レストラン営業は午後10時まで

NY州知事が新規制13日から

 クオモニューヨーク州知事は11日、州内で営業するレストランとスポーツジムの営業について新規制を発表した。リカーライセンスを持つレストランとバーの営業はインドア&アウトドアともに現在の午後11時から1時間早め午後10時で閉店とすること。またプライベートな屋内の集まりも10人までに限定。ただし、テイクアウトやデリバリーは10時以降も許可。ジムの営業も午後10時までとする。新規制は13日(金)から開始。州内での感染者が急増しており、感謝祭などの室内会食の機会などが増えるシーズンを前に感染予防対策として発表した。

大統領就任まで紆余曲折

 大統領選挙は7日午前11時30分頃、ジョー・バイデン前副大統領(民主党、77)がペンシルベニア州を制し選挙人の過半数270以上を獲得、ドナルド・トランプ大統領(共和党、74)を支持するフォックスニュースも含め各メディアは「バイデン氏が次期大統領」あるいは「バイデン第46代大統領」などと報じた。

 同日夜、バイデン氏は勝利宣言の集会を地元デラウェア州で行い「国が団結する時だ」と訴えた。カマラ・ハリス上院議員(56)が女性で初めて副大統領となる。 しかしトランプ氏は「選挙立会い人が集計室に入ることができなかった。違法投票だと判断する必要がある」などとツイッターに投稿、これまで通り選挙の不正を訴えた。一方、バイデン陣営は8日に政権移行チームをウェブ上で立ち上げ、新型コロナ特別対策チームを編成、気候変動に関するパリ協定への復帰などを発表した。米大統領選挙は通常、負けた側が敗北宣言を出すことで終わるが、今回はトランプ大統領が敗北宣言を出さないという異例の事態となった。

 トランプ氏は期日前投票や郵便投票には不正があるため裁判に訴えるという姿勢を崩していない。連邦最高裁の欠員に保守派のエイミー・バレット連邦控訴審判事を指名、就任させるなど布石を打ってきた。12月14日に各州の選挙人による投票が行われるが、共和党が州議会の多数派を占めるペンシルベニアなどでは裁判中を理由に選挙人が決まらない可能性があり、そうなればバイデン氏が過半数の270人に届かないことがありえる。

 その場合は連邦下院が大統領を投票で決めることが定められている。連邦下院は今回の選挙でやや減らしたとはいえ民主党が過半数を占めている。しかしこの投票は50州一人ずつのため州の数では過半数を占める共和党に有利になる。

共和党が訴訟攻勢

 トランプ陣営および共和党側はすでに少なくとも45州で300件近い訴訟を起こしているとされる。しかし「不正を監視できない」と訴えたミシガン州では集計が終わっていることから裁判所が却下、郵便投票が不正だと集計中止を求めたジョージア州は「証拠がない」と却下されるなどすでに多くは退けられている。

 共和党のブッシュ元大統領はバイデン氏に電話し「公正な選挙結果だ」と祝福したが、共和党の政治家のほどんどがトランプ氏を支持する姿勢を変えず、バイデン氏を次期大統領と認めていない。

共和党内分裂か
トランプ支持派法的手段を擁護

 共和党の指導者であるケビン・マッカーシー下院院内総務(カリフォルニア州)は8日、「合法的な投票がすべて数えられ、すべての法的な申し立てが聞き入られて初めて勝者が決まる」と述べた。ミッチ・マコネル上院院内総務(ケンタッキー州)も9日、バイデン氏の勝利を認めず、「トランプ氏は不正に挑戦する権利が100%ある」と語った。

 トランプ氏の息子のドナルド・ジュニア氏とエリック氏も戦いを続けるよう呼びかけているが、CNNは8日、娘の夫でジャレッド・クシュナー上級顧問と妻のメラニア氏が負けを認めバイデン氏の勝利を受け入れるようトランプ氏に進言したと伝えた。ただしトランプ陣営のジェイソン・ミラー報道官はこの報道を否定している。

欧州、日本は祝意
ロシア、北朝鮮は沈黙

 ドイツのメルケル首相、フランスのマクロン大統領など欧州首脳は7日のバイデン勝利が報じられるとほどなくしてバイデン氏に祝辞を送った。トランプ氏と関係が深い首脳では、イギリスのジョンソン首相はやや遅れたが7日中に、イスラエルのネタニヤフ首相は半日遅れて8日に、菅義偉首相も9日未明(日本時間)に「バイデン氏、ハリス氏に心よりお祝い申し上げたい」と祝意を示した。中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金正恩党委員長からは9日時点で何も発表されていない。

 APによれば獲得代議員数は9日現在でバイデン氏290人、トランプ氏214人。残りはアラスカ、ノースカロライナ、ジョージア合わせた34人。今回の大統領選では約1億6000万人が投票した。投票率は73・7%だった1900年以降で最高の66%ほどになる見込み。期日前投票が1億人を超えその3分の2が郵便投票と、これらも過去最高だった。

 国防長官を解任
FBI、CIA長官もか
政権移行流動化の最中

 トランプ大統領は9日、マーク・T・エスパー国防長官を解任したと発表した。10日付NYタイムズ紙によると連邦捜査局(FBI)と中央情報局(CIA)のトップも解任する方針と伝えており、政権移行が流動化している時期の国家安全保障を司るトップの解任は波紋を呼んでいる。

アジア系差別やめてっ!

NY市人権委員会がポスター地下鉄駅に

 ニューヨーク市人権委員会主催のパブリックアート展「私たちは私たちの街を信じています」が11月4日から始まり、ブルックリンのアトランティックアベニュー駅に、アジア人の肖像画に「私はあなたのスケープゴートではない」「私はあなたを病気にしてはいない」などと書かれたポスターが多数展示された。バークレーセンターやマンハッタンの地下鉄ホームでの電子看板でも一部表示されている。期間は12月2日まで。

 ポスターを制作したのはアジア系米国人アーティストでブルックリン在住のアマンダ・フィンボディパッキヤさん。人種差別とりわけ新型コロナウイルス関連の差別や偏見に直面したアジア・太平洋諸島系の復権をテーマにしている。

 フィンボディパッキヤさんは、中国文化のなかで回復力を表す菊のほか、友情と連帯の牡丹、長寿と保護のかんざしなどを作品に散りばめた。「GO BACK/戻れ」と大きく書かれたポスターには「中国に帰れ」ではなく、中国を象徴する花や商売繁盛の縁起物の招き猫などを配し「新型コロナ以前に戻ろう」という意味を込めたという。

 NY市人権委員会によると新型コロナ関連による差別、嫌がらせ、偏見の報告は今年2月以降566件を超えている。うち184件はアジア人差別で、昨年同期の26件から大幅に増加している。ブルックリンのベイリッジでは6月に「中国人はベイリッジを破壊している」とするチラシが電柱に掲示された。ベンソンハーストでは7月、外を歩いていた89歳のアジア人女性が男2人に平手打ちにされシャツに火をつけられる事件が発生。9月27日には日本人ジャズピアニスト、海野雅威さんがハーレムの地下鉄駅構内無人改札口で若者グループに差別的な言葉を言われ暴行され、重傷を負う事件も起きた。

 シンクタンクのピュー・リサーチセンター(本部ワシントンDC)の調査によれば、新型コロナ禍が始まって以来、米国の成人の約4割がアジア人に対して差別的見方をすることが一般的になっているという。

欧米紳士淑女の外套着

イケメン男子服飾Q&A 86
ケン 青木

    朝晩肌寒くなって参りますと、街中のビジネスマン(!?って今は言ってはいけないのでしょうか・苦笑? ビジネス・パースンそれともビジネス・ピープル?)達の中、特に男性にダーク・グリーンの綿素材でお尻丈のジャンパー(正確にはウインドウ・ブレイカーと言いますが)よりも少し長い着丈、そしてコーデュロイの生地の襟が付いたコートをスーツの上に着込む、と言うより羽織った人たちを少なくない人数、マンハッタンの中心部にて見掛けられたことがおありなのではないでしょうか?

 そんなこんな(笑)で「あれは何の服なのですか? もしかして建築現場の方々ですか?」と尋ねられたことも一度や二度ならず。そう、そう言われてみれば建築現場で着られているコートに見えないこともないのですが(苦笑)、それでも目を凝らしてよ〜く視てみますと、建築現場の方が着ておられますナイロンの作業着とはどうも趣が違うところが。それはコートの生地がナイロン製でなく、「小汚い」ことなどに原因があるようでして・・・。

 そしてさらに、もしかしてニセモノも多いせいなのか? 近年においてはブランド名が刻印された小さなバッジがコーデュロイの襟に付いていることも・・・ 。はい、そうなんです! これらのコート、おそらく間違いなく「Barbour」という英国はイングランドのアウターウエアのブランドの、コットン地にオイルを染み込ませた、いわゆる「オイルド・クロスのジャケット、またはコート」のことであろうかと。

 昔から雨や霧の多い英国、というよりはやはりイングランドでしょうか。古(いにしえ)の時代から雨の日に何を着てしのぐのか、大きな大きな課題であり続けていたのでした。それは特に兵隊さんたち、彼らは御国に何か大事があれば天候のことなど考えず、両腕共御国を守るため使わなくてはならず、傘など差すことは全く出来ないわけで・・・。

 19世紀前半以前には、とりあえず動物の「脂肪」と言いますか、天然の油分が含まれた羊毛で作られた軍服や、その上に着用するMelton等と呼ばれます、厚手で縮絨加工が成された、生地の織り目もしっかりと目詰め加工がされた羊毛素材である程度は雨をしのいではいたのですが、いかんせんコート自体が重く大変動きづらいかったのです。軍服というシロモノは一瞬の自身の身体の動きが鈍ったりすれば自分の命に関わってくる問題、真の意味でのライフギアなワケですから。で、この「防水衣料」問題も最近時々触れております、「産業革命」以降の繊維業界の急速な技術革新の恩恵を19世紀前半早々から受けることに。

 その第1がチャールズ・マッキントッシュによるゴム引きコート、2番目がトーマス・バーバリーによるコットン・ギャバジンという防水生地の発明、そして3番目がこのJohn Barbourの発明によりますオイルド・クロスのコート。意外にも近世におけるレインギアの歴史、ビッグ・スリーにおいてオイルド・クロスが最も新しく、それは20世紀を目前に控えておりました1894年の秋のことだったのでした。

 僕も40年近く着続けているBarbourが一着ありますが、昔のモノは冬の寒い時期に着ると驚くほど暖かいのですが、とにかく油臭くて表面はベットベト、電車やバスに乗り込むと女性に嫌〜な顔をされたものでしたが、近年はこうした点も改良されているのです。

 さらにはこのBarbour、古ければふるいほどカッコ良い、価値があるとされているのですね。女性目線で見られますとただのボロボロのコートなのだそうで、一体どうしてそんなボロを仕立ての良い注文仕立てのスーツに合わせるのか? と(笑)。そう言えば数年前、6番街42丁目の交差点でBarbourを着ていた僕は、見知らぬお年寄りの男性から袖を引っ張られたのです。そのお年寄り曰く「お若いの、ワシにはもうあまり新品を買って『古び』や『こなれ』を表現出来るほど時間が残っておらんのじゃ。すまんがの、貴殿のBarbourを10ドルで譲ってくれんかの?」と(笑)。僕は「10ドルじゃーやだなあ・・・ (笑)」と悩んだ末に断ってしまいました。

 そう言えばエリザベス女王やアン王女ら英王族の女性陣はお庭仕事の際、必ずBarbourを羽織られておられますよ。そういう意味ではこのBarbour、英国のアッパークラスの人々の象徴的衣料品、必需品だと言えるのかも(上の写真はハリー王子)。ずっとBarbourと英語で書いて参りましたが、理由はBarbourをバブア、バーブア、バーブァーなどなどJan・glish(笑)のon paradeオン・パレード(笑)。一応本場のイングランドにおいて一番近い発音は「バーバ」かと(笑)。それではまた次回。 

 けん・あおき/日系アパレルメーカーの米国代表を経て、トム・ジェームス・カンパニーでカスタムテーラーのかたわら、紳士服に関するコラムを執筆。1959年生まれ。

朝めしの楽しみ

常盤新平 ニューヨーカー三昧 I LOVE NEW YORKER 2

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 はじめてニューヨークに行ったときは、プラザに泊まった。勤務していた翻訳中心の出版社の社長のお供である。

 ガイドブックを見て、グランド・セントラル駅と通りをへだてたビルトモア(数年前に閉業した)が手頃なのではないかと社長にはかったが、旅行代理店は格上のプラザ・ホテルを強くすすめた。社長もそれに同意した。

 「向こう(NY)の出版社やエージェントがプラザに泊まっていると知れば、扱いも違いますよ」と代理店は言った。

 10日間ほど滞在しているあいだに、いくつかの出版社から新刊のプルーフ(ゲラ刷)がホテルに送られてきた。こちらも30社近い出版社やエージェントを訪問した。

 活字で読んだNYと自身の目で見るニューヨークはまったく違っていた。まさに百聞は一見にしかず、だ。

 プラザの部屋は南に面していたから、セントラル・パークは見えなかった。目にはいるのは、林立するビルが吐き出す暖房の湯気ばかり。

 11月の末(1967)で、すでに冬が来ていた。12月にはいって、一夜、雪が降った。ホテルで夕食を共にしたあるエージェントは、外はおそろしく冷えていると言いながら、上着を脱ぐと、シャツは半袖だった。

 翌朝は快晴で、雪がわずかに積もったセントラル・パークにはまぶしいほどに陽の光が降りそそいでいた。その美しさに息を呑んだ。

 5番街を歩いていたとき、ミニスカートをはじめて見かけた。ミニスカートが流行しはじめていたのだ。30年も昔のことだ。

 本屋は毎日覗いていたが、結局一冊も買わなかった。気おくれしたのだろうか。ミステリーのハードカバーは2ドル95セント、小説やノンフィクションはたいてい3ドル95セント。現在とはとても比較にならない。

 私の所持金は500ドルで、それ以上は海外に持ち出せなかった。1ドル360円の時代だったが、ドルは高く、ヤミで400円もした。

 このころ「ニューヨーカー」を購読していたが、難しくてろくに読まなかった。それでもカポーティの『冷血』はこの週刊誌の連載で読んだ。

 いま、「ニューヨーカー」は1部4ドル50セント、邦価1239円、やはり高い。しかし、これで一週間が楽しくなっている。

 その11年後の78年の春、2度目のNY観光旅行から本を買うようになった。宿は、そこに泊まったことのある知人から、とにかく安いと聞いた44丁目のおんぼろのホテルだ。そのホテルは数年前に改築して高級になったと聞いている。

 そこから40メートルほど西へ行ったところにアルゴンクィン・ホテルがあった。貧乏旅行だったから、とても宿泊できなかった。ただ、NYを発つ日、ここで早々と朝食をとった。

 アルゴンクィンは「ニューヨーカー」と縁が深い。2代目の編集長ウィリアム・ショーンはここでランチを食べた。

 NYのホテルのダイニング・ルームで朝めしというのはあまりなかった。たいていホテルの近くの安いコーヒーショップだ。

 オレンジジュースにコーヒーとトースト、ベーコンエッグ、この変わらぬ朝食が楽しかった。旅先での朝食が楽しみになったのは、初のNY旅行がきっかけだろう。旅に出るのもおっくうではなくなった。

 コーヒーショップの朝食なんて簡素そのものだが、私は大好きだ。NYでは6番街のコーヒーショップに行った。のちにエセックス・ハウスに投宿したときは、朝は西57丁目かの角のコーヒーショップだった。ごく当たり前の店だったが、6番街を行く通勤の人達をぼんやりと見ていると、旅の気分にひたることが出来た。

 コーヒーショップではNYタイムズのスポーツ欄を読みながら、トーストを口に運ぶサラリーマンをよく見かけた。私もここへ来る途中で買ってきたタイムズの首都版のコラムを拾い読みしたものだった。(2007年11月10日号)


常盤新平(ときわしんぺい、1931年〜2013年)=作家、翻訳家。岩手県水沢市(現・奥州市)生まれ。早稲田大学文学部英文科卒。同大学院修了。早川書房に入社し、『ハヤカワ・ミステリ・マガジン』の編集長を経てフリーの文筆生活に入る。アメリカの現代文学やニュージャーナリズムの作品を翻訳して日本に紹介する翻訳家であるとともに、エッセイスト、作家としても知られた。86年に初の自伝的小説『遠いアメリカ』で第96回直木賞受賞。本紙「週刊NY生活」に2007年から2010年まで約3年余りコラム「ニューヨーカー三昧」に24作品を書き下ろし連載。13年『私の「ニューヨーカー」グラフィティ』(幻戯書房)に収録。本紙ではその中から12作品を復刻連載します。


(写真)昔ながらのダイナーが姿を消していく中での変わらぬ定番(ブルックリンで3日、写真・加藤麻美)

花で永遠の生死観

チームラボの作品ワン・バンダービルトに

 マンハッタンの42丁目、グランドセントラル駅の横に現在建設中のワン・バンダービルトは、高さ427メートル、延床面積約15万8000平方メートルの超高層ビル。グランド・セントラル駅の玄関口としての役割も果たす、ミッドタウンで最も高いオフィスビルだ。

 そこに日本のアート集団チームラボのパブリックアート「Continuous Life and Death at the Now of Eternity II, Grand Central Terminal」が常設展示される。日の出とともに明るくなり、日の入りとともに暗くなっていく。1年を通して咲いていく花々が移り変わっていく。 チームラボは、アートによって、自分と世界との関係と新たな認識を模索する集。12月上旬オープン予定。

(Photo: Max Touhey)

バイデン政権と日米関係を考える

あめりか時評閑話休題 冷泉彰彦

 日本の世論の一部には、バイデン政権になると米中関係が改善する反面、日本は通過の憂き目に会う(ジャパン・パッシング)という懸念があるようだが、この点については心配は無用であろう。例えば1月に外交専門誌『フォーリン・アフェアーズ』に掲載されたバイデン氏の外交ドクトリン「アメリカが世界を主導すべき理由」では、改めて自由世界における同盟関係の再構築を行うとしており、その中では日本との関係改善にも言及がされている。また、8月にヴァーチャル開催された民主党大会では、バイデン氏を紹介するビデオの中で安倍総理(当時)が2回も登場している。1回はバイデン氏との和気藹々とした会談風景であり、もう1回はG7において自由貿易を否定するトランプ大統領に対して安倍氏をはじめとした各国首脳が翻意を迫った場面であった。一方の共和党大会では、トランプ大統領の長男と交際中の政治コンサルタント、キンバリー・ギルフォイル氏が通商問題で日本を激しく敵視していたのであるから、好対照と言ってもいい。

 そんなわけで、バイデン政権発足による日米二国間関係については懸念材料は比較的少ない。一つ大きな課題としては環境政策の転換という問題がある。この点では、エネルギー政策の関連で、二酸化炭素排出の大幅削減、とりわけ脱石炭を加速する必要はあるが、こちらは菅総理として精一杯の先手を打っている。

 その一方で、日米間の難しい課題となるのは日米中の三か国関係だ。こちらは、日米が連携して細心の注意を払って進める必要がある。新政権の外交チームが決まり次第、日本側としてはその前から意識して取り組むべきだ。バイデン氏の当確が決まった後、比較的早いタイミングで菅総理が祝意を表明した背景には、この問題があると想像できる。

 バイデン政権の対中政策は基本的に単純だ。それはできるだけオバマ時代に戻すということだ。米中を太い軸とした国際サプライチェーンについては、米民主党内にもある保護主義には配慮しつつも、できるだけ再建の方向である。また、トランプ政権がブチ上げた「ペンス・ドクトリン」、つまり安全保障や人権問題を通商交渉の材料にする政策は、一旦破棄されるであろう。

 こうした政策は、そのまま日本の国益に適う。中国は確かに新型コロナの発生地かもしれないが、世界の経済大国の中で唯一新型コロナの制圧に成功し、100%の経済活動再開を実現している経済圏でもある。ポストコロナの経済再建には、アメリカにも、そしてそれ以上に日本にも、中国という生産拠点と市場は必要不可欠だ。

 問題は、トランプ政権が去ったからといって、日米中関係の全てを2016年以前に戻すことはできないということだ。一つは人権や軍事問題だが、これは習近平政権の権力集中という問題と表裏一体の関係にある。コロナ後の経済の落ち込みを回復させつつ、競争力を失ったゾンビ企業や生産設備を処分してゆく、また各地の地方政府の汚職を根絶してゆく、こうした課題を抱える習近平政権は、どうしても国内求心力の維持に腐心せざるを得ない。強硬姿勢の背景にはこの点がある。これに対して日米は、批判すべきは批判しつつ、理解すべきは理解して行かねばならない。中国の動揺は、世界経済の動揺に直結するからだ。

 また5G関連機器の製造技術や、EV(電気自動車)とAV(自動運転車)の分野では、中国企業によるイノベーションがある臨界点を越えてしまうと日米とは共存共栄関係から厳しい対立関係に転じてしまう。この部分をどう見極め、どのように日米が連携を取って中国に対して正しいメッセージを送るかは、そう簡単ではない。

 オバマ外交への回帰ということでは、例えばバイデン氏には長崎への献花を是非していただきたいし、日本側からは菅総理だけでなく今の両陛下が真珠湾献花へと赴かれることも期待したい。だが、その前に日米中の三か国関係をいかに安定させるか、問われているのは日米両国の緻密な政策構想力である。

(れいぜい・あきひこ/作家・プリンストン在住)

共に未来への連帯を確認

NY日商年次晩餐会オンラインで

イノウエさん

故アイリーン・ヒラノ・イノウエさんに特別栄誉賞

 ニューヨーク日本商工会議所(JCCI、中島正樹会頭/米州住友商事会社社長)は6日、オンラインで第36回アニュアル・ディナー・ガラを開催した。日米財界人の交流親睦とビジネス強化を目的として毎年開催されているもので、今年は500人近くのビジネス関係者が参加した。この晩餐会の収益金は慈善基金「JCCファンド」を通じて日米友好理解・教育振興・地域貢献活動などのために幅広く役立てられている。特別栄誉賞は今年4月に亡くなったアイリーン ・ヒラノ・イノウエ元日系アメリカ人博物館創設者に贈られた。同氏は米国ジャパンカウンシルの創設者としても貢献した。

「日本人は良き市民」ヴォーゲル教授
「渡米して世界が広がった」田中投手

  今年のアニュアルディナーのテーマ「共に“未来への連帯”」について中島会頭は「人種、国籍、経済的地位、民族の違いに関わらず、不確実な時代の中で、共通の目標を見つけることに焦点を当てています。実際に顔を合わせることはできませんが、一人一人が思い描く貢献を称え、未来への連帯に向かって上昇していきましょう」と挨拶した。日米および世界の友好と理解に貢献した個人に与えられる日米特別功労賞「イーグル・オン・ザ・ワールド・アウォード」は社会学者のエズラ・ヴォーゲル教授とニューヨーク・ヤンキース投手の田中将大さんが受賞した。ヴォーゲル教授は1979年に『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を出版し、大ベストセラーとなった。

ヴォーゲル教授

 同氏は「本が売れたのは、人々が私の意味を誤解していたからです。本を読んでいない人の殆どが、私は日本経済がアメリカを追い抜いていると言ったと勘違いしました。私は本の中で、日本は非常によくやったと書きました。日本は非常に優れた『組織』を持っていました。戦後の日本経済の高度経済成長の要因を分析し、日本的経営を高く評価しました」また、「80年代に日本人が一生懸命働いてアメリカにしっかりと根を張ったことをくまなく覚えています。アメリカ人は『競争』を懸念しましたが、日本人はアメリカ全土で非常に良い市民となり、良いコミュニティを築きました」と話した。

田中投手

 田中さんは2014年にニューヨーク・ヤンキースに入団、18年にはヤンキース史上初の日本人エース先発投手に選出された。田中さんは「渡米した当初は日本との文化の違いに戸惑いましたが、考え方の違いを学び、新しい変化を楽しみ、世界は広がりました。どんな状況でも、いつもどおりの自分でいることが一番大事だと思っています。(チャリティー活動について)、災害後、時間が経過してしまうとニュースも減り、風化してしまうので、みなさんに思い出していだだけるよう、また、子供たちの活力になるように活動を続けたい」と語った。

(写真)開会の挨拶をする中島JCCI会頭

今どこかわかる地図

デジタル地下鉄マップ

 ニューヨーク都市交通局(MTA)は10月20日、地下鉄の運行状況がリアルタイムに確認できるデジタル地図「ライブ・サブウェイ・マップ(The MTA Live Subway Map)」のサービスを開始した。

 スマートフォンなどでMTAのウェブサイト(map.mta.info)から見ることができ、自分がいる駅に近づく走行中の電車の位置が路線図に表示されたり、指定した駅の電車の到着時間を知ることができる。

 また夜間・週末の運行停止区域や臨時工事による運行スケジュールの変更、車いすマークをタップすると駅のエレベーターの有無も確認できる。夜間・週末の不規則な運行スケジュールもこのサービスがあれば事前に分かるため、駅のプラットフォームで長時間待たなくても良くなるので便利なツールとして使いこなしたい。

歳末商戦コロナ直撃

二大ホリデーマーケット中止

 ニューヨークの冬の風物詩のひとつ、ホリデーマーケットを運営するアーバンスペース社は、新型コロナウイルス感染の影響で今年はユニオンスクエアとコロンバスサークルでの開催は中止すると発表した。 

 一方、ブライアントパークのホリデーマーケットはすでにスタートしており、アクセサリーや小物、インテリアなどの手作り商品を販売している=写真=。マスク着用は必須で、支払いは直接接触しないように工夫し、店舗数を減らすなど安全対策を施して開催している。飲食屋台は、トリュフ専門のザ・トリュフイスト、クレープ・カフェ、バン・ラーメン、カーサ・トスカーナなどの人気店が参加している。1月3日(日)まで。時間は月〜金曜が午前11時から午後8時、土・日曜は午前10時から午後8時まで。

 恒例のスケート場は今年も無料で入場可能だが、利用とスケート靴レンタルは、ウェブサイト(rink.wintervillage.org)での事前予約が必要となる。 

(写真)ブライアントパークのホリデーマーケット(9日夜撮影)

手作り納豆で日本の食文化を米国に

三兄弟納豆社長 荒井 千恵子さん

  ブルックリンで新鮮なオーガニック小粒納豆をオンラインで販売している。オーナーの荒井千恵子さんが10年前にカンザス州で作り始めた。ラマポカレッジ時代にバイオロジーの学位を取った。もともとは環境科学が専攻。仕事が比較的見つかりやすいと一般的なバイオロジーに専攻を変え、大学卒業後は化粧品会社AVONの微生物研究所(R&D リサーチアンドディベロップメント)で商品管理のテストをする仕事をプラクティカルトレーニング中にしていたという。その時、微生物に関わった経験が将来的に発酵商品への興味や関心に繋がったのかもしれない。日本から納豆を運ぶために必要になる資源やスタイロフォームのゴミの削減への思いと我が子に新鮮な納豆を食べさせてあげたいという気持ちが合体し、現在の三兄弟納豆として実現した。

 米国では新鮮な納豆を手に入れることが難しく、ほとんど全ての納豆が冷凍されていることから、できたての納豆を自分の子どもたちに食べさせたいという一心で手作りするようになったのがきっかけだった。自宅で作って友人・知人に配ったところ評判が良く、ビジネスにした。納豆に使用される豆はオーナーの荒井さん自身がカンザス州の農家に足を運び信頼できる農家から仕入れ、買い付ける。一つ一つ悪い豆を取り除き、良い豆だけを残して何度も水洗いして発酵、1週間弱かけて作られる。

 納豆を作る上で一番大事なのはまず根気強さ、そしてスピードと温度管理だという。発酵自体は時間と根気が必要な作業だが、納豆菌を付着する際は特に他の菌が混じらないように手早く作業しなくてはならない。温度管理も納豆菌が元気に繁殖する環境づくりにとても大事だ。悪い豆をひと豆ひと豆省いたり発酵中は夜中でも4時間おきに温度管理したりという根気さも品質の良い納豆造りに繋がっている。

 ブランドのネーミング「Sankyodai Natto(三兄弟納豆)」は3人の子供たちが健やかにという思いも込めてつけた。長男が大学に進学したのを機にカンザスからブルックリンに転居し、今では専攻のコンピューターサイエンスを生かして、ウェブデザイン、オンラインストアやデジタルマーケティングから配達までビジネスを全般的にサポートしてくれるという。

 荒井さんは「将来は特有のにおいや粘りが苦手な方にも食べやすいよう納豆を使った新商品も開発したい」と話している。また、日本の食文化などを通して、日本に興味や関心がある現地の子供たちが在米の日本人の子供達と日本文化とアメリカ文化を一緒を学び、そして助け合うプログラムや無料のセミナーを会員制で参加できるノンプロフィット団体、Japan Cultural Exchange of New Yorkも今年の10月に創立、納豆を通じたビジネスと社会参加活動に積極的に関わっていきたいと話す。

 (三浦良一記者、写真は本人提供)

クイックUSAアメリカの人事部(24)

各州にて、サラリー従業員として雇用をする為に必要な給与額

 各州では、サラリー従業員(Exempt:エグゼンプト)に必要な最低給与額が設定されている場合が多い。すでに2020年も終盤になろうとしているこの時点に、現状と来年の変更点をまとめてみようと思う。  

 現時点で各州では、サラリー従業員として雇用をするために必要な給与額はいくらに設定されているか、また2021年に金額変更があるかどうかも併せて調査をした。  

 以下の表はサラリー従業員の最低賃金(週給)を記載している。最低賃金や残業代について規定する連邦法Fair Labor Standard Act (FLSA:厚生労働基準法)および各州法に基づき、サラリー従業員の最低給与は1週間(ウィークリー)の給与を基準として決められているためである。  

 サラリー従業員年俸を算出するには、記載金額×52として(1年間=52週間)計算をする。  カリフォルニア州、コロラド州、ニューヨーク州、オレゴン州、ペンシルバニア州、ワシントン州では2022年以降も給与額が上昇することがすでに決定している。    

 (榊原将 HR Linqs, Inc. President)

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