(1)ミッドタウンで銃乱射 警官ら4人が死亡
(2)日本の伝統芸能一挙に カーネギーホール
(3)宇宙で酒造り計画 獺祭SAKEシリーズ
(4)アメリカファーストとジャパンファーストの違い
(5)イチロー殿堂入り 英語スピーチ話題に
(6)おまかせ 96ドル 中庭で一流の寿司HASAKI
(7)フェラーリと私のギアチェンジ 40+女の人生
(8)循環テーマに 現代日本画家の吉澤舞子
(9)現代舞踊家の田中いづみ 東京で第69会発表会
(10)鈴木竜也と大橋未歩 「無名の人生」NYAFF
ミッドタウンで銃乱射 警官ら4人が死亡
犯人はビル33階で自殺
マンハッタンで7月28日午後6時半ごろ、パーク街52丁目345番地にある44階建て高層ビルに男がAR15ライフル銃を持って侵入して銃を乱射し、5人が撃たれ、警察官を含む4人が死亡した。容疑者はビル内のオフィス33階で自殺した。アダムス市長が同日夜記者会見し、容疑者はネバダ州から来た27歳の男で、名前はSHANE TAMURA で犯行動機は捜査中とした。
タムラ容疑者は、ラスベガス都市警察発行の有効期限2027年の銃所持許可証を持っていた。高校時代はフットボール選手として活躍したが、精神障害者としての治療を受けた経歴があるという。最近までラスベガスのカジノの守衛として働いていた。襲撃されたビルには全米フットボール協会NFL本部が入居しているほか大手公認会計事務所のKPMGなどが入っている。ビルはウォルドルフ・アストリアホテルやNY日本総領事館があるビジネス街中心のミッドタウンと呼ばれるエリアにある。
NY日本総領事館は事件から約1時間後の午後7時41分に注意喚起の緊急メールを在留邦人に送った。内容は「ニューヨーク市警察は周辺地域を封鎖し、屋内退避命令を発令しています。事件現場には決して近づかず、不要不急の外出(特に人混み)を避けるとともに、ニュース等で最新の関連情報の収集に努めてください。万が一、邦人被害の情報に接した場合には、当館にご連絡ください」というものだ。
死亡した警察官はディダルル・イスラム巡査(36)。勤続4年目で妻は3人目の出産を控えているという。容疑者が33階まで上がるには、通常はロビーの1階にある受付カウンターが発行するエレベーターに乗るための磁気カードが必要だが、どのようにして33階まで上がることができたのかは不明。容疑者は黒いBMWを運転して事件当日の午後ニュージャージー州からマンハッタンに入り、パーク街の51丁目と52丁目の間に路上駐車した。警察が車内を調べたところ銃弾の入ったライフルと銃弾の装填されたリボルバー式の短銃が見つかっている。ライフル銃を乱射し、自殺した容疑者のラストネーム(苗字)が「タムラ」となっているため、日本名との関連性があるのか、NY日本総領事館に問い合わせたところ「総領事館では容疑者の国籍は承知していない」との回答だった。マンハッタンオフィス街のど真ん中、平日月曜日の午後6時過ぎの帰宅ラッシュアワーに起きた事件にマンハッタンは騒然となり、同日夜遅くまでパーク街のミッドタウンの道路が封鎖されるなど、ものものしい状況が続いた。
(写真左)事件後、封鎖されたパーク街(7月28日午後8時、三浦良一撮影)
(写真右)防犯カメラが捉えたタムラ容疑者
日本の伝統芸能一挙に カーネギーホール
三響會の演奏を中心に日本が誇る伝統芸能、能・歌舞伎・和太鼓・三味線を一挙に披露する特別公演「日本の伝統芸能」が11月14日(金)午後8時から、カーネギーホール(57丁目と7番街の角、Stern Auditorium / Perelman Stage)で上演される。能、歌舞伎界からは次世代を担う若手俳優を起用し、日本の伝統芸能の次世代に光を当てる。演奏家は能・歌舞伎・和太鼓・三味線・三曲の各界のトップランナーを起用し、音楽の殿堂カーネギーホールにふさわしい演奏を届ける。
出演者は、亀井広忠、田中傳左衛門、田中傳次郎、観世喜正、坂口貴信、観世三郎太、中村隼人=写真=、上妻宏光、上妻光輝、辻勝、大谷掬波、黒澤有美、岩田卓也、大槻裕一、竹市学、杵屋和吉、今藤長龍郎、福原寛ほか。入場料は40ドル〜299ドル。チケット・詳細はウェブサイトhttps://www.carnegiehall.org
衣装写真=後列左から中村隼人、観世喜正。前列左から田中傳次郎(太鼓)、亀井広忠(大鼓)、田中傳左衛門(小鼓)
カーネギーホールで11月14日上演
三響會NYで披露
能・歌舞伎・和太鼓・三味線

三響會の演奏を中心に日本が誇る伝統芸能、能・歌舞伎・和太鼓・三味線を一挙に披露する特別公演「日本の伝統芸能」が11月14日(金)午後8時から、カーネギーホール(57丁目と7番街の角、Stern Auditorium / Perelman Stage)で上演される。
三響会は、父・能楽師葛野流大鼓方の人間国宝・ 亀井忠雄、母・歌舞伎囃子田中流前家元・九代目田中佐太郎のもとに生まれ育った、亀井広忠、田中傳左衛門、田中傳次郎の3人の兄弟が1997年に結成。囃子を通じて、能と歌舞伎の伝統を踏まえつつ、新しい可能性を追求している。
演目は、オープニングアクト、出演者の挨拶、演奏(三味線、和太鼓、箏、尺八)、三響會版「船弁慶」、道成寺組曲 、三響會版「獅子」。
能、歌舞伎界からは若手俳優を起用し、日本の伝統芸能の次世代に光を当てる。演奏家は能・歌舞伎・和太鼓・三味線、三曲の各界のトップランナーを起用し、音楽の殿堂カーネギーホールにふさわしい演奏を届ける。
出演者は、亀井広忠、田中傳左衛門、田中傳次郎、観世喜正、坂口貴信、観世三郎太、中村隼人、上妻宏光、上妻光輝、辻勝、大谷掬波、黒澤有美、岩田卓也、大槻裕一、竹市学、杵屋和吉、今藤長龍郎、福原寛ほか。
主催:カーネギーホール、DーT株式会社、制作:三響會、協賛:Goldwin、一般財団法人本願寺文化興隆財団、協力:ジャパン・ソサエティー、在ニューヨーク日本国総領事館、国際交流基金。
宇宙で酒造り計画 獺祭SAKEシリーズ
青木恵子さんと対談「ブレずに同じ味追求」
ビジネスリーダーをステージに迎え、獺祭ブルーを囲んで繰り広げる講演シリーズ「獺祭SAKEシリーズ」第2弾が7月24日夜、ジャパンソサエティーで開催された。今回は、獺祭の桜井博志会長がゲストにベニハナ・オブ・トウキョウ元CEOで現アルテッセ社CEOの青木恵子さんを迎え、青木さんの夫でベニハナ創業者のロッキー青木氏(故人)の「事業に賭けた挑戦とイノベーション」について対談した。講演終了後にはレセプションが開かれた。
青木さんは「米国で全米展開するレストランチェーンで50年以上続いているのはTGIフライデーとベニハナだけ」と前置きし「食事をする時はおしゃべりをしないで静かに行儀よく食べるという日本の食事のマナーの常識を翻し、食事を楽しいエンターテインメントに変えたところがベニハナの挑戦だった。また醤油の味をアメリカに広めたことも功績で、創業時すでに今流行りのオープンキッチンを採用していたのも当時としては画期的だった」と述べた。ベニハナが61年間長続きしている理由は「マニュアルに基づいてブレずに同じ味を守ってきたことだ」と述べた。「Where are you from?(出身はどこ)」と客が聞けば「I’m from kitchen (キッチンから来ました)」と応えるようジョークすらもマニュアル化されていたという。
桜井会長は「たとえば旅館のシェフが経営者の言うことを聞かなくて現場がブラックボックスになってしまって経営がうまく行かなくなったと言う話はよくある。マニュアルがあればブラックボックス化しなくて済む」と返した。
対談は後半、スライドを見せながら獺祭の歴史と未来の展望などに話題が変わった。夏場に仕事のない酒造りの杜氏のために地ビールの生産に乗り出して失敗した経験が、東京に出て純米大吟醸一本で勝負する覚悟に結びついたと言うエピソードも披露した。最後に「2040年には月に人間が住む時代がやってくるだろう。今年10月に打ち上げられる国際宇宙ステーションで酒造りをする「DASSAI MOON」計画を紹介し、会場を驚かせた。
アメリカファーストとジャパンファーストの違い
7月20日の参議院選挙での議席数は、与党の自民党36、公明党8。野党の立憲民主党22、国民民主党17、参政党14、日本維新の会7などでした。今回選挙の無かった議席を加えると与党122、野党126です。自民党は1955年の結党以来初めて衆参両院で少数与党となりました。しかし、これで政権交代とならないのが、衆議院の小選挙区比例代表並立制という選挙制度です。小選挙区で多くの議席を得た2つの政党以外の政党が比例区で議席を獲得するので、多数の野党が存在し、今回の参議院選でも、それが加速しました。自民党が石破茂総裁か、または新たな新総裁を選び、自公以外の野党と連携して政権を維持する可能性が残るのも多数野党が理由です。
今回最も注目を浴びたのは、突如14議席を獲得した参政党です。5年以内の新興政党で、賃金の引き上げや外国人労働者の削減、古い既成政党による政治の打破を訴え、SNSを有効活用して若年層の強い支持を得ました。
欧米のメディアは「日本人ファースト」を掲げた参政党の躍進を、右傾化、反グローバルの潮流、排外主義的などと表現し、トランプ政権の移民規制やポピュリズム政党の台頭が著しい欧州との類似点を強調しています。
しかし、米国と日本との間には、選挙制度や政治文化等に以下のような大きな違いがあるという認識が必要です。1、米国では登録した選挙人しか投票しないのに対し、日本では18歳上は全員が投票できる。2、米国では、裁判官や官僚などでも自分の支持政党を明確にできるのに対し、日本では「政治的中立」の原則のもと、支持政党などは明らかにできない。3、米国と異なり、日本では会社などで社員は支持政党や、デモなどの政治活動に参加することも公言しない。公言すると、色メガネで見られたり、職を失うこともあり得るからである。4、アメリカファーストの人々には福音派教会の信者やラスト・ベルトの労働者などの岩盤の支持者がいるのに対し、ジャパンファーストの支持者の多くはSNSなどで支持を決めた流動的な支持者が多い。
参政党への支持が一時的か、それとも政界再編成まで至るのか、注目が必要です。いずれにしても、世界的な変動期を迎えているのは間違いないと思います。
ふじた・ゆきひさ=オックスフォード大政治国際問題学部客員研究フェロー(英国在)。慶大卒。国際MRA(現IC)や難民を助ける会等の和解・人道援助活動を経て国会議員、財務副大臣、民主党国際局長、等を歴任。現在、国際IC日本協会長、岐阜女子大特別客員教授も兼任。
イチロー殿堂入り 英語スピーチ話題に
NY州クーパーズタウンで式典
米メディア相次ぎ報じる
マリナーズなどで通算3089安打を放ち日本人で初めて米国野球殿堂入りしたイチロー氏(51=本名・鈴木一朗。元マリナーズなど)が27日、ニューヨーク州クーパーズタウンでの式典に出席し、英語で19分間のスピーチを行った。米メディアはそのスピーチの素晴らしさを相次いで報じた(以下はすべて27日付け)。
MLB公式サイトは「イチローが感動とユーモアで式典に、主役に」との見出しで報じた。「野球史上最高のリードオフバッターの一人である彼は、スピーチの順番では最後に打席に立ったが、今回はその場の空気感と英語力の両方を巧みに操り、観客を魅了した」と書いた。「スポーツ界で最も秘密主義的な人物の一人だったが、スピーチはレイヤーを剥がすようにして、驚くべき一貫性の背景にある思考プロセスと、鋭いユーモアのセンスも明らかにした」と書いた。ESPNも「アメリカのファンにとって、スズキのユーモアあふれる一面を垣間見られる貴重な機会となった」と報じた。
ニューヨーク・ポストは「英語でウィットに富んだ殿堂入りスピーチを披露し注目を集める」と報じた。「イチローは昔から周りの人から英語が上手だと知られていたが、公の場では常に通訳を使って日本語で話すことを選んでいた」と指摘した上で、「機知に富んだスピーチを披露した」と報じた。
ヤフー・スポーツは「何よりも注目を集めたのは彼のスピーチだった」と報じた。特にジョークの切れ味に注目。もっとも印象的だったのは殿堂入りの全会一致を阻止した投票者に触れた部分だったとした。今年1月に行われた殿堂入りの投票で全米野球記者協会会員の一人だけがイチローに入れなかった。これに対しイチロー氏は「家に招待して、一緒にお酒を飲みながら、じっくりと語り合いたいです」と語っていた。受賞スピーチでは「ところで、あのライターに私の家で夕食をご馳走するという申し出は、もう期限切れです」と語り、会場は大爆笑に包まれたことを報じた。

こうした好意的な賞賛の一方、オーフル・アナウンシングは「マーリンズのデイビッド・サムソン氏を小馬鹿にした」と報じた。イチロー氏は、3球団目となったマーリンズについて「デイビッド・サムソン氏(当時球団社長)とマイク・ヒル氏(当時GM)が本日来ていただいたことに感謝します」としたうえで、「正直、2015年に契約オファーをいただいた時は、あなた方のチームのことを聞いたことがありませんでした」と話した。会場は爆笑に包まれたが、オーフル・アナウンシングは「受賞スピーチで球団と幹部をからかって楽しんだ」と書いた。とはいえ、当のサムソン氏は「イチロー氏は本当に素晴らしい完璧なスピーチをしてくれました。殿堂入りのみなさん、おめでとうございます」とイチローへの謝意をXに投稿した。
スピーチでイチロー氏は、殿堂入りはオリックス入団、メジャー移籍に続くもので「3度目のルーキーです」と軽妙に語り始め、妻の弓子さんへの感謝と引退後のエピソード、メジャーへの扉を開いた野茂英雄氏への思い、夢と目標の違い、プロとしての心構えなどをユーモアも交えて述べた。所属したマリナーズ、ヤンキース、マーリンズ各球団の関係者、選手や家族らに感謝の意を伝え、英語で19分間にわたって語った。
また、ニューヨーク日系人会(JAA)では、イチローの殿堂入りに際して寄付を行ったことから式典に佐藤貢司会長夫妻が招待され、前日のレセプションと当日の式典に出席、イチローの殿堂入りを祝福した=写真上(
佐藤NY日系人会会長(左)とイチロー氏)=。
イチローの野球殿堂入りに合わせ、クーパーズタウンにあるアメリカ野球殿堂博物館では現在、「野球:太平洋を越えたスポーツの交流」展が行われている。詳細はウェブサイトbaseballhall.org/jp/yakyu
式典現地ツアーも開催
今回の式典に合わせて現地ツアーを企画した日の丸USAの鹿俣政道社長は「悪天候のためセレモニーは午後1時から午後2時半に変わりました。会場は凄い人で後ろの方しか空きがない状態でした。殆どの人達はイチロー51のユニホームを着ていました。以前見たセレモニー会場の写真より遥かに大きな会場でした。これも一重にイチローだからと思います。イチローのファンがこんなに居るのかと驚きました。会場までのシャトルバスもスムーズで、会場はセキュリティも万全でステイトポリス、救急隊、消防隊、ボランティア、ドローンまで飛ばして警備してました。イチローは最後にスピーチしました。観客は皆んな真剣に聴き入ってイチローコールも凄かったです」と当日の様子について話す。
おまかせ 96ドル 中庭で一流の寿司HASAKI

イーストビレッジにある老舗寿司店「波崎(HASAKI)」(東9丁目210番地)の中庭ガーデンがこのほど完成した。ガーデンの片側の黒い石壁全体に滝のせせらぎが涼しく、コーナーには日本から造園家を呼んで造った石灯籠のある日本庭園。ここの空間には、ニューヨークの喧騒を忘れさせてくれる和の静寂さが漂っている。
中庭ガーデンへは、店内の奥にあるドアを開けて屋外の別室につながる小道を通り、2席がけ、4席がけ、グループ席、ロマンチックディナー席の計18席があり、ここで波崎自慢の寿司を楽しむことができる。
寿司はテーブル席では波崎にぎり(45ドル)と特選にぎり(76ドル)、カウンター席では礒田直人シェフのおまかせ(12貫)が96ドルで食べられる。また日替わりのサイドのスペシャルメニューもお得で、金曜のスペシャル生牡蠣6ピース15ドルがおすすめだ。波崎の店名の由来はオーナーの八木ボンさんの生まれ故郷から名付けられ1984年に開店した。「日本直送の魚でにぎる一流の味を手頃な値段で食べていただだける」(八木氏)がこの店のコンセプトだ。美味しいお寿司を「ニューヨークの寿司相場」の半額以下で、しかも日本庭園風の中庭で楽しめるのもなかなか風情のあるEATOUTの景色だ。デリバリーのお寿司各種も素晴らしい。
(写真上)テイクアウト、デリバリーも充実の内容




HASAKI
210 EAST 9TH ST.
NEW YORK, NY 10003
TEL:212-473-3327
営業時間17:30-21:30
定休日:日曜と月曜
循環テーマに 現代日本画家の吉澤舞子
ニューヨークで昨年夏からアート制作活動を続ける現代日本画家の吉澤舞子のボディペインティング実演が7月26日夕、マンハッタンのアートスタジオ、タイム・トゥ・ハッピー・ギャラリーで開催された。「オープン・トゥ・アトラス」と題されたパフォーマンスは、吉澤のライフワークでもある「循環」をテーマに白と黒のペインティングでグレーになっていく過程を2人のダンサーの踊りとのコラボレーションで披露した。背景には、東洋医学にインスピレーションをもつ臓器と自然の関わりがシンメトリーの立体インスタレーションで描かれた作品が展示された。
吉澤は千葉県出身で、2008年に女子美術大学短期大学部造形学科絵画専攻で卒業、多摩美術大学美術学部絵画学科日本画専攻三年次に編入し、在学中に雪梁舎美術館フィレンツェ賞展ビアンキ賞を受賞、11年に1か月のフィレンツェ研修滞在をした。12年に多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻日本画研究領域修了。昨年夏に日米文化交流研究所「ブルックリン・ビューティー・ファッション・ラボ」リニューアルオープンで作品を披露し、1年間ニューヨークでアート制作活動を続けている。
「一年前にご一緒した真美子さんや、ずっと一緒に何か表現をと思っていたCJと一緒にできたことが幸せだった。パフォーマンスは100%で見せることは出来なかったかもしれないが、次に繋ぐ原動力にしてまた展開できるように頑張りたい。私はニューヨークで生きる、表現者たちを心から愛している」と感想を語った。 (三)
Maki Hirata 写真
Claude Johnsonダンサー
Mamiko Usudaダンサー
Tomoko Omura音楽
Kakajan Ovezov movie
フェラーリと私のギアチェンジ 40+女の人生
「場所は当日の朝にお知らせします」——そんな謎めいた招待状を受け取ったのは、数日前のことでした。
当日の朝、送られてきた住所をナビに入れて向かったのは、ニューヨーク郊外にある、とある邸宅。門をくぐると、目に飛び込んできたのは十数台のフェラーリ。赤、白、黒、そして私が乗せてもらったのは、グレーの「296GTB」コンバーチブル。偶然にもその日の赤が効いたシャネルのドレスとぴったり合っていて、なんだか嬉しくなりました。
屋根を開けて走り出すと、アクセルをぐっと踏み込むたびに、重低音のエンジン音が体の奥まで響き渡る。まるで内側から目が覚めるような感覚。ギアを変えるタイミングでは、ハンドル部分にある赤いランプが点滅し、「今だよ」と合図してくる。ランプが光った瞬間、一気にシフトチェンジ。背中から押し出されるような加速に、思わず「きゃーっ!」と叫んでしまいました。まるで大人のジェットコースター。いや、それ以上。
この日体験した「自分で操っている感覚」は、フェラーリならではのものでした。そしてふと、思ったのです。最近の私の人生も、まさにギアを変え続けてきたな、と。
子育てをしながら仕事を続け、小さなネイルサロンから、医療とウェルネスを融合したビジネスへ。何度もアクセルを踏み直し、時にブレーキをかけ、また前に進む。そんな日々の中で、見える景色も、自分の中の風も、少しずつ変わってきたように思います。
この日集まっていたのは、フェラーリオーナーや車好きの方々。会場となった邸宅のオーナーにいたっては、「自分だけのZIPコード(郵便番号)」を持つというスケール感。でも驚いたのはそれだけではなく、そこに流れていた空気でした。
会話はとにかく面白くて、何度も大笑いしてしまうほど。それでいて、話の内容はどこまでもスマートで洗練されていて、笑いながらも知的な刺激を受けている自分に気づく。競争よりも“楽しむこと”を大切にしている、大人の余裕がそこにはありました。
フェラーリに乗った午後。高性能な車に身を任せながら、ふと思いました。人生も同じ。ずっと同じギアで走り続けるのではなく、時には思いきってアクセルを踏み、赤いランプが点滅したその瞬間に、ギアを変えてみる。怖がらずに、楽しむように。そうやって走る人生のほうが、きっとおもしろい。
あの午後の風と音、そして笑い声を思い出しながら、私はまた、新しいギアで走り出そうとしています。
藤田カンナ
美容クリニック「Re:forma」と「Kirei House」代表として日本の美の哲学と、米国および世界中から取り入れた先進的な技術を融合させ、心身の調和を重視した総合的な美容と健康ケアを提供。女性の健康をサポートするために開発、Femtechアワードを受賞した幹細胞製品の米国代表。KAATSUスペシャリスト認定資格およびインテグレーティブ・ニュートリション認定ヘルスコーチの資格を持ち、コロンビア大学で学んだビジネスと経営の知識を活かし、事業運営や顧客サービスにおいて、常に最先端のアプローチを追求している。
現代舞踊家の田中いづみ 東京で第69会発表会
ニューヨークで20年間にわたり現代舞踊家として活躍し、NY大学で講師を務めた田中いづみが7月12日東京の練馬文化センターで、自身が主宰する「石川須姝子・田中いづみダンスアカデミー」(東京都練馬区)の第69回発表会を開催した。
同アカデミーは、田中の母で日本の現代舞踊界の巨匠として知られる石川須姝子(すずこ)さんが前身の石川須姝子舞踊研究所を1950年に創立し、今年で75周年を迎えた。発表会の第1、2部では童謡やポップ、ジャズ、コンテンポラリーの音楽に合わせ、主に田中と石川さんが創作、振付した全20作品を講師陣を含め総勢75人が披露した。同アカデミーでは、普段のレッスンではダンスの基礎を教えるが、発表会では年齢や性別、キャリアに関係なく、講師もベテラン生徒も初心者もそれぞれが個性や表現を活かし、堂々と一緒に同じ作品で踊るのが印象的だ。フィナーレは「マンマ・ミーア!」「雨に唄えば」「ウエストサイドストーリー」のブロードウエー・メドレーに合わせて出演者たち皆がレトロな衣装でポップに締めくくった。
第3部は「石川須妹子作品」と題し、一昨年前に97歳で亡くなった石川さんの代表的な3作品の公演のほか、76年以降の公演の映像、亡くなる2か月前に収録したインタビューで故人を懐かしんだ。生前に取材したとき石川さんは若さの秘訣について「踊りに対する情熱が絶えず、常に未知のものに触れたいという好奇心を持っていること」と答え「死ぬまで踊り、舞台に立ち続けたい」と語っていた。
田中は07年に帰国し、同アカデミーの主導の傍ら現代舞踊協会の理事、アーティストとして、全国で講習やラジオ番組の出演などをも通して日本の現代舞踊界の発展に努めている。石川さんが亡くなった現在について田中は「相談する人がいなくなったのは大きいが、踊りについては身体を動かすだけではなく踊る心が大切なこと、という意志は継承していきたい」と話している。
(浜崎都、写真・塚田洋一)
鈴木竜也と大橋未歩 「無名の人生」NYAFF
北米最大のアジア系映画祭、第24回ニューヨーク・アジアン映画祭(NYAFF)が27日に閉幕した。鈴木竜也(りゅうや)監督(31)の長編アニメ「無名の人生 JINSEI」がUncaged Competitio-For Best Feature Film部門に選ばれ、いわゆる作品賞にノミネートされ、25日にマンハッタン・チェルシーのSVAシアターで北米初上映された。
(写真:上演会場で観客に挨拶した声優の大橋未歩(右)と鈴木竜也監督)
主人公の100年の人生を描き、置かれた環境で呼び名が変わることで人生のステージを象徴し、アイドル、芸能界、高齢者の事故、格差、戦争など日本社会の問題を背景に描く。大手メディアで表現するのは困難な衝撃作だ。
鈴木監督は東北芸術工科大学卒。上京し就職するが辞職し、人間観察の最適な場所の歌舞伎町のバーで働くもコロナ禍で暇になり、独学でiPad でアニメ制作を開始。短編アニメが自主映画祭で受賞する。仙台の実家に戻り、こもって全編を1年半かけて一人で描き、音楽や編集も自身で手がけた。クラウドファンディングで資金を集め、映画祭の審査員だった岩井澤健治監督がプロデューサーに。鈴木監督は上映前に本紙のインタビューに「Uncaged Competition に選ばれたことはとても嬉しいです。初めてNYに来まして、好きな映画を考えみたらNYが舞台になっているものばかり。今立っている場所も何かの映画の舞台になっていたかと思うとワクワクします。「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」に出てくるブルックリンブリッジ、ホアキン・フェニックスのジョーカーが踊ったブロンクスの階段に行ってみたいです」と映画青年の顔を見せてくれた。

主人公の声はラッパーのACE COOL、他に津田寛治、中島歩、毎熊克哉らが出演。映画内でアナウンサー・さくらの声を担当したNY在住のフリーアナウンサー大橋未歩さんも上映後のQ&Aに登壇。鈴木監督は「さくらは大橋さんしかいないと思ってオファーしました」と語った。また観客から画面サイズの変化についての質問があり、映画館で観る迫力を考えて制作したと答えた。
残念ながら作品賞は逃したが、監督は「実写も撮りたいし、クレヨンしんちゃんの監督もしてみたい」と語り、若手監督の今後の活躍が注目される。本作は現在、日本で劇場公開中。 (菊楽めぐみ、写真も)

