世紀の天体ショー、全米13州で皆既日食を観測

ビルの谷間に歓声

白昼みるみる薄暗く

 タイムズスクエアに「ワー」という歓声が上がった。あたりがどんどん薄暗くなってくる。月に太陽が完全に隠される皆既日食が8日午後、テキサス州から始まり、インディアナ、オハイオなどからニューヨーク、そして最後にメイン州と米本土13州の広い範囲で観測され、これを見ようとする人々で各地は混雑した。

(写真上)▲ビルの谷間に差し込む日差しの下、欠け始めた太陽を見る人々(8日午後3時過ぎ、タイムズスクエアで、写真・三浦良一)

 バッファローでは部分日食が午後2時4分から始まり、午後3時18分から3時22分まで皆既日食となった。ニューヨーク市は皆既帯ではなかったが午後3時20分ごろ、最大89%が欠ける部分日食を観測した=写真=。

太陽のみを望遠レンズ1000mmで撮影(8日午後3時29分、マジソン街38丁目で、写真。植山慎太郎)

 皆既日食は皆既帯と呼ばれる幅100キロ程度の帯状のエリアに限られる。ニューヨーク州で皆既日食が見られるのはおよそ1世紀ぶりで、皆既帯に入る観光名所のナイアガラの滝、バッファロー、シラキュースなどのおもな宿泊施設はどこも埋まった。大リーグヤンキースはヤンキースタジアムでのマーリンズ戦の開始時間を午後2時5分から午後6時5分に変更した。ニューヨーク州サリバン郡にある刑務所「ウッドボーン矯正施設」の受刑者6人が観測を許可するよう求めて訴訟を起こした。

 米国での皆既日食は前回2017年8月にあり、それなりの盛り上がりを見せたが、この時の皆既帯は砂漠地帯など人口密集地が少なかった。今回はメキシコから午後1時27分(中部時間)にテキサス州に入り、米本土を斜め縦断する形でアーカンソー、インディアナ、オハイオ、ニューヨーク州などを通過しメイン州からカナダに抜けるという珍しいコースで、都市部も数多く含まれていた。メディアは連日のようにニュースで取り上げ、観測に適した地域では宿泊施設やレンタカーの予約でいっぱいになった。次に米国本土で皆既日食が見られるのは20年後の2044年だがモンタナ州とノースダコタ州に限られる。ニューヨーク州で次にこのような皆既日食を観測できるのは、50年以上先の2079年になる。

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