【今週の紙面の主なニュース】(2021年6月19日号)

(1)NY市長選民主アダムズ氏優勢
(2)地下鉄パフォーマンス再開
(3)コロナから472日目の復活
(4)ニューヨークの魔法
(5)韓国版コーンドッグ
(6)第11回クイーンズ世界映画祭
(7)コロナ、大統領選 岡田さん講演
(8)自由の女神の妹が来米へ
(9)中高生向けプログラミング言語キャンプ
(10)シアター作品を配信 河村早規さん

コロナから472日目の復活

 クオモ・ニューヨーク州知事は15日、18歳以上のニューヨーク州民の70%が新型コロナウイルスのワクチンについて一回の接種を受けたことを踏まえ、新型コロナウイルスに関する規制を直ちに解除すると発表した。これにより社交場の制限や収容人数の制限、ソーシャルディスタンス、清掃・消毒、健康診断、追跡のための接触記録といった、州の保健に関するガイダンス、各産業別のガイドラインが、小売業、飲食業、オフィス、ジムやフィットネスセンター、娯楽施設やファミリー向けエンターテイメント、ヘアサロン、理髪店、パーソナルケアサービスなどの商業施設においてほとんどの制限が解除された。同日、州内13か所の主要ビルが復活を記念しブルーとゴールドにライトアップされた。エッセンシャル・ワーカーと医療従事者の働きを讃えニューヨーク湾など数か所で花火も上げられた。この日はニューヨーク州がコロナとの戦いを宣言してから472日目の「サバイブからの復活」となった。
(写真)青と黄金色でライトアップするエンパイアステートビル(15日夜、写真・三浦良一)

エッセンシャルワーカーに感謝

 クオモ・ニューヨーク州知事は15日、18歳以上のニューヨーク州民の70%が新型コロナウイルスのワクチンについて一回の接種を受けたことを踏まえ、新型コロナウイルスに関する規制を直ちに解除すると発表した。

 また、エッセンシャル・ワーカーと医療従事者の働きを讃えニューヨーク湾などの数か所の会場で花火も上げられた。

 一方、ワクチン接種を受けていない人については、米疾病対策センター(CDC )のガイダンスに従い、マスクの着用が求められている。また、州の健康に関するガイドラインでは大規模な屋内行事、幼稚園から高校までの学校、公共交通機関、ホームレスシェルター、矯正施設、老人ホーム、医療機関などにおいては、CDCのガイドラインに従って州のガイドラインが引き続き適用される。各事業者は従来の規制を継続するか、解除するかについて選択することができる。

民主アダムズ氏優勢

次期NY市長選予備選、22日に投票

 今年末で任期を終え退任するデブラシオ市長の後任となるニューヨーク市長選が今年11月2日に行われる。予備選は今月22日で、10日に候補者による3回目の公開討論会が行われ、12日から期日前投票が始まった。選挙管理委員会によれば13日までに3万2032人が投票した。

 ニューヨーク市は共和党員よりも民主党員の方が圧倒的に多いため民主党の予備選挙の勝者が次の市長となる可能性が非常に高い。民主党の予備選挙では今回初めて候補者を最大5位まで優先順位で記入するという順位選択投票(RCV)方式が取られている。民主党の予備選挙の投票用紙には全部で13人の候補者が記載されており、これは市長選の歴史のなかでもっとも多い。

 エマーソン・カレッジによる4回目の世論調査(6月7〜8日に実施)ではブルックリン区長のエリック・アダムズ候補が23%でトップ。デブラシオ市長の元顧問のマヤ・ワイリー候補が前回の世論調査(5月23〜24日実施)から8ポイント上昇し17%で2位に躍進した。3月の調査では32%の圧倒的トップを走っていた実業家のアンドリュー・ヤン候補は前回の16%からやや下げ15%で3位。ニューヨーク市衛生局の元コミッショナーであるキャサリン・ガルシア候補は 前回の21%から12%に大きく低下した。ニューヨーク市の会計監査官スコット・ストリンガー候補は前回10%から9%と横ばい。

 同世論調査で求める政策の優先順位は犯罪が31%とトップでアダムズ候補が40%と圧倒的期待を集めた。

 マヤ・ワイリー候補の躍進は左派のアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(NY州14区)が5日に行った支持表明が大きく寄与したと見られる。これは同じ左派のガルシア候補とモレラス候補の支持者がワイリー候補に移行したと見られ、両候補の支持率は下がっている。市長選では左派の指導者で人気の高いオカシオ=コルテス氏が誰を支持するのか注目されていたが、今回の世論調査を見る限り右派であるアダムズ候補の優位を揺るがすまでには至っていない。ヤン候補は45歳未満には23%の支持率を得ているが高齢者には9%の支持しかなく、15%前後で頭打ちの様相を示している。

地下鉄パフォーマンス再開

14か月ぶり、NYらしい音楽の復活

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で1年以上休止していたミュージシャンに地下鉄構内での演奏機会を提供する都市交通局(MTA)の「ミュージック・アンダー・ニューヨーク(MUNY)」が、4日再開した。 

 再開初日には、日本人を含むミュージシャンたちがグランドセントラル駅やポート・オーソリティ・バスターミナルなどで、ギターやバイオリン、トランペットなどを演奏し、多くの利用者たちがニューヨークらしい音の復帰を歓迎した。NYCトランジット・オーソリティのデメトリウス・クリッチロウ執行副社長は「おそらくほぼすべての地下鉄利用者たちが、MUNYのパフォーマーの美しさ、パワー、喜びの表現に足を止めたことがあるだろう。音楽は毎日、何百万人もの乗客の計り知れない喜びと刺激の源となっている」と話している。パンデミック前は、同プログラムに登録しているアーティストたちが年間、音楽パフォーマンス350回、そのほかのパフォーマンス1万2000回行っていた。

あなた、それでも日本人?

ニューヨークの魔法 ⑱
岡田光世

 My bonsai is dead! 

 私のボンサイが、死んでしまったじゃないの! 

 突然、サラに激しい口調で責め立てられ、私は言葉を失った。 

 ミッツィ(私のニックネーム)、ちゃんと水をあげてくれたの?

 盆栽が「枯れた」ということなのだが、英語だから「死んだ」とサラは言っている。 

 つまり、殺したのは、私か。 

 その夏、サラとビルがニューヨークを離れて、避暑地で過ごす間、病気の猫の世話を頼まれ、ふたりのアパートメントに泊まっていた。猫に薬をやらなければならないので、 信頼できる人にいてほしいという。 

 盆栽があったこと、気づかなかったの? 

 リビングルームの棚に、和風の植物があることには気づいた。滞在して一週間ほどたった頃だろうか。 

 何、これ?  盆栽かな、と夫と話した記憶はある。 

 が、世話を頼まれていたわけでもなかったので、そのうち忘れてしまった。 

 さらに言い訳をさせてもらえば、棚には東洋風の食器も飾られていて、盆栽は部屋に見事に溶け込み、存在がまったく印象に残っていなかったのだ。   

 気づいたのに、放っておいたってわけ?

 まあ、そう言えなくもない。 

 なぜ、水をやらなかったのよ。枯れることくらい、わかるでしょ。

 日本に住んでいたときだって、私は盆栽など育てたことがない。

 盆栽に水をあげていいわけ?

 ミッツィ・・・・・。相手はため息をついている。 

 盆栽は何もしなくても、生きているイメージなのだ。少なくとも、私のなかでは。

 あ、それはサボテンか。 

 いくつかある鉢植えの水やりは頼まれていたが、盆栽のことなどサラにはひと言も聞いていなかった。 

 盆栽の水やりなんか、頼まれなかったけど。 

 頼まなくたって、わかるでしょ!

 しかし、水をあげすぎて、根腐れして枯れたらどうするのだ。 

 盆栽の手入れの仕方なんか、知らないもの。 

 ミッツィ! あなた、それでも日本人? 

 日本人だからといって、毎日、スシを食べているわけでもないし、皆がニンジャの格好をして手裏剣を投げているわけでもない。「サザエさん」の波平のように、老いも若きも庭で盆栽いじりをしているわけでもないのである。 

 日本人ですよ、ミッツィは。

 たぶん。 

 ボンサイの手入れの仕方も知らない、ボンサイ(凡才)な日本人でございます。 

 このエッセイは、「ニューヨークの魔法」シリーズ(文春文庫)第8弾『ニューヨークの魔法の約束』に収録されています。

https://books.bunshun.jp/list/search-g?q=岡田光世

韓国版コーンドッグ、ロウワーイーストサイド

韓国のB級グルメ

 ローワーイーストサイドの街角で見つけた、韓国版コーンドッグと卵トーストの専門店「オーケードッグNYC」。東京のコリアンタウン・新大久保を中心に日本でもブームとなった韓国生まれのコーンドッグ「ハットグ」は今や人気のストリートフードで、串にフランクフルトをはじめ、モッツァレラチーズ、トッポキに使う棒状のモチなどを刺して、たっぷりの米粉の衣をつけて揚げたもの。衣にサイコロ状のジャガイモをつけたものなど多くの種類があり、街歩きしながらの軽食にぴったりだ。

 また、厚切りトーストにトロトロの卵、ハムとチーズをはさみ、特製ソースをかけてボックスに入れたエッグトーストも韓国の街角で人気のB級グルメ。ボリュームがあって見た目もかわいく、現地では朝ごはんとして食べられることが多いそう。週末は午前1時30分まで営業しているので、深夜に小腹がすいたときのおともにどうでしょう。


Oh K-Dog NYC

159 Ludlow St, 

New York, NY 10002

(646) 448 – 4836 

https://www.ohkdog.com/ 

年中無休

第11回クイーンズ世界映画祭が開幕

 第11回クイーンズ世界映画祭が23日(水)から7月3日(土)までの11日間、複数会場でのライブ上映とオンラインでのバーチャル上映の両方で開催される。短編・長編映画、ドキュメンタリー、アニメなど、33か国・地域からの198作品が公開される。

 同映画祭には、多くの被害をもたらした福島原発事故をテーマにした中村賀与子監督の短編ドキュメンタリー「No Nukes」(上映時間12分)も参加。被害者のインタビューを通して原発事故がもたらした影響から原発とは何かを考える。中村監督は「空と海がつながっている限り、福島原発事故は日本だけの問題ではなく、世界の問題として捉えるべきである」と話している。ライブ上映は25日(金)午後7時から、ザ・ローカルNY(13-02 44th Avenue, LIC,)にて。オンライン上映は27日(日)午後7時から。

 同映画祭は昨年3月19日〜29日に予定されていたが、パンデミックのため開幕3日前に劇場が閉鎖され会場が使えなくなった。しかし主催者は急きょオンライン開催へと変更し32か国からの191作品が上映され、3万回以上の視聴数を記録した。

 チケットは10ドル〜。オールアクセスパスが150ドル、1日間有効のデイパスが25ドル。上映作品・スケジュールなどの詳細は公式サイトhttps://queensworldfilmfestival.org/を参照。

コロナ、大統領選、私が見た激動のアメリカ

岡田光世さん講演

 本紙連載「ニューヨークの魔法」シリーズでお馴染みの作家、岡田光世さんが日本時間19日(土)午後2時30分から東京の池袋コミュニティカレッジで、「コロナ、大統領選〜私が見た激動のアメリカ」と題して講演する。岡田さんはネットのJ-CASTニュースの「岡田光世『トランプのアメリカ』で暮らす人たち」を今年1月まで4年間連載した。岡田さんはこの中で、市井の人々の声をすくい上げ、トランプ支持者も多く取り上げた。1月6日、首都ワシントンの連邦議会議事堂乱入事件、その直前の行進でも現場にいた。当日の講演では、本人撮影の写真や動画とともに、激動の2020年を振り返る。当日は会場での体面だけでなく、ズームでオンライン参加できる。「見逃し配信」の期間は21日から30日。

申し込みは池袋コミュニティカレッジまで。

https://cul.7cn.co.jp/programs/program_936662.html?fbclid=IwAR0wldY2XkBZ8cvQZK5sMyEZtyW6PZZqYJlg_aJU5QAfJjPo9ESfyxRAmSI

自由の女神の妹フランスから来米へ

 パリにある自由の女神の「妹(リトルシスター)」像が7月1日(木)から5日(月)まで、「姉」が住むニューヨーク・リバティ島の近くにあるエリス島にやってくる。エリス島はかつて米国移民局が置かれていたことで有名であり、1892年から60年の間にヨーロッパから1200万の移民がこの島から入国したといわれている。 

 リトルシスターは高さ約3メートル、重さ450キロの小さなもので、1878年に制作されたオリジナルの石膏模型を使用して2009年に作られ、2011年からパリの国立美術館に設置されている。フランス大使館によると、リトルシスターは今月19日にフランスの港湾都市ルワーブルから船に乗り、7月1日にエリス島に到着、独立記念日の5日まで「姉」の近くに滞在する。その後はワシントンDCにあるフランス大使公邸の庭に10年間置かれる予定だという。

その6:ニューメキシコで先住民族文化に触れる

さあ行こう! 魅惑のアメリカ旧国道「ルート66」

 ルート66ファンの皆さん、こんにちは!2021年も早くも折り返し間近になりましたが、いかがお過ごしでしょうか。アメリカはワクチン接種率が高く、多くの州や地域でコミュニティが活性化していると聞きます。そして多分に漏れず、ルート66各地でも博物館やインフォメーションセンター、ダイナーなどが営業を再開、たくさんの私の友人達もドライブを楽しんでいるようにSNSで見受けるようになりました。そんな旅行解禁モードに水を差して大変恐縮ですが、編集部にわがままを言い、本コラムは来月より4か月間お休みを頂戴することになりました。私の本業がこの秋に新企画を発足し、その準備で充分な時間が割けなくなることが理由です。毎月楽しみにして下さっている方には申し訳ございませんが、ご理解頂ければ幸いです。

 さて、本題に参りましょう! 今月のおススメルートは、私の第2の故郷サンタフェを中心に、ニューメキシコ・ルート66の一部を3泊の旅でご紹介します。が、もう皆さんもご存知の通りニューメキシコ・ルート66は見所満載なので、残念ながら紹介する時間的制限の中では1回で全てを見られません。相当絞りますのでご容赦を!

 発着空港は同州アルバカーキ国際空港です。ちなみにアルバカーキの空港はエアポートと言わず、サンポートと呼ぶのでご注意。中型サイズの極めて使い勝手の良い空港で、ゲート内にルート66をモチーフにしたバーがあり、個人的には全米で最も好きな空港です。アルバカーキの街は最後に見るとして先ずはI-25を北へ、サンタフェを目指します。熟練運転者であれば、I-25でなく、サンフェリペ、ケワ、ドミンゴなどのネイティブアメリカンの集落を抜けて行く下道もありますが、ここは無理をせずフリーウェイで1時間走りましょう。途中57番出口では「ラ・バハダ」と呼ばれる州きっての過酷な丘陵地域が望める休憩所もあります。

 サンタフェはニューメキシコ州の州都。独特な街並みや多様な文化の融合が特徴的で、街中には日干しレンガで作られたアドビと呼ばれる赤茶色の建物が軒を連ねており、歴史的な建造物と共に魅力的な景観を生み出し「魅惑の州」と呼ばれる由縁がいっぱいです。1926年開通のルート66は1937年までこのサンタフェを通っていました。詳細は割愛しますが、アメリカ最古の教会「サンミゲル教会」、すぐ裏手にある「アメリカ最古の家」、有名な「奇跡の階段」のある「ロレットチャペル」、「聖フランシス大聖堂」を始め、世界中からアーティストが集まる芸術の街の代名詞、数多くのギャラリーが立ち並ぶ「キャニオンロード」や、街の中心にあるプラザではネイティブアメリカンの人達がアクセサリーや工芸品などを売っているので、お好きなものを選んでお楽しみください。食事は「Tomasita’s」、または「Tia Sofia」。宿泊は思い切って「La Fonda」などいかがでしょう。

 2日目はサンタフェからそのままI-25を更に北へ。目指すは「ラスベガス」(ネバダのカジノで有名な街とは別)です。途中グロリエタの街で一旦下りて、下道をペコス方面へ。午前中はペコス国立歴史公園で過ごします。この公園は、先史時代の考古学的遺跡から19世紀の南北戦争の戦場まで、歴史的な要素が詰まっていて、まさにニューメキシコ文化、ネイティブアメリカン文化の真髄です。サンタフェからラスベガスは僅か70マイル、車で約1時間の距離ですが、今夜はここに泊まります。午後はラスベガスの街を散策、街の顔である「Plaza Hotel」、「Castaneda Hotel」そしてアムトラック駅でルート66の歴史を感じてください。宿泊はどちらも超おススメです。

 3日目はちょっと冒険しましょう。ラスベガスよりI-25で少し戻り、州道84号を南下、サンタローザに立ち寄ります。ここのポイントは「ルート66自動車博物館」、常時50台近くあるクラシック・カーを堪能してください。その後はI-40を西へ、285号線と交差してすぐのクラインズ・コーナーで休憩、州内でも最大級規模のお土産屋さんをエンジョイしましょう。ショッピングが終わったらアルバカーキまで残り60マイル少々、I-40をまた1時間ほど走ります。ただし! 注意して頂きたいことが一つ。アルバカーキのルート66はセントラル・アベニューです。街中までI-40を走らず、街の郊外、同名通りの出口で降りて、ルート66を利用して街の中心に向かって走りましょう。

 アルバカーキは街の発祥地である「オールド・タウン」がメイン。ルート66沿いにあり、古くからの街並みが大切に保存されている観光地。1706年にスペイン人によって作られた歴史的な地区で、スペイン文化が色濃く残っています。文化施設やアートギャラリー、カフェや土産物店が軒を連ね、ネイティブアメリカンのジュエリーや工芸品、メキシコ雑貨などアルバカーキならではのお土産が豊富に。のんびりと歩きながら、旅の疲れを取ることができます。

 ネイティブアメリカン文化に興味のある方は「インディアン・プエブロ文化センター」へ。州内に存在する19のプエブロ部族を紹介する博物館や工芸品の展示があり、各部族の文化や歴史を知ることができる全米でも稀有な観光スポットです。

 また街の西側には「ペトログリフ国定公園」があり、火山岩に描かれた先住民の絵画が保存されています。丘の上からは「サンディア・ピーク」が見渡せ、トラムに乗って地平線を楽しむオプションもあるんですよ。そうそう、食事にはルート66きっての有名ダイナー「66 Diner」を忘れてはいけません。お泊りはルート66沿い、最近再開した「El Vado Motel」、または「Monterey Motel」で決まりです。それではまた11月にお目にかかります!
それまでお元気で!

(後藤敏之/ルート66協会ジャパン・代表)

ビレッジウェル、プログラミング言語キャンプ開催

中高生向けに講習コース企画

 日本の文部科学省は、本年度より「プログラミング」を小中高校で必須科目として導入した。ビレッジウェルコンピュータ教室では、学校の授業で習う基礎だけでなく、パイソンを使用して簡単なゲームを自分で作ってみる段階までを教える中高生向けのプログラミングキャンプを企画。7月にニュージャージーの会場を借りての対面式と、オンラインの2通りで実施する。

 第1期は、NJ州フォートリーの会場で対面式授業。基礎の学習と簡単なゲームを作る1週間コースは7月12日(月)から16日(金)。2週目にさまざまな種類のゲームを作ってみる2週間コースは7月12日(月)から23日(金)の平日。午前9時から午後1時まで。

 第2期は、Zoomによるオンライン授業。1週間コースは7月26日(月)から30日(金)。2週間コースは7月26日(月)から8月6日(金)までの平日。午前9時から午後1時までと、午後2時から午後6時までの2回。2つの時間帯を用意することで、西海岸など他地域からの参加もしやすくなっている。

 対象は日本の学年で中学1年生から高校3年生で、日本語で授業を行うため、日本語が理解できることが条件。参加費は、第1期が、1週間コース600ドル、2週間コース1100ドル。第2期は、1週間コース500ドル、2週間コース900ドル。親子や兄弟での参加も歓迎しており、その場合は2人目から割引もある。

 講師を務めるビレッジウェルの村井功代表は「コンピュータプログラマーは世界的に不足している。今後、エクセルに並ぶ重要なプログラミング言語になると思われるパイソンを使ってゲームを作ってみることで、参加した生徒たちが、将来、仕事としてプログラミングをやってみたいと思えるよう、丁寧に指導していく」と抱負を語った。同キャンプの問い合わせ・申し込みはEメール info@villagewellusa.com で受けつけている。

 中高生の長い夏休みの過ごし方は色々あるが、プログラミングに特化したデイキャンプという新しい選択肢が加わった。

シアター作品を配信

舞台演出家・マルチメディア・アーティスト

河村 早規さん

 ニューヨークで舞台演出家・マルチメディアアーティストとして活動する河村早規が演出したシアター作品「ザ・ギビング・ツリー(The Giving Tree)」が、今月12日から27日(日)までUNFIXフェスティバル(https://unfixfestival.com/)でオンデマンド配信されている。

 「ザ・ギビング・ツリー」はシェル・シルヴァスタインの本にインスピレーションを受け、ディバイジング、視覚芸術、身体表現の要素を含んだシアター作品。自身が子供の頃から親しんできた絵本を題材に、パフォーマーたちと3か月をかけて作り上げた。絵本ではなくシアター作品として物語を立ち上げることによって、さまざまな人や物との関係性を見つめ直す作品となっている。

 河村は奈良県出身。日本で国際基督教大学に通う傍ら、ダンス公演の舞台演出や、パフォーマーとして活動。演技の名門校アクターズスタジオドラマスクール修士課程演出専攻に日本人で2人目として合格し、2019年にニューヨークに活動の拠点を移した。同スクールの奨学生として在学しながら学外でも積極的にアーティスト活動を行っている。舞踏シアターカンパニー、連翹奏(Ren Gyo Soh)に所属。舞台演出家として活動する傍ら、パンデミックをきっかけに映像の世界にも興味を持ち、2020年のオーストラリア・クアランティン映画祭に作品を出し、優秀賞を受賞。以来、出演者・撮影者・監督としてさまざまな映像作品を制作している。今回のフェスティバルでは、NYの芸術監督補佐も兼任している。

 今回の作品で最も観客に伝えたいテーマは「無償の愛とはなにか」。

 将来の夢は、アジア系、日系を代表できる演出家になり、人々に新しい価値観への扉、気づき、きっかけを与えられるような作品を生み出していくことだ。

河村は「村上春樹さんが翻訳されたことで有名になった「おおきな木」をベースとし、戯曲を使わずに自分たちの身体を使いながらディバイジングというスタイルで、パフォーマーたちと一瞬一瞬を3か月かけて作り上げた。私自身も制作期間でパフォーマーたちと対話を繰り返すうちに、西洋と東洋の自然に対する考え方、感覚の違いを感じた。そしてこのストーリーの受け取り方の多様さや普遍性に触れ、この作品がどうして世界中で長い間愛され続けているのかを理解することができた。視覚芸術・身体表現の要素も取り入れ、さまざまな世代の人に楽しめる作品になっていると思う」と語った。(写真は本人提供)