マイナンバーカード 海外永住者の選択

5月下旬からオンライン申請が条件付で可能に

国内で進むデジタル化
2015年以前の出国者不利に

 5月下旬から、国外転出者向けマイナンバーカードのオンライン申請が開始される。それに伴い在ニューヨーク日本国総領事館の窓口での申請については、一部を除き原則終了となる(本紙先週号既報)。なお交付手続き(カードの受け取り)については、引き続き領事窓口で行われる。オンライン申請の導入に伴い、申請から交付までの期間が短縮される見込みだ。この日本国内で進んでいるマイナンバーカードの普及に伴い、現在海外に住んでいる日本人(日本国籍所持者)は、マイナンバーカードを所有している人と所有していない人との2種類に分かれている。米国のソーシャル・セキュリティー(SS)ナンバーと似た機能を持つこの日本のマイナンバーカードだが、これがないと海外で暮らす上で何か不便なことがあるのだろうか、それともカードがなくても海外生活自体には支障がないのか、もし問題になるとしたらどんなことか、関係者に話を聞き現状を整理してみた。

 2024年5月27日の改正マイナンバー法の施行により、同日以降、国外転出後もカードの継続利用が可能になり、海外在住者でも新規の申請が条件付きで可能になった。海外居住者が取得できる条件とは、日本国籍を持っていること、2015年10月5日以降に国外転出していることである。つまり、条件が揃えば日本人(駐在員、留学生など長期滞在者、永住者)が取得できる。

 ニューヨーク総領事館によると、海外在住日本人が海外からマイナンバーカードを申請できるかどうかの判断は、「2015年10月5日時点で日本に住民票があったか否か、もしくは同日以降一度でも日本で住民登録をしたか否かによります。マイナンバーは住民票を持つ全ての人に付与される番号であり、住民票に基づいて一度付番されたマイナンバーは、住民票を移動したり、国外転出しても原則として生涯変わることはありません。2015年10月5日より前に国外に出て、一度も日本で住民登録をしていない方がマイナンバーカードを取得するためには、一時帰国の際に、日本国内で住民登録をして、まずは個人番号(マイナンバー)を取得する必要があります。ただし、原則として住民登録は居住の実態を伴っている必要があり、自治体によっては1年以上の滞在を前提としていますので、マイナンバーカードの取得のためだけに住民登録が可能かどうかは、各地方自治体に直接お問い合わせください。」と言う。では、マイナンバーカードを所持していない場合のデメリットはどんなことが想定できるのだろうか。

 (1)日本の行政手続きのデジタル化への後れ=税金の確定申告、マイナポータル、各種証明書のオンライン取得などが今後「カード前提」となっていく流れにある。(→マイナンバーカードがあれば手続きの簡便化が可能)

(2)医療(マイナ保険証)との連動=日本では紙の健康保険証が廃止方向。日本の健康保険に加入している人は一時帰国時の受診に影響。マイナンバーカードがない場合は、加入している健康保険組合から資格確認書を発行してもらう必要がある。(→マイナンバーカードがあればそのまま保険証として使用可能)

(3)本人確認手段の不足=日本における銀行口座の開設、不動産契約、電話などの民間の各種契約・サービスにあたって支障が生じる可能性がある。

(4)将来的な制度統合=今後想定されているものは、運転免許証との一体化、在外公館における各種領事手続きのオンライン化、戸籍・パスポート連携など。(→マイナンバーカードを持っていることで、様々な手続が簡便になる可能性がある)

在外選挙制度と相反関係
住民票の有無で現在施行

 日本国内で進むマイナンバーカードが、海外に居住する日本人にとってどのような影響があるのか、とりわけグリーンカードを持っている米国永住者が注意しておかなくてはならない点について1面で報じた。

 そして海外の在住者にとって重要なのは、在外選挙制度とマイナンバーカードの関係だ。在外選挙は日本の住民票を抜いて海外に転出した人が「在外選挙人証」を取得して投票できる。将来的にインターネット投票を導入することになった場合の本人確認をマイナンバーと紐付けする案が出ているが、そうなると海外在住有権者の中でネット投票できる人とできない人が出てしまう状態になる。この点については、日本国民としての投票権に不平等が生じ、憲法15条(選挙権の平等)上問題になる可能性もあるため、ワンタイム(ID)パスワードの導入、在外公館投票、郵便投票の継続、希望者だけネット投票ができる選択肢とするなどマイナンバーカードを持たない有権者が制度から取り残されないように配慮されるものと見られる。

ないと民間サービスから
取り残される将来的懸念

 まとめると、企業の駐在員とその家族、留学生など、将来日本に帰国することを前提として海外で暮らしている人は、マイナンバーカードを持っていた方が便利であり、カードがないと不便・不利益を被ることも有り得るので、2015年10月5日時点で日本に住民票のあった人はカードを取得した方が良いと言える。また、米国永住者でも、2015年10月5日以降に国外転出した人はマイナンバーを付与されているので、希望すれば取得が可能である。

 2015年10月5日以前から、米国に住んでいる永住者でも、日本に住民票を残し、住民税などの納税義務を果たしていれば「住民票がある=マイナンバーがある」のでマイナンバーカードを取得できる。2015年10月5日以前から米国に住んでおり、同日以降一度も日本で住民登録をしていない場合は、一時帰国した時に住民登録をすれば、マイナンバーカードを申請することができる。ただし、住民登録は居住の実態があることを前提としているため、マイナンバーカードのためだけに住民登録が可能か否かは、市区町村役場に確認する必要がある。また、日本に居住している実態がないのに住民票だけ残していると税金等の負担が生じるので、再び米国に戻る際には国外転出届を出す必要がある。

 従って、日本で住民票を一度も入れたことのない日本人に対しては、前述のように日本政府は海外在留邦人が取り残されないように制度上配慮していくとしても、マイナンバーカードがないと日本国内の民間サービスのデジタル化から取り残される危険性があると言えそうだ。今後は日米どちらに軸足をおいて生きるのかがさらに問われそうだ。

花見 NIGHT  BROOKLYN BOTANICAL GARDEN

 ブルックリンにある植物園、ブルックリンボタニカルガーデンで4月21日から24日までの4夜にわたり恒例の「ハナミ・ナイト」が開催され、大勢のニューヨーカーが日本のお花見を楽しんだ。来場者は西日に照らされたトワイライトの桜並木の下でマットを広げ、場内で販売された蕎麦や寿司弁当を楽しみながらジャズ、太鼓、三味線、箏、雅楽などの音楽やダンスパフォーマンスを楽しんだ。 (関連記事20面に)

日本の美桜の下で

ブルックリン植物園

 ブルックリンにある植物園、ブルックリンボタニカルガーデンで4月21日から24日までの4夜にわたり「ハナミ・ナイト」が開催され、大勢のニューヨーカーがライトアップされた桜の木の下で音楽やダンスパフォーマンス、グルメを楽しんだ(1面に記事)。

 出演は沖縄三味線の愛世梨乃、箏の石榑雅代、ソウル・ジャズのマンデー満ちる、迫力あるパフォーマンスで会場を魅了したサムライ・ソード・ソウル、ヒナ及川、伊藤さちよ舞踊団、ジャズピアニストの早間美紀とバンド・オーガニック・エレクトロニクス、よさこいダンス、天理雅楽、フルート奏者の佐伯麻由カルテット、太鼓ダンサーグループのCOBUなど盛り沢山のプログラム。司会は合田沙おり。

 佐伯麻由は所属したチコ・ハミルトン時代のミュージシャンと13年ぶりに合流し、新進気鋭のギタリスト、小川智也を迎えた新編成のカルテットでステージに。チコの「ハウズ・ユア・フィーリング」から蘇州夜曲、自身のアルバムタイトルでもあるHOPEを演奏して喝采を浴びた。また、赤い鳥居のある池の辺りでは、天理雅楽が雅やかな音色を園内に響かせた。

佐藤正明 ブルックリンで人気

NowHereがプリント展出品

 5月末オープンを目指して工事を進めているアートギャラリー、ナウヒア(NowHere)が4月中旬ブルックリンのゴワナスエリアにある巨大アート施設「Powerhouse Arts」で開催されたプリントフェアに出展した。

(写真上)初日で売れた佐藤の地下鉄シリーズ Subway No.12(1976)Screenprint Image Size: 24″ x 19″

 同展ではニューヨーク在住のアーティスト佐藤正明の作品を紹介。今回は個展形式での発表で、版画だけで個展形式で発表するのは、佐藤の長いキャリアの中でも初めて。11月には新しいナウヒアで佐藤の個展も予定している。今回のフェアは昨年はじめて開催され、その成功を受けて今年はさらに規模を拡大して開催された。

 同ギャラリーでは、最近「NowHere Vangurads」という取り組みをスタートした。これは1960年代から70年代に日本からニューヨークに来たアーティストに再度焦点を当てるもので、その一環で1970年にNYに来て現在85歳の佐藤正明の作品を紹介した。

 ナウヒアのアートディレクター、戸塚憲太郎さんは「会場は全体的に非常に活気があり、幅広い年齢層、地元ブルックリンの方が多く、コミュニティイベント感が強い印象。プリントという素材や技術が重要なメディアということもあり、作品の技法や制作プロセスに対する関心も高く、出展者と来場者の間で丁寧な対話が生まれていたのが特徴的だ」と話す。

 佐藤の作品についても「非常に良い反応だった。特に、ニューヨークの都市風景を独自の視点で捉えた構図や、スクリーンプリントとは信じ難いレベルの緻密な表現に対して、技術的な理解を持つ他の出展者や玄人来場者からの評価が高く、会場内でも印象的な存在となっていた」と言う。

 フェア全体として比較的手頃な作品が多く、大勢の人が作品を購入していた。佐藤の作品はやや高価格帯に位置していたが、今展で複数の作品が売れたという。

 戸塚さんは「今回のフェアは、単なる販売の場というだけでなく、アーティストや作品に対する理解を深める機会として非常に有意義であり、今後の展開につながる手応えを感じる機会となった」と話している。

トランプ大統領に対峙する欧州の大義

 トランプ大統領によるイラン戦争は「勝利なき戦い」の色を増しています。欧州の動きが世界への影響力を高めています。

①ハンガリーの総選挙で、オルバン長期独裁政権が大惨敗。盟友トランプ氏の異例の支援も逆効果。ベルリンの壁の崩壊やプラハの春に匹敵する歴史的事件との論調も。行政機関、メディア、選挙制度への統制などトランプ・オルバン両氏に共通する政治手法の否定。

②初の米国人のローマ教皇レオ14世による「平和を求め、戦争を否定せよ」との発言に対するトランプ氏の批判に対して、米国のカトリック教諸団体のトランプ氏離反が拡大。

③トランプ氏の盟友イタリアのメローニ首相も、トランプ氏によるローマ教皇批判を拒否し、イランへの米軍作戦への基地提供を拒否。

④スペインのサンチェス首相が「国際的合意なしの行動は正当化できない」と、最も明確に対イラン戦争に反対。

 これらは、英独仏や国連、EU、NATO首脳も含め、イスラエルに追随した米国のイラン攻撃には大義がないとの共通認識です。1980年のイラン・イラク戦争、1991年の湾岸戦争、2003年の対イラク戦争という3度の米国主導戦争の失敗の教訓が欧州には根強く残ります。

 国際法重視、多国間主義、外交解決、人道主義、宗教的・道徳的価値などの欧州が唱える大義が、グローバルサウス諸国などへの説得力も増しています。

 米国内での関税戦争や交戦権に関する大統領権限の行使に対する違憲訴訟や、バンス副大統領、軍、国務省、CIAなどの反対論を押し切ってのトランプ氏の開戦に反対するNo King 運動などにも呼応していると思われます。

 英国のチャールズ国王が今週訪米しました。昨年10月に教皇レオ14世を訪問し、カトリック教会と500年ぶりの和解を実現し、カナダなど15国の国王でもあります。トランプ氏と欧州の関係が険悪化している中での貴重なソフト外交です。今回の戦争を、よもや第3次世界大戦などに拡大させてはならぬとの欧州の総力戦です。

 他方、日本の高市早苗首相は、トランプ氏の戦争に「法的評価を控える」としています。国民生活を打撃しているエネルギーを依存し、長年友好関係にあるイランなど中東諸国の人命も尊重することが国際社会と日本にとっての大義です。国際法や人道重視の外交こそ、分断化する世界における日本の国益と思います。

ふじた・ゆきひさ=オックスフォード大政治国際問題学部客員研究フェロー(英国在)。慶大卒。国際MRA(現IC)や難民を助ける会等の和解・人道援助活動を経て国会議員、財務副大臣、民主党国際局長、等を歴任。現在、国際IC日本協会理事、岐阜女子大特別客員教授も兼任。

全米将棋大会 マンハッタンで開催

 2026年全米将棋大会が4月18日、19日の両日、マンハッタンで開催された。大会には全米各地に加え、カナダからも参加者が集い、計45名が熱戦を繰り広げた。

 本大会には、日本から石川陽生七段、西川和宏六段と、ニュージャージー在住の井道千尋女流二段のプロ棋士3名が参加し、対局の立ち合いのほか、指導や解説にあたった。

 17日の前夜祭から幕を開け、初参加者同士の交流や、過去の参加者、さらには来米したプロ棋士との親睦が深められた。18日に開始した本大会は、予選3回戦、そして2日間をかけて行われる決勝ラウンド4回戦を経て準決勝、決勝に進む形式で行われ、参加者は白熱した対局を次々と展開した。また、午後には団体戦7回戦も実施された。終了後は近くの飲食店での懇親デイナーで初日を終えた。

 翌19日午前には、子ども大会も開催され、8名の活発な少年たちの育成の場としての賑わいを見せた。

 最後には、本大会優勝者の吉川毅さんとプロ棋士の西川和宏六段との記念対局が行われ、会場は大きな盛り上がりを見せた。

 Bクラス優勝は、服部裕次郎さん、団体戦優勝は、ニュージャージー/ボルチモアチーム、そして子ども大会優勝は、村瀬瑛祐さん。なお、次回大会は来春、ロサンゼルスで行われる予定。

トランプ時代のインサイダー

 トランプが4月21日にイランとの停戦延長を自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で発表する16分前に、ブレント原油先物4千ロット以上が売られ、当時価格(約101ドル)で名目4億3千万ドルがたった2分間で誰かの手に渡りました。で、その14分後に停戦延長投稿。もちろん原油価格は急落です。

 これだけの話じゃないんです。昨年4月のトランプ関税90日間停止から今年2月28日の対イラン攻撃などに関連して、トランプがインタビューや投稿で攻撃開始だ/停戦だ、ホルムズ開放だ/封鎖だなどと発表する直前という絶妙のタイミングで、ポリマーケットなどの予測市場や原油先物市場で通常の数倍〜数十倍の複数の巨額取引が行われたことが確認されています。これらに関連し、政府や軍の非公開情報漏洩のインサイダー取引疑惑がBBCやブルームバーグなどで報じられました。

 例えば3月23日、イラン攻撃延期発表16分前に、石油先物に5億ドル超規模の原油先物売り注文が集中。発表後に原油価格が急落し誰かが数百万ドルの利益を得ました。4月7日の対イラン停戦発表直前にも石油先物に9・5億ドルの売りベットが行われ、発表後に原油価格が15%下落。逆にS&P500株先物では株価上昇を見込んだ15億ドルという巨額の買いもあった。

 4月17日にはトランプがイランのホルムズ海峡開放宣言を追認する20分前に石油先物に7・6億ドルの下落ベットがあり、直後に原油価格が約10%急落。このベットで取引者(またはグループ)は1億ドル近い利益があったとか。

 一説ではそれら第2次トランプ政権下での不審ベットやトレードは4月下旬までに全12回で12勝0敗、勝率100%。

 いくらなんでもここまで連続して丸儲けって、おかしいでしょ? 普通、確実な情報もなく数億ドル(数百億円超)もの売買や賭けをしますか?

 ネット上ではこれらにトランプの一族や閣僚周辺が関与しているという噂が広がっていますが、それらの根拠・証拠はありません。現在までのところ唯一、今年1月3日の米軍によるベネズエラのマドゥーロ大統領拉致・追放作戦で、その5時間前に、正体不明のトレーダーが3万4千ドル(544万円)を賭け、40万ドル(6400万円)のリターンを得たという件で逮捕者が出ました。この作戦に関与していた米軍特殊部隊の兵士が自ら作戦成功に賭けていたことが判明し、先週拘束されました。

 しかしこれは小さい。小物です。

 他のベットや売買は数万ドルではなく数億ドルです。

 トランプ政権下で繰り返される「完璧なタイミングの完璧な大儲け取引」にはもっと深いところでもっと確実な情報を得ている大物がいるはず、というのは大方の推測でしょう。けれど実際の取引は匿名で、具体的なトレーダー名が出るような証券取引所や米商品先物取引委員会の公的記録はないし、今後もその匿名者が明らかになることはないでしょう。

 そういうものです。なぜなら、今の超高度金融資本主義社会では、富はいかにハードに働いたかによってはもたらされていません。経済システムがいかに富裕層にとって都合よく働くかによってもたらされているからです。こうして今、米国の富の60%は相続によるものとなりました。第二次世界大戦後に生まれた大量のブーマーズからその子のミレニアルズたちへの相続額は史上最大で、対して一般人は政治的経済的影響力を持っていないがゆえに置き去りにされるシステムなのです。トランプ政権は富裕層や企業の減税及び規制撤廃と、それにさらに拍車をかけているわけです。(武藤芳治/ジャーナリスト)

長崎検番が来米 5月10日に春祭り

ジャパンビレッジで

 ブルックリン区サンセットパークにある日本文化発信の複合商業施設のジャパンビレッジで、10日(日)午後1時から、施設内の中庭で「春祭り」イベントが開催される。このイベントでは、徳島の阿波踊り、高知のよさこい、鹿児島や沖縄の民謡など日本各地の伝統文化・芸能をニューヨーカーに紹介する。 

 中でも注目を浴びているのが、イベントのメインとして登場する「長崎検番」だ。長崎は今年1月に発表されたニューヨーク・タイムズ紙の「2026年に行くべき52箇所」に選出され話題を呼んでおり、長崎県は現地ニューヨークで長崎観光の魅力を発信することを目的として渡米し、9日にはジャパンパレードに参加、そして翌日に同イベントに参加し、「長崎検番」による芸妓の舞踊披露を通じてニューヨーカーに「NAGASAKI」の周知活動を展開する。 

 長崎は、遠い鎖国時代から日本唯一の海外交流窓口として、洋の東西から文物をとり入れ、独自の文化を育み、魅力溢れる街として発展してきた。その文化の担い手の一角に、郷土芸能を支えてきた「長崎検番」がある。検番は芸妓を抱える置屋と料理屋の中間に立って、双方の調整を図る役割を務めてきた。検番に所属する芸妓は長崎の伝統文化を受け継ぐ担い手として、日々稽古に励みながら、料亭や観光イベントなどで踊りや三味線、お囃子などの芸を披露している。 

 今回ニューヨークへ訪れる芸妓衆は、梅喜久、三勇、るり羽、すず華、いち果、弥生の6人。「長崎音頭」「長崎ぶらぶら節」など全4曲の演目を唄、三味線、お囃子の生演奏に合わせて芸者踊りのパフォーマンスを展開する。観覧は無料。 

 また、このイベントでは、5月5日の子供の日にちなんだ「パン食い競争」、そして母の日にちなんだ「親子カラオケ大会」も開催。どちらも豪華景品を用意しており参加者を募集中。また、鹿児島の名産品であるさつまいもを使用した焼き芋の試食会、フード販売など、さまざまなブース出店も予定されており家族で楽しめるイベントとなっている。詳細はジャパンビレッジのウェブサイトまで www.japanvillage.com

デザインは国境越える深夜特急 髙坂美桜さん

グラフィックデザイナー

 日本語は、ひらがな、カタカナ、漢字の3種類の文字を使う。それぞれ別々に使用するのではなく、その3種類が入り混じって使われる。日本人であれば当たり前に使っているこの日本語の文字を、日本語圏以外の人に英語で説明する小冊子をこのほど作った。文字は四角いマス目の中心に書くことや、習字でよく習う、ハネやトメなど、活字のタイポグラフとしての解説が、語学書としてではなく、グラフィックとしてわかりやすく解説してあり、日本人のデザイナーや出版関係者がみたらきっと興味を示しそうな内容だ。

 髙坂美桜さんは、1999年東京生まれ。ブルックリンを拠点に活動するグラフィックデザイナーだ。高校から米バーモント州の高校に留学し、2023年にロードアイランド・スクール・オブ・デザインのグラフィックデザイン学部を卒業。米国で エディトリアルデザイン、展示グラフィックデザインなどの領域を横断しながら、米大手点字表示デザイン会社に勤めながら、自己表現としてのデザインを探求、2025年春に大学時代の仲間3人で独立し、デザインスタジオ、小指スタジオ(Koyubi Studio)を設立。同社の発起人として知的好奇心を刺激するアートやデザインを作って世界にシェアしている。

 中国人の母親と日本人の父親の間に生まれた髙坂さんは、父親が病気のため、生まれてすぐ中国の母方の祖母に預けられて幼少期を北京で過ごした。小学1年の時に日本に帰国して5年生から中学3年まで再び北京暮らしとなり高校進学をきっかけに留学、来米した。

 「異なる文化や言語のデザインを横断しながら、どこかひとつの地域に収まらない独自のスタイルを探求しています。独立出版を通じて、異国での日常生活や通勤中の小さな出来事、自己の変容といった個人的な体験を記録し再構成することが私の実践の中心にあります」と話す。

 12歳の時に読んだ沢木耕太郎の『深夜特急』に感動し、大学生の20歳の時に香港からアゼルバイジャンまで陸路で旅をした。国境をまたぐということがどういうことなのか、それまでは飛行機で日米、日中を何度も行き来して、飛行機で着いてドアを開けたら全く別世界という体験だったのが、陸路で国境を越えると、ウズベキスタン、カザフスタンなどグラデーションのように人種が移り変わっていくのを実体験して、自我が芽生える時に身をもって国境を越えることの意味を味わった。それが今の仕事にもつながっている。

 将来の夢は「NYを拠点にしながら、もっとたくさんの場所に旅に出たいと思っています。旅の体験を元に紀行文を書き、デザインとミックスさせた作品を作るのが夢です。グラフィックデザインやエディトリアルデザインにとどまらず、表現の領域をどんどん広げて行きたいと思っています。より多様なクライアントワークに挑みたいですね」と話す。

 世の中がすべてデジタル化した現代、AIではないリアルな絵や手書きのグラフィックなどが再び見直される揺り戻しがきていると感じているという。自分が身体として存在している意味は何か。Z世代の模索は続きそうだ。

 (三浦良一記者、写真も)

NYPD警察官に感謝の茶会 ハンターカレッジの大学生

67丁目の19分署を訪問してお点前披露

 ハンター大学の学生が授業の一環で4月27日、大学に隣接するニューヨーク市警19分署を訪問し、交流茶会を開催した。当日はNYPDマンハッタンサウスからコミュニティー・アフェアーズ巡査部長のジョエル・モットラ氏はじめ、19分署のノリーン・ラザルス署長ら警察官たちが客人として学生たちのお茶のお点前を受けた。

(写真上)学生からお茶を受け取るNYPD19分署のラザルス署長

 学生が菓子やふくさの使い方、茶碗の持ち方、「お先に失礼します」の言葉掛けなどについて説明。指導担当のコール阿部真理教諭が、茶道における心得を四字で表した「和敬静寂」について解説した。

 「和」は主人と客が心をひとつにして場を和ませること。「敬」は相手を思いやり、互いに尊重し敬う心を持つこと。「清」は心の清らかさと、茶室や道具の清浄さを保つこと。「寂」は、わび茶の美意識を示し、心静かで落ち着いた状態を示すなどの説明に警察官たちは、熱心に耳を傾けていた。 

署長と記念撮影するハンター大学のみなさんと阿部教諭

 19分署長のラザルス署長は、1998年から2001年まで日本政府が海外から若手外国人を公立学校の英語教師助手や地方自治体補助職員として招聘するJETプログラムで3年間、京都の舞鶴で暮らした経験がある日本通。当日も「とても素晴らしい体験で、ずいぶん昔になりますが日本で過ごした日々を思い出しました」と語っていた。また、同分署で補助警察部副警部の会田秀樹さん(56)も参加し、「アメリカの警察官が、日本文化に親しむ良い機会となった。先生方、職員の方々、学生皆さんの日本文化に対する敬愛に、署長共々深く御礼申し上げたい」と喜んでいた。

 当日はニューヨーク日本総領事館の相真紀子広報センター長、NY日本商工会議所の前田正明専務理事も招待客として同席した。また当日は北米伊藤園から「おーいお茶」などのボトル200本がお茶会への支援として警察官にプレゼントされた。

内なる痛みを表現 大上力夫NY個展

ギャラリーマックスで5日から

 広島市在住のアーティスト、大上力夫(おおうえ・りきお)の個展「SILENT VIOLENCE」が5月5日(火)から16日(土)までソーホーのギャラリーマックス・ニューヨーク(ブロードウエー552番地4階/401号・ドアブサー9番。電話212・925・7017)で開催される。大上は1980年代から個展・グループ展で活発に作品を発表し、公募展においても数々の受賞を果たしている。個展はおもに東京、広島で開催。海外ではソウル、ハンブルグを経て、ニューヨークでの個展は今回が初となる会場には50号9点・40号5点を含む合計25点が展示される。

 大上は高校時代に画家を志したものの、父親の反対により美術学校への進学を断念。その後は独学で美術を学び、初期の段階でイヴ・クラインの「青」に強い衝撃を受け、自ら独自の色彩を生み出すことを決意する。以来、大上にとって色彩は創作活動の核心にあり、色彩へのアプローチは一貫して変わることがない。今に至る静寂にして独創的な世界観を構築することができたのは、むしろアカデミックな訓練を受けなかったからともいえる。

 今回展示のシリーズについて大上は「デフォルメされた女性や子供、叫びをあげる顔、窪んだ瞳、しがみつく動物といったモチーフを用い、私独自の色彩を巧みに操ることで、日常に潜むバイオレンスへの怒り、恐怖、不安、そして絶望といった感情を表現しています。絵画による表現の限界を感じ、制作に疲れたようなときであっても、私は絵画が持つ力、そして色彩が宿す力を信じ、創作を続けています。」と語る。オープニングレセプションは6日(水)午後6時から8時。入場無料。開廊時間は火曜から土曜の午後12時から6時。問い合わせはhttps://artspheres.org/contact/

【今週の紙面の主なニュース】(2026年4月25日号)

(1)アイム Happi  ジャパンパレードであおうね!

(2)世界のミセス&ミスターを選ぶ NY大会を開催

(3)眞子さん郊外で子育て NYポスト紙が近況掲載

(4)ロッキーホラーショー 待望の復活公演

(5)生き生きEAT  自宅の手巻きパーティーをワンランクアップ

(6)ハナミ・ナイト ボタニカルガーデンで桜祭り

(7)JAAサクラ祭り NYに桜を寄贈して25年

(8)青春の蹉跌 青春の殺人者   ジャパン・ソサエティーで上映

(9)乳がん治療最前線 梅宮アンナさん体験語る

(10)海外で9回目のカルメン踊る