高齢者が帰国で直面する住まいとお金の問題対策

JAAサクラ・ヘルス・フェア 山口さん講演

 米国在住の日本人高齢者が日本に帰国した場合、どのようなことに直面するのか、そのための準備について司法書士法人・行政書士法人コスモ(本社東京都)代表の山口里美社長が25日、「どうする住まい?お金?これからのおひとりさまの備え」と題してオンライン講演した。NY日系人会(JAA)春のサクラ・ヘルス・フェアのプログラムの一つライオンズ大学・大人の教養講座シリーズ第2弾としてインターネット配信した。

【確実に帰国後の住まいを確保する】持ち家があれば問題ないが、賃貸住宅の場合、資産があっても高齢者に対して躊躇するネガティブな「拒否感」を多くの大家が持っているのが現実。帰国前に収入のある親族などに保証人になってもらうなどの協力が重要だと述べた。親族を保証人に立てられない場合は、一般財団法人高齢者住宅財団が提供している連帯保証人サービスを利用する方法があるほか保証人のいらない「UR賃貸」という公的機関が関与している高齢者向け住宅が日本全国に72万戸ある。

 【介護施設入所時には身元保証サービスがある】高齢者施設に入居する場合には身元保証人が必要だが、こちらは一般社団法人リレーションサポート協会(https://relation.or.jp/) などの企業やさまざまなNPO法人が高齢者の身元保証サービスを提供している。介護施設によっては身元保証契約が成立しない場合、成年後見人を立てれば入居できるところもある。

【元気なうちに認知症対策をする】認知症になると銀行口座や不動産などの財産が凍結される。対策は、財産の管理を第三者に任せる成年後見。成年後見には法定後見制度(月額3万円から5万円の費用が生涯必要)と元気なうちに親族や信用できる専門家に頼んで契約する任意後見の二つがある。また「最後の認知症対策」と言われる親族に財産管理を任せる民事信託がある。山口さんは「人は対策ができる時には何もせず、問題を感じた時にはなにもできないという現実がある。備えておきさえすれば安心。気づいた時がタイミング。事前に知っておくことが備えになる」とアドバイスした。

 講演は次のアドレスで視聴可能。https://youtu.be/CPWQjXDNc7I

ここは終着駅ポキプシー

 グランドセントラル駅からハドソン川沿いを北上するハドソンラインに乗って約2時間、終点のポキプシー駅に到着する。一度聞いたら忘れない印象的な地名ポキプシーとは先住民族ワッピンガー族の言葉で「小さな水辺の葦で覆われたところ」と言う意味だとか。21世紀の今日、葦はすっかり姿を消したけれど、水辺の場所に変わりはない。駅を出て川に向かって坂を降りて行くと、正面にハドソン川と新緑の森を、右手に歩行者専用の高架橋「ウォークウェイ・オーバー・ザ・ハドソン」、左手にはルート44が通る「ミッドハドソン橋」を眺める。川辺に立って、この景色を眺めながら郊外の空気を胸いっぱいに吸い込むと、身も心も軽くなったような気がする。

■歴史

 1686年に英国人とオランダ人入植者がワッピンガー族から一帯の土地を取得(幾らで、或いは何と交換したのかは不明)、その後入植者がどんどん増えて一大コミュニティを形成した。独立戦争時、ニューヨーク市に次ぐ第二の都市として栄えていたオルバニーに州議会を置くのは危険と判断、より南に位置するキングストンで議会を開催していたが、そのキングストンが英国軍の襲撃に遭い焼き払われてしまったため、一時期ポキプシーに議会が移された(1797年オルバニーが州都となる)。19世紀には立地を生かした海運業や製紙業、醸造業などで繁栄。また、風光明媚でNY市から近いため、アスター家やヴァンダービルト家などの富裕層が別荘を建てた。

■ウォークウェイ・オーバー・ザ・ハドソン

 元々は1889年にポキプシーとハイランドを結ぶ複線鉄道橋として開通したカンチレバー(片持ち梁)橋で、開通当時は世界最長の橋だった。セメント材や木材、家畜、牛乳を運ぶ貨車のほか、ワシントンやフィラデルフィア、ボストンとニューヨークを結ぶ客車も通る重要な橋だったが、1974年に火災で通行不可となってしまう。長らく放置されていた橋は元の構造を残しつつ大規模な改修工事が行われ、2009年に歩行者専用の橋として生まれ変わる。同年、米国土木学会によって国定歴史建造物に指定された。高さ65メートルの橋の上から眺めるハドソン川の景色は圧巻、訪れる季節によって異なる景色が楽しめる。橋は朝7時から日没まで通行可。通行無料。ポキプシー側はパーカーアベニュー、ハイランド側はハビランドロードに出入り口があり、いずれも階段が無いので車椅子やベビーカーもOK。*橋の下の公園(Upper Landing Park)にエレベーターがあるが現在コロナ対策のため閉鎖中。https://walkway.org/

ウォークウェイ・オーバー・ザ・ハドソン

■リバー・ステーション

 その名の通り、駅と川の間にあるレストランで、遠足の始めや終わりの腹ごしらえにぴったり。川に面したテラス席からはウォークウェイとミッドハドソン橋の両方を望む。料理は「普通」だが、ロケーションと眺めの良さで星をあげよう。(写真はクラムチャウダーとコーン&ロブスターチャウダー各8ドル)

River Station 

1 North Water St. Poughkeepsie

電話:845-452-9207

月〜日11:30〜21:00 

https://riverstationrest.com/

■クラフテド・カップ

 ウォークウェイや駅からは少々離れるが、コーヒー好きの人に絶対おすすめのカフェ。香ばしく焙煎された豆を男前なスタッフが手際よく淹れる。カフェラテ小3ドル、中3ドル55セント、大4ドル5セントと言うリーズナブルな値段も嬉しい。各誌の大学ランキングで最難関とされるヴァッサー大学近くにあり、学生達で賑わっている。

The Crafted Kups 

44 Raymond Ave. Poughkeepsie

*他に2店舗あり

電話:845-483-7070

月〜日8:00〜17:00

www.thecraftedkup.com/

平安時代の日本の香は時空を超える

プロジェクト・フェリシア代表

なかやま ひろさん

 ニューヨークで6年半前まで世界最大の日英バイリンガルのための就職・転職イベントを運営する人材会社でマーケティングの仕事に従事していた。帰国して15年ぶりの日本だったが、海外から戻っての日本暮らしは3度目で数か月の滞在も入れると6か国で生活していたのと、もともと一か所で一生暮らすつもりはないので、帰国というよりも「新しい国に移っただけ」と言う感じだったという。

 現在は2013年にNYで設立したプロジェクト・フェリシアLLCの香りの自社事業運営とコントラクターとして2017年から日立製作所、2020年から某IT企業に従事し、#IamRemarkable powered by Googleファシリテーターとしても活躍中だ。

 現在取り組んでいるのは、1000年前のお香の調合を現代風にアレンジした商品のデザインプロジェクト。これは日本のお香の約70%を製造する淡路島の香司によって天然100%の香原料を使ってハンドメイドされた平安時代を代表する6つの香りを、環境に配慮したサステナブルなパッケージに収めた「新しい」ホームフレグランスの提案事業。収益の一部は「1% for the Planet」に寄付する。

 依頼があれば、お香だけでなく、香りに関わるプロジェクトは、マーケティング、コンサルティング、商品開発、イベントなど幅広く積極的に関わっている。執筆依頼も増え、海外はもとより最近は東京商工会議所会報誌にも執筆した。

 お香は2015年に母親が亡くなり、お香を手向ける機会が増えたことで使い始めた。すでに、香りの世界で仕事をしていたので、実家に来たお坊さんが毎回使用しているお香の香りが異なることに気づき、お坊さんと話し込んだこともあるという。その後、お香を創作するワークショップが日本にあることを知り、当時生活していたシンガポールから日本へ向かった。自分でお香を創作することの楽しみに出会い、これを多くの人と共有したいという思いが募り「お香創作ワークショップ」の開催を始めた。現在、米国も含め数か国で開催している。

 「香りは、私たちが生きていくためにとても大切なものなんです。嗅覚から『心地よい』と感じる香りの刺激は幸せを感じるホルモンの分泌を促します。香りの心地よさを体験し、心地よく過ごす方法を知ることで、人に対する優しい気持ちや、日常のストレスを乗り越えていく力も育みます。私たちは心地よいと感じたとき、自分自身と、まわりと素直に向き合え心を豊かにします。一人一人が前向きで良い状態であると、それはグループでも広がりやすく、社会がより良くなると思います」。東京生まれ、静岡育ち。現在クラウドファンディング「KICKSTARTER」でキャンペーンを展開中で受け付けは5月18日午後9時(日本時間)に終了する。

(三浦良一記者、写真は本人提供)

     ◇

クラウドファンディング「KICKSTARTER」はhttps://www.kickstarter.com/projects/bridgeandblend/premium-incense-inspired-by-blending-1000-year-old

トシカプチーノ還暦ショー

歌謡ドラマ5月8日に

 トシ・カプチーノのNYオンライン・キャバレー・ショー第4弾歌謡ドラマ「カ・ン・レ・キ〜華も嵐も踏み越えて」が、5月8日(土)午後9時からズームにて配信される。

 主人公トシはLGBTQなのに、社会を生き抜くために女好きを装ったり男ぶったり、自分に嘘をつきながら日々を過ごしていたが、一大決心をしてニューヨークへ。そこで自分に正直に生きることが自分を、そして周りの人も幸せにできることに気づいていく。音楽はオリジナルからアメリカンポップ、そして昭和歌謡はフォーリーブス、岩崎宏美、黒澤明とロスプリモス、伊東ゆかり、小柳ルミ子の歌などが登場予定。

 視聴料は30ドル。問い合わせは電話347・256・4107まで。チケットは予約 サイトhttps://forms.gle/MjtqgADsXBkks61e8から。

今年こそはNYから飛び出したい!この夏行ける旅行先4選

アウトドア派もリラックス派も、遠出派も近場派も必見!

①アウトドアでおうち時間「キャンピングカー」

 アメリカのレジャーシーンの代名詞の一つ「キャンピングカー」。実はアメリカまたは日本の普通免許を持っていれば運転ができ、ソーシャルディスタンスを保ちながら楽しめる旅としてニューノーマルとなりつつあります。

 アメリカには壮大な自然が多く、50か所以上もの国立公園が存在します。人気の行き先は国立公園が集まるグランドサークルですが、自宅の最寄りからキャンピングカーをレンタルして、短期間で近郊の自然を巡る旅にも注目が集まっています。

 自由気ままに旅ができるキャンピングカーは、トイレやシャワー、キッチンなども完備されているため、まるで自宅ごと旅行しているような気分で過ごすことができます。また、一人旅やペットとの旅行、ゴルフや出張など、アイデア次第で過ごし方は無限大です。

 また、1万か所を超える場所にあるキャンピングカー専用の宿泊施設「RVパーク」は設備も整っており、

初心者もそうでない方も安心して楽しく滞在することができます。

②NYから4時間のリラックス空間「カンクン」

 アメリカからの国外旅行として身近な「カンクン」。ニューヨークからは直行便で約4時間、コロナ禍でもフライトが増便されるほど人気の旅行先です。現在カンクン(メキシコ)への入国には、簡単な問診票とカンクン空港での検温のみで、PCR検査・陰性証明書は必要ありません。※

 ホテルエリアには約50のホテルが建ち並び、家族向けからカップルに人気のラグジュアリーな大人専用ホテルまで、ニーズに合ったホテルを選ぶことができます。オールインクルーシブプランなら、食事やアルコール、アクティビティーなどの費用がコミコミで、お財布いらずで過ごすこともできます。

 ビーチやホテル以外にも、カンクンの魅力と言えば世界遺産巡りや本場メキシコ料理。代表的な「チチェン・イツァ遺跡」や透明度抜群の泉「グランセノーテ」、マヤの都市「トゥルム」、テーマパークなど観光名所が数多くあります。

※アメリカ帰国時は航空機搭乗前の陰性証明書の提出、旅行後の検査・自己隔離などが要請されていますのでご注意ください。カンクンの空港や市内の検査所、ホテルなどで検査を受けることができます。

③電車やバスでのんびり気楽に「ニューヨーク近郊旅行」

 電車やバスなら、短時間でニューヨークから抜け出して気軽に近郊旅行を楽しむことができます。日帰りから1〜3泊で週末を利用して行くこともできるので、ちょっとしたリフレッシュにも最適です。

 これからの季節におすすめなのが「ワシントンDC」「フィラデルフィア」「ボストン」の定番スポット。首

都ワシントンDCは、アメリカ滞在中に行きたい人気旅行先の一つ。政治や経済において世界中から注目されているアメリカの中心地です。フィラデルフィアはアメリカ最初の世界遺産都市で、歴史・食・芸術などさまざまな魅力に満ちた旅行を楽しむことができます。ボストンは独立戦争発端の地で、アメリカ革命をもっと知りたい方はもちろん、シーフードを存分に楽しみたい方にもおすすめの旅行先です。また、近郊で大自然を感じたい方には「ナイアガラの滝」も外せない人気スポットです。

④ビーチ派?テーマパーク派?国内リゾート「フロリダ」

 アメリカ国内随一のビーチリゾートといえば「フロリダ」。定番のマイアミはもちろん、アメリカ本土最南端に位置する「キーウエスト」は国内にいながらバケーションを楽しむのに最高の土地です。数多くのアクティビティーがあり、夏を思いっきり楽しむことができます。

 また、フロリダでもう一つ欠かせないのが「ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート」。すでに営業を再開しており、首を長くして待っていたディズニーファンもそうでない方も、ニューヨークから気軽に夢の国を満喫しに行くことができます。

 現在多くの観光地が再開し、安全面に配慮した形で営業しています。旅行はまだ先…そんな方も、定番の旅行先はもちろん、お住まいの地域の近郊や意外な穴場スポットなど、アイディア次第で安心・安全に旅行に出かけることができます。今年も夏が目前、旅行の計画はお早めに!

★記事作成時の情報となりますので、最新情報は各公式機関にてご確認ください。現在地域により移動制限等が発表されておりますので、各州の最新情報や現地大使館・総領事館からの安全情報をご確認ください。

旅行会社 アムネット バケーション/テーマパークデスクamnet-usa.com

編集後記 4月24日

【編集後記】 みなさん、こんにちは。黒人男性ジョージ・フロイドさんが、昨年5月25日にミネアポリス近郊で、警察官の不適切な拘束方法によって死亡させられた事件についてミネソタ州の裁判所の陪審は20日、第2級殺人など3つの罪に問われている元警察官のデレク・ショービン被告に対し、すべての罪で有罪とする評決を出しました。裁判で弁護側は、ショービン被告が警察の指針に従って訓練どおりに行動したと強調したほか、フロイドさんの死因は使用していた鎮痛剤と持病によるものだとして、無罪を主張していました。告訴状によると、偽ドル札の使用容疑により手錠をかけられたフロイドさんが、「呼吸ができない、助けてくれ」、と懇願していたにも関わらず、8分46秒間フロイドさんの頸部を膝で強く押さえつけフロイドさんを死亡させました。その時間の中で、フロイドさんの反応が見られなくなった後の2分53秒間においてもこの警察官はフロイドさんの頸部を膝で押さえ続けていました。その他3名の警察官の関与も「やめろ」という声を制止して市民を近づけさせなかった様子が動画などで確認されています。 フロイドさんの死は、2014年のエリック・ガーナー窒息死事件と比較されています。ガーナー事件では、ニューヨークの警察官が逮捕時に、11回も「息ができない」と叫ぶ丸腰の黒人に対して首絞めを行い続け死亡させましたが、警察官は罪には問われませんでした。92年にロサンゼルスで起こったロドニー・キング事件も警察無罪で暴動を起こしましたが、インターネットが普及する前は、おそらく報道されずに、また、人々の知らないところで似たような事件や悲劇が起こっては闇に葬られていたのではないでしょうか。今回のフロイドさんの事件も、ビデオを撮影した1人の少女がいなければ、判決がどうなっていたかは分かりません。黒人差別からアジア系憎悪犯罪への連鎖止まりません。「やめてくれ」と声を上げて抵抗しない限り、個人へのいじめや虐待はエスカレートし、それは国家の勢力拡大にも同じことが言えると思います。侵略には「やめてくれ」と押し返す勇気が必要ですが、単独では喧嘩になり戦争になる危険があります。仲間を束ねて抵抗していくしかありません。それが現代の「喧嘩の作法」かもしれません。フロイドさん事件は、今回の評決を受けて、量刑について6月に言い渡される見通しです。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2021年4月24日号)

(1)日米首脳会談 米の論調     1面と5面

(2)NY日本人学校移転へ      1面と4面

(3)元警官に有罪判決 視座点描   4面

(4)米国で書籍好調 コミック大人気  5面

(5)人数制限さらに緩和 NY州  5面と6面

(6)ワクチンに追加接種か       6面

(7)コニーアイランド一部再開    9面

(8)ブルックリン植物園で芸術祭   9面

(9)生き生き EATS            10面 

(10)ハロルド・プリンスの情熱胸に  11面

大国へ配慮、日米首脳会談

主要米紙の論調

 ホワイトハウスで16日に行われたジョー・バイデン米大統領と菅義偉総理の日米首脳会談について、16日付ニューヨーク・タイムズ(電子版)は、「『共有された民主的規範』を推進するための新たなパートナーシップを約束」との見出しで報じた。ローズガーデンでの共同記者会見でバイデン大統領が「直接会うという私たちの関わり合いがこの関係の重要性、私たち二人の価値を示している」と述べたことに触れ、大統領にとって「経済的にも軍事的にも中国の野心を封じ込めるための努力において、彼のカウンターパートに支援を求める機会だった」と報じた。菅総理にとっては、ローズガーデンで大統領と一緒に並んだことで「日本にとって最も重要な同盟関係を維持することができているという証拠となった」と双方に利益があったと解説した。

 記者会見では、記者団からバイデン大統領には気候変動問題や銃規制問題が出された。米側記者からは菅総理に「東京五輪は公衆衛生上の専門家から懸念の声があるが」との質問が出たが総理は答えなかった。記者会見後に発表された共同声明には「バイデン大統領は、今夏、安心・安全な大会を開催するための菅総理の努力を支持する」と書かれた。

 また記者会見では、米側記者からは中国に対して具体的にどう対応するのかという質問は出ずに終わった。ロサンゼルス・タイムズ(16日付電子版)は、日本にとって中国は重要な貿易相手であり、バイデン政権の対中強硬姿勢に完全に同調できるかは「はっきりと断言はできないようだ」と伝えた。

  16日付ワシントンポスト(電子版)は「バイデン大統領は菅総理をホワイトハウスに迎える最初の外国人指導者としてもてなした」との見出しで、バイデン政権が「アジアを最優先事項と見なしていること」を強調し、「米国のアジア同盟を強化する計画であるというシグナルを中国に送ることを目的とした」と報じた。昨年就任した菅総理にとってこの会談は「誇り」となるものだと報じた。ニューヨーク・タイムズ同様、会談後のローズガーデンでの記者会見で菅総理が、「(東京五輪・パラリンピック)大会開催を実現する決意であることを大統領に伝えた。大統領からこの決意に対する支持を改めて表明してもらった」と述べたことにも触れている。

 菅総理は首脳会談に合わせ「太平洋における日本の成長と安定への道」と題する論文を14日付ウォールストリート・ジャーナル(電子版)に寄稿、「自由、民主主義、人権、法の支配の普遍的な価値を表す同盟を強化し、自由で開かれた国に向けた両国のリーダーシップを示す機会を楽しみにしている」と書いている。しかし会談直前の15日付ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は、「中国に対する圧力を強めるバイデン政権に対し、日本の政財界の指導者たちは、表立って中国との対立に巻き込まれることに不安を感じている」と指摘、「中国の軍事力を抑制しつつ、見返りの大きい貿易はそのままに維持する方法に期待をつないでいる」と解説した。

NY日本人学校移転へ

来春リバーサイドに

 コネチカット州グリニッチのニューヨーク日本人学校(相澤順校長、児童生徒数102人)が来年春移転することが明らかになった。同校を運営するニューヨーク日本人教育審議会ではすでに移転先との契約を済ませ、保護者向けの説明会も2回開催している。移転先は同じくコネチカット州内の現在よりはスタンフォード寄りのリバーサイドの元カソリック系小学校だった建物をリースして来年4月の新学期から新校舎での授業を行う。

 同校は1975年にニューヨーク市クイーンズ区ジャマイカに創立された北米で最も古い全日制日本人学校。1992年には児童生徒数の増加により、ニューヨーク州に隣接する緑豊かな環境の良いコネチカット州の現在のグリニッチに移転した。しかし、ここ数年生徒数の減少が続き、規模に応じた校舎を探していた。来年でリース切れとなるのを機に移転を決めた。

 ニューヨーク日本人教育審議会新家良一会長の話「数年かけて日本人学校の中長期的な安定運営について検討し、2019年に移転を決定、保護者向け説明も2回実施している。移転まで1年弱となり、学校関係者、保護者会は元より、グリニッジタウン、総領事館、文部科学省などの協力を得つつ、移転を完了させ、魅力ある学校づくりを推進したい」。

学舎と共に30年

 ニューヨーク日本人学校(コネチカット州グリニッチ、児童生徒数102人、相澤順校長)が移転計画を進めていることが明らかになった(1面に記事)。契約はすでに2年前に移転先と済ませ、保護者会にも2回にわたり説明が済んでいるという。1975年に創立された北米で最も古い全日制日本人学校の同校が現在の場所に校舎を構えたのは1992年。1年間のヨンカースでの仮校舎を経て自前の学校を購入したが、2006年に米国の私立学校に売却し、そのままテナントとして校舎を使用して数度の契約更新を経て30年近くをこのグリニッチで日本人児童生徒の教育の場として運営してきた。

 生徒数の上限は450名とされたが、450人の上限に生徒数が達することはなく、リーマンショック以降も生徒数が減少し、現在は102人とピーク時の3分の1程度にまで児童生徒数が減っている。児童は減っても家賃は逆に値上がりしていて、ニューヨーク地域で全日制と補習授業校を管理運営しているニューヨーク日本人教育審議会の財政負担が大きくなっていたのも移転の背景にあるものとみられる。

 移転先が、現在のグリニッチから電車の駅で2駅しか離れていないリバーサイドに決まったことは、在校生徒たちの通学にとって配慮された選択だったといえそうだ。来年4月からの新学期に向けての新入生や転入生を迎えるにあたり、審議会側も正式な対外発表のタイミングを計っているところだという。同校は進路指導に高い定評があり、保護者との面談や受験面接など丁寧で具体的な指導を行っている。国内校への指定校推薦や校長推薦制度があり、日本の国立大附属高校や有名私立高校へ進学する生徒も多い海外でも有数の進学校として実績がある。生徒たちへの教育環境が大きく変わることのない移転計画を進めてきた審議会に対する保護者たちからの理解も得られているようだ。

元警察官に有罪評決

ジョージ・フロイドさん殺人事件

民主主義の未来

 「私たちはまた息ができるようになった」とジョージ・フロイドの弟がコメントしました。「息ができない」と言いながら殺された兄への言葉です。3週間の公判の2日間10時間の評議の後で、デレク・ショーヴィン被告は第二級殺人など3件全てで有罪となりました。ミネアポリスの現場付近はこの評決を喜ぶ人々で埋まりました。それは従来の黒人運動とは異なり、白人もラテン系もアジア人も含まれる老若男女でした。

 この裁判での決定的な証拠は私たちも何度も見たあのビデオ映像です。10代の女性が撮ったあのスマホ映像がなければ、この事件はここまで全世界の注目を集めることはなかったかもしれません。あれは首を膝で押さえつけられた人間が9分29秒にわたって死んでいく非情なドキュメンタリーでした。この事件はブラック・ライヴズ・マター(BLM)運動を全米で拡大、再燃させました。

 同運動は2013年にフロリダ州で起きたトレイヴォン・マーティン射殺事件で形成されました。もっと以前にも92年ロサンゼルス暴動のきっかけとなったロドニー・キング事件などがありましたが、フロイド事件までは黒人人権運動の中心はいずれも黒人コミュニティの構成者たちであり、人種的な広がりはあまりありませんでした。

 それを変えたのがミレニアル世代から続くZ世代と呼ばれる現在十代後半から二十代前半に及ぶ若者たちです。フロイド事件をスマホで撮影した女性もこの世代。彼ら彼女らはSNSを通して世界の情報を共有し、それを若者間で拡散して社会的行動につなげています。ちょうどオバマが大統領だった8年間にアメリカの民主主義を学校教育で身をもって享受した世代ですが、ことはアメリカに限りません。

 香港ではスマホ片手のこの世代の若者たちが中国共産党政府からの弾圧への抵抗の中心となりました。ミャンマーでも、クーデターの国軍に殺されても殺されても抗議し続けるのがスマホで連携する若者たちです。少数民族との対立や抗争が続いていたミャンマー国内ですが、若い彼ら彼女らはそんな少数民族弾圧へも民族を超えて反対世論を形成していました。香港でもミャンマーでも、そしてアメリカの若者たちも、守ろうとしているのは市井の人々の自由と人権です。民主主義です。

 日々スマホでSNSでの憎悪の拡散や意趣返しを目にすることも多く、日本では、リアリティ番組に出演した女性プロレスラー木村花さんの自殺もSNSを通じて大量に送りつけられた誹謗中傷が引き金でした。韓国でもネット中傷に自殺するタレントも少なくありませんし、アメリカだってトランプ政権下で育ち上がった陰謀論をもとに罵詈雑言の攻撃が常態化しました。しかし、それらを浄化するのもまたネットを通した新たな善意と友情の波でしかない。

 ジョージ・フロイド事件が炙り出したのは、あのあからさまな警官暴力にさえ無罪評決が出るのではないかと心配される社会、有罪が出て正義が残っていたと喜ばれる司法です。アメリカではその間にも警官による黒人容疑者への過剰暴力や射殺が相次ぎ、相も変わらず銃乱射事件が同時多発のようにあちこちで連続し、そこにコロナ禍ストレスが背景と見られるアジア系住民へのヘイト事案が多発しています。

 それらを完全に是正し癒す処方箋は見つかっていません。けれど「差別はない」「どっちもどっちだ」「銃のせいではない」「中国ウイルスだ」と日々捲し立てる大統領がいなくなった今、民主主義を信じる若い世代が多く育ち上がる未来を、再び期待してもよいような気がしています。(武藤芳治/ジャーナリスト)

米国で書籍好調

巣ごもり特需
コミック空前のブームに

 米国で書籍販売が好調だ。新型コロナウイルスのパンデミックで巣篭もりが続き、自宅で聞く音楽や映画の需要が高まると同時に読書をする時間が以前より増えたことが原因らしい。

 4月19日付ニューヨークタイムズ紙によると、政治、人種、実用書、料理などの本が売れ行きを伸ばしているという。在宅者はパンデミック以前と比べ、音楽を20%以上聞く時間が増え、書籍は昨年1月から12月までの累計売上が対前年比で40%の増加が見込まれると業界調査会社のNPDブックスキャン社が発表している。

 この流れが今後も持続するかどうかは判断材料が少ないとしながらもオンライン読者の拡大によってプリント本の販売減少に直面してきた書店や出版社はオールドタイトルの既存本への需要にも望みをつなげている。大手ペンギン・ランダムハウスは来月、独立系の直営書店の米国内での展開をスタートする。

 ニューヨークの紀伊國屋書店は、マンハッタンの中心街にあり、地下が日本の書籍と雑誌、参考書だが、1階は完全に洋書売り場で、2階が漫画とアニメの関連売り場となっている。

 店長の高野耕太郎さんは「書籍も悪くないですし、特に弊店ではやはりアニメマンガ系商品が好調で、それらを求める若年層のお客さんが多い状況です。それらのカテゴリーの売上は、コロナ前以上になっているケースも多いです」と話す。その理由を聞くと「ご指摘の通り、巣ごもり需要があるものと思います。特に、英文のマンガの売上が極めて強いですし、アニメ系フィギュアなども非常に引き合いが大きいです。インドアでアニメ、マンガなどを見る習慣が増えてきたのと、外出が少なくなるので、フィギュアなど、趣味として家に置くフィジカルなものも、意外と引き合い強くなっているのではないかなと思っています」と説明してくれた。

 また「古い本といえば、マンガの『文豪ストレイドッグス』の影響などもあり、太宰治の『人間失格』の英語版は最近急によく動くようになりました。Tiktokのインフルエンサーに取り上げられた影響で、 Madeleine MillerのSong of AchillesがNYタイムズベストセラーに返り咲いた、などもあります」と解説してくれた。日本の英訳漫画本は、空前のブームを迎えていると言い、特に『鬼滅の刃』(Demon Slayer)『呪術廻戦 』(Jujutsu Kaisen)『チェンソーマン』 (Chainsaw Man)が現在3大ヒット作品で飛ぶように売れているという。