日本映画祭を開催 オンライン2022

世界25か国で無料配信

国際交流基金と日本大使館

「サマーフィルムにのって」(2021年)

 国際交流基金(JF)は日本国大使館と共催で14日(金)から27日(木)まで、世界25か国を対象にした「オンライン日本映画祭2022」を開催する。

 2019年度は12か国56都市でリアルな映画祭を実施し、年間17万人以上を動員した。そして初めての開催となった「オンライン日本映画祭20〜21」では世界20か国から計22万回以上の視聴を記録した。今年は韓国やタイ、メキシコ、スペイン、ドイツなど全25か国にて開催、最大15言語の字幕が使用される。アメリカでは全20作品のうち、16作品が無料で視聴できる。

 21年に日本で劇場公開され、大きな話題を集めた『あのこは貴族』や『サマーフィルムにのって』などの新作のほか、『相撲道~サムライを継ぐ者たち~』や『ラーメンより大切なもの 東池袋大勝軒50年の秘密』といった日本文化を映し出すドキュメンタリー、アニメーションでは吉浦康裕監督が手掛けた『イヴの時間 劇場版』などが視聴可能。 期間中は作品配信だけでなく、監督やキャストを招いたインタビュートークや世界各国でさまざまなイベントも企画される。 視聴無料だが要ユーザー登録。詳細はウェブサイトhttps://jff.jpf.go.jp/watch/jffonline2022/を参照。

「しあわせのパン」(2012年)

●視聴者へ向けたメッセージ・許斐雅文(同映画祭プロデューサー)

 「コロナ禍の今、世界中で多くの人々が苦しみや悲しみ、孤独と戦っています。このような状況の中、日本映画が少しでも皆さんの気持ちを癒せるよう、最新作からクラシックまで、さまざまな作品の上映や配信を予定しています。四季折々の景観、見た目にも美しい色とりどりの日本食、伝統から現代へ変わりゆく社会、時空を越えた創造の世界など、さまざまな日本の世界を堪能してもらうことで、視聴者の皆さんの気持ちが少しでも晴れ、一人でも多くの人が、またいつの

日か日本を訪れるという夢を持つきっかけとなれば嬉しく思います」

(写真上)ハッピーフライト(2008年)

「いちご王国」栃木から直送スカイベリー

 いちごの年間生産量が53年連続日本一の「いちご王国」栃木県の、数あるブランドいちごの中でも最高級品種に位置する「スカイベリー」の販売が、このほど米国東海岸で始まった。

 「スカイベリー」は県をあげてのプロジェクトで17年かけて開発された品種。栃木県の主力品種「とちおとめ」と比較するとかなり大粒で、上品な甘さとほのかな酸味とのバランスが良く、果汁がにじみ出るジューシーさが特徴。日本では贈答用として人気を得ている。栽培が難しく大量生産ができないため、最高品質のものは一粒300円〜500円ほどで市販される高級いちごだ。

 今回、「スカイベリー」が米国に輸入されるきっかけは、日本酒や日本の食品の米国での市場展開を手伝うコンサルティング会社MU・GENインクの阿部嘉代子社長が、ワシントンDC地区で世界の最高級食材を集めて創る大胆な創作料理が評判の高級レストラン「JÔNT」のオーナーシェフ、ライアン・ラティーノ氏から、「デザートに使う日本の最高級いちごを入手したい」と相談され、阿部さんの出身県である栃木県の県庁に提案したことから実現。生鮮食品輸入・流通業者のトゥルーワールドフーズ社が、採れたてのいちごを産地直送、航空便輸送で輸入している。

 「スカイベリー」は生産数が少なく対米輸出できる数量にも限りがあるため、NY近郊では、一部のレストランへの卸し以外、一般販売はNJのミツワマーケットプレースでのみ行われている。価格は、1パック(平均6〜8粒)34ドル99セント(2月5日現在)。同店では当面、毎週水曜日に新しい商品が入荷し店頭に並ぶそうだ。バレンタインのギフトとして今年はチョコの代わりに「スカイベリー」を渡してみるのもアイデアだ。

岸田政権を待ち受ける3つの困難

 昨年秋に発足した岸田政権は、10月の衆院選で予想外の善戦を見せて以来、50%を超える安定した支持率をキープしている。当初は、デルタ株がほぼ収束したことでコロナ禍に「一息ついた」ことが政権の追い風となった。その後、オミクロン株の流行で年明け以降は一気に感染が拡大したが、現時点では支持率が激減するようなことは起きていない。

 一部には私たち在外邦人を含む入国者に対する過剰なまでの「水際対策」を徹底したことが、世論に歓迎されているという説がある。国外から見れば残念としか言いようのない政策だが、東京五輪を強行した前任者とは正反対の姿勢ということから好印象となっているようだ。加えて岸田総理の場合は、会見でも国会質疑でも受け答えは実に歯切れが良く、それだけでも過去数代の総理大臣より好感が持たれている。勿論、発言の内容は十分に予防線を張ったもので、切れ味があるわけではない。よく聞いてみれば答弁の多くは一般論に終始している。それでも「聞いたことにはちゃんと答える」姿勢は現時点では効果を上げている。

 では、このまま岸田政権は安定して行くのだろうか?

 一部には野党、とりわけ立憲民主党の人気が低迷している中では、7月に予定されている参院選では与党が有利という見方がある。従って選挙に勝った後の岸田政権はより強固となって、長期政権を視野に入れるだろうという楽観的な予測もある。だが、そう簡単には行かないであろう。どんな時代でもやはり、政局の「一寸先は闇」だからだ。

 一見すると盤石に見える岸田政権だが、実は3つの難題を抱えている。

 1つ目は、コロナ禍への対策だ。米国の例を見ていると、オミクロン株の感染拡大は、急上昇したのちは急速に減少に向かっている。だが、日本も同様の推移を見せるかというと不安材料がある。菅政権による2回接種は成功した一方で、3回目の「ブースター接種」が普及していない。岸田政権は、ファイザー社製のワクチンの入手が遅れる中でモデルナ社製のワクチン接種を推奨しているが、副反応の懸念が世論に広く行き渡る中で反発も出ている。ということは、アメリカのような急速な収束が遠のき、オミクロンとの戦いが長期化する危険がある。今回の「波」を受けて医療体制も再び翻弄されており、医療崩壊の可能性も出てきた。仮にそうなれば、今回も国民の不満が政権への批判となる可能性は十分にある。

 2つ目は、ここへきて浮上してきた憲法論議だ。岸田氏は宏池会という派閥の領袖だが、宏池会は創始者の池田勇人以来、経済を重視する一方で、全方位外交と軽武装を政策とする中道主義を掲げてきた。従って、自民党内では真ん中やや左の立ち位置である。だが、憲法改正問題に対して岸田氏は積極的な姿勢を見せている。改憲を党是として、保守票を多く抱える自民党にあって、政権を維持するには党内対策として改憲論を唱える方が得策ということが背景にはあるようだ。また、自公の与党に加えて維新を加えた改憲勢力が優勢となる中では、その政治的な波に乗りたいということもあるのだろう。

 だが、この問題は両刃の剣である。憲法論議に前のめりになれば、公明党が離反する可能性もある。コロナ禍など社会不安の中、直近の課題が山積する中で改憲論議ばかりが先行するようだと、第一次安倍政権の時と同じように民意が離れていく可能性もある。

 3点目は経済問題であり、これが最も深刻だ。コロナ禍の真っ只中である現在、政府は公的資金を投入して何とか危機を乗り切ろうとしている。従って危機の間は、良くも悪くもカネは回る。問題は、コロナが収束した後だ。支援の相当部分は貸付という形を取っている。ということは、社会活動が再開されるということは、凍結されていた返済がスタートすることを意味するわけで、その瞬間に多くの企業が淘汰される危険がある。これに伴って地方の不動産価値が下落すると、多くの地銀は困難に直面する。

 また世界的な原油高、原材料高が続く一方で、更に一段の円安が襲うと一転してインフレが制御できなくなる危険も指摘されている。問題はエネルギーであり、化石燃料依存体質を克服できなければ製造業は更に国外流出を加速するだろう。

 この3点の難題に取り組む姿勢を見せられるか、岸田政権の命運はここにかかっている。

(れいぜい・あきひこ/作家・プリンストン在住)

ギャノン氏の国際交流称えギャノン氏の国際交流称え NY

 ニューヨーク日本総領事館は3日夕、米国法人日本国際交流センター(JCIE/USA)前事務局長のジェームズ・ギャノン氏への在外公館長表彰を行った。同氏は、2001年から2021年までJCIE/USAの事務局長として幅広いプログラムを手がけ、日米議員交流・日米交流の促進などに貢献した。また、東日本大震災発生直後には「東日本大震災NGO支援国際基金」を立ち上げ、約1600万ドルの支援金の収集に大きく貢献すると共に、震災の救援・復興に向けた国際協力の推進に関する会議や調査研究を主導した。さらに、国際保健分野においても、知見と人脈を活かして数多くのセミナーや研究を推進し、2020年10月には、山中伸弥京都大学iPS細胞研究所所長らを招いたウェビナーをNY総領事館との共催で開催するなど、長年にわたり米国における対日理解促進に向けて尽力した。 当日は後任の加藤和世同センター事務局長ら招待客が参列し、ギャノン氏への表彰状授与を祝福した。ニューヨーク総領事の山野内大使から表彰状を受け取った。ギャノン氏は、登壇し、参列者一人一人との関わりについて触れ、これまでのサポートに感謝の言葉を述べた。

(写真) 山野内大使(右)から表彰を受けるギャノン氏(写真提供・NY日本総領事館)

石原慎太郎さん悼む

NYタイムズ紙が訃報掲載

 今月1日に膵臓がんのため89歳で亡くなった石原慎太郎元東京都知事について3日付ニューヨークタイムズ紙が訃報を写真付きで大きく掲載した。同紙は、石原氏について中国との領有権問題をめぐって外交的緊張を高めたことで知られる作家、過激なナショナリストの政治家と紹介。一橋大学法学部在学中の1955年に処女作『太陽の季節』を発表して芥川賞を受賞し、戦後の日本に幻滅した若者の姿を描いて評判になったが、このテーマはその後の著作でも繰り返されたと評した。

 1999年から13年間、東京都知事を務め、日本を活性化し、米国への隷属から解放すると信じて、厳格な右翼キャンペーンを展開し、第二次世界大戦の原爆投下によって未だにトラウマを抱えている日本で、核兵器の開発を要求、日本が戦争をすることを禁止する(米国によって課せられた)憲法の規定を廃止するよう要求したなどと報じた。

 また、保守的な考えを貫き、女性や外国人への差別的な発言で批判されることもあったことや、2012年には東京都知事として、東シナ海に浮かぶ尖閣諸島と釣魚島を購入するために数百万ドルを集め、中国との外交問題に発展したことなどを紹介した。

(写真)モノいうナショナリスト(国粋主義者)の見出しで報じる3日付NYタイムズ紙

SOHOを軽やかバレリーナ

 再びソーホーの街角。週末の朝、軽やかな足取りで歩く女性にファッションインタビュー。おさがりのダウンジャケットの下はAmerican EagleのTシャツにアマゾンのレギングスだ。全身黒色で、極めてラフなアスレジャースタイル。「走るのも好きだから」とコメントする彼女は履いているスニーカーブランドを思わず失念。同行する友人に教えてもらい、「そうそう!ニューバランスよ」。ピンと伸びた左足を軸に綺麗に折り曲げた右足を空中でピタリと固定し、抜群の安定感で数秒間スニーカーを指さし続けていた。「実はバレリーナなの」というコメントに納得。

 普段はスポーティーな衣服に身を包みつつ、Brandy Melvilleのようにトレンドに敏感でフェミニンなスタイルや、ヴィトンファッションショーやモデル達の私生活を追うのも大好きだ。余暇はリンカーンセンターでバレエ鑑賞。「METにもよく行くの。マンハッタンは至る所がアートで溢れているから、そこにいるだけで自分がアートと融合してゆくような気分になるの」。ゆったりと週末を過ごすため、ソーホー在住のバレリーナ友達の家に前泊。朝食を食べてから一緒にバレエ教室に向かい、その後は車を運転してロングアイランドの実家に帰る予定だ。一流ブランドファッションショーにアートやバレエ。中身は芸術志向の素敵な人たちが、さり気なくラフな服装で闊歩するマンハッタン。その神秘的な魅力は、ニューヨーカーへの街角ファッションインタビューを通して深まるばかりだ。

(Wear2Nextチーム/アパレル業界関係者によるファッション研究チーム)

ミュージック・フロム・ジャパン

3月5日スカンジナビアハウスで

講演会やフォーラムも

 ミュージック・フロム・ジャパン2022年音楽祭が、3月5日と6日にスカンジナビア・ハウスのヴィクター・ボージ ホールで開催される。音楽祭では、1日目は「最近の日本の
音II」と題した若手作曲家3人による委嘱新作を中心とするコンサート。2日目は「池内友次郎とその門下」と題したコンサートで、作曲家そして師として日本の音楽界に多大な影響をもたらした池内友次郎とその影響下の作曲家の作品を彼の孫でチェリストのクリスティーナ・レイコ・クーパーの演奏を通じて披露する。加えて、恒例の講演会、フォーラムも開催する。入場者数は、コロナ禍のため140席に制限。入場の際にはワクチン証明とIDの提示、またマスク着用も必要。参加費は各コンサート一般25ドル(MFJメンバー20ドル)、学生・シニア20ドル。申し込みリンクはhttps://musicfromjapan.org/upcoming-events。詳細リンクはhttps://mfj2022.eventbrite.com

高氏奈津樹が新作

シンボルと人間の心

 ブルックリンにあるセントフランシス大学(180 Remsen Street, Brooklyn Heights)にて、さまざまな年齢や国籍を持つ23人のアーティストによるグループ展「ウィー・アー・ザ・ワールド」が開催されている。アートコレクターのリーズ・カリーとフランシン・ロジャーによるキュレーションで集められた多様性溢れる絵画、版画、彫刻とともに、在学生によるポートレート写真作品も展示されている。同展に参加する日本人作家は遠藤良子、神野忠介、高氏奈津樹(たかうじ・なつき)、マーク・タナベ。参加者の高氏は「この作品は私がパンデミックから始めた、人が何を信じて生きているのかということをテーマにしたシンプロジェクトの一環で、古代からさまざまな国の信仰など重要な意味を持つシンボルを組み合わせ1つにしたもの。人間の心、アイデンティティー、想像力とアートやデザインは密接な関係があるので、その人が何を見て育ち信じているかなどで、作品の見方や感じ方が変わるのがまた面白いと思う」とコメントしている。

 入場無料。展示会最終日の25日(金)午後6時から9時までは、クロージングレセプションが行われる。詳細はウェブサイトhttps://www.sfc.edu/を参照する。

編集後記 2月5日号

【編集後記】
 みなさん、こんにちは。海外在住邦人の在外投票は不便すぎるとしてネット投票の導入を求めるオンライン署名運動が行われ1月31日、集まった署名2万6027人筆が林芳正外務大臣に手渡されました。署名運動は昨年10月の衆院選がきっかけで、ツイッターなどで知り合ったニューヨーク在住の子田雅子さん、イタリア在住の田上明日香さん、ドイツ在住のショイマン由美子さんの3人で開始。署名サイトChange.orgを使い同年11月4日よりオンライン署名「在外ネット投票の早期先行導入を求めます!」を実施、3か月あまりで2万6000筆が集まりました。ショイマンさんは「海外有権者およそ100万人のうち選挙人証を持っている人は約10万人で、投票は昨年10月の衆院選で2万人ほどとなっているのが現状で投票率は2%ほどでしかない。これを打開する方法がネット投票です」と訴えました。林大臣からは「在外選挙は平成10年に創設されてこれまで15回行われてきた。時代が変化しており見直しが必要。所管は総務省だが皆様のご要望を踏まえて改善していきたい。デジタル庁で現在いろんな観点で検討してもらっている。2万人投票の現状を一桁増やしたい」と応えました。海外有権者ネットワークNY共同代表・竹永浩之さんは「30年近く前に私たちがやった在外投票制度の実現を目指す署名運動では1万1000人筆の署名を集めるのに1年半かかった。今回の在外ネット投票の署名運動ではたった3か月で2万6000人を超える署名が集まった。時代の変化を感じる」と驚く。元在外投票推進議連会長の藤田幸久さんは「在外ネット投票署名の林芳正外務大臣への提出は歴史的快挙」と称賛、「面識のない3人の共通点は、外からだから見える日本の問題」という。海外から見る日本人の視点は、きっと日本の将来にも大きな刺激となり、役立つものと期待したいですね。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2022年2月5日号)

(1)海外有権者の声届く 林外相にネット投票署名

(2)治安悪化のNY 警察官の殉職続く

(3)美味しいもの見つけた記 高級料理店の食材自宅で

(4)極端な多様性CM   ニューヨーカー街角の声

(5)フレッド・コレマツデー フォートリーで記念行事

(6)野田さんに外務大臣表彰 NY日系人会事務局長

(7)ジャパンパレード 5月14日開催決定

(8)雨の日には車を磨いて 五木寛之は大の車好き

(9)TOGETHER FOR 3.11    10年間ご支援ありがとうございました

(10)ポップの王様   MJ・ザ・ミュージカル始まる

海外有権者の声届く

林外務大臣署名受けとり「改善したい」

在外ネット投票

 海外在住邦人の在外投票は不便すぎるとしてネット投票の導入を求めるオンライン署名運動が行われ1月31日、集まった署名2万6027人筆が林芳正外務大臣に手渡し(手交)された。(写真=海外在留邦人2万6027人の署名が入ったUSBメモリースティックを受けとる林外務大臣(右端)写真提供・change.org Japan)

 署名運動は昨年10月の衆院選がきっかけで、ツイッターなどで知り合ったニューヨーク在住の子田雅子さん、イタリア在住の田上明日香さん、ドイツ在住のショイマン由美子さんの3人で開始。署名サイトChange.orgを使い同年11月4日よりオンライン署名「在外ネット投票の早期先行導入を求めます!」を開始、3か月あまりで2万6000筆が集まった。

 林外務大臣への手交では、欧米にいる発起人3人とネットで繋ぎ、署名が入ったUSBメモリーをChange.org Japanのスタッフが代理で手渡した。会合には小林史明デジタル副大臣も参加した。ショイマンさんは、海外有権者およそ100万人のうち選挙人証を持っている人は約10万人で、投票は昨年10月の衆院選で2万人ほどとなっているのが現状であり2%ほどでしかない。在外公館が遠い人が投票を断念するケースや郵便投票の問題点などを指摘した。「小さなUSBメモリーですが、その中には早くネット投票を実現したいという声がたくさん詰まっています」と語った。請願書では2022年夏の参院選で在外邦人を対象にネット投票の実証実験をし、2025年の参院選には在外ネット投票の確実な全体運用を求めている。

 林大臣は「在外選挙は平成10年に創設されてこれまで15回行われてきた。時代が変化しており見直しが必要。所管は総務省だが皆様のご要望を踏まえて改善していきたい。デジタル庁でいろんな観点で検討してもらっている。2万人投票の現状を一桁増やしたい」と応えた。

ネット投票早期実現を
公館投票、郵便投票の限界訴え

 林大臣からは「在外選挙は平成10年に創設されてこれまで15回行われてきた。時代が変化しており見直しが必要。所管は総務省ですが皆様のご要望を踏まえて改善していきたい。デジタル庁の小林副大臣もおられますが、ネット投票の実証実験も行っている。マイナンバーカード、二重投票、投票の秘密保持、セキュリティー対策など、いろんな観点で検討してもらっている」と応えた。

 大臣は在外投票の大変さを聞きたいということで、田上さんは昨年の衆院選で郵便投票をしようとしたがコロナ禍で郵便事情が悪く間に合わないことがわかり、在外公館投票にしたが往復8時間、一泊して費用2万6千円かかったことを紹介、「このアナログな制度では経済的にも体力的にも物理的にもこの先も続けていくのは大変厳しい、ネット投票を強く切望します」と話した。子田さんは「ニューヨークでも総領事館まで出かけるのが大変で投票を躊躇する声があり、自宅でできるネット投票をぜひ実現させて欲しい」と語った。

 林大臣からの「遠くて大変だということ以外ではなにかありますか」との質問に田上さんは、投票の期間がとても短いという問題をあげた。平日の1日しか投票ができなかった在外公館、またコロナ禍で飛行機が飛ばないので票を日本に持っていけないため在外公館投票自体が行われなかった在外公館が15カ所あったことなどを指摘した。在外公館からコロナ禍で郵便投票を推奨しますと言われて9月から準備したが、むしろコロナ禍で郵便事情が悪く間に合わないため在外公館投票した経験を語った。

 ショイマンさんは、エクスプレスで送っても郵便投票が間に合わない事例もあったことを紹介、「お金をかけたのに投票できなかったという無念があります」と語った。小林デジタル副大臣からは、2024年の法改正で海外邦人のマイナンバーカード利用が可能になる可能性が高く、個人認証が簡単にできるようになればネット投票の環境が整うことが語られた。

 林大臣は「これだけ大変ななか投票してくださった2万人には心よりお礼を申し上げたい。残る課題は投票の秘密保持などがあるようだ。制度を作るのは総務省、デジタル庁だが、100万人のうち2万人投票という現状を一桁変わるようにしっかり後押ししたい」などと応じた。

発起人3人がオンライン記者会見

「当事者が声をあげることが大事」

 林芳正外務大臣への署名手交後、発起人3人による記者会見が行われた。

 この署名運動を始めたきっかけについて田上さんは、林大臣との会合の際にも話したが、昨年の10月の衆院選で在外公館投票で、往復8時間、一泊して費用2万6千円かかったことをあげ、「ネット投票を強く切望します」と語った。ショイマンさんも在外投票に往復10時間かかり、そのハードルの高さを痛感したことがきかっけと語った。また、ネット投票は総務省が国内で実証実験するところまで来ているが、本当に実現させるためには「当事者が声をあげることが大事で、社会を変えていくのは市民」と語った。

 子田さんはこの署名運動は「海外有権者100万人が憲法第15条で保障された選挙権を行使できる世界」を目指すもので、在外選挙は超党派的課題であり与野党双方との会話を進めていきたいと語った。ニューヨーク市内に住む子田さんは「私自身は総領事館まで電車で数分のところに住んでおり在外投票で苦労したことはないのですが、周りにはいっぱい苦労されている人がいます。衆院選で在外投票に関する総領事館からのメールに『皆様の大切な一票です。必ず投票に行きましょう』という一節があったのですが、その文章がとても残酷だということを知って欲しいと思いました。行きたくても行けないような人がいなくなるネット投票に期待しています」と語った。

 記者会見では在外投票自体だけでなく在外選挙人証にも取得の煩雑さなど課題があることが取り上げられた。今回林外務大臣へ署名を提出した経緯については「デジタル副大臣と面談する機会があり、副大臣から外務大臣の方に話をしてもらった。外務大臣に在外邦人の声をいったん受け止めてもらい外務大臣から総務大臣にプッシュしていただく形になった」と田上さんは語った。署名は外務大臣と共に総務大臣、デジタル庁大臣宛てとなっており、未定だがそちらへの提出も考えているという。署名は現在も受け付けている。

時代の流れにあと一歩

 30年近く前に私たちがやった在外投票制度の実現を目指す署名運動では1万1000人筆の署名を集めるのに1年半かかりました。今回の在外ネット投票の署名運動ではたった3か月で2万6000人を超える署名が集まったと。時代の変化を感じます。

 今回の署名提出は在外ネット投票実現への第一歩だと思います。勝負はここからです。同制度の実現、つまり法制化のためには今回の署名運動だけでなく、多くの日本人有権者の具体的な行動が必要です。在外ネット投票実現に賛同される方にはぜひ、ご自身の選挙区の衆議院議員及び参議院議員に直接SNSやメール、電話などで同制度の実現を訴えていただきたいです。(海外有権者ネットワークNY共同代表・竹永浩之さん)

                  

 在外ネット投票署名の林芳正外務大臣への提出は歴史的快挙です。在外邦人から投票の権利を奪ってきた選挙制度を変えることは日本の民主主義の前進です。私も在外投票推進議連の会長として活動しましたが、法律の壁の厚さと、海外から日本を変える難しさを実感していましたが、3人の女性の決起により、3か月で局面を変えてくれました。3人の共通点は、外からだから見える日本の問題であり、時間とコストをかけなければ民主主義が守れないという体験です。コロナ「禍」は遠くの人々の問題を共有し、繋がるネットという手段を提供してくれました。この「福」を活かして、日本をchange する闘いを進めましょう!皆さん有難うございました。(元在外投票推進議連会長・ 藤田幸久さん)

治安悪化のNY、警察官の殉死続く

 ニューヨークの五番街がブルーの警察官の制服で埋まった。1月22日、ハーレムで家庭内暴力の通報を受けて駆けつけ撃たれて死亡したジェイソン・リベラ巡査(22)の葬儀が28日セントパトリック寺院で厳かに行われた。ニューヨーク市では銃が使われた痛ましい犯罪が立て続けに起きている。警察官に対しても、今年に入り6人の警察官が死傷した。ニューヨークは、マフィアが隆盛を誇った1970年代の「フィアーシティ(恐怖の街)」のような無法と絶望の状態に戻りつつあるのではと懸念する声すら出始めている。NY市警(NYPD)のデータによると、2021年の同時期に比べ、今年に入ってから市内での発砲事件が16%増加している。

(写真)葬儀で五番街に整列する警察官(1月28日昼、写真・三浦良一)