春の風物詩 イースター

 ニューヨークに春を告げる風物詩の一つ、5番街のセント・パトリック大聖堂の前で行われるイースター・パレード。イースターのウサギやタマゴの飾りをつけた帽子や春の花をあしらったカラフルなドレスや帽子。思い思いに着飾った人たちが集う恒例のイベントだ。春色のグリーンの風船で作ったドレスをまとった女性は大人気で、彼女を写真に収めようとたくさんの人が彼女の周りに集まった。今年は、特に大勢の人が訪れていて、ラッシュアワーの地下鉄のような混雑ぶり。ニューヨークの春も、すぐそこまで来ている。   (石黒かおる、写真も)

(写真)セント・パトリック大聖堂前で晴れ姿を披露する参加者

タイムズスクエア電飾アートジャック 松山智一

 ニューヨークを拠点とする現代美術家、松山智一=写真左=は、4月1日から1か月間、タイムズスクエアで開催されている世界最大級のデジタル・パブリックアートプログラム「Times Square Arts’ Midnight Moment」を手がけている。

 毎晩午後11時57分から午前0時までの3分間、41丁目から49丁目に位置する96以上の巨大LEDスクリーンが連動し、松山による最新映像作品『Morning Again』が上映される。広告の光が消える180秒間、都市の鼓動とアートが溶け合う体験を創出する。

 「Midnight Moment」は2012年にタイムズスクエア・アーツが始動した、NYの象徴的空間をキャンバスに変えるパブリックアートプロジェクト。過去にはデイヴィッド・ホックニーやオラファー・エリアソンなど、世界のトップアーティストがこの舞台に立ち、作品を発表してきた。

 『Morning Again』は、現代社会の縮図としてのNYに流れ込む、多様な文化的な「力」を抽象的な存在として視覚化する映像作品。都市に痕跡を残してきた思想や感情、価値観の作用”そのものが、光や動き、色彩、揺らぐ形となって現れる。それらは交差し、重なり合いながら、NYという都市が内包する複数の「自由」の在り方を示しているという。

 4月6日午後11時57分。音もなく、タイムズスクエア一体の電光看板が一斉に真っ白になり、程なく様々なイラストレーション画像が動画のように映し出されていく。全ての看板が変わった訳ではなく、一部は企業の広告がそのまま残っていたが、ほぼ地域全体の看板が一つのアート作品としての表現スクリーンとして切り替わった。街ゆく人は思わず「ワーオ。すごい」と歓声をあげてスマホ撮影する姿が見られた。(撮影・本紙・三浦良一)


 松山智一=1976年岐阜県生まれ、ニューヨークを拠点に活動し、鮮やかな色彩と精緻な描線による絵画や、大規模なパブリック・アートとしての彫刻など、大胆さと繊細さを併せ持った作品を中心に発表。アジアとヨーロッパ、古代と現代、具象と抽象といった両極の要素を有機的に結びつけて再構築し、異文化間での自身の経験や情報化の中で移ろう現代社会の姿を反映した作品を制作。バワリーミューラルでの壁画制作(ニューヨーク/米国、2019年/ 2023年)や、《花尾》(新宿東口駅前広場、東京、2020年)、など、大規模なパブリックアートプロジェクトも手がけている。

窓越しの声 ニューヨークの魔法

 何がそんなにおかしいのか、Tシャツにジーンズ姿の若者四人が、体をねじって笑い転げながら、目の前を通り過ぎていく。ヘアバンドからスニーカーまでピンク色にまとめあげた五歳くらいの女の子が、もう一方の手にコーヒーを持った母親らしき女の人に、手を引かれて歩いている。ふたりの少し前を行く父親らしき男の人が振り返り、かがんで女の子に何やら話しかける。

 左手の角では、胸の大きく開いた、膝丈の黒いドレスに身を包んだ若い女の人が、黒いスーツ姿の男の人と手をつないで、信号を待っている。

 夏の夕暮れ、私はひとりでカフェに入り、通りに面したカウンターにすわっていた。文章を書いていたパソコンを閉じ、疲れた目を休めるために、コーヒーを飲みながらぼんやり外を眺める。

 原稿の締切が迫っていたため、友人にもほとんど会わず、パソコンに向かう日々が続いていた。

 日本にいる夫を思い出し、突然、深い孤独と悲しみに襲われた。みるみるうちに涙があふれ、窓の景色がゆがんで見える。

 周りの人に気づかれまいと、私がそっと両手で目頭を押さえ、涙をふいていたとき、コツコツと音がしたような気がした。

 顔を上げると、目の前に白人の男の人が立っていた。その人は、彼と私を隔てている窓ガラスを、軽くたたいたのだ。体格がよく、六十代ほどだろうか。見知らぬ人だった。

 と、その瞬間、私の目の前で自分の右の親指を立て、私を包み込むような笑顔を向けた。涙もまだ乾いていないのに、彼につられて私も思わず笑みを浮かべた。

 それを見ると、男の人は安心したように深くうなずき、今度は両手の親指を立てて私に向けると、笑顔のまま、ゆっくり立ち去っていった。

 親指を向けながら、私に何か声をかけていた。

 大丈夫かい? 顔を上げて、笑ってごらん。落ち込んでいるなんて、もったいないよ。

 Life is too short.

 人生は短いんだから。

 窓越しの雑踏のなかで、その声は私の耳に届かなかったけれど、語りかけてくれた言葉を想像しながら、さっきまでとはまったく違った思いで、道行く人たちを眺めていた。

 このエッセイは、シリーズ第5弾『ニューヨークの魔法のじかん』に収録されています。

紫 今に聞く クリエーターNY訪問

 作詞、作曲、編曲、アートワーク、ミュージック・ビデオ(MV)のプロデュースまでを手掛けるクリエーターの紫 今(むらさき・いま)さん。新曲「New Walk」が4月から日本のテレビ東京系列で放映されるTVアニメ「左利きのエレン」のエンディングテーマ曲に起用される。MVの撮影のためにニューヨークを訪れた紫さんに話を聞いた。

Q 紫 今さんが感じたニューヨークの印象について教えてください。

紫 今:ニューヨークに来たのは初めてです。行く場所によって違う顔を持っている街だなと。いろんな文化が混沌として存在しているというイメージはありましたが、思っていたより、ちょっと歩いただけでエリアによって全然違う。一言では言い表せない場所だと思いました。

Q:紫 今さんのミュージシャンとしてのバックグランドを教えてください。

紫 今:父がアフリカの楽器ジャンベ奏者で、ニューヨークにも10代の頃に訪れて、ストリートライブをやっていました。母はゴスペルをやっていました。アフリカ音楽、ジャズ、ソウル、ファンク、ゴスペルとブラック・ミュージック全般を両親が好きでアフリカの国歌をカバーしたりしていました。4歳頃から、家族でジャンべと歌だけのバンドでセッションを行ったりしていました。

Q:新曲「New Walk」について教えてください。

紫 今:「New Walk」は和訳すると「新しい歩み」です。自分の人生を振り返ったり、自分の存在って何なのか、生きる意義とかを探しに行く初めの一歩の意味での新しい歩み。そんな想いを込めた曲です。私は幅広いジャンルの音楽のルーツを抱えているのでニューヨークの街とそこが通じる。いろんなルーツを背負ったいろんな人種の人たちが生きて、住んでいる街なので。「New Walk」は様々なジャンルの要素が絡みあっている私の中の一番真ん中の曲です。ザ・ニューヨークをイメージして書いたら、日本人が考えるニューヨークになっていたと思う。実際初めて来てみて、ちゃんとニューヨークに合った曲に自然となっていたなと思いました。

Q:「左利きのエレン」への紫 今さんの想いは。

紫 今:この作品は主人公が2人。一人は日本でライバルと切磋琢磨、もう一人がエレンでニューヨークでアーティストとして葛藤する。2人に共感して自分じゃないかなと思う瞬間もあり、2人を救いたい気持ちで歌詞を書くうちに、自分に似ている人を救うことは、過去の自分を救うことになると。23歳の人生のタイミングでこの曲を書けるインスピレーションを与えてくれた「左利きのエレン」という作品に運命を感じました。ニューヨークが舞台の作品なので、今回、是非、モチーフであるニューヨークでMV撮影をしたいと思い、アニメの聖地巡礼的な意味合いも兼ねてニューヨークを訪れました。(インタビュー:石黒かおる)

写真提供: © Sony Music Labels

トランプ界隈の怒りの正体

 2週間の停戦になったとはいえ対イラン「エピック・フューリー」作戦は結局、何が目的だったのでしょう? 最初は「核開発を断念させる」だったのが次は「攻撃能力を壊滅させる」、そして今や「石器時代に叩き戻してやる」。明らかな戦争犯罪構成要件であるこの民間インフラ全損宣言のどこに、イースターの朝に忌み言葉を使って相手を罵り「せいぜいアッラーを讃えてろ」と侮辱する根拠があるのでしょう。

 そういえばトランプばかりか戦争長官ヘグセスの会見も毎回憤怒の形相です。トランプ政権は本当にいつもよく怒る。トランプ支持者たちもよく怒る。

 1940年から活躍した英国の児童精神医学者ジョン・ボウルビーによれば、非常に権威主義的な親の下で自分の感情を抑圧して育ち上がった子はその人生を通じて感情の表現が下手な「愛着障害」という傾向を持ちがちになるのだそうです。感情を表現することは弱い者や女のやることだと叩き込まれ、喜びや愛情、悲しさや寂しさ、優しさや楽しさの表出を脆さや弱さの現れだと信じるようになる。けれどそうやって感情を押し込めていても自分の思いはどこかに出口を求めるのです。閉じ込められ、抑圧されていた”脆弱さ”は、出口を求めながらもなおも蓋をされる。そこでその感情を、弱さ脆さとは逆の形の「怒り」として表出するようになるのだそうです。

 トランプ支持者たちが頻繁に怒りを露わにするのには訳があります。移民に対して怒る。トランス女性に対して怒る。黒人に対しても怒る。言うことを聞かないとまた怒る。トランプがまさに彼らに怒りの矛先を示し、抑圧されていた感情を怒りとして表出するパターンを示したからです。なぜならトランプ自身がそうだから。あるいは、人間的な柔らかな感情を怒りとしてしか表出する術を持たなかったのです。

 トランプはその怒りをディールの脅しとして利用し、支持者たちには政治基盤として植え付けた。何に対してもとにかく怒る。反対されたら怒る。指示したことができなかったら怒る。政治から退いて10年以上も経つオバマが撒いた、全てのDEI(多様性、公平性。包摂性)政策をキャンセルする。そうやって怒ることでしか発散できない──それは政治ではありません。

 そうすると冒頭に挙げた「エピック・フューリー」作戦の名は、はからずもその攻撃動機の正体を表しているのかもしれません。「叙事詩的(なほどに壮大な)怒り」作戦。つまり抒情詩を書くことを許されなかった男たちの、抑え込まれたやり場のない感情が怒りの形で噴出している作戦──。

 「愛着障害」の確たる証拠と見るには論拠が弱いですが、しかし見てください、トランプに関係する者たちの離婚回数の多さを。

 トランプは2回、ヘグセスも2回離婚して今の相手は3人目です。イーロン・マスクやスティーヴ・バノンは3回離婚しています。愛情を語れない男たちが和平交渉などできるはずもありません。彼らにとっては、だから全てがディールでしかないのです。

 これらは全て、マノスフィア(男世界)、トクシック・マスキュラリティ(有毒な男性性)、解放運動に乗り遅れた男権主義と関連しています。「男らしさの呪縛」──現在の世界の毒素の多くは、「愛着障害」を抱えるこの「男」界隈に漂っているように見えます。

(武藤芳治、ジャーナリスト)

政権がとりあえず立ち上がった あめりか時評

今、国内の3大改革へ注力せよ

 イランを巡る安全保障問題が緊迫する中で、高市総理の訪米には様々な懸念があったが、関係を損なうことなく日本の立場を説明できたことは成功であった。さらにこの年度末から新年度にかけて、金利のさらなる急上昇や極端な円安や円高の懸念もあったが、現時点では危険水域には入っていない。

 問題はこのまま原油高が続く場合に、国内の生活防衛や経済活動維持のために、公的資金の投入が必要ということだ。投入がある水準を超えていくと、財政規律の緩みを国際市場が悲観して、円が過剰に売られてしまう。しかしながら、救済策は避けられない。ここは行革によるコストカットを前面に出してバランスを取るしかないであろう。

 いずれにしても、多事多難の中で高市政権は最初の危機をとりあえず生き延びた。この束の間の安定を、今こそ国内の3大改革に使い、加速しつつある日本経済の衰退トレンドを何としても止めていただきたい。

 改革の第一は、教育改革である。世界的に単純作業だけでなく、知的作業であっても定型作業はAIにより自動化される時代となった。人間に求められる知的活動は価値判断や未経験の事象への対処など高度な領域に限られる時代でもある。大卒5割の行き届いた教育体制を持つ日本だが、教育内容を変更して、こうした変化に対応しなければならない。同時に、移民への抵抗感が続くのであれば、現場を担う人材の底上げも求められる。

 そんな中で公教育が形式平等に縛られ、その結果としてエリート教育を塾に丸投げされていては、大学進学は富裕層に限られてしまう。この問題を解決するには、小学生の段階から科目別に能力にあった教材とカリキュラムを用意してキメ細かい到達度別教育を組むしかない。教育行政には英断が求められる。

 第二はデジタル対応だ。こちらは、民間ベースではかなり進んでおり、特に企業向けのネットバンキング、企業による顧客管理、生産管理、顧客サービスなどでは遅れを取り戻しつつある。問題は官公庁で、現在は市町村の業務に全国統一のシステムを適応させる大きな作業が進行中だ。このプロジェクトを何としても成功させたい。成功とは、DXがスムーズに動き、紙と両立することで不満を抑えることではない。徹底した簡素化、標準化を推し進めて、持続可能な水準まで行政コストを下げることが必要だ。具体的には住民サービスの提出書類や入力フォームの標準化が急務である。また、公的な姓名から「外字」の適用を制限して行政事務標準文字(ユニコード内)に収めるなどの改革も必要だ。

 第三は雇用改革だ。現在、日本の多くの企業では人事制度が混乱している。売り手市場の新卒には40万円の初任給を提示する一方で、指導役の3年目社員等との逆転現象が放置されている。一方で、デジタル・リテラシーの欠落した世代を、定年まで面倒を見ている。この種の世代間の矛盾を是正するには、年功序列の廃止だけでなく、解雇規制の緩和に踏み切る必要もある。

 それ以上に大事なのは、職務の明確化だ。同僚が産休入りすると、周囲の業務量が増えて不満が出るなどというのは日本だけだからだ。教員が事務仕事と保護者対応で疲弊して、本来の業務である授業準備ができないなどというのも同じである。職務記述書にある内容以外の仕事を「してはいけない」という世界標準を日本は習得しなくてはならない。

 雇用改革については、日本型雇用が生産性を誇ったのは前世紀の話であって、今は、その曖昧さが生産性の敵となっている事実を理解すべきだろう。その点の理解のない経営者を追放することから始めるべきで、そうでなければGDP一人負けが続くことになる。

 高市総理について懸念があるとしたら、支持母体が「保守層」ということだが、教育の悪平等、DXへの忌避、日本型雇用への固執などというような「経済成長の敵」まで「守る」ようなら、日教組など「左の守旧派」とまったく変わらないことになる。保守とは川の流れのようなものであり、時代の流れに沿って、必要な変貌を遂げることで連続性と拡大を続けて大河に至る思想のはずだ。高市氏にはその真髄を実現し、最後まで第三の矢を放つことを禁じられた安倍晋三氏の無念を晴らしていただきたい。

(れいぜい・あきひこ/作家・プリンストン在住)

どうするトイレ? ジャパンパレード

沿道見物客1日6万人
一般観客用の仮設なし

 ジャパンパレードが今年も5月9日(土)午後1時から3時30分までセントラルパークウエストの81丁目から68丁目まで100以上の日系団体による参加者2800人規模(昨年実績)で盛大に開催され、6万人(同)を超える沿道の観客、人出が見込まれている。

 今年で開催5回目となるパレードだが、毎回楽しみにパレードを見ている観客の最大の悩みはトイレだ。パレード沿道や、72丁目で開催される日本の屋台の食べ物テントのストリートフェアに繰り出す一般客のための仮設トイレがないのだ。

 招待客やVIPなどがパレードを観るためのメインスタンド裏には、仮設トイレがいくつか用意されるが、一般の観客は使えない。パレード参加者用の仮設トイレも出発地点近くにあるが参加者限定。ストリートフェアのテント近くにも仮設トイレが設置されるが、使用できるのは屋台や模擬店を出店しているスタッフ・関係者のみとなっている。では一般の人はどこでトイレの用を足しているのだろうか。

 毎年見物してるAさんは「いつもセントラルパーク内の公衆トイレまで行ってますが遠いですね。去年まで使っていた72丁目ブロードウエー界隈にある大手スーパーのトイレが今年は使えなくなったので今年はちょっと大変だなって。食べ物食べたり飲んだりするのに特に子連れの人は近くにトイレがないと困るのでは? 観客が6万人といえばちょっとしたスタジアム並みの人数。そこに観客用のトイレが一つもないってあり得ないのでは」と話す。

 パレードの運営を担当するリエゾン・オフィスのゴージャスエンターテインメントに聞いたところ次のような返答があった。

セントラルパーク内の公衆トイレ(67丁目)

 「お問い合わせをいただいた件につき、在NY日本総領事館およびジャパンデー・インク取締役会の幹事会社とも協議させていただきました。一般向けの仮設トイレにつきましては、ニューヨークにおける屋外イベントの一般的な運営方式に準じ、周辺施設のトイレをご利用いただく形で運営しております。先ごろ開催されたセントパトリックデー・パレードやメーシーズ感謝祭パレードをはじめ、市内の多くの大規模パレードにおいても、セキュリティ面での懸念なども踏まえ、一般来場者向けの仮設トイレは通常設けられておりません。なお、パレードおよびストリートフェアからほど近いセントラルパーク内だけでも、 Rambles Shed、Mineral Springs Public Restrooms など、一般の方にご利用いただけるトイレが複数ございます。ご来場くださる皆様にご参照いただけるよう、周辺の利用可能なトイレ情報については、SNSなどでの事前案内なども進めていきたい」としている。地図で調べてみると、パレード会場から一番近い公衆トイレは、パレード終点の68丁目から1ブロック南下した66丁目と67丁目の公園内にあるレストラン「タバーン・オン・ザ・グリーン」の屋外に併設された公衆トイレ=写真上=だ。

以前のジャパンデー
公園内に仮設トイレ

 ジャパンパレードが開催される以前は、セントラルパーク内で「ジャパンデー」が開催されていた。この時は、フードテント近くに多くの仮設トイレが公園内にズラリと設置されていた。セントラルパークウエストという公園に沿った道路をパレードするだけに、公園内に仮設トイレを設置することはできないのか。

 観客の多くは、地下鉄を使って、ブロードウエー側から公園に向かってパレードを見に行く人がほとんどだが、パレード開催中は自由に道路を横断して公園側に渡ることはできない。

 道路を横断できる場所と時間が限定され、セントラルパーク内にしか公衆トイレがないとすれば、トイレが近い人や子連れの家族はあらかじめ公園サイドからパレードを観るしか安心して観る方法がないのか。ある家族はこう言った「この日は朝から飲み物を飲まずに行きました」。

日本の相続と生前準備 山口里美さんが解説

オンラインで26日から5月3日まで

 ニューヨーク日系人会(JAA)が主催する第18回春のサクラフェアで、NY日系ライオンズクラブが企画する「ライオンズ大学大人の教養講座シリーズ」のインターネット配信が、4月26日(日)から5月3日(日)まで、無料で視聴できる。

 講師はファーストブランド(本社大阪市、河本扶美子社長)が運営するマイベストプロ登録メンバーの山口里美さん(一般社団法人日本リレーションサポート協会代表理事)。「ニューヨークからでもできる日本の相続と生前準備〜帰国前に知っておきたい基礎知識〜」をテーマに講演する。要事前申し込み。聴講希望者は希望者は電話212・840・6942、またはEメール[email protected]まで申し込む。後日、視聴先URLアドレスが送られる。

世界中を飛び回るピアニスト目指して 結束真琴さん

ピアニスト

 ニューヨークには、人生の飛躍を願う若者を世界中から引き寄せる引力がある。それは魔力と言ってもいい。スポーツ、エンターテインメント、ビジネス、アート、あらゆる分野で一流のものが揃っているこの都市で、自分の才能を存分に発揮したいとやって来る。結束真琴さんも日本での音楽家としてのキャリアをさらに広げようとニューヨークにやってきた一人だ。

 3年前、2023年の8月にインディアナ大学ジェイコブス音楽院での留学生活がスタート。日本人がまったくいない環境下で、まだ慣れない英語をひたすら話し、授業についていく日々。引っ込み思案でなかなか自分をプロデュースする自信もなくこのままの自分ではダメだと自己改革をしたいという気持ちが生まれ、2年間の留学生活を経て、クラシック音楽のみならず、自己が掲げた目標だった「人へ魅せる力」をエンターテインメントの本場で人々がどうパフォーマンスしているのかを学ぶためニューヨークへの引越しを決意して昨年の夏に当地在住となった。

 留学終了後の1年間のプラクティカルトレーニング期間では、私立の日本人学校で小学4年生の担任教師としてクラスを受け持つなど音楽以外の仕事も経験した。

 現在は、ピアニストとして子供から大人へのプライベートレッスンを行う傍ら、バレエピアニストとしても活動し、今月はノースカロライナでの演奏会、25日にはニューヨーク市内でのソロリサイタル(20面イベントガイドに詳細)も予定され、音楽家本来の生活ペースを取り戻しつつあるところだ。

 なんと言っても音楽家としての経歴が輝かしい。武蔵野音楽大学江古田附属音楽教室にてピアノを学ぶ。東京都立総合芸術高等学校音楽科卒業。武蔵野音楽大学ヴィルトゥオーソ学科卒業。同大学大学院音楽研究科修士課程ヴィルトゥオーソコース修了。2016年〜2017年、2019年度福井直秋記念奨学金給費奨学金奨学生。 2025年には米国インディアナ大学ジェイコブス音楽院、ディプロマコースを修了。第9回ベーテン音楽コンクール全国大会第1位。第20回ショパン国際ピアノコンクールin Asia全国大会 銀賞、Asia大会奨励賞、その他多数受賞。第90回読売新聞社主催新人演奏会Finalに選抜。2025年1月には東京国際芸術協会管弦楽団とラフマニノフピアノ協奏曲第2番を共演。クラシックを軸にポップスなど幅広いジャンルでライブやコンサートに出演。今後は、ソロ、アンサンブル、様々なジャンルのライブパフォーマンスでアメリカのみならず、日本、ヨーロッパ、世界中を飛び回るピアニストになりたいと思っている。福岡県柳川市出身。(三浦良一記者、写真は本人提供)

編集後記

編集後記

 みなさん、こんにちは。私が大好きだった漫画家のつげ義春さんが3月3日、誤嚥性肺炎のため亡くなられました。享年88歳でした。戦後の昭和に異色の世界観で漫画の魅力を残した名人がまた一人逝ってしまいました。私小説的手法と幻想性を融合させ、日本の漫画表現に独自の地平を切り開いた作家の死は、単なる一時代の終焉にとどまらず、戦後サブカルチャー史の重要な一章の幕引きを意味していると言っても過言ではないでしょう。


 つげさんは1960年代後半、青林堂の月間漫画雑誌『ガロ』を舞台に頭角を現し、とりわけ1968年発表の代表作「ねじ式」は、夢と現実が錯綜する不条理な構成と強烈なイメージによって、多くの読者に衝撃を与えました。


 当時北海道の北見市で、小学校6年生だった私は、友人の家に遊びに行ったとき、友人のお兄さんが定期購読していた『ガロ』の6月臨時増刊号に掲載されていたその「ねじ式」を見てしまい大きな衝撃を受け、早速、家に帰って親に頼んで翌月から我が家でも地元の書店から定期購読を始めたものです。それは大学を卒業して、青林堂の発行人・長井勝一氏が亡くなりガロが廃刊になるまで多少の空白はあるものの連綿と続いたのです。今でもニューヨークの自宅にはつげ作品を収録したオリジナルの『ガロ』が汗牛充棟(かんぎゅうじゅうとう)となって壁の一面を埋めています。
 
「無能の人」「紅い花」「ゲンセンカン主人」「李さん一家」など、日常の中の不安や孤独、逃避願望を静謐な筆致で描き続けましたが、私がアメリカに生活の場を移した1980年代以降は寡作となり、次第に公の場から距離を置くようになりました。それは私にとってはむしろ変わることのないつげの昭和の世界を温存することに繋がり、妙な平成や令和の時代のつげ作品を読まずに済んだことの方が幸運だったと思えるほどです。今にして思えば、水木しげるの「ゲゲゲの鬼太郎」の前身である「墓場の鬼太郎」や「鬼太郎夜話」の背景をアシスタント時代の若き日のつげが描いていたというのも納得です。ペン画の美しさ、芸術性を紙の二次元の平面の中に奥深い3次元の世界を描き得た名人でした。

 今週号の書評で紹介した、新潮社の『つげ義春 夢と旅の世界』は、彼の作品に通底する「旅」と「夢」というモチーフに焦点を当て、紀行的側面と内面的風景を重ね合わせながら、その創作の源泉を探っています。つげ作品にしばしば登場する鄙びた温泉地や地方の風景は、単なる舞台設定ではなく、作者自身の精神の揺らぎを映す鏡といえます。一方、作品そのものの核心に迫るには、『ねじ式 つげ義春作品集(改訂版)』(青林工芸舎)も欠かせません。表題作「ねじ式」をはじめ、代表的短編を収めたこの改訂版は、紙面のガロの青インクの再現性や編集の精度においても高く評価されています。この2冊は、実は会社のデスク横の本棚に今も並んでいます。「李さん一家」的に言うなら「実はまだ本棚にいるのです」となります。それでは、みなさんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2026年4月4日号)

((1)ICE職員が保安検査 空港混雑緩和は不透明

(2)梶芽衣子 NYで語る Photo: Stefanie Candelario

(3)「王様はいらない」 NYで、全米で大行進

(4)海外日本人サポート 戦争終結はドナルドだけが 

(5)万博会場に本館にみる歴史 ロッキャー博士が講演

(6)防犯対策の新型改札 NY地下鉄ゲートに登場 

(7)つげ義春 夢と旅の世界   

(8)「自分らしい」出産育児を支える  ドゥーラ 伊東清恵さん

(9)八神純子が旅するルート66  (第1回)積年の念願叶う、目指すはシカゴ

(10)宮城合奏団の演奏会 コロンビア大学ミラー・シアターで

ICE職員が保安検査 空港混雑緩和は不透明

 米国内の複数の空港で、移民税関執行局(ICE)の職員が運輸保安庁(TSA)の業務を一部支援し、搭乗前の身分証(ID)確認などに関与していることが明らかになった。政府機関の一部閉鎖に伴う人員不足で、空港の保安検査場では長時間の待機列が発生しており、その対策として導入された措置とされる。

 アトランタやフェニックス、ニューヨーク市のラガーディア空港などでは、ICE職員が乗客に身分証を提示させ、確認後に検査ラインへ誘導する様子が確認された。国土安全保障省(DHS)は、ICE職員がTSAの訓練を受けたうえで標準的な手順に基づき業務を行っていると説明し、混雑緩和につながるとの見方を示した。一方で、空港によって対応には差があり、ケネディ国際空港とニューアーク国際空港では補助的役割に留まっていた。ただし最近になって、一部でID確認にも関与するケースが出てきているという。シカゴ・オヘア空港では目立った活動は見られなかった。空港と日によって役割がまちまちの状態だ。

 この措置が実際に待ち時間短縮に寄与しているかは不明である。現場では依然として長蛇の列が続き、乗客の不満も根強い。さらに、一部の旅行者からは、移民取締機関であるICE職員が、パスポートや自動車運転免許証の提示など保安検査に関与することへの不安や権限に対する疑問の声も上がっている。特に移民の間では、取り締まりの対象になるのではないかとの懸念も指摘されている。

 今回の背景には、議会の対立による国土安全保障省の予算失効がある。約5万人のTSA職員が無給で勤務を続ける中、辞職や欠勤が増加し、ケネディ国際空港など主要空港では過去最長とされる待ち時間が発生している。政権は約150人のICE職員を投入して対応を図った。ともに国土安全保障省の管轄下にあるが、ICE職員には給与が支払われているのに対し、TSA職員には支払われていない。しかし、労働組合や一部議員からは「混乱を招くだけ」との批判も出ており、航空業界団体など約50団体も空港機能の混乱を懸念し、議会に対し政府閉鎖の早期解消を求めている。