補欠選挙は在外有権者を無視

 4月28日3つの衆議院補欠選挙が行われ、自民党が全敗しました。「政治とカネ」に対する国民の批判が直撃した様相です。

昨年補欠選挙の在外投票者数4人!

 しかし、海外有権者にとって更に重要な問題は、補欠選挙は在外有権者を無視していると言われる実態です。今回の在外投票者の人数はまだ不明ですが、昨年10月の長崎4区補選の在外投票者数は全世界でわずか4人でした!その最大の理由は、在外公館で投票できるのが水曜日一日限りであることです。今回も情報を提供してくれた海外有権者ネットワークNY竹永浩之共同代表ですら、水曜日にNY市郊外の勤務先から総領事館に投票に行くのは不可能とのことです。

 これを改善するには以下が考えられます。(1)在外公館投票期間を通常衆議院選挙並みに週末を含む最長6日間とする。(2)通常選挙並みに全在外公館で投票を実施。(全在外公館233に対し、今回の補欠選挙は108公館のみ)(3)在外ネット投票導入。(1)と(2)は法改正でなく、運用で実現できる筈であり、早急に導入すべきです。

在外選挙人登録へのマイナカード活用 

 本年5月27日から海外転出者の海外でのマイナンバーカードの継続利用と在外公館での申請・受取が可能となります。(2015年10月以降に日本国内で住民登録した日本国籍者)

 これにより、在外での選挙人登録の増大が期待できます。2018年から出国時に選挙人登録申請が可能になりましたが、登録者は増えていません。国や自治体の意思と公報不足と思われます。

 そこで、竹永浩之さんは、海外転出届時のマイナポータブルでの自動登録か、自身でのネット登録申請を行うことによる選挙人登録という具体案を提案しています。しかも、これは国や自治体の多大な負担減となります。在外選挙人登録制度の改正が望まれます。

在外ネット投票導入が必要

 冒頭で述べたように、補欠選挙は在外有権者の投票を無視している実態があります。しかし、通常の国政選挙でも約100万人の在外邦人で約2万人しか投票できないのが実態です。郵便投票などが試行されましたが効果は乏しく、在外有権者にはネット投票しか改善の道はありません。今こそ導入する時です。

 ふじた・ゆきひさ=慶大卒。世界的な道徳平和活動MRAや難民を助ける会で活動した初の国際NGO出身政治家。衆議院・参議院議員各二期。財務副大臣、民主党国際局長、民進党ネクスト外務大臣、横浜国立大講師等歴任。アメリカ元捕虜(POW)の訪日事業を主導。現在国際IC(旧MRA)日本協会会長。岐阜女子大特別客員教授。