総選挙で与党大幅削減、失われた30年挽回の好機

 10月27日の総選挙で、自民党と公明党の与党が65議席減で過半数を失い、立憲民主党と国民民主党が71議席を増加しました。これは、自民党議員の政治資金の裏金問題や旧統一教会との関係が直撃したものです。これらの関係を指摘された現職大臣を含む多くの議員が落選しました。また石井啓一公明党代表が落選して、代表辞任と言われています。

 しかし、与党が過半数を割ったものの、石破茂首相は、公認されずに無所属で当選した自民党議員の取り込みなどで政権維持を図ると見られます。野党が競合しており政権交代には至らず、与野党にまたがる連立工作が展開される政治の動乱期の到来です。

 他方、9月に自民党と立憲民主党の党首選挙が行われ、特に自民党の総裁候補者同士が政策を競ったことが新しい政治状況を生んでいます。自民党の幹事長が年間に十億円も受け取っていた政策活動費の廃止、日米地位協定の改定、最低賃金の引き上げ、教育の無償化など、党派を超えて取り組まざるを得ない状況になっているのです。

 米国とは異なり、戦後80年のほとんどの時期を自民党が与党として君臨し、国民からの投票で選ばれない首相が国民から選ばれた国会議員を実質的に支配できるのが日本の議院内閣制です。国民と首相とのキャッチボールが少ない政治です。しかし、今回の総選挙はこれまでとは異なり、国民が、自分の選挙区で利害関係のある政治家よりも、永田町政治への信頼や苦しい国民生活改善の政策の是非で投票を決断したと言えます。

 今日本では「失われた30年論議」がブームになっています。30年間の国民の実質所得の低下や、裏金問題を発生させた30年前の政治改革法案の骨抜き、30年間の首相の4人に3人が世襲政治家であることなども争点になりました。これからの政治の動乱期を活かして、国民生活の悪化と政治の不在による失われた30年を挽回するために、政治家が国民に対して政策を競ってほしいものです。  

 来年7月の参議院選挙に至るまでは、米国の大統領選挙の年の1年間のような政治家と国民とのキャッチボールの季節が続きます。「政治への無関心は政治を悪くします」。国民が政治に関心を示して、主役として政治を改革できる1年です。

 ふじた・ゆきひさ=慶大卒。世界的な道徳平和活動MRAや難民を助ける会で活動した初の国際NGO出身政治家。衆議院・参議院議員各二期。財務副大臣、民主党国際局長、民進党ネクスト外務大臣、横浜国立大講師等歴任。アメリカ元捕虜(POW)の訪日事業を主導。現在国際IC(旧MRA)日本協会会長。岐阜女子大特別客員教授。

海外日系人大会開催

海外日系新聞放送協会総会も、東京で

 岩屋毅外務大臣は10月16日、飯倉公館において、第64回海外日系人大会(主催・公益財団法人海外日系人協会、後援・外務省ほか)に参加している日系人を歓迎するためのレセプションを開催した。岩屋大臣は冒頭挨拶において、世界各地から170人を超える日系人を迎えることができ大変嬉しく思うと述べた上で、幾多の困難を不屈の精神で乗り越え、移住先のみならず世界各国においてさまざまな分野で活躍する日系人に敬意を表した。また、分断と対立に向かう世界を融和と協調に向けるため、日本と各国を結ぶ絆として日系人が成し遂げられてきたことを謙虚に学び、共通の目標の実現に向けてともに歩んでいきたいと述べた。

 交流歓迎会では、秋篠宮皇嗣同妃両殿下が来場され、和やかな雰囲気の中、岩屋外務大臣を始め、日本側出席者と日系人参加者との間で交流を深める機会となった。

 また10月18日午後、青木一彦内閣官房副長官は、森幹雄海外日系新聞放送協会会長ら、シンガポール及び米国で発行されている日系新聞・放送の関係者による表敬を受けた。訪問したのは海外日系新聞放送協会会長・森幹雄氏 (パノーラ、週刊JーPLUS社長・シンガポール)、海外日系新聞放送協会副会長・とみたいく子氏 (ラジオKーJAPAN社長・米国・ハワイ)、海外日系新聞放送協会理事長・岡野護氏、海外日系新聞放送協会事務局長・渡辺裕子氏の4人。青木官房副長官から、第51回を迎える海外日系新聞放送大会の開催にお祝いの言葉を伝え、政府は、日系人の人々との連携強化を図っていきたいと考えており、海外の日系人のコミュニティにアクセスするために最も有効で効果的なツールである日系の新聞や放送と協力していきたいと述べた。

 これに対し、森会長から、海外の日系の新聞に掲載するために日本政府の報道発表を協会に提供していることに対する謝意が示されたほか、海外の日系新聞・放送への引き続きの協力について要望した。本紙週刊NY生活は、同協会メンバーとして17日に開催された総会にはオンラインで参加した。

(写真)秋篠宮皇嗣同妃両殿下が来場され、和やかな雰囲気の中、岩屋外務大臣を始め、日本側出席者と日系人参加者との間で交流を深める機会となった海外日系人大会での歓迎会

困った時の駆け込み寺、JASSIが晩さん会

MUFG三菱UFJ銀行を表彰

ゲストシンガーのKanaが歌声を披露

 第43回日米ソーシャルサービス(JASSI)の年次晩餐会が24日夜、イエールクラブで開催された。当日はニューヨーク総領事の森美樹夫大使が、同団体の長年の日系社会に対する奉仕貢献活動に感謝の言葉を添えて祝辞を述べた。当日のエンターテインメントとして歌手のKana(植村花菜)が「新しい世界」「Happiness」「トイレの神様」の3曲を歌って会場全体を温かな感動で包んだ。

 本年度のコミュニティー・リーダーシップ・アワードは、MUFG三菱UFJ銀行に贈られ、小池塁執行役員・米州総合管理部長に記念の盾が望月良子理事長から手渡された。JASSIは1981年の創立以来、福祉サービスを無償で提供しているニューヨーク州認定非営利団体。日常生活をする上で直面する問題から、言語、文化および制度の違いによって生じる複雑な問題まで、支援を必要とする人たちの生活の質の向上を図ることをミッションに、専門教育・訓練を受けた日・英バイリンガルスタッフが守秘義務遵守のもと無料で相談に応じている。

(写真トップ)本年度のアワードを望月理事長(右)から受ける小池氏

 岡崎奈津子ディレクターがJASSIの活動報告を行った。昨年7月から今年6月までの2024年会計年度で1127人の対応をし、7485件のコンタクトをした。このうち400人が高齢者の対応だった。ホットラインの対応実例としてニューヨーク在住の若い日本人女性美容師がビデオ映像で証言した。

 その女性は、がんにかかっていることが最近分かり、自分の加入している保険で手術をしてもらえる病院を苦労の末に探し、ようやく手術の予約を取ったものの手術数日前になって保険は適用できないとの通知を受けた。どうしていいかわからず途方にくれたが、JASSIに連絡したところ保険の問題を解決してくれ、無事に手術を受けることができたという。「不安のどん族にあって救われた」と感謝の言葉を述べた

 医療保険の問題に限らず、家賃を突然大幅に値上げされたなどのトラブルや悩みを抱える在留邦人は少なくなく、JASSIは困った時に相談できる「駆け込み寺」としてNY日系社会最後のセーフティーネットの受け皿としの役割を果たしている。

わるく育つと鬼になり

 レイモンド・チャンドラーが造形した私立探偵フィリップ・マーロウが『プレイバック』の中で「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない」と言ったことを、つまりは「気は優しくて力持ち」の足柄山の金太郎のことかと気づいたのは読後かなり経ってからでした。そしてまた、強さと優しさのその2つが、人間がやっと辿り着いた民主制度という政治体制の2本柱だと考えるようになったのはトランプ政権が出てきてからのここ数年のことです。

 確かにこの世界は強くなければ生きていけない。例えばアメリカをとってみても、英国国教会の権力から自由なピューリタンの国を作ろうと海を渡った17世紀から、アメリカ先住民(インディアン)を蹴散らし、ボストン茶会事件からアメリカ独立宣言に至る18世紀を経て現在の連邦国家の基礎を拓いた19世紀の西部開拓時代に至るまで、それはまさに自分たち(白人男性)による民主国家の建設に、自主独立の精神と強い自助の力が必要だったことを示しています。

 しかし社会が工業化で豊かになる20世紀に入るとひずみも生まれました。第一次大戦後の好況の中で株式投資の「大強気」相場がピークに達した1929年、そのひずみは大恐慌で一気に露呈します。

 路上に失業者・困窮者が溢れ、自助だけでは立ち行かなくなりました。自由放任経済の「小さな政府」の米国は、大幅な財政出動での公共事業や工業生産の国家管理、銀行への監視も厳しいニューディル政策に転じ、さらに国内購買力の回復のために労働者の保護や社会保障の充実などにも着手しました。つまり「大きな政府」です──そう、これが「自由」や「自助」だけではない、近代民主資本主義社会の「優しさ」取り込みの始まりでした。

 もっともそれは一朝一夕には成立しません。アメリカ社会に「強さ」と「優しさ」の両立をもたらしたのは皮肉にも第二次大戦での武器生産による戦争景気です。さらに、2度の大戦による女性の社会進出と黒人や先住民たち社会的マイノリティの人権意識の目覚めが、白人男性中心だった民主社会に「公平さ」と「平等」を要求するようになる。ベトナム戦争泥沼化による「強さ」への反省もまたその流れに拍車をかけ、エイズ禍後には「公平・平等」の一つの到達点として性的マイノリティへの配慮や同性婚合法化も進みました。

 民主社会の健全さは「自由と自助」の強さと「公平と平等」の優しさとがうまくバランスが取れてこそ担保されます。「金太郎わるく育つと鬼になり」という江戸時代の川柳がありますが、まさにそれです。

 そう考えると、今選挙でのトランプvsハリスの対立は、ロシアや中国のような専制主義vsアメリカ的民主主義という構図ではなく、民主主義そのものの中にある2つの対立概念、つまり「自由」と「平等」とが、互いに極端だと非難し合っている構図です。

 フロンティア精神というアメリカ社会の柱は、国家より先に個人(白人男性)の自由や自助や強さを優先します。そしてその建国の精神が、BLM運動やMetoo運動やLGBTQ運動や移民受け入れ政策の旗印である公平さや平等主義を、急進的で左翼的な特権授与や偏重だと非難している。その鬱憤を、罵詈雑言で攻撃するトランプが掬い上げているのでしょう。

 トランプの再選は、彼が言うよりもっと前の、アメリカがグレートだった開拓時代の自由と強さへの回帰です。対してハリスの当選は、彼らには「自由な国家の安全」の危機であり、恐ろしい話ですが、武器を保有する「規律ある民兵団」の組織を保障した憲法修正第2条の適用対象なのかもしれません。

 選挙は来週火曜日です。

(武藤芳治/ジャーナリスト)

新潟物産展NYで開催

燕市など県内13社

ブルックリンのジャパン・ビレッジ

花角知事が来米しトップセールス

 新潟県は10月26日と27日の両日、ブルックリンのジャパンビレッジ2階部ロフトで、新潟物産展を開催し、燕市から(包丁、爪やすり、トングなどのほか、和包丁&研ぎなどを実演販売した。燕市は食器で世界的に知名度があり、今回カトラリーの展示コーナーでは高級レストラン向け、家庭向けのフォークやナイフ、スプーンが展示販売された。

 午前中に花角英世新潟県知事が来場して、ニューヨーク市民に直接新潟の産品をトップセールスした。会場では、飼い主とペットのための爪ヤスリや、コーヒーを淹れるケトルなど、日野浦刃物工房からは価格500ドル前後の包丁がずらりと並んだ。また新潟フェアのコーナーでは能水商店の松本将史社長(45)は元高校教師だったが脱サラして起業。「新潟県立海洋高等学校で開発された鮭の魚醤『最後の一滴』の製造販売と高校生への職業教育支援をするために会社を設立しました。お客様の味の世界を広げる魚醤の普及を通じて、水産資源の有効利用と人づくりを図り、サスティナブルな地域づくりに貢献したい」と語った。

(写真上)包丁について説明を受ける花角知事(日野浦刃物工房)

日本から参加した燕市の皆さん

 秋田杉を使った屏風などを展示したのは大湊文吉商店。想樹グループ土田農園の和梨が日本から輸入されて並び、米国人客が「とても甘い」と買い求めていた。新潟の酒コーナーでは、日本酒文化国際交流プロジェクト・ニイガタ・サケ・ラバーズ代表のデュケット智美さんが来場者にお釈をして菊水、八海山など新潟産日本酒をアピールした。

 今回新潟から参加した企業は、日野浦刃物工房、馬場長、山谷産業、下村企販、カンダ、吉田ヤスリの燕市からと、八海醸造、菊水酒造、ニイガタ・サケ・ラバーズ、大湊文吉商店、想樹、 能水商店の13社。

 また28日には、新潟の食と酒をアピールするイベントがマンハッタンのレストランで開催され、関係者120人が集まった。当日は9社の酒蔵から26種類の日本酒を来場者にテイスティングしてもらった。花角新潟県知事によるプレゼンテーションでは佐渡金山が世界遺産に登録されたこともあり会場は大いに盛り上がった。新発田市の二階堂馨市長、南魚沼市の林茂男市長も参加した。27日にはマンハッタンのエンパイアステーキでNY新潟県人会(大坪賢次会長)の35周年記念式典(来週号で詳報)が山﨑国連大使、森NY総領事、三浦ジェトロNY事務所長ら105人の参加で盛大に開催された。  

長野県は発酵と長寿

NY大使公邸で阿部知事がPR

 長野県と在ニューヨーク日本国総領事館の共催によるレセプション「発酵・長寿NAGANOの食」が、10月29日夕、ニューヨーク総領事の森美樹夫大使公邸で開催され、来米した阿部守一長野県知事が、日米レストラン関係者らに長野のスキーリゾートや温泉などの大自然、松本城などの歴史、食文化について解説して長野の魅力を紹介した。

 またマルコメ株式会社の青木時男社長が登壇して味噌の美味しさをアピールするなど県内のメーカー10社が出展し、会場では、そば打ちの実演などのプレゼンテーションをはじめ、長野県の風土と気候、歴史が育んだ県産品の試飲・試食提供のほか、発酵食品など県産食材を使った公邸料理人によるオリジナルメニューが振舞われ大盛況だった。

(写真)宮坂醸造のテーブルでNYタイムズ紙記者、森大使と歓談する阿部知事

日本ブランドに魅せる力を

グラフィックデザイナー

佐地真梨子さん

 国際基督教大学(ICU)を卒業後、独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)に入構し、海外企業の日本投資を促進する業務に従事した。2年間勤めたあと、ブランディングデザインの分野にキャリアチェンジを目指し退職して留学。パーソンズ美術大学でデザインを学んだ。卒業後は、ニューヨークの広告会社やブランディングエージェンシーなどに勤めながら日本企業の米国での企業イメージの構築、ロゴやパケージの作成、ウェブサイトや広告などを手がけながらグラフィックデザインとブランディングデザインをしている。

 ジェトロ時代、日本の中小企業と海外のスタートアップ企業とを結びつける仕事をしていた。感じたことは、日本企業は、優れた技術で高品質の製品を作るが、「魅せる力」が弱いということだ。同時に、結びつけた企業の仕事に自分がもっと踏み込んでお手伝いができないものかとの葛藤が生まれた。ジェトロの構造的な役割に限界も感じ、自分の力で手伝える方法を手にいれるために日本を出た。海外からの視点でビジネスの融合とブランディングを考えるポジションに軸足を移しアメリカに来て2年半、いまのところ自分が予定していたプラン通りの生活だが「コツコツと努力する」ことは日本時代から変わっていない。日本の経済力が現在、かつてほどの勢いがない一方で、働き方改革が提唱され、労働時間を1日8時間から7時間へ短縮、1週間35時間労働を基準にするなど、「日本人がだんだん働かない方向に向かっているのではないか心配ではないか」と水をむけると「いやいや、そうでもしないと日本人は働きすぎるんですよ」との答え。行政が歯止めをかけないとサービス残業あたりまえの世の中は変わっていかないのだと。

 海外での日本製品、ブランドに対する評価は極めて高く、ユニクロ、無印などシンプリシティーを強く発信することでその存在が際立っているとも言う。「便利さ、扱いやすさ、技術力に裏付けされた精度の高さ、デザインなど、日本が誇れる分野はまだまだいっぱい残されています。これから自分たちで未来を変えていきたい」という気概を持って仕事ができるようになったのも、海外に出てみて、日本の外から日本や日本企業、日本製品を客観視できる立場に身を置いたからにほかならない。

 パーソンズを卒業してからは米国のブランディングを主軸とするデザイン会社数社を経験すると同時に、自身でプロジェクトも幾つか担当し、医療機関や食品会社、スポーツメーカーなどさまざまなジャンルのプロジェクトで経験を積んだ。この秋、再び米国のデザイン会社に就職する予定。企業のイメージや商品の個性を印象つけるブランド戦略は、日本以上にロジック(論理)が求められる。デザインにはすべて意味がある、意味を論理的に説明できなくてはならない。「自分の作ったデザイン、ブランドで人の心を動かしたい」という気持ちが常に自分の支えになっている。働く会社や住んでいる国が変わっても仕事に対する向かい方にブレはない。兵庫県出身の27歳。

 (三浦良一記者、写真も)

編集後記

【編集後記】
 みなさん、こんにちは。ニューヨークにまたひとつ、日本文化を海外に紹介する拠点が生まれました。学術・文化面の日米交流や政策研究を牽引する存在である公益財団法人国際文化会館で、米国における事業拡大を記念する式典が22日、同団体の関係者及び米国各界の有識者を招いてニューヨーク総領事大使公邸で実施されました。登壇者は森美樹夫在ニューヨーク総領事・大使、ケント・カルダー・ジョンズ・ホプキンズ大学教授、同高等国際問題研究大学院(SAIS)付属エドウィン・ライシャワー東アジア研究センター長、近藤正晃ジェームス・国際文化会館理事長、デービッド・ジェーンズ・国際文化会館北米担当バイスプレジデント、ジャスティン・ロックフェラー ジャパン・ソサエティー・シニアアドバイザーと錚々たる顔ぶれが揃いました。この公益財団法人国際文化会館は、日本と世界の人々の間の文化交流と知的協力を通じて国際相互理解の増進をはかることを目的に、1952年にロックフェラー財団をはじめとする内外の諸団体や個人からの支援により東京に設立された非営利の民間団体。創立70周年を機に「多様な世界との知的対話、政策研究、文化交流を促進し、自由で、開かれた、持続可能未来をつくることに貢献する」という新たな使命のもと、アジア・太平洋地域を代表する知の交流の拠点となり、グローバルでより高いインパクトを発することを目指してこのほどニューヨークに代表者を置くことになり、初代所長にデービッド・ジェーンズ氏が就任し披露されました。日本での事業活動は主に、①国際関係・地域研究・地政学、②社会システム・ガバナンス・イノベーション、③文明論・哲学、④アート・デザインの4つの領域からなるプログラム部門と、その事業を支える国際交流の場としての施設の維持運営にあたる業務部門から成っています。米国には日本政府がロサンゼルスにジャパンハウスを設置してますが、東海岸は、NYにジャパン・ソサエテティーという同じくロックフェラー氏や高峰譲吉が設立した歴史ある団体があります。日本文化発信の新たな拠点としてNYで今後どう活動していくのか楽しみです。それでは、みなさんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2024年10月26日号)

(1)米大統領選まであと10日 大接戦で予測困難

(2)静寂の紅葉

(3)出雲の阿国 アマテラス座5周年公演

(4)英語解説付き歌舞伎特別公演 歌舞伎座と京都南座

(5)横浜から平和の使者 国連本部など訪問

(6)視座点描 「トランプ推し」の背景

(7)Brooklynのヤマモトさん 

(8)本紙編集長のレイアウト深夜食堂 生き生きEATS

(9)現代のアジア系を意識して舞台で踊る 古井 伽林さん NY生活ウーマン

(10)審査員席からのコンペティション(1) 田村麻子のカーテンコール

米大統領選挙まであと10日、大接戦で予測困難

リードのハリス氏失速もなお流動的

 米大統領戦は11月5日の投開票日まで2週間を切った。激戦州のジョージア州やノースカロライナ州でも10月中旬から期日前投票・郵便投票が始まった。民主党候補は、撤退したバイデン大統領に替わったカマラ・ハリス副大統領が共和党候補のトランプ氏を上回る支持率を出していたが10月に入ってからは失速している。

 政治サイトのリアルクリアポリテックスがまとめている10月4日から20日までの13社の全国世論調査の平均では、ハリス氏支持が49・2%でトランプ氏支持の48・2%を依然として1・0%上回っている、しかし9月30日から10月15日までの平均だとハリス49・3%。トランプ47・7%でハリス氏が1・8%優勢だったが、その差を詰められている。とはいえ2%以下は誤差の範囲とされており予断は許されない状況だ。

 米大統領戦はニューヨーク州などブルーステートと呼ばれる民主党候補がほぼ勝つ州、テキサス州などレッドステートと言われる共和党候補がほぼ勝つ州はほぼ決まっており、民主が勝ったり共和が勝ったりするいわゆるスイングステート(激戦州)が当選の鍵を握っていると言ってよい。今回の激戦州はペンシルベニア(19)、ノースカロライナ(16)、ジョージア(16)、アリゾナ(11)、ウィスコンシン(10)、ミシガン(15)、ネバダ(6)とされる(数字は選挙人数)。2020年と同じ結果になると仮定すると、激戦州を除く獲得選挙人の数は民主229人、共和216人。残りの激戦州の計93人の選挙人を争う形になり、過半数の270を取るには民主が41人、共和が54人必要となる。

 リアルクリアポリテックスがまとめた9月下旬から10月17〜20日までの各社世論調査の平均では、激戦州7州すべてトランプ氏がハリス氏の支持率を上回っている。このままだと仮定するとトランプ氏の地滑り的勝利の可能性が出てきた。ハリス氏は、9月上旬時点でジョージア、ミシガン、ネバダ、ウィスコンシンの4州でトランプ氏を上回る支持率だったことを考えると失速は否めない。トランプ氏に勢いがあるものの、その差はウィスコンシン州で0・2%、ペンシルベニア州でも0・8%とまさに僅差で、誤差の範囲に留まる。

 各社の世論調査を厳選して独自の集計と平均を出している政治サイトのファイブサーティーエイトによる10月21日時点での支持率は、全国世論調査ではハリス氏がトランプ氏を1・8%上回っている。激戦州は、ペンシルベニア、ウィスコンシン、ミシガン、ネバダはタイ(同率)、ノースカロライナ、ジョージア、アリゾナはトランプ氏が1〜2%の差でハリス氏を上回っている。

トランプ対ハリス
両者非難の応酬激化

 10月21日付ニューヨーク・タイムズ紙は「ハリス陣営はトランプ氏は大統領に不適格で危険な人物として描くことに大きく転換した」と報じている。ハリス氏は最近の集会ではトランプ氏は「不真面目で残酷な男」であり、分断をあおる発言をしていることを激しく非難している。タイムズは、国民がもっとも重視する経済問題でのトランプ氏優位を覆すためにトランプ氏への攻撃が激しくなっていると書いている。またハリス陣営は78歳になったトランプ氏の健康問題も取り上げている。

 激戦州では黒人票も鍵を握る。ハリス候補は黒人系だが、ニューヨーク・タイムズが12日に発表した世論調査によれば、黒人のハリス氏への支持率は78%で、トランプ氏の15%を大きく引き離しているものの前回のバイデン候補が90%の支持に比べると低い。全米黒人地位向上協会(NAACP)の最近の調査では50歳未満の黒人男性の4人に1人がトランプ氏を支持しているという。このためオバマ元大統領が黒人男性にハリスに投票するよう呼びかけるなどしている。

 一方のトランプ氏は最大の激戦州といわれるペンシルベニア州で20日、バックス郡フェスタービルにあるファストフード大手のマクドナルドでエプロン姿で従業員体験をし、庶民派であることをアピールした。「ハリスがマクドナルドで働いたことがあるというのは嘘だ」と根拠なく述べたりした。近くではトランプ派数百人と反トランプ派が互いに非難の応酬をしていた。

 トランプ氏は外交問題にも答えており、18日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙に掲載されたインタビューでトランプ氏は「中国が台湾に侵攻すれば中国製品にかける関税を150〜200%に引き上げる」と述べた。関税の大幅引き上げを警告することだけで、侵攻を抑止し、封鎖を解除できると述べている。台湾封鎖時に軍事力を使うかとの質問に「使う必要はないだろう。習氏は私に敬意を示しており、私が変わり者であることも知っているからだ」と述べた。

静寂の紅葉

少し冷たい空気が

ゆっくり流れるセントラルパーク

朝陽が差し込み

眩しい光が紅葉を照らし出す

陽だまりが静かに人々を包みこんでいた

(10月19日午前、写真・植山慎太郎)