クイックUSAアメリカの人事部(18)

ブラックスワン比較

 コロナがまだ制圧できていない米国において、職場で様々なやり方が模索されています。

 今後状況がどう変わるか、コロナと過去のブラックスワン、911、ハリケーンカトリーナを比較して考えてみたいと思います。

ブラックスワン: 911 

 911勃発時、私はロンドンにいましたが、以前攻撃を受けたニューヨークのワールドトレードセンターのほとんど真下にあるアパートに住んでいたので、衝撃は大変大きいものでした。特にそのアパートの中庭が死体置き場として使われたと聞きショックを受けたのを覚えています。その時はNYももう駄目だ、と思いましたが、私などの観測を見事に打ち破るNY市のタフさ。あとは皆さんがご存知の通りの復活です。    

ブラックスワン: カトリーナ(ハリケーン)

 カトリーナの被害は南部、特にルイジアナ州のニューオーリンズやミシシッピに被害が集中し、その地域は悲惨だったものの、米経済にとっての長期的な影響はほとんどありませんでした。

ブラックスワン: COVID-19 「究極のスーパーブラックスワン」

 そして今回のCovid-19。これは前述2つとは全く違い、世界中の職場、学校、生活、すべてに影響が出た「究極のブラックスワン」。マスクや手袋をする、子供が学校にいけない。もちろん職場での変化も否応なし。この好機を逃すなとリモートワークのインフラに投資し、オフィスのリースをキャンセルしたところもある代わりに、新人教育ができないと採用をストップしたところもありました。  そして多くの企業が大きな収入減を経験。

その意味

 今回のブラックスワンは大きな変化の岐路だと言えます。  

 リモートワークが日常になり、Zoomを使いこなしての商談が主になる。お客さんに会わない、社員にも会わない。活発な雰囲気が失われ、会社の一体感が失われていくと感じる。

 当然ながら、現在の変化のうち恒久的になる部分、元に戻る部分、そして両極を行き来するようになる部分が次第に明らかになっていきます。これはお客様や取引先、そして会社自身の進化によって変動する余地がまだあるということです。ということは、どんな変化が必要になってもその変化を受け入れる体制と文化、そして実際に変化を使いこなそうとする積極性と柔軟性が重視されると言うことになるのだと思います。  

(今泉江利子 Waterview Consulting Group, Inc. CEO)

www.919usa.com

編集後記 9月19日号

■【編集後記】
  みなさん、こんにちは。ニューヨーク市では拳銃発砲事件のみならず殺人、強盗、強姦等の重大犯罪の件数が昨年よりも増加しています。ニューヨーク日本総領事館が11日、在留邦人に注意を喚起しました(本紙今週号4面に詳報)。また、市内の交通事情についても交通量は昨年より少ない一方で、車の速度は早くなっており、交通事故も昨年よりも増加しているそうです。確かに、私の深夜の退社時間、ランボルギーニみたいなスーパーカーが夜中にタイムズスクエアから連なってウエストサイドハイウエーの方に爆音と共に何台も走っていくのを見かけました。街道サーキットになっているらしい。ニューヨーク市警察(NYPD)によれば、今年8月中におけるニューヨーク市内の犯罪発生状況は、拳銃発砲事件は242件で、前年の91件から166%増加していいます。被害は郊外にも広がっていて、ウェストチェスター郡においては自動車の盗難が急増しています。日本人が多いスカースデールでは、昨年同時期に比べて2000%、ママロネックでは600%、ライブルック1200%、アーヴィントン400%の車両盗難数の急増が報告されています。今年1月から8月までの同郡での自動車盗難件数は、ライで23件、スカースデール21件、ハリソン19件。路上駐車の日本車、高級欧州車など転売価格の高い車が狙われているようです。窓ガラスを割られて盗難されることが多いため、ハンドルバーロックなどを装着して、直結点火でエンジンをかけても運伝できないように防御するとか、アラームを付けるとか比較的シンプルな防犯対策だけでも路上駐車の盗難被害から十分免れることができるそうです。当地で車を運転されている方、ご用心です。それでは、みなさんよい週末を。(「週刊NY生活」発行人兼CEO三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2020年9月19日号)

(1)全米オープン大坂優勝  5面
(2)9.11その日に寄り添って  1面と20面
(3)日本クラブWEB公募美術展 2面
(4)ラム・ウールセーター  3面
(5)NYの治安さらに悪化  4面
(6)柳家東三楼 秋    8面
(7)メイクアップ博物館  9面
(8)NY映画祭17日から  9面
(9)ニューヨークの魔法  11面
(10)早稲田アカデミー出願ガイダンス 12面

粘りの逆転優勝

全米オープンテニス

黒人差別マスクで表現
日本国籍選択の大坂

 テニスの全米オープン女子シングルス決勝が12日、クイーンズにあるナショナル・テニスセンターで行われ、大坂なおみ(22、日清食品)がビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ、31)を逆転勝ちで下し優勝した。ツアー通算6勝目で、優勝賞金300万ドル(約3億2千万円)を獲得した。全米オープン優勝は一昨年に続く2度目で、4大大会(グランドスラム)タイトル獲得は3つ目となる。

 第一セットはコントロールのよいアザレンカに圧倒され大坂は1〜6で落とした。ミスの連続に苛立ちを隠せずラケットを投げる一幕もあった。第2セットも2ゲームを連取されるが、ここから粘りを見せ、スイッチが入ったように強さを取り戻し6ー3で逆転して終えた。第3セットも6ー3でもぎ取り、セットカウント2対1のフルセットで逆転勝ちした。大坂は優勝が決まると喜びの声をあげ、疲れを癒すようにコートで仰向け寝て空を仰いだ。

 2年前の同大会決勝ではセリーナ・ウィリアムズ(アメリカ)にストレートで勝ったが、暴言を吐くウィリアムズが主審から3度の警告を受けるなど波乱の試合で、表彰式では結果に不満をもつ観客からのブーイングの嵐に大坂に笑顔はなく涙ぐんだ。

 今回は新型コロナの影響で無観客で行われた。表彰式では穏やかな表情で「1時間で負けたら恥ずかしいと思い、悪い態度をやめて頑張ったことが試合の転換点となった。楽な試合ではなく大変だったが勉強になった」と述べた。なお今大会、ウィリアムズは準決勝でアザレンカに敗退している。

 今大会、大坂は警官から射殺された黒人の名前を書いたマスクを着けて試合会場入りした。決勝までには7試合あり、異なる7人の犠牲者の名前を書いたマスクを用意したと語っていたが、見事にすべて使った。決勝でのマスクには2014年に公園でおもちゃの拳銃で遊んでいて警官に射殺された12歳のタミール・ライス君の名前が書かれていた。

 表彰式で「7つのマスクのメッセージは何か」と尋ねられると、「そうですね。あなたはメッセージどう受け取りましたか」したうえで、「どのように受け取られたか興味があります。より多くの人がこのことを話すようになるといいと思います」と答えた。

 大坂なおみは1997年10月16日、大阪府大阪市生まれ。父親はハイチ生まれの米国人で、母親は北海道根室市出身の日本人。姉とともに3歳でテニスを始め、2001年にニューヨークに移住。ナッソー郡エルモントに住み、全米オープンの会場でもあるナショナル・テニスセンターに練習に通った。2006年にフロリダに移住。プロツアー出場資格が得られる14歳となった2013年にデビュー。2018年に全米オープンで日本人初の四大大会(グランドスラム)シングルス優勝。2019年に全豪で優勝し男女を通じてアジア初の世界ランキング1位に。日米の二重国籍のまま日本テニス協会に所属していたが、2019年、22歳の誕生日を前に日本国籍を選択。身長182センチ。体重75キロ。

(写真)7回の試合で7人の黒人犠牲者の名前のついたマスク Photo: usopen.com

その日に今年も寄り添って

同時多発テロ19年目の追悼

死亡消防士27人追加

 9・11同時多発テロで倒壊した世界貿易センターでの任務中や後遺症により、多くの消防士を失ったニューヨーク市消防局(FDNY)は9日、ブルックリンのメトロテックセンターにあるFDNY世界貿易センター・メモリアルウォールに2019年に亡くなった消防士27人の名前を追加し敬意を表した。FDNYの消防士らは、9・11での任務後にさまざまな種類のがんや呼吸器疾患などを発症し、226人が病死している。

 約3000人が犠牲になった9・11同時多発テロから19年目を迎えた11日、全米各地で追悼式典が開かれた。ニューヨークの式典にはペンス副大統領、バイデン前副大統領、クオモNY州知事らが参列、犠牲者の名前が読み上げられたほか、2棟のビルに旅客機が衝突した時刻とビルが倒壊した時刻に鐘が鳴らされた。また、日没後には犠牲者を悼むツインタワーをかたどった青い光のインスタレーション「追悼の光(The Tribute in Light)」がライトアップされた。トランプ大統領は4機目の旅客機が墜落したペンシルベニア州シャンクスビルで開かれた式典に参列した。

「光の柱」植山慎太郎撮影

来年は訪れたい

杉山陽一さん父
日本からのメッセージ

 住山 一貞さん(84)の一人息子、杉山陽一さんは、2001年9月11日の米同時多発テロで亡くなった24人の日本人犠牲者の1人だ。陽一さんは当時34歳で、日本の銀行の米国事務所にいて犠牲になった12人のうち最年少だった。9・11メモリアル南プールには日本人犠牲者たちの名前が集まって記載されている場所がある。毎年この日に合わせて来米してきたが、今年は新型コロナウイルスの蔓延もあり断念した。

 住山さんが9月11日に米国を訪問しなかったのは、5年目の年に息子の日本の勤務先での式典出席で来ることができなかった1度だけだ。住山さんは毎年、この時期に開催される合唱コンサート、風の環コンサートに招待されて「辛い気持ちが癒される」と今年も楽しみにしていた。多くのボランティアのお世話にもなった。今回来ることは叶わなかったが11日、本紙にコメントを寄せてくれた。

 「ニューヨーク、ニュージャージーの皆様、お元気ですか。テレビのチャンネルを切り替えながら、ニューヨークの情報を追っています。人影の無いタイムズスクエアの映像は衝撃的でした。でもようやく屋内での営業が許可されたようですね。一日も早い復旧を願っています。日本のほうは、東京の感染がなかなか収まらず、夏休みの帰省も自粛するようにとの事でしたが、9月に入って、警戒レベルも5(最高ランク)から4に下がり、10月から東京も旅行対象として補助金が出るようです。今年の追悼式は、日本からは誰も行けなかったと思います。私もこの日、日本ににいるのは久しぶりで、19年前の出来事を、空路再開の15日まで、タイムラインを追って追体験することになりそうです。来年は20周年という大事な年なので、日本の家族の方たちもぜひ参加したいと願っていると思います。皆様とお会いできる日を楽しみに。(住山一貞:84歳:杉山陽一父)

(写真左)メモリアルで犠牲者を追悼する訪問者たち、(写真右)陽一さんの名前が刻まれたメモリアル(11日午後、小味かおる撮影)

日本クラブWEB公募美術展

入選15作品を発表

 日本クラブでは、全米あるいはグローバルなレベルでの日本文化の浸透を図るため、JCCファンド (ニューヨーク日本商工会議所基金)の支援を受け、「日本クラブWEBギャラリー」を開設した。そのキックオフとして、9月17日から10月14日(水)まで、在ニューヨーク日本国総領事館の協力を受け、日本クラブWEB公募美術展 「フォワード・トゥギャザー!(Forward Together!)」を開催中だ。

 新型コロナウィルスのパンデミックにより、自宅待機を余儀なくされ、活動の場を制限されたトライステート在住のアーティストの創作活動を支援するため、インターネットで公募したところ54作品の応募があり、厳正な審査の結果、15作品が入選した。これらの作品は、17日から公開された新設のWEBギャラリー(nippongallery.nipponclub.org)で展示紹介されている。主題、素材、様式など大変広い範囲にわたった作品で、いずれも力作揃いだ。

 また入選した15作品の中から優秀作7点を「大使賞」として選び、ニューヨーク総領事・大使公邸に展示する。大使賞作品は一般公開されないが、さまざまな機会に公邸を訪れる人々に見てもらうほか、展示の模様は領事館SNSなどでも紹介される。公邸での展示期間は10月下旬から来年2月下旬を予定している。

 入選者と作品タイトルは次の通り。

「日本クラブWEB公募美術展」入選アーティスト=カーティス翠「フリードム」、 原田隆志「ミッドサマーナイト」、 早川朋子「河の流れのように」、河原康佑 「霧中の頂」、 三浦良一「ダイヤモンド街の雨音」、 西彩加「永遠」、 太田美奈子「アカクラゲ」、齊藤輝美 「不死鳥のごとく甦る」、篠塚京子「セントラルパークの四季」、 松井多賀子「花火」、渡部智美「あけぼの」、 渡辺啓子「ジャズの聞こえる街ニューヨーク」、山本かりん「オンリー・インターミッション」、 横田川弘子「生きる力」、 遊真あつこ「クリスタルの神秘 no.1」。

「大使賞」受賞アーティスト=早川朋子「河の流れのように」、三浦良一「ダイヤモンド街の雨音」、 西彩加「永遠」、篠塚京子「セントラルパークの四季」、渡辺啓子「ジャズの聞こえる街ニューヨーク」、山本かりん「オンリー・インターミッション」、 横田川弘子「生きる力」 。(敬称略)

(写真左から)三浦 良一 「ダイヤモンド街の雨音」、カーティス 翠 「フリードム」、山本かりん 「オンリー・インターミッション」 

ラム・ウールセーター

イケメン男子服飾Q&A 85
ケン 青木

 レイバーデイを過ぎますと、途端に秋が近づいて来たなあ、と。日ごとに日の入りも早くなっておりますし。そんな時期に「もうそろそろかなあ」とふと思い出すのがラム・ウールのセーターなのです。丸首:ラウンド・ネック、クルー・ネックも悪くないのですが、お仕事にも、ということでしたらやはりVネックの方がオススメです。

 ラム・ウール、昨今、昔ながらのやや毛羽立ったモノではなく、比較的薄手であまり毛羽立っていないものが多くなっている様ですが、今回は、昔ながらのラム・ウールセーターについてです。

 Lambs Woolと書きますが、仔羊のことですね。羊はSheepで単数・複数共にSheepなのですが、仔羊はLambで複数はLambsと書きます。日本ではラム・ウールセーターと表記されます。Lamb仔羊の定義は素材の世界においてはやや曖昧で、生後6か月、つまり半年から10か月くらいまでの羊毛のことを意味していたのですが、近年においては生後7か月の羊の羊毛ということに意味合いが統一されつつあるようです。ウールと言えば羊毛だけを意味します。カシミアやキャメルはヘアーと言います。ウールだけが縮れた繊維でして、そしてCrimpと呼ばれます、私たちの毛髪にもある鱗状のものが水分を吸収したり、また発散したりするのです。例えば同じ繊維の重さであれば、ウールの方が綿よりも1・5倍以上水分を吸収しますし、逆にウールの繊維とは正に天然のエア・コンディションのシステムなのですね。

 今から40数年前、プレッピーというファッションが流行いたしました。御存知の方も多いかと思いますが、プレッピーとはアイビーリーグ・スクールへの進学を目指す私立高校の生徒さんたちのファッションで、語弊がないわけではないのですが、アイビーの高校生版。特徴は(1)アイビーに比べて服の組み合わせ、コーディネートが斬新と言いますか、ユニーク。例えば半袖のポロシャツにオックスフォード地のボタンダウンシャツを重ね着して、寒くなったらダウンヴェストを重ね着するなど。(2)アイビーに比べて服の色味が鮮やかで、男女かかわらず、ピンクとグリーンを多用する傾向があること、(3)基本、身体に近いウエアについては天然繊維を、ダウンベストなどアウターウエアには最新の合成繊維を、と。

 で、ラム・ウールのVネックセーターは天然繊維とアウターウエアとの繋ぎ役という立場になりますから、(a)シャツの上に着る、羽織る、(b) 寒い時にはアウターウエアやジャケットなどのインナーとして大活躍となるのですね。

 先にも申し上げましたが、ラム・ウールとは生後7ヵ月の羊の毛ですから、繊維は細く、柔らかく、ウールのセーターの“チクチク”が苦手な方にも大概大丈夫なのですが、それでもチクチクする様でしたらごめんなさい。このラム・ウールの中でも世界的に評判が高いのが、オーストラリアのGeelong(これは決してジーロングとは発音せず、ジロンくらいの感じで発音してください)という町の特産のLambs Woolが素晴らしいです。

 ラム・ウールのVネックセーター、色はグレー、ネイビーブルー、キャメル、ブラック、ワインカラーといった「大人の男の基本色」で何も問題はないのですが、この冬、あえてイエローやレッド、グリーン、ブルーといった明るく活動的な色をオススメしたいです。

   それではまた。

 けん・あおき/日系アパレルメーカーの米国代表を経て、トム・ジェームス.カンパニーでカスタムテーラーのかたわら、紳士服に関するコラムを執筆。1959年生まれ。

NYの治安さらに悪化

NY日本総領事館が警告

発砲事件やまず
殺人も前年比47%増加

 ニューヨーク市では拳銃発砲事件のみならず殺人、強盗、強姦等の重大犯罪の件数が昨年よりも増加している。ニューヨーク日本総領事館が11日、在留邦人に注意を喚起した。また、市内の交通事情についても交通量は昨年より少ない一方で、車の速度は早くなっており、交通事故も昨年よりも増加していると報告した。同総領事館では、地元の報道などから最新の情報を入手し、市内の治安情勢や交通情勢にも注意して安全確保するよう呼びかけている。主な内容は次の通り。

 NYPDによれば、本年8月中におけるニューヨーク市内の犯罪発生状況は、拳銃発砲事件は242件で、前年の91件から166%増加。スタテンアイランド地区を除く4地区全で増加傾向にある。殺人事件による被害者は53人で前年の36人から47%の増加、強盗事件は1276件で前年の1226件より4%の増加、侵入窃盗は1310件で前年の1076件より22%増加している。殺人、強盗、強姦等の重大犯罪全体の発生件数は9093件で、前年の9033件と比較して0・7%と僅かに増加している。NYPDでは、暴力犯罪が多発している地域に多数の警察官を投入して対応するとともに、リアルタイムの犯罪情報の収集、分析を強化している。また、違法な拳銃を根絶する取組を強化しており、8月中に拳銃関連の犯罪で359人を逮捕している。(前年357人)。

ウエストチェスターで自動車盗難被害相次ぐ

 被害は郊外にも広がっている。ウェストチェスター郡においては自動車の盗難が急増していることから、同郡検察当局から注意喚起が発出されている。

 邦人が多いスカースデールでは、昨年同時期に比べて2000%、ママロネックでは600%、ライブルック1200%、アーヴィントン400%の車両盗難数の急増が報告されている。今年1月から8月までの同郡での自動車盗難件数は、ライで23件、スカースデール21件、ハリソン19件となっている。路上駐車の日本車、高級欧州車など転売価格の高い車が狙われている。窓ガラスを割られて盗難されることが多いため、ハンドルバーロックなどを装着して、直結点火でエンジンをかけても運伝できないように防御するとか、アラームを付けるなど比較的シンプルな防犯対策だけでも路上駐車の盗難被害から免れることができる。オートパーツショプなどで市販されている。

地下鉄構内が危険
日本人も被害に

 8月29日午前11時頃、地下鉄のレキシントン街と東63丁目駅内プラットフォームで、地下鉄を待っていた女性が男性に襲われ強姦未遂被害に遭い軽傷を負った。9月5日午前中、バッテリーパーク付近の地下鉄車内で、不明瞭な言葉を発する挙動不審の見知らぬ男性から、日本人夫妻が突如暴行を受け軽傷を負った。日本人夫妻は男性と何度か目が合い「マネー」と言われ暴行を受けた。加害者は車掌や他の乗客に取り押さえられ、地下鉄から降車させられた。

コロナ予防の保釈が原因

 今年犯罪が昨年比で急増している背景には、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、刑務所内での集団感染を警戒したニューヨーク市が3月下旬から、感染リスクの高い服役囚、銃器不法所持など凶悪犯罪以外で服役している囚人をコロナ特赦として大量保釈したことがあると米地元紙などが報道している。

 ガーディアンエンジェルスの元NY隊長で現日本代表の小田啓二さんによると春のパトロール中は、地上に一度も出ることのないE線がホームレスのホテル化したことを指摘、マジソンスクエアガーデン地下のペンシルベニア駅では「明らかに今までの路上にいたホームレスとはタイプの違う元気の有り余ったホームレスたちが喧嘩などをする光景が見られた。ニューヨーク市長は、囚人を守るために一般市民を危険に晒す判断をしたのは大きな間違いだ」と話している。

柳家東三楼の会 秋

落語や朗読劇オンラインで

28日から有料配信 RAKUGO

 ニューヨーク在住の落語家、三代目 柳家東三楼が発展的な落語の取り組として、オンラインコンテンツ「柳家東三楼の会 秋」を制作し、28日(月)から有料配信する。東三楼は1999年から落語家として活動開始。2016年、文化庁芸術祭新人賞他を受賞し、若手のホープとして活躍。米国アーティストビザを取得して2018年ニューヨークへ移住し、活動の拠点を世界に広げている。現在は、英語と日本語で「世界にRAKUGO」を広げることをライフワークとして、全米50州での公演を目標に掲げ活動中。

 柳家東三楼の会は、自身の芸の向上のために年4 回、季節ごとに独演会を開催。2016年の秋の会は、文化庁芸術祭大衆芸能部門で新人賞。ニューヨークに移住後に同公演を「全米50 州ツアー」の幕開けとして位置づけ、マンハッタンの日系人会で稽古も重ねていたがコロナ禍で全米ツアーは延期に。そんな中、文化庁の支援事業が発表され、新しい落語会として今回の「柳家東三楼の会  秋」実現となった。

 コンテンツは東京とNYで事前収録された落語や朗読劇のオンライン配信。日本語・英語の字幕付きにすることで海外の観客が落語に親しむ機会を与え、さらには落語を世界に広める。演目は浪曲「柳家東三楼 反省記」/ 出演・玉川太福(2週間限定)、古典落語「幾代餅」/出演・柳家東三楼、落語朗読劇「お見立てな五人廻し」/出演・南沢奈央、演劇ユニット「ハレとケ」メンバー、吉橋航也(東京乾電池)、英語落語「I Love Ramen」 / 出演・柳家東三楼、ピアノ演奏・海野雅威。

 新作の英語落語「I Love Ramen」は、今配信だけでなく、全米50州ツアーなどでの公演で頻繁に演じる予定だ。ラーメン文化の楽しみをRAKUGO とコメディで表現することで、北米のみならず英語圏でのラーメン、日本食文化のさらなる拡大を目指す作品。

 東三楼は「ニューヨークに移住して1年が経ちました。ロックダウンも経験し、改めてニューヨークの強さを実感しています。落語を世界のRAKUGOへ、と今後も活動して参ります。応援どうぞ宜しくお願い申し上げます」と話している。

     ◇

 配信開始日・9月28日(月)。観賞料・日本国内2000円、米国20ドル。予約申し込みはEメール [email protected]

NY映画祭17日から

オンラインとドライブイン上映で

 毎年秋にリンカーン・センターが開催するニューヨーク映画祭は今年58回目を迎える。世界から厳選された25作品が上映されるメイン部門は、ロンドンの西インド諸島移民のコミュニティを舞台に1980年の一夜の男女を描くスティーブ・マックイーン監督の『Lovers Rock』で開幕。中間ハイライトは中国出身のクロエ・ジャオ監督の『Nomadland』で、アメリカ西部を巡る季節労働者となった未亡人を、製作も兼ねるフランシス・マクドーマットが演ずる。クロージングのアザゼル・ジェイコブ監督の『French Exit』は、息子と猫とともにパリに逃避行する落ちぶれたニューヨークの上流階級の未亡人(ミシェル・ファイファー)を描く。

 マックイーン監督は自らの地元を描く3部作として『Lovers Rock』を作っているが、1960年代からの実話に基づき白人警官の暴力や人種差別について描く他の2作『Mangrove』『Red, White and Blue』も上映される。

 90歳のベテラン監督フレデリック・ワイズマンがボストンの市庁舎の動向を凝視する272分のドキュメンタリー『City Hall』、中央アジアのジョージアの34歳の新人女性監督デア・クルムベガシュヴィリが周囲に迫害される宗教団体の女性を描く『Beginning』の他、アイヴォリー・コースト、アルゼンチン、メキシコ、中国、台湾、韓国、ルーマニア、ノルウエー等世界各国からの映像が届く。

 回顧部門では修復されたジャン・ヴィゴ監督の『操行ゼロ』(33)、ウィリアム・クライン監督の『Muhammad Ali, the Greatest』(74)、ウオン・カーウアイ監督の『花様年華』(00)などが上映される。新しい動きの部門では、池添俊監督が祖母の人生を綴る『朝の夢(See You in My Dreams)』や、京都北部の村の農婦の生活を追う8時間の話題作『The Works and Days (of Tayoko Shiojiri in the Shiotani Basin)』(C.W. ウインターとアンデルス・エドストローム共同監督)が紹介される。

 短編特集では、幼年時代の思い出か夢か不確定なイメージが展開する川添彩監督の『とてつもなく大きな(Humongous!)』、日本から来た従弟を案内しているうちにニューヨークの過酷な現実に影響されていく登場人物の心理を描く空音央監督の『The Chicken』などが上映される。

      (平野共余子)

 今回の上映はオンライン上映(virtual screenings)、ブルックリンとクイーンズでの野外ドライブイン上映のみ。チケットは全て事前にオンラインで購入する。詳細はウェブサイトwww.filmlinc.org を参照する。


ドライブイン上映

Brooklyn Drive-In at The Brooklyn Army Terminal

 80 58th Street Brooklyn, NY 11220

https://rooftopfilms.com/drivein/brooklyn/faqs/

Queens Drive-In at The New York Hall of Science

  47-01 111th Street Corona, NY 11368

https://rooftopfilms.com/drivein/queens/faqs/


(写真)『The Chicken』 ©Neo Sora

メイクアップ博物館 

名女優のスキンケアも伝授

 化粧が社会でどのような役割を果たしてきたのかを学べる、世界初のメイクアップ博物館(ガンズボルト通り94番地)がこのほどミートパッキング地区にオープンした。 

 同館初の特別展は「ピンク・ジャングル:アメリカの1950年代のメイクアップ」と題し、名女優マリリン・モンローやグレタ・ガルボが愛用したアーノ・ラズロ社の1959年の一連のフェイシャル製品ほか、当時のアイライナーやヘアドライヤー、パウダー、口紅など、化粧ブランドのアイコンとなった革命的なパッケージ・デザインの数々を展示している。また、黒人女性たちをターゲットにした40、50年代創刊の雑誌「エボニー」と「ジェット」のヴィンテージ・コピーや、現代では問題視される美白を美徳とした化粧品の広告なども常設している。同博物館長で共同創立者のドリーン・ブロック氏は「メイクアップには1万年の歴史があり、健康、経済、社会的な危機的状況のなかでも、美、芸術、文化は常に人々の暮らしの重要な一部であり続けてきた。NYの文化的施設として同館を開館できることをうれしく思う」と話している。 

 コロナ禍で現在同館は、時間制限を設け、入館人数を16%に抑えて運営している。チケットはオンラインで事前に購入し、入館時には検温と常時マスク着用が求められる。同館の詳細、チケット購入、またエジプトのファラオ時代から現代のドラッグクイーンまで、メイクアップの歴史をインタラクティブにたどることができるアプリのダウンロードはmakeupmuseum.comを参照する。

自由の女神の君

ニューヨークのとけない魔法 ⑧
岡田光世

 ある夏の日の夕方、夫とふたりで並んでウッドチェアにすわり、しばらくぼうっと川を眺めていた。突き出した桟橋がウッドデッキになっている。 

 ここを訪れるのは久しぶりだった。水辺に木の椅子やベンチがいたるところにあり、ゆったりくつろげるようになっていた。ニューヨークはウォーターフロントの開発を進めているらしく、行くたびに景色が変わっている。

 マンハッタン島南端のサウスストリート・シーポートのこの辺りで、島の東を流れるイースト川が大西洋と合流する。水上タクシーが何隻も行き交い、目の前に停泊している遊覧船の上では、人々がソファでおしゃべりしたり、手すりにもたれて川を眺めたりしていた。

 しばらくして夫が本を読み始めたので私は立ち上がり、七、八メートルほど離れたところへ歩いていった。ウッドデッキ全体をフレームに収めて、夫の写真を撮りたかった。右手と正面に川が入り、左奥にブルックリン・ブリッジが半分収まる構図だ。

 私のすぐ前にもデッキチェアがふたつ並んでいて、近いほうに体格のいい黒人の女性がすわっていた。半袖のTシャツの濃いショッキングピンクが、彼女の皮膚の色によく映え、パッと目に飛び込んでくる。左手には、ライム色のペットボトルを握っていた。

 カメラをかまえると、その人が私に気づいてこちらを見た。

 全体を撮ろうとすると、彼女が写真に入ってしまう。

 Do you mind being in the picture?

 あなたも写っちゃうけど、いい?

 私の夫はそっぽを向いているのに、その人はしっかり私を見つめている。ペットボトルを立ててポーズを取ると、大きな目を細め、唇の両端を上げて、にかっと笑った。

 フレームの中央手前に女性を大きく入れて、シャッターを切る。

 その人が私に向かって、大声で叫んだ。

 Now you’ll always remember me.

 これでアタシのこと、いつまでも忘れないわね。

 そして、早口に大声で続けた。

 I’m a black girl from Hartford, Connecticut. My name is Sasha. Now don’t delete that !

 私はコネチカット州ハートフォードから来た黒人の女の子。名前はサーシャ。で、その写真、削除しないでよ!

 そう言うと立ち上がり、腰に巻いたブルーのシャツをひるがえし、そばにいた女性のあとを追ってさっそうと去っていった。

 私は思わず、大笑いした。

 遠ざかり、どんどん小さくなっていく彼女に向かって思わず、サーシャ、と大声で叫んだ。

 サーシャはふり返り、笑顔で私に向かって大きく手をふった。ブルックリン・ブリッジを背景に、手をあげてピースサインする姿が、自由の女神のようだ。

 カメラから放した右手を、私も大きくふり返す。

 たぶん、もう二度と会うことのないサーシャ。あなたの姿はたった今、私の心にも永久保存された。

このエッセイは、シリーズ第9弾『ニューヨークの魔法は終わらない』に収録されています。

https://books.bunshun.jp/list/search-g?q=岡田光世