘はカッコイイ」と書かれたTシャツを見せて爽やかに笑った。将来は、日本かニューヨークでボクシング・フィットネス・スタジオを構えるのが夢だ。 (三浦良一記者、写真も)

戦後ララ物資送った NY日系人会の歴史

ドキュメンタリー上映会4月5日1PM

 ニューヨーク日系人会は4月5日(日)午後1時から歴史ドキュメンタリー上映会を開催する。

 第1部はNY日系人会の礎を築いた人物「輝ける星」高見豊彦医師の軌跡、第2部はララ(LARA)物資に託した思い。NY日本人による祖国救済の記録と記憶。第一部、第2部制作統括は映像プロデューサーの青松伴晃氏が日系人会が所有する膨大な資料を丹念に精査して結実させ、第二部は、立教大学の西田恵子教授監修により、人道支援の実態が学術的にも極めて高い精度で描き出されている。本作について、NY日系人会事務局長の野田美知代氏は「この作品は、私たちが未来へ語り継ぐべき『公的な記録』です。この大切な記録を皆様と分かち合えることを祈っております」と語っている。入場料無料。後援・協力・ニューヨーク日系人会。

      ◇

 ニューヨーク日系人会は明治40年(1907年)医師・高見豊彦博士が「日本人墓地の購入と日本人の相互扶助」を呼びかけ設立した「日本人共済会」を基盤にしている。その後、ニューヨークの日本人社会では在留邦人の公共機関の必要性から14年に高峰譲吉博士を会長として、高見豊彦博士が副会長の一員となり「紐育日本人会」が設立され、「日本人共済会」と合併した。1941年の日米開戦で米国政府に解体・凍結されるまで、当地邦人の唯一の統一団体として活動してきた。

 終戦直後「日本救援準備委員会」を設立、46年「日本救援紐育委員会」を発足して、敗戦下の日本の窮状を救うため「故国同胞を金品を以って支援す」を目的に、ララ (LARA-Licensed Agency for Relief in Asia) を通じて、295トンにも上る粉ミルクや粉卵、綿布などの物資を当時の価格で16万ドル相当分を5年間にわたって送り続けた。その後、日本の復興と共に、「祖国救援」から「当地在住日系人・日本人の福祉向上と相互扶助」へとその目的を移し、会の福祉対象は戦後「東海岸地区に移住してきた戦時強制収用されていた日系人」および「ビジネス、学術研究などの目的で渡米した日本人」へと移り変わった。1950年11月に名称を現在の「ニューヨーク日系人会」と改名した。

元サッカー日本代表監督 トルシェ氏講演会

 元サッカー日本代表監督 フィリップ・トルシエ氏 を迎えたトークイベント「Philippe Troussier Talk」が4月12日(日)、バルーク大学イングルマン・リサイタルホール(レキシントン街55番地)で開催される。トルシエ氏は2002年FIFAワールドカップで日本代表をベスト16へ導いたことで知られ、これまで世界各国で指導者として活躍してきた。イベントでは、リーダーシップ、チームマネジメント、国際舞台での経験について語る。

 VIPチケット購入者には、日本人シェフによるケータリング付きレセプションに参加できる。レセプションでは、トルシエ氏との写真撮影とサイン会も予定。サイン希望者は、ジャージや色紙などを持参する。時間はVIPが午前11時30分、レセプションは正午から、一般入場は午後1時10分から。入場料は、一般50ドル、VIPが130ドル。チケットはhttps://ci.ovationtix.com/36945/production/1268954?performanceId=11782662

本紙編集長の「レイアウト深夜食堂」第2弾

プロに聞く、生き生きEATS(イーツ)

元気と美味しいを求めて料理の達人が腕を振るう (63)

 今月の生き生きEATSは、番外編・本紙編集長による「レイアウト深夜食堂」第2弾。時には明け方にまでなるレイアウト作業の後に待っているのが自前の賄いご飯。「作るのに30分、食べるのは15分」の手軽さでできる美味しい料理4品をご紹介します。材料はすべて日系スーパーや食料品で揃います。


◾︎あんかけ焼きそば

 中華料理店で食べたあの味 を再現。余ったあんは、中華丼や広東麺に再利用できます。

【材料】2人前

焼きそば麺 2玉

豚バラ肉 2、3枚

白菜 少々

玉ねぎ 少々

椎茸 2枚

エノキ 少々

うずらゆで卵 5〜6個

ニンジン 少々

ピーマン 半分

はカニカマ 1本

塩、胡椒、固形鶏ガラスープ、ニンニク3かけら、生姜少々、醤油、ゴマ油、片栗粉。

【作り方】

(1)〈めん〉生麺を蒸したあとフライパンに油を敷いて表面に焦げ目がつくまで焼く。

(2)〈あん〉豚肉を鍋で炒めてから玉ねぎ、ピーマン、ニンジンを入れ、全体が馴染んだら白菜、エノキ、椎茸を加えて鶏ガラスープをカップ2の水で煮立て、うずら、カニカマを入れ、ニンニク、生姜、醤油で味を整えてから水溶きした片栗粉を鍋に混ぜてとろみをつけ、味つけの仕上げをして、皿に盛った麺にかけていただく。和がらし、酢は好みで。


◾︎お寿司

 NYは、おまかせブーム全盛で家族で気軽に寿司屋には行けないご時世。日系スーパーの魚売り場で刺身を買ってきて自宅で握ろう。パパの出番だ!

【材料】(寿司ネタ1人前)

※まぐろ、トロは手頃なサイズのサクを1つ買ってきて、よく研いだ包丁で握り用のサイズにネタを全部スライスしておく。厚さ長さは好み。ラップで2枚ずつ切り身を包んで冷凍する。食べる4時間前に冷凍庫から出して室温で2時間かけ自然解凍。解凍したらさらにラップをかけて食事の時間まで冷蔵する。ホタテ、シメサバ、ホッキ貝、イカ、たこなど他の寿司ネタもほぼ同様に食べる分だけ解凍。ボタン海老は握る直前に殻を剥いて頭は兜焼きにする。イクラは、だし汁1(ほんだし可)、酒1、醤油1の3等分に1時間ほど漬けて「醤油漬け」にすれば寿司屋の味に早変わり!

【握り方】

 左の手のひらの中指と薬指の腹にネタを乗せ、右手でしゃり(冷ました酢飯)を片手ですくって小さなラグビーボールのように握る。ネタの上にワサビをつけてしゃりを乗せ、寿司をゴロンと手のひらの外側に転がしてネタが上を向いたら左右を絞め、左親指でネタ下のしゃりを押す。寿司の向きを変えてもう一度左右と上下を押さえて終わり。何度もやらない。イクラとウニの軍艦巻きは、海苔が少しの時間でも湿気るので、握り寿司を盛り付けてから作って乗せる。


◾︎ワンタン

  自家製ワンタンは、餃子のような肉厚がポイント。子供も大喜び。

【材料】2〜3人前

ワンタンの皮 1袋(四角)

牛ひき肉 300グラム

ねぎ 1本

ニンニク 1株

生姜切り身 少々

塩・胡椒 少々

鶏もも肉 100g

【作り方】

 ワンタンの皮以外の材料をボウルでよくかきまぜて、ワンタンの皮の上に親指大の肉をスプーンで乗せて、皮の端全体に水分を付けて包む。鍋に煮立ったお湯に鶏もも肉の細切れを入れ、醤油で味を整え、ワンタンを入れる。3〜4分煮立てたら器に盛りつける。


◾︎電子レンジで作るお吸い物茶碗蒸し

 松茸味風味のお吸い物即席スープの素で、手早く茶碗蒸しができる。

【材料】2〜3人前

お吸い物スープ 1袋

生卵 1つ

鶏肉 1片

ナルトまたはカニカマ

椎茸

エビ(あれば)

きぬさや

【作り方】

 鍋で鶏肉を茹で、椎茸、エビを混ぜて小さい器に移し、溶いた卵をかき混ぜて、きぬさやナルトを乗せて電子レンジで1〜2分。途中で止めて卵のかたまり具合を見ながら調理する。

フォートハミルトン高校茶道部 茶会と抹茶

 表千家同門会米国東部支部主催フォートハミルトン高校茶道部(表千家学校茶道認定校)が、3月22日、ブルックリンのジャパンビレッジにて「春の茶会と抹茶体験」を開催した。茶道部員達による茶室での正式なお点前と抹茶体験がテーブル席で行われた。地元ブルックリンの公立高校生による運営で、同校には 日本人は一人もいない。当日は、多くの来場者およびジャパンビレッジ関係者より、今後の継続開催を望む声が寄せられた。

 今回参加した生徒の約9割は昨年10月に入部した新入部員だったが、2代目部長達を中心に協力し、初めての主催ながら約85人の来場者を迎え、精一杯のおもてなしを行った。同校の茶道は2023年3月に設立。表千家学校茶道認定校指定(2023年5月より)となっている。

 茶道部設立者は表千家同門会米国東部支部、同門会会員のNancy Tso(中川・琴絵)さん(当時同高校2年15歳)。設立当時の部員数は15人だったが、現在は茶道部員登録60人以上 、実際に毎週のお稽古に参加数は約30人だという。

28年間米国ニュースを発信  久下香織子さん

FCI キャスターを離れる

 フジ・サンケイ・コミュニケーションズ・インターナショナル(FCI)が、3月31日をもって44年間全米で放送してきた日本語テレビ放送事業を終了するのに伴い、ニューヨーク側で28年間キャスターを務めてきた久下香織子さんも、その看板を下ろす。4月から同社を離れ、フリーになるが、しばらくは28年間ニュースを追い続けていたためにまったくできなかったプライベートな旅行や、仕事とは関係のない本を読んだりして「素の自分に戻る時間」を確保して、一旦自分の生活をリセットするという。次に何をやるかはまだ決めていないという。

 久下さんは、日本でサイマルインターナショナル勤務を経てNHKのテレビドラマ「中学生日記」の英語教師役で女優デビューしたあと、NHKとフジテレビでニュースキャスターを経て1998年、結婚を機にニューヨークに移住した。来米翌日からFCIの当地の日本語放送を担当し、米国で生活する日本人に米国のニュースをわかりやすく伝え続けた28年だった。

 そんな久下さんにもジャーナリストを続けられるか迷ったことが1度だけあった。同時多発テロの当日、早朝7時から8時の番組を終えてベーグルとコーヒーを買ってオフィスに戻ってくると世界貿易センタービルが黒煙を上げている映像がテレビから飛び込んできた。社員はまだ出社しておらず、すぐ東京本社に電話した。「何か大変なことが起こってます!」。最初は事故だと思った。現場で遺族にマイクを向けると「あんたたちには心があるのか」と罵倒されたことが何度かあった。ピリピリした中で、遺族、コミュニティの嫌がることをしてでもこの仕事を続けたいのか、自分に向いているのか、NYに来て初めて心が折れそうになった。

 そして事実を伝えるという同時多発テロ取材の教訓は、コロナ禍で突然、ニューヨークがシャットダウンされ放送継続が危ぶまれた時に活かされた。日本語放送の責務とはまさにこのような有事に情報を出し続けることだとスタッフ一同一丸となって放送を続ける方法を模索したという。最終的に久下さんを含めディレクターや編集などは自宅から、そして番組送出を含む最小限のスタッフがリスクを負いながらも出社するという形で実現した。

 「それぞれ慣れない作業でしたがプロのチームが協力し合いながら毎日、各地のコロナ情報を出し続けました。私も家のリビングルームで携帯電話をカメラにしてスタジオ部分を1人で収録しました。FCI日本語放送チームがプロとしての意地を見せた場面でした。放送を見て毎日の不安が和らいだと多くの視聴者からのメッセージが届いたことが続ける力になりました。このように日本語放送は多くのスタッフの力で44年間続けてくることができました。終わってしまうことは寂しいですが誇りに思える多くの仕事ができたことを幸せに感じています」と語る。戦時日系強制収容所、ノーマン・ミネタ運輸長官、ダニエル・イノウエ上院議員の日系人にまつわる3本のドキュメンタリー制作にも携わった。「彼らの土台に乗って私たちがいて、またその土台を私たちが作っていままた若い人たちが頑張っている。日本人って素晴らしいですよね」と目を細めた。横浜市出身。家庭では一児の母。(三浦良一記者、写真も)

冨森士司、冨森士史兄弟 NYギャラリーOdoで個展

 香川県出身のアーティスト、画家の冨森士司(55)=写真右=、彫刻家の冨森士史(55)=同左=の2人の兄弟作家によるニューヨーク展「ザ・シンフォニア2026」が、マンハッタンのザ・ギャラリー・バイ・オド(西20丁目17番地、電話646・870・0383)で16日から始まった。19日作家2人がホスト役となりオープニングレセプションが行われた。

 兄の士司は、観たものは自分のうちに存在する創造力の源、あるいは、彼の本質と言っても良い。ビジョン、何かが生まれ出てくる場、宇宙のリズムと自分という生命体とが共鳴しあい、境界をも失う場、認識できるものとそうでないものがせめぎ合うような場を制作している。

 彫刻家の冨森士史は27年前、インスピレーションを受け日本の伝統技法、鍛金・鍛造により制作を始める。身体による打つ技法の自由と自在を得る事により、自己を凝視する眼を持つ。制作は「宇宙を表現する球体」。重力が地球にあることでそれに逆らう生命が進化したという仮説を形に投影しているのが特徴だ。鉄の持つ質感を残したまま表現した作品に多くの来場者が見入っていた。2023 第87回香川県美術展覧会 「立体」、香川県知事賞など受賞歴多数。展示は5月3日まで。     (三浦)

【今週の紙面の主なニュース】(2026年3月21日号)

(1)高市首相が初来米 米国大手メデイアに温度差

(2)聖パトリックデー春の笑顔

(3)SEA FIRE GRILL WEST CHESTER       ハドソン川の眺めと味わう上質シーフード 

(4)アート・スチューデンツ・リーグ版画展  野田正明さん

(5)週刊やさしいにほんご生活

(6)日米関係に転期 ウォーカーJS理事長が講演会

(7)こんな最中の高市訪米 視座点描

(8)日系人材紹介会社が 米国で非営利団体設立

(9)梅宮アンナさんが乳がんを語る BCネットワーク4月19日

(10)第2回「燦 SAN 2026」展  日米作家約90点を出品

高市首相が初来米 米国大手メデイアに温度差

 日本の高市早苗首相による初の訪米をめぐり、米主要メディアはどこも日米同盟強化の重要性を認めつつも、その意味づけや評価には違いがみられる。

 リベラル系のニューヨーク・タイムズは、訪米そのものを単独の大ニュースとして扱うよりも、米外交全体の中で日本を位置づける傾向が強い。報道の焦点は首脳会談の成否ではなく、対中戦略や中東情勢など「世界秩序の中で日本が果たす役割」になっている。特に、日本が米国の対イラン政策や安全保障戦略にどこまで踏み込むかが重要論点となっており、同盟の「負担分担」と「軍事的役割拡大」が分析の軸となっている。

 一方、リベラル・中道系のワシントン・ポストは高市政権を評価する論調が目立つ。同紙は高市首相の選挙勝利について「米国にとって良いニュース」とし、防衛費増額や軍事能力強化を歓迎する姿勢を示していた。さらに訪米についても、対中抑止を軸とした同盟強化の具体化と位置づけ、「中国の脅威に対抗する実務的パートナー」として日本を評価する視点が強い。

 保守系のウォールストリート・ジャーナルは安全保障・経済の実務面に重点を置く。報道では日米関係を「黄金時代」と表現し、防衛費増額や投資、資源協力など具体的成果に焦点を当てる傾向がある。また、高市首相の強硬な対中姿勢が国内支持を得た点にも注目し、日本の政策転換を「現実的な安全保障対応」として肯定的に描く傾向がある。

 高市首相の訪米については、リベラル系は慎重で抑制的、保守系は歓迎・評価と温度差がある。通信社のロイターとAPはその中間で能力や政策を客観的に評価する報道となっている。

 これはテレビ・メディアでも見られ、CNNはニューヨーク・タイムズに近く、「高市首相訪米は重要だがリスクもある」と慎重姿勢の一方、FOXは「強い同盟国・頼れるパートナー」と明確に高市首相を評価している。高市政権が進める防衛費増額、対中強硬、同盟強化というのは一部のリベラル系が慎重姿勢を示しているが、総じて評価されていると言えよう。なお、ABC、CBS、NBCの3大ネットワークでは高市首相訪米の報道はほとんど取り上げられていない。米国内の一般視聴者にとってはそれほど関心があるものではないと思われる。

 米国とイスラエルによるイラン戦争が3週間目に突入し、世界の関心事は石油タンカーの要衝となっているホルムズ海峡の封鎖による世界経済への深刻な影響だ。17日付ニューヨーク・タイムズ紙は、トランプ大統領の呼びかけによる集団護衛艦船の派遣に対して、ドイツが「この戦争には関わらない」として艦船派遣を拒否、フランスも警護の必要性は認めるがあくまで戦闘が終結してからという条件つきだ。

 トランプ大統領は「既に勝っている戦争の先勝国の尻馬に乗ってもらわなくていい。支援はいらない」と欧州、NATOの及び腰に不満を表明している。

 ホルムズ海峡の現状では日本の国内法で海上自衛隊の護衛艦船派遣は難しい。その中でどう高市首相はトランプ大統領と折り合いをつけるのか。一方で日本と歴史的に友好関係にあるイランからはアメリカの要請には従わなくても日本のタンカーを安全に通過させる方法はあると揺さぶりをかけている。日本国内の中にも「同盟国になんの事前連絡もなく勝手に戦争を始めておいて、問題が出たら助けて欲しいというのは何なのか」(杉山元駐米大使)というコメントもSNS上で米国に聞こえてくる。

 19日の高市・トランプ日米首脳会談は、世界が注視するなかでの開催。「日米同盟」の真価が問われるだけでなく、日本の外交力そのものを世界に示す歴史的なターニングポイントともなり、会談後の米論調が今後どう展開するのかが注目される。(関連記事5面、視座点描など)