ディヴィッド・ハリス氏に旭日重光章叙勲伝達

日本とユダヤ社会の架け橋

 令和4年(2022年)秋の叙勲において、旭日重光章を受章したディヴィッド・ハリス米国ユダヤ人委員会(AJC)前理事長への叙勲伝達式が11日、在ニューヨーク日本国総領事・大使公邸で行われた。

 ハリス氏は、AJC理事長として30年以上にわたり、日・ユダヤ社会の相互理解及び友好関係増進に寄与し、また米国及び国際社会における対日理解促進、対日関心喚起及び親日感情醸成に貢献してきた。平成2年以降はAJC理事長として、コロナ禍期を除き毎年訪日し、日本政府高官と会合し、日米、日・イスラエル及び日・ユダヤ社会の関係強化等について意見交換を行ってきた。また日系人の戦後補償法案(リドレス法案)の採択に貢献するなど、日系米国人及び日本人社会に対する支援を行ってきたことなどが功績。 

(写真)森大使(右)から叙勲の伝達を受けるハリス氏

漆の心をNYで山久漆工が出品

ザ・アーケード・ジャパンに

 山久漆工株式会社(本社福井県、山本泰三代表取締役社長)が5日からマンハッタンで開催されているポップ・アップ・ストア「ザ・アーケード・ジャパン」(エリザベス通り251番地)に参加している。

 同社は、1930年創業の漆器製造業で、いわゆる本漆による伝統的な漆器も長く製造しているが、日本人のライフスタイルが変化し、敷居の高いイメージのある漆器離れが進む中で、漆器の「塗りもの」としての技術と、美しい色合いを現代のテーブルに生かすことをめざして、「towan」というブランドを2019年秋に立ち上げた。今回のニューヨークでのお披露目は、海外で初の対面式展示販売。出品しているお箸(箸飾り付きで12ドル)は楽天市場の箸部門で人気ランキング1位になった商品。来場したアメリカ人客も手に取って山本社長の説明に聞き入っていた。展示販売は16日(日)まで。

(写真)来場者に説明する山本社長(右、11日)

元気、勇気、笑顔と挨拶を忘れないでね!

32年間、NY育英学園で幼児教育をして帰国した

レスコビッツ・まりさん

 ニューヨーク育英学園で幼児教育を主に担当して32年間同学園に勤務したレスコビッツ・まりさんがこのほど退職し、今月9日帰国した。これまで同学園を卒業した児童生徒4000人のうち、 全日制、サタデースクール、フレンズアカデミー、親子教室などで1500人余りの面倒を見て教育に当たってきた。幼稚園児だった教え子も最年長はすでに30代となり、日本社会の第一線で活躍している子も多い。コロナ禍前まで3年に1度、東京の代々木オリンピックセンターで開催された帰国者同窓会では、多くの教え子が集り常に大人気だ。

 レスコビッツさんは、福島県出身で1979年に日本体育大学を卒業、教員免許取得後、東京都内幼稚園体育専任講師となり、その後、大学で専攻していたダンスを活かして、しばらく宇都宮にてダンスカンパニーを主宰していたが、本場のモダンダンスを学びたいと89年にニューヨークにやってきた。そこでご主人となるウオルターさんと出会い、何度か日本とNYとを行き来した後、ニューヨークで結婚、新聞広告でご主人が見つけた育英学園の教師募集の広告に応募して91年4月、岡本徹学園長に採用してもらい、以後32年に渡って同学園で日本人幼児教育の発展に貢献した。

 海外で日本語を身につけ、日本人的な感覚を持った子供に育てるためには何が必要か。「学校だけに頼ったらだめですね。家庭での日常会話をしていく中で、親と子の会話が面白くなって本人が日本語にも興味を持つことが大切なんです」。自ら当地で出産し、自分も同時並行で子育てした体験から「うちでは、日本の漫画を共通の話題にしました。コナンは書店で全巻買って私も読みましたし、日本語放送のテレビでもアンパンマンから始まってニュースや番組の感想を話し合ってました」という。その中で、英語にはない日本語独特のサラサラ、そよそよといった言葉や、お腹がちくちく痛いという表現を身につけていくのだと。

 「お手紙、紙芝居などにある身近な言葉で、例えば『ママ大好き』という自分の気持ちを文字で表現したいという気持ちになった時がシメたもの。そういう気持ちのレール、道筋を作ってあげることが親の役目ですね」と話す。

 「子供は大人の言葉、親の言葉をスポンジのように吸収します。だから褒められると本当に嬉しい。それが、子供の自信に繋がるんです。小学校低学年の時に何か自分に褒められた記憶は大人になっても覚えています。これがダメでも自分にはこれがあるという心の支えになる。それがあるのとないのとでは、前向きに生きていく力が全然違います。明るく、元気で勇気を持って、挨拶をきちんと。中学生、高校生には「夢は大きく、根は深く」と言ってきました」。

 今回、34年過ごしたアメリカを去る。2年前、長年連れ添ってきたご主人が病に倒れ亡くなった。息子夫婦が東京で生活していることもあり、本帰国を決めた。どんな時も明るく人前に立つ時は涙を見せない。帰国後は、育英での経験を生かして、東京で外国人幼児の日本語教育に携わる予定だ。(三浦良一記者、写真も)

編集後記 2023年4月8日号

【編集後記】 みなさん、こんにちは。音楽家の坂本龍一さんが3月28日に71歳で亡くなりました。本紙でも一度、坂本さんに直接お目にかかってお話を聞いていました。調べてみたら2010年10月1日号でのインタビューでした。しかし残念ながらインタビュー記事そのものは、デジタル版が2018年以降しか残っておらず、手元にもなく、書いた私本人も読み直すことができなかったのですが、幸いその時のことに触れた当時の編集後記がまだネット上に残っていました。以下で改めて紹介します。原文ままです。 「アカデミー賞受賞ミュージシャンで、作曲家・俳優・環境保護活動家としても知られる坂本龍一さんが10年ぶりに北米ソロ・ツアーを実施します。今回は珍しいソロ・ピアノを披露、オーディオとビジュアルを駆使したパフォーマンスを見せてくれるそうです。具体的にはどういう感じか、マンハッタン西50丁目にあるユニバーサル・レコード本社に行って聞いてきました。「ピアノを2台使って、1台は自分が予め弾いたものをセットしておいて、それと一緒に演奏するというか、まあ、時間差はあってもどちらも自分が弾くわけですけど」とちょっとシャイな感じで静かに話す坂本さん。18年前から環境問題にも音楽を通して意識的に取り組んでいます。若者たちに「エコはクールなものだという意識を持ってもらいたい」と。帰りがけ、握手の手を差し出してくれた坂本さん。握ったその手は意外にも大きく、ずっしりとしていたのでびっくりしました。ピアノを弾くには大きい手が鍵盤をより広い範囲で弾けるのですね。なんか、マグマ大使と鉄腕アトムの握手みたいな光景でした。それでは、みなさん、よい週末を」というものです。そして、それより遥か25、6年前を遡る1981~2年ごろ、イエローマジック・オーケストラ(YMO)がロサンゼルスに来て、A&Mレコードの野外駐車場広場の特設会場でライブ演奏をした時に、私は、前の会社のLA地元新聞社の記者として取材していましたよ、と伝えると、ホテルの部屋のランプを背にした逆光の顔が、懐かしそうにニヤっと微笑んだことだけは覚えています。今週号では5面で、日本の主に70年代80年代のレコードを輸入してNYで販売しているブルックリンのFACEレコードで、坂本さんの訃報に接して、全米のファンがYMOなどのレコードを買い求めに殺到したという記事を掲載しています。合掌。それでは皆さんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2023年4月8日号)

(1)ATMの時間を短縮

(2)米国で結核が増加

(3)坂本龍一さん死去

(4)気分も桜も春うらら

(5)キョウヘイ・イヌカイ展 JSで6月25日まで

(6)漆の心「towan」 ザ・アーケード・ジャパンに参加

(7)プラン75. IFCセンターで21日から

(8)日本のカイシャ改革は 4月の行事見直しから

(9)国連学校で 千葉さん和菓子の実演

(10 )社会貢献は教育支援から  コロンビア大学理事 花沢菊香さん

米国で結核が増加

NY州全米平均上回る

 米疾病管理予防センター(CDC)の最新データによると米国で結核が増加傾向にあり、特にニューヨーク州は症例数が全国平均よりも約40%も多いことがわかった。米国では結核の症例数は10万人あたりの3人ほどで、コロナ禍の間、感染率は下がっていたが、現在は以前の水準に戻りつつある。

 CDCの結核撲滅部門の責任者であるフィリップ・ロブ博士は「2年連続で結核の症例数が増えており、結核にさらされる幼児やそのほかの人々への感染が懸念される」として警戒感をにじませている。

 ニューヨーク州の結核患者数はコロナ禍が始まると減少した。元の水準に戻っているわけではないが、症例数は過去3年間で徐々に増加しており、2020年の605人から2021年は683人、2022年には714の症例を数えた。10万人当たり3・6人で、全国平均の同2・5人よりも高い割合となっている。州内の症例の半分を占めるニューヨーク市に限るとその割合はもっと高くなる。昨年2022年に市内では536人の患者が発生。10万に当たり6・1人であり、これは全米平均の倍となる。これらのうち88%は外国生まれだという。

 かつてはヒトのおもな死因でもあった結核だが、現在では抗生物質、ワクチン接種、早期発見、衛生状態の改善などで恐ろしい病気ではなくなっている。しかし世界的に撲滅されたわけではない。HIVなどの免疫障害を持っている人は結核にかかるリスクが高い。

ATMの営業時間を短縮

利用者の不安解消のため

 自動現金引き出し機(ATM)の利用時間を短縮する動きがニューヨーク市で進んでいる。ATMは1980年代に登場して以来、銀行窓口が開いていなくても現金が引き出せる便利な機械として長年使われているが、最近の犯罪の多発と安全維持問題などにより、一部ATMは24時間の稼働を止めたり、利用時間を短縮するようになった。

 2020年2月、ブロンクスにあるバンク・オブ・アメリカのペラムパークウェー支店のATMのホールで女性が暴行を受け死亡、2021年8月には金融街にあるチェース銀行のATMの前で、斧を持った男に50歳の男性が襲われる事件が発生、今年1月19日には早朝、ミッドタウンにあるチェース銀行支店のATMで男が別の男性に熱いコーヒーを投げつける事件が発生した。

 最近、チェース銀行はブルックリンハイツやロングアイランドシティーなどの支店のATMの夜間使用を中止し、午後5時ないし6時に閉めるようになった。HSBCの80の支店を昨年買収したシチズン銀行も、公共の安全を理由に夜間は閉鎖することにしている。ほかの銀行も営業時間短縮を進めている。ATM協会によれば、ニューヨーク市に限らず全米の主要都市ではATMの設置スペースがホームレスや犯罪を引きつけており、安全・清潔に維持をするのに苦労しているという。新型コロナの流行でますます状況が悪化し、多くの銀行がATMの営業時間を短縮しているところが多いのが実情だ。

坂本龍一さん死去

米国のメディアが相次いで報道

 音楽家の坂本龍一さんが3月28日に71歳で亡くなったことが、4月2日に坂本さんのマネジメント会社「キャブ」などにより公表されると、米国のメディアも相次いで報道した。日本で第一報が出るや否やニューヨーク・タイムズ(電子版)は緊急ニュース扱いで「オスカー受賞の日本人作曲家坂本龍一が71歳で死去」と報じた。同紙は音楽活動から私生活、「反核活動家」だったことも含め、その人生を詳細に綴っている。

全米各紙「世界の坂本」死悼む

ブルックリンのレコード店にファン殺到

 音楽家の坂本龍一さんの死は、瞬く間に世界に広がった。ニューヨーク・タイムズ紙は音楽活動から私生活、「反核活動家」だったことも含め、その人生を詳細に綴っている(1面に記事)。

 CNNは「オスカー受賞者」をヘッドラインに入れ、AP通信も「音楽家、映画音楽作曲家の坂本龍一さん死去」と速報した。米国で坂本さんは、1983年の映画「戦場のメリークリスマス」への出演と音楽で注目され、1987年の映画「ラストエンペラー」でオスカーとグラミーの両賞を受賞。「シェルタリング・スカイ」(1990年)、「リトル・ブッダ」(1993年)などのほか、近年では2015年のレオナルド・ディカプリオ主演の映画「「レヴェナント:蘇えりし者」の映画音楽を担当したことで一般にもよく知られている。

 一方、1978年に結成され米国でも成功を収めたイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)のキーボード奏者として活躍したことを強調するメディアも多かった。ワシントン・ポスト紙は「境界のない作曲家」とし、「彼の生み出したテクノポップが任天堂のゲーム音楽にも影響を与えた」と紹介している。音楽誌ローリング・ストーン誌は「日本の電子音楽のパイオニア」であり「ヒップホップ系のミュージシャンにも大きな影響を与えた」としている。YMOは1980年のワールドツアー中に「ソウルトレイン」にも出演した。ビルボード誌も「オスカー受賞作曲家でイエロー・マジック・オーケストラのメンバー」とのタイトルで報じた。3人組のYMOのドラマーだった高橋幸宏さんが今年1月11日の70歳で他界しており、それに続くメンバーの死去となった。ビルボード誌は音楽的経歴はもちろん、NYタイムズなどと同様に政治的活動のことにも触れ、「平和主義者および環境活動家としての足跡も残した」と評している。

1日でLP50枚完売

 日本で70年代、80年代に発売されたLPレコードをブルックリンで販売しているFACEレコード(176  BORINQUEN PLACE BROOKLYN、電話917・909・1902、営業時間木曜〜日曜、午後1時から8時)には、坂本の訃報が飛び込んだ2日から全米のファンからの注文が殺到した。

 ライディーンなどのヒット曲が収録されたイエローマジックオーケストラのLPが1日で店内在庫1枚だけを残して50枚が売れ、翌日までに全米からさらにネットで100枚のオーダーが入った。同店は東京に本社があり、日本で販売された当時のLPをほぼ新品に近い綺麗な状態で日本から輸入しているため、狭い店内は坂本のLPを求めるファンで埋め尽くされた。翌日、空いた棚に坂本のさまざまなLPを並べながら店長の間宮祐一さん(46)は「本当に古い時代からの坂本龍一のLPがあって、アメリカ人のお客さんは皆さん驚かれ、新品なのかって聞かれますが、日本人はレコードを大切に扱っているから、この状態を保てている」と答えているという。

気分も桜も春うらら

 4月2日の日曜日、馬車のバックグラウンドのマグノリアは今が満開。

 三寒四温が続いたニューヨークだが、今週に入りようやくソメイヨシノも咲き始めニューヨークに春が到来。

 今年は一斉開花ではなく、所々で咲き始めているので見ごろは今週から来週あたりだろうか。

 この日は休日とあって気の合う仲間、記念撮影しているウェディングカップル、家族そろって出かける人びとなど賑わいを見せたセントラルパーク。

 公園で桜を撮影していると、大きなカメラを持っているせいかあちらこちらからスマートフォンを渡され「撮影してくれない?」と声をかけられ楽しい1日だった。

(写真と文・植山慎太郎)

キョウヘイ・イヌカイ展

ジャパン・ソサエティーで6月25日まで開催中

 日系アメリカ人アーティスト、キョウヘイ・イヌカイ(1913〜85)の美術機関では初めてとなる個展「キョウヘイ・イヌカイ」が6月25日(日)まで、ジャパン・ソサエティー(JS:東47丁目333番地)ギャラリーにて開催されている。1960年代後半から80年代にかけて制作された100点以上の作品をはじめ、晩年の作品を展示。油彩で描かれた陰気な抽象画から、墨絵を思わせるフォルムの研究、大胆な色彩と幾何学的な形からなる優雅で遊び心のあるシルクスクリーンなど、さまざまな作品を紹介している。

 生涯に2000点以上の作品を制作したイヌカイはイリノイ州シカゴで芸術家である両親のもとに生まれ、1954年、日本人の父の死後、父へのオマージュとして父の名を引き継いだ。イヌカイはシカゴ美術館附属美術大学、その後ナショナル・アカデミー・オブ・デザインとアート・スチューデンツ・リーグ・オブ・ニューヨークで学んだ。同展では、ほぼすべての作品が一般初公開され、イヌカイの素材、線、空間に対する探求的なアプローチについてこれまでで最も充実した展覧会となっている。

 開廊時間は水曜〜日曜の正午から午後7時。入場料は、一般12ドル、学生・シニア10ドル、JS会員・16歳以下は無料。チケット・詳細はウェブサイト http://www.japansociety.orgを参照。

(写真右)Kyohei Inukai, Untitled, 1978 © Kyohe Inukai. Courtesy of Inukai Estate. Photograph by Nicholas Knight

子供向けイベント16日に

 ジャパン・ソサエティー(JS:東47丁目333番地)で開催中の「キョウヘイ・イヌカイ」展の関連プログラムとして家族で参加できるワークショップ「ファミリー・アート・デー」が、16日(日)午前11時から午後12時15分まで行われる。インストラクターの指導によりイヌカイの版画や絵画からインスピレーションを得て、自分のアイデアを発展させ、作品を作り、展覧会を見ながら家族でのアクティビティを通じてデザイン、創造、アートを探求することができるイベント。参加費は一般10ドル、JS会員5ドル。申し込み・詳細はウェブサイトhttps://japansociety.org/を参照。

「プラン75」NYで上映

早川監督が来米Q&A

IFCセンターで21日から

 早川千絵監督の映画『プラン75』が21日(金)からIFCセンター(6番街323番地)で上映される。

 『プラン75』は、第75回 カンヌ国際映画祭「ある視点」部門のカメラドール(新人監督賞)で特別表彰され、第46回日本アカデミー賞で脚本賞と、主演の倍賞千恵子が主演女優賞を受賞。日本で大ヒット上映中の話題作。少子高齢化を課題にしたした本作は、どのような社会を今後築いていくかを視聴者に考えさせる作品となっている。出演は倍賞千恵子、磯村勇斗、たかお鷹、河合優実ほか。オープニングの21日(金)から23日(日)までの週末3日間は、早川監督が来米し、上映後の質疑応答に参加する予定。

 チケットや上映開始時間は18日より、劇場ウェブサイト(https://www.ifccenter.com/films/plan-75/)にて公開される。映画の詳細は日本語のサイトhttps://happinet-phantom.com/plan75/を参照。

漆の心「towan」ザ・アーケード・ジャパンで16日まで

伝統を現代に活かして

日本で人気1位の箸など販売

山本社長

 山久漆工株式会社(本社福井県、山本泰三代表取締役社長)が5日からマンハッタンで開催されているポップ・アップ・ストア「ザ・アーケード・ジャパン」(エリザベス通り251番地)に参加している。

 同社は、1930年創業の漆器製造業で、いわゆる本漆による伝統的な漆器も長く製造しているが、日本人のライフスタイルが変化し、敷居の高いイメージのある漆器離れが進む中で、漆器の「塗りもの」としての技術と、美しい色合いを現代のテーブルに生かすことをめざして、「towan」というブランドを2019年秋に立ち上げた。メインターゲットは30代から50代女性で、テーブルコーディネートに関心の高い人たち。ブランドの発信方法は、リアル店舗はほとんど使わず、インスタグラムのアカウントへのコーディネート写真のポストを通じて発信を続けてきた。

 今回はニューヨークでのお披露目となる海外で初の対面式展示販売となる。ちなみに、同ブランドのお箸(箸飾り付きで12ドル)がコロナ禍にも関わらず人気で、楽天市場で箸部門人気ランキング1位となり、現在も上位トップ10入りを続けている。「towan」は、漆器独特の温もりを感じる優しい色合いを生かしつつ、デザインや色の工夫により、現代的な洋のテーブルでも使いやすい商品を提案するブランドで、塗料は発色を優先、安全な合成塗料を使っている。材料は、木製もしくは樹脂素材。山本社長は「今回の第一歩が、いつの日か、こういう商品をNYでご紹介できるような日に繋がることを夢見て今回のイベントに取り組みたい」と話している。展示販売は16日(日、午前11時から午後7時)まで開催中。