路上ホームレス急増 NY市が一斉撤去を再開

批判受け市長が方針転換

 ニューヨーク市のマムダニ市長は2月18日、市内で一時停止していたホームレスの野営地(エンキャンプメント)の一斉撤去を再開すると発表した。就任5日目に従来の手法に懐疑的だとして停止していたが、寒波の中で少なくとも20人が死亡したことや、路上テントの増加を懸念する声の高まりを受け、方針を転換した。市は死亡者がテント居住者だったとは確認していないとしている。

 今回の見直しでは、警察主導だった合同撤去を市ホームレス支援局(DHS)主導に改める。来年度予算案で約60人の支援員増員費を計上した。テント撤去通知の提示後、7日間にわたり支援員が現場を訪れて入所や恒久住宅への移行を働きかけ、最終日に解体を通知する。市長は「期間中は毎日、路上生活者へのアウトリーチ(働きかけ)を行う」と強調した。

 方針転換には寒さによる死を路上生活者を助けるための行動と評価する声がある一方で、現場からは屋内生活への不安や、撤去で所持品が廃棄されることへの懸念も上がる。法律扶助団体「リーガル・エイド・ソサエティー」とホームレス支援団体「コアリション・フォー・ザ・ホームレス」(ホームレス連合)は「ホームレス一掃中止の誓約はまたしても破られた」と批判。低所得者支援団体「ボーカル・ニューヨーク」(VOCAL-NY)のエグゼクティブ・ディレクター、ジェレミー・サンダース氏は「ホームレスキャンプの一掃は効果がなく、費用もかかる上、実際にはホームレス問題の解決には繋がらない。市長は住宅価格高騰とホームレス問題の解決を公約に掲げていたのに残念だ」と述べた。

 一方、都市政策シンクタンク「バイタル・シティ」(Vital City)創設者エリザベス・グレイザー氏は「慢性的路上生活者を恒久住宅につなぐ一歩になり得る」と評価した。

 全米では野営禁止をめぐる議論が続き、一部の都市や州では全面禁止に踏み切っている。2024年には連邦最高裁がオレゴン州の屋外就寝禁止を合憲と判断した。市議会でも寒波対応を含め、市の取り組みの実効性が問われている。

 マンハッタンの五番街でも、テナントの入っていないビル入り口前に陣取って空き箱やダンボールで囲った仮説住居で生活しているホームレスがいる。警察の指導を受けて退去するも翌日にはまた元の場所で生活するいたちごっこが続く。街頭の電源コンセントから電気を取って電気ストーブで暖をとり、椅子、電気スタンドまで置いているのはやりすぎだとの批判の声がある一方、食事を提供している市民や観光客もいる。

(写真)空き箱を積み上げた仮設住宅に常住する路上生活者(19日、五番街47丁目で)