不安なく永住帰国するために押さえておきたい3つのポイント

山口里美さんが解説

JAA秋のヘルスフェアで

 ニューヨーク日系人会(JAA)が主催する第16回秋のヘルスフェアで、9月25日から10月5日までYouTube公開されたライオンズ大学大人の教養講座シリーズ4講師の講演内容を順次紙面で掲載する。

 第1回目の今週は、一般社団法人日本リレーションサポート協会代表理事の山口里美さんが「不安なく永住帰国するために~押さえておきたい3つのポイント」を解説した。同オンライン講座は、NY日系ライオンズクラブが企画、マイベストプロとマイイベントUSAが協力して開催した。

(1)住まいを決める 帰国後にまず困るのは、家を借りられないこと。独り住まいの高齢者は、健康面や孤独死などのリスクがあるので、借り手に預貯金があって、返済能力に問題がなくても大家が貸し渋ることが多い。高齢者施設は、利用料が安くサービスが良い特別擁護老人ホームから、値段は高いがケアが充実している介護付き有料老人ホームまで選択肢がある。

 高齢者施設・住宅を選ぶ場合に、種類が多いこと、定期的な制度の改訂があること、長生きのリスクなどがある。

(2)財産を管理すること(3)サポートしてくれる人を決めることが大事。世界規模で毎年1000万人が認知症となっている。認知症と診断されると銀行口座が凍結されて、預金を下ろしたりできなくなるほか、不動産の売却、修繕、賃貸契約ができなくなる。それを防ぐためには、成年後見、民事信託がある。成年後見には、法定後見と任意後見がある。元気なうちに任意後見契約をすることが大切だ。帰国時にこれらの手続きをバラバラにするのはかなり大変だが、山口さんの一般社団法人日本リレーションサポート協会ではまとめて1か所で相談に乗り、手伝うサービスも紹介している。詳細はhttps://mbp-japan.com/tokyo/cosmo/

赤ちゃんの睡眠科学で保育者を救う

Sleeping Smart Japan株式会社 代表取締役

愛波 あやさん

 子育てしたことのある人なら、おそらく誰もが経験したことのある赤ちゃんの夜泣き。先輩ママの経験談や母親からの経験談ももちろん参考になるが、「いつかはきちんと寝てくれるようになるから今は耐え時」「赤ちゃんは夜泣きするもの、母親は大変なのよ」という回答が多い。特に米国で出産して、家の中で赤ちゃんと2人きりになる時間が多くなるほど、母親にとっては幸せな喜びの反面ストレスも大きい。

 愛波さんは、国際資格認定機関IPHIの日本代表を務め、これまでに360人以上の乳幼児睡眠コンサルタントを育成している。自身が、出産後、夜泣きや子育てに悩んだことから米国で乳幼児の睡眠科学の勉強を始め、現在は日本を代表する乳幼児睡眠コンサルタントとして、日本の子育て環境をよりよいものにアップデートしようと、講演や執筆、出版を含め幅広く活動中だ。

 愛波さんは、自然環境の豊富なニューヨーク郊外の、自分が子供時代を過ごしたスカースデールで子育てを実践している。活動のきっかけは、米国人のママ友に渡された一冊の本だった。リチャード・ファーバー著『Solve Your Child Sleep Problem』。それは科学的根拠に基づいた、小児科医が書いた赤ちゃんの寝かせ方の本だった。「赤ちゃんを寝かしつける科学ってあるのか」と思った愛波さんは、図書館に通い詰めて15冊ほど睡眠本や医学論文も読み漁った。アメリカの書店には子供を寝かせることを科学する本がびっしり並んでいたことも驚きだった。

 自分の体力も気力も限界に達していた長男が生後10か月の時「セルフねんねトレーニング」を行ったら4日後には一人で夜通し寝るようになったのだ。夜は一人で寝てくれるようになったので自分の時間もとれるようになって、ネットを見てたら「睡眠科学を学べる乳幼児睡眠コンサルタントの資格」に出会った。「私が苦しみから脱した方法を同じように苦しんでいる人に教えてあげたい」という気持ちの一心で睡眠を科学から勉強することにした。

 「エビデンスに基づいた解決方法が具体的にわかると、安心して子育てでき、自信を持つことができる。親が自信を持つことができると、母親の自己肯定感が高まり、子供にもそれが伝わり、子供も自己肯定感が高い人間に育ってくれると思っています」という。

 コロナ禍での2年半の活動状況は、オンライン化したので講演会なども全てオンラインになり、受講生が大幅に増えるという副次的効果があった。

 『ママと赤ちゃんのぐっすり本』(講談社)に続き、コロナ禍で『マンガで読むぐっすり眠る赤ちゃんの寝かせ方』(主婦の友社)を出版、睡眠ジャンルのアマゾンランキングで第1位(2021年2月5日調べ)にも輝いた。このほか、おくるみスリーパー・スリーパー・ラビーなど乳幼児の睡眠に役立つ商品開発なども手がけている。これからも、乳幼児の睡眠に関する知識をもっと広め、日米の子供の睡眠に悩む保育者たちに「自分をケアする時間も大切にして欲しい」と訴えて行くつもりだ。(三浦良一記者、写真も)

編集後記 2022年10月1日号

【編集後記】

 みなさん、こんにちは。海外にいて、ここしばらく、そう、過去15年あまりの間でしょうか、日本の若者はやれ覇気がないだとか、他国の若者に比べて内向き志向で元気がないだとか聞いていてどうしちゃったのかなあと思っていたのですが、最近、そんな不安を払拭するような、元気な日本人の若者たちの群像の存在を知りました。YouTubeで「BREAKING DOWN ←(検索) 」という総合格闘技のイベントで、キックボクシング、柔道、空手、K1、少林寺拳法なんでもありの1分間のバトルを日本全国の地方からやってきた「喧嘩自慢」の、しかも「誰もが負けを知らない猛者ばかり」が集まってきてオーディションで対戦相手を決めて戦います。集まってきているのは、元ヤクザ、少年院上がり、半グレ、元プロボクサーで出場資格取り消し、元暴走族総長、顔まで刺青だらけの若者と社会の表通りから傍道に追いやられてしまった若者が大半。年齢は20代から40代のよく言えば「やんちゃな青年」たちばかり。何が面白いかというと、闘う前に、お互いに煽(あお)りまくって、相手を罵倒の限り罵倒しあって、そしてリングで闘うのですが、激戦の後は、勝者と敗者が決まるわけです。戦いが終わるとお互いノーサイド、負けた方は、さっきの生意気な口は消え去り「ありがとうございました」と爽やかなスポーツマン精神を見せてくれるのです。その潔さが心地よい爽やかさを与えてくれるので、そのチャンネルにすっかりハマってしまいました。喧嘩だけは誰にも負けないと思い上がっていた者が、次々に負けて自分の身の丈を知る。そこから素直になって前を向いて立ち上がる。鉄拳制裁に近い、まあ、完璧に男の世界ですが、女性のファンも多いようです。さて、前置きが長くなりましたが、ここからが本題。そのBREAKING DOWNの頂点にいる総合格闘家の朝倉未来(みくる)(30)が9月25日、日本のさいたまアリーナで、プロボクシング元世界5階級を制覇した王者フロイド・メイウェザー(45)とエキシビションマッチで戦ったのですが、試合前の花束贈呈式で、贈呈役の政治団体ごぼうの党代表・奥野卓志氏(48)が花束をメイウェザー選手に手渡さずマットに投げ捨てるという出来事がありました(本紙4面に記事)。会場は騒然となりましたが、メイウェザー選手は何事もなかったかのように花束を拾い上げ、セコンドに手渡しました。一歩間違えば、試合そのものが成り立たない危険がありましたが試合は始まり、試合自体は、2回TKOでメイウェザー選手が勝利したのですが、海外のスポーツ紙などメディアが一斉に、この花束投げ捨て行為を「無礼なマナー」として非難の嵐となってしまいました。試合そのものよりこっちの方がネット上で大炎上。格闘家、ボクサーたちも怒り心頭に発しています。試合を何か月も前から楽しみにしていた数十万ファンも試合を台無しにされました。花束を贈呈した奥野氏はチケットを420万円の高値で購入した副賞として「花束贈呈役」のポジションを手に入れました。高知県出身で、曽祖父が吉田茂をバックアップしていた財界のフィクサーで大物だったとかで、今でも、銀座で自身が経営するバー「一徳」には世界の大統領級の要人たちが来店する「お金もちで、政財界、芸能界」に多くの支援者がいるVIPだそうですが、この花束投げ捨てを喜ぶ人は誰一人としていなかったはず。奥野氏のスポーツアドバイザーになっている試合に負けた朝倉未来が一番かわいそうですね。世紀の一戦の前に泥をかけられ、試合に負けてから異常に「頭が痛い」と言って病院に直行した朝倉。日本中のファン、格闘家、世界のマスコミが凍りついたリングの中で部外者が起こした不祥事。リングで普段大暴れする乱暴者の若者たちも「あれはいかんわ。ありえん」と心を一つにした瞬間でもありました。長々と書きました。日本の若者たちは元気です。それが言いたかったです。ご関心のある人はBREAKING DOWNN, 朝倉未来、朝倉海、安保瑠輝也を検索してみてください。ニューヨークでよく見る日本の社会をリードする駐在員やエリートたちでは決してないですが、真っ直ぐに生きる現代の頼もしい若者たちに会えますよ。ニューヨークにいても孤独ではありません。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2022年10月1日号)

(1)水際対策大幅緩和  入国上限撤廃 個人旅行とビザ無し解禁

(2)持続可能な衣服の伝統

(3)海外日本人サポート 河野太郎大臣、在外ネット投票に意欲

(4)首相ゆかりの学校 裕子夫人が訪問

(5)海外でも非難の嵐 メイウェザーに花束投げ捨て

(6)日米交流の原点訪ねる NY日系ライオンズ

(7)NY日系人会 大敬老会日本クラブで

(8)ジャパンフェスの仕掛け人 ドラゴン山本さん

(9)海苔と爆弾 ニューヨークの魔法

(10)植山慎太郎とマックス藤島 写真展「月とニューヨーク」

コロナの水際対策11日から大幅緩和

入国者数上限撤廃
個人旅行とビザ無し渡航解禁

岸田首相がNYで発表

 岸田首相は、9月22日にニューヨークのパークレーンホテルで開催された内外記者会見で、10月11日(火)から、水際対策で現在1日5万人としている入国者の上限数を撤廃し、パケージツアーに限定されている観光客についても個人旅行客の渡航を解禁、また訪日に関する現在のビザ取得規制も解禁すると明言した。また同10月11日から「全国旅行割」と「イベント割」を開始すると発表した。「多くの方に活用してもらうことで、コロナ禍で苦しんできた宿泊業、旅行業、エンタメ業などを支援して行きたい」と発言した。近く日本の政府・関係省庁から正式な水際対策として発表される予定。

 パンデミック以降、日本のコロナ対策は、ほぼ鎖国に近い状態で国外からの入国者制限をしてきたが、今年春に入国拒否対象国を撤廃、9月7日からはワクチンを3回打ったことを条件にPCR検査を免除するなど段階的に水際対策を緩和してきた。しかし、G7(先進7か国)のうち、入国数上限を設定しているのは現在日本だけとなっている。

 日本国内の観光地は、円安になってドルを日本円に換金して買い物をする米国からの旅行客に期待が高まりそうだ。全日空は日米間の座席予約状況が7月までの水準と比べ1・4倍の予約に増加して満席状況が続いているため、一部のホノルル線とビジネス中心のニューヨーク線を除く米国内主要都市と日本との運航便数を10月から徐々にパンデミック前の状態に戻す。来米日本人観光客は、円安傾向の余波を受け、どこまで戻るかは不透明だが、日本行きを躊躇していた外国人旅行者を取り戻すことには大きなプラスに振り子が動くことになる。 

 記者会見会場で、首相登壇前に配布された内外記者会見の冒頭発言資料の中には、旅行関連の部分で10月11日に明記されていたのは「全国旅行割」と「イベント割」の開始だけで、「入国数上限撤廃」「個人旅行の規制解禁」「ビザ無し渡航の解禁」は記載されていなかった。岸田首相があえて「記者発表」の形でこの3点について11日に実施すると明らかにしたものとみられる。前日にカーネギーホールで開催された農林水産省主催のレセプションでも水際対策の詳細と明確な開始日については公式発表はしていなかった。 

(関連記事6、7面に)

着物、持続可能な衣服の伝統

 日本の文化をパフォーミング・アーツで紹介する非営利団体ジャパン・パフォーミング・アーツは、10月に3回にわたり「着物: 持続可能な衣服の伝統」と題したイベントを開催する。会場はMarc A. Scorca Hall at OPERA America(7番街330番地7階、28丁目と29丁目の間)。

 現代の重要課題である環境対策に生産者が考えるべき必要不可欠な製品ライフサイクルマネージメントの概要を、着物のライフサイクルの「素材」 「形状」「分解」の3つの切り口で紹介する。プロジェクションを使用した説明と、会場には着物のメカニズムを簡単に理解してもらうために着物を構成する8つの部分を色違いに分けて縫われたものや、古くから継承されている着物の特殊な洗い方法などが展示される。

 10月9日・16日(日)午後2時〜5時は、着物の格についてや絞りの最高峰「京鹿の子(きょうかのこ)」について、また、着物と日本舞踊との関係などについて説明する。10月29日(土)午後7時30分〜9時15分は着物のライフサイクル紹介のほか、着物と日本舞踊との関係をさらに深く、男性、女性、役柄での動きの違いを4つの演目を通して紹介する。

 入場料は無料だが、席の確保と無断欠席を避けるため1 席につき20ドルのデポジットが必要(予約サイトEventbriteの手数料は1席につき3ドル5セント。そのため予約の際には1席につき23ドル5セントとなるが、デポジット20 ドルは来場時に返却されるので、 Eventbriteの手数料3ドル5セントのみ支払いが必要となる)。

チケットはEventbrite のページ上で 「Kimono」と検索にかけると「Kimono: A Tradition of Sustainable Fashion」のページがでてきます。もしくはURLコード https://bit.ly/3QUoSql から。

河野太郎大臣、在外ネット投票に意欲

 河野太郎デジタル相は9月20日の日本記者クラブの記者会見で「次の国政選挙には(在外邦人の)選挙人登録と、できれば投票までをオンラインでできるようにしたい」と述べました。「7月の参議院選挙での在外邦人の(実質的な)投票率は2%程度と惨憺(さんたん)たる状況だった。相当ネジを巻いたが、(在外選挙人登録の)かんじんなところは郵便になってしまった」との認識に基づくものです。                          

 河野大臣は5月に「在外邦人の皆様へ。この夏の参議院選挙で投票するための選挙人登録はお済みですか。できる限り早く登録の申請をする必要があります。ぜひ、今日登録に必要なアクションを起こしてください。ぜひ、拡散してください」とツイッターで呼びかけていました。

 林芳正外務大臣は1月31日に「在外ネット投票の早期先行導入」を求めた署名2万6027筆を受け取った際に「時代が変化しており在外選挙の見直しが必要。2万人投票の現状を一桁増やしたい」と応えています。

 5月25日最高裁判所は在外邦人が最高裁裁判官の国民審査に投票できないのは違憲とする判決を下しました。国側は投票用紙の裁判官名の印刷にかかる時間を反対理由に挙げたのに対し、判決は投票方式の変更を示唆しました。在外ネット投票導入は国民審査にも必要なのです。

 いよいよ、後は選挙制度担当の寺田稔総務大臣と岸田文雄首相の最終決断次第です。                      

 10月から始まる臨時国会が正念場になると思います。私がかつて会長を務めていた在外投票推進議員連盟は現在逢沢一郎議員が会長で、野党は西村智奈美議員がまとめ役です。春の通常国会でも10人近くの超党派の国会議員が政府に対して質問しています。

 この議員連盟と世界各国の在外日本人の皆さんとの連携により、ネット投票に対する賛同が増えている日本国内の世論をも味方にして、河野太郎大臣と林芳正大臣に、政府全体を動かしてもらう闘いです。

 皆さん、正念場での応援活動をよろしくお願いいたします。

 ふじた・ゆきひさ=水戸一高、慶大卒。世界的な道徳平和活動MRAや難民を助ける会で活動した初の国際NGO出身政治家。衆議院・参議院議員各二期。財務副大臣、民主党国際局長、民進党ネクスト外務大臣、横浜国立大講師等歴任。対人地雷禁止条約加盟、アメリカ元捕虜(POW)の訪日事業を主導。世界52ヵ国訪問。現在国際IC(旧MRA)日本協会会長。岐阜女子大特別客員教授。

首相ゆかりの学校、裕子夫人が訪問

NYクイーンズのPS13校

同校に寄贈した首相直筆の「天真爛漫」の書

 岸田裕子総理夫人は9月22日、ニューヨーク市クイーンズの公立小学校PS13 クレメント・クラーク・ムーア小学校を訪問し、児童たちの盛大な歓迎を受けた。同校は、岸田総理が 1964年から約2年間在籍した小学校で、岸田総理夫人は、同校の児童たちに対し「このご縁をきっかけに日本という国を身近に感じ、興味を持ってもらえると嬉しいです」と述べた上で、岸田総理大臣直筆の書「天真爛漫」とけん玉を同校に寄贈した。

 岸田総理夫人は、児童たちからの質問に答えた後、石兼国連大使夫人と共に教室の椅子に座って折り紙を通じて交流を深めた。

 学校の廊下には岸田首相が同校に在籍したことなどを伝える掲示と写真、「ようこそ」とひらがなで書かれた歓迎の文字などがガラスケースに入れられて展示されていた。

 岸田首相がクイーンズのPS13校に在籍していた当時の写真(後列中央)

海外でも非難の嵐

メイウェザーに花束投げ捨て

 さいたまスーパーアリーナで9月25日に行われた格闘技イベント「超(スーパー)RIZIN」で、プロボクシング元世界5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(45)と総合格闘技の朝倉未来(30)のエキシビションマッチが行われたが、試合前の花束贈呈式で、贈呈役の政治団体ごぼうの党代表・奥野卓志氏(48)が花束をメイウェザー選手に手渡さずマットに投げ捨てるという出来事があった。会場は騒然となったが、メイウェザー選手は何事もなかったかのように花束を拾い上げ、セコンドに手渡した。

 試合は国外でもペイパービューや無料放送などで配信されたため、花束を投げ捨てるという行為が世界に発信されることになってしまった。ネットでは「日本の恥」「国民に謝罪しろ」と大炎上、海外のSNS上でも、この行為を非難する声が多数上がった。試合は2回TKOでメイウェザー選手が勝利したが、米スポーツ専門局ESPNは試合結果を伝える記事で、「試合前、日本の格闘技の伝統である花束をメイウェザーに渡すはずだった男が、花束をメイウェザーに渡さず、キャンバスに投げ捨てるという奇妙なシーンがあった」と触れた。米ボクシング専門誌「リング」も「花束贈呈で手渡す人物が、驚くべきことに花束をメイウェザーの足元に落としてみせた」と書いている。米スポーツ系ウェブサイト「バースツール・スポーツ」はツイッターで「異様な行為」とツイート、米スポーツサイトの「ジョーダンスリラー」はイベントに遅刻したメイウェザーへの報復と推測した。

 英スポーツメディアの「ギブ・ミー・スポート」は、「フロイド・メイウェザー: 朝倉未来との勝利前に伝説のボクシング選手の足元に花が投げられた」とのタイトルの記事の中で「信じられない光景」と報じた。

 オーストラリアのFOXスポーツは「ボクシング界がメイウェザーへの奇妙な花束贈呈式に怒り心頭」との見出しの記事を配信。コメンテーターのジョー・フェラーロ氏の「日本では見たことがないと思う」、ダミアン・ブラウン氏の「花は敬意を表すものであり、こんなものは見たことがない」などのツイートを紹介。「スポーティング・ニュース」のアンドレアス・ハレ氏の「名誉の花を渡すのではなく、無礼な形で投げつけた。この行為が未来を助けるとは思わない」と指摘。香港の「サウスチャイナ・モーニングポスト」は「日本のファンが『日本の恥』と政治家を叩く」と報じた。主催のRIZINの榊原信行CEOは「日本人の恥をさらしたことは悲しいし、二度とこういうことがないようにしたい。本当にすみません」と謝罪した。

(写真)日米両国歌斉唱のあとの花束贈呈で、メイウェザーへの花束をマットに投げ捨てた奥野氏。(動画投稿サイトから)

日米交流の原点訪ねる

ラトガース大学と日本
NY日系ライオンズが企画

NJ州ニューブランズウィックへバスツアー

 NY日系ライオンズクラブ主催のチャリティー1日バスツアー「日米交流黎明期の足跡を訪ねて〜ニューブランズウィック見学」が9月24日行われ、約50人が参加した。

 日本の医療の近代化、英和辞典編纂、ヘボン式ローマ字考案などの功績を残したヘボン博士(NJ州オレンジ)のお墓を経由し、幕末から明治中期にかけて多くの日本の留学生が学んだラトガース大学を訪問。

 若林晴子准教授からは「ラトガースと日本」のレクチャー、また日米架け橋に大きな役割を果たした同大卒業生ウィリアム・E・グリフィスが残した写真、手紙等のコレクションの説明も受け、黎明期の日米交流を学んだ。天候にも恵まれ、参加者は空の下での昼食、当時の面影が残る歴史的建物、緑豊かなキャンパスの散策も楽しんだ。

 最後は志半ばで病に倒れた留学生、越前福井藩藩士、日下部太郎ら7人の若者が眠るウィローグローブ墓地を訪問。NY育英学園(岡本徹理事長)園児手作りの日米小旗とお花をお墓に添えて、その御霊を慰めた。(写真上:日下部太郎ら7人の日本人留学生らの墓を訪問したバスツアー参加者たち)

日本クラブで大敬老会

80歳以上の58人笑顔に

NY日系人会

百歳の祝福を受ける高尾さん

 敬老の日にちなんで、ニューヨーク日系人会社会福祉部主催による大敬老会が9月22日、日本クラブで開催された。当日は、80歳以上の日系高齢者58人が参加し、日本クラブの幕内弁当を楽しんだ。例年9月に大敬老会を日系人会ホールで開催しているが、今年は入居ビルの水漏れ被害でホールが使えなくなったため、楽しみにしている高齢者のために、日本クラブが協力して会場を提供、在宅の高齢者50人を含む110食の日本クラブ特製のお弁当もNY日本商工会議所のJCCIファンドから支援され、ボランティアによって配膳、配達が行われた。参加者たちは「とても美味しいくて、美しいお弁当。日本クラブの弁当は定評があるので食べられて嬉しい」など喜びの声が各テーブルで聞かれた。(写真:日本クラブのお弁当を囲み笑顔の参加者たち)

 当日は100歳を祝って高尾利子さんが花束の贈呈を受け、8、9月に誕生日を迎えた高齢者らと共に祝福を受けた。アトラクションには元劇団四季に在籍したニューヨーク在住の歌手、丸山日鶴さんが三上クニの伴奏で懐かしいブロードウエーの名曲や日本の童謡を歌った。

熱唱する丸山日鶴さん

ジャパンフェスの仕掛け人

J フォワード代表

ドラゴン山本さん

 いまや年間15万人を集める世界最大の日本食イベントとなったジャパンフェス。その運営会社、Jフォワードの代表だ。2016年以降これまでに67回、お好み焼きやたこ焼き、焼きそばといった「粉もん」や「ラーメン」「おにぎり・ご飯」をテーマにした日本の食文化や浴衣や手ぬぐい、包丁などの日本の生活に密着した日本文化紹介のイベントを手がけている。

 今年は年内12回イベントを開催しているが、過去最大の来場者数となっている。おかげで出店者の売り上げも過去最高を記録し、目標の150%を超える出店者が参加している。「今年はコロナの影響で日本からの出店数が6店舗と少なくなったが、来年日本のコロナが落ち着けば2019年までのように日本から年間40店舗ほどの店が挑戦すると予測しています。来場者はさらに1・5倍になり、フェスの質も上がり、ローカルの出店者も売り上げが上がり、日本のイメージも上がるという好循環になると思います」と話す。

 ニューヨークでの成功体験を聞きつけて、ロンドンパリ、オーストラリアなど世界中から開催のノウハウを求められることもある。「日本から業者が出店することが、現実的にはとても難しく、日本にいては現地のライセンスや保険のことで分からないことだらけなんです。うちは、ライセンス、キッチン、物流もすべてこちらで用意してVIP扱いで来てもらう。そこまでやるんですかと言われるが、だからこそ出店者は黒字になってテストマーケットもできて帰り、またリピーターとして参加してくれるんです」と説明する。2011年ニューヨークへ移住した。世界に通用するジャパンクオリティを海外へ伝えようと、日米の架け橋として、ニューヨークを拠点に現在まで多角的な事業を手がけている。ジャパンフェスのほかに、全米ベストラーメンレストランに選ばれた「Menya Jiro USA」、全米を対象とした日本食のデリバリープラットフォーム「UMAMI SQUARE」を展開、2014年からは慈善事業として会員4000人を超えるニューヨーク最大の日本語が学べるコミュニティ「J-KURU New York」を運営している。

 岡山県出身。2008年に同志社大学経済学部を卒業して大手人材コンサルタント会社に就職したが3年で退職して来米した。本を読み世界のことを知れば知るほど日本の未来も自分の未来もないと思うようになった。まずは世界を知るため、日本を知るためにも、自分の目で世界を見てこようとニューヨークに来た。とは言っても仕事や貯金があったわけでない。新築の家に住んでいた日本のサラリーマン時代とはうって変わって、窓のない地下室の4畳半での生活が2年半続いて、不動産の仕事をしながら食い繋いだという。

 日本での安定した生活に見切りをつけて25歳で日本を飛び出して今年で12年目。「ニューヨークにきてみたら、日本製品の品質、人格、文化、どれをとってもクオリティーが飛び抜けて高いことが分かった。それを日本にいる日本人に知ってもらいたいと思い、日本人が挑戦できる場所を作ろうと年間10回以上イベントを開催しています」。日本をもっと希望の持てる国にしたいという思いがジャパンフェスの根底に流れる。「日本人がもっと団結すれば、日本はもっと世界で頑張れる。ジャパンフェスはそんなきっかけとなるような場所にしていきたい。そのためにももっとたくさんの日本人の方と会いたいし、一緒にジャパンフェスを創っていきたい」。(三浦良一記者、写真も)