あの日の散歩道 ニューヨークの魔法

 今朝も空は真っ青で、ハドソン川の川面には太陽の光が反射し、輝いている。ヨットがゆったりと行き来する。

 こんな気持ちのよい日に、部屋で執筆? 神様がくれた最高のプレゼントではないか。

 そうだ、フェリーに乗ろう。

 ガバナーズ島に行かないかと友人夫婦に誘われたが、仕事があると断った。確か、十時発のフェリーに乗ると言っていた。運がよければ、会えるかもしれない。

 ガバナーズ島は、マンハッタン島南端のサウスフェリーからフェリーで五分ほどのところにある。ニューヨークがオランダ領からイギリス領になり、ガバナーズ島(英国植民地の総督の島)と呼ばれるようになった。独立戦争以降は、砦や基地の役割を果たしてきたが、今は夏の間、教育や遊びの場として市民に開放されている。 

 急いでアパートを飛び出し、走った。フェリー乗り場は、ワールドファイナンシャルセンターとは反対側の方角にある。

 近くのカフェでは、外のテーブルにすわって、三十代ほどの女性がひとり、コーヒーを飲みながら新聞を読んでいた。すみませんが、と声をかけ、サウスフェリーはここから歩ける距離かしら、と尋ねた。

 十分くらいよ。でも、今日は天気がいいから、ちょっと時間はかかるけど、もっと景色のいい道順はどう?

  女性が聞き返す。

  It’s a nice walk.

  歩いたら、気持ちいいわよ。

 いえ、早く行ける道順を教えて。遅れそうなの。

 あら。じゃあ、最短距離がいいの?

 そう言って、女性が笑った。

 そういえば昨日も、見知らぬ人に道を尋ねると、同じことを言われた。

 ずいぶん急いでいるみたいだね。ちょっと遠回りでよければ、気持ちのいい行き方があるよ。こんなに、すがすがしい日なんだから。

  It’s a nice walk.

  歩いたら、気持ちいいよ。

 そう言われて、これからはもう少しゆとりを持って、早めに家を出ようと思ったばかりだった。いずれにしても、歩く道。景色を楽しみながら、散策できるほうが、何倍も楽しいではないか。

 やっぱり、気が変わったわ。景色のいい道順を教えて。

 私がそう言うと、女性は笑った。

  There you go.

  そうでなくっちゃ。

 十時のフェリーに乗り遅れたら、次に来たのに、乗ればいい。

 右手にハドソン川を眺めながら、川沿いの遊歩道を歩いていく。マンハッタンと、ニュージャージー州やスタテン島を結ぶ通勤用のフェリーが、ゆったりと行き交う。右手の海に、自由の女神が立っている。海を眺めながら、女神に近づいていく。

 このあたりは、きれいですね。

 数日前に出会った車椅子の男性に、私がそう声をかけると、彼は答えた。

 そうだね、今は。でも、同時多発テロ事件のときは、地獄だった。

 二〇〇一年九月十一日のあの朝、高層ビルの窓から人々が身を投げた。地面に肉片が散らばった。コンクリートの破片や粉塵、窓から飛び散る書類が舞うなか、ビルや飛行機の残骸を避け、絶叫しながら、多くの人が川辺まで逃げ切った。

 いざというときには、川に飛び込む覚悟を決め、柵を越えて川の目の前に立ち並んでいた。私の友人も、川辺まで走り抜け、途方に暮れていた。やがて訪れたフェリーで、ニュージャージー州に逃れた。

 厳しい船の旅の果てに、ようやくアメリカにたどり着いた人々を、女神は迎え入れてきた。その女神のすぐそばで、二棟のマンハッタンの象徴は、沈むように崩れ落ちた。

 ニューヨークの人たちは大きな心の傷を負い、この界隈から遠ざかっていった。

 今、その川辺にはピンクと白のハマナスの花が咲き乱れ、ボランティアの人たちがしゃがんで手入れをしている。老若男女がジョギングしている。五、六歳の男の子がふたり、追いかけっこをしている。そんな風景を、ひとつひとつ記憶にとどめるように、私はゆっくりと川沿いを歩いていく。

 このエッセイは、「ニューヨークの魔法」シリーズ第4弾『ニューヨークの魔法のさんぽ』に収録されています。

ブレイクスルーアート展、トライベッカで始まる

 トライベッカ地区にあるワン・アート・スペース・ギャラリー(ワレン通り23番地)で、5月8日から2会期に分けて期間限定のグループ展「ブレイクスルー」が開催されている。

 「始めなければ、始まらない。」をテーマに、日本で活躍する計38人の新進気鋭のアーティストたちの作品が集結。青のペンのみを使用して緻密に幻想的な作品を描き上げるAoi Hanane氏、日本のカルチャーを象徴するような遊び心がありつつも調和のとれたミクストメディア作品を生み出すEMI・KIBAYASHI氏、アートを通して身体的なコンプレックスの昇華を目指すAkie Abe氏など、独自のアプロ—チを開拓していく現代日本作家たちの作品が展示される。

 第1会期は5月8日から12日まで開催され、レセプションパーティーが9日午後6時から開かれた。当日は日本から来米した2人の作家、YUKIKOの作品「愛と平和」とHIKARUの作品「ストリート。グラビティー」に注目が集まった。YUKIKOは流木と越前和紙に円相を般若心経といろはにほへとで描き「隔てのない愛」を表現。HIKARUは、立ち上がる時のエネルギーを表現した作品で独特の力強さを感じさせ、この作品が今月フランスで開催されたアートパズル展でグランプリを獲得、ドバイのアート展でも話題となるなど海外で高い評価を受けている新人。今月東京でも個展が開催される。第二期の参加アーティスに夜ライブペイントイベント(書道・足跡ペイント)は18日(土)午後6時から。入場無料。開廊時間は正午から午後6時。詳細はhttps://www.eventbrite.com/e/breakthrough-new-and-rising-japanese-artists–tickets-782085056457

NY山口県人会、伊藤市長迎え懇親会

 ニューヨーク山口県人会(沼田忍代表世話人)はジャパンパレード前日の10日夜、山口市と合同で懇親会をニューヨーク日系人会で開催した。当日は山口祇園囃子保存会10人を含む訪米団19人と合わせて50人あまりが参加して、パレードで演奏する日和神楽を楽しんだり、獺祭の日本酒を飲んだりして歓談した。同時間帯にニューヨーク日本総領事の森美樹夫大使の夕食会に招かれていた伊藤和貴市長も大使との夕食会後、懇親会の終盤に会場へ駆けつけ、県民を驚かせて大歓迎を受けた。

 また会場では、来米した山口祇園囃子保存会の代表で山口県神社庁の真庭宗雄庁長が、当日偶然に、小学校時代の同級生だったNY山口県人会のメンバー、サベッジ福田純子さん(70)と60年ぶりに再会するという感動の一場面もあった。

 山口市は、今年1月にニューヨーク・タイムズ紙の「2024年に行くべき52か所」の一つに選ばれたことを受け、ニューヨーク総領事館から自治体国際化協会を通じてパレード参加を要請されていた。パレード当日は伊藤市長ら市職員、山口観光コンベンション協会、湯田温泉旅館協同組合、そして山口祇園囃子保存会のメンバー総勢19人がフロートに乗って行進、県人会のメンバーも一緒に歩いて山口市をPRした。 (20面に記事と写真)

サーロー節子の不屈の反核人生描く映画「ヒロシマへの誓い」

PBSで26日放送
動画での視聴も可能

 米公共放送(PBS) は5月31日(金)まで、カナダ在住の元被爆者で反核運動のパイオニア、サーロー節子さん(85)の人生を、被爆二世で同映画のプロデューサーである竹内道さんとの出会いと友情を通して描いた2019年製作のドキュメンタリー映画「ヒロシマへの誓い(The Vow From Hiroshima)」」をテレビ用に再編集(56分)して放送している。時間は州や地域によって異なるが、ニューヨーク市を含めた多くの都市では、メモリアルデーウィークエンドに当たる26日(日)午後7時から放送。また、PBS.org および同アプリを通じてビデオ・オン・デマンド(VOD)/ストリーミングでも視聴できる。 

 サーロー節子さんは13歳で被爆、奇跡的に生き残ったが家族と広島女子学院の同級生の多くを失った。以降、カナダや米国、英国、日本で被爆体験を公に語ることで核兵器廃絶を訴えてきた。2017年のノーベル平和賞授賞式での感動的な受賞スピーチは同映画のクライマックスだ。監督は、エミー賞や全米監督協会賞を受賞したベテラン映像作家のスーザン・ストリックラー。日本映画平和賞を受賞。

 全米でテレビ放送する目的について竹内さんは「今年のアカデミー賞を総なめにした『オッペンハイマー』では、核放射性降下物が人間や環境にどれほど壊滅的な影響を与えるかについてほとんど触れていなかった。(テレビ放送で)より多くの米国人に知ってもらうことにより、核廃絶と平和交渉の重要性について意味のある会話のきっかけとなれば。まだこの作品を観ていない日本の方々もぜひ」と話している。詳細はwww.thevowfromhiroshima.com から。

真珠の芸術展、上村栄司氏が来米

ギャラリーMAXニューヨークで21日から

 パールアート作家、上村栄司(うえむら・えいじ)の展示会「真珠の芸術」が 5月21日(火)から25日(土)までソーホーのギャラリー・マックス・ニューヨーク(ブロードウエー552番地4階、401号、電話212・925・7017)で開催される。ニューヨークでは2年ぶり8回目の開催。

 上村は、 三重県南伊勢で祖父の代から真珠養殖を営む3代目で、真珠に限りない愛情を注ぎ制作に取り組んでいるユニークなパールアート作家だ。

 身に着けるジュエリーだけでなく、身に着けない時間もアートとして楽しめるパール作品を次々に発表している。

 上村は「 真珠は生物が作り出す唯一無二の宝石。 私はその真珠を世界に一つだけのアートとして楽しんでもらいたい。 特別の日だけでなく、遊び心のある、日常に溶け込むようなパール作品を作りたい。ふとした一人の時間に絵画のように眺めたり、家族や友人との楽しい時間を演出したり。 そして出かける時には相棒のように連れ出して色々な場所で自身を輝かせる。そんなことをイメージしながら、毎日真珠と共に人生を歩んでいる」と話す。

 オープニングレセプションは5月21日(火) 午後6時から8時まで。アーティストトークは午後6時30分から7時まで。 5月21日を除く展示期間中、事前に予約すれば、上村氏に個別に応対案内してもらえる。予約はEメール[email protected] 藤島さん。定員になり次第締め切り


Gallery Max New York (4階)

入場無料

552 Broadway (bet.Prince and Spring Street/ Intercom#9)

Room 401 New York, NY 10012

Tel.212-925-7017 Cell.917-704-1743

E-mail: [email protected]

夢を叶える時間術

篠原さんがタイムマネジメント講座

JAAヘルスフェア

 ニューヨーク日系人会(JAA)主催第16回春のヘルスフェアで、NY日系ライオンズクラブが企画したプログラム「ライオンズ大学:大人の教養講座シリーズ」第8弾がYouTubeで公開されている。各講師30分程度の凝縮セミナー。期間中何度でも自由に視聴できる。第3回目の今週号では篠原丈司氏(タイムマネジメント講師)が「タイムマネジメント講座 夢を叶える時間術」を解説している。

 篠原さんは、大分県出身で、1992年に三越に入社。2009年に社会保険労務士篠原事務所設立。22年には子供向けのタイムマネジメントを普及する協会も設立するなど、時間術を社会に広げる活動を通して 日本の働き方改革の企業支援を行っている。

 篠原さんは「働くことが幸せにつながるためにはタイムマネジメントが必要なスキルとなる」と話す。1日の時間8万6400秒をお金に例えて、何に使うかをイメージさせてタイムマネジメント=時間術の定義を「本当に大切なことに有限の時間をなるべく多く使う技術だ」と述べた。第1フェーズに「時間の使い道」、第2フェーズの「時間の作り方」を説明した。幸せな人生の実現は「目標達成」+「効率化」で成し得るとし、それにより無駄な残業の削減、生産性の向上、業務改善能力の向上、夢の実現、決断力の向上、良い行動の習慣化、ストレス減少、自己肯定感の向上が望めるなどと話した。「夢」を考える上で大切なことは「現在の延長戦では考えないこと」「全てがうまくいったら」「自分自身が幸せな状態」をイメージする。夢の実現に必要な3要素は(1)夢の解像度を上げる(2)視野を広げる(3)段取りが大切。物事には重要で緊急なこと(例:トラブル対応)、重要でそれほど緊急でないこと(準備や計画)、緊急だがそれほど重要でないこと(お付き合い)、緊急でも重要でもないこと(消費)がある。緊急のことばかりに追われていると、重要だが急がないこと(準備)が疎かになる。その部分を確保することが大切だ。時間の使い方に優先順位をつけて自由な時間=可処分時間を作り出すこと。意識して時間を有効活用することが幸せに結びつく自由な時間を作ることができる、などと解説した。動画はURLにて公開中。https://youtu.be/SOAFr-G_2Us

Z世代のダンサー、ただいまNYで奮闘模索中

ダンサー、俳優

宮口 えりかさん

 日本で活躍していた芸術家やタレント、俳優が、自分の人生の新たな可能性に賭けて新天地を求め、ニューヨークで日々闘っている。そんな日本の若者たちが多い。日本で暮らしていれば自分の進みたい道で仕事や生活が約束されていたものをわざわざ捨ててまでなぜ彼らは来るのか。福井県出身のダンサーで、フロリダで開催されたNDAナショナルチャンピオンシップ全米第一位、日本国内でも全日本チアダンス選手権大会で全国一位を何度も獲得した宮口えりかさん(27)もその一人だ。日本女子体育大学在学中から株式会社オリエンタルランドが経営する東京ディスニーシーのダンサーとして、クリスタル・ウィッシュジャーニー、ヴィランズ・ワールド、パーフェクト・クリスマスなど多くの作品に出演し、2018年度TBSドラマやミュージックショーなどに出演するなど俳優としても活躍、モデルとしてもドコモ Ahamo 広告、読売ジャイアンツグッズのイメージモデルなどに採用され活躍していた。

 そんな宮口さんが、2019年、一人でアメリカ旅行に来て、NYのタイムズスクエアに立った時に「自分はNYに呼ばれている。なんて今までの自分は小さい存在だったのか。ここで踊りたい」という想いが胸を打った。「今の自分を変えるのは今しかないのではないか」そんな思いにかられながら大学を卒業後、パンデミックが落ち着いた2022年9月にようやくニューヨークに来ることができた。

 現在はコンピューターアート関係の学校に籍を置きながら、ブロードウエーダンスセンターとステップス・オン・ブロードウエーの2つのメジャーダンス・スタジオをかけもちで週に3日から4日のレッスンに明け暮れる毎日だ。周りのレッスン生たちがオーディションの体験などを話して情報交換する姿に日々刺激を受けながらも、学生というステイタスから一日も早く脱却して人前で踊る生活をこのニューヨークで実現させるため葛藤する毎日でもある。「ここに来る前は、私はなんだってできる、そう思ってました。ですが現実は、この思っていたこととは真逆で、オーディションすら受けることができない。事務所に履歴書を送るにも、まずステータスを聞かれる。結果、何もできない自分の存在が悔しくて仕方がない。自分はなんのためにニューヨークに来たのかと失意に苛まれることも少なくなかった。そんな時に自分を支えたのが高校時代の部活の顧問の言葉。「やってやれないことはない、やらずにできるわけがない」だ。今でもこの言葉を忘れることはない。まだ、ニューヨークで有償で踊ったりすることは立場上できないが、ニューヨークでは数多くの無料公演やステージ公演の機会があることも知った。踊り続けることで自分の道が開けていく。そう自分を一番に信じて様々なチャンスに挑んでいくつもりだ。日本での栄光を捨て、海外で白紙のまったくのスクラッチビルドからキャリアを作り出す、本人には試練な話だが、そんなZ世代の若者のライブ現在進行形のNY生活の姿は、閉塞感に覆われている現代の日本の若者たちに一縷の希みと勇気を与えそうだ。

 (三浦良一記者、写真も)

膨大な量の有効な努力こそ

 米国の大学では、5月に卒業式が行われる事が多く、私がNYで大学院に在籍していた頃もやはりそうでした。卒業式前に何度も事務局から式への出欠を尋ねられ訝しげに思っていた所、なんと式当日に声楽学科のトップは私だと発表され、壇上でまさかの表彰を受ける事に。しつこい出欠確認の理由をやっと理解したのですが、そんな事も、もう20年以上前…という昔の自慢話ではありません(笑)、今月はここから始めさせて下さい。さて、思いがけずトップを頂いた私は意気揚々と、さぁ次は世界の壁に挑戦だ、案外たやすく超えられるかも!?と、一流歌劇場に立つ夢を見ながら、色々なオーディションを片っ端から受け始めました。が、これが見事に通らず、何一つ役を貰えないどころか、私が精魂込めて準備したオーディションでも、全く無関心な扱いをしばしば受け、傷つく事もしょっちゅうでした。完璧になれば通るだろうと、さらに歌や演技、ディクション(舞台発音)、語学レッスン等に励み、受け続けましたが、それでも全く成功せず、センミツ(千個オーディションを受けても3個しか通らない)、臥薪嘗胆(がしんしょうたん)などの言葉を覚えたのもこの頃でした。ある時、いつも以上に良く歌え、審査員達も立ち上がり拍手をして、今回のベストは君だとまで言われたオーディションで、結局役がもらえなかった事があり、流石にこの時ばかりは大号泣して、もうオペラを辞めようと街を彷徨った事がありました。歌の上手さだけでは決まらないオーディションの複雑さは、時を経た今、私自身が審査をする側に経って分った事ですが、当時は、悔しさと悲しさと、納得できない思いで一杯でした。しかしそんな中、私を救ってくれたのは、国際コンクールの存在でした。

 芸術に点数をつけるのはおかしい…等の意見もある中、オーディションと違い人種、容姿、劇場の政治的な理由、などはほぼ関係なく、純粋に歌の質だけで勝負できるコンペティションはずっと公正に感じ、べらぼうに上手でも、やはりオーディションに入らず苦しんでいたアジアの友人歌手達が上位の賞を取っていた事実は、励みになりました。また入賞がきっかけで、オーディションでは取れなかったオペラやコンサートの仕事に繋がる事もあり、点数で競わされる事は、確かに気持ち良くはありませんでしたが、オーディションとはまた別のチャンスと思うようになって行きました。ところで人と競うと書きましたが、厳密には実はそうではありません。大切なのは、自分がベストを尽くせるのか、の闘いです。膨大な量の有効な努力こそがベストの演奏を生みますが、それが出来た時、演奏家は結果に拘らなくなり、決して人との競争ではないのだという事を真に理解します。(ただ大抵そういう場合、良い結果がついて来ますが)今月末にも、私が関わる大阪国際音楽コンクールの入賞者コンサートが、カーネギーで行われます。自身との闘いに勝った若者達が、次は世界の檜舞台にてベストの演奏が出来るよう私も祈っています。

田村麻子=ニューヨークタイムズからも「輝くソプラノ」として高い評価を受ける声楽家。NYを拠点にカーネギーホール、リンカーンセンター、ロイヤルアルバートホールなど世界一流のオペラ舞台で主役を歌う。W杯決勝戦前夜コンサートにて3大テノールと共演、ヤンキース試合前に国歌斉唱など活躍は多岐に渡る。2021年に公共放送網(PBS)にて全米放映デビュー。東京藝大、マネス音楽院卒業。京都城陽大使。

なにげない日常にある本質的な瞬間捉える

織晴美、ナウヒアで

 ニューヨーク在住の日本人クリエイターをサポートするソーホーのギャラリーNowHere(ナウヒア:ウースター通り40番地)は23日(木)から6月30日(日)まで、ブルックリンを拠点に活動するアーティスト織晴美さんの2回目となる展覧会「I am Here」を開催する。詩人、まど・みちおの詩「ぼくがここに」からインスピレーションを得たシリーズは、工事現場などで見かけるオレンジ色のメッシュを用い制作され、何気ない日常にある本質的な瞬間を捉えている。

 入場無料。オープニング・レセプションは23日(木)午後6時から8時まで、参加希望者はhttps://www.iamhere.eventbrite.comから申し込む。詳細はウェブサイトhttps://www.nowhere-nyc.com/を参照。 

編集後記

【編集後記】



みなさん、こんにちは。 今週末の11日(土)午後1時、マンハッタンのセントラルパークウエスト81丁目からスタートする第3回ジャパンパレードは、100団体が67丁目まで14ブロックを南下してフロートや行進で練り歩くニューヨークの日系社会をあげての盛大なイベントとなりそうです。土曜日の天気予報も晴れで、多くのニューヨーク市民が沿道に繰り出しそうです。参加団体の行進順番や出発時刻は本日8日、水曜日現在まだ報道関係者にも公表されていませんが、パレード前日の10日(金)までには参加団体に通知され、公式ウエブサイト(https://www.japanparadenyc.org/)にも行進の順番などが公開されるので、パレードを見に行く人は事前のチェックができますね=今週号5面に記事=。日本から招待する今年の目玉ゲストとなる「鬼滅の刃」のパレードスタート時刻もまだ公表されていなくて、確認も取れなかったので新聞には書けませんでしたが、関係者によると午後2時20分のスタートで調整が進められているようです。ただし、諸般の事情で前後に動く可能性も大いにあり、流動的ですので外れたらごめんなさい。裏を取れないことは紙面では書けませんが、ここでは編集後記として聞き流してくださいね。土曜日は、ニューヨーク地区で約1000人近い日本人の子どもたちが補習授業校に通っているため、事務局では今年はその子どもや保護者もパレードを少しでも楽しんでもらえるようメインゲストのスタートを後ろにずらす調整作業をギリギリまで行っているようです。ニューヨーク補習授業校の場合、幼初等部の授業が終わるのが12時50分。午後まで授業がある中高等部は間に合いませんが、幼初等部は、ウエストチェスター、クイーンズ、ニュージャージーともに下校から1時間程度で会場メインスタンド近くまで来ることができれば、上記のスタート時間が当たっていれば、鬼滅の刃をなんとか見ることができそうです。会場は相当の混雑が予想されます。お子様連れは、子供が迷子にならないよう手をつないでご注意ください。私は一日中、カメラマンをしてます。パレードの様子は、来週号でお届けします。それでは、みなさんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2024年5月11日号)

(1)渋滞税NYで6月30日から

(2)巨大なHOTDOG 毎日正午に紙吹雪

(3)ハリヤマバレエ来年開講20周年 9月生の募集開始

(4)ガザ攻撃反対の学生運動をどう考えるか?

(5)今週末はジャパンパレード 日系100団体が行進

(6)ブリキの兵隊、再び 視座点描

(7)出版は家内制手工業のワン&オンリーたれ 早川書房 早川浩社長

(8)あなたも審査員に! 日本とNYを結ぶ美と平和のイベント

(9)明日から使える腰痛改善セルフケア 一万田彬志氏が解説

(10)アメリカが壊れる時 Civil War  シネマ映写室

渋滞税NYで6月30日から

マンハッタンの60丁目以南に入る車両に課金

 メトロポリタン交通局(MTA)のジャンノ・リーバー議長は5月3日、「渋滞税」の徴収開始を6月30日から開始したいと述べた。料金徴収システムであるEZパスと車のナンバープレートを撮影できるカメラはすでに数十か所に設置済みだ。ただし、ニュージャージー州に与える影響を考慮していなかったとして同州から訴えられており、係争中であることから6月30日に開始できるかはまだ不透明となっている。

 渋滞税はマンハッタンの60丁目以南に入る車両に1日1回徴収される。料金はピーク(平日午前5時から午後9時、土日午前9時から午後9時)とそれ以外のオフピークの時間帯では違う。一般乗用車はピークが15ドルでオフピークは3ドル75セント。オートバイは7ドル50セントでオフが1ドル75セント、トラック・バスは24ドル〜36ドルで、オフは6ドル〜9ドル。ウエストサイド・ハイウエー、FDRドライブ、バッテリーパーク地下道を通過する車には徴収されない。またリンカーントンネルなどトンネルを使用して入ると、乗用車であれば5ドル、オートバイで2ドル50セント、小型のトラック・貸切バスで12ドル、大型トラック・観光バスで20ドルがクロスクレジットとなる割引措置がある(いずれも最大で。夜間を除く)。マンハッタン居住者、低所得者、障害者などは居住者向け低所得税額控除および低所得者割引が申請できる。渋滞税が適用されないのは緊急車両、障害者輸送車両、市教育省と契約しているスクールバス、政府特殊車両など。

 都市交通改善を目的にする市民団体ライダーズ・アライアンスのダニー・パールスタイン広報担当は「裁判所による土壇場の介入がなければ6月30日には渋滞料金設定が現実となるだろう」と述べた。「すべてのニューヨーカー、通勤者、訪問者にとって有利であり、より良い公共交通機関、よりきれいな空気、より自由な交通をもたらす」と歓迎している。MTAは渋滞税の導入により年間10億ドルの収入を想定している。これを150億ドル相当の債券の販売に充てて資金を調達し、システム全体の信号のアップグレード、新規車両購入、地下鉄駅利用の拡大を図る計画だ。

NY市内の鉄道定期券渋滞税で10%割引

 都市交通局(MTA)は4月30日、NY市内の利用に限り、ロングアイランド鉄道(LIRR)とメトロノース鉄道の1か月定期券の価格を10%割引にする計画を可決した。

 6月末の渋滞税執行に伴い、地下鉄アクセスが不便な市民に鉄道機関の利用を促すことを目的とした同「シティ・チケット」は、LI鉄道はゾーン1内及びゾーン1と3間、メトロノース鉄道はブロンクス〜マンハッタンが対象で、片道料金はオフピークが5ドル、ピーク時は7ドル。1か月定期券の料金は、LI鉄道のジャマイカ〜ペンシルベニア駅は20ドル以上減の198ドル、メトロノース鉄道のグランドセントラル駅〜ブロンクス北部は約20ドル減の180ドルとなる。6月25日に発売で、7月1日から使用できる。

 同プログラムはMTAにとって400万ドルの収入減となるが、同局のアウターボロー(マンハッタン以外の行政区)の交通会計で賄うという。MTAのジャイ・パテル最高財務責任者は「NY市内のLIRRとメトロノース鉄道の1か月定期券の購入数は、年間約7万件にのぼる。毎年、学割定期券を購入する約1万2000人の学生にとっても有利になる」と話している。地下鉄を運営するNYトランジット公社(NYCTA)も、今年に入ってから週間の運行本数を1200本に増加し、6月にはさらにB、D、M、J、3、5系統の本数も追加する。同局は、年収5万ドル以下の家庭や障害者を対象にした割引や特例制度も制定している。そのほか渋滞税に伴うMTAの料金や対策に関する詳細はhttps://new.mta.info/を参照する。