米国で結核が増加

NY州全米平均上回る

 米疾病管理予防センター(CDC)の最新データによると米国で結核が増加傾向にあり、特にニューヨーク州は症例数が全国平均よりも約40%も多いことがわかった。米国では結核の症例数は10万人あたりの3人ほどで、コロナ禍の間、感染率は下がっていたが、現在は以前の水準に戻りつつある。

 CDCの結核撲滅部門の責任者であるフィリップ・ロブ博士は「2年連続で結核の症例数が増えており、結核にさらされる幼児やそのほかの人々への感染が懸念される」として警戒感をにじませている。

 ニューヨーク州の結核患者数はコロナ禍が始まると減少した。元の水準に戻っているわけではないが、症例数は過去3年間で徐々に増加しており、2020年の605人から2021年は683人、2022年には714の症例を数えた。10万人当たり3・6人で、全国平均の同2・5人よりも高い割合となっている。州内の症例の半分を占めるニューヨーク市に限るとその割合はもっと高くなる。昨年2022年に市内では536人の患者が発生。10万に当たり6・1人であり、これは全米平均の倍となる。これらのうち88%は外国生まれだという。

 かつてはヒトのおもな死因でもあった結核だが、現在では抗生物質、ワクチン接種、早期発見、衛生状態の改善などで恐ろしい病気ではなくなっている。しかし世界的に撲滅されたわけではない。HIVなどの免疫障害を持っている人は結核にかかるリスクが高い。