編集後記

︎編集後記

 みなさん、こんにちは。ニューヨークの日本人、と聞いて、皆さんはどんなイメージを持たれるでしょうか。「自立した女性」「自分の夢に向かって挑戦する勇気ある者」「海外で事業を成し遂げた成功者」「一流企業のエリート駐在員とその家族」といったところでしょうか。「ニューヨーク」というだけで「世界の文化と経済の中心」という枕詞が付く上に、日本とは比較にならないほど物価の高い、世界中の富裕層がマンハッタンに集中する高層住宅に不動産を所有する「成功者のすごい街」というのが一般的なところでしょうか。


 おそらくそれは「クリーム・オブ・ザ・ソサエティー」と呼ばれる、NY日系社会のほんの一部の氷山の一角、ピラミッドの頂点の先だけの「社会の綺麗な部分」の上澄みだけを見ているのかもしれません。ニューヨーク近郊に約3万7345人(外務省在留邦人統計2024年)が住んでいる日本国籍所有者とその統計には現れない日系米国人のかなりの割合が、日々の生活に四苦八苦している、日本のどこにでも住んでいるごくごく普通の人々かもしれません。


 ニューヨークにある日系社会福祉団体、日米ソーシャルサービス (JASSI、望月良子理事長)は1981年に創立以来福祉サービスを無償で提供しているニューヨーク州の非営利団体です。日常生活をする上で直面する問題から、言語、文化および制度の違いによって生じる複雑な問題まで、支援を必要とする人たちの生活の向上を図ることをミッションに専門教育・訓練を受けた日英バイリンガルスタッフが、守秘義務を守って相談に応じており、年間支援者数は2026年度1,406人に上っています。


 JASSIに支援を求めアンケートに回答した77%の人が低所得から中所得世帯に属し、8割(高齢者は94%)が日本語での支援を必要としています。JASSIに登録している460人のうち、50%以上が一人暮らし。シニアの支援者数は2023年と比べて77%増加しており、今後も早いスピードで増加すると予想されています。1970年代前後に来米した世代がそろそろ90歳台になっていて海外在住者の中でも特に永住者の高齢化が進んでいます。


 今月2日、そのJASSIの創立45周年記念ベネフィット・ディナーがあり、約140人ほどが参加しました。個人参加一人一席400ドル(約6万円)からで、企業で10席1テーブルを購入して参加するところもあり、いわば「支援する側」の人たちのパーティーです。JASSIは、支援を必要としている人からはお金は一切取らずに無料でサービスするため、その財源は政府助成金とこれら日系企業や個人の寄付で支えられています。支援を受けた人の体験談の中に「JASSIは闇夜を照らす灯台のようだ」との感謝のビデオメッセージも紹介されていました。


 支援を受けている人にも、きっと本紙、週刊NY生活を毎週楽しみに読んでくれている愛読者がいるはずです。紙の新聞がいいようです。コロナ禍のとき、日系食料品店の軒先の新聞ラックに手を伸ばして新聞をピックアップしている高齢の男性は「この新聞を手にするとまだ自分は大丈夫なんだって思えるんだよ」と言って微笑んでくれた顔を忘れることができません。JASSIのパーティを取材して、そんな光景が目に浮かびました。フリーペーパーは誰でも手にして読むことができます。本紙もまた、日系社会の読者とスポンサーに支えられて発行を続けています。それではみなさん良い週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2026年10月10日号)

(1)移民取り締まり今夏拡大 3か月で逮捕者急増

(2)人形とファッションの深い関係 FIT美術館で開催中

(3)「カワイイは叛逆と抵抗の手段」 セバスチャン増田氏FITで講演

(4)マイベストプロ講演会JAAで 老後と相続、二十四節気の薬膳

(5)日中間の2大原則、大前提に立ち戻る時  冷泉彰彦

(6)JASSIが45周年祝う ハミルトン・マジソンハウスを表彰

(7)全米ラグビー日本杯  第20回大会NYで開催

(8)吉田実代タイトル戦  11月8日 世界3階級制覇に挑戦

(9)世界のどこでも日本食を再現  緒方亜希野さん

(10)現代舞踊家の田中いづみ ダンスアカデミー第70回発表会東京で

移民取り締まり今夏拡大 3か月で逮捕者急増

病院や学校にも捜査の手

 トランプ政権による移民の取り締まりが今夏、全米各地で急拡大した。ニューヨーク・タイムズ9月25日付によると、移民税関捜査局(ICE)の逮捕者は6月に約4万3千人、7月に約4万9千人、8月には約5万1千人に達し、現政権発足以来の最高水準となった。 

 同紙は逮捕の様子を記録した映像や裁判資料など、50件以上の事例を調査した。捜査員は道路や空港だけでなく、コインランドリー、病院、学校の周辺、建設現場やトラック停留所まで姿を現している。サッカーの試合に向かう最中や日曜ミサを終えて帰る途中、ナイトクラブで飲み物を飲んでいる時とあらゆる日常生活の場に及んでいる。

 テキサス州やフロリダ州といった共和党主導の州では、その勢いが最も強く、保安官や州高速道路パトロール隊員との連携を通じて活動範囲を拡大した。民主党の支持基盤が強い州では活動を制限する法律があるにもかかわらず、活動を強化した。

 移民関連の逮捕者数は、ほぼすべての州で過去最高に近い水準に達した。特に、オレゴン、モンタナ、ハワイ、ニューメキシコ、バーモント、ニュージャージーの各州では、1日あたりの逮捕者数の増加率が著しく高かった。ウィスコンシン州のコインランドリーでは客が床に押さえつけられ、フロリダ州では交通事故で搬送された女性が病院で手錠をかけられた。

 一斉検挙は6月、ニュージャージー州のニューアーク空港に近いハリソンにまで及んだ。ハリソンはヒスパニック系が約40%、アジア系が約23%を占める。ビジネス・ビザが切れる前に学生ビザを申請したトルコ出身の男性(33)は路上で車に乗り込もうとするところを逮捕された。結婚しグリーンカードも申請中だったというが、ICEによれば審査中であるからといって合法的な滞在資格が与えられるわけではないという。

 逮捕者の多くは刑事事件で起訴・有罪判決を受けた人ではなく、在留資格など移民法上の違反を問われた人だった。取り締まりは共和党が主導する州では地元警察との連携によって広がり、民主党の支持基盤が強い地域でも強まった。

 過去の大規模捜査では抗議活動を招くことが多かった。しかし今回の急増は各地で分散して進み、目立ちにくかった。ニューヨーク・タイムズの取材に対し、ICEは取り締まりの拡大を政権の公約を実行した結果だと説明している。

 このような状況を、米国に住む日本人はどう受け止めているのか。ニューヨーク在住のある永住者(60代の男性)は「いつどこにICEの捜査官がいるのか分からないのが不安だ。マンハッタンやウエストチェスターで、何の理由もなく電車内や駅構内でいきなり地元警察官や捜査官から不法移民の嫌疑を持って自分が職務質問されることはまずないとは思っているが、交通事故に遭っても自分が何者であるのかを証明する身分証明書の提示は必要になるので、グリーンカードを写真に撮影したものをスマホに保管している」と話す。

人形とファッションの深い関係 FIT美術館で開催中

来年1月3日まで開催中
60’s トゥイギーの衣装

 ファッション工科大学(FIT)美術館(MFIT)で、ファッションと人形の関係を探る展覧会「Doll Dressing」が開催されている。170点以上のファッションドールをはじめ、実物大の衣服やアクセサリー、映像、アート作品などを展示し、人形が単なる子どもの玩具ではなく、ファッションを伝え、時には生み出す存在だったことを紹介する。

 中でも目を引くのが、1960年代を代表するモデル、トゥイギーをモデルにした「トゥイギー・ロンドン・ガール」。1966年、細身のシルエットとミニスカート、独特のメイクで一世を風靡したトゥイギーは、まさに時代のファッションアイコンだった。彼女自身が人形となった展示は、人形とファッションの関係を象徴する。 

 「トゥイギー・ロンドン・ガール」は、プリント入り合成ジャージー製ドレス(1966年)で、2017年に同美術館が購入。「ルートスタイン」トゥイギー・マネキン(1966年)のデザインを2025年にリメイクしたものを同美術館が購入した。バレンシアガやルイ・ヴィトン、アナ・スイなどの作品も見どころ。同展は来年1月3日まで。

「カワイイは叛逆と抵抗の手段」 セバスチャン増田氏FITで講演


 ファッションクリエイターのセバスチャン増田氏が1日、NY州立ファッション工科大学(FIT)で講演した。増田氏に関する初の英語による伝記『SEBASTIAN  MASUDA』を書いた同大の川村由仁夜・社会学教授との対談形式で行った。講演では「カワイイ」に対する増田氏の深い理解についても掘り下げ、「『カワイイ』は、単に『かわいい』『女の子っぽい』『幼稚』と誤解されがちだが、実際には複雑な解釈の層を持つ概念だ。『カワイイ』は単なる形容詞ではなく、ライフスタイルであり、哲学であり、大人社会に対するアンチテーゼ、イデオロギーだ」と説き、反逆と抵抗の手段としての「カワイイ」について川村教授の質問に答える形で熱く語った。同大学が大講堂で日本人著名人を招いた講演会を開催するのは初めて。

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 増田氏は、この美学が型破りな装いを通じてどのようにアイデンティティを主張しているかを語った。トーク終了後には、増田氏によるブックサイン会が行われた。講演で、幼少時は手塚治虫や藤子不二雄が大好きで、マンガ家を目指していたが高校卒業後、専門学校入学のために大阪へ行くが、環境の違いが原因で引きこもりになり図書館で寺山修司の著書『書を捨てよ町へ出よう』に出会い、東京に戻って演劇・現代美術などの芸術分野に多く関わったことを紹介。2014年のニューヨークで初の個展を皮切りに、海外を拠点にアーティストとしても本格的活動を始めている近況を語った。

 テーマカラーの「どピンク」の原色は「大人の社会への反逆、反抗、アンチテーゼとして使っている。色というのはエネルギーがある。最近は若者の間に、他者評価を気にしすぎる傾向がある。他人に惑わされずに自分自身を信じて前に進んで欲しい。挑戦する精神を忘れないで」とステージから学生たちを激励した。

 参加した学生からは「きゃりーぱみゅぱみゅの大ファンなので、創作の原点に何があるのか知りたくて来た。大人社会へ向けた気持ちを共有できて嬉しい」。「日本人には生まれつき備わっているというKAWAIIの概念と早く大人になりたいとする西洋の概念との違い、日米の定義比較がおもしろかった」などの感想が聞かれた。  (三浦)

マイベストプロ講演会JAAで 老後と相続、二十四節気の薬膳

 ニューヨーク日系人会(JAA)と邦人医療支援ネットワークが共催する秋のヘルスフェア(後援・NY日本総領事館)で、NY日系ライオンズクラブが企画する「ライオンズ大学・大人の教養講座シリーズ」の対面式セミナーが10月3日午後にJAAで開催された。

 「2026年版、最新ニューヨークで考える日本の老後・相続対策」と題し、一般社団法人日本リレーションサポート協会代表理事の山口里美さんが講演、続いて「食べ方は、生き方 〜ニューヨークで元気に暮らす、二十四節気のおうち薬膳〜 」をおうち薬膳コンサルタントの曽谷由佳さんが講演した。両講師共にファーストブランド社(本社大阪市、河本扶美子社長)のマイベストプロが派遣する講師。

 山口さんは遺言書がオンラインでできる制度設計が進んでいることや海外在住者の利便性向上が期待されていることなどを紹介し、現在は公正証書遺言書が最も安全とされると述べた。また、成年後見制度も大きく変わり、必要な時だけ利用できる制度になることも解説した。

 相続対策は、元気なうちに進める必要を強調した。今できることは、財産を可視化する、スマホなどのパスワードも控えておく。「財産目録よりもスマホの中身が分からない方が困る」実態も紹介。元気なうちに任意後見契約をすることが大事だとした。現在は、家族が日本にいなくても日本で安心して暮らせる時代になっており、不動産売却、老人ホーム選び、墓じまい、介護施設の身元保証などが民間のサービスで受けられる現状を紹介した。個別相談も多く、時間を延長して対応した。

 曽谷さんは、「薬膳は、暮らしと未来をやさしく整える知恵」として、スーパーの食材でも薬膳になること、季節、からだ、食卓、人生というキーワードで食卓を整える積み重ねの大切さを解説した。その中で、薬膳は「特別な料理名」ではなく、食べ方の知恵であると述べた。太陽の動きをもとに季節を15日ごとに分けた二十四節気という考え方も紹介。代表的な節気は、立春、春分、立夏、夏至、立秋、秋分、立冬、冬至など。季節に沿った食生活が健康に良いとした。「季節を知り、からだの声を聞き、食卓を整える、その積み重ねが、人生を作っていきます」と述べ、会場の参加者が熱心に聴講していた。

日中間の2大原則、大前提に立ち戻る時 冷泉彰彦

 高市政権と中国の関係は冷え切っている。こうした現象は、小泉純一郎氏が現職総理として靖国参拝を続けた時期にもあった。また野田佳彦政権が尖閣国有化を進めた際にも類似の現象はあった。端的に言えば、中国共産党が人事の季節を迎えて、勢力の競い合うなかでは、妥協できる権力を持つ人物が不在となる。そのための現象であり、既視感は強い。けれども、日中両国の経済にも悪影響が出始めているわけで、改善への模索は必要だ。

 大切なのは、日中関係における原則の堅持である。戦後処理の原則、政治体制の相互理解という2つの大きな原則が日中間で安定していれば、2国間関係を安定化することは可能だ。

 まず2つのうちの1点目だが、大切なのが日中の戦後処理についてである。これは田中角栄の国交正常化、福田赳夫の日中条約によって現在の日中関係の大前提となっている。そこには「周恩来ドクトリン」という大原則がある。これは「日本軍国主義は敵だが、戦後の平和的な日本人民は敵ではない」として、その証として「日中戦争の賠償を日本の現在の世代には求めない」としたことだ。

 それとは別に、この時期の中国は国連加盟を実現した。これによって、サンフランシスコの平和、つまり「連合軍の国際連合への改組」「サンフランシスコ講和による日本再独立」「日米安保による太平洋の平和」という三点セットを追認した。

 2点目は、相互の価値観を認めるという原則である。日本は、中国がただちに公選制の民主主義を導入「できない」ことを理解している。この問題に関して内政干渉を行ったことはないし、今後もしないであろう。その反対に、中国も戦後日本の民主政体を批判することや、これに干渉することはあってはならないし、実際に行っていない。

 ここまでの2点を背景に、経済協力、国際分業による不可分の経済関係がある。何よりも、改革開放政策採用以来の中国へは、日本は技術移転を惜しまなかった。これは過度の空洞化をもたらしたが、現在の中国は依然として日本経済の生産拠点であり、同時に巨大な消費地である。したがって、両国は相互の経済互恵関係を前提として国が成り立っているとも言え、この点については今世紀に入っても全く変わりはないし、変えることは難しい。

 さて、現状はどうかというと、この2つの原則が理解されないまま混ざり合っている、問題はこの点に尽きると言えよう。具体的に言えば、高市総理が、台湾海峡における軍事紛争の可能性を深刻視する発言を行ったのは、2つ目の観点からである。中国が台湾との関係において力による現状変更を試みるということは、自由と民主主義の理念を採用している地域が権威主義体制に編入され、日本と直接国境を接することを意味する。中国は一国二制度を適用すると主張するかもしれないが、香港で起きた先例を見れば信じるのは難しい。したがって、そのような可能性を深刻視した発言を行った、それ以上でも以下でもない。

 問題はこれに対して、1点目の原則を適用して論戦が起きていることだ。中国高官の発言は「日本では軍国主義が復権している」という1点目の原則からの批判となっているが、これは勘違いである。また、日本側としても、今回の論戦の中で靖国参拝を推進しようなどと、1点目の原則に抵触するナショナリズムを煽って対抗しようという動きもある。そうすると、中国側からは「周ドクトリンが崩れる懸念」つまり「日本の現代世代は20世紀の軍国主義の正当化を行っており、これは現在進行形での敵視である」という見方が出てきてしまう。

 こうした論戦は誤っているし、全くの不毛である。高市氏の懸念は2点目、つまり理念の違う同士が共存してゆくという「現状」を重視し、力による変更に反対しつつ現状維持を主張しただけであり、それ以上でも以下でもない。なによりも、この誤解を解かなくては今後に禍根を残すであろう。一方で、第一の点を巡って「周ドクトリン」そのものを壊そうという愚かな論戦は、双方が徹底して自制すべきだ。

 米国保守派の中には「台湾放棄+第2列島線まで撤退」などという強めの孤立主義も散見される時代である。日本は一段と冷静になって、原則に戻りつつ日中関係の正常化を進める時期と考える。

(れいぜい・あきひこ/作家・プリンストン在住)

JASSIが45周年祝う ハミルトン・マジソンハウスを表彰

ベネフィット・ディナー開催

 日米ソーシャルサービス (JASSI、望月良子理事長)は10月2日、イエールクラブで創立45周年記念ベネフィット・ディナーを開催した。当日は137人が参加した。

 JASSIは1981年に創立以来福祉サービスを無償で提供しているニューヨーク州の非営利団体。日常生活をする上で直面する問題から、言語、文化および制度の違いによって生じる複雑な問題まで、支援を必要とする人たちの生活の向上を図ることをミッションに専門教育・訓練を受けた日英バイリンガルスタッフが、守秘義務を守って相談に応じており年間支援者数は2026年度1406人に上った。

 JASSIに支援を求めアンケートに回答した77%の人が低所得から中所得世帯に属し、8割(高齢者は94%)が日本語で支援を必要としている。JASSIに登録している460人のうち、50%以上が一人暮らしだ。シニアの支援者数は2023年と比べて77%増加しており、今後も早いスピードで増加すると予想される。1970年代前後に来米した世代がそろそろ90歳台になっている。このような事情から、JASSIは創立以来すべてのサービスを無料で提供している。主な活動資金は、政府助成金や財団基金、企業や個人からの寄付金に頼っている。

 会場ではJASSIのサポートによって公的社会福祉のサービスを受けられるようになった人や行方不明になっていた妹を探すことができた人からの「JASSIは闇夜を照らす灯台のようだ」との感謝のビデオメッセージが紹介された。

 今年のアワードは、JASSIがテナントとして入居している非営利福祉団体ハミルトン・マジソンハウス(イザベラ・チン代表)に贈られ、望月理事長からシンシア・ファン・マネージング・エクゼクティブ・ディレクター=写真(右)=に記念の盾が渡された。

 45周年式典ではニューヨーク総領事の片平聡大使が祝辞を述べ、先ごろ公邸で望月理事長に授与した在外公館長表彰を再度会場で文面を読み上げて来場者の前で披露した。望月理事長は「JASSIのコアであるホットラインを何がなんで続けて行かなくてはならないし、それを次世代に繋げて共有して存続させなくてはならない」と述べた。

 当日は企業や個人から寄付された絵画などのギフト商品が会場に並べられ、ベネフィットサイレントオークションが行われた。お目当ての出展品を巡って競り合う光景も見られ盛況だった。エンターテイメントはバイオリニストの徳永恵子、愛子・ハイディ・ディロン、チェロのジュリア・リーが演奏、総合司会は合田沙おり。

全米ラグビー日本杯 第20回大会NYで開催

 全米各地で活躍する日本人ラグビープレーヤーが一堂に会する「USラグビー・ジャパンカップ」が3日、秋晴れのニューヨークのランドールズ・アイランドで開催された。

(写真上)全米から集まった日本人ラガーマンたち(ランドールズ島で)

 記念すべき第20回を迎えた今大会は、設立40周年のニューヨーク・オール・ジャパン(NYAJ)がホストを務め、ニューヨークの日本人ラグビーコミュニティーを支えてきたクラブの歩みを祝う熱気があふれた。

 大会にはロサンゼルス、シアトル、シカゴ、フロリダ、ニューヨークから60人を超えるプレーヤーが集結。幅広い世代の選手たちが東西2チームに分かれて熱戦を繰り広げた。

 第1試合は西軍が17対0で快勝し、続く第2試合も12対10の接戦を制して連勝。しかし第3試合では東軍が15対5で意地を見せ、全3試合を通じて会場を大いに沸かせた。

 大会のフィナーレを飾ったのは、恒例の「Over 40’s」戦。65歳を超えるベテラン勢も若々しいプレーでグラウンドを駆け回り、年齢を重ねてもなおラグビーに夢中になる選手たちの笑顔と情熱が観客を魅了した。NYAJの40年の歴史を築いてきた世代と、これからを担う世代が同じフィールドに立つ姿は、節目の年にふさわしい光景だ。

 試合後は、マンハッタンのレストラン「五行 グラマシー」で祝宴会が開催された。サッポロビール、サントリー、一風堂、BentOnをはじめ多くの日系企業が協賛し、選手と家族、サポーターが集い、大会の余韻とともに40周年を祝い交流を深めた。ラグビーがつなぐ在米日本人コミュニティーの絆を実感させた熱い一日となった。

吉田実代タイトル戦 11月8日 世界3階級制覇に挑戦

 ニューヨーク在住の女子プロボクサー、吉田実代が11月8日(日)、テキサス州アーリントンのカレッジパークセンターで開催されるMost Valuable Promotions(MVP)主催の女子ボクシング世界大会「MVPW-07」に出場する。世界三階級制覇を賭けたWBC女子世界スーパーバンタム級タイトルに挑戦する。

 吉田は鹿児島県出身。これまでWBO女子世界スーパーフライ級王座を2度、IBF女子世界バンタム級王座を1度獲得し、2階級で通算3度の世界王者となっている。2023年には、試合決定からわずか2週間足らずで当時のIBF世界王者エバニー・ブリッジスに挑戦し、判定勝利で世界王座を獲得した。

 現在はニューヨークを拠点に活動し、今回122ポンドのスーパーバンタム級で自身3階級目となる世界王座獲得に挑戦する。対戦相手は、オーストラリア代表として東京オリンピックに出場し、現在WBC女子世界スーパーバンタム級王者であるスカイ・ニコルソン選手。

 吉田は「WBC世界タイトルに挑戦することは、単なる一選手の世界戦にとどまらず、日本の女子ボクシング、そして日本人女性アスリートの存在を米国・世界へ発信できる大きな機会であると考えております。テキサスという地で日本人選手が世界最高峰の舞台に立つこの機会に、もし可能でしたら、何らかの形でご関心・ご支援をいただけましたら大変光栄です」と話している。

世界のどこでも日本食を再現 緒方亜希野さん

料理研究家

 奈良県を拠点に活動する緒方亜希野さんによる初の英語料理書『Effortless Japanese Cooking』の出版記念イベントが3日午後、マンハッタン・トライベッカ地区にある「KORIN(光琳)」で開催された。KORINは、日本の高級包丁や和食器、調理器具を専門に扱う老舗ショップ。1982年に川野作織氏によって創業され、40年以上にわたりニューヨークや全米のシェフ、料理愛好家たちに愛され続けている。

 緒方さんは奈良県生駒市で洋菓子店「酒かすスイーツ専門店たけひめ」を経営していた元パティシエ。現在は焼き菓子やパンのサロンを主宰するほか、日本食のレシピを英語で世界へ発信するYouTubeチャンネル「Kitchen Princess Bamboo」を運営している。家庭料理を通じて、健やかで持続可能な暮らしと、日本の食文化に息づく思いやり、感謝、食材を大切にする心を世界へ届けている。

 今月、米国のタトル出版(Tuttle Publishing)から発行された緒方さんの著書『Effortless Japanese Cooking』では、100品以上の日本の家庭料理を失敗なく作れるレシピを、コツやポイントとともに紹介。緒方さんが幼少期を過ごした奄美大島の思い出の味と、現在暮らす古都・奈良で育んできた家庭料理の伝統を礎に、だしや味噌汁の基本から、忙しい日にうれしい時短料理、来客をもてなす華やかな一皿、餅やデザートまで、毎日の暮らしに寄り添う多彩なレシピが収録されている。それぞれの料理にまつわる日本の伝統やエピソードも紹介し、レシピだけではなく、その背景にある日本の食文化まで楽しめる一冊だ。

 また、海外でも手に入りやすい材料と道具を厳選しているので、日本の家庭料理を世界中どこにいても再現できる。「最近は、味噌、醤油、みりんはどこのスーパーでも手に入るようになった。この3つがあれば、だいたいの日本の家庭料理がつくれる。だから難しく考えずに気軽に挑戦してほしい」と話した。家で作るメリットについては「外食だと保存料や化学調味料が入ってしまうことが多いため、家で作ることが大切だと思っている。一番最初に挑戦してほしいのは『照り焼き』。日本では照り焼きにニンニクは入れないのが一般的なので、まずは素材を活かした優しい味付けを感じてもらえたらうれしい」。海外に住んだことはないが、YouTubeをやりながら英語を覚えたという緒方さん。今後も「日本に住んで英語で発信する」活動を続けるという。(高田由起子、写真も)

現代舞踊家の田中いづみ ダンスアカデミー第70回発表会東京

 ニューヨークで20年間、現代舞踊家として活躍した田中いづみさんが主宰する石川須妹子・田中いづみダンスアカデミー(東京都練馬区)の第70回発表会が9月27日夕、東京都練馬区の光が丘イマホールで行われた。

 同アカデミーは、田中さんの母で日本の現代舞踊界の巨匠として知られる石川須姝子(すずこ)さんが前身の石川須姝子舞踊研究所を1950年に創立し、2023年に石川さんが死去、現在は田中さんが母の遺志を継ぎ、現代舞踊協会の理事、アーティストとして日本の現代舞踊界の発展に努める傍ら指導を行っている。今年の発表会では、3歳から80歳まで総勢35人がクラシック、童謡、アメリカンポップの曲に合わせて18作品を披露し、恒例のフランク・シナトラの「ニューヨーク・ニューヨーク」で出演者全員がフィナーレを飾った。

 同アカデミーには幼児、児童、中学生から大学生、一般・シニアのクラスがあり、発表会では個人のレベルに合った振付を取り入れながら年齢、舞踊歴などの隔たりなく一緒にひとつの作品を披露するのが恒例となっている。田中さんは「本人たちは自分の個性とは何かが分かっていないかもしれないが、幼児からシニアまで、一人一人の個性を殺さないように、各自の良さを生かして指導をしている。揃えることは大事だけど、許容範囲内で個性を認めている」と話している。今後のアカデミーの方向性については「本来ならば児童クラス以上は週2回は来て欲しいが、現代の子供たちは稽古事や塾がありほとんどが週1回のレッスン。踊りの良さをわかってずっと続けていって欲しいし、日本の文化的財産にも繋がると思う」と話した。

 田中さんは文化庁派遣在外研究員として渡米、1987年からはNYを拠点とし作品制作や公演、NY大学舞踊教育学科で講師も務め、2007年に帰国した。昨年は草月ホール(港区赤坂)で舞踊家50周年を記念した特別公演「TIMELESS」を行った。 (浜崎都)

(写真)©エー・アイ  撮影:鈴木結実(Yuhmi Suzuki)