シニアの永住帰国

注意点を解説

 ニューヨーク日系人会(JAA)で開催されている第15回秋のヘルスフェア(共催・NY日系人会JAA、邦人・日系人高齢者問題協議会、邦人支援ネットワーク、後援・ニューヨーク日本総領事館)のプログラムで、日本で活躍する有名講師4人がYOUTUBEで講演を配信する「大人の教養講座シリーズ特別講座編」(主催/講師派遣・マイベストプロ、協力・マイイベントUSA)が公開された。1人目は、一般社団法人日本リレーションサポート協会代表理事の山口里美さんが「どうする?シニアの単身永住帰国と題して講演した。

【帰国手続き】

 帰国手続きに関する問題では、もし日本国籍を喪失している場合は、一旦外国人として日本に入国し、在留資格(ビザ)の取得、定住、永住、帰化なども帰国後に申請、保証人の問題も発生する。

【帰国後の住まい】

 一時的に賃貸住宅を借りる場合は、単身の高齢者が賃貸住宅を借りる場合、安定した収入のある親族などに保証人になってもらうなどの協力が重要。親族を保証人に立てられない場合、一般財団法人高齢者住宅財団が提供している連帯保証人サービスを利用する方法がある。注意点として、さまざまな事業主体が高齢者の身元保証サービスを提供している。サービスや契約の内容にはばらつきがあり、高額な前金を請求される場合がある。

 【一人暮らしの不安】

 シニアの一人暮らしの不安は、入退院の付き添い、急病時の連絡先などがあるが、高齢者の生活を支えるためのボランティア、NPO、民間企業、社会福祉法人など多様な事業主体が重層的に生活サービスを提供している。

【高齢者施設の種類】

 日本の高齢者施設は、費用が安い順にケアハウス(軽費老人ホーム)、(シニア向け賃貸住宅)、サ高住宅(サービス付き高齢者向け住宅)、有料老人ホーム(介護付き、住宅型)で、費用が安くてなおかつ介護度の高い「介護保険3施設」(特別擁護老人ホーム、老人介護施設、介護医療型医療施設)は人気が高くてウエイティングになっている。これらの入所要件もさまざまなため、結局専門家のアドバイスがないと自分はどのタイプの施設を選べばいいのか分からないということが多い。高齢者が施設に入所する際にはほとんどの施設で身元保証人が必要となる。

【お金の管理】

 お金の管理の対策としては、認知症になる前に準備が大切。認知症になると財産が凍結される。銀行口座の預貯金がおろせない、解約できない、不動産の売却、修繕、賃貸契約ができなくなる。認知症による財産凍結を防いで、生活費や介護費用が滞らないようにするためには成年後見、民事信託(家族信託)がある。

(写真)シニアの永住帰国について講演する山口さん