美味しいもの見つけた記。高級料理店の食材自宅で

 1年前にクチコミでニューヨーク市内で始まったトモエフードサービスの生肉販売は、最初は20人のごく内輪でスタートしたが、高級料理店に卸している食材がそのまま手に入ることから現在利用客はニューヨークだけで500世帯に膨らみ、ほぼ全てが日本人家庭での根強いファンに支えられている。この冬から、グローサリーNYがトモエフードサービスから提供を受けた生肉商品を一手に引き受け一般市販している。配布は月に2回、ニューヨークとニュージャージーの20か所以上ある「ごきんじょピックアップ」スタイルをとっている。

 早速購入していただいてみたのはまずチャーシュー(26ドル)=写真右=。冷凍になっているので常温で溶かし、包丁で数枚ごとに切り分けて保存。1本で5ミリ程度の厚さの焼豚が40近くスライスできたのでラップに包んで冷凍保管。購入したものは脂身がほどよく入っていてラーメンがお店の味になるほど美味かった。続いてUS和牛の切り落とし(3ポンド32ドル)が、使い道ありのお買い得。すき焼き=写真中央=にして食べたところほぼ一流店に負けない味に。そしてモツ(1ポンド11ドル)は、ニラとキャベツを鍋に入れて生姜をたっぷり入れたモツ鍋に=写真左=。寒い冬に心まであったまる北国の味で大感動。

 このサービスのファンだという主婦の声を聞くと「ひき肉(チキン、2ポンド・12ドル)がアメリカではなかなかみない太さなので、とりつくねだったり、大きな歯応え十分の肉団子ができて美味しかった」。また、チューブ入りの明太子(10・6オンス、14 ドル)も「明太スパゲティ、おにぎり、マヨネーズドレッシングとなんにでも使えるのはホールセールならでは。料理のメニューの幅が広がった」と大評判。一度オンラインで購入すると登録されて、毎月の中旬と下旬のピックアップに合わせた配布食品カタログがメールで送られてくる。すぐ注文しないと売り切れが続出するのが目下ファンの悩みで、翌月に再度期待をかけることになる。(三) 

詳細は https://thegrocerynewyork.com 

Fコレマツデー、フォートリーで認定記念行事 NJ州

カレン・コレマツさん

 第二次世界大戦中の米国における日系人の強制収容所送致を指示した大統領令9066を、違憲判決に導いた日系人人権活動家フレッド・コレマツ氏の偉業を讃え、彼の誕生日である1月30日を「フレッド・コレマツ・デー」とし、歴史を学び移民の自由と人権尊重を考える日にしようという動きが、2010年のカリフォルニア州をはじめに、日系人人権活動家の地道な議会への働きかけにより 全米に少しずつ広がっているが、東海岸では2017年のNY市に続き、2020年にニュージャージー州フォートリー区が同記念日を正式に認定した。

 3年目となる今年は、フォートリー図書館が主催し、1月27日夜、オンライン形式で記念行事を開催した。同行事は、フォートリー図書館ディレクターのクリス・ユージェロニスさんが進行を務めた。マーク・ソコリッチ区長のスピーチのあと、動画で佐藤貢司NY日系人会会長と、キャロル古本さん(写真上=古本夫妻)の代読で吉岡まこNJ日本人会会長もそれぞれスピーチをした。そして、フレッド氏の長女でフレッド・コレマツ財団の創設者であるカレン・コレマツ氏が、父との思い出話や、彼の遺志を継いで現在、全米各地の学校や自治体に行っている教育活動の報告を行った。

ソコリッチ区長

 そして、NY市とフォートリーでのフレッド・コレマツ・デー認定の功労者である古本武司氏が、第二次世界大戦時の強制収容所のスライドを見せながら当時の日系人の過酷な生活と、1980年代に起きた「ジャパンバッシング」、コロナ禍で始まった「アジアンヘイト」など、日系人が受けてきた迫害についてプレゼンテーションを行った。自身が強制収容所で生まれ、戦後は広島で幼少期を過ごし、アメリカに帰国後は米軍兵としてベトナム戦争に従軍と、常に「人権と平和」について考えさせられる環境に置かれてきた古本氏の体験談や、だからこそフレッド・コレマツ・デー認定に向け奔走する理由には説得力があった。ソコリッチ区長も、「タク(古本さん)から、日系人が受けてきた不当な扱いや、フレッド氏の偉業を何度も聞かされて、大勢の移民が暮らすフォートリーを預かっている自分が、この運動に賛同しないという選択肢はなかった」と語っていた。

 質疑応答コーナーでは、古本氏にとって第二の故郷である広島の学校で行われている「平和授業」を例に挙げ、「自分と違う容姿の人や考え方も受け入れ、相手を認めていけば、アメリカも変わっていくと思う」と話していた。イベントの最後には、古本氏とキャロル夫人の結婚記念日が奇しくもフレッド・コレマツ・デーと同じ1月30日で、今年が金婚式となることが明かされ、参加者から祝福を受けていた。

 イベント終了後、古本氏は本紙の取材に対し、「次のステップとしては、フォートリーだけでなくNJ州全体でのフレッド・コレマツ・デーの認定を目指しており、これはもうあと一歩のところまで来ている。また、いくつもの高校や大学で、次世代を担う若者たち相手に歴史の生き証人として講演も予定している」と語った。 (本紙・久松茂)

黒人とアジア系目立つ極端な多様性CM

ニューヨーカー街角の声

 ジョージ・フロイドさん死亡事件から1年半、新型コロナウイルスの武漢での最初の発症から2年が過ぎた。これらの事件を背景に始まった抗議活動のブラック・ライブス・マター(BLM)や、ストップ・アジアン・ヘイトの影響から、世の中における差別や偏見に対しての注目度は以前よりも増している。人種・宗教・性別などの違いによる偏見・差別を含まない中立的な表現や用語を用いることを指すポリティカル・コレクトネス(英: political correctness、略称:PC、ポリコレ)を意識せざるを得なく、例えば、私たち日本人が割と普通に話している身長や体型、肌の色などに関しての言及も、人の外見を馬鹿にしたり批判するという「ボディ・シェイミング」に繋がる可能性があるのだ。このようなことから、私たちは、それぞれの違いや傾向、すなわち多様性(ダイバーシティ)を理解して受け入れ合い、日常生活上の言動においても日々気を配る必要があるのだが、企業はここぞとばかりに広告を通じて、多様性への理解を示すようなアピールをしている。

 一昔前は白人モデル起用が多く見受けられたファッションブランドのアバクロンビー&フィッチ、バナナ・リパブリックやブルックス・ブラザーズなどの広告を見ていても、最近は、黒人、アジア人、プラスサイズ(平均より大きい身長や体重)のモデル起用のオンパレードだ。セクシーな下着に身を包んだ細身のモデルたちによる派手なショーを行っていた女性ファッションブランドのヴィクトリアズ・シークレットでも、時代にそぐわないとして、プラスサイズモデルを起用するなど、広告業界は多様性に対して柔軟な姿勢を見せることに躍起になっている。そのような街中の広告を見て、ニューヨーカーはどう感じるのか、聞いてみた。

 企業は心の底から問題解決に取り組もうなんて思ってはいないと思う。お金になるからやっているだけだ。(50代・リタイヤ・ヒスパニック系アメリカ人)

 自身の会社でも多様性のコマーシャルを制作している。正直強制されているように感じるときもあったが、対応していかなくてはならない時代だし、それが当たり前の時代になっていくと思う。(40代・会社員・白人系アメリカ人)

 多様性が認められるようになってきて、そのような広告が増えてきたことは全体的に考えればいいことだと思う。広告のモデルに自分を投影して自信がもてるようになるから。でも、本来は投影しなくとも、ありのままの自分で自信がもてるのがベストなはず。「誰でもヒーローになれるし、みんなが主役だ」というのは良いことだが、企業がこぞってやっているのは安易にみえる。今後は、白人主催のビッグカンパニーがリードするのではなく、マイノリティ自身らが作品を創り出していく側になり始めたらいいと思う。(20代・俳優・日系アメリカ人)

(佐久間千明)

ポップの王様、MJ始まる

 キング・オブ・ポップと呼ばれたマイケル・ジャクソン(1958〜2009年)の半生を歌とダンスで描いたブロードウエーミュージカル「MJ・ザ・ミュージカル」が2月1日、ニール・サイモン劇場(西52丁目250番地)で初公演を迎えた。同日午後5時過ぎレッドカーペットで主演俳優のマイレス・フロストが報道陣の前に姿を現した。ストーリーは、1992年に行われた「デンジャラス・ツアー(Dangerous Tour)」の開始前まで遡り、その頃のマイケルに焦点を当てたもの。ステージでは、これまでにリリースされた266曲の中から選りすぐりの25曲をライブ形態で魅せる。

 ピューリッツァー賞を2度受賞したリン・ノッテージによる本を題材に、トニー賞受賞者であるクリストファー・ウィールドンが監督と振付を担当。「ビートイット」「ビリージーン」「スムースクリミナル」などの大ヒット曲や舞台用にアレンジされた曲も盛り込み、舞台上だけでなく舞台裏の顔も知ることができるファン待望のミュージカルだ。

(写真)初公演前にレッドカーペットを歩く主演俳優のマイレス・フロスト(1日午後5時、写真・三浦良一)

野田さんに外務大臣表彰

NY日系人会事務局長

 令和3年度外務大臣表彰受賞者である野田美知代ニューヨーク日系人会事務局長への表彰状の伝達式が1月27日夕、ニューヨーク総領事、山野内勘二大使公邸で行われた。外務大臣表彰は諸外国との友好親善関係の増進に多大な貢献をするなかで、特に顕著な功績のあった個人及び団体の功績を称え、活動に対する一層の理解と支持を目的としている。(写真=山野内大使(右)から外務大臣表彰の表彰状を受け取る野田さん)

 野田氏は34年にわたりニューヨーク日系人会事務局に勤務し、歴代会長を支え、事務局長として同会の多様な活動を展開するために尽力した。在留邦人・日系人の声に熱心に耳を傾けて各種行事や支援活動に反映させ、ニューヨーク近郊における在留邦人、日系人の福祉向上、教育・文化活動の促進に尽力し、日米友好親善に貢献した。とりわけ、2005年の高齢者問題協議会設置やコロナ禍での高齢者・フロントワーカーへの日本食弁当配達の実施に中心的役割を果たした。

 野田さんは「JAAはボランティアの存在で成り立っている団体で、34年間働けたのもその支えがあったからです」と開口一番感謝の言葉を述べ、JAAの2つの役割について話した。「1987年に44丁目の6階で勤め始めた時に初めて目にしたのが8つほど棚に並んだ箱だった。それは身寄りのない無縁仏で、メモリアルデー前の納骨を待っているとのことだった。生活に困って訪ねてきた人をさっと食事に連れて行ったり衣服を提供したりするボランティアの姿を見て、地味な活動だがこれがコミュニティーに寄り添うことかと思った。もう一つは100年も続く団体なので多くの資料が残っており、1927年に編纂された『日本人発展史』を読んでNY日系人会を創設した高見豊彦医師の当時の苦労を知り、大切な歴史があるということを知った」という。

 34年の間には、初の女性会長のスーザン大沼さんの誕生でソフトタッチの女性らしいさまざまな企画を力強く推進したこと、JAA理事のスキ・ポーツさんの活躍でアジア系コミュニティーの一員としての日系社会の存在を高めたこと、森脇元会長に頼んで始まった相談室の開設や高齢者への無料ヘアカットなどプロフェッショナルたちの協力があったことを振り返った。

 また、式典後には、サプライズで、帰国が決まった山野内大使に対してNY日系人会から感謝の盾が贈られ、佐藤貢司会長から手渡された=写真下=。

 最後はジャズミュージシャンでJAA事務局スタッフでもある三上クニさんがNYの地名にちなんだジャズのメドレーをピアノで弾いて会場の招待客たちを楽しませた。

ジャパンパレード5月14日開催決定

参加団体を募集中

アートコンテストも開催

 ニューヨークで初となる「ジャパンパレード」の開催が5月14日(土)に正式決定した。セントラルパークウエストの81丁目から68丁目までを南下するルートで、お神輿や太鼓、ダンス、武道、コスプレなど、伝統に加えてモダンな日本の魅力をニューヨーカーにアピールする。ジャパンパレードは2007年以来、5月に行われて来た「ジャパンデー@セントラルパーク」の特別イベントで、今年はセントラルパークでのフェスティバルの代わりにパレードが実施される。

 2022年は、1872年に岩倉具視を特命全権大使とする使節団が米国を訪問してから150周年と日米関係において重要な年にあたり、使節団訪問を契機に同年ニューヨークに日本領事館が設置されるなど、日米関係の深化に繋がっている。また、今年は米国から日本に野球が伝えられて以来150周年という市民レベルでの交流を祝する年でもある。

 現在、ジャパンパレードの参加団体(80〜100団体予定)を広く募集している。日本の文化、伝統、芸術、スポーツ、マーチングバンド、チアリーダー、学校、県人会、同窓会、日米友好団体など、さまざまなジャンルの団体の申し込みを受け付け中(参加申し込み締切は3月4日)。さらに、ジャパンデー恒例の「アートコンテスト」の募集も開始。「日本」「ニューヨーク」「パレード」の3つのテーマを組み合わせたイラストの最優秀作品は、公式プログラム、ポスター、Tシャツなどのメインビジュアルに起用される(応募締切は2月25日)。

 問い合わせはジャパンデー事務局/パレード担当・電話212・398・7145、またはEメール[email protected]まで。詳細はウェブサイトhttps://japandaynyc.org/parade/を参照。

五木寛之は大の車好き

五木寛之・著

幻冬舎・刊

 作家の五木寛之が車好きだとは全く知らずにこの本を読んだ。1970年台半ばくらいから彼の名前を知るようになり、直木賞を受賞した『蒼ざめた馬を見よ』(67年)や吉川英治文学賞を受賞した『青春の門(筑豊篇)』(76年)などからは想像もできない、五木本人の青春と若き日から世に出て有名になるまでのクルマ遍歴が描かれている。

 登場する車は、シムカ1000、アルファ・ロメオ・ジュリエッタ・スパイダー、ボルボ122S(アマゾン)、BMW2000CSクーペ、シトロエン2CV、ジャガーXJ6、メルセデス・ベンツ300SEL6・3、ポルシェ911S、サーブS。どれも世界の名車と言われる車ばかり。20代に中古で手にしたシムカから物語が始まる。新しい車を買い替えるたびに新しい女性との出会いと別れがある。9人の女性たちを彩る9台の車。運転することの楽しさというものがかつてあった時代。車には顔があり、スタイルがあり、個性があった。車の名前を聞いただけで、そのスタイル、走る姿、聞いたことはなくてもエンジンの音までが想像できた。それを乗ることができた団塊の世代は幸せだったはず。

 放送作家、コピーライター、音楽作家と駆け出しで名前が世に出る前の五木の20代、30代の車と女性とのエピソードが、飾りなく、そして丁寧に語られ、一台一台の車の魅力と、登場する女性たちの魅力的な個性が描かれている。

 しかし、この本が、車を愛する一人の小説家によって自動車マニアのために書かれたものではないことは、読み始めればすぐに分かる。車との出会い、登場する女性たちが時代を映す鏡としての役割を担っている。それにしても本当にこんなに素敵な女性たちとの出会いと別れがあったのか、それぞれの車と女性たちとのドラマに引き込まれていく。表紙、各章の挿絵が安西水丸なのもいい。時系列に乗り継いだ車への愛情表現が散りばめられている。アルファロメオは「中世から一足飛びに現代にやってきたイタリア人。近代的自我の毒から逃れている彼らは、知性なんていうものを、てんで問題にしていない。あくまで本能に忠実に、美とスピードだけを目的に車を作り上げる」と記述する。ドイツ車のBMW2000CSを大切におそるおそる走っている五木に、助手席で車のことなど全く知らない素振りをしていたしとやかでおとなしい貴婦人のようなフォトグラファーの女性が、運転を代わった途端に「彼女の白い手がナイフのように閃くように動き、膝頭が揺れ、エンジンが吠え、ブレーキの焦げる匂いがした。回転計の針が引きつるように跳ね上がるとそのたびに強烈な横Gが僕の体を抑えつけた」。彼女は泊まったホテルの朝、車のフロントウインドウのワイパーの下に白い封筒を残して姿を消していた。置き手紙には「2000CSを大切にし過ぎないでください。バイエルンからきた貴婦人の体の奥に隠されている情熱を、忘れないで欲しいのです」とあった。ああ、美しき女性たちよ、そして美しき車たちよ。車を運転したくなる本だ。   (三浦)

10年間ご支援ありがとうございました

東日本大震災犠牲者追悼式典
TOGETHER FOR 311

 2020年に続き、昨年2021年もコロナ渦により、「10周年こそは教会で皆様と集まって」という願いが叶わず、昨年の第10回TOGETHER FOR 3.11東日本大震災追悼式典は、初のオンライン追悼式ストリーミングを行わせていただきました。ご協力くださった全ての皆様、ご参加くださった全ての皆様に心より感謝申し上げます。

 ニューヨークも予測のできない不安定な状況が続く中、今年、そして今後の追悼式について主催メンバーと真摯に話し合いました。1年をかけて心を砕き考え話し合った結果、この10年間追悼式にご協力ご参加くださった全ての皆様の想いとメッセージが集結した昨年3月に開催した、第10回TOGETHER FOR 3.11東日本大震災オンライン追悼式典にて、私達主催フェローシップでの最終オフィシャル開催とさせていただくことを正式決定いたしました。ここにご報告申し上げます。私たちは、NYは忘れません。10年間本当にありがとうございました。

TOGETHER FOR 311主催代表 AK Akemi Kakihara

主催 Fellowship for Japan一同

第10回式典の動画をご覧になれます

編集後記 1月 29日号

【編集後記】
 みなさん、こんにちは。在米の日本研究者、大学教授、政策決定に携わる実務家などが18日、ジャパン・ソサエティー理事長、ジョシュア・ウォーカー氏の呼びかけでオンライン会議に参加し、日本政府の外国人に対する厳しい入国制限に対し深刻な懸念を表明しました。同日岸田首相に改善の嘆願書を提出、署名は24日現在1180人に達しています。会議に参加したのはスーザン・J・ファー・ハーバード大学エドウイン・O・ライシャワー研究所所長・教授ら知日派の知識人46人。この中で参加者は「日本の現在の水際対策のもとでは、在留資格を持たない外国人は、たとえワクチン接種と検査による陰性証明がなされ、隔離に応じる意思を持ち、その他全ての公衆衛生上必要な手順に従ったとしても、留学、就労、ビジネス、研究活動、家族訪問を含むいかなる目的での入国も認められていない。このような国境閉鎖措置は、国際社会との関係に悪影響を与えて日本の国益を損ない、特に米国人留学生が日本留学を諦め、続々と他国にシフトしている現状は日米関係にとっての大きな打撃と損失である」と述べています。
 嘆願書では、観光目的以外での外国人の入国が認められるよう一刻も早くこの政策を変更するよう求めています。会議ではパンデミック期間中に足止めされている15万人の外国人の大多数はアジアからの留学生で、米国からは年間9000人余りと全体の15分の1以下との指摘がありましたが、今回の会議は、将来の日米関係を担うアメリカ側の人材が減っていくことをアメリカ人自身が懸念して声を上げたところに意味があります。日本は今、オミクロン株でとんでもないコロナ感染拡大の第6波のど真ん中にあり、外国人の入国制限即時解除どころではない状況ですが、取材して気がついたのは、声をあげるのにタイミングなどはいらないということです。言いたいことがあったら言いたい時に言う。遠慮して言わなければそれでいいと思われます。彼らの思いと願いとメッセージがしっかりと日本に伝わればとの願いも込め、今週号で嘆願書の全文を掲載しました。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2022年1月29日号)

(1)日本の外国人入国制限に懸念 岸田首相に嘆願書

(2)STOP しませんよ~ ブライアント公園 BUMPER CAR

(3)アマゾンがJAPAN STORE   ジェトロが支援で限定開設

(4)顔が重なる異次元の入り口 野村康生の作品 NowHere で  

(5)古本さんに在外公館長表彰 日系人の地位向上と日米友好親善

(6)マスク25万枚回収 NY州政府が配布

(7)生き生き EATS  food is 風土

(8)自分だけの音楽性を追求 永井晶子さん NY生活ウーマン

(9)Masha’s ARIGATO. THE JAPAN VOICE

(10)マンガとアニメで繋がる世界 ジャパン・ソサエティー

日本の外国人入国制限に懸念

留学生受入れ岸田首相に嘆願

在米の日本研究者

 在米の日本研究者、大学教授、政策決定に携わる実務家など46人が18日、ジャパン・ソサエティー理事長、ジョシュア・ウォーカー氏の呼びかけでオンライン会議(=写真、参加パネリスト)に参加し、日本政府の外国人に対する厳しい入国制限に対し深刻な懸念を表明した。同日岸田首相に改善の嘆願書を提出した。署名は24日現在1180人。

 この中で、参加者は国際交流の橋渡し役として日本の国内外において国際関係及び次世代の日本専門家育成にこれまでのキャリアを通して取り組んできた立場から「日本の現在の水際対策のもとでは、在留資格を持たない外国人は、たとえワクチン接種と検査による陰性証明がなされ、隔離に応じる意思を持ち、その他全ての公衆衛生上必要な手順に従ったとしても、留学、就労、ビジネス、研究活動、家族訪問を含むいかなる目的での入国も認められていない。このような国境閉鎖措置は、国際社会との関係に悪影響を与えて日本の国益を損ない、特に米国人留学生が日本留学を諦め、続々と他国にシフトしている現状は日米関係にとっての大きな打撃と損失である」と述べている。

 討論会に参加したのは、総合司会にスーザン・J・ファー・ハーバード大学エドウイン・O・ライシャワー研究所所長・教授、フィリップ・リプシー・トロント大学助教授、デービッド・P・ジェーンズ沖縄協会会長、クリスタル・プライヤー・太平洋国際フォーラム副会長(ハワイ)、レオナルド・ショッパ・バージニア大学教授、シェラ・A・スミス・日米友好委員会上席顧問、パトリシア・マクラーレン・テキサス大学教授ほか日本人ジャーナリストなど。

 嘆願書では、観光目的以外での外国人の入国が認められるよう一刻も早くこの政策を変更するよう求めている。会議ではパンデミック期間中におよそ15万人の外国人留学生が足止めを余儀なくされ、日本留学を諦めたり、他国へシフトしている現状が報告された。

米加の日本研究者が日本政府に嘆願書

  日本国 内閣総理大臣 岸田文雄殿

「留学生入国させて」

 私たちは、研究者、大学教員、政策決定に携わる実務家などの立場で、国際交流の橋渡し役として日本の国内外において国際関係及び次世代の日本専門家育成にこれまでのキャリアを通して取り組んできました。この立場から、日本政府の外国人に対する厳しい入国制限に対し深刻な懸念を表明するため、本書簡を提出します。日本の現在の水際対策のもとでは、在留資格を持たない外国人は、たとえワクチン接種と検査による陰性証明がなされ、隔離に応じる意思を持ち、その他全ての公衆衛生上必要な手順に従ったとしても、留学、就労、ビジネス、研究活動、家族訪問を含むいかなる目的での入国も認められていません。このような国境閉鎖措置は、国際社会との関係に悪い影響を与えて日本の国益を毀損しており、観光目的以外での外国人入国が認められるよう一刻も早くこの政策を変更するよう求めます。 

 先日、故エズラ・ヴォーゲル・ハーバード大学名誉教授の追悼イベントが開催されました。ヴォーゲル教授は、日本研究者として、また米国政府の対日政策に影響を与える立場から、数世代に亘り日本専門家の育成や日米関係の発展に尽力されました。ヴォーゲル氏は、人と人との関係を築くことが極めて重要であるということを一貫して強調し、ご自身も生涯キャリアを通して頻繁に日本を訪問されていました。コロナ禍の過去2年間、このような人と人との関係作りは実質的に一時停止となってしまいました。 

 昨秋以来、欧州や韓国には留学できても日本には留学できないため、北米の大学生は留学先を変更するだけではなく専攻や語学の選択も変更し始めました。大学院生の間では日本を研究の一環とすることを諦め、外国人研究者の入国が認められている国の研究に切り替える人たちもいます。いずれも今後の人生を左右する決断であり、長期的な影響が危惧されます。 

 2012年、当時の安倍総理とオバマ大統領は、2国間の学生交流を倍増するという目標に合意し、様々な指標によれば、コロナ禍前の時点で目標はほぼ達成されつつありました。目標達成に向け、日米両国の政府機関や民間団体が多大な資源を投じ、多くの方々

が多大な努力をしてきましたが、日本の国境閉鎖措置によりこれまでの労苦が水泡に帰すのではないかと危惧しています。 

 近年、日本は「自由で開かれたインド太平洋(Free and Open Indo-Pacific)」というビジョンを掲げて国際社会でリーダーシップを発揮してきました。このビジョンの基本理念は「開放性(Openness)」であり、自由貿易や海外直接投資などの経済政策の分野でこの理念を体現する政策を実行することで日本は国際社会に貢献してきました。しかしながら、現行の厳しい国境閉鎖措置はこの外交政策ビジョンに相反するもので、国際社会のリーダーたろうとする日本の国益を損ねかねないと憂慮します。 

自国民を守るという趣旨は理解しますが、日本の現在の政策は公衆衛生ではなく国籍を強調するものです。日本国民は観光目的の海外渡航すら認められているなか、外国籍の人々は日本にいる家族から切り離され、キャリアや留学先といった将来設計の変更を強いられています。 

 私たちは日本が国境を完全に開放すること、外国人に緩い入国条件を設定すること、あるいは観光客に門戸を開くことを唱導しているわけではありません。研究者や留学生は観光客ではありません。日本に関心を持ち、日本を理解しようと努め、日本社会に貢献するために多大な時間と労力を費やしてきた人たちです。今後日本と世界の橋渡し役を務める人たちです。将来、政府の政策決定、ビジネス、教育の場などでリーダーとなる人たちです。日米同盟、そして日本の根本的な国益を支える様々な国際協力活動の基盤となるのは、こういった人たちです。 

 パンデミック発生から2年が経過しました。今後も新たな変異種が定期的に出現することは避けられないでしょう。変異種発生のたびに人と人とのつながりを断ってしまうことは、日本の長期的な国益にとって現実的な戦略とは思えません。この2年間、各国は厳格な国境の出入国管理を導入する一方、安全な入国を可能とするための効果的な入国制限と水際対策を模索してきました。ワクチン接種を義務付けた上での外国人受け入れは、日本の国益にも資すると確信します。将来にわたって日本の国際協力に貢献していく人たちの入国が許可されるよう、日本政府に入国制限と水際対策の早期緩和を強く要望します。 

 本書簡の内容は、日米次世代パブリック・インテレクチュアル・ネットワークプログラムに加え、日米友好基金、日米交流財団の理事一同、国際交流基金の米国側諮問委員会、ジャパン・ソサエティー(NY)、ワシントンDC日米協会を含む団体の支持を得ています。本書簡はEメールにて回覧され、賛同者には自ら名前を追加してもらい、署名を集めました。所属先が記載されていますが、署名者は所属先を代表する立場ではなく、個人の立場で署名しています。

2022年1月18日  署名者一同

(原文まま)