三味線の史佳再びカーネギー

ロンカーターがゲスト出演

 新潟とNYを拠点とする三味線プレイヤー史佳(ふみよし)が10月17日(日)午後2時から、2度目となるカーネギーホール公演「ブレイクスルー」を開催する。三味線の代表曲「津軽じょんから節」から「オリジナル曲」まで、伝統を守りつつ、和と洋の新感覚のフュージョンを織り交ぜ、音楽を通した魂の共鳴を届ける。タイトルの「ブレークスルー」はコロナ禍で演奏家として存続の危機に直面した史佳が困難を打破する、常識を突き破るという意味でつけた。エグゼクティブプロデュサーは、前回同様、大坪不動産社長の大坪賢次氏が務める。

 満席のスタンディングオベーションの喝采を浴びた2019年の公演に続き、今回もパーカッショニストの和田啓が参加。スペシャルゲストとして、ジャズ界の巨匠ロン・カーターが出演する。ロン・カーターは1937年ミシガン州生まれ。現代ジャズ界最高峰のアーティストでジャズ・ベースの神様と称される。63年、マイルス・デイビスのクインテットに参加。その後さまざまなバンドに名を連ね、88年と95年にはグラミー賞を受賞している。

 入場料は35ドル(指定席)。要ワクチン接種証明。チケットはカーネギーホールのウェブサイトhttps://www.carnegiehall.org、または[email protected]まで。残席わずか。

(写真)Ron Carter by Beti Niemeyer

岸田新政権の所得倍増論、実現の条件は?

 岸田文雄政権が発足した。最大の売り物は、中間層の復権と所得倍増だという。岸田氏の率いる派閥「宏池会」の「創業者」である池田勇人が、1960年に掲げた「所得倍増論」を21世紀の現在に再現しようというのである。

 けれども日本の置かれた環境は全く異なる。高度成長当時とは異なり、現在の日本経済は30年続く低迷の中にある。中国だけでなく、G7や韓国などと比較しても、明らかに日本は貧しくなっている、

 そんな中で、岸田氏の「所得倍増」には期待がある。だが、その具体的な内容は明らかにされていない。岸田氏は「分配を強化して国内需要を喚起する」としているが、そもそも国全体で「稼ぐ」体制へ戻さなくては、所得倍増など不可能だ。分配強化による格差是正というのは、成長があってこその成果分配だからだ。

 日本企業の中で、現在でも成功している企業は、多くの場合に海外を主要な市場にしている。自動車産業の場合、国内シェアは10数%であり、一桁という企業もある。電子機器、電子部品、工作機械なども同様だ。つまり成功している日本企業は多国籍化している。市場を国外に求めて成功しているのなら、昭和期と同様に現在の日本経済も高度成長していいはずだ。だが、そうはなっていない。

 日本ブランドの自動車を例に取ると、北米市場向けの製品は、北米産がほとんどである。日本で協力会社が作る部品を中国製などと合わせて北米で完成車に組み上げている。従って、北米で車が売れると、北米での売り上げ利益が発生する。その利益はほとんど日本国内には還元されない。現地で再投資され、そして今は外国人の方が多い株主に配当されて終わりである。確かに日本企業が世界一になったりするのは誇らしいが、それで日本が豊かになるわけではない。

 生産拠点を市場に近い国に移動する。現地生産というのは、1980年代から始まっていた。貿易摩擦を批判され、特に現地での雇用創出が政治課題になっていた中では、それが国策だったのである。では、その国策が間違っており、例えば中曽根康弘政権はアメリカの脅しに屈服することなく、自動車や電子機器の「集中豪雨的輸出」を維持すべきだったのだろうか。

 そうではない。国の産業構造には発展の歴史が必然である。例えば、自動車産業を空洞化させた後には、より付加価値の高い宇宙航空産業へのシフトが進められるべきだった。また、80年代の英国がサッチャー改革で金融大国として復活したように、日本も高度な教育を受けた人材の厚みを生かして金融立国へと進むことは可能だったはずだ。何よりも、電子機器のイノベーションで世界を牽引していた日本は、90年代以降のIT革命でも中心的な位置を占めるべきだった。

 だが、そうした「より知的な」「より付加価値の高い」産業への移行に、日本は失敗した。というよりも失敗し続けたし、反対に少しでも成功の芽が出れば、変化を恐れる勢力によって摘み取られ続けた。国力の喪失は、そのような30年間の失敗の積み重ねの結果である。具体的には、資産保有者の高齢化によるリスク投資の喪失、そして中進国型の教育を先進国対応へと変更できなかった国策の遅れが原因であった。

 その結果として、日本はここまで追い込まれるまで、見事なまでに変われなかったのである。そこには、問題に気付いた側は衰退や滅亡への恐怖から、焦って「不連続な改革」を要求し続けたという「敗北の歴史」が重なる。改革要求が軋轢を生み出すことが分かっていながら、改革勢力は対決に勝利する戦略戦術に欠けていた。つまり、日本が貧困化した原因の一端は、主張は正しくても政治的に勝てない改革勢力の力不足にあったとも言える。

 その意味で、改革型の河野太郎氏が、一見すると中道穏健派の岸田氏に敗北した今回の政局は、もしかしたら歴史の転換点になるかもしれない。再分配による中間層の復活などという「甘い言葉」で表面を塗りたくりながらも、岸田氏は教育や人材抜擢、あるいは金融政策における非連続的な変更を、静かに進める決意を持っているのかもしれない。そうでなくては「所得倍増」などできないことは、百戦錬磨の岸田氏には分かっていると信じたい。

れいぜい・あきひこ/作家・プリンストン在住)

カーク・オグリさん優勝!

第27回JAAチャリティー・ゴルフ大会

総勢92人がエントリー

 ニューヨーク日系人会(JAA:スーザン大沼会長)は9月27日(月)、「第27回JAAチャリティーゴルフ大会(主催:ニューヨーク日系人会、協賛:ANA・全日本空輸株式会社、後援:週刊NY生活、よみタイム)を開催した。昨年はコロナ禍で中止となったため、今回は2年ぶりの開催。総勢92人がエントリーし盛会となった。

 当日は在NY日本国総領事館から山野内勘二総領事・大使が駆けつけ、「NYの日系社会が活気を取り戻すきっかけとなることを祈念したい」と挨拶。協賛のANA社から服部茂米州室長・NY支店長も来場し、開催を祝うと共に参加者を激励した。

 コンディションは快晴微風。秋晴れの下で午前9時30分、各自が決められたホールから同時に一斉にスタートするショットガン方式でトーナメントが始まった。

 競技後は、恒例の表彰式を開催。今回も12ホールを隠しホールにしてハンディキャップを算出する新ペリア方式を採用し順位を決定。元来の実力に加え、運も順位に大きく左右する今大会で、見事優勝の栄冠に輝いたのはカーク・オグリさん。(写真上:大津ANAマネージャー、優勝したオグリさん、大沼JAA会長)アウト34、イン35のグロス69、ハンディキャップ0、ネットスコア69で優勝。母親がJAAのイベントに参加しているというオグリさんは、「JAAへ感謝の意味を込めて参加しました。天候も良くエンジョイ出来ました」と喜びを語った。オグリさんには大津ANAセールスマネージャーからカップと副賞の「JFK・東京往復ANAビジネスクラス航空券」が贈られた。

 2位は、アウト44、イン38のグロス82、ハンディキャップ12、ネットスコア70でリチャード・ヤンさんが入賞。わずかに1打及ばなかった。

 3位はアウト49、イン47のグロス96、ハンディキャップ25・2、ネットスコア70・8で河嶋善範さんが入賞した。

スーパーシニアの皆さん

 ベストグロス男性部門は、優勝したオグリさんが辞退し、74でラウンドしたKH・ワンさんが、女性部門は83でラウンドしたシム・イン・スックさんがそれぞれ獲得。また、75歳以上の「スーパーシニア」が6人参加、記念品が贈呈された。

 順位発表と並行して恒例のラッフルも開催。豪華賞品が多数出品され大盛況で、売り上げは7560ドルに上った。特賞の「JFK・東京往復ANAビジネスクラス航空券」は、三田道綱也さんが獲得。大津マネージャーから目録が手渡された。ラッフル1等のIACEトラベル(石田圭子会長)提供「アメリカ国内線(48州)往復チケット(ペア)」は高田洋平さんが獲得。石田会長からチケットが贈られた。

 ラッフルの売り上げと参加費の一部は、JAAのソーシャルサービス活動に充てられる。

 最後はデビッド廣村大会委員長が、参加者・協賛企業および個人に感謝の意を表明し、次回大会での再会を約束。トーナメントは無事に終了した。

(ケーシー谷口、写真も)

ビンテージな着物を個性的な服に生まれ変わらせる

メイド・バイ・ユキ

和と洋の融合

 日本生まれ米国育ちのアーティスト小久保由紀が2020年に立ち上げた「Made by Yuki (メイド・バイ・ユキ)」。幼少時から米国で育った小久保は、17年に日本に帰国。同ブランドは、服作りへの深い情熱、日本人としての文化的なルーツと再び強く結びつきたいという思いと、サステナビリティへの強い関心から誕生した。ビンテージの着物をアップサイクルした一点物の服のみを作り、日本から世界中に配送する。

 メイド・バイ・ユキの特長は、ビンテージ着物を丁寧に解いて服として縫い直し、幅広いサイズに対応できるよう、ゆったりとフィットすること。すべてユニセックスで、プラスサイズのアイテムも含まれる。デザインはシンプルかつモダンで、ジーンズやスニーカーといった普段着と組み合わせることも可能だ。

 また、SNSを通じて、日本の着物に関する情報を英語で提供している。訪問着、振袖といった着物の種類から、縮緬、紬など生地の織り方、絞り、藍染などの染色の方法、青海波、麻の葉といった着物に使われるモチーフについても、丁寧に説明している。同ブランドは万人に着てもらうことを目指しており、アップサイクルされた服を着ることで着物の美しさを堪能することができると述べている。世界中の日本人や日系人が、服を通じて日本の伝統と繋がることを可能にするものである。

 米国在住の日系人顧客は「メイド・バイ・ユキの服が素晴らしいのは、まず自分の美しさを引き出してくれること。日系人としての誇りを感じさせつつ、とても着心地が良い服です」と話している。詳細はウェブサイトhttps://www.madebyyuki.com/を参照。

シニアの永住帰国

注意点を解説

 ニューヨーク日系人会(JAA)で開催されている第15回秋のヘルスフェア(共催・NY日系人会JAA、邦人・日系人高齢者問題協議会、邦人支援ネットワーク、後援・ニューヨーク日本総領事館)のプログラムで、日本で活躍する有名講師4人がYOUTUBEで講演を配信する「大人の教養講座シリーズ特別講座編」(主催/講師派遣・マイベストプロ、協力・マイイベントUSA)が公開された。1人目は、一般社団法人日本リレーションサポート協会代表理事の山口里美さんが「どうする?シニアの単身永住帰国と題して講演した。

【帰国手続き】

 帰国手続きに関する問題では、もし日本国籍を喪失している場合は、一旦外国人として日本に入国し、在留資格(ビザ)の取得、定住、永住、帰化なども帰国後に申請、保証人の問題も発生する。

【帰国後の住まい】

 一時的に賃貸住宅を借りる場合は、単身の高齢者が賃貸住宅を借りる場合、安定した収入のある親族などに保証人になってもらうなどの協力が重要。親族を保証人に立てられない場合、一般財団法人高齢者住宅財団が提供している連帯保証人サービスを利用する方法がある。注意点として、さまざまな事業主体が高齢者の身元保証サービスを提供している。サービスや契約の内容にはばらつきがあり、高額な前金を請求される場合がある。

 【一人暮らしの不安】

 シニアの一人暮らしの不安は、入退院の付き添い、急病時の連絡先などがあるが、高齢者の生活を支えるためのボランティア、NPO、民間企業、社会福祉法人など多様な事業主体が重層的に生活サービスを提供している。

【高齢者施設の種類】

 日本の高齢者施設は、費用が安い順にケアハウス(軽費老人ホーム)、(シニア向け賃貸住宅)、サ高住宅(サービス付き高齢者向け住宅)、有料老人ホーム(介護付き、住宅型)で、費用が安くてなおかつ介護度の高い「介護保険3施設」(特別擁護老人ホーム、老人介護施設、介護医療型医療施設)は人気が高くてウエイティングになっている。これらの入所要件もさまざまなため、結局専門家のアドバイスがないと自分はどのタイプの施設を選べばいいのか分からないということが多い。高齢者が施設に入所する際にはほとんどの施設で身元保証人が必要となる。

【お金の管理】

 お金の管理の対策としては、認知症になる前に準備が大切。認知症になると財産が凍結される。銀行口座の預貯金がおろせない、解約できない、不動産の売却、修繕、賃貸契約ができなくなる。認知症による財産凍結を防いで、生活費や介護費用が滞らないようにするためには成年後見、民事信託(家族信託)がある。

(写真)シニアの永住帰国について講演する山口さん

コロナ禍で困窮した先住民族を支援

メキシコの未来をつくる〜マヤメキシコ〜

旅のページ・番外編

MAYA MEXICO(マヤメキシコ)とは?

 メキシコ、ユカタン半島では先住民族マヤ民族が、先祖代々伝統を継ぎ暮らしています。絶頂期には南北米大陸で元も豊かな文化を誇っていた古代マヤ文明、その子孫にあたるマヤ民族ですが、現在ではメキシコ国内で多くの社会的格差に直面し、町から遠く離れたジャングルに集落を作り、ひっそりと暮らしている方も多くいます。集落での暮らしは自給自足、家庭菜園で主食のトウモロコシや野菜などを作り生活していますが、現金収入を得るために男性は出稼ぎや野菜の路上販売に従事しています。一方、マヤの女性にとって村を離れて大きな町で働くことは非常に稀であり、若くして結婚出産する習慣があるので、村で生活することがほとんどです。

 マヤの女性は先祖から、伝統的なマヤ刺繍を受け継いできました。自然との共存から生み出されたデザインや色は「自然への恵みに感謝する」という意が込められています。しかし、新型コロナウイルスの影響により、観光客からの収入は途絶え、厳しい生活を余儀なくされている状況を私たちは目の当たりにし、このユカタンの土地やそこに暮らす人々に何か恩返しがしたいと思い「マヤ刺繍プロジェクト」と名付けたプロジェクトを開始しました。そこで誕生したのが、「MAYA MEXICO」です。

 マヤ刺繍プロジェクトとは?

 プロジェクトは現地NPO「マヤ女性の尊厳を守る会」との協働プロジェクトです。代表のラウラ氏は2002年よりマヤ村で生活支援を行ってきました。プロジェクトの活動内容は、クラウドファンディングで資金を募り、女性を集めレッスンを開講。そこからオリジナル商品を作り、マヤ村オリジナルブランドを立ち上げ、セレクトショップMAYA MEXICOとしてECサイトをオープン。観光客だけでなくインターネットを用いて世界中へ販売経路を作り上げることで、マヤ伝統の刺繍を守り、女性たちの経済的自立に貢献しています。また、最近では同じような問題を抱える先住民が作る商品や、動物愛護を考えた商品、環境に配慮した商品など、サステナブルな商品の取り扱いも始めています。

 村の女性に夢を聞いてみたところ、「マヤ村に生まれたことを誇りに思っています。私たちが作る刺繍を世界中の方に知ってもらい、私たちのことも知ってもらいたい」と答えてくれました。また違う女性は、「マヤの文化や生活を大切にしつつ、より良い暮らしがしたい」と話してくれました。村の女性たちは、このプロジェクトの可能性を信じ、日々熱心に刺繍を続けています。そして私たちMAYA MEXICOは、この活動を持続可能にするため、日々皆様への発信を続けています。個人様だけでなく、企業様、団体様へも活動を広め、サポートの輪を広げていきたいと思っています。

https://mexico-maya.com/ でMAYA MEXICOの活動を知る!)

MAYA MEXICO 八尾美瑞紀

編集後記 10月2日号



 みなさん、こんにちは。自民党総裁選は29日開票が行われ、岸田文雄前政調会長(64)が、河野太郎行政改革担当相(58)との決選投票を制し、第27代総裁に選出されました。10月4日召集される臨時国会衆参両院本会議の首相指名選挙で首相に選出される見通しとなっています。岸田次期首相の特技は「一生懸命人の話を聞く」ことだそうです。自分で言っているのだから間違いないでしょう。果たして海外有権者の声をどれだけ聞いてくれるでしょうか。直近で岸田氏がニューヨークで一般人と接したのは2017年。国連で開かれていた「持続可能な開発目標(SDGs)」に関する会合のレセプションで「ペンパイナッポーアッポーペン」の歌手のピコ太郎さんと共に国連本部のレセプション会場で踊りを披露した時でした。わかりにくさから認知度が上がらないSDGsに関心を持ってもらおうと日本の外務省が考え出した苦肉のパフォーマンスだったのですが、国連職員や各国大使も日本の外務大臣の意外かつ新鮮な一面を見て笑顔と拍手を贈っていました。その滞在時に岸田氏が在外選挙について何か発言したかは記録も記憶もないので分からないですが、近く行われる衆議院選挙、来年の参議院選挙で行われる在外選挙の投票率を上げるための取り組みに本腰を入れて取り組んでもらいたいというのが海外有権者の切実な願いです。具体的には、国内に先行して実施計画がある海外でのネット投票と海外有権者へのマイナンバー発行。これは米国のソーシャル・セキュリティーナンバー同等以上の個人背番号制度ですが、住民票を外した人だけが権利を得られる在外選挙人登録と、住民表を持っている人にだけ交付されるマイナンバー制度との相反する発行条件の見直しや調整が不可避となります。国内法である公職選挙法は海外では効力を発揮しないため、海外での選挙違反を取り締まることができない片翼飛行の選挙制度向上、地球規模での本人確認の切り札としてマイナンバーが浮上しているわけです。小さな声が届くか分からないですが、海外有権者自身も声をあげていかなくては、日本の国政に海外の声は届きません。いくら一生懸命に人の話を聞く人が首相になってもです。小学校時代にニューヨークのクイーンズにある公立小学校、PS13校に通っていた帰国子女でもある岸田次期首相なら、ひょっとしたらニューヨークからの声に耳を傾けてくれるかもしれませんよ。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2021年10月2日号)

(1)接種求め従業員襲われる

(2)巨大な動物の折り紙像

(3)自民新総裁に岸田氏

(4)好田さんに在外公館長表彰

(5)ステンカラーコート 

(6)小室さん帰国 眞子さまと結婚へ

(7)観光馬車と自動車衝突

(8)短編小説の無料自販機

(9)ラジオシティーホール Xマス公演復活

(10)ブースター接種のご案内

ワクチン証明求め従業員襲われる

 ニューヨーク市では9月13日から屋内飲食でのワクチン接種証明と身分証明書の提示を義務付けているが、23日午後5時ごろ、マンハッタンのアッパーウエストサイドのレストランで、店先で接種証明を求めた店員が州外から訪れていた3人組の客の一人から顔を何度も殴られる事件が起こった。周りにいた従業員が止めに入ったが、大声を出して暴れ、指示に従わないため、男性従業員が間に入って取り押さえて警察に通報、駆けつけた警察官が三人の身柄を拘束して連行した。

 被害に遭ったのはブロードウエー90丁目のイタリアンレストラン、カーマインの22歳の女性従業員。身柄を拘束されたのはテキサス州から訪れていた観光客のサリー・ルイス容疑者(49)、カエイタ・ランキン容疑者(44)、タイニー・ランキン容疑者(21)の3人を傷害容疑で身柄を勾留。(写真:来店客のワクチン接種証明を求める従業員(事件翌日の24日昼、カーマインレストランで))

 同店を経営するアリカート・レストラングループのジェフリー・バンク社長は「1年半の長きにわたり、レストランなどの飲食業界はコロナ禍で苦しんできたが、従業員一人一人が、お客様の安全のためにこれからもできる最善のベストを尽くしていくことに変わりはない」とコメントした。同店では翌日からの週末には私服の警備員を店頭に配置し、従業員と客の安全対策を行った。

 事件直後、ゲール・ブリューワー・マンハッタン区長は「レストラン従業員を襲わないで欲しい。客の安全を守るために働いている彼らの安全を市民は守らなくてはならない」と記者会見で訴えた。

レストラン業界警戒

 NY市内のレストラン業界団体であるNYCホスピタリティー連合のアンドリュー・リッジ・エグゼクティブ・ディレクターは「レストラン関係者に危害を加えた者に対する罰則の強化を市と州に対して要請する」と声明を発表した。

 また、事件を受け、ニューヨーク日本食レストラン協会(ボン八木会長、加盟168社)は25日、加盟レストランに「今後もこのような事件が起こる可能性はないとも限らないのでくれぐれも注意して頂きたい。万が一事件が起きた際は即時警察へ連絡すると同時に, 邦人の方が巻き込まれた際には日本領事館(電話・212・371・8222)にも報告するように」と警告を発した。

 八木会長の話「コロナ禍の中、ワクチン効果で室内飲食は順調ですが、経営者達は従業員不足に悩まされている最中の事件は危機感を感じていると思います。また、アジアンヘイトクライムで悩まされた時を思い出させます。お客様には安心、安全な環境の中で美味しい食事を楽しんで頂くために、経営者はお客様、従業員の身の安全確保も視野に入れ営業しているので、ひと休みも出来ず大変な状況です。私達はエッセンシャルワーカーですので、お客様が、このような事件を起こさない様にお互い協力して楽しい食事をして頂きたいの一心です」。

巨大な動物の折り紙像、ガーメント地区に出現

NY市のパブリックアート

 鮮明な色が目を引く巨大な動物の折り紙の銅像が現在、ガーメント・ディストリクトで展示されている。 

 同展「アセール・トランスフォーメーションズ」は、NY市運輸局(NYCDOT)が運営する1年を通したパブリックアート・プログラム「アーターべンションズ」の一環で、濃いターコイズ色の2匹のコヨーテ、明るめのターコイズ色の2匹のウサギ、マゼンタ色の1頭のゾウ、黄色い1匹のイヌ、そして緑色のコグマから構成されている。粉体塗装されたスチール製の折り紙像は、最も大きい作品「コヨーテ、ストーキング(忍び寄る)」で長さ14フィート(約4・3メートル)に及ぶ。これらの作品は、スペイン語で「作る」を意味する作家名のアセールさんが手掛けた。

サンライズマート社長、好田忠夫さんを表彰

NY日本総領事館で伝達式

日本文化発信「ジャパンビレッジ」作る

 ニューヨーク総領事の山野内勘二大使は9月28日、ニューヨークの日本食料品店サンライズマートの社長、好田忠夫氏(76)を在外公館長表彰し、その伝達式を大使公邸で行った。(写真:NY総領事の山野内大使から表彰される好田さん(左から2人目)。伝達式に列席した長男の卓矢さん(左端)と長女の絵里奈さん(右端))

 好田氏は、ニューヨーク市内に4つの店舗を有する日本食料品店「サンライズマート」の社長として日本食・食文化の普及に貢献している。

ジャパンビレッジで開催された夏祭り

 2018年にオープンした「ジャパンビレッジ」を日本文化の発信拠点とするために尽力し、今年8月に日本文化を紹介する「夏祭り」を開催、7月から8月にかけてはコロナ禍で活躍の場を制限された在留邦人の音楽家に対してライブ会場の提供を通じ、活動再開を支援する事業(Re:Open JAM)を実施した。

 また、パンデミックと闘う医療従事者や外出できない日系の高齢者に対するお弁当プロジェクトでは、1年間弁当供給を無償で行うなど日系社会を陰で支え、縁の下の力持ち的存在として大きく貢献した。

 好田さんは「こういうことを期待してやっているわけではないが、評価されるのはとても嬉しい。日本人は集まらない傾向があるが、そろそろ仲間意識を持って日本文化を盛り上げていかないと国際結婚して生まれた2世、3世の子供たちに日本文化が伝わっていかない。ジャパンビレッジがその拠点になれば幸い」と喜びを語った。

ステンカラーコート

イケメン男子服飾Q&A 88
ケン 青木

 ふと気がつけば、いつの間にやら秋の気配(笑)。

 前回は、私たち日本人的に言うのであれば、「ジャンパー」の代表格とも言える、バラクーダ社の「G9」モデルを取り上げました。

 そして当地では「ジャンパー」とは言わず、ウインド・ブレーカーだとかゴルフ・ジャケットと言うんですよ、なんてこともお話しいたしましたね。ま、でも「私たち日本人同士の間であればジャンパーはジャンパーでいいんですよ!」とも(笑)。

 今回はそんなタイトル第2弾、「ステンカラー・コート」! 私も高校3年生の時に買ったステンカラー・コート、まだ持っているのです。VANヂャケット社のオフ・ホワイト色で丈が少し短めのなんです。

 さてステンカラー・コート、アメリカでは何て言うのだろう? はい、一般にはBal Collarと言われることが多いかと。も少し細かくチェックしてみますと、BalとはBalmacaanの略だとか。そしてスコットランドのInvernessインヴァネスという名の街、実はこのInvernessも紳士物コートの名前になってますが、Invernessの中の私有地にBalmacaanがあるんです。この件についてはあらためて。

 実はバルカラーとは上襟を寝かせたスタイルなんですが、詰め襟を元に上襟を折り返したPrussian Collarという襟型があり、要するにプロシア、19世紀のドイツの軍人のコートの襟なんですね、この襟型を英語で言うとstand and fall collar、立ち折り襟? とでも訳しましょうか。そしてこの襟を当時しょっちゅう戦争していた敵国フランスから言わせるとsoutien col、日本語的に発音すれば「スティアンコル」、このsoutien、フランス語と英語のcollarが組み合わさって生まれたのがsoutien collarなのだとか! いかにも英仏入り混じった文化が根っこにあるニューヨークらしい御話なのでは?

 プロシアの軍人のコートは丈が足首まである、良く言えば重厚、そうでなければ「重ったるい(笑)」?

 秋口にガバッと羽織るステンカラー・コートは、コットン・ギャバジンかポプリン地で色はやはりタンとかオフ・ホワイトの明るめの生地のもので、ここが「キモ」なのですが、裾に向かってキレイな円錐を描くAラインのシルエットで、丈は膝丈のものを。

 えっ! まんまBulittのマックイーンじゃないかって?(笑) 彼のカッコ良さは永遠かと。そして身のこなしも見習いたいな、と。はい、この秋、いつもよりもう少し機敏な動きでステンカラー・コートを颯爽と着こなしましょう!

 それではまた次回。 

けん・あおき/日系アパレルメーカーの米国代表を経て、トム・ジェームス.カンパニーでカスタムテーラーのかたわら、紳士服に関するコラムを執筆。1959年生まれ。