軽度の発達障害への理解を求めて

ミス・ティーンズ環太平洋代表で来米

鈴木陽菜さん

 静岡県藤枝市に住む17歳の女子高校生、鈴木陽菜さんがテネシー州キングスポートで7月30日まで開催されたミスコンテストに出場し、ミス・ティーンズに環太平洋代表として参加した。日米、オーストラリアから最終選考に選ばれた22人が集まったその舞台で彼女が訴えたのは、社会貢献活動に取り組む10代の若者を支援することだった。このコンテスト自体が、社会貢献活動に取り組む10代の若者を支援するものだけに社会に対して自分が訴えたいことを表現する絶好の機会となった。

 陽菜さんの弟、大夢さんは14歳。大夢さんは小学4年生の時に、軽度の発達障害と診断を受けた。「私もつらかった。弟が、こんなに苦しんで部屋にこもり、外に出られない状況を見て苦しかった。軽度、グレーの発達障害は見た目には表れない。ちょっとできないことがあると『何でできないんだ』と叱られたり。軽度の発達障害の人にとってはやってもできないことも多くあって根性論でなんとかなる問題ではない」と痛感した。

 陽菜さんは高校入学後、弟の大夢さんの事を理解しようと、障害のある子どもたちが通う、放課後等デイサービスでボランティアを続けているという。

 「今、若い世代を変えることによって、これから多様性について理解できる社会をつくっていけると思う。それぞれの個性を受け入れる社会であってほしい」。

 陽菜さんは、そんな家族から学んだ大切なことを世界の舞台で伝えにやってきた。「大会で私が感じていることを同じ出場者たちに質問してみると、理解されない多くの人がいることが分かった」。軽度の発達障害は学習面にも影響するため、教師からはなかなか理解されないという現状があるという。

 将来は、子供たちの教育の中で、そういうことを理解できるような多様性のある教育関係の仕事に進みたいという。「どんな子供にも自分に合った場所がある。自分を理解して愛して、自分の得意分野で伸びていくことを目指すためには、自分分析も必要です」。帰国後は、自身の体験を広く伝えるために講演活動もしていきたいという。これからの日本を背負っていきそうな芯の強さを感じさせる頼もしい17歳だ。(三浦良一記者)

Photo: Josie Valdez