お弁当プロジェクト、NY日系人会ガラで表彰

河野外相もビデオ祝辞
113年の歴史祝う

 ニューヨーク日系人会(JAA)は4日午後7時から113周年記念ガラをバーチャル方式で実施した。総合司会を務めた佐藤貢司副会長が1907年に設立された同会の歴史をスライドで紹介した。

 冒頭でスーザン大沼会長が今年亡くなった日系人、タッド津布良さん、リリアン木村さん、内山綾子さん、一戸小夜子さん、小栗ななこさん、岩本蘭子さん、佐藤登さん、飯塚国男さんを顔写真を映しながら紹介、米国の日系社会に残した足跡を称えた。

 続いて山野内大使が祝辞を述べ、厳しい社会環境の中で人々を一つに結びつける活動、とりわけ在宅の高齢者に届けた弁当プロジェクトは、さまざまなバックグラウンドの人々が協力したと賞賛した。


 功労賞を受けオンラインで意見交換する左上から時計回りに伊藤園ノースアメリカのロナ・ティソンさん、スーザン・宮城マコーマックさん、好田レストラングループの好田絵里奈さん、司会のジュリー・アズマさん

 これにより本年度のJAA功労賞はプロジェクト弁当に貢献した好田レストラングループ(サンライズマート等を経営)、伊藤園ノースアメリカ、スーザン・宮城・マッコーマックさん(プロジェクト弁当の委員長)に贈られた。

 式典ではスーザン大沼会長が秋の叙勲で旭日小綬章を受けたことが披露され、野田美知代事務局長が必要に応じた日系社会へのサービスを今後も継続して行くと挨拶した。

 当日のサプライズとして河野太郎外相が日本から式典にビデオ出演し、祝辞を述べた。外相は160年前に日本の侍がパレードしてからの日米関係を紐解きながら米国における日系人社会がアメリカ社会の対日理解促進に貢献したこと、日本と在米日系人との関係強化のための団体を作り相互交流を進めていることを述べ、民主主義、人権、経済などの共通の価値観を持つ日米の絆をさらに強化する上でニューヨーク日系人会の存在は極めて重要であると述べた。

 また式典にはクオモ・ニューヨーク州知事がお祝いのメッセージを寄せ、ゲール・ブレワー・マンハッタン区長、日米少年野球交流で貢献した元野球監督のボビー・バレンタインさん、映画スタートレックに出演した日系俳優ジョージ・タケイさんらアメリカ社会からもお祝いのビデオメッセージが寄せられた。

 最後に副会長の小野山弘子さんが「困難な時こそ力を合わせて乗り切ってまいりましょう」と呼びかけ閉会した。ゲストアーティストは、ホセ・アダン・ペレス、バリトン、三枝未歩 (JAA 音楽賞受賞者)、バイオリン。当日のガラはYOUTUBEで公開されており、年内いっぱい視聴が可能。アドレスは

https://youtu.be/hUYJ2TO0j-c

ゲイ・タリーズ描くマフィアに興味

常盤新平 ニューヨーカー三昧 I LOVE NEW YORKER 6

↑バックナンバーを読む

 2年ぶりにゲイ・タリーズの『作家の生活』を読みかえした。彼が人生を振り返った回想録だ。父親は長靴のようなイタリア半島の最南端の寒村に生まれて、若いころにパリで修業した後、ニューヨークにやってきて仕立屋(テイラー)をはじめた。

 ゲイ・タリーズは父親の作った服を着て育っている。ノンフィクション・ライターになってからも父の作るスーツを着用した。

 1960年代の初めごろ、私は「エスクァイア」という男性雑誌を読んでいた。メンズ・マガジンと言ってもヌードは載せなかった。読み物と小説が面白くて、アーノルド・ギングリッチという趣味のよい名編集者の名をおぼえた。

 ニューヨークの名もない人たちのことを書いている新人がいて、私は興味を惹かれて読むようになった。地下鉄で見かける美女や、夜の裏街を徘徊する野良猫などを散文詩風に書いたエッセイだった。それらのエッセイには作者の「私」が登場していた。ゲイ・タリーズという作家だった。

 それはやがて「ニュー・ジャーナリズム」と呼ばれるようになって、多くのジャーナリストがそれにならった。

 この人はいずれ長編を書くのではないかと私は期待した。まもなくニューヨーク・タイムズの内幕を詳細に書いた「王国と権力」が出版されてベストセラーになった。

 私は雑誌を読んで好きな作家を見つけてきた。そのひとりがゲイ・タリーズである。それから数年してマフィアのことを書いた本の一部がやはり「エスクァイア」に連載された。マフィアを内側から描いた実録だった。

 マフィアについてはそれまでたくさんの事が書かれてきたが、いずれも外側からなぞったものにすぎなかった。

 タリーズはニューヨーク・マフィアのボスの息子と親しくなって、その息子を主人公にして「汝の父を敬え」を書いたのである。この本と「王国と権力」とのあいだには似たところが数多くある。

 タリーズはニューヨーク・タイムズ社長のサルッバーガー一族について書いたのと同じように、マフィアのボナンノ家の歴史を描いてみせた。

 ニューヨーク5大ファミリーのひとつにタリーズが興味を持ったのは、マフィアの家族の女たちや子供たちであり、たとえば彼らが日曜日の午後にどんな話をするのか、どんな映画を見にいくのか、テレビはどんな番組を見るのかといったことだった。いわゆる暗黒街の抗争ではなく、マフィアの日常生活を書きたかったのだ。

 「汝の父を敬え」の原作が出たのは1971年である。その2年前にプーゾの小説「ゴッドファーザー」が発売されて、何か月もベストセラーを続けて映画化された。

 そのころ、わたしは出版社に勤務していて、趣味はマフィアの本を読むことだった。しかし、マフィアの本場であるイタリアに行こうなどとは思ってもいなかった。

 1978年にブックフェアでボローニヤに行く機会があり、その帰りにシチリアに寄り道した。まるで夢のようだったのをよくおぼえている。同月のことでシチリアの都のパレルモは春らんまんだった。

 観光バスでパレルモの街を見物したが、私が泊まった、ワグナーがオペラを作曲したというホテルは素晴らしくよかった。そのあと、パリ経由よりニューヨークへ向かったほうが航空運賃が安いとわかって、NYに行き、東44丁目のホテルに泊まった。フロントの女性がブラウスのあいだから胸毛が覗いている因業そうなおばあさんで、ぼられるのではと心配したが、宿泊料は安かった。

 このときは結婚前の妻が同行していた。ホテルがあまりにおんぼろだったのは気の毒だったが、彼女はNYに来られたのをよろこんでいた。

 これも何十年前のことだ。私が「汝の父を敬え」を翻訳してからはや27年になる。そのころの新聞にはNYマフィアの縄張り争いが雑誌にときどき載っていた。近ごろはマフィアの記事をとんと見ない。私の心からもマフィアは遠くなっていった。たぶん若かったから、マフィアなどという遠い遠い異国のものに関心を持ったのだろう。

 その後NYを訪れたとき、「汝の父を敬え」に出てくるNYの下町通りを歩いてみた。現在マフィアがどうなっているのかということに興味がうすれている。ただ、そのボナンノ一家、あの若きボスのビルはどうしているかと思う。彼はもう80に近いはずだ。いまはマフィアより大きな事件がいくらでもある。(2008年9月6日掲載)

(写真)『エスクァイア』誌1954年2月号の表紙


■常盤新平(ときわしんぺい、1931年〜2013年)=作家、翻訳家。岩手県水沢市(現・奥州市)生まれ。早稲田大学文学部英文科卒。同大学院修了。早川書房に入社し、『ハヤカワ・ミステリ・マガジン』の編集長を経てフリーの文筆生活に入る。86年に初の自伝的小説『遠いアメリカ』で第96回直木賞受賞。本紙「週刊NY生活」に2007年から2010年まで約3年余りコラム「ニューヨーカー三昧」に24作品を書き下ろし連載。13年『私の「ニューヨーカー」グラフィティ』(幻戯書房)に収録。本紙ではその中から12作品を復刻連載します。

焼き鳥大将逝く

イーストビレッジ溝上さん

 長年イーストビレッジで焼き鳥店「焼鳥大将」を経営してきた社長の溝上健治さんが3日、入院先の市内病院で亡くなった。享年66歳。共同経営者の宇宮裕三子さんによると、10月31日に息が苦しいので救急車を呼んで欲しいと電話で連絡があり、緊急搬送され、心臓の血管が3本詰まっていることが分かりそのまま入院、翌週に心臓バイパス手術を受けた。

 一時回復したが最期は多臓器不全で眠るように永眠したという。告別式は9日にコロナ禍での安全性を考慮し、近親者のみの家族葬を行なった。コロナが落ち着いた頃に「偲ぶ会」を催す。

 溝上さんは熊本県出身。1984年に焼き鳥イーストのオープニングスタッフとして来米、96年に独立して現在のイーストビレッジに焼き鳥専門店「焼き鳥大将」を開店。良心的な値段と豊富なメニューで米国における焼き鳥ブームに火を付け、イーストビレッジの日本食街の看板店としてニューヨーカーに愛される店に育てた。コロナでレストランの部分再開後も入院する直前まで週に3日、カウンターに立った。宇宮さんは「一番厳しい時ですが、彼の遺志を継いでお店を守って続けていきたい」とコメントしている。

 NY日本食レストラン協会ボン八木秀峰会長の話「焼鳥大将、ケンちゃんは、私の竹馬の友、若山和夫氏がイーストレストラン1号店をアッパーイーストサイドにオープンする為に博多の焼き鳥専門店「番屋」の経営者、伊丹さん(若山社長の大学時代の親友)から譲り受けた優秀な焼き鳥職人だった。何人か同時に日本から来たスタッフがいたが、彼は特にいつもみんなを笑わせてくれる朗らかな気持ちの優しい熊本の純粋な青年だった。彼の焼いた焼き鳥は食べたら幸せを呼ぶ一品だった。焼鳥大将なしでは今のニューヨークの焼き鳥ブームはあり得なかった。66年の太く短い人生だったが、どれだけの人々を幸せにしたかが大事。(焼鳥大将) 健ちゃんご苦労様でした」。

CA流ストレス危機管理術

桜井 妙・著
Amazon Kindle・刊

 この本は、日航機墜落事故で上司、同僚、親友を失い、現地で社員として遺族のサポートをした時の経験から日本航空の元国際線客室乗務員(CA)の桜井妙さんが、ストレスの危機管理方法を書いたものだ。自身が35年間苦しみ続けてきたJAL社員の責任、罪悪感、自己嫌悪というネガティブスパイラルにどう向かい合ってきたか、心理学的アプローチから分析して書いている。11月末でアマゾンの哲学・思想事辞典の新着ランキング1位に、認識論の新着ランキングで2位になった。切り口は本のタイトルにあるように「言い訳」の功罪から入っているが、内容はストレスマネジメントとその認知の本だ。

 失敗した時に絶対言い訳はしない。謝罪して、そのあと弁解がましいことも一切言わないのが最善の解決方法だと社会人になったばかりの著者は職場で学ぶ。しかしそれが心と体と頭との不協和音になって後々ストレスとなっていくことに触れる。果たして言い訳は本当に見苦しいのか。確かに言い訳は責任回避、自己防衛に聞こえ、些細なことでも被害を被った側にとっては何の解決にもならない。潔く自分の非を認めて謝ってもらった方がどれだけ気持ちが晴れるか。確かに謝ってもらう方の理論はそうだが、理由のある間違いやミスについて「それを語らずして」謝る方は、どんどんとネガティブなスパイラルへと陥っていく。著者は言う。「極端な根性論や精神論のような古い習慣はもう捨ててもいいのではないか。それらは戦国時代には有効であっても今はかえってストレスの原因になる」と。

 リスクマネジメントは、日本で「危機管理」と訳されているが、これは想定できるリスクが起きないように危険の原因になることへの対策を立てることを指す。英語で危機管理は「クライシス・マネジメント」と表記され、こちらは、意図せずに起きた危機的状況に適切に対応することを指す。著者が働いていた機内の客室乗務は想定外の意図しない突発的な問題も起こることが多く、問題解決は待った無しだが、時間をかけて困った問題に直面していかなくてはならない時、人は時に心が病み、折れる。「逃げるは恥だが役に立つ」とアドバイスする。困った時に一旦問題から離れることも賢い選択だと筆者は言う。ストレスが溜まっている時は、心の視野も狭くなって正しい判断ができない。アンガーマネジメントとして、腹がたったら90秒我慢して深呼吸をすると怒りが消える。心をストレスのない状態にしておいて行動をすることで未来が開けると説く。うまくいっていることは変えない、もし一度やってうまくいったら、またそれをやる。もしうまくいかなかったら違うことをする。ベストを探すよりベターならすぐに挑戦。諦めないで何かをやり続ける。失敗したらやり直せばいい。凹んでもすぐに復活するゲームキャラクターと同じで逞しく、明るく楽しくチャレンジするのがCA流のストレス管理術だと説く。世の中がパンデミックになり、多くの人がストレスを抱えている。苦しむ心の闇に差し込む一筋の光になればいい。(三浦)

パリの老舗モンブランの名店アンジェリーナNYに

 パリ1区に本店を構える1903年創業の老舗ティールーム「アンジェリーナ」が、米国1号店をブライアントパーク近くにオープンした。この界隈にはレディMやロイズチョコレート、再オープンしたLe Pain Quotidienなど、スイーツやベーカリーカフェが立ち並ぶ激選区となった。

 パリの本店はココ・シャネルも通ったフランスのデザイナーたちの社交場として愛された名店。アンジェリーナといえばモンブランとホットチョコレートが有名で、モンブランは濃厚なマロンクリームと生クリーム、メレンゲの三層が絶妙に調和した逸品。人気メニューは、ガーナ、ニジェール、コートジボワールの3か国のココアで作ったホットチョコレート「ショコラ・アフリカン」とモンブランのセット「ディスカバー・アンジェリーナ」(19ドル)。ホットチョコレートは量が少し多めなのでカップをもう一つもらって友人とシェアすることも可能。NY店では現在収容人数の25%で朝食、ブランチをダイニングルームで提供している。色鮮やかなマカロンやエクレアなどのケーキ類、クロワッサンなどのベーカリーにクッキー缶など手土産に喜ばれそうな品も充実。米国撤退したメゾンカイザーに代わる洗練されたパリの味を楽しめる場所だ。


Angelina

1050 Sixth Avenue New York, N.Y. 10018

TEL 585-438-5347

月〜金曜8am – 8pm、

土日9am – 7pm

www.angelina-paris.fr/angelina-New-York


新俳句グランプリ表彰式オンラインで動画配信

 北米伊藤園新俳句グランプリ表彰式は12月12日(土)午後6時(米国東部標準時間)から、オンライン形式で開催します。下記のリンクからどなたでも閲覧可能です。

 表彰式は約1時間、日英両言語で行われ、日本語部門、18歳未満部門、英語部門それぞれ金・銀・銅賞の受賞者表彰のほか、受賞者や審査員のスピーチがあります。さらに本年度は、同グランプリ10周年を記念して、表彰式につづき記念特別プログラムとして、審査員から、書画家・田中太山さんの書のパフォーマンス、ジャズピアニスト・作曲家の大江千里さんの音楽パフォーマンス、俳人の大高翔さんの俳句トークもお楽しみいただけます。ご質問・お問い合せは、Eメール[email protected]まで。

 日本語部門の金賞は岡部加都恵さん(NJ州)、銀賞は島崎志津香さん(NJ州)、銅賞は中原あかりメアリーさん(CA州)に、18歳未満部門の金賞はフィラデルフィア日本語補習授業校小学4年の森直寛さん、銀賞はボストン日本語学校小学4年の濵地海瑠さん、銅賞はフィラデルフィア日本語補習授業校高校2年のラプレツィオーサ紗綾さんに、英語部門の金賞はガーリー・ガイさん、銀賞はジュリー・ワーザーさん、銅賞はリック・ジャコフスキーさんに、学校賞はボストン日本語学校に贈られます。

www.artofhaiku2020.com

クイックUSAアメリカの人事部(27)

人材採用もマーケティングと同じ

 2020年、新型コロナウイルスによるパンデミック以降ものすごいスピードで変化する社会と働き方。自社も含め周りのビジネスにおいての状況を見ていて感じることは、苦しい業界もあれば伸びている業界もあるということ。端的に言えば、よりデジタル領域に近いビジネルスタイルに素早く変化できたか/できるかどうかが大きな分岐点となるように思います。  

 商品を売るにしても、サービスを売るにしても、消費者となるお客さんとの最初の接点はインターネット上であることが当たり前の時代になりました。数年前からそうなってきてはいましたが、この新型コロナウイルスによるパンデミックの社会生活に与えた変化で、急激に加速したと言えます。  

 最近、「DX」という言葉を耳にしたという方も多いかもしれません。DX とはデジタルトランスフォーメーションの略語です。デジタルトランスフォーメーションの意味や定義は奥深いものがありますが、まず入り口の発想として浮かんでくるのは、業務のデジタル化やITシステム化というところだと思います。名刺の代わりに自社のホームページ、営業訪問の代わりにオンライン商談、イベントやセミナーもウェビナーなどに変化していかざるをえない状況です。  

 その他にも社内の情報管理や顧客情報、売り上げ管理、マーケティングなどもデジタル化が必須となってきます。「パソコンは苦手なんだよね」とか「うちにはそんな人材はいないよ」などとは言ってられない状況に強制的にさせられた感もありますね。そうした流れで、「ITに強い人材が欲しい!」という企業さんも増えているように思います。 そこで本題になる「人材採用もマーケティングと同じ」というお話。  

情報も人材もより流動的に

 主戦場がオンラインになるのであれば、所属より繋がりが大切になります。スマホさえあれば世界中の人と繋がれる世界は、家族も学校や会社も国境までも悠々と超えていきます。情報が透明化され、「外国で自分と同じ様な仕事をしている人がどれくらいの報酬を得ているのか?」なんてことも調べればわかるようになりました。  

 情報化社会で変化のスピードが増しビジネス形態や消費者の流行りすたりが数年で変わっていく社会では、今までのように一つの会社で働き続けるケースは減ってくるでしょう。転職が増えること、プロジェクトベースで仕事を請け負うフリーランスも必然的に増えると予想されます。その会社に所属し続けることよりも、自分に適した業界内の繋がりやコミュニティーの方が重要になるからです。  

 リモートワークが当たり前になれば移動する必要がなくなるので、働く会社の場所も住む場所も選択肢が増えます。報酬や待遇という選択基準はもちろん残りますが、それよりもそれが魅力的な仕事か?やりたいと思えるものか?が最も重要視されるようになり、技術や才能を持った優秀な人材ほどより自由に流動的になっていくでしょう。  

 さて、冒頭で「商品を売るにしても、サービスを売るにしても、消費者となるお客さんとの最初の接点はインターネット上であることが当たり前の時代になりました」と書きましたが、これは人材採用においても同じですよね?採用企業と求職者との最初の接点はインターネット上であることが当たり前になりました。であれば、優秀な人材を採用したいと考える企業がデジタルマーケティングを強化することは自然な流れだと言えると思いませんか?

(板倉光孝   Zero-Hachi Rock  CEO)

www.919usa.com

クイックUSAアメリカの人事部(26)

クリエイティブな仕事は報酬だけでは成果上らず

■御社の労働分配率は?

 このような環境の中、改めて人件費を管理するにあたり、粗利に占める人件費の割合いをチェックしてみることも大切だろう。御社の労働分配率(労働分配率=人件費÷粗利)はコロナ前とコロナ後で変化があるだろうか?

 コロナ前の労働分配率を維持した上で、2021年の昇給やボーナスの計画を立てる際、「コロナ後に売上が下がる中、どの程度の人件費を見込むか」という計画には労働分配率を再度チェックすることが考えられる。    

■報酬と動機付けについて(新しいインセンティブの仕組みは登場するか?)

 最後に、報酬と成果の関係を考えるにあたり、約10年前のダニエル・ピンクのTedでの講演動画をご紹介しよう。

▼

 動画でも語られているように、回答が決まっているような仕事はインセンティブによって仕事の成果も上がるが、クリエイティブな仕事はインセンティブを与えることではなかなか成果が上がらない。逆に成果が下がることが分かったという。  

 クリエイティブな仕事に必要なのは、自主性・成長・目的と言った「個人が仕事に見いだす意味」が重要なのだ。動画で事例が紹介されているようにWikipediaやLinux等、無報酬ながら参加するメンバーによる貢献によって成り立った素晴らしい仕事がある。「馬にニンジンをぶらさげる」方式のインセンティブではこのようなクリエイティブな仕事は成り立たなかったというのだ。  

 このダニエル・ピンクのTedを思い出させたのは3年前にTedで話されたAdam GrantのGive & Takeだった。

▼

 与える人ほど成功するというこのコンセプトについて、組織のインセンティブの仕組みをどのように考えたら良いだろうか?  

 ダニエル・ピンクのTedから10年。この時に既にビジネス界のインセンティブは発見された事実と乖離していると言われている。  

 2021年、ビジネス界はようやく新しいインセンティブの仕組みをもっと積極的に導入することになるだろうか?    

 今回も御覧いただき誠にありがとうございます。引き続き皆様の安全と健康、そして、可能な限りのビジネスの再興をお祈りしております。

(山口 憲和 Philosophy LLC 代表)

www.919usa.com

クイックUSAアメリカの人事部(25)

2021年は2.6%昇給すべきか?

■報酬調査について

 報酬の決定は社内公平性と社外競争力の2つの視点から考えるとよく言われる。通常であれば、社外競争力については、消費者物価指数の動向や報酬調査による昇給予想率等を参考に自社の標準的な昇給を決めるというプロセスになるはずだ。

 しかし、2021年はCOVID-19の影響もあり、報酬決定の舵取りが難しいと言わざるを得ない。これは米国の各企業でも同じだろう。

 2020年4月~5月に行われたWorld at Workの調査では2021年の平均予想昇給率は2.9%という数字が出ていた。

▼下記の動画も参照

 10月7日に出された大手人事コンサルティング会社Willis Towers Watsonのレポートによると2021年の昇給率の平均は2.6%という数字が発表されている。

▼出所

https://www.willistowerswatson.com/en-US/News/2020/10/one-in-three-us-employers-trim-projected-pay-raises-for-2021-willis-towers-watson-survey-finds

 Executiveの昇給率は2.5%で、一般のスタッフより0.1%だけ昇給率が少ない。

 このレポートは9月に行われた調査で現れた結果だが、春先に行われた調査に比較して35%の企業が昇給率を減少させているとのことだ。多くの企業が先行きの不透明感ゆえに昇給率を決定するにあたり、迷いを見せているのが分かる。

 同じ調査において66%の企業は2021年もボーナスの支給を予定していると発表している。    

■報酬制度の設計について

 一方で米国人材マネジメント協会のニュースでは報酬設計自体はCOVID-19の中でも据え置きをしている企業が多いというニュースも出ている。

▼出所

https://www.shrm.org/resourcesandtools/hr-topics/compensation/pages/companies-consider-pay-programs-as-economy-stalls.aspx

 そのため、報酬設計自体は下記のように固定給の一定のパーセンテージを設定して、変動報酬を支給することが考えられるが、先行きが不透明な時代にはできる限り固定費(固定賃金での昇給)の拡大を抑え、人件費の変動費化を図ることが考えられる。つまり会社と個人の業績・成果によって、報酬を変動させることができるように設計するということだ。  

▼出所

https://www.shrm.org/hr-today/news/hr-news/conference-today/Pages/2017/Evolving-Company-Culture-from-Base-Pay-to-Comprehensive-Variable-Rewards.aspx#variable-pay

(続く)

(山口憲和 Philosophy LLC 代表)

www.919usa.com

【今週の紙面の主なニュース】(2020年12月5日号)

(1)地下鉄突き落とし暴行事件
(2)公立幼小学校を7日再開
(3)NY日系人会で美術展
(4)眞子さまと小室さん結婚の行方
(5)不正訴え続けるトランプ大統領
(6)誰が埋めた謎の金属柱?
(7)ハドソンストリートのあたり
(8)老舗の味をB級グルメで
(9)米国で夢実現した空中の舞姫
(10)求められる帰国生像

地下鉄突き落とし

NYで暴行事件相次ぐ

 ブルックリンのアトランティックアベニュー・バークレイセンター駅で11月22日、乗客がプラットホームから突き落とされる事件が起きた。事件は午前11時30分ごろ、地下鉄4番線車両内の座席で寝ていた男が突然起き上がり、近くにいたカップルに向けて大声で叫び出した。さらに男は同駅で降車したふたりの後をつけ、カップルの男性をプラットホームから突き落とした。転落した男性は軽傷を負ったが自力でホームに戻ったという。ニューヨーク市警察は監視カメラの映像を公開し、男の情報提供を呼びかけている。

 NYの地下鉄では暴行事件が相次いで起きている。11月17日にはブロードウェーのミュージカル俳優アレックス・ワイズマンさんが、アッパーウエストサイドの103丁目駅構内で男に顔面を殴られた。ワイズマンさんは網膜裂傷と眼窩を2か所骨折する重傷を負ったが、手術を受けて現在は回復に向かっているという。また翌日18日夕方、ブライアントパーク駅でも36歳の郵便局職員が突き落とされて軽傷を負った。さらに19日午前には、14丁目ユニオンスクエア駅で、車両がプラットフォームに滑り込む直前に男が女性を突き飛ばす事件があった。女性は線路と路床の間に落ちたため奇跡的に助かり、軽傷で済んだという。この事件では、その場で拘束されたアディチャ・ヴェムラパティ容疑者(24)が殺人未遂で起訴された。

 相次ぐ地下鉄構内での事件を受け、自警団のガーディアン・エンジェルスは11月22日、駅の見回りを開始すると発表した。創設者のカーティス・スリワ氏は「このような情緒障害人物による問題は見たことがない。彼らに必要なメンタルヘルスケアを提供することができるのかを確認したい」と話している。デブラシオNY市長は会見で、「非常に懸念している。利用者の安全性を高めるために警察官による警備を強化し、メンタルヘルスケアへの取り組みを拡大する」と述べた。

公立幼小を再開

NY市で7日から

 ニューヨーク市のデブラシオ市長は29日、新型コロナウイルス 感染拡大で再閉鎖していた幼稚園と公立小学校を12月7日から再開すると発表した。公立学校に通う約110万人のうち3分の1ほどにあたる約34万人が対面授業を受ける。自立支援学校は12月10日から開始、中学・高校については今後検討する。

 市は、コロナの感染拡大で3月中旬から公立学校を閉鎖しリモート授業のみにした。9月下旬にウイルス検査の陽性率が7日間平均で1%ほどになったことから、対面授業を週2日ほど行うことにした。陽性率が3%を超えた場合は対面授業をやめるという基準を設けていたが、11月18日にこの基準を超えたため、19日より公立校をすべて閉鎖しリモート授業のみに切り替えた。しかし、学校のみでの検査陽性率は0・28%ほどと低く、学校は予想よりもはるかに安全のようだと専門家や保健当局、さらに教員組合が強調していた。また保護者のなかからは「リモートだと子供を預けなくてはならない」「なぜレストランは開いて学校は閉鎖するのか」などと早期再開を強く求める声があり、11月19日には市庁舎前で抗議集会が開かれるほどになっていた。12月7日からの対面授業は保護者の同意があった児童生徒のみで行う。