編集後記 2022年10月1日号

【編集後記】

 みなさん、こんにちは。海外にいて、ここしばらく、そう、過去15年あまりの間でしょうか、日本の若者はやれ覇気がないだとか、他国の若者に比べて内向き志向で元気がないだとか聞いていてどうしちゃったのかなあと思っていたのですが、最近、そんな不安を払拭するような、元気な日本人の若者たちの群像の存在を知りました。YouTubeで「BREAKING DOWN ←(検索) 」という総合格闘技のイベントで、キックボクシング、柔道、空手、K1、少林寺拳法なんでもありの1分間のバトルを日本全国の地方からやってきた「喧嘩自慢」の、しかも「誰もが負けを知らない猛者ばかり」が集まってきてオーディションで対戦相手を決めて戦います。集まってきているのは、元ヤクザ、少年院上がり、半グレ、元プロボクサーで出場資格取り消し、元暴走族総長、顔まで刺青だらけの若者と社会の表通りから傍道に追いやられてしまった若者が大半。年齢は20代から40代のよく言えば「やんちゃな青年」たちばかり。何が面白いかというと、闘う前に、お互いに煽(あお)りまくって、相手を罵倒の限り罵倒しあって、そしてリングで闘うのですが、激戦の後は、勝者と敗者が決まるわけです。戦いが終わるとお互いノーサイド、負けた方は、さっきの生意気な口は消え去り「ありがとうございました」と爽やかなスポーツマン精神を見せてくれるのです。その潔さが心地よい爽やかさを与えてくれるので、そのチャンネルにすっかりハマってしまいました。喧嘩だけは誰にも負けないと思い上がっていた者が、次々に負けて自分の身の丈を知る。そこから素直になって前を向いて立ち上がる。鉄拳制裁に近い、まあ、完璧に男の世界ですが、女性のファンも多いようです。さて、前置きが長くなりましたが、ここからが本題。そのBREAKING DOWNの頂点にいる総合格闘家の朝倉未来(みくる)(30)が9月25日、日本のさいたまアリーナで、プロボクシング元世界5階級を制覇した王者フロイド・メイウェザー(45)とエキシビションマッチで戦ったのですが、試合前の花束贈呈式で、贈呈役の政治団体ごぼうの党代表・奥野卓志氏(48)が花束をメイウェザー選手に手渡さずマットに投げ捨てるという出来事がありました(本紙4面に記事)。会場は騒然となりましたが、メイウェザー選手は何事もなかったかのように花束を拾い上げ、セコンドに手渡しました。一歩間違えば、試合そのものが成り立たない危険がありましたが試合は始まり、試合自体は、2回TKOでメイウェザー選手が勝利したのですが、海外のスポーツ紙などメディアが一斉に、この花束投げ捨て行為を「無礼なマナー」として非難の嵐となってしまいました。試合そのものよりこっちの方がネット上で大炎上。格闘家、ボクサーたちも怒り心頭に発しています。試合を何か月も前から楽しみにしていた数十万ファンも試合を台無しにされました。花束を贈呈した奥野氏はチケットを420万円の高値で購入した副賞として「花束贈呈役」のポジションを手に入れました。高知県出身で、曽祖父が吉田茂をバックアップしていた財界のフィクサーで大物だったとかで、今でも、銀座で自身が経営するバー「一徳」には世界の大統領級の要人たちが来店する「お金もちで、政財界、芸能界」に多くの支援者がいるVIPだそうですが、この花束投げ捨てを喜ぶ人は誰一人としていなかったはず。奥野氏のスポーツアドバイザーになっている試合に負けた朝倉未来が一番かわいそうですね。世紀の一戦の前に泥をかけられ、試合に負けてから異常に「頭が痛い」と言って病院に直行した朝倉。日本中のファン、格闘家、世界のマスコミが凍りついたリングの中で部外者が起こした不祥事。リングで普段大暴れする乱暴者の若者たちも「あれはいかんわ。ありえん」と心を一つにした瞬間でもありました。長々と書きました。日本の若者たちは元気です。それが言いたかったです。ご関心のある人はBREAKING DOWNN, 朝倉未来、朝倉海、安保瑠輝也を検索してみてください。ニューヨークでよく見る日本の社会をリードする駐在員やエリートたちでは決してないですが、真っ直ぐに生きる現代の頼もしい若者たちに会えますよ。ニューヨークにいても孤独ではありません。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)