早稲田アカデミーが帰国受験の出願ガイダンスをオンライン開催

「今月中に受験スケジュール作りを」

 進学塾早稲田アカデミーニューヨーク校(ニューヨーク州ウェストチェスター)は12日、オンラインで帰国受験生および保護者を対象にした「出願ガイダンス」を実施した。中学受験の部と高校受験の部の2部で帰国生受験の最新情報、および同社、同教室の取り組みを説明した。例年は教室で行うイベントが、今回はオンライン実施ということで、マンハッタン、ニュージャージー、ワシントンDC地区、ペンシルベニア州、カリフォルニア州、オレゴン州、ジョージア州、チリなど、さらには東京在住の帰国生の保護者の参加もあった。説明は同教室の田畑康校長がZOOMで行なった。講演要旨は次の通り。

 帰国までのスケジュール。今年の受験生は、コロナウイルスの影響で、帰国後の自主隔離期間も計算に入れると、一度受験のために帰国したら、途中で米国には戻らず、最後の受験が終わるまで戻ってこられないと見るべきだ。受験生本人と、サポートする家族のストレスを減らす上でも、9月中に、願書を取り寄せるだけでなく、各家庭で出願と受験そして各種手続きのスケジュールを作り始めて欲しい。受験生にとっては学力向上の努力が最優先なのは言うまでもないが、保護者にとっては、願書作成と、スケジュール管理を進める9月と10月が「勝負期間」となる。

 出願校の選び方。まず9月の今月中は10校以上リストアップされてかまわない。ポイントは、第一志望校への強い思いだけでなく、「通う覚悟を決めた」押さえの中学・高校を早く用意すること。直前期に、もしくは受験が始まってから慌てて押さえの出願校を増やす例が見受けられるが、受験校がその時期に増えるのは本人も家族も精神的な負担が大きいものだ。10月中に、スケジュール、出願、学力、成績などの検討材料をもとに5〜7校に絞り込んでいく。学力と成績を冷静に分析できるのは今の時期だけ。いつまで悩みますか。日本の受験生は、中学受験に関しては小学校6年になる時に受験科目などの方針を決めるパターンが多い。大事なのは、受験生が目標に向けて一生懸命頑張れる環境作りだ。志望校の入試傾向に合わせた勉強も、方向性が決まらないと受験生は突っ走れない。

 中学校の合格ラインと対策。帰国生入試は、模擬試験の結果だけでは見極められない合格ラインが存在する。特に、英語入試を採用している場合は、英文の難易度だけでなく、文法やエッセイ、面接の比重なども大きく関わってくる。残された時間になすべき学習の内容や科目間バランスは、志望校によって変わってくる。

 高校の合格ラインと対策。高校受験は、ほとんどの高校が一般受験と変わらないと考えてほしい。難関高校であれば、帰国枠といっても優遇されるされるのは5点から15点くらいだと予想される。1科目に換算すれば5点なので、誤差の範囲と言えなくもない。一般入試で突破できる力をつけることが大切だ。

 面接試験の対策。近年の教育改革で掲げられる「新しい学力」すなわち「思考力・判断力・表現力」が求められる傾向が強い。大きな声で明るく元気よく話すのは大前提で、欧米の高いランキングの大学入試や就職試験の面接と同じく、回答する内容が重視される。

 受験生と家族の心構え。コロナ禍の時代の入試は、試験を実施する学校の側も戸惑っているようだ。しかし、コロナの流行があろうとなかろうと、試験日程の後送りはないと見るべき。どんな状況になろうとも、学校側が求める生徒像は決まっている。ちゃんと準備し、正しい努力をした生徒が欲しいのだ。(抜粋)

(写真)コロナの年の帰国受験対策について説明する田畑NY校長

その18:ルート66の名を世界に広めた映画「CARS」

魅惑のアメリカ旧国道「ルート66」 をフォーカス

 ルート66ファンの皆さん、こんにちは!9月に突入しましたが、こちら東京はまだまだ猛暑は終わりません。先月の猛暑日(いわゆる摂氏35度超)は11日!代わって雨の降った日はたったの2日です。夏場ですが雨の少なさは(筆者の住む)カリフォルニアかっ!という感じですね。

 さて、「行きたいけど安心して行かれない」、旅行までもう一歩、二歩、三歩?待たないといけない今日この頃、オンライン配信やDVD等で多くの時間を費やしている読者さんも少なくないと思いますが、ルート66の名前を再び世界中に広めてくれた映画のお話をしたいと思います。今月の「魅惑の旧街道を行くシリーズ」シーズン③ 第18話は、ディズニーピクサー不朽の名作「CARS」です。

 CARSは、ジョン・ラセター監督の下、2006年6月9日に封切りされた大人気のアニメ映画です。(なぜ6月6日でない?笑)封切りの約2週間前の5月26日にはノースカロライナ州コンコルドにある、シャーロット・モーター・スピードウェイにてプレミアが行われ、ルート66関係者の間ではちょっとしたお祭り騒ぎになりました。当初は「Route 66」というタイトルになる予定でしたが、皆さんよくご存知の60年代の同名TVドラマ「Route 66」があったことから作品名は変えられたそうです。その後2011年には2作目、2017年には3作目が出ましたが、一番ルート66色が強い第1作目に今月は集中したいと思います。

 以下多少ネタばれしますが、まだ観ていない方も既にご覧になった方も、もう一度この真夏の寝苦しい夜、CARSの醍醐味を楽しんでみてはいかがでしょうか。

 主人公は初の新人チャンピオンを狙う天才人気レーサーのライトニング・マックィーン。カリフォルニアへの移動中トラブルに巻き込まれ、ルート66沿いの田舎町「ラジエーター・スプリングス」に迷い込んでしまうことからこの物語は始まります。この町の名前を聞いてピンときた方は中々のルート66愛好者ですね。「スプリングス」と付く町名は幾つかありますが、今回のモデルはアリゾナ州のピーチ・スプリングスです。人里離れ荒野に囲まれたラジエータースプリングスの街はまさにピーチ・スプリングスそのものです。そんな状況に焦ったマックィーンはメイン通りのアスファルトをボロボロにしてしまい保安官のシェリフに逮捕されますが、早速登場しました、このシェリフ。声を担当しているのは泣く子も黙る我々ルート66の重鎮、マイケル・ウォリス氏なのです。筆者を実際にルート66に導いてくれた要因の一つになった「The Mother Road」の執筆者であり、ジャーナリストであり、歴史家さん。雑誌Time、Life、そしてPeople等、数多くの著名雑誌への記事や寄稿はもちろんのこと、未だ現役でルート66の発展活動に精を出しておられます。筆者も最初にお目にかかったときは嬉しくてろくに話もできませんでした。余談ですが、ウォリス氏の「声」は現在、彼の地元であるオクラホマ州、タルサ国際空港の到着ロビーでもウェルカム・アナウンスとして聞くことができます。その後マックイーンは町の交通裁判により、社会奉仕活動として「道路の舗装」を命じられてしまいます。マックィーンは「自分は有名なレーサーで、カリフォルニアに一刻も早く着かなくてはならない」と説明しますが、田舎者の住民たちには全く信じてもらえず、道路の再舗装を通じ町の住民たちと触れ合って行く中で、人生には何が大切かを学んでいくことになるのです。

 実はこの街に出てきるキャラクターさんたちがマジで涙もの!なのです。一つ例を挙げますと、Flo(フロー)という女性キャラクター、登場人物としては街の住民の憩いの場である喫茶店兼ガソリンスタンド、「V8カフェ」のママです。このV8カフェは、テキサス州エイドリアンという街に実在するカフェ、「ミッドポイント・カフェ」がモデルになっているそうで、もちろんカフェの当時のオーナーであったFran HouserさんがFloのイメージです。Franは筆者の大切な友人の一人でもありますが、映画の中でも描かれている「街で一番面倒見が良く信頼度も高い」という設定は決して間違っていません。ある日Franの経営するカフェに15人ほどの団体が予約なしで立ち寄ったそうです。実はその団体、監督であるラセター氏のご一行だったそうで、映画のクレジットや、その後ラセター氏はインタビューで繰り返しミッドポイント・カフェの話をしていますから、その反響は相当なものだったとのことです。登場人物Floの車体はいわゆる「Show Car」で、ナンバープレートも「SHO GRL」(ショー・ガール)ですが、実際Franがそうであったかは…、聞いていません。その他、町の弁護士である水色ポルシェのサリーは、オクラホマ州ストロードにある「ロック・カフェ」のオーナー、Dawn Welchさん、ヒッピーのVWバン「フィルモア」の車はルート66・アーチストのボブ・ウォルドマイヤー氏の車がベースになっていると言われます。

 物語の中に出てくるそれぞれの台詞、「ラジエーター・スプリングスは昔はとてもきれいな町で、大勢の客が訪れたものよ」、舗装の後に町中の電灯を直した際「昔の頃に戻った」と大騒ぎする住人たち、そして映画の結末ではマックイーンがラジエータースプリングスに住むようになったことで、町は昔のように大勢の車が訪れるようになったこと等、ルート66の逸話はふんだんに盛り込まれています。それではまた来月お目にかかります!

(後藤敏之/ルート66協会ジャパン・代表)

(写真:© Disney / Pixar)

編集後記 9月12日号


  みなさん、こんにちは。クオモ・ニューヨーク州知事が9日午後記者会見し、9月30日からニューヨーク市内のレストランでのインドアで営業を認めました。入店する際に、体温検査、客の1人が連絡先を登録、客席の25%の使用を上限に、席についていない時はマスクを着用。深夜零時を超えての営業は不可。バーサービスはなし。州のガイドラインを守ること。空気の換気をよくすることなどがルールとして盛り込まれました。ニューヨーク市内のレストランにとっては、待ちに待った発表だったかと思います。パンデミック前に繁盛していた店でも、野外営業が認められた後もシャッターを閉じたままの店が結構あります。3月末から店を閉めていたところはもう、かれこれ半年も営業ができなかったということで、復活へのハードルは相当高いと思います。ニューヨークはかなり慎重に経済再開を進めてきました。公立学校も21日から再開の目処がたち、9月末から10月へは、ポストコロナへの橋渡しの時期と言えましょうか。 CDCが先ごろ濃厚接触者でも症状がなければ抗体テストを受ける必要はないとしたことに対して、政治的な判断が影響しているとの批判も出ていますが、死者数、感染者数の推移を見てもコロナは一段階、新たなチャプターに入ってきたとみていいのかもしれません。抗体検査数の分母が増えれば、陽性者の数も増えるのは当然ですが、日本の報道を垣間見るに、抗体検査をしない人はバツ、陽性結果が出たらもっとバツ、という魔女狩りのような感じに様相を呈してきていると言うと言い過ぎでしょうか。企業のリリースなどには「社員全員に定期的に検査を義務付け、陽性者ゼロを目標にしています」みたいな中で、誰がどこで観戦するかもわからないのに陽性になったら後ろ指を指されかねないムードはなんだか怖いです。そっちの方が怖い。ニューヨークはそこらへんは、静かにしていて、プレッシャーは感じません。死と背中合わせの恐怖が日常であったニューヨーカーが少しずつ元の日常を取り戻しつつある秋です。それでは、みなさんよい週末を。(「週刊NY生活」発行人兼CEO三浦良一)

クイックUSAアメリカの人事部(17)

自主隔離を終了させる新たなガイドライン

 CDC(アメリカ疾病予防センター)から今度は、自主隔離(Self-isolation)に関する新たなガイドラインが7月20日に出されましたので、皆様にシェアさせていただきます。やはり弊社のクライアント企業様から寄せられる質問の中で必ず出るのが、従業員を職場復帰させる(RTW: Return-to-Work)までの自宅での自主隔離の期間および復帰の条件についてです。前回は、復帰に際してコロナ感染テストを従業員に義務付けてもよいとするCDCのガイドラインをご紹介いたしましたが、今度は検査のみならず復帰できるまでの期間について新たなガイドラインとともに検証を試みたいと思います。

 まずCDCがさまざまな今までの科学的経験値やデータを集めて解析してきた中で、今回の最新ガイドラインを通していえることはテストの結果陽性であることがわかった時点からカウントして自主隔離する期間を今までよりも短く設定しているという点です。また、もう一方での科学的解析から判明したことはコロナの症状が出た人の十分な回復までには年齢の若い人であっても時には数週間を要するということがわかったということです。ということで、CDCは自主隔離を終わらせる期間というのは、その人が呈した症状によるのだというものです。それが従来のガイドラインとは違うところで、従来はテストを1日(24時間)間隔を空けて2回受け、そのどちらの結果も陰性であることが自主隔離を終了させる必要条件でした。ところが最近になって、地域によってはテストキットの深刻な不足やテスト場所の大混雑、そして結果が判明するまでにかかる日数などから2回もテストを受けさせるということがますます困難をきたすようになってきました。

 そこで、CDCは必要ではない期間の隔離、そして複数回の重複したテストの施行を回避させるために新たなガイドラインを出すこととなったと表明しています。CDCでは、新たにコロナの症状が出始めてから10日間自主隔離を行い、解熱剤などを使わずに24時間発熱がなく、他の症状も改善している場合に隔離を終了できるとしています。またテストを受けて陽性であったものの、無症状である場合にも10日間で隔離が終了できるとしています。さらに今度はコロナの症状が重篤であった場合、あるいは何らかの免疫無防備状態を持つ人の場合には、症状が出始めてから20日間の隔離を行うこととしています。

 しかしながら、CDCは例外措置があることを認めており、それは感染が拡大進行中であります現在のアメリカ南部地域、たとえばフロリダやテキサスの 「ホットスポット」と呼ばれているような地域を訪れて滞在したり移動したりした後に戻ってきた場合には、今までどおり14日間の自主隔離期間が義務付けられます。また海外渡航をした場合にも同じくアメリカに帰国後14日間の自主隔離が必須となります。これらの点については以前と変わりがないので、注意が必要であり、紛らわしいところだといえるかもしれません。

 このようにCDCから出されているガイドラインは不定期にアップデートや修正がなされることがよくありますので、CDCからの発表やウェブサイトには目を凝らしていなければなりません。さらに現政権やホワイトハウスの方からCDCに対して突然注文がつくこともあり、独立機関として本来政治から中立であるべき組織のCDCは時にきわめて政治色を際立たせてしまう局面が見え隠れしたりします。これは由々しき構造的問題点で、政治に翻弄されることなく、科学的データと知見(エビデンス)とを積み上げて国民に理解と納得ができるガイドラインのアップデートであってほしいと心から願っています。

(酒井 謙吉 パシフィックドリームズ社長)

www.919usa.com

【今週の紙面の主なニュース】(2020年9月12日号)

(1)ロシアで進むワクチン開発  1面
(2)海洋航海の歴史一般公開   1面
(3)あめりか時評・冷泉彰彦   4面
(4)バイデン氏依然優位     4面
(5)国連平和の鐘17日に鐘打式  5面
(6)沖縄ハーブティー鍼灸院   8面
(7)BOOKS 私は真実が知りたい 10面
(8)NY生活ウーマン 飯田くにこさん 11面
(9)帰国生対象学校説明会   13面
(10 )西半球で一番高いデッキ再開  20面

ロシアで進むワクチン開発

英医学誌が一定のお墨付き

 英医学誌ランセットは4日、ロシアが開発した新型コロナウイルスのワクチンについて、臨床試験の参加者全員が抗体を獲得したとする論文を掲載した。論文は開発に携わったロシアの研究者らが書いたものだが、世界的権威のあるランセットの査読を通り掲載されたことで大きく信頼性を得ることになった。

 論文は6〜8月にロシアの二つの病院で実施された臨床試験を報告したもの。18〜60歳の男女76人を対象にワクチンを投与した結果、全員が抗体を獲得した。一部で頭痛や関節痛はあったものの深刻な副作用は見られなかったという。ワクチン開発を支援している政府系ファンド「ロシア直接投資基金(RDIF)」のキリル・ドミトリエフ総裁は記者会見で「高い安全性と効果を証明し、国際的にロシアの研究者が認められたことを示した」と述べた。

支援している。

 プーチン大統領がワクチン開発を最優先課題にしているロシアでは、8月に世界で初めて自国で開発したワクチンを許可した。ワクチンは保健省が後押ししモスクワの国立ガマレヤ疫学・微生物学研究所がロシア国防省と協力して開発、1957年にソ連が成功させた世界初の人工衛星と同じ「スプートニクV」と名付けられた。プーチン大統領は発表記者会見で、自身の娘も臨床試験に参加し特に副作用なく抗体を獲得したと語った。

 ワクチン開発は各国の研究機関がしのぎを削っているが、あまりに早い開発・承認に、欧米のみならずロシアの臨床研究組織協会が承認延期を求めるなどロシア国内からも安全性や有効性を疑問視する見方が出た。

 今回の論文を受けて欧米の研究者の間では、ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のノアル・バージーブ博士が「この研究はうまくいっているようだ」との見方を示すなど開発が順調に進んでいることは認めているものの、市場に出すにはまだ時間が必要になるとの見方が一般的だ。論文でも、ワクチンの安全性は高いとしているが有効性についてはさらなる研究が必要とし、フェーズ3(第三段階)のボランティアによる臨床試験はさまざまな年齢とリスクグループを入れ4万人規模で行うとしている。

 新型コロナの感染者が9月1日に100万人を超えるなど世界で4番目に多い。ミハイル・ムラシュコ保健相は、重症化のリスクが高い人を中心にワクチン接種を11月か12月から開始すると述べるなどロシア政府は前のめりだ。

9・11テロから満19年、続くNYの苦難

あめりか時評閑話休題 冷泉彰彦

 初秋の「あの日」から19年の歳月が過ぎた。今年も「あの日」と同じようにNYは寒暖の差の激しい季節を迎えている。ツインタワーがテロ被災し、相次いで倒壊した後、ノーマン峯田長官は全米上空を飛行中の民間機に全て緊急着陸を命じた。また、NYのジュリアーニ市長は14丁目以南を一切立入禁止とした。飛行機雲が消え、クリスタルブルーと言われた澄み切った空には喪失と死のイメージが広がっていた。

 喪われたものは人命だけでなく、90年代のグローバル経済だった。冷戦の終結による平和と国際協調の時代を謳歌するなかで、米国には金融と先端技術によって永遠の繁栄が保証されている、そのような確信は一瞬にして消滅した。NYという街としてはテロ不安の払拭に務めつつ、ダウンタウンの復興という気の遠くなるような作業に取り組むこととなった。

 幸いなことに、この時は政治が機能していた。ジュリアーニから市長職を継承したブルームバーグは、NY選出の上院議員であったヒラリー・クリントンを通してブッシュ大統領の協力を引き出し、連邦からも予算措置を引き出すことができたのである。さすがに被災地の整備計画は遺族感情との丁寧な対話に時間がかかったが、ダウンタウンの復興は比較的スムーズに進んだ。少なくとも国際金融都市、国際観光都市としてのNYの地位が大きく揺らぐことはなかった。

 次の苦難は7年後の同じく9月に襲った。NYタイムズスクエアの北にあったリーマン・ブラザース証券が、2008年9月14日の日曜日に突如破綻したのである。これを契機として、前年から不気味な動きをしていたサブプライムローン破綻のヘッジに失敗した金融界は存亡の危機に瀕した。だが、このときも政治は機能していた。退任してゆくブッシュ大統領は日本の金融危機の例にならってバンカメやメリルをはじめ、大手金融機関の破綻を公的資金で救済、それを引き継いだオバマ大統領は翌年3月の株価のドン底から景気と雇用を回復基調に乗せたのである。

 その結果として、NYは国際金融都市としての地位を守ったばかりか、改めてグローバル経済の一大拠点として成長を始めた。一方で2011年には、ウォール街における「占拠デモ」が起きたし、16年にはその延長で左派政治家サンダースへの支持がNYでも広がった。こうした運動は格差拡大への異議申し立てであったが、そのような反対運動が起きることは同時にNYの発展を物語っていた。

 この時期のNYは、金融だけでなくテック企業の拠点としても成長し続けていたし、改めて国際観光都市として大きな繁栄を手にしていた。NYにとって再び訪れた黄金時代であり、マンハッタン全島だけでなく、ブルックリンやクイーンズ、あるいは対岸のジャージーシティなどで大規模な不動産開発が続いた。

 けれども、そこへ21世紀に入って3度目の苦難が襲った。他でもないCOVID19のパンデミックである。NYは欧州の窓口ということから今年3月に感染が拡大し、公的交通機関を使う通勤者や高齢者施設入居者などを中心に多くの犠牲を出すこととなった。

 NYは、アメリカの他の地方と比べれば感染拡大を早期に抑え込んだ。だが都市経済の痛手は大きい。金融産業そのものの傷は浅い一方で、多くの知的労働は在宅となって街の活気は消滅した。観光に関しては演劇・音楽・外食・宿泊・交通の全てにわたって壊滅的な打撃を受けている。残念なことに今回の危機では政治が機能していない。民主党の知事、市長とトランプ大統領が水と油であるのは仕方ないとして、要となるべきデブラシオ市長の姿勢に動揺が見られるのは残念だ。そんななか、大都市NYは史上最悪の危機を迎えている。

 この危機はワクチン開発成功と共に雲散霧消するのか、それとも都市のあり方に抜本的な変化をもたらすのか、これからの6か月が真剣勝負となろう。

(れいぜい・あきひこ/作家・プリンストン在住)

海洋航海の歴史、NYで乗船公開

サウスストリート・シーポート

 マンハッタンのサウスストリート・シーポートのビア17に係留されている大型帆船ウェイバーツリー号が5日、乗船公開を再開した。1885年に英国で建造された同船は、インドと英国とを結ぶ貨物船として使われ、1910年に引退、マストを下ろした。1967年にブエノスアイレスで米国人によって発見されニューヨークのサウスストリート博物館が買い上げた。1500万ドルを投じスタッテンアイランドの修理工場で修復工事が行われ、2015年に船上博物館として公開された。今年の春から新型コロナウイルスの感染拡大により閉鎖されていたが、12日、19日、26日は無料で乗船ができる。

 チケットは日時指定の完全予約制。最寄りの地下鉄は1番線のフルトン駅下車徒歩5分。詳細はウェブサイトwww.seaportmuseum.orgを参照する。

バイデン氏依然優位

米大統領選挙まで2か月

 民主、共和両党の全国大会が終了し、トランプ大統領(共和党)とバイデン元副大統領(民主党)の一騎打ちとなる11月3日の米大統領選挙まで2か月を切った。各種世論調査では今春、バイデン氏がトランプ氏に10ポイント近くリードしていた。その後トランプ氏が一時追い上げを見せたとされたが、バイデン氏の優位はそれほど変わっていない。

 コネチカット州のキニピアク大学が両党の全国大会終了後の8月28日〜31日にかけて行った世論調査では、トランプ氏とバイデン氏のどちらに投票するかという問いに対しバイデン氏が52%、トランプ氏が42%とバイデン氏が10ポイントリードした。

 8月28日から9月1日にかけて登録有権者を対象に実施されたCNNの世論調査ではバイデン氏への支持率は51%に対しトランプ氏は43%。民主党は党大会で副大統領候補にカマラ・ハリス氏が決まったが、支持率の差は大会前に実施された調査結果と同様だった。

 8月29日から9月1日に行われたフォックスニュースの世論調査でもバイデン氏が優位のままだった。2016年の選挙でトランプ氏が制し、ヒラリー・クリントン氏を破る大きな要因となった3つの激戦州(スイングステート)でも、アリゾナ州がバイデン氏が49%、トランプ氏40%、ノースカロライナ州がバイデン氏50%、トランプ氏46%、白人警官による黒人射殺事件が8月25日にケノーシャで起きたウィスコンシン州でもバイデン氏50%、トランプ氏42%といずれにバイデン氏がリードしている。

 全米対象の各種世論調査の支持率の平均値を出している政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」の7日時点では、共和党のトランプ大統領が42・8%、民主党のバイデン前副大統領が49・9%となっており7・1ポイントの開きがある。バイデン氏の優位が続いているが、2016年の大統領選挙ではほとんどの世論調査でヒラリー氏優位と出ていたが、結果は得票数では下回ったものの獲得選挙人数で上回ったトランプ氏が勝っている。今回は新型コロナで急増するとみられる郵便による不在者投票がどう影響するかも不確定要素となりそうだ。

(写真左)トランプ大統領(右)バイデン元副大統領
Photo courtesy deseret.com

平和の鐘打つ

国連式典17日に

リモート総会で事務総長

 今年の国連総会が新型コロナウイルスの感染拡大に伴いオンライン・リモートで開催されるにあたり、例年国連総会と重なる国連平和の日前後に鳴らされていた平和の鐘の式典の動向が注目されていたが、今年は17日(木)午前に鳴らされることが明らかになった。

 日本政府国連代表部によると、当日は午前11時からアントニオ・グテーレス事務総長、ヴォルカン・ボズクル第75回総会議長、メリッサ・フレミング事務次長、石兼公博国連大使が出席して式典が行われる。事務総長と総会議長が鐘を鳴らす。

 国連平和デーは9月21日だが、代表部によると、例年、式典は国際平和の日前後に行われており、当日に開催されたことの方が少ないくらいとのことだ。日本が1956年に国連に加盟する2年前、国連に平和の鐘を寄贈した日本人、中川千代治氏(故人)の6女で国連平和の鐘を守る会(本部東京都)の代表、高瀬聖子さんは、鐘が鳴らされることについて「コロナ感染の困難な状況下でも国連が、平和の鐘の鐘打を行われると知り、感動している。どんなにか思いの込められた素晴らしい鐘の音が響くことか。国連が平和の鐘の音を絶やさないこと。それはどんな障害も乗り越えて世界平和を目指すという国連の決意に思える」とコメントしている。

沖縄ハーブティー NYで提供の鍼灸院

 NY農場フレッシュの等々力です。NY農場フレッシュで取り扱っている沖縄のハーブティーを提供している鍼灸院のご紹介をさせていただきます。

 最近、体力や精神力がアップし、かつてなく体調が良い感じなのです。ひょっとしてそれは最近はまっている「機能茶+鍼治療」にあるのではと思っています。

針治療は、グランドセントラル駅から徒歩距離にある「ルーツマインドフル鍼灸院」は吉藤美智子先生の知る人ぞ知る隠れ家的な癒しスペース。実は、ここに定期的に通い、機能性の高い厳選茶で喉を潤し、体の内側からじっくりと温まった後に、鍼を受けることが最近のマイブームとなっているのです。

 無機質な雰囲気の鍼灸院とは違い、ルーツ鍼灸院はナチュラルなグリーンと白が基調の穏やかな空間。アロマと音楽がほのかに漂い、心身が安らぐヒーリング空間です。

   何と言っても、治療前にサーブされる天然ハーブのノンカフェインのお茶「神様のおくりもの」が格別。

沖縄の自然が産んだ高級食材である月桃・クミスクチンを始め、デトックスに効く「どくだみ」や免疫力を向上する「霊芝」をバランス良く配合した高級茶。リラックス気分に浸れます。女性であれば美容健康茶である「沖縄のおくりもの」のリクエストも可能。こちらはダイエット効果のあるアマチャヅル、老化防止や胃腸の働きを整えるウコンをブレンド。美肌効果も期待できそうです。

 お茶で一息ついた後に、鍼セッションが始まります。最初は「鍼は怖い」というイメージがありましたが、日本式の刺鍼法なので痛みはほとんどなく、深い瞑想状態に入れます。私は毎回、いびきをかいて眠りに落ちてしまいますが(笑)。軽いストレッチやマッサージが鍼セッションに組み込まれているのもうれしいです!

 さらに、ルーツ鍼灸院は殺菌、空気清浄なども行っているため、コロナウイルス対策が万全なのも安心。一時間一人のみの完全予約制となっているので、ちょっぴりVIP気分で鍼を受けられますよ。鍼は腰、肩、膝の痛みなどはもちろん、不眠、不妊、うつ病、頭痛、神経症、胃腸病、更年期障害などにも良いそうです。

お茶と鍼の効力で、皆さまも、心身をデトックス&リセットしてより免疫力を高めて、より元気になりませんか?

*神様のおくりもの(沖縄ハーブティー)

NY農場フレッシュ:www.nynojofresh.comのお買い物:新型コロナ対策商品のページにて掲載。1袋(約1か月分)15ドル24セント。


ルーツマインドフル鍼灸院

ROOTS Mindful Acupuncture
4 West 43rd St, Suite 410
Contact: [email protected]

森友改ざんの真相を暴く

赤木雅子 、相澤冬樹・著
文藝春秋・刊

 本書はふたりの人物の視点から書かれている。ひとりは2017年に発覚した学校法人森友学園への国有財産払い下げを巡る一連の事件、いわゆる「森友問題」を追いかけ続け、大手マスコミまで辞めてしまった記者、相澤冬樹さん。そしてもうひとりは「森友問題」を巡る公文書改ざん問題で自殺した近畿財務局職員、赤木俊夫さんの妻、赤木雅子さん。雅子さんが書かれた序章での、自宅の居間で首を吊って自殺した夫の体を下ろし、もう手遅れとわかっていながら蘇生処置を施すまでの記述は、息を飲むしかない。「お辛かっただろうに」そう言葉にできたのは本書の終盤、 雅子さんが今年3月18日に国を相手取る提訴に踏み切ることを決意されるまで読み進めた時だった。

 「森友問題」はまだ終わっていない。事件の詳細はテレビや週刊誌、新聞などで報道されている通りで、本書でも時系列に整理され分かりやすく書かれている。さらに本書で明らかにされていることは、いかにして事実は組織によって隠蔽されるのかである。文書を改ざん・破棄するだけでなく、関わった人物たちまでもが組織に合わせて豹変し、背く者を社会的に追いやり抹殺していく。それが国家権力を嵩に着る官僚組織であると断言する人もあるだろう。しかしいかに高度に築かれた堅牢な組織であっても、組織は人が構成するもので、いつか人は組織は、良心の呵責や責任の重圧で潰れてしまうだろう。公文書改ざんに関わったために自責の念に耐えかね、赤木俊夫さんは死を選んでしまった。

 雅子さんは夫の死の現場で、パソコンに綺麗に整えられた手記を見つける。悲しみに打ちひしがれる雅子さんの前に、次々と現れては意味深長な言葉を残して去っていく刑事や近畿財務局職員の様子から、ただならぬものを感じながら、手記の公表をためらう。無理もない。事件は時の内閣総理大臣夫妻にまで及ぶのだ。ことを荒立て、これ以上世間の注目を浴びてしまっては、静かに夫の死を悼むこともできなくなる。

 しかし彼女は強かった。夫は公表を望んでいる。そう感じられたのは夫への愛からだった。お互いに明るい人柄に惹かれ、結婚して22年間ずっと幸せだったふたりの生活。愛する夫を死なせてしまった。その思いが彼女を強くした。

 それでも人間不信から、なお揺れ動く彼女の決意を辛抱強く待っていたのが、記者の相澤さんだ。

 相澤さんの事件を追う視線は鋭い。取材に応じない人物には職場近くまで出向き、路上インタビューを敢行する。微かな反応や言葉の綾まで見逃さない。標的にされたら堪ったものじゃないだろう。しかし雅子さんとのやりとりには、まるで心を調律するような、人間の原点から響く優しさがある。とても不思議な人だ。雅子さんもそう感じ、閉じていた心を開き始め、頑なに公表を拒否していた手記を相澤さんに託す。そこからの劇的な展開は本書に詳しい。

 実名で明らかにされる事件の暗部を、雅子さんの健気な明るさがより一層深く浮かび上がらせ、相澤さんの積み上げた揺るぎない取材と明晰な文章が冴える、現在同時進行のノンフィクション。(フェイダーちえ)