新生レストラン日本を背負って

レストラン日本CEO最高経営責任者

木下 直樹さん

 ニューヨークの老舗、創業59年の「レストラン日本」の現オーナー、古屋昭代さんからの再度の復帰要請を受け、CEOとしてこのほど5年ぶりに戻ってきた。レストラン日本のかつての「名声」を取り戻し、「名店復活」の任を託されての再登板だ。創業者、故倉岡伸欣前社長の教えを継承する「新生レストラン日本」のスタートは、踏襲ではなく「第二の創業」だ。

 倉岡氏は、慶應義塾大学体育会剣道部主将だったが、木下さんは同じ慶大の体育会バレーボール部出身。主将を務めた身長1メートル85のジャンボサイズだ。「我々の時代は、大学卒業後は大半が大企業に就職。年功序列で昇進、昇給が保証され、定年まで勤めあげれば安定した生活が保証される。でもそれは本当に自分が求めている人生か」と自問した。出した結論は「安定を求めず、やりたい事にチャレンジしよう」だった。大学の先輩だった故松平康隆氏(日本バレーボール会元会長、ミュンヘンオリンピック全日本男子バレー金メダル監督)の推薦によりイラク・バクダッドで世界バレーボール連盟国際コーチ講習会に参加、公認コーチのライセンスを取得。1978年、大学卒業と同時に国際交流基金よりパキスタンに1年間派遣された。コーチ生活終了後、松平氏から慶應同窓のレストラン日本社長、倉岡氏を紹介され、ニューヨークへ。レストラン日本を運営するワコーインターナショナルコープに入社し社会人のスタートを切った。

 同期が日本で普通の企業に就職し、駐在員としてNYに赴任しても決して経験できない、政財界、スポーツ界、芸能界のトップと身近に接する機会を得て多くを学べたという。倉岡氏からは「常に一歩下がった態度でお客様に接し、謙虚でなければならない」、しかしだからと言って「決して卑屈になってはいけない。プライドを持て」と教えられた。

 「新生レストラン日本」が目指す方向性は、老舗の名前にあぐらをかくのではなく、常に新しいものを目指す挑戦者たれだ。それは、時代の流れ、お客様のニーズを先取りし、それを料理に反映させること。お馴染みの伝統的江戸前に加え、地球に優しく、食物アレルギーのある人にも配慮した健康食「美味しいビーガン料理」の導入だ。ビーガン対応メニューの導入により、新しくビーガン客を呼び込み、客層の間口を広げる。「日本食には世界に冠たる精進料理の長い歴史があります。アメリカ人客への啓蒙にも努めたい」と意気込みを見せる。「お客様が帰り際に、笑顔で『サンキュー、美味しかったよ、また来るね!』と言ってもらえる店を目指します」と笑顔を見せる。天国から倉岡氏の「頼んだよ、ジャンボ。いいね!」という声が聞こえる。

(三浦良一記者、写真も)

「続・命のビザ」英語版

北出 明・著 キャッツ邦子・訳
Academic Studies Press・刊

 本紙の今年の新年特別号で、第二次世界大戦中に「命のビザ」を発給して多くのユダヤ人を救った日本人外交官、杉原千畝について特集した。「命のビザ」に関連したテーマで2010年から調査・執筆・講演活動を行ってきた北出明さんが、2012年に出した前著『命のビザ、遥かなる旅路〜杉原千畝を陰で支えた日本人たち〜』の続編で一昨年11 月に出版された『続・命のビザ、遥かなる旅路〜7枚の写真とユダヤ人救出の外交官たち〜』の英語版がこのほど完成した。杉原千畝の名声は広く知れ渡っており、新聞、テレビ、映画、演劇などで取り上げられ、さながら「命のビザ」は彼の代名詞のようになっていたが、初出版から10年余りが過ぎた現在、国内外における杉原研究はさらに進み、彼に対する見方は徐々に変化してきていることも事実だ。

 北出さんについてもその傾向は否めず、ここ数年は「命のビザは杉原千畝一人ではない、ユダヤ人を救った外交官はほかにもいるのだ」との観点から調査・研究を行ってきた結果の続編、そして今回出たのがその英語版「EMERGING HEROES」(アカデミック・スタデーズ刊)だ。

 「在野の一介のフリーランス・ライターに過ぎませんが、私のささやかな努力が世界のユダヤ人コミュニティと日本人との友情の進展の一助になれば望外の幸せです」と著者の北出さんは謙遜する。昭和41年(1966年)に国際観光振興機構(JNTO)に入社した北出さんが、当時JTB(日本交通公社)から出向していた大迫辰雄さんと出会ったことが、命のビザとのそもそもの馴れ初めなのだ。

 ヨーロッパから難を逃れて日本の敦賀に渡ったユダヤ人たちを乗船勤務中に世話をしたという大迫さんが、ユダヤ人たちの写真の貼られたアルバムを大切に保管していたのだ。

 第二次世界大戦中にヨーロッパから逃げてきた7人のユダヤ人難民の写真と運命的な出会いをした北出氏は、彼らの物語を紹介するだけでなく、献身的に「命のビザ」を発給した何人もの外交官にもこの本で光を当てている。

 登場するのは、駐カナウス・オランダ領事のヤン・ツバルテンダイク氏、駐ウラジオストック領事代理の根井三郎氏、駐神戸オランダ領事、後に駐日オランダ大使となるN・A・J・デ・フォート氏、駐ソ連大使の建川美次氏、駐日ポーランド大使のタデウシュ・ロメル氏の4人。

 ヤン・ツバルテンダイク氏は、杉原千畝が発行するビザの後に控える渡航先であるオランダ領であったカリブ海上のキュラソー島入国ビザを発行した人物だ。北出さんは、ツバルテンダイク氏の次男、ロバートさんとアムステルダム郊外で面会した。「父がユダヤ難民を助けたのは人間としての博愛精神からであって、過度に功績を強調されることは望んでいなかったでしょう。しかし、その行為がまったく注目されていないことは残念なことです」と遺族としての複雑な思いを語る。ツバルテンダイク氏の功績は、母国ですら知られていなかったのだ。今回の英語版によってそれが彼の母国だけでなく世界中の人々の目に触れることになるだろう。(三浦)

軽度の発達障害への理解を求めて

ミス・ティーンズ環太平洋代表で来米

鈴木陽菜さん

 静岡県藤枝市に住む17歳の女子高校生、鈴木陽菜さんがテネシー州キングスポートで7月30日まで開催されたミスコンテストに出場し、ミス・ティーンズに環太平洋代表として参加した。日米、オーストラリアから最終選考に選ばれた22人が集まったその舞台で彼女が訴えたのは、社会貢献活動に取り組む10代の若者を支援することだった。このコンテスト自体が、社会貢献活動に取り組む10代の若者を支援するものだけに社会に対して自分が訴えたいことを表現する絶好の機会となった。

 陽菜さんの弟、大夢さんは14歳。大夢さんは小学4年生の時に、軽度の発達障害と診断を受けた。「私もつらかった。弟が、こんなに苦しんで部屋にこもり、外に出られない状況を見て苦しかった。軽度、グレーの発達障害は見た目には表れない。ちょっとできないことがあると『何でできないんだ』と叱られたり。軽度の発達障害の人にとってはやってもできないことも多くあって根性論でなんとかなる問題ではない」と痛感した。

 陽菜さんは高校入学後、弟の大夢さんの事を理解しようと、障害のある子どもたちが通う、放課後等デイサービスでボランティアを続けているという。

 「今、若い世代を変えることによって、これから多様性について理解できる社会をつくっていけると思う。それぞれの個性を受け入れる社会であってほしい」。

 陽菜さんは、そんな家族から学んだ大切なことを世界の舞台で伝えにやってきた。「大会で私が感じていることを同じ出場者たちに質問してみると、理解されない多くの人がいることが分かった」。軽度の発達障害は学習面にも影響するため、教師からはなかなか理解されないという現状があるという。

 将来は、子供たちの教育の中で、そういうことを理解できるような多様性のある教育関係の仕事に進みたいという。「どんな子供にも自分に合った場所がある。自分を理解して愛して、自分の得意分野で伸びていくことを目指すためには、自分分析も必要です」。帰国後は、自身の体験を広く伝えるために講演活動もしていきたいという。これからの日本を背負っていきそうな芯の強さを感じさせる頼もしい17歳だ。(三浦良一記者)

Photo: Josie Valdez

ハーレムのガーデン、アートと音楽イベント

高氏奈津樹の演出

 ニューヨークのコミュニティガーデンでアートや音楽イベントなどを主催し、地域へ貢献する意図で2020年に発足したザ・アーティスト・ガーデナー・NYC(The Artist Gardener NYC)の発起人でアーティストの高氏奈津樹が、ハーレムにて10月1日まで開催中の展示「 Echoes in Harlem」をキュレーションした。会場は、西132丁目コミュニティガーデン(132丁目108-114番地)。参加アーティストは、Morgen Christie、Sarah E.Brook、Linda Ganjian、Yvonne Shortt。毎週金・土・日曜の正午から午後7時 (雨天閉園)。

 20日(土)午後5時からは、ラリー・ローランド・プロジェクト(ラリー・ローランド、キヨコ・レイン、トミー・モリモトほか) によるライブミュージック、日没からはMorgenのサウンド&ビデオアートパフォーマンス「Inheritance」が行われる。

みんなで盆踊りと神輿担ぎ

第2回ジャパンビレッジ夏祭り

 ブルックリン区サンセットパークにある日本食と日本文化発信の複合施設「ジャパンビレッジ」で、27日(土)午後2時から6時まで、昨年に引き続き今年で2回目となる日本の夏祭りが開催される。

 イベントではまず第1部として、日本の伝統文化を紹介するさまざまなパフォーマンスを行う。ジャンボ折り紙の実演を披露する「タローズ折り紙スタジオ」、ニューヨークを拠点に独特な和洋折衷のビートの世界を表現する太鼓グループ「鼓舞」、海外を中心に日本文化を紹介する活動を行う三味線弾き語りシンガーソングライター「なつみゆず」、昨年ニューヨークで新しく誕生したよさこい踊りのグループ「紅玉」、迫力あふれるチャンバラショーで観客を魅了するヨシ天尾率いる殺陣軍団「サムライソードソウル」などが出演する。

 そして第2部では、実際に来場者も一緒に体験できる参加型の演目を用意。まずは、日本各地に伝承される踊りを研究しニューヨークで日本の伝統的な民族舞踊を紹介する「民舞座」が出演しさまざまな日本舞踊(民舞)を紹介。次に「炭坑節」や「東京音頭」など日本人なら誰でもなじみのある盆踊りを飛び入りの一般参加者も交えながら大勢で輪になって踊る。民舞座のプロの踊り手たちが踊り方を教えてくれるので、初めての人でも自由に参加し踊りを楽しめる。また、踊りの後は実際に日本の祭りに使用していた本格的な「神輿」が登場し、子供たちや一般参加者による貴重な神輿担ぎ体験を行う。そしてイベントの最後には、日本の夏の風物詩の行事でもある「こどもスイカ割り」を開催。割ったスイカは来場者に無料でふるまわれる。

 会場には、ヨーヨー釣り、スーパーボール&人形すくい、わたあめ、かき氷などの屋台が並び、日本の縁日でおなじみの「おめん」の販売などもある。その他、とうもろこし、焼きそば、ラムネなどの販売ブースも出店予定。当日、浴衣や甚平、着物を着て参加の子供たちには特典がある。

合田沙おり

 日本の夏祭りを象徴する出し物が盛りだくさん。子供連れ、家族世帯にぴったりな参加型のアットホームな無料イベントで、暑い夏を締めくくる日本文化紹介のお祭り行事となっている。司会は俳優・声優の合田沙おりさんが担当しイベントを盛り上げる。

 イベントの開催場所は、インダストリーシティ内サンライズマート・ブルックリン店(934 3rd Ave.)がある建物の奥の中庭。雨天の場合は、ジャパンビレッジ2階の屋内催事スペース「The Loft」に場所を移動して開催する。 主催はジャパンビレッジ、後援は国際交流基金ニューヨーク日本文化センター、協力団体および企業は、ブルックリン日系人家族会(BJAFA)、ブルックリン日本語学園、キッコーマンUSA、トキタ種苗、アムネットUSA、ジャパン・ソサエティなど。

 イベントに関する問い合わせは電話917・330・4880、またはEメール[email protected] まで。詳細はウェブサイトwww.japanvillage.com

(写真)左上から時計回りに、タローズ折り紙スタジオ、鼓舞、なつみゆず、民舞座、サムライソードソウル、紅玉

編集後記 2022年 8月6日号

みなさん、こんにちは。ニューヨークはアートの街です。本紙が主催するオンライン「週刊NY生活ギャラリー」(https://nyseikatsu.com/gallery/)では、これまで週刊NY生活紙上で紹介した作家、掲載した作品を本紙ウェブサイト(www.nyseikatsu.com)で常設展示していますが、現在、2023年度(今年9月から~来年8月)の新規作家の展示作品を募集しています。対象は、過去に本紙で作品が紹介されたことのある人、またはニューヨークで個展、グループ展に参加されたことのある人、もしくは将来何らかのNYにおける企画展に参加する予定のある人です。展示サイトには、作家のポートフォリオ、顔写真、絵画、写真、彫刻などの作品を最大10点まで期限1年間で掲載します。毎年更新が可能で、作品の入れ替えもできます。本紙読者にとってはニュース閲覧のついでにアート作品を気軽に楽しめるだけでなく、気に入った作品があれば購入することもできます。作家にとっては、多くの読者が毎週閲覧する本紙のウェブサイト・ギャラリーで、自分の作品を多くの人に見てもらえるだけでなく、作品を販売する新たなチャンネルとして利用することができます。日本国内在住作家の皆様の応募も歓迎です。今回から年に1度、参加作家による紙上ギャラリーも開催する予定です。週刊NY生活オンラインギャラリーへの参加申し込みの締め切りは8月31日です。申し込み方法や、詳細は、本紙今週号の19面の記事、または、ウェブサイト内の「週刊NY生活ギャラリー」のコーナーをご参照ください。アートは見て楽しんでもらってこそ価値があります。不特定多数の読者が閲覧する新聞社の本紙サイトだからこそできる「NY発の作品発表の場」をぜひご利用いただき、もしお知り合いにアーティストの方がいましたら、ぜひ皆様にもお知らせください。私も参加作家の皆様の末席に参加させていただいてます。よろしかったらご覧ください。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2022年8月6日号)

(1)原爆の日に平和祈る 戦争のない世界NYから

(2)阿部寛さんに国際映画賞 NYアジア映画祭で喜び語る 

(3)増田セバスチャン  色の力で街に活気を

(4)海外日本人サポート 最高裁判事の孫の日本国籍剥奪

(5) 岸田首相国連で演説 核兵器なき世界訴える 

(6)NY日系人会館水浸し 天井から大量の水漏れ

(7)Z世代トップ10ブランド 街角ファッション 

(8)トランペット大野俊三 生きる力響く

(9) 週刊NY生活ギャラリー 2023年度作品を募集

(10)映画「EKIDEN」を上映 6日にアジア・ソサエティーで

原爆の日に平和祈る

戦争のない世界NYから発信

国連教会で5日

 宗派を超えて世界平和活動を行うNY平和ファウンデーション(中垣顕実会長)は5日(金)午後6時から国連チャーチセンターで招待客と出演者のみの平和式典「第29回インターフェイス平和の集い=広島・長崎原爆犠牲者追悼(77周年)並びに閉鎖祈念」を行う。一般にはオンラインでの参加を呼びかけている。

 原爆で犠牲になった命、さまざまな戦争で失われた命に敬意を表し、毎年、広島原爆投下のNY時間8月5日、午後7時15分(日本時間、8月6日、午前8時15分)に合わせて行っている。式典を通して、原爆、戦争の過去を振り返る中、再び同じ悲劇を起こさないよう、内外の平和を祈念し、全ての命を大切にする「核兵器のない」平和な社会の構築のメッセージを発信する。当日は、式典に長崎市の田上富久市長とエリック・アダムス・ニューヨーク市長がインパーソンで出席する。 

 式典では、超宗教の祈念仏教、キリスト教、ヒンズー教、イスラム教、被爆者の体験談(森本ウエスト富子さん)、広島市長のメッセージ、パーフォーマンスは、ひろしま平和文化大使・原田真二、ソプラノ・服部愛生、歌舞伎役者・中村橋吾、ダンサー・杉山奈穂子が参加する。バーチャル広島原爆資料館ツアー(西前拓)。広島の原爆投下同時間に合わせ平和の鐘を鳴らす。オンライン:Zoom ID: 824 9809 7126 Passcode: 220806、フェイスブック・ライブ:facebook.com/HeiwaPRF

阿部寛さんに国際映画賞

NYアジア映画祭で「異動辞令は音楽隊!」

「受賞とても嬉しい」
俳優として西洋とアジアとの架け橋に

 ニューヨーク・アジア映画祭(NYAFF)で俳優の阿部寛さんが、日本で8月26日から全国公開になる新作「異動辞令は音楽隊!」(内田英治監督、制作幹事・配給・ギャガ株式会社)で「スクリーン・インターナショナル・スター・アジア賞」を受賞した。日本の映画俳優としてこの賞を受賞するのは同映画祭20年の中で初めて。

 阿部さんは、「アジアをテーマとしたニューヨークの映画祭で受賞してとても嬉しい。俳優として西洋とアジアとの架け橋になれたらいい」と喜びを語った。

 同映画で阿部さんは、地方警察バンドのドラマーとして駆り出される不機嫌な刑事役を演じている。仕事一筋の「昭和の男」が現代のコンプライアンス(法令遵守)の中で、パワハラの内部告発で第一線を外されながらも、不本意な職場で努力する中で、今まで顧みなかった家庭や家族との絆、第2の人生にもまた新たな幸せを見い出す中年男性の姿を描く。

 この映画は、日本に先駆け、同映画祭の会場となったリンカーンセンターでワールドプレミア上映された。授賞式のため来米した阿部さんは、内田監督と共に舞台挨拶し、会場を埋めた大勢のファンやニューヨーカーたちから大きな拍手を受けていた。

(写真上)舞台挨拶のため来米した阿部寛さん(7月22日、リンカーンセンターで、写真・三浦良一)

変化する社会や人生描く 内田
新しい第2の人生も素敵 阿部

 ニューヨーク・アジア映画祭が15日から31日までリンカーンセンターを中心に開催された。今回ワールドプレミア上映された内田英治監督の「異動辞令は音楽隊!」で、地方警察バンドのドラマーとして駆り出される不機嫌な刑事役を演じた俳優・阿部寛さんが、30年にわたるキャリアで培った多彩な才能、国境を越えた魅力、多様なジャンルに対応する能力を評価され「スクリーン・インターナショナル・スター・アジア賞」を日本の映画俳優として初めて受賞した。

阿部寛さんの話  

■ドラムスの経験がなくてドラマーの主役に=撮影の2、3か月前から先生について特訓を始めたが、簡単な動きができなくて、これに足があるのかと思うと愕然とした。本当に1か月くらいたっても手が馴染まなくて、やばいなと思っている時にバディ・リッチの雫が水面に垂れるような音に出会い、音の波紋がすごいなと思い、それまでただ乱暴に叩くだけだというイメージだったドラムスへの印象が変わり、本番中も練習してなんとか手足が揃うまでになった。1か月間、部活のように音楽と共に生活した体験は私の中で宝物になった。

■警察音楽隊の魅力=警察の仕事をしながら市民の笑顔に接することができる。見ている人たちにメッセージが確実に伝わる。これは警察の仕事として犯罪を防止する上で大切な仕事だなと思った。映画では、昭和の男の典型的な刑事が、音楽隊に配属されて「なんで俺が?」となるわけですが、以前、銀行に勤めていた仕事一筋の知人が、奥さんが倒れて、会社を辞めて介護して、ものすごく変わった。人って変われるんだなと思った。主人公の成瀬が練習場に歩いていく時にふと、思わず泣けた。自分の中で変わった姿に第二の人生も素敵だなと思った。

■アジア映画祭での受賞=ニューヨークでやっているアジアをテーマにした映画祭で賞をいただけてとても嬉しいです。アメリカで評価されるのは初めてで、俳優として西洋とアジアの掛け橋になれたらいいなと思う。海外の作品からのお声がかかれば、出たいという希望はあります。やれるかどうかわかりませんが。

■昭和の男から若者へメッセージ=日本だって(人生に)失敗してもセカンド・ステージもサード・ステージもあると思う。私も不遇な時代もあったし、プライドに凝り固まって打ちのめされたこともあるけれど、それがあったから一つ一つのチャンスにも巡り会え、エネルギーになっている。だから若いうちには、挫折がある方が強くなれるので失敗を恐れずに頑張って欲しい。

内田英治監督の話

■帰国子女の経験が作品に=10歳まで海外で育って11歳の時に帰国した。日本文化に慣れるのに戸惑った。昭和から平成、令和へと時代の移り変わりと共に社会の急激な変化があり、この映画でも中年が急激な変化の中で生きる姿を描いている。これからも作品を通し、世界からちょっと遅れをとっている日本が変わっていく部分を描いていきたい。

■映画祭で世界の人に=映画祭を通して、外国の人や海外の日本人に見てもらうチャンスが広がる。観てもらって映画なので、観客に親指を立ててグーのサインをしてもらうと作りがいを感じる。映画祭がなかったら、商業的にうまくいく映画しかなくなってしまう。

■コンプライアンス=映画の撮影現場は独特の気風の中で保守的な部分もあり、世界が問題意識を持っている中で、作り手の僕らが認識することが必要だ。

色パワーで街をハッピーに

増田セバスチャン、NY移住後初個展

ウクライナ支援チャリティ

 アーティストの増田セバスチャンのチャリティアート展「カラー・フォー・ピース」(協力・ニューヨーク日本総領事館)が7月29日から31日まで、ミズマ&キップスで開催された。増田のNY移住後初のイベントで「平和を考える」をテーマに、平和のための4つの色(青、黄、 緑、ピンク)をフィーチャーした作品を130点あまり展示した。作品販売による利益の一部と寄付箱に集まった金額は全米ウクライナ女性協会や、戦争で傷ついた人々を支援する人権団体に寄付される。会場にはアーティストが愛用するビンテージシーツを使用したペイント作品やリトグラフのほか、ベッドのインスタレーションやドネーションボックスなどが展示された。 29日夕に開催されたオープニングレセプションにはニューヨーク日本総領事館から松本大主席領事と全米ウクライナ女性協会のマリア・バンガー代表が来場し、祝辞を述べた。  

 増田さんは「カラフルな色が持つ、ドキドキ、ワクワク感を、人種・宗教・年齢・性別・国境、ありとあらゆるボーダーを飛び越え、色の少ないニューヨークでハッピーに感じてもらえることを願っています」と話した。会場には300人余りのファンや美術愛好会が集まり、ゴシック・アンド・ロリータ「カワイイ」ファッションに身を包んだ若者たちで賑わった。

最高裁判事の孫の日本国籍が剥奪(はくだつ)

海外日本人サポート(5)藤田幸久

 ① 山浦善樹元最高裁判事の英国在住の小学生の孫が、領事館から「パスポートの更新はできない。日本国籍を本人の志望により放棄する、との書類を提出すべし」と迫られた。② 米国在住近藤ユリ弁護士が、日本パスポートの更新を拒否されたため、新型コロナの影響で、帰郷中の日本から出国すると日本に帰国できない状況にある。③「親の死に目に会えなかった」「日本の親族を訪問したいが、国籍喪失届を提出しない限りビザは出せないと脅された」などの悲鳴が続出している。

 海外日本人に対するこれらの仕打ちの根拠は国籍法11条1項「日本国民は自己の志望によって外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う」です。日本国籍を維持したいか否かの意思に関わらず、強制的に国籍が剥奪(はくだつ)されるのです。外務省は長年両方のパスポートを持つ日本人を黙認してきましたが、コロナが発生するや、上記の仕打ちを強行するようになりました。    

 山浦善樹元最高裁判事は「孫の日本国民としての権利保障がされない、母国から排除される法律だ」と批判しています。近藤ユリ弁護士はこの国籍法は憲法違反だとする訴訟を起こしました。スイス在住の野川等さん他は、外国籍を取得しても自動的に日本国籍を失うのではなく「日本国籍を保持するかどうか当人が選択できる」よう国籍法第11条の改正を求めています。「国籍法第11条改正を求める有志の会」はこれを支援するオンライン署名活動を行っています。

 実は日本政府は真逆のことも行っています。ノーベル賞受賞者の南部陽一、中村修二、真鍋淑郎、カズオ・イシグロさんなど日本国籍の無い方々を日本人として賞賛しているのです。近年も岸田文雄首相が真鍋教授を「日本人として大変誇らしい」と持ち上げました。これらの方々の日本国籍を奪っていたにもかかわらずです。テニスの大坂なおみさんには多重国籍から「外国の国籍を放棄します」と印刷された国籍選択届に署名・提出させたのです。

 海外日本人ほど、日本に対する愛国心や日本に対する貢献の気持ちが強いものです。学術やスポーツなどで活躍する海外日本人に一つの国籍を強いること自体が日本の国益に反します。海外日本人の皆さん、国籍法を正す活動へのご支援をお願いいたします。

ふじた・ゆきひさ=水戸一高、慶大卒。世界的な道徳平和活動MRAや難民を助ける会で活動した初の国際NGO出身政治家。衆議院・参議院議員各二期。財務副大臣、民主党国際局長、民進党ネクスト外務大臣、横浜国立大講師等歴任。対人地雷禁止条約加盟、アメリカ元捕虜(POW)の訪日事業を主導。世界52ヵ国訪問。現在国際IC(旧MRA)日本協会会長。岐阜女子大特別客員教授。

岸田首相国連で演説

核兵器なき世界訴える

 岸田首相は1日、国連本部で演説した。首相は「私は今回のNPT運用検討会議に強い危機感を持ってやって参りました。外務大臣として参加した2015年会議の決裂以降、国際社会の分断は更に深まっています。NPTは軍縮・不拡散体制の礎石として国際社会の平和と安全の維持をもたらしてきました。NPT体制を維持・強化する事は国際社会全体にとっての利益です。この会議が意義ある成果を収めるため協力しようではありませんか。我が国はここにいる皆様と共にNPTの守護者としてNPTをしっかりと守り抜いて参ります。特に、ロシアによるウクライナ侵略の中で核による威嚇が行われ、核兵器の惨禍が再び繰り返されるのではないかと世界が深刻に懸念しています。『核兵器のない世界』への道のりは一層厳しくなっていると言わざるを得ません。しかし、諦めるわけにはいきません」とスピーチした。(写真・岸田首相ツイッターから)

林外相が来米、DCで講演

 林芳正外務大臣は7月28日から31日までワシントンDCを訪問した。滞在中、林大臣は日米経済政策協議委員会(経済版「2+2」)に出席したほか、ブリンケン国務長官との日米外相会談や戦略国際問題研究所(CSIS)での講演を行った。林大臣の就任後初のワシントンDC訪問となるこの機会を通じて、インド太平洋地域、国際社会の平和と繁栄の基盤である日米同盟の一層強化に努めた。