パイロット自社養成

5000人枠の半数女性と非白人に

ユナイテッド航空

 ユナイテッド航空は同社が運営するパイロット訓練校「ユナイテッド・アビエート・アカデミー」において、2030年までに5000人のパイロットを自社養成し、その半数を女性と非白人とすることを6日発表した。同航空学校を既定の成績で卒業した学生には、将来ユナイテッド航空のパイロットとしての採用が保証され、定期事業用パイロットして働ける道が与えられる。日系志願者は非白人枠採用として優先されるため同社アジア・太平洋地区広報統括本部長の永田浩二さんは「米国生まれの人はもちろん、米国在住の日本人でも、米国永住者であれば、パイロット自社養成航空学校の入学資格がある。将来パイロットを目指したい人には新たな選択肢となる」と話している。

 米国の航空会社でパイロットの自社養成学校を持っているのはユナイテッド航空だけ。現在同校では年間100人の入学者を受け入れてパイロット免許取得の訓練を実施している。今回のパイロット大量採用は、金融大手のJPモルガン・チェースの協力で実現するもので、学費ローンなどの提供も受けられる。同社のスコット・カービーCEOは「JPモルガン・チェースの資金援助により将来航空業界での活躍を目指すパイロット志望者への大量自社養成が可能となり弊社が目指す多様性のある雇用機会を持つ企業として社会貢献が可能になった」と話している。120万ドルの学資提供が可能となる。

 チェースは学資ローン受給者を囲い込めるメリットがあり、ユナイテッドは将来のパイロット人材を安定確保、入学者は将来ユナイテッド航空のパイロット採用が保証されているという3者ウインウインのプログラムといえそうだ。

 訓練学校に入学後2か月で自家用飛行操縦士免許を取得し、1年以内に事業用飛行操縦士免許を取得。卒業までの2年間で滞空時間2000時間を取得、5年以内にユナイテッド航空のパイロットとして採用される。応募規定の詳細は https://unitedaviate.com

土曜日の朝のカフェ

ニューヨークの魔法 ⑯
岡田光世

 ドアを開けると、すでに店内は朝食をとる人で活気にあふれていた。土曜日の朝、アッパーウエストサイドでブロードウエイを、「ゼイバーズ・カフェ」(Zabar’s Cafe) に向かって私は歩いてきた。

 カフェのショーウインドウの前に立ちはだかるように、七、八人がレジの順番を待っている。焼きたてのべーグルやマフィンがぎっしりと収まっているショーウインドウを、 一列に並んだ人の間からのぞき込み、ブルーベリーにしようか、と少し悩んでから、バナナのマフィンとコーヒーを頼む。

 カフェの真ん中に長いテーブルがあり、九人ずつ、向かい合ってすわれるようになっている。私はカウンターのほうを向いて、中央の右寄りの席に落ち着く。斜め前でカウンターを背に、六十代後半くらいの男の人ふたりが、大きな声で世界経済について語っているようだ。ひとりが話しているのに、相手がさえぎって話し始めると、さえぎられたほうが抗議する。

 Hey, let me finish my thought.

 おい、話の腰を折らないでくれよ。

 高齢の女の人が、私の右斜め前の席に腰を下ろす。黒のウールのコートに茶色の帽子を身につけている。運んできたトレイには、全粒粉パンのようなものにスモークサーモンとクリームチーズをはさんだサンドイッチと、ダイエット・スナップルのジュースがのっている。

 彼女はサンドイッチをひと口ひと口、ゆっくりと食べ始める。やがて、食べかけのサンドイッチを皿の上に戻すと、空いた手でジュースの瓶の蓋を開けようとしている。力を入れて、何度もやってみるが、なかなかうまくいかない。

 その人の前にすわっている四十歳くらいの男の人が、黙って手を差し出す。そして、 女の人から瓶を受け取ると、いとも簡単に蓋を開け、これも黙って、彼女に返す。知り合いではないのに、ごく自然に、まるでその人の母親であるかのごとく。女の人もごく当たり前のように、何も言わずにただほほ笑み、瓶を受け取る。

 その男性と私の間に、ヒスパニック系らしき女の人がすわった。コーヒーを飲みながら、マフィンを食べている。帰りに食料品を買いたかったので、この辺りに「ホールフーズ」はありますか、と尋ねてみる。

 この辺りにはありませんよ。前はあったけれど、もう今はないわ。

 彼女の目の前にすわっている男の人が、私たちの会話を聞いていたようだ。話に加わってくる。

 What do you want to know?

 何が知りたいんだい。

 そして、近くではないけれど、と別の二店舗の場所を、まるで私がこの街を初めて訪れた観光客であるかのように、事細かに説明し始める。

 私たちがやりとりしている間に、高校生だろうか、十五歳くらいの少女五、六人の集団が入ってきて、右手奥に固まって立ち話をしている。  

 カフェの中ほどにすわっている別の男の人が、高校生たちに向かって声をかける。

 Would you please pass me some napkins?

 そこのナプキンを、取ってもらえるかい。

 Sure.

 もちろん。

 高校生のひとりが答え、ナプキンを手渡す。

 しばらくすると、その男の人が、食事を終えて立ち上がった。

 エクスキューズ・ミー(Excuse me.)と言いながら、高校生の脇を通り過ぎるとき、 彼女たちに声をかける。

 Thank you for the napkins.

 さっきはナプキンをありがとう。

 マンハッタンの片隅で、朝から他人同士が関わり合っている。

 このエッセイは、文春文庫「ニューヨークの魔法」シリーズ第6弾『ニューヨークの魔法をさがして』に収録されています。

https://books.bunshun.jp/list/search-g?q=岡田光世

日米首脳会談に浮沈をかける菅総理、その思惑は?

あめりか時評閑話休題 冷泉彰彦

 日米首脳会談というと、ゴルフや会食を通じて首脳間の個人的な信頼関係を構築するものという印象がある。トランプ政権時代はそうせざるを得なかったが、あくまで日本の国益を守るための例外的な行動だった。実際には双方の外交当局が事前に政策を調整した上で、首脳が会うことで最終的な決定がされて、共同記者会見なり共同声明として発表されるのが正式だ。

 今回、4月16日の菅総理とバイデン大統領の会談は、そのような「あるべき姿」に立ち戻るということであり、この点は評価すべきであろう。しかも現在までの報道では、かなり具体的なテーマ設定がされているようだ。安全保障の問題に加えて、3つの分野に関して日米での作業部会の設置が検討されているという。

 1つ目は、新型コロナウィルス対策だ。バイデン政権は巨額の補正予算でワクチン接種を加速している。その上でワクチンの剰余が出るようであれば、国際的な協力も惜しまないとしている。首脳会談を契機として、アメリカから日本へのワクチンの提供が得られるかもしれない。

 2つ目は、新技術、特に情報通信分野における協力だ。アメリカは日本の半導体製造インフラなどをテコ入れして、中国を外したサプライチェーンの強化を狙っている。日本としては、これを経済成長に結びつけたいという思惑だ。

 3つ目は、気候変動への対策だ。日本は化石燃料依存体質を強めてきたが、菅政権はこれを脱却すると既に言明している。だが、その方法論が定まらない中で、アメリカがどう支援するか注目がされる。

 というわけで、この3点については、もしも具体的な合意ができるようなら、日米関係は強化され、日本の経済社会にもプラスとなるであろう。だが、問題は日本の国内事情である。

 菅総理は、コロナ対策と五輪問題で支持率が低迷しており、解散のタイミングを見つけるのが難しい状況となっている。コロナでは専門職の柔軟な増員のできない硬直した制度のために、PCR検査も、コロナ病床もフレキシブルな対応は不可能となっている。また厚労省や官邸には、できない理由を語る自由もないようだ。

 一方の五輪については、費用の問題もさることながら、国内では外国からの選手役員の例外入国への反発があるし、ワクチン接種の進まない日本での大会には海外から不安の声もある。ということで、開催も中止も判断できない曖昧な状況が続いている。いずれも、菅総理の能力の問題ではなく、日本型組織の弱さが露呈されているだけだが、世論はその不満を官邸にぶつけており、総理は求心力維持に必死の状況だ。

 そんな中で、この3点の日米合意というのは、支持率浮上に役立つであろうか?この点にも不安がある。まずワクチン問題だが、仮に米国の協力で供給がされても、国内の反ワクチン世論が噴出すると厄介だ。また、接種は医師に限り、住民票のある市町村区でしか接種はできない制度下では、供給が増えても接種は進まない懸念がある。

 半導体等の技術・経済協力については、世論の反発はないかもしれない。だが、仮にGAFAの日本進出が更に強化されても、日本が部品工場と市場として、より外資の食い物にされるのでは本末転倒だ。

 最も心配なのが環境政策だ。ここへ来て菅総理は、福島第一原発の冷却に伴って蓄積された微弱な放射性物質を含む汚染水を、海洋放出する方向で腹をくくっている。この判断が、部分的な原発再稼働の実現に結びつき、化石燃料依存体質を緩和できればいいのだが、反対に汚染水問題で一気に世論が硬化すると、日本のエネルギー政策は排出ガスゼロ化を達成できなくなる。

 菅総理は訪米成功によって、支持率をアップさせ、あわよくば解散総選挙で政権のテコ入れを図る考えのようだ。だが、コロナ、五輪、原発などについて、疑心暗鬼にかられている日本の世論の「心のヒダ」が、総理の思惑通りに反応するかは全く楽観を許さない。

(れいぜい・あきひこ/作家・プリンストン在住)

マスターズ優勝の松山英樹

冷静さと礼儀正しさ称賛

 男子ゴルフのメジャー、マスターズ・トーナメントで11日、松山英樹(29)が大会初優勝、日本男子初のメジャー制覇を果たし、米メディアは相次いで大きく報道した。

 PGAツアーの公式ツイッターは「松山英樹が歴史的快挙!マスターズで優勝し日本初の男子メジャーチャンピオンに」、ゴルフ専門チャンネルのザ・ゴルフ・チャンネルは「松山英樹が日本初の男子メジャー優勝を果たす」と報じた。最終日もリードを失わず首位を守り切ったプレーを賞賛するとともに、スポーツ専門チャンネルのESPNのほか、フォックスニュースやニューヨーク・タイムズなど含めほとんどのメディアが「日本男子初」を添えてツイッターで速報した。

 記事ではニューヨーク・タイムズが12日付けで1面に「オーガスタで歴史的快挙」とのタイトルで松山選手のショットの写真を掲載、 日本の松山英樹が、アジア生まれとして初のマスターズ優勝」と説明した。記事では、冷静で粘り強い松山選手を賞賛するとともに、「アジア人とアジア系アメリカ人に対する人種差別的な暴力に対する不安の時に起きた」と全米で広がっているアジア人憎悪問題にも触れた。ニューヨークポスト(電子版)は「松山英樹がマスターズ優勝で歴史を刻む」とのタイトルで「うまくいけば私が日本のパイオニアとなり、他の多くの人が続いてくれるでしょう。水門を開けられて嬉しい」とのコメントを紹介し、「彼はそうなるべき」と書いた。ワシントン・ポスト(電子版)は松山選手について「自信と冷静さ」でタイトルを獲得したと評価した。

 スポーツ選手も相次いで祝福と賛辞を送った。マスターズで5度優勝したタイガー・ウッズは、「ゴルフ界全体に影響を与える」「君と君の国にとってとても大きな成果だ」とツイートした。ネットでは、ウィニングパット決めた時も喜びを爆発させるようなことはなく、冷静な表情の松山選手を指摘する声が数多くあがった。帽子を脱ぎ、コースに向かって一礼したことについては賞賛するコメントが相次いだ。動画再生はその日のうちに、CBS182万回、ESPNが82万回を超えた。

(写真)優勝を決めファンに応える松山選手(ESPN動画画面から)

海水浴場オープン

メモリアルデーに

 デブラシオNY市長は7日、5月29日(土)メモリアルデーの週末から市内8か所の海水浴場を、市内48か所の公共プールは6月28日(月)からオープンすると発表した。ビーチでは午前10時から午後6時まで、ライフガードが監視を行う。オープンする海水浴場は次の通り。コニーアイランド、マンハッタンビーチ(ブルックリン)、ロッカウェービーチ、ミッドランドビーチ(クイーンズ)、オーチャードビーチ(ブロンクス)、サウスビーチ、シーダーグローブビーチ、ウォルフズポンドビーチ(スタテンアイランド)。  

 デブラシオ市長は会見でワクチン接種は順調に進んでいると述べ、感染状況が改善された場合は規制が緩和される可能性を示唆した。また、市公園局が制作した長さ6フィートの「ソーシャルディスタンス・タオル」を忘れないようにと宣伝した。このタオルはセントラルパーク動物園の前にあるNYCパークス・ストア(5番街830番地、64丁目)で販売中。価格は28ドル50セント。昨夏は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、同ストアの営業開始が延期された。

 同ウイルスのワクチンは460万人以上に接種され、1日当たりの平均陽性率は6・52%に抑えられていることから今回の判断に至った。 昨年、過去100年間で初めて休園したコニー・アイランドが9日一部オープンした。人気のルナ・パークとディノズ・ワンダー・ウィールは利用者人数を33%に制限して営業している。

アジア憎悪激化

犯罪急増、取り締まり強化

「モンキー!」路上で罵倒

チャイナタウンのネイルサロンで従業員を罵倒して逮捕されたウィリアムズ容疑者(地元テレビ画面から)

 ニューヨーク市警によれば、3月だけでアジア系市民に対し少なくとも33件のヘイトクライム(憎悪犯罪)が起きた。市警は取り締まり強化を図っているが、4月に入っても止む気配がない状態だ。

 ブルックリンのイースト・フラットブッシュにあるコインランドリーで5日午後5時頃、女が店のカウンターに無断で入ったためアジア系の女性従業員(47)がとがめたところ、女は洗剤のボトルで従業員の頭を地面に倒れるまで何度も殴り、逃走した。女性従業員は軽傷を負った。マンハッタンでも7日午後7時36分頃、グランド通りで屋外で食事をしていた2人のアジア人に女が近づき、アジア人への差別的言動をしたうえで一人の女性の顔を引っ叩いた。警察はそれぞれ防犯カメラに映った動画を公開し、犯人の行方を追っている。

 ニューヨーク市警察は7日、アジア人に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)および暴行事件関連で容疑者2人を逮捕・起訴したと発表した。

 一人はグレゴリー・ジャック被告(33)で、4月3日午後6時頃、ミッドタウンにあるセブンイレブンで、アジア系従業員(26)が万引きしようとした男を止めようとしたところ、男はアジア人への差別的言動を吐きながら、従業員の顔を数回殴った。もう一人はジョセフ・ルッソ被告で、ブルックリンのシープスヘッドベイにある食料品店で5日午前11時頃、買い物客のアジア系男性(77)を地面に押し倒すなど暴行行為を働いた。ルッソ容疑者はこのほかにも3月22日にミッドウッドでアジア系女性(33)の髪を引っ張るなど行為をしたことが防犯カメラで確認されている。グレーブセンドでもアジア系女性(64)を突き飛ばした疑いがある。

 ニューヨーク市警はアジア系への犯罪行為を取り締まるため私服警官を増やしており、現場での逮捕に至ったケースも出ている。チャイナタウンでは7日、女がネイルサロンに入り、アジア系の従業員に「お前らがこの国にコロナを持ち込んだ」などと罵倒。その後、店を出て歩道にいた通行人らに「モンキー」「チャイニーズ、マザー・F***」など叫び続けた。居合わせた私服警官がその場で逮捕=写真=。女はシャロン・ウィリアムズ被告(50)でヘイトクライム(憎悪犯罪)となる悪質な嫌がらせ行為罪で起訴された。

 9日には、ペンステーション近くの7番街33丁目付近で午後4時30分頃、私服警官と知らず、「墓場にたどり着く前に中国に帰れ」「小便をかけ、顔をはたくぞ」などと脅した男が逮捕された。犯人のジュビアン・ロドリゲス容疑者(35)は麻薬や暴行など過去20件以上の逮捕歴があった。

ドアを閉めたドアマン解雇

 ミッドタウンのコンドミニアム(43丁目360番地)の前で起きた65歳のアジア人女性暴行事件に関して、6日、建物の中から暴行の様子を目撃していたドアマンとコンシェルジュを解雇したとビルのマネジメント会社が発表した。

 監視カメラの映像には、暴行の様子をただ見ている配達人の姿や、暴行男が去った後で道路にうずくまっている女性を前にドアを閉めたスタッフが映っていた。男性らは女性を助けようとしなかったとして、非難の声が多く寄せられていたが、ドアマンとコンシェルジュの2人は、男がナイフを出すのを見たため止めに入らなかったと説明していたという。マネジメント会社は解雇理由を「必要な緊急・安全手順が遵守されなかったため」とし、その場に居合わせた場合の緊急対応手順など、再教育を実施すると述べた。

腕つかまれ危うく線路に
日本人地下鉄駅で襲われる

 ニューヨーク日本総領事館は14日、ニューヨーク市の地下鉄の治安に関する注意喚起を発信した。それによると在留邦人から、4月7日夜、友人とブルックリン地区の地下鉄G線メトロポリタン街駅のプラットフォームで地下鉄を待っていた際、見知らぬ男に腕を掴まれて線路に引きずり下ろされそうになったとの報告があった。他の乗客が止めに入ったことから、加害者はいったん現場を去ったものの、5分後に再び現れて被害者に暴行を加えようとし、改めて他の乗客が被害者を取り囲んで守ったため、加害者はようやく立ち去った。被害者はその後、ニューヨーク市警察(NYPD)に被害届けを出し、総領事館にも連絡した。

女性にタクシー代提供します。

 ニューヨークで広がるアジア人に対するヘイトクライムの増加に伴い、アジア人の高齢者や女性に対して配車サービスの利用料金を一部負担するプロジェクトがスタートした。

 発起人のマディ・パクさんはインスタグラム(@cafemaddycab)を開設し、アジア人の高齢者や女性、LGBTQの人々に対し、ウーバーとリフトの利用料金を最大40ドルまで提供すると発表した。パクさんは自己資金と友人らの援助を受け、2000ドルでプロジェクトをスタート。寄付を呼びかけたところ、わずか2日間で10万ドルが集まったという。サービスはマンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス。使い方は前出のインスタグラムを参照する。寄付はVenmo (@cafemaddyCAB)でも受け付けている。

警察官が安全対策講演
JAA春のサクラフェアで29日

 ニューヨーク日系人会(JAA)が開催する第13回JAA春のサクラフェアーで、NY日本総領事館とNY日系ライオンズクラブの共催企画「邦人安全対策虎の巻」が29日(木)正午から1時間ZOOMによるオンラインで開催される。NY市警察(NYPD)の現役担当官が犯罪からの身の守り方などを含め、深刻な問題となっているアジア・コミュニティーの安全対策として講演する。 質問は事前に受け付ける。申し込みはNY日系人会のEメール [email protected]

NYを前衛のリングに

篠原有司男・著
東京キララ社・刊

 美学生交友録とでもいうか、インターネットもファックスもない、国際電話すらかけることのできなかった時代、でもそれほど遠い昔でもない60年代前後からの男の友情を記録した書簡をもとに一冊にまとめた本だ。篠原有司男がニューヨークから田名網敬一に出した絵葉書や書簡は当時のまま時系列でかなり正確に保管されて膨大に残っているが、田名網から篠原に宛てた手紙(おそらくはそれと同じだけの膨大な手紙)の数々はどこかに行って消えて無くなってしまっているところが、50年の一方通行の書簡集として、より強烈な輝きを放っている。書簡ではないが、篠原がニューヨークにロックフェラー3世奨学金で渡米する前、銀座の洋書店イエナで2人が、本をいっぱい抱えた植草甚一が階段から転がり落ちて、二人が本を拾って助ける場面が描かれている。

 その時に植草が「君たち絵を描いているの? だったら面白い本を教えてあげるよ」と「ARTNEWS」という美術雑誌を見せた。田名網は「我々二人は、そこにあった小さな図版に釘付けになり、顔を見合わせた」と書く。それはアンディー・ウォーホル、ロイ・リキテンスタインなどポップアートの台頭を告げる紹介ページだった。「今、アメリカで注目されているアートがこれなんだよ」と植草がポップアートの理念を懇切丁寧に紹介してくれたという。若き二人が神妙な顔で本の山の中で話を聞いている光景を想像するだけで楽しい。69年に待望のニューヨークの地に降り立つ。ご存知とは思うが、篠原は、通称ギュウチャンでアーティスト。1932年、東京都生まれ。東京藝術大学中退後、60年に吉村益信、赤瀬川原平、荒川修作らと「ネオダダイズム・オルガナイザーズ」を結成。69年に奨学金を得て渡米し、以後ニューヨーク在住。2014年、その破天荒な生活に密着したドキュメンタリー映画『キューティー&ボクサー』が米アカデミー賞にノミネート。ここ1年は新型コロナウイルスのパンデミックで巣ごもり状態らしいが。

 田名網敬一もアーティスト。1936年、東京都生まれ。武蔵野美術大学在学中からポスターや雑誌などのデザインを開始。広告代理店の博報堂に就職した後、日本版『月刊PLAYBOY』などのアートディレクションを手がけた。本書も篠原のニューヨークでの素顔を田名網ならではの監修で見事に仕上げている。

 一度だけ篠原のブルックリンの自宅兼アトリエ兼屋上にお邪魔したことがある。まだご長男のアレックス空海くんが洗面器の中で泳いでいる時代だった。本書122ページにはその頃のエピソードとして五番街にあった日本航空ロビーに展示された前衛オートバイの作品が掲載された1987年6月18日付「The Yomiuri America」の切り抜きが掲載されている。「JALサイケに変身」という見出しを付けた記憶が蘇ってきた。あの記事をレイアウトしていた頃から34年もたつが、彼は今もあまり変わらない。 (三浦)

パリの老舗の味、NYでも静かな人気

 1862年にパリで創業した老舗パティスリー「ラデュレ」。ラデュレといえば、2つのマカロンの間にガナッシュクリームを挟んだ「マカロン・パリジャン」発祥の店として有名だが、その脇に置いてある焼き菓子も見逃せない。可愛らしい筒状の透明パッケージに入ったクッキーや各種クロワッサン、エクレア、カヌレのほか、顔が隠れるほどの大きさのパルミエも香ばしくておすすめ。パルミエはフランス語で「ヤシの葉」を意味するハート型のパイで、表面に砂糖をふって硬く焼きあげたもの。ラデュレのパルミエは薄いがずっしり重くカリカリで、噛むほどにバターの風味が鼻に抜ける逸品だ。

 ラデュレではスープやサンドイッチを頼んでランチにしても、香り高い紅茶とマカロンで優雅なティータイムを楽しむもよし。マジソン店は店舗前に幾つかテーブルがあるだけなのでゆっくり食べるならソーホー店。ソーホー店の広い中庭には桜の木があり、毎年花びらが舞い散る季節にはピンク色の花びらの絨毯が中庭全体に広がり美しい風景が楽しめる。


Ladur

マジソン店:864 Madison Avenue

ソーホー店:398 West Broadway

https://www.laduree.us

営業時間:毎日午前10時から午後7時


その4:実は「ワイン王国」なミズーリ州

さあ行こう! 魅惑のアメリカ旧国道「ルート66」

 ルート66ファンの皆さん、こんにちは!日本は2年続けての外国人観光客不在の桜シーズンも終わり、夏に向かって日に日に暖かくなっています。先週新年度が始まりましたが、この号が出る頃はもうゴールデンウィークも間近でしょうか。日本の状況はちっとも良くなっていませんが…。

 さて今月のテーマ。私は以前カリフォルニア州ナパバレーの某ワイナリーで働いた経験があるのですが、その時のお客様より「ルート66にはワイナリーはあるのか?もしあるならそこへ行くプランを教えて欲しい」とのご要望を頂いたので、今回はワイナリー巡りを絡めたルート66旅のご紹介をしたいと思います。「えっ?ルート66でワイン?」皆さんの反応が想像できますが、ルート66にだって、NYロング・アイランドに(多分)負けない?美味しいワインがあるんですよ!

 というわけで今回登場するのは「ミズーリ州」。実はこのミズーリ州、結構なワイン王国なのです。そう、何と9つもの「ワイントレイル」が存在します。どうしてまたミズーリで?と言えば、米国開拓史時代に多くのフランス人が交易のためにこの地で生活していたことが挙げられます。セントルイスにはビール工場もあるように、ミズーリ州はワインやビールなどのアルコール産業が発達しました。ルート66が通るのは州の南西部にあたる「オザーク・ワイン・トレイル」地域となり、そのオザークの丘陵地帯St. JamesとRosatiの街を目指すことにします。

 発着空港は同州セントルイス、ランバート国際空港です。中都市の空港としては比較的大きく、機能的で使い勝手が良いので私もお気に入りの空港です。空港はダウンタウンから14マイル、車で20分程度の距離ですので、街へ行くにも南下してルート66方面に向かうにも、便の良い場所にあります。旅のシナリオは2泊3日、初日午前中にセントルイスに着く行程で。移動同日に飲酒をするのは大変ですから、まずは空港から33マイル、車で約30分のEurekaの街を目指します。ここにはRoute 66 State Parkがあり、ビジターセンターも兼ねてますのでワイナリーなどの情報収集をするには絶好の場所です。(お土産屋さんも充実!)お昼はEurekaから26マイル離れたSt Clairまで行き、本場米国の伝統ダイナー、「 Lewis Café」へどうぞ。午後はSt Clairから車でもう15分強、初日のハイライトは、Stantonの街にあるルート66きっての行楽地「Meramec Cavern」(メラメック洞窟)でしょうか。

 メラメック洞窟は全長約5マイルにもなる洞窟で、開園は古く1933年。当時よりルート66の観光名所であり、今でも何と「ミズーリ州内最大の商業洞窟」で、(州内には6000もの洞窟があります)その人気具合も半端なく、毎年約15万人の訪問者数を誇ります。洞窟内を90分かけて廻るレンジャー付ガイドツアーが人気ですが、このメラメック洞窟は、歴史上悪名高いギャング、ジェシー・ジェイムズが逃走中に「隠れ家」として利用したことでも有名です。紙面の都合上、詳細はググって頂きたいですが、かの人気俳優ブラッド・ピットも2007年公開映画「The Assassination of Jesse James 」で主演を務めています。

 洞窟を満喫後は今夜の宿泊地、Cubaへと向かいましょう。この地域の宿泊ではCubaの「Wagon Wheel Motel」を選択しないのはルート66へ行った意味が無いと言っても良い程です。Wagon Wheel に泊まり、夕飯はモーテル隣の「Missouri Hick BBQ」(バーベキューは州の名物)、翌朝はモーテルから徒歩圏内「Shelly’s Route 66 Café」での朝食は「お約束」です。Cubaの特徴は街を彩る歴史的な壁画プロジェクト。モーテルで無料マップをもらって是非街を散策してみてください。

 2日目はCubaから西へI-44を15マイル程行ったSt Jamesまで行きます。ミズーリ・ルート66は、道がフリーウェイに取って代わられた部分が多いので地図で確認しながらI-44での移動をおススメします。St James地域には「Rosati Winery」、「4M Vineyards」、「Meramec Vineyards」、そして「St. James Winery」と、4つの主なワイナリーがあり、特にSt James Wineryでは軽食を取りながらゆっくりできるのでランチタイムに充てるのもいいかもしれません。この日のハイライトはワイナリーなので時間の許す限り複数箇所を楽しんだら、セントルイスに戻りましょう。複路はI-44がGray Summitという街でState Hwy 100(旧ルート66)と交差しますので、そこからセントルイスまではフリーウェイでなく、ミズーリ・ルート66を堪能するのがおススメ。セントルイスでのお宿はルート66に拘れば、「Wayside Motel」をお試しあれ。

 さて最終日、セントルイスは大都市ですので、観光スポットに溢れてますが、街のシンボルである「Gateway Arch」は絶対に忘れないでください。その他、「Old Chain of Rocks Bridge」、「Cathedral Basilica of St Louis」などの名所、そしてバドワイザーの工場見学ツアーもあります。個人的な趣味を言えば、当然MLBカージナルスの試合なんかも(笑)。更にこれを忘れてはけません、「逆さにしても落ちないアイス」で有名な「Ted Drewes Frozen Custard」も是非。皆さんのお好みに合わせて最終日はセントルイス観光を満喫してくださいね。

 ところで、「米国でもワイン飲んで運転したら捕まるんじゃないの?」と心配する方も多いと思います。もちろん米国でも飲酒運転は犯罪ですが、一滴でも飲んだらダメな日本と異なり、「最大血中アルコール濃度」が重要になります。21歳以上の成人は0・08%以上で違反となりますが、それが保たれていて運転に支障が出るほど泥酔していなければ逮捕は免れます。ですが、罰されなければそれで良いわけではないので、皆さん各自、自己の責任で「飲酒はほどほど」に、休憩と水分補給を充分取って楽しい旅になるよう心掛けてくださいね。それではまた来月お目にかかります!

(後藤敏之/ルート66協会ジャパン・代表)

【今週の紙面の主なニュース】(2021年4月10日号)

(1)新規感染者の7割変異種

(2)護身術で身を守る

(3)草間彌生チケット発売中

(4)イケメン男子 スウエットシャツ

(5)トランプ大統領令失効

(6)第13回サクラ・ヘルス・フェア

(7)乳がんシンポジウム

(8)NY育英学園創立41周年

(9)Living in USA

(10  弁当で親日感深まった

新規感染の7割変異種

ニューヨーク市警戒強める

 ニューヨーク市保健省は3月31日、3月15日から21日の週に感染者から検出された新型コロナウイルスのうち、変異種が全体の70%を占めたと発表した。3週間前の51%からさらに増加した。

 ニューヨーク市公衆衛生研究所(PHL)とニューヨーク市パンデミック対応研究所(PRL)によると、3月15日から21日の間に確認されたのは、英国で最初に識別された「B.1.1.7」が590例、南アフリカで最初に識別された「B.1.351」が2例、カルフォルニア州で最初に識別された「B.1.427」が44例、同じくカルフォルニアで最初に識別された「B.1.429」が105例、ブラジルで最初に識別された「P.1」が1例だった。以上の5種はCDC(米疾病管理予防センター)が感染力が強いと懸念している。

 変異種はこのほかニューヨークで最初に識別された「B.1.526」が1800例、同「B.1.525」が10例、ブラジルで「P.2」が11例で、合計7078例だった。変異種は「B.1.526」が昨年11月にマンハッタンのワシントンハイツで確認されて以来増加。この8種は3週前は全体の50%だったが増加し70%にまで至った。ビル・デブラシオ市長は「私たちは状況を非常に深刻に受け止めている。決定を下す唯一の方法は、データと科学に導かれることです」と語っている。

 ワクチンを製造するファイザー、モデルナ、アストラゼネカは3社とも英国で最初に識別された「B.1.1.7」については、おおむね現行のワクチンは有効としている。一方、南アフリカで最初に報告された「B.1.351」については、ファイザーのワクチンでは抗体がウイルスを中和する効果が3分の1になったという実験結果が出ており検証中だ。モデルナも抗体の働きが6分の1になったという。ただしワクチンとして必要とされるレベルは上回っているとしている。アストラゼネカも軽度から中程度の症状を防ぐ効果が下がったものの「重症化を防ぐ効果はある」と発表している。  

75歳以上は予約不要
24時間ワクチン接種

 75歳以上のニューヨーク市在住者は、以下のワクチン接種会場にて予約無しで24時間いつでもワクチン接種を受けることができる。さらに、付き添い人もワクチン接種資格を満たしていれば、その場でワクチン接種を受けることができる。会場は、ブロンクス地区(Bathgate Contract Postal Station:4006 3rd Avenue)、ブルックリン地区(Brooklyn Army Terminal:140 58th St)、クイーンズ地区(Citi Field: 126th St, Flushing)の3か所。タクシーなどによる無料送迎車の予約も可能。問い合わせは電話877・VAX・4・NYCまで。

外出が困難な人自宅で接種可

 ニューヨーク市は、ワクチン接種資格があり、かつまだワクチン接種を受けておらず、ワクチン接種プログラムへのアクセスが不可、さらに外出が困難な人を対象に、ジョンソン&ジョンソン社のワクチンを自宅で接種するサービスを提供している。詳細はウェブサイトhttps://forms.cityofnewyork.us/f/homeboundを参照。

NY州民約3割ワクチンを接種

 ニューヨーク州は4月4日、これまでに1036万回以上の投与が行われ、州民の3人に1人が少なくとも1回、ワクチンを接種したと発表した。これは全米平均とほぼ同じだ。また対象も16歳以上とすると発表し、接種場所も増やし加速化を図る。しかし、前日の入院者数4373人、直近7日間の平均陽性率は3・56%で、3週間前の4486人入院、平均陽性率3・15%と、目立った効果はまだ現れていない。専門家からは変異種の継続的広がりがあるためではないかと懸念する声がある。

劇場やギャラリー接種証明で再開へ

 クオモNY知事は2日、ニューヨークの音楽とアートの会場は人数制限とコロナウイルス予防策で再開できると発表した。

 クオモ知事は先月、収容人数の33%に制限(屋内会場は最大100人、屋外会場は最大200人まで)したうえで、4月2日からイベントやアート、エンターテインメント会場での観客の動員を許可すると発表している。今回はさらに、全ての観客の新型コロナのワクチン接種証明か、陰性証明を確認することを条件に、アートやコンサートなどイベント会場の収容人数を屋内で最大150人、屋外では500人まで認めると付け加えた。