NYファッションウィーク、活躍する日本女性たち

ネイルなら名取さんご指名

 ニューヨーク・ファッション・ウイークが10日から15日まで市内各所で開催された。今回、ラカン・スミス、アルツザラ、ビビアン・タムなどのファッションデザイナーの7つのランウエーのネイルを担当したのが、名取由稀江さん(=写真右)率いるYNNY(YUKIE NATORI NEW YORK)のネイリストたち8人。

 13日にロックフェラーセンター56階のレインボールームで開催されたラカン・スミスのショーに登場するモデル35人のネイルを手際良くつけていく。あらかじめサロンで用意したつけ爪だ。「あなたとても指が美しいわ。写真撮らせて」「ああいいよ」とモデルとの会話も弾む。名取さんはこれまで春と夏のファッションウィークに15年間も有名デザイナーたちのご指名に応えている。日本のネイル学校を経営するのと同時にニューヨーク市内ではスキン・ディープNYCという美容皮膚クリニックも開業しており、日米の女性たちを美しくすることがライフワークだ。

羊毛ファッション、ニューヨーカー魅了

北海道美深町で羊と暮らし創作

逸見さん手応え

 北海道美深町で10頭の羊と暮らしながら、草木染めでフェルト服を作っている逸見吏佳(へんみ・りか=写真左、中央)さんが12日、ニューヨークファッションウィークで羊毛ファッションをランウエーで披露した。この日、マンハッタンのチェルシー地区26丁目の会場となったハドソン川を臨む14階のカノエ・スタジオは、昼前から熱気にあふれる盛況で、大勢のファッションジャーナリストやバイヤーたちが詰めかけた。そして観衆の見守る中、トップバッターで逸見さんの作品を纏ったモデルたちが颯爽とランウエーを歩きギャラリーの注目を集めた。札幌市出身の逸見さんが羊のいる風景に憧れ、2004年に美深町に移住して現在は牧場で羊を家族と共に飼いながら羊毛ファッションを手がける。

 昨年、バンクーバーファッションウィーク参加後にニューヨークファッションウィークの主催者から案内のメールが届き、興味を持って今回の参加となった。「私たちの暮らしとは真逆の世界一の都会ニューヨークで、ショーをして、大勢の笑顔を送っていただき、なんというか、共感を得ることができました」とショーの後、興奮気味に逸見さんは話していた。薄い生地に羊毛を載せる布フェルトで、縫製することなく無駄なく作りあげる洋服作りを発案。身近な植物で草木染めするなど、周囲の環境に調和したものづくりを目指している。コンセプトは「生きている服」。そこには命として感じられるような愛が溢れる服を作りたいという思いがある。ロングコートやショールカラーは、縫い目がなく、一体化しているウエアで、「見た目の良さだけではなく羽織った時の心地よさがあります」という。ブランド名は「粗清草堂」(soseisodo)。8作品のショーはあっという間だったが、それは、天然素材を使った手作りファッションのローライフスタイルがニューヨーカーたちを魅了した瞬間でもあった。(三浦良一記者、写真も)

花柄イエローキャブとむっつりおじさん

 ニューヨーク市で、これまで行ったことがない地域を夫とぶらぶら歩いた。とくに治安が悪いというわけでもないのだろうが、殺伐とした倉庫街のようなところだ。用がなければ、わざわざ地下鉄を降りることもないだろう。

 イエローキャブが五十台ほど止まっている青空駐車場を見つけた。何台ものボンネットに、花柄などのかわいい絵がペンキで描かれている。こんなキャブが走っているのを、目にしたことがない。私は写真を撮りたくなった。

 駐車場の入口に、二畳ほどのバラックのような小屋があった。ドアはなく、防寒のために厚めのビニールが長い暖簾のように、地面まで垂れ下がっている。中に人がいるようだったので、ビニールの暖簾を少し開けてみる。

 小さな机が置かれ、体格のいい白人の男の人がすわっていた。

 中に入って、イエローキャブの写真を撮ってもいいでしょうか、と聞いてみる。

 Photos for WHAT?

 何のための写真だよ。

 男の人はこちらを向き、憮然とした表情で聞き返す。

 アクセントのある英語だ。東ヨーロッパ系の移民だろうか。

 ボンネットに描かれている絵が素敵なので、写真を撮りたいと思ったんです。 

 ま、いいよ、とぶすっとしたまま、答える。

 礼を言って、写真を撮る。キャブの多くは、ナンバープレートが外されている。ティーバッグが入ったままの紙コップが、運転席の隣に置かれたままになっている車もある。

 写真を撮り終えて、さっきの小屋に寄った。 

 再び、ビニールの暖簾を少し開けて、男の人に声をかける。

 ここにはどうして、キャブが何台も集まっているんですか。

 WHAT??

 何だ!?

 相変わらず、感じが悪い。が、聞こえなかったのかもしれない。私は質問を繰り返す。

 BECAUSE THEY BELONG HERE!

 ここの車だからだ!

 口調がきつくなってきた。

 そうですか。わかりました。どうも。 

 そう答えて、去ろうとすると、男が背後から怒鳴った。

 Are you from the FBI or what??

 お前は、FBIかどっかの人間か!? 

 自分が質問好きなのは認めるが、何もそんなに怒らなくてもいいではないか。

 虫の居所が悪そうなので、すごすごと立ち去った。

 誰が見ても能天気そうで、ときには子どもにも間違えられる私のような人間を、FBIが捜査に送り、いろいろ聞き出しているとでも、思っているのか。彼も命がけなのかもしれない。ドアもないあの小屋で、駐車料金を預かっているとしたら、いつ現金を狙われるかわからない。身を守るために恐そうな表情で、無愛想を装っているのだろうか。

 しばらく辺りを散歩し、駅に戻るときに、その小屋の前を通った。

 ビニールの暖簾を開けて、スーツの内ポケットからバッジを取り出して見せ、「FBIだ」と男に声をかける。

 そういきたいところだったが、夫が横で冷や冷やしながら、お前、そのうち、ニューヨークで撃たれるぞ、と真顔で言うので、やめておいた。 

 このエッセイは、文春文庫「ニューヨークの魔法」シリーズ第5弾『ニューヨークの魔法のじかん』に収録されています。

https://www.amazon.co.jp/dp/4167717220

日本語ツアーを再開

メトロポリタン美術館

 メトロポリタン美術館(五番街1000番地)では昨年夏から、コロナ禍で中止していた日本語によるハイライトツアーが再開されている。毎週火・金・日曜午前11時15分から約1時間、知識豊富なガイドが、見どころやおすすめの展示を案内してくれる。

 1月20日、山本伸子さんによるツアーに参加した。まずはエジプトのデンドゥール神殿。ダムに沈む遺跡を丸ごと移築したことで知られる同館必見の展示だ。神と王の見分け方、移築にまつわる逸話など興味深い語りに、早速引き込まれる。フェルメールやルノワールの絵画説明も非常に詳しく、「フェルメールが語っているみたい」「そんな制作秘話があったとは!」と感嘆する参加者もいた。シカゴ駐在中ニューヨークに観光で来た山上圭吾さん真理子さん夫妻は「普段何気なく見ていた作品にいろいろな意味があることに気づかされました」と話していた。この日は他にアメリカ美術、印象派、現代彫刻などを凝縮した内容で廻り、同美術館の魅力の一端を短時間で堪能した。

 日本語ガイドは現在、平日8人、日曜は3人が交代で担当し、全員ボランティア。マニュアルはなく各人がそれぞれ独自の内容で案内するので、同じ作品でもガイドによって異なるそうだ。ガイドになるための勉強は約1年、絶えず情報や知識を収集し、ツアー直前に予定コースを廻り展示が案内する位置にあるかを確認して本番に臨む等、その労力は計り知れない。同美術館やアートを愛する気持ちだけではなく、少しでも深く楽しんでもらいたいという奉仕精神あってこそ。山本さんは「観光でいらした方に限らず、ぜひ地元の方や国内観光の方にも参加してほしい」と話している。

 参加料金は美術館の入場料を払えば無料。集合場所は、大階段の手前左側1階のベレスブランコの回廊(ギャラリー534)。詳細は同館の公式サイトwww.metmuseum.org/visit/plan-your-visit/met-fifth-avenueで「日本語」をクリックする。(小味かおる、写真も)

NJ日本人会名刺交換会、新体制役員を発表

 2008年に設立されたニュージャージー日本人会は8日夜、3年ぶりのイベントとなる「名刺交換交流会」をエッジウォーターの「アメリカン・リージョン」で開催し、NJ州居住者、NJに拠点を置いていたりNJ居住者へサービスを提供するビジネスパーソンやアーティストら、約100人の参加者が集った。

 参加者同士のネットワーキングや食事のあと、香純恭師範と三宅由利子さんによる殺陣波濤流ニューヨークの迫力ある演武、そして藤原昌人インテレッセ社長の音頭で乾杯した。

 新体制の発表会でもあった同イベントは、まず13年も同会の運営に携わり7年間会長を務めあげて1月に退任した吉岡まこさんがスピーチ。先日NJ州が正式に記念日と認定した「フレッドコレマツデー」に言及し、今後毎年1月30日にNJ州内各町に同会で桜の木を植樹する計画を披露した。そして、2月から新会長に就任した近藤三奈さんから、吉岡元会長と本木裕子元副会長へお礼の花束贈呈と吉平健治副会長、ハリー西谷経理担当、近藤亜紗美総務担当ら新体制役員の紹介があった。(写真上:新体制発表に伴い新旧役員の交代を紹介)

会長就任挨拶をする近藤さん

 会の発足当時、発起人で初代会長でもあった近藤三奈会長のスピーチでは、1993年から25年間フォートリーで「国際子どもの日」イベントを毎年開催した流れから日本人会の立ち上げに繋がった話。同会の英語の正式名称を昨年9月より、NYをはじめ全米各州で活動する「日系人会」と肩を並べるしっかりした組織となるよう「Japanese American Association of New Jersey」に変更して登記したものの、日本語の呼び名は以前から親しまれている「NJ日本人会」を継続使用していくという報告がされた。また近藤さんは、「今回参加されている様々な業界のプロの力を借り、若い世代にもしっかり引き継いで、一緒に100年続く会を作り上げていきたい」と語った。同会では、今後、法律相談、ビジネスネットワーキング、若い世代の会、奥様の会、お子様イベント、教育、資産形成、老後計画など様々な世代のニーズに合うような企画を行う予定。

 その後、同夜のイベントは、約30人の参加者による「1分PRコーナー」やラッフルで、夜遅くまで盛り上がっていた。(本紙・久松茂、写真も)

空手の強さ世界に示す

59年前の極真空手VS タイ式ボクシング
フルコンタクトKARATE誌2月号で特集

 力よりも技、技よりも心を大切にする「人間空手」をモットーに米国で創立44年の世界誠道空手を広げ、米国40支部、日本国内30支部を含め世界120支部を持つ道場の創設者、中村忠氏が、日本の空手雑誌「フルコンタクトKARATE」の2月号の表紙を飾った。極真空手の大山道場の代表として1964年にタイ王国へ遠征。ルンピニー・スタジアムでムエタイ選手とムエタイルールで対戦し、2ラウンドKO勝利した時のエピソードが紹介された。当時、3人の空手家がタイ式ボクシング(ムエタイ)との他流試合を行うため、同年1月15日羽田発の日航機で旅立った。異種格闘技に挑んだのは、極真会(大山倍達総裁)の師範代・黒崎健時(当時四段)、中村忠(同二段)、藤平昭雄(同初段)。しかし、バンコクのナショナル・スタジアムでの試合は、延期に次ぐ延期で精神を消耗し、対戦相手も現地で変わるというハプニングの連続だった。いかに3人が逆境を乗り越え、空手を勝利に導いたのか。生きる伝説とも言われる「世界誠道空手道連盟誠道塾」の創設者、中村会長を大特集している。

 中村氏は、1942年2月22日生まれ。段位は十段。樺太真岡郡真岡町(現在のロシア極東連邦管区サハリン州ホルムスク)出身。駒場東邦高校一期生。1965年に日本大学理工学部建築学科卒業後、初代首席師範に任命される。門下生の増加や定着を良くするために、夜だけであった稽古を朝・昼・夜の三クラスに増やし、夏冬の合宿も指揮。これらは極真会館の公式行事となった。10月15日には百人組手を完遂した。

 66年からニューヨーク市ブルックリンで指導を始める。門下生にはウィリアム・オリバー、チャールズ・マーチンらがいる。中村含め、彼らは劇画「空手バカ一代」の重要人物としても登場している。中村はアメリカ各地の他にも、南米・ヨーロッパ・ニュージーランドへも行き、現地門下生の指導や演武を行った。演武の真剣白刃取りや氷柱割りは、極真会館主催のオープントーナメント全日本空手道選手権大会およびオープントーナメント全世界空手道選手権大会でも披露した。これら選手権大会で主審を務め、決勝戦も裁いている。71年に北米本部を設置し、初代北米委員長に任命される。76年に極真会館を離れ(当時の段位は六段)、世界誠道空手道連盟誠道塾を設立。大山は中村を「将来の後継者に」と考えていたようで、中村が極真会館を去った時には日本と世界の極真関係者への激震は多大なものであったという。

 中村が88年に出版した自著『人間空手』(主婦の友社)で、中村は「今思うと大山館長の生徒を育てる愛情と情熱、親しみやすく素朴な面、頭が良くて努力家、夢をたくさん語る事、など僕が影響を受けたり、見習わなくてはならない事が随分あります」と回顧している。

 現在は本部マンハッタンチェルシー校の道場と、ウエストチェスターの浄心本山道場を持ち、二代目の彰氏と共に人間空手の普及に今も努めている。 (三浦)

芥川作品が人形劇に

芥川作品が人形劇に

 ジャパン・ソサエティー(JS)は23日(木)から25日(土)までの3日間、午後7時30分からJS内劇場(東47丁目333番地)にて作家・芥川龍之介の5つの代表作をベースに創られた人形劇「AKUTAGAWA」を上演する。同作品は、日本の短編小説の父と言われるほど傑出した短編を多く残した文豪・芥川による5つの短編『羅生門』『地獄変』『竜』『杜子春』『河童』を紡いだもの。各ストーリーを通して、芥川の作家としての洞察力や不安定な精神世界を描き出す。

 出演は、八王子車人形・五代目家元西川古柳とアメリカ人パペット・アーティスト、トム・リー。また、ニューヨークで長年活躍するミュージシャン辻幸生のライブサウンドが加わり、躍動感に溢れたステージを披露する。23日(木)の終演後には観客全員招待の「MetLife Meet-the-Artists レセプション」、24日(金)の終演後には「アフター・トーク/アーティストQ&A」が実施される。

 入場料は一般30ドル、JS会員24ドル(13歳以上推奨)。チケット・詳細はウェブサイトhttps://japansociety.org/を参照。

編集後記 2月11 日号

【編集後記】

 みなさん、こんにちは。世界各国の新型コロナ対策の水際制限の緩和が進む中で、日本政府も5月8日からインフルエンザと同じ感染症5類にカテゴリーを移行します。それに伴い、海外との人の往来が増えそうです。空の国際線は各社軒並みの増便ラッシュです。日本航空の羽田路線は、5月28日からニューヨーク線の2番目となる003便と004便を新規増便します。ANAは3月26日からジョン・F・ケネディ=羽田線を現行の週7往復から3往復増やして週10便運航します。9月からさらに4便増便して毎日2往復運航します。ユナイテッド航空も1月5日から悲願のニューアーク=羽田路線を週3便体制で開設。デルタ航空もミネアポリス=羽田便の毎日の運行を再開、4月1日からホノルル=羽田便も運行するなど続々と空の旅行が再開しています。これを待ちわびていたのが、これまでじっと我慢の利用者です。日系旅行代理店のアムネットが2月4日からユナイテッド航空の日米往復航空券を1070ドルの特別価格で期間3日間の限定でセールをしたところ、開始直後から電話が鳴り止まず、3日間で予約1,000件が殺到しました。インフレの影響で、航空運賃も高止まりしていて、個人ではおいそれとはまだ行き来ができない感じですが、あとは価格の需給バランス次第で利用客は今後増えていくのでしょうね。日本では物価高と連日報道されていますが、ニューヨークから帰れば、何もかもがまだまだ安く感じることでしょう。ドルの使い勝手があるうちに帰国したい気分です。日本全国・漁港のある町・特選回転寿司銘店めぐりツアーなんてあったら絶対行くんですけどねえ。あ、関係ないですけど今週号で発行900号でした。読売アメリカの18年・870号を知らないうちに超えていました。うーん、回転寿司でお祝いしたい気分。でもNYにはないのですよね。それでは皆さんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2023年2月11日号)

(1)国際線の増便相次ぐ 3日間で予約1000件

(2)街角ファッション NYUの学生が女子会へ

(3)坂茂氏がNYで講演 木材建築の美を語る

(4)引き続き「円安」で本当に良いのか?  あめりか時評

(5)日本ふるさと名産食品店 ジャパンビレッジで23日から26日まで

(6)NY日系人会5階に 移転無事に完了

(7)北海道で羊と暮ら羊と作る服 NYファッションウィークに

(8)週刊NY生活ギャラリー 今週の参加アーティスト

(9)現代舞踊家の田中いづみ 樹のエネルギーを舞台で

(10)日本の新作映画5本上映  文化庁がIFCセンターで

(11 )JSでアニメ 「耳をすませば」

国際線の増便相次ぐ

水際対策緩和で旅客増に対応

 日本で5月8日から新型コロナウイルスの感染部類がインフルエンザと同じ5類に移行するが、日米間の国際線を運航する航空各社が旅客増加に対応するため相次いで増便や新規就航を発表している。

 日本航空は、コロナ禍からの各国の水際制限緩和などの環境変化を踏まえ、2022年度冬期計画対比で旅客便の供給量を拡大する。特に羽田路線は、5月28日からニューヨーク線の2便目となる(JL003/004便)を新規増便するほか、シンガポール線を毎日2便運航へ、マニラ線を毎日運航へとそれぞれ増便する。これにより羽田路線の運航便数はコロナ前の約1・5倍に拡大となる。また同日からジョン・F・ケネディ国際空港での使用ターミナルは、従来のターミナル1からアメリカン航空と同じターミナル8に移転する。さらに冬期ダイヤ中に、羽田=ニューヨーク線にエアバスA350-1000型機が就航する。今年春に羽田空港国際線サクララウンジを拡張オープンする予定だ(関連記事5面に)。

 全日本空輸(ANA)は 3月26日から、ジョン・F・ケネデイ=羽田線を現行の7往復/週(NH109/110便)から3往復/週(NH159/160便)を増便し、週10 便運航する。9 月よりさらに4 便増便し、毎日2 往復運航する。 4 月20 日から2020 年3 月ぶりにエアバスA380 型機「FLYING HONU」を毎日運航する。また、東京(羽田・成田)=ホノルル線のダブルデイリー運航に加え、7 月21 日から成田=ホノルルNH182/181 便の運航を再開し、夏休み期間は羽田・成田発着合計で毎日3 往復運航する(関連記事7面に)。

 ユナイテッド航空は1月5日から、ニューアーク〜羽田路線を週3便体制で開設した。この路線は2020年3月29日から就航予定だったが、新型コロナ感染症の急激な拡大により延期され、約2年10か月ぶりでの開設となった(本紙1月21日号既報)。

 デルタ航空は3月25日からミネアポリス=羽田が毎日の運航を再開、4月1日からホノルル=羽田便も毎日運航する。

 利用客の動きも活発になっている。日系旅行代理店のアムネットは2月4日に日本行き航空券のスーパーセールを3年ぶりに再開させた。同社の中川扶二夫社長は「需要の高まりを実感しています。今回はニューアークからの羽田便就航が悲願だったユナイテッド航空のチケットを応援セール販売しましたが、JFK発の日系航空会社やラガーディアからのデルタ航空も売りますよ。航空券の値段が高止まりしているので本格的に需要が戻ってくるには時間が必要ですが、旅行熱は確実に上向き」と話す。

3日間で予約1000件

 アムネットのセールキャンペーンには6日までの3日間でユナイテッド航空の日米往復航空券1000枚以上の予約が殺到した。同社の予約担当マネージャーの岡山和正さんによると、セールス開始と同時に3日間電話が鳴り止まず、スタッフが予約注文の対応に追われたという。今回発売したユナイテッド航空の航空券が8月20日までに出発と他の航空会社より長かったこと、セール価格が日米往復で1070ドルと他社の半額に近い価格だったことも理由で「皆さん待っていたのでしょうね」と嬉しい悲鳴をあげている。

日本航空が増便
NYー羽田線5月28日から

エアバス350-1000型機就航

 日本航空国際線は、コロナ禍からの各国の水際制限緩和などの環境変化を踏まえ、2022年度冬期計画対比で旅客便の供給量を拡大する。5月28日(ニューヨーク発は5月29日)から、羽田=ニューヨーク線(JL003/004便)を新規増便する。運航スケジュールはJL003便がJFK午前1時30分発、羽田着午前4時45分。JL004便が羽田発午後6時35分、JFK着午後6時25分。

 2023年冬期ダイヤ中に、羽田=ニューヨーク線に新フラグシップのA350-1000型機が就航する。5月28日から、ジョン・F・ケネディ国際空港で従来の「ターミナル1」からアメリカン航空と同じ「ターミナル8」に移転する。これにより、 米国内および中南米各都市を結ぶアメリカン運航便との乗り継ぎ時間が短縮となり、利便性の高い渡航を実現するとしている。春に羽田空港国際線サクララウンジを拡張オープンする予定だ。新しいサクララウンジは約380 席を予定しており、2019年10月にリニューアルオープンした既存のサクララウンジ(席数403席)と合わせて、提供席数を約2倍(席数:約780席)に拡大する。

ANAが増便へ
JFK羽田線週10便に

3月26日から


ANAのボーイング777-300ER型機

 ANAは1月31日、2023年度国際線でホノルル、ニューヨーク、ソウル便を増便すると発表した。同社は4月20日から2020年3月以来3年ぶりにエアバスA380型機「FLYING HONU」を毎日運航する。また、東京(羽田・成田)=ホノルル線のダブルデイリー運航に加え、7月21日から成田=ホノルルNH182便/181便の運航を再開し、夏休み期間は羽田・成田発着合計で毎日3往復運航する。 

 3月26日から、JFK=羽田線を現行の週7往復(NH109/110便)から週3往復(NH159/160便)を増便し、週10便運航する。9月よりさらに4便増便し、毎日2 往復運航する。 

 渡航需要に応えるため、3月中旬より羽田=ソウル(金浦)線を増便し、 毎日3 往復運航する。 

 NH159便は早朝5時に羽田に到着するため、到着1日目からたっぷり時間を活用したいビジネス・訪日レジャーの双方のニーズに対応する。 

 運航スケジュール(関係当局の認可を前提) はNH159便がJFK発午前2時、羽田着午前5時の週3便(月・水・土)を予定し、9月2日から週7便運航になる。またNH160便は、羽田発午後10時55分、JFK着午後10時50分の週3便(火・金・日)を予定し、9月1日から週7便の運航 となる。


ビジネスクラス「THE Room」ドア付き個室型シートでプライベート空間を実現

  NH109/110便と同様に、NH159/160便の運航機材にも最新のファーストクラス「THE Suite」、ビジネスクラス「THE Room」を搭載。両クラスともにドア付の個室型ワイドシートでプライベート空間に加え、これまでにない広さと寝心地を実現し、最上級のくつろぎ空間を提供する。ファースト8席、ビジネス64席、プレミアムエコノミー24席、エコノミー116席、計212席のボーイング777-300ER型機で運航。 また、JFK=羽田線のファースト、ビジネスクラスにて、一風堂のプラントベースラーメン、「プラとん」を提供している。動物由来の食材を一切使用せずに、一風堂の看板商品であるとんこつラーメン風の味わいを表現しているという。

NYUの学生が女子会へ

 暖冬のニューヨーク。ミッドタウンのニューヨーク公立図書館前でおめかしをしたNYUの学生がポーズを取りながら交代で写真撮影をしていた。「ファッションインタビュー? ぜひお願い! でも日没までに終わらせてね、もっと写真撮りたいから」。いえいえ、そこまで時間はかかりませんよ…! ということでスタート。アマゾンで購入した深紅のレザーパンツにカラーマッチしたスニーカーはナイキのエアジョーダン。トップスは黒のコルセットと、それに合わせて自分で縫製したタイトなロングスリーブニット。そして本日の服装にコーデした赤やピンクのリングやネックレス。普段はカジュアルに着れるZARAの他にTARA JARMON、SANDRO、BERSHKA、MISSGUIDED、PRETTY LITTLE THING、NASTY GALを好んで着ている。どれもファッションに敏感な若いアメリカ人女性に人気のブランド。中でもPRETTY LITTLE THIINGはエクストラスモールサイズも充実しており、日本人女性にもお勧めだ。「H&Mも好きよ。ルームメートがバイトしてて、よくフリーサンプルをもらえるから(笑)」。ミッドタウン在住だが、ゴージャスな街の雰囲気を堪能しながらのショッピングはソーホーへ、昔ながらの落ち着いた街並みを楽しみたいときにはアッパーイーストに繰り出す。静かな夜の金融街もお気に入りで都会の喧騒に疲れたら足を運ぶそうだ。「これからルームメートとアンジェリーナにペイストリーとホットチョコを食べに行くの。今夜はそのまま女子会よ」。美しい街並みにファッションと食、マンハッタンの魅力は尽きない。

(Wear 2Nextチーム/アパレル業界関係者によるファッション研究チーム)

坂茂氏が講演

ジャパン・ソサエティーで27日

木材建築の美を語る

 ジャパン・ソサエティー(JS)・アーキテクチャープレゼンツ「坂 茂:Timber in Architecture」と題した講演会が27日(月)午後6時30分から、JS(東47丁目333番地)にて開催される。建築界のノーベル賞とうたわれるプリツカー賞受賞者である国際的な建築家・坂氏は、その革新的な木材の使い方で知られている。木材建築は自然で美しいだけでなく、近年の気候変動への対応策として環境に配慮したものづくりのツールとして重要視されている。

 講演では、坂氏の建築における木材の利用可能性、建築技術を用いた災害支援活動、そして建築を通じた持続可能な未来に向けた取り組みについて話しを聞く。司会は、クーパー・ヒューイット・スミソニアン・デザイン博物館キュレトリアル・ディレクター代理のマティルダ・マッケイド氏。講演後のレセプションではサイン本の販売も行われる。講演は英語。

 入場料は一般15ドル、JS会員・学生・シニアは12ドル。チケット・詳細はウェブサイトwww.JapanSociety.orgを参照。

(写真:©Swatch)

引き続き「円安」で本当に良いのか?

 外国為替に関しては予想は概して外れることが多く「一寸先は闇」と考えておくのが正しい。そんな中で、2月10日に発表になると言われていた、日本銀行の人事が明らかとなってきた。黒田東彦総裁の退任が既定路線となる中で、後継は雨宮正佳副総裁となる模様だ。

 この間、日本社会全体では、円安のデメリットが指摘されることが多くなっている。だが、とりあえず4月の統一地方選を考えると輸出や観光産業に配慮して、円安政策を継続するということになる可能性がある。今回の人事からは、そんな政権の思惑が透けて見える。市場もそうした気配を汲み取って、人事が漏れた段階で更に一段の円安が進んだ。一部の報道では、市場には日銀が現状を維持するという「安心感」が出ているという。

 では、このまま政府日銀は、円安政策を継続しても構わないのだろうか。仮にそうだとして、NYの日系社会には、どんな影響があるのか、この機会にシミュレーションをしておきたい。

 まず、日本経済においては、賃金の上昇をインフレ率が上回る「悪しきインフレ」が懸念されている。その原因の多くが、輸入に頼る化石エネルギーのコストだと考えると、この先も円安政策を継続するとエネルギーコストの圧迫が家計と、企業収益を更に悪化させる懸念がある。エネルギーに加えて、木材、小麦、大豆など日本の日常生活に欠かせない輸入資源に関して「円安によって日本が買い負ける」現象が指摘されていたが、こうした問題も更に続く可能性がある。

 その一方で、円高になると輸出産業は不利になる。だが、日本発の多国籍企業は、円高のデメリットを打ち消すために良くも悪くも「空洞化」を進めてきた。そのためもあって、円高に振れた場合の影響は軽減されている。一番影響があるのは、日本発の多国籍企業で、アベノミクスの期間を通じて、円建ての「連結決算」を見かけ上大きく膨張させてきた。今回、仮に円安政策を「止められない」のであれば、多国籍企業の円建て業績の問題も一つの原因と考えられる。考えてみれば決算期が3月に迫っているということもある。

 今年に入って急速に拡大している訪日外国人の観光だが、円高になれば確かに「インバウンド消費」には不利となる。仮に旅行予算がドル建ての旅行者の場合、円高期に訪日すれば何もかもが高く感じられるだろう。だが、この点に関しては、現在の「インバウンド」の旺盛な需要と購買力を考えると、多少の円高は吸収してしまう勢いがある。この間、コロナ禍の前後も円安がインバウンドを後押ししてきたことは否定できないが、かといって観光産業を維持するために円安を続けなくてはならないというのは、少し違うと思われる。

 アメリカの日系社会としてはどうであろうか。この間、コロナ禍の以前から円安のため訪米観光客はジリ貧となっていた。これにコロナ禍と、治安の悪化といった条件が重なって、日本からアメリカへの観光はほぼ全滅という時期が続いた。これが円高になれば、反転してゆくことが期待される。全米の中でもとりわけニューヨークの場合は、平時であれば国際金融都市であることに加えて、世界有数の国際観光都市でもあった。

 縮小傾向にあったとは言え、その中で日本からの観光客のもたらす経済効果は決して小さくはなかった。一旦ゼロとなったその効果が、円高になれば再び勢いを持つであろうし、これは日系社会だけでなく、ニューヨークの都市経済の再生において重要なファクターとなる。この春、アメリカではWBCが行われ、日米における野球の交流は更に高い関心を呼ぶに違いない。そんな中で、メッツにはソフトバンクから千賀滉大投手が移籍してくる。千賀投手の活躍する姿を追ってシティ・フィールドへ日本からの応援が増えることを期待したいが、円安が継続する中では難しいかもしれない。

 それはともかく、では仮に雨宮氏が総裁になって円安政策を志向したとして、本当にその通りに為替レートの現状維持が可能なのだろうか。日本円を取り巻く環境は、短期的には円高圧力がある一方で、このまま競争力が低迷すると中長期では一層の円安からハイパーインフレに進む危険もある。実は、現状維持というのが一番難しいという見方も可能であり、仮に岸田政権が4月の統一地方選という極めて短期の思惑から通貨政策を考えているのであれば、何とも心もとない。とにかく、新総裁の手腕に期待するしかない。

(れいぜい・あきひこ/作家・プリンストン在住)